下半期の経済活動、第2四半期より改善=エコノミストら

【クアラルンプール】 2020年下半期の経済状況についてエコノミストらは、国内および国外の経済状況が徐々に回復しているとし、第2四半期ほど深刻化しないと見ている。
中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は先ごろ、第2四半期の国内総生産(GDP)成長率が17.1%のマイナスとなり、通年のGDP成長予想をマイナス3.5—マイナス5.5%に下方修正したと発表した。
格付け会社マレーシアン・レーティング(MARC)は、通年のGDP成長予測をマイナス5.5ーマイナス7%と予想。下半期のゆるやかな回復により、経済活動はそれほど低下しないとの見方を示した。世界的なロックダウン(閉鎖)が再び起こらないと仮定した上で、世界貿易が改善することでマレーシアの開放経済が恩恵を受けると予想。2021年の世界の貿易取引について世界貿易機関(WTO)が21ー24%回復すると予測していることから、マレーシアの輸出量も回復し経済成長を下支えする可能性があるとした。
またMARCは統計に基くと、不況から回復した年の個人消費の伸びは、一般的に低くなる傾向にあるとした上で、マレーシアの成長軌道は個人消費と投資に左右されると指摘。よって個人消費の回復は2021年になると予測した。また2021年の平均原油価格が1バレルあたり50ー55米ドルになるとした上で、原油価格の増加も経済を後押しすると分析。その上で2021年のGDP成長は6.2%ー6.7%に上るとの予測を示した。
政府系金融機関MIDFの調査部門、MIDFリサーチは、通年のGDP成長予測をマイナス2.1%からマイナス4.8%に下方修正した。新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大および地政学的リスクの影響を受けている現在の動向に基づくと景気は依然として弱い動きがあるが、景気対策と利下げが奏功し、経済が徐々に回復するとした。

ジェトロとグラブの日本食プロモ、第1回がスタート

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、食品配送サービスのグラブ・フードと提携した日本食プロモーションの第1回を18日からスタートすると発表した。
新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大によって影響を受けた在マレーシア日本食レストランの支援、日本産食材の輸出および普及を目指すもので、参加店は全て「海外における日本産食材サポーター店」の認定店で、日本産食材が使用されていることが条件。42店が新規に認定を受けた。
第1回の開催期間は8月31日までで、首都圏クランバレーのほか、ペナン、マラッカ、サラワク州からも参加し、募集数の100店を上回る104店舗となった。参加店は居酒屋、カフェ、寿司、焼き肉、とんかつ、ラーメン、カレー等の幅広いジャンルにわたる。
うち18店は、今回のプロモーション参加を機にグラブ・フードに新規出店した。

新型コロナ感染者は新たに12人、うち10人が国内感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は17日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から12人増えて9,212人になったと発表した。
新規感染者のうち2人がシリア、フィリピンからの入国者。残り10人はケダ州(6人)、ペナン州(3人)、セランゴール州(1人)で感染した。新たに17人が退院し治癒者数は8,876人に増加した。死者数は18日連続ゼロで、125人を維持した。
保健省のノール・ヒシャム事務次官によるとケダ州ヤンでサラ・クラスタが15日、発生した。1人目の感染者は、重症急性呼吸器感染症(SARI)の検査で感染を確認したマレーシア人男性。保健省は男性との接触者79人を特定し検査を実施した。うち3人が陽性(全員、第1感染者の家族)で、76人が検査待ちとなっている。一方で16日には▽クアラルンプール(KL)のレストラン▽インドのラムナッド関連▽クチン港▽クチン医療センターーーの4つのクラスタが消滅した。これらのクラスタ内で死者は出なかった。
■感染力が10倍高い新型コロナ変異株、国内で検出■
ノール事務次官によるとマレーシアで、感染力が10倍高い新型コロナの変異株「D614G」が検出された。国内のD614Gは▽ケダ州のシバガンガイ・クラスタ(インドのシバガンガイからの帰国者が関連)から3人▽ジョホール州のウル・ティラム・クラスタ(フィリピンからの帰国者が関連)から1人ーーの計4人から確認された。
ノール事務次官は、既存のワクチンがD614Gに無効である可能性があるとし、標準運用手順(SOP)の順守を徹底するよう改めて国民に呼びかけた。

「レジデンストラック」9月開始で合意、茂木外相が来馬

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 シンガポールとマレーシアを歴訪中の茂木敏充外相は14日、マレーシアでヒシャムディン・フセイン外相と会談し、「レジデンストラック」実施で合意し、9月上旬にも開始することで一致した。
「レジデンストラック」は両国間で駐在員などビジネス上必要な人材交流を目的として例外的に入国を許可する二カ国間の相互システムの一つで、駐在員などの長期滞在者を対象とする。相手国との協議によって実施内容は変わるものの出発前の検査や入国後の検査、14日間の隔離。健康モニタリングなどが求められる。
日本はすでにタイとベトナムを対象に7月29日より試行措置を実施しており、両国以外でも豪州、ニュージーランドなどと協議を行なっている。
両外相は、東シナ海、南シナ海問題や北朝鮮情勢について突っ込んだ意見交換を行い、今後も緊密に連携していくことで一致。茂木外相からは拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め、ヒシャムディン外相からも理解を得た。
■アズミン上級相とも会談■
茂木外相は14日にはアズミン・アリ上級相(兼通産相)とも会談し、環太平洋経済連携協定(TPP)と東アジア地域包括経済連携(RCEP)の進捗状況、マレーシア・シンガポール間高速鉄道(HSR)計画、マレーシアにおける日本の大学分校の設置、防衛関連分野での協力について意見を交換した。
茂木外相はポスト・コロナの経済回復に向けて、マレーシアに対する主要な投資国として、日本企業によるサプライチェーンの多元化を通じてマレーシアを支援していきたいと表明した。