【イポー=マレーシアBIZナビ】 同州与党連合・国民同盟(PN)率いるペラ州のアハマド・ファイザル・アズム州首相(統一プリブミ党=PPBM副党首)に対する不信任案が州議会(定数59)で可決されて数日経つが、後任人事を巡っていまも混乱が続いている。単独過半数を有する党派連合はなく、多数派工作がめまぐるしく行なわれている模様だ。

4日に可決された不信任案は、PN政権を支援しつつもアハマド・ファイザル州首相に対する批判を強めていた同州第一党・統一マレー国民組織(UMNO)議員らの造反によるものだが、UMNO支部は、早々とサアラニ・モハマド支部長が州議会議員26人から支持を得たと宣言。他党からの支持も取り付け過半数の支持を得たとして同州スルタン、ナズリン殿下に謁見して状況を説明した。しかし王宮側は8日午後時点で過半数を確保した党派はないと発表した。

混乱のきっかけとなったのは、PN構成党でありUMNOと共闘関係にある汎マレーシア・イスラム党(PAS)が態度を一変させ、ポスト・アハマド・ファイザル政権には加わらないと宣言したこと。これによりサアラニ氏が過半数の支持を獲得できるか微妙な情勢となっている。UMNOの現有議席は25議席。過半数をとるためには残り5議席を他の党派との連携により確保する必要がある。

2月から3月にかけての政界再編の煽りを受け、ペラ州でも前与党・希望同盟(PH)からアハマド・ファイザル州首相を含むPPBM所属議員が離脱し、同州野党だった国民戦線(BN)や汎マレーシア・イスラム党(PAS)と協力して過半数を掌握して新たな連立政権を樹立した。連立与党内のバランスを重視してアハマド・ファイザル氏が州首相に再選されたが、わずか5人の少数派であったことから議席数で勝るUMNOから不満の声が絶えなかった。