サイバーセキュリティ法案、年内に下院提出へ=首相

’【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は24日、現在サイバーセキュリティ法案を起草しており、年内に下院に提出する予定だと明らかにした。閣議でもすでに合意が行われたとしている。

首相代理として「サイバーセキュリティ法案に基づく能力開発プログラムおよび公開対話セッション」に出席したモハマド・ハサン国防相は、10月現在で2,674件のサイバー攻撃が報告されているなど、セキュリティへの脅威が増していることから、強固なサイバーセキュリティの枠組み構築が急務だと言明。「マレーシア・サイバーセキュリティ戦略2020-2024(MCSS)」に、サイバーセキュリティ法制の策定が含まれており、この法案では、既存の法律を補完する法的枠組みを構築し、サイバーセキュリティに対する包括的かつ効果的なアプローチを確立することを目指すと述べた。

モハマド大臣はまた、国内にはサイバーセキュリティ専門家が不足しているとし、2025年までに少なくとも2万5,000人の専門家が必要だが、現時点では1万3,000人のみであるため、専門家育成のために政府、教育機関、業界関係者の協力が不可欠だと述べた。専門家育成の一環として、セキュリティエンジニア向け教育および認定資格を提供する米ECカウンシルの協力を得て、2,000人を対象とした500万リンギの奨学金基金を設立するとしている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月25日、エッジ、ベルナマ通信、11月24日)

青年の定義変更、2026年より30歳が上限に=青年スポーツ相

【クアラルンプール】 ハンナ・ヨー青年スポーツ相は、青年の定義について2026年1月1日より上限を30歳以下に引き下げると発表した。これまでは40歳以下となっていたが、同日付の「2019年青年組織および青年育成(改正)法」の施行により引き下げを実施する。

施行時期は、青年スポーツ省とマレーシア青年評議会(MBM)の間の一連の協議を経て合意したもので、11月20日に司法長官会議のウェブサイト上で公表されている。

ヨー氏は、マレーシアの国家青年政策と他国の青年の定義に沿ったものだと説明。改正法には青年組織の役職の年齢制限を18ー30歳に、青年組織会長の任期を6年から4年に短縮することが盛り込まれていると述べた。ヨー氏によると、青年の定義は、インドネシアは16ー30歳、フィリピンは15ー30歳、タイは15ー24歳、韓国は9歳ー24歳、オーストラリアは12ー24歳となっているという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月24日、エッジ、ベルナマ通信、11月23日)

積極的差別是正措置は必要=アンワル首相

【サンフランシスコ=マレーシアBIZナビ】 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため訪米中のアンワル・イブラヒム首相は14日、カリフォルニア大学バークレー校で公開講義を行い、質疑応答の中で「貧困者や疎外された人々が平等な機会を得るには積極的差別是正措置が必要」と強調し、公平性がなければ絶対的な実力主義はあり得ないと述べた。

アンワル首相は、「基本的に公平な機会を提供しなければ、純粋な実力主義は実現できない」とした上で、貧困撲滅に役立つ効果的なプログラムを継続することで社会から疎外された人々や貧しい人々が立ち上がって競争できるようになると強調。ただ積極的差別是正措置を行うにあたっては、ニーズに基づくものであって特定の民族に基づく必要はないとし、特にマレー系だけを優遇するわけでないと強調した。

またアンワル首相は外交問題について、「マレーシアは中国に傾いているわけではないが、地理的に近く、信頼できる友人であり同盟国だ」と言明。米国も同様に重要で伝統的な同盟国であり、マレーシア経済の推進に貢献してきた主要な投資国でもあるが、今後益々中国がマレーシアの主要投資元の一つとなるだろうと述べた。

有罪判決のサイド・サディク氏、MUDA党首を辞任

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 9日に背任や横領、マネーロンダリングに関わる4つの罪で禁固7年の有罪判決を受けた野党・マレーシア統一民主同盟(MUDA)のサイド・サディク党首は、「汚名を晴らす」と控訴の意向を示した上で、同日付で党首を辞任すると発表した。アミラ・アイシャ・アブドル・アジズ副党首が党首代行を務める。

記者会見でサイド・サディク氏は、「MUDA党首であるためには、さらには国家の建設者となるためには、より”シロ”でなければならないが、実際、今日の私はもう党首としての役割に値しない」と言明。「法廷で私の汚名を晴らすまで、党首の座を明け渡す」と述べた。

その上で、まだ控訴するチャンスが残されているものの、国民や党員に対する義務から役職からいったん退く必要があるとの考えを表明。今後もMUDAいち党員かつ党唯一の下院議員として活動を続けるが、党の決定には関与しないとした。

サイド・サディク氏は、統一プリブミ党(PPBM)青年部長としてPPBM傘下の青年団(アルマダ)の資金管理を任されていた2020年3月当時、100万リンギ相当の背任を行った罪に問われたほか、2018年4月にアルマダ・ブミ・ベルサトゥの口座にあった12万リンギを横領した罪に問われた。また2008年6月に2回にわたって各5万リンギを不正送金した行為によるマネーロンダリング2件の罪でも訴追されていた。

若手政治家のサイド・サディク氏、背任などで禁固7年

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)高等裁判所は9日、背任(CBT)と横領、マネーロンダリングに関する4件の罪で起訴されていた野党・マレーシア統一民主同盟(MUDA)のサイド・サディク党首(30)に対し、合計禁固7年、罰金1,000万リンギの有罪判決を言い渡した。

サイド・サディク被告は、統一プリブミ党(PPBM)青年部長としてPPBM傘下の青年団(アルマダ)の資金管理を任されていた2020年3月当時、PPBM青年部のラフィク・ハキム元副財務部長を教唆し、100万リンギ相当の背任を行った罪に問われたほか、2018年4月にラフィク氏を使ってアルマダ・ブミ・ベルサトゥの口座にあった12万リンギを横領した罪に問われた。また2008年6月に2回にわたって各5万リンギを不正送金した行為によるマネーロンダリング2件の罪でも訴追されていた。

量刑の内訳は、CBTが禁固3年と鞭打ち1回、横領が禁固2年と鞭打ち1回、マネーロンダリングが禁固2年と罰金1,000万リンギ。

若手政治家として人気のあるサイド・サディク被告は、2018年に誕生した希望同盟(PH)政権で青年スポーツ相として初入閣。2020年の政変では、ムヒディン・ヤシン党首(元首相)を批判してPPBMの党籍を剥奪され、若者を中心とした新党MUDAを立ち上げ、その後はいずれの政党連合にも所属せずに独自の政治活動を行っていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、エッジ、11月9日)

政府向け書簡のマレー語限定方針、外国企業は対象外=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、政府機関に出す公式書簡における使用言語をマレー語に限定する方針については、外国企業には適用しないと言明した。

2日に行われた下院議会予算審議の締めくくりの演説の中でアンワル首相は、「すべての政府機関と地元企業に、(政務に関する公文書を)英語やその他の言語で書かないよう指示した。これらの文書はマレー語で書かれるべきだ」と述べた上で、この指示については誤解があると指摘。マレー語に限定するとの指示は政府機関と地元企業にのみ適用されるとし、「外国企業はマレー語以外の言語で公式書簡を政府に送ることができる」と述べた。

アンワル首相は10月25日、「国語の十年」カーニバルおよび「国民読書の十年」の開会式で行ったスピーチの中で、マレー語を守るため、マレー語以外の言語で書かれた文書については送り返すよう政府機関に指示したことを明らかにしていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月2日)

 

ペラ州新空港建設よりイポー空港拡張が現実的=運輸相

【イポー】 ペラ州政府が希望している新国際空港建設に関連し、アンソニー・ローク運輸相は、新空港建設には多くの時間と資源がかかると述べ、既存のイポー空港(スルタン・アズラン・シャー空港)を拡張する方が現実的との考えを示した。

自身が書記長を務める民主行動党(DAP)の州年次集会に出席するためにペラ州を訪問したローク氏は、ペラ州政府が以前、セリ・イスカンダルにおける新空港建設を提案していたのは事実だとした上で、新空港の建設には国家計画評議会から承認を得るなど長い時間と資源が必要とされると指摘。「 今なすべきことは、観光産業のためにイポー空港を改良する方法を見つけることだ」と述べ、新空港計画には否定的な考えを示した。

その上でローク氏は、現政権はイポー空港の拡張に照準を合わせており、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)と協議すると言明。MAHBに対して、イポー空港を改善するだけでなく、拡張し規模を拡大する必要があると伝えたと述べた。

同州セリ・イスカンダルに新国際空港を建設する計画については、サアラニ・モハマド州首相が先ごろ、運輸省(MOT)と財務省(MOF)の承認を待っていると述べていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、10月29日)

次期国王にジョホール州スルタンを選出、来年1月31日に即位

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 次期国王を決める選挙を行うための特別統治者(スルタン、ラジャ)会議が27日に開催され、第17代国王にジョホール州スルタン、イブラヒム・スルタン・イスカンダル殿下(64)が選出された。即位日は2024年1月31日で、任期は5年間。

イブラヒム殿下は1958年11月22日生まれ。「物言うスルタン」として知られ、電子たばこの禁止や公休日の土・日曜から金・土曜への変更を独断で発令するなど、トップダウンで政治的決定を下して物議を醸す一方、クリスマスにキリスト教徒に対し祝福のコメントを発表したり、イスラム教徒が異教徒の祭事に参加することは何ら問題がないと発言するなど、開明的な人物として知られる。

なお副王には、ペラ州スルタン、ナズリン・ムイズディン・シャー殿下が選出された。任期は国王と同じく2024年1月31日から5年間。

2024年1月30日で退任するアブドラ・リアヤトゥディン・アルムスタファ第16代国王(パハン州スルタン)は、2019年1月、前国王のスルタン・ムハンマド5世(クランタン州スルタン)が突然退位したことを受け、統治者会議の国王選定会議で選出され、同年1月31日付けで即位していた。

マレーシア連邦憲法によると統治者会議における▽ネグリ・センビラン▽セランゴール▽ぺルリス▽トレンガヌ▽ケダ▽クランタン▽パハン▽ジョホール▽ペラーーの9州を統治する9人の統治者による互選で決定されることが建前となっているが、実質的にはこれら統治者による任期5年の輪番制となっている。

マレー語以外の文書の受取拒否、首相が政府機関に指示

【サイバージャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は、すべての政府機関に対し、マレー語以外の言語で書かれた、いかなる文書も受け取らないよう指示したことを明らかにした。連邦憲法第152条では、マレー語がマレーシアの国語だと規定されている。

アンワル首相は25日、「国語の十年」カーニバルおよび「国民読書の十年」の開会式で行ったスピーチの中で、「我々は国際貿易言語として英語を使用することに同意するが、一部の政府機関、公立・私立大学、民間企業の中には、国語の原則を放棄しようとする行き過ぎた態度がみえる」と指摘。政府機関との間ではマレー語でコミュニケーションすることが義務付けられているとし、すべての政府機関に対し、地元企業や公立・私立大学からマレー語以外の言語で手紙を受け取った場合は、差出人に返送するよう要請した。

その上でアンワル首相は、こうした措置について英語能力の重要性を損なうものではないと言明。自身が米国ジョージタウン大学で講義を行った経験を引用し、英語力の重要性を決して過小評価しているわけではないと強調した。

■サラワク州は従わない方針■
アンワル首相の発言を受け、サラワク州のアブ・バカル・マルズキ州務長官は、地元企業、公的機関、民間団体からの英語による公式通信を受け入れる慣行を維持するとし、同州としてアンワル首相の指示に従うつもりはないと述べた。

独自性を主張するサラワク州のアバン・ジョハリ州首相は昨年6月、州公務員が国語であるマレー語と並んで英語を公用語として維持すると宣言していた。
(ザ・スター、ザ・サン、10月26日)

2024年度予算案発表、歳出規模は3938億リンギに拡大

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は13日、下院議会に2024年度(2024年1月1日ー12月31日)予算案を提出した。

予算案のテーマは「経済改革と国民のエンパワーメント」で、▽サービスの迅速性のための最良のガバナンス▽成長を加速させるための経済改革▽国民生活水準の向上ーーの3つに注力する。

来年の国内総生産(GDP)成長率が4ー5%になるとの予想から、予算規模はGDPの19.9%に相当する3,938億リンギとし、今年度の3,881億リンギを上回った。

歳入予想は3,076億リンギで、今年度の3,032億リンギを上回る見込み。財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2022年の5.6%、2023年の5%を下回る4.3%にとどまる見通しだ。

一般歳出は全体の77.1%を占める3,038億リンギで、今年度の2,891億リンギを上回った。省庁別では教育省が587億リンギで最も多く、保健省が412億リンギで続いた。一方、開発予算は900億リンギで、今年度の990億リンギを下回った。

対象を絞った補助金制度は、来年度から段階的に導入する。補助金合理化による余剰金はラーマ(慈悲)現金援助制度に基づく現金給付予算の増額に当てる。

サービス税を6%から8%に引き上げる。ただし食品・飲料・通信は対象から除外する。

非上場企業株売却におけるキャピタルゲイン税10%を2024年3月1日から実施する。また宝飾品や高級腕時計など一部の高額商品を対象に、5ー10%の贅沢税を課税する。

電子インボイス制度を、年間売り上げ1億リンギ超の会社を対象に、2024年8月1日から義務化する。1億リンギ以下の企業に対しても、2025年7月1日までに段階的に義務化する。

再投資税優遇措置を、70%または100%の再投資税控除の形で「階層化」ベースで実施する。

電動バイクの普及を目指し、年収12万リンギ以下を対象に2,500リンギの補助を行う。また充電施設の使用料につき、4年間で最大2,500リンギを所得税控除とする。ネットメータリング(NEM、太陽光発電と消費電力を相殺する仕組み)を2024年12月31日まで延長する。

社会保障機構(SOCSO)制度における、対象給与の上限を6,000リンギに引き上げる。

グローバル・ミニマム課税(GMT)については、2025年に導入する予定。連結売上高7億5,000万ユーロの多国籍企業(MNC)に対し事業を行う場所で15%課税するというもので、税逃れを防ぐ狙いがある。

2021年10月に大幅に厳格化された、外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラムについては見直しを行う。

東マレーシア向け開発予算をサラワク州に58億リンギ、サバ州に66億リンギをそれぞれ割り当てる。