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「現代の奴隷制度」ドリアン農家が州政府に反発

新型コロナウイルス「Covid-19」流行でドリアンの国内需要が減っている中、2019年に無加工ドリアンの輸出が始まった中国がドリアンの販売を牽引しており、第1四半期の輸出額は9,400万リンギに達している。金のなる木には人が集まるもので、パハン州ラウブでは州政府と農家が政策を巡って対立を続けている

同地区には高級ドリアン品種「ムサン・キング」を生産する農家が多くあるが、合法化の名目で州政府によって「現代の奴隷制度」の下に置かれそうになっていると主張。「ムサン・キングを守る会(Samka)」を称して政策撤回を求めている。

発端は、パハン州政府と同州スルタン王族の合弁会社、RPDP-PKPPが同州ラウブにマレーシア最大のドリアン処理センターの建設計画を発表したこと。需要が急拡大している中国向けドリアン生産を一手に手掛ける計画だった。

パハン州政府は6月24日にラウブの5,357エーカーの土地30年間のリース及び使用権をRPDP-PKPPに与えたが、これに基づきRPDP-PKPPはリース地のドリアン農家がこれまで違法に土地を使用していたと主張し、立ち退きを拒否する農家に対して、8月9日を回答期限として10年単位でのサブリース契約に応じるよう迫っているという。

Samkaによると、RPDP-PKPPからは今年1エーカー当たり6,000リンギの地代、ドリアン生産量に基づく1エーカーあたり最高2万リンギの支払いを求められている。サブリース契約は毎年一定量のドリアンをRPDP-PKPPへ販売する義務、農民によるドリアンの自由売買・自家用消費の禁止、無許可での農園への出入禁止——などが盛り込まれているという。

Samkaはこれまでパハン州政府に土地所有権の確認とライセンス申請を繰り返し行なっていたが、州政府からはなんら反応がなかったと主張。これまでにドリアン農家がパハン州政府に課されていたのは1エーカーあたり50リンギだけだったとし、RPDP-PKPPの新たな要求は法外且つ不平等なものだと反発している。

Samkaメンバーら200人あまりは24日、抗議活動を行い「荒地の時は誰も耕そうとしないが、一旦開墾されればそれを利用しようと人が争う」と甘い汁だけ吸おうとする州政府を批判。農園拡大にこれまで苦労してきた自分たちの権利を尊重すべきと訴えた。

一方、RPDP-PKPP側は、ドリアン生産の企業化について大口輸出先の中国がドリアンがマレーシア適正農業慣行(MyGAP)認定農場産のものしか輸入を認めていないためだとして正当化している。

同問題に関わっているパハン州議会のチョウ・ユーフイ議員は、ブランド化され急増している「ムサン・キング」の需要に応えるためにドリアン農家が低品質のドリアン栽培を強いられる可能性があると指摘。最終的にマレーシアのドリアンに対する評価を下げる恐れがあるとしている。

なおクアンタン高等裁判所は、ドリアン農家の差し止め請求を受理。10月28日の司法審査のヒアリングが行なわれるまでの期間、農家に対する取り締まりを禁じると命じた。農家はこれで一息ついた格好だが、農家の権利が今後認められるかどうかは不透明だ。

(マレーシアBIZナビ編集部)

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