【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 世論調査機関、ムルデカ・センターが発表した最新調査によると、経済を中心とした与党政権の政策に対する批判を背景に、アンワル・イブラヒム首相個人に対する支持率は2カ月前の調査から2ポイント上がって55%となった。不支持は44%から36%に下がった。
同調査は5月12日から23日にかけて行われ、18歳以上の男女1,208人が回答した。アンワル首相の支持率は、政権発足直後の2022年12月は68%を記録したが、その後低下し、2024年6月調査では43%まで下落し不支持が支持を上回ったが、その後緩やかな回復基調を続けている。
国の方向性については、「正しい方向に向かっている」との回答は前回の36%から43%に上昇した。一方、「誤った方向に向かっている」は55%から50%に低下した。「誤った方向・・・」と回答した理由については、53%が「経済の懸念」を挙げ、これに「不十分で非効率的な行政」(8%)、「政治的不安定」(7%)が続いた。
回答者が挙げた国の最大の問題点は「経済の懸念」(73%)で、「民族問題」や「治安」(いずれも3%)を大きく上回った。懸念する要素としては「インフレ」が33%でトップとなり、これに「経済成長の促進」、「汚職」が続いた。
民族別でみると華人は「正しい方向・・・」が「誤った方向・・・」を上回ったが、マレー系、インド系はいずれも「誤った方向・・・」が「正しい方向・・・」を上回っており、中でもインド系は68%が「誤った方向・・・」と答えた。年齢層別でみると、18―30歳の若い層は「正しい方向・・・」が「誤った方向・・・」を上回ったが、31歳以上の高年齢層は「誤った方向・・・」が「正しい方向・・・」を上回った。
連邦政府のパフォーマンスについては、「満足」は前回の47%から50%に上昇し、「不満」は51%から48%に下がった。ムルデカ・センターは、肯定的な評価と否定的な評価の差が小さいのは、生活費の高騰に対する根強い懸念と、間もなく実施される補助金削減への不安が主な要因となっていると分析した。