【クアラルンプール】 2028年初頭に任期満了を迎えるアンワル・イブラヒム首相は、政府が政治的にデリケートな燃料補助金削減の実施を検討していることに関連し、実施前の今年第3四半期中の総選挙前倒しを検討している。関係者からの情報としてブルームバーグが報じた。
匿名の関係者は政府が補助金のさらなる削減の前倒し実施を余儀なくされない限り、10月までに総選挙の実施を検討している。ただ検討はまだ初期段階であり、最終決定は下されていないという。首相府と財務省はコメントに応じなかった。
関係者によると、政府はイラン紛争の影響で世界のエネルギー価格が高止まりすると予想し、早ければ今年後半にも補助金のより的を絞った運用に着手する準備を進めているという。実施されれば政府の財政負担を軽減するため、高所得者層向けの燃料価格の値上げにつながる可能性が高い。
マレーシアでは燃料価格が極めて大きな政治的影響力を持っている。数十年にわたる補助金によってガソリン価格の安さが国民の当然の期待となっており、補助金の削減は有権者の反発を招く恐れがある。
地政学コンサルティング会社ビューファインダー・グローバル・アフェアーズの創設者、アディブ・ザルカプリ氏は、「政府が補助金付き燃料価格の値上げを余儀なくされる前に議会を解散するのが最善のタイミングだ」と述べ、「燃料価格の値上げのような難しい決断は、政府が新たな信任を得てから行うことができる」とした。
関係者によると、アンワル氏は戦争が始まる前から、堅調な経済、リンギ高、そして昨年ASEAN首脳会議を主催したことで国際的に高まった自身の存在感を背景に、年内の総選挙実施を検討していたという。アンワル首相に対抗できる指導者がいないマレーシアの野党連合内の分裂も、アンワル氏に早期選挙実施への自信を強めさせている。早期選挙を求める動きの背景にはまた、今後12カ月以内に予定されている一部の州議会選挙と総選挙とを同時実施する計画があるという。
(ブルームバーグ、ビジネス・トゥデー、エッジ、4月24日)