DHLは労働者を追加雇用の可能性、米国のデミニミス規則めぐり

【クアラルンプール】 国際宅配便DHLグループのジョン・ピアソン最高経営責任者(CEO)は、米トランプ政権が少額貨物の輸入に対する関税免除(デミニミスルール)の適用を停止すれば、マレーシアなどで従業員を増やすことになると述べた。ブルームバーグが報じた。

米国は輸入申告額が800ドル以下の少額貨物の輸入に対し、関税支払いなどを免除するデミニミスルールを設けているが、トランプ大統領は2月1日、中国原産品の輸入に対し、デミニミスルールの適用を停止する大統領令を発表した。しかし急な措置であり、合衆国郵便公社で混乱が生じたため、大統領は5日、1日付の大統領を修正し、デミニミスルールの適用停止を留保した。

ピアソンCEOは「デミニミスルールの適用停止が再施行されれば、出荷作業により多くの職員が必要なため、米国やマレーシアの職員を増やすことになる」と述べた。

デミニミスルールを利用し米国での販売を増やしているのは電子商取引市場のTemuやShein。ピアソン氏によれば、Temu、Sheinの商品の多くは価格が75-90米ドルだ。
(ザ・スター、3月14日、エッジ、3月13日)

次期マレーシア計画、7月にも議会提出へ=副経済相

【クアラルンプール】 経済省は現在、第13次マレーシア計画 (13MP、対象期間:2026ー2030年)に関する最終調整を行っており、7月にも議会に提出される予定だ。ハニファ・ハジャル・タイブ副大臣が11日の上院議会質疑で明らかにした。

ハニファ氏は、次期社会経済開発5カ年計画となる13MPは、アンワル・イブラヒム首相が掲げる国民所得の増加や国家経済の再構築などを目指した「マダニ経済」の目標に基づいて策定されると言明。「13MPはマレーシアが期間内に高所得経済への移行を成功させるために不可欠だ」と述べた。

ハニファ氏は、政府は引き続き3つの主要分野、すなわち歳入と支出の合理化による国の財政状況の強化、新たな成長源の特定、構造的経済改革の実施に重点を置くと強調。「高所得国入りを実現するために、付加価値の高い活動に向けた経済構造の改革に重点を置く」とした。

一方、ハニファ氏は、米・中間の貿易紛争が国家経済に与える影響に対処するため、政府はいくつかの重要な戦略に重点を置くと指摘。第1にはマレーシアの既存および新規の貿易相手国との戦略的貿易を強化し、第2にマレーシアを多国籍企業の代替投資先として位置づけ、貿易を多様化することで世界市場の不安定性によるリスクを軽減し第3にマレーシアの自由貿易協定への参加を活用して貿易を促進し世界貿易に優先的にアクセスし関税および非関税障壁を削減すると述べた。
(エッジ、ベルナマ通信、3月11日)

ペラ州議会補選、4月26日に投開票=選挙委員会

【プトラジャヤ】 選挙委員会(EC)は7日、現職議員の死去に伴うペラ州議会アイル・クニン選挙区の補欠選挙について、公示日を4月12日、投開票日を4月26日とする選挙日程を発表した。

統一マレー国民組織(UMNO)所属のイシュサム・シャハルディン議員(享年59)の死去を受けて実施されるもので、2022年の前回選挙では国民戦線(BN)が擁立したイシュサム氏のほか、与党連合・希望同盟(PH)、野党連合・国民同盟(PN)、野党・マレーシア社会党(PSM)、政治連合「祖国運動」(GTA)がそれぞれ擁立した候補者による5人の争いとなり、イシュサム氏が38.73%の得票率で当選していた。

故イシュサム氏は元プロサッカー選手で、ペナンで行われたサッカーの試合中に倒れ、2月22日に亡くなった。

同選挙区の有権者数は3万1,897人で、男女比率は男性が1万5,917人(49.9%)、女性が1万5,980人(50.1%)となっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月7日)

4月1日から外国人投資家向けビザを発行=内務相

【クアラルンプール】 政府は4月1日から外国人投資家向けの戦略投資家ビザ(SIP)を発行する方針だ。

英字メディア「ビジネス・トゥデー」などによると、サイフディン・ナスティオン内務相が6日、下院議会の質疑応答で、SIP発行について言及した。外国人投資家はより長期間滞在でき、事業の運営・監督のため複数回の入国もしやすくなる。また、デジタル化したワンストップシステムを通じ、SIPの承認までの期間を簡素化。従来30日間程度かかっていたところを大幅に短縮し、クアラルンプール国際空港(KLIA)の駐在員サテライトセンター(ESC)で到着時に処理できるようにするという。

詳細な条件は明らかになっていないが、2023年にアンワル・イブラヒム首相は投資家が5年間滞在でき、さらに5年間の延長ができるSIPの発行を視野に入れていると発言していた。

また、マレーシア国籍の人と結婚した外国人配偶者の永住権(PR)についても9月から制度を刷新。最低結婚年数を、従来の5年から3年に短縮したうえで、1年以上の長期ソーシャルビジットパス(LTSVP)を保持していることが条件になる。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、3月6日)

来年からQRコードによる入国審査を外国人にも拡大

【クアラルンプール】 政府は、2026年1月1日からQRコードによる入国審査の対象を外国人にも拡大する。サイフディン・ナスシオン内務相が4日、下院議会の答弁で明らかにした。

当初の対象となるのは、63カ国・地域の外国人。現在、パスポートを使った自動ゲートの対象国も同じく63カ国・地域のため、日本も含まれるとみられる。

QRコードと生体認証システムが組み合わされた「Myボーダーパス」というアプリを利用。パスポートを携帯する必要はあるが、審査時はパスポートは不要でQRコードの提示だけで済む。審査時間は、自動ゲートの15― 25秒に対し、5―7秒にまで短縮されるという。

現在はマレーシア国民のみが対象で、クアラルンプール国際空港(KLIA、第1ターミナル、第2ターミナル合わせ)と、ジョホール州の陸路からの入国審査場でバスとオートバイ利用者に限定して実施されている。今年1月に導入されて以来、約79万人がアプリをダウンロード。KLIAのマレーシア人利用者のうち、QRコード利用は25%、自動ゲートが60%、審査官が15%だったという。

今後、ペナン、コタキナバル、クチン、ランカウイの各空港への拡大を検討していく。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月4日、チャンネル・ニュース・アジア、3月6日)

イスラム開発局、外国のハラル認証機関の認定手続きを見直し

【クアラルンプール】  マレーシア・イスラム開発局 (JAKIM) は、外国のハラル(イスラムの戒律に則った)認証機関(FHCB)の認定手続きを見直し、それらの機関が世界のハラル基準に適合しているかどうか確認を行っている。

モハマド・ナイム・モクタル首相府相(宗教問題担当)は5日の下院質疑の中で、現在までに47カ国・85のFHCBに対して認定を付与しており、それらが認証したハラル商品がマレーシアに輸入されていると言明。「JAKIMはマレーシアのハラル基準が引き続き遵守されるように、FHCBの定期的な監査と検査も実施している」とし、文書監査、製造業者の施設への訪問、FHCBの継続的な監視を行っていると述べた。

その上でナイム氏は、JAKIMが行っているFHCB認定申請用のオンラインシステム「MyIHAB」の開発が最終段階にあると言明。同システムは、FHCB申請プロセスの管理における効率性と完全性を向上させることを目指しているとした。
JAKIMは先ごろ、▽中国の中国イスラム協会(CIA)▽クロアチアのハラル品質認証センター(CHQC)▽フランスのリヨン大モスク儀式協会(ARGML)――のFHCB3機関の認定を取消、これらが認証したハラル製品のマレーシアへの輸入を禁止すると発表していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、3月5日)

財政赤字3.8%の目標は守る=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は3日、下院で補足歳出案を第2読会に付した際の演説で、政府は今年度の財政赤字を国内総生産(GDP)比で3.8%に引き下げるとの約束を守ると表明した。

アミル・ハムザ氏は「アンワル政権が成立した2022年に引き継いだ政府債務は1兆リンギだった。予算赤字を続ければ債務は増加する。マレーシアは1998年から赤字続きだが、経常支出を賄うためではなく開発事業を推進するための借り入れだった」と説明。財政責任法に示したように、28年には3%への縮小を図ると述べた。

2024年の政府債務は1兆2,000億リンギでGDP比64%。現在の政府には経常支出を賄うだけの歳入があるので、財政赤字は22年の5.5%に対し2023年は5%に縮小。2024年は4.1%で、目標の4.3%を上回った。各年の政府借り入れも減少傾向にあり、2022年の1,000億リンギに対し、2023年は926億リンギ、2024年は770億リンギだった。
(ザ・スター、3月5日、ビジネス・トゥデー、3月4日)

ペナン島内の公共駐車場料金、3日から50%値上げ

【ジョージタウン】 ペナン島市議会(MBPP)は3日からの公共駐車場の料金50%値上げを決めた。長時間駐車や渋滞緩和のためで、値上げは11年ぶり。

駐車料金は、30分あたりで40センから60センに、1時間あたりで80センから1.2リンギに、1日料金は6リンギから9リンギに、それぞれ引き上げられた。ただし月極め料金は150リンギに据え置かれた。

ラジェンドラン・アンソニー市長は、「半日近く車を停めたままにする人がいて、駐車スペースを探すドライバーで渋滞が悪化している」と説明。エリアによっては駐車時間の制限を設けることも検討しているという。

また、違法路上駐車の取り締まりなどを強化。商業ビルなどの民間駐車場にも、同じ料金体系を採用するよう協力を呼びかけている。一方で、駐車スペースの拡充にも取り組んでいくとしている。
(ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、3月2日)

QRコードによる陸路での入国審査、年内に自動車にも拡大へ

【クアラルンプール】 政府は、シンガポール間の陸路でのQRコードを利用した入国審査について、現在は対象はバスとオートバイ利用者に限られているが、年内にも自動車利用者にも拡大する方針だ。ファディラ・ユソフ副首相が3日、述べた。

政府は昨年6月、陸路国境にあたるジョホール州バングナン・スルタン・イスカンダル(BSI)およびスルタン・アブ・バカル・コンプレックス(KSAB)での入国審査において、マレーシア国民はQRコードを利用できる制度を試験導入していた

ファディラ副首相はこの日、シンガポールとのコーズウェイ(連絡道)の渋滞に関する特別委員会に出席。1日50万人の越境者の80%がバイクとバスの利用者とし、QRコードの導入でバイク1台が通過するのに3秒しかかからなくなったと説明。「以前は15分間にレーンを通過できるバイクは90台だけだったが、導入後は150台が通過できるようになった」と付け加えた。

さらに、この実証実験の成功に基づき、年内には対象を自動車の利用者にも拡大。2026年にはマレーシア観光年(ビジット・マレーシア2026)も控えていることから、合わせてジョホール州だけでなく、クランタン、ペルリス、ケダの各州の入国審査や、クアラルンプール国際空港(KLIA)など国内の主要空港への拡大も検討していくとした。
(ザ・スター、3月4日、ベルナマ通信、3月3日)

KLの渋滞緩和に向け「渋滞税」導入を検討=首相府相

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の慢性的な交通渋滞緩和策として、「渋滞税」の導入が検討されている。「KL交通マスタープラン2040(PITKL2040)」に盛り込まれている渋滞対策の1つで、現在有効性評価に向けた調査が行われている。

ザリハ・ムスタファ首相府相(連邦直轄地担当)は下院議会の答弁の中で、最終決定が下される前に、調査結果を道路交通渋滞に関する内閣委員会(JKMKJR)に提出し、さらに検討すると言明。「マレーシア交通安全研究所(MIROS)とマレーシア・グリーン技術・気候変動公社(MGTC)は現在、渋滞税導入の有効性に関する調査を実施している」と述べた。

ザリハ氏は、KLの交通渋滞に対処するには、国民の公共交通機関利用を促す包括的なエコシステムを開発する必要があると強調。「2020年に公共輸送機関を管轄する国営プラサラナ・マレーシアが実施した調査では、交通渋滞により200億リンギの損失が発生したことが明らかになった」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、2月25日)