BRICSに加えOECD加盟も検討中=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、経済協力開発機構(OECD)を含むいくつかの国際機関への加盟を検討中であることを明らかにした。国際機関への加盟については、先ごろアンワル・イブラヒム首相がBRICS(ブリックス)加盟を希望していることを明らかにしている。

22日の上院議会での質疑に応じたザフルル氏は、マレーシアは自国の経済発展やすべての貿易相手国、特に世界の経済大国との良好な関係のバランスを保つため、独立性、原則性、実利性を重視した外交政策を続けると言明。「マレーシアは多角的アプローチをとり、国の利益が常に守られるようにする」と国際機関加盟を進める理由を説明した。

その上でザフルル氏は、マレーシアが貿易国として常にすべての相手国との経済協力の強化に重点を置いてきたことはこれまでの東南アジア諸国連合(ASEAN)や国連、イスラム協力機構(OIC)で積極的役割を果たしてきたことで証明されると強調。BRICS諸国の国内総生産(GDP)総額は26.6兆米ドルと推定され、世界のGDPの26.2%を占めるとし、BRICS加盟の動きも国や国民の利益のために経済を推進する取り組みに沿ったものだと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、7月22日)

BRICS加盟手続きを近く開始へ=アンワル首相

【ドーハ/ペタリンジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は中国の李強首相によるマレーシア訪問を前に、中国メディア「大報版」との会見に応じ、BRICS(ブリックス)加盟を希望していることを明らかにした。加盟の意向を議長国ブラジルに伝えており、ブラジルの対応をまって加盟手続きを開始するという。

ブリックスはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国の英語の頭文字を並べたもので、著しい経済成長が見込まれる新興国の代表。2024年にサウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラン、エジプト、エチオピアの5カ国が加盟し、10カ国体制になった。

アンワル氏は中国の台頭を「世界に抑制と均衡が存在するとの、かすかな希望の光をもたらした」と称賛。習近平国家主席はアジアの価値復活の重要性を認識していると指摘した。さらに「初めて習主席と会った際、引き付けられた。文明を語ることができる、傑出した指導者のひとりだ」と語った。

アンワル氏はまた国際貿易における米ドル支配を批判したルーラ・ブラジル大統領の発言に賛意を表明。「マレーシア、中国間貿易に無関係の通貨が支配的地位にいる。国際通貨として利用されている、というだけの理由で」と語った。
(アルジャジーラ、フリー・マレーシア・トゥデー、6月18日)

MM2H申請業者の認可取消、サラワク州も強く反発

【サントゥボン】 外国人の長期滞在を奨励する「サラワクーマレーシア・マイ・セカンドホーム(サラワクMM2H)」プログラムを独自規格で行っているサラワク州政府は、連邦政府・観光芸術文化省(MOTAC)が突然、申請代行業者のライセンスを全国的に取り消す通達を出したことへの反発を強めている。

サラワク州のカリム・ラーマン・ハムザ観光・クリエイティブ産業・舞台芸術相は、MOTACが同州に対して自身の意向を押し付けていると非難。突然の取消通達のためにサラワクMM2Hが機能不全に陥ったとし、同州が独自で行っているサラワクMM2Hプログラムと連邦政府のMM2Hプログラムとの関係を完全に断つことも辞さないと警告した。

その上でカリム氏は、サラワク州には移民問題に関する自治権があり、観光についてはすでに連邦政府の専管リストから外され、連邦と州政府の両方が管轄権をもつ並行リストに載せられていることを尊重しなければならないと言明。より規格が緩いサラワクMM2Hでは申請が90%増加した一方で、規格を厳格化した半島部のMM2Hでは90%減少したが、それは連邦政府の政策ミスであってサラワク州のミスではないと反論した。

サラワクMM2Hでは申請者の最低定期預金額が15万リンギであるのに対し、連邦政府のMM2Hは100万リンギといったように、サラワクMM2Hの規定は大幅に緩やかになっている。

MOTACは5月27日付けで、サバ・サラワク州を含む全国でMM2H申請を扱うすべての認可代行業者に業務停止を命じる通達を出した。このためサラワク州と同様に独自規格の「サバMM2H」の実施に向けて準備してきたサバ州は6月からの実施予定を延期するとし、MOTACを強く批判している。
(ザ・バイブス、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、6月7日)

「国家半導体戦略」第1期発表、5千億リンギの投資誘致目指す

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は28日、投資貿易産業省(MITI)が主導する「国家半導体戦略(NSS)」の詳細を発表。NSS第1期に250億リンギを割り当て、5,000億リンギの投資を誘致することを目指すと明らかにした。

アンワル首相は同日開幕した、半導体産業の国際展示会「セミコン東南アジア2024」の基調講演で、NSS第1期では、集積回路(IC)設計、先端パッケージング、製造装置を中心とした国内直接投資(DDI)と、ウェハ・ファブ(ウェハを集積回路にする施設)、製造装置を中心とした外国直接投資(FDI)の誘致を目指すと言明。第1期ではさらに設計と先端パッケージングで、売上高10ー47億リンギの現地企業を少なくとも10社、売上高10億リンギの半導体関連企業を100社設立し、賃上げを実現したいと述べた。

研究・開発(R&D)面では、世界トップクラスの大学や企業のR&Dセンターを擁する、半導体の世界的R&D拠点となることを目指す。NSS運用に250億リンギの財政支援を行い、高スキルエンジニア6万人も育成する。

NSS第1期では基盤構築を目的とし、現状では多くの人手が必要となっている、半導体製造後工程アウトソーシング(OSAT)の近代化を支援する。第2期では先端技術への移行を目指し、最先端のロジックとメモリーチップの設計、製造、テストを支援する。第3期では、世界トップクラスのマレーシア半導体設計、先端パッケージング、製造装置企業の発展を支援すると同時に、米アップルや中国ファーウェイ(華為技術)、同レノボなどの先端チップのバイヤーを誘致し、マレーシアでの先端製造を追求する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、5月28日)

対象を絞った補助金、まずディーゼル油を対象に実施へ=首相

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相は21日夜にテレビ演説を行い、対象を絞った補助金制度について、まずはディーゼル油を対象にマレー半島部に絞って実施すると発表した。すべての利用者を対象としていたこれまでの補助金制度を見直すことにより、年間40億リンギの補助金が節約される見通しだ。

ディーゼル・エンジン車が普及しているサバ・サラワク州は市民生活への影響が大きいため対象外とする。実施時期については、関係省庁から後日発表されると述べるにとどまった。アンワル首相は、水道や電気代に対象を絞った補助金を導入した際と同様に大部分の国民には影響はないとの見方を強調した。

新制度の対象となる半島部では、モノやサービス価格の急激な上昇を抑えるため、商用ディーゼル車を使用する業者向けに補助金を支給する。補助金が支給されるセクターはディーゼル補助金管理制度(SKDS)に基づくバスやタクシーなどの10種類の公共交通車両と23種類の貨物輸送車両、漁業者が含まれる。また小規模農家、コメ農家、小規模販売業者など自家用ディーゼル車の所有者には現金支援を行う。

アンワル首相は、新たな補助金制度では商売、農業、鉱業、畜産業、漁業などでディーゼルを使用する必要がある下から40%の低所得者層(B40)および40%の中間所得者層(M40)を対象としており、20%を占める高所得者(T20)や380万人いるとされる外国人には付与しないと述べた。

首相の中央アジア3カ国訪問、24億リンギ相当の潜在的輸出確保

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)は、5月15ー19日に行われたアンワル・イブラヒム首相の初のキルギス、カザフスタン、ウズベキスタンの中央アジア3カ国公式訪問により、24億リンギ相当のモノとサービスに関する潜在的な輸出を確保できたと発表した。

アンワル首相と共に3カ国を訪問したテンク・ザフルル投資貿易産業相によると、潜在的な輸出セクターは、電気・電子(E&E)、パーム油・パーム油製品、日用消費財(FMCG)、エネルギー・産業ソリューション、食品・飲料(F&B)、家具、 ハラル(イスラムの戒律に則った)製品・サービス、石油・ガス(O&G)、建材および建設、専門サービス、宝飾品などで、カザフスタンとウズベキスタンにおける個別の円卓会議で産業界の代表が確約した。

カザフスタンの首都アスタナでは同国のオルジャス・ベクテノフ首相とアンワル首相が共同議長を務め、鉱業、O&G、エネルギー、建設、FMCG、観光などの分野を代表するカザフスタン企業12社の著名なビジネスリーダー26人とマレーシア代表団による円卓会議が開催された。

ウズベキスタンのサマルカンドでは、同国のジャムシド・ホジャエフ副首相とアンワル首相が共同議長を務め、製薬、建設、不動産、O&G、小売、流通、金融サービスなどのウズベキスタンの大手企業やマレーシア企業の代表200人以上が参加するハイレベル・ビジネス・フォーラムが開催された。

このほかアンワル首相は、マレーシアの団体とカザフスタンおよびウズベキスタンの団体との間で8件の覚書(MoU)締結式に立ち会った。覚書の1つは、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)とウズベキスタン商工会議所(CCIU)の間で交わされたもので、貿易促進、訓練・教育、研究開発に関する協力に向けたもの。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月21日)

第2のカジノ建設計画はない=アンワル首相

【ドーハ】 アンワル・イブラヒム首相は、先ごろ報道のあった第2のカジノ建設構想について改めて事実関係を否定。国家の収入源は他にもあるためカジノによる収入に依存する必要はないとし、アンワル政権下で第2のカジノ・ライセンスを発行することはないと言明した。

カタールを訪問中のアンワル首相は、「カタール経済フォーラム」の特別セッション「マレーシア首相との対話」に出席し、「マレーシアはデジタルトランスフォーメーション(DX)、技術移転、人工知能(AI)などの分野に注力しており、これらの分野は国の収入を賄うのに十分だ」と強調した。アンワル首相の発言は、セッションの司会を務めたブルームバーグ・テレビの特派員からの質問を受けたもの。

マレーシアのカジノ・ライセンスはこれまで、1969年にゲンティンに対して発行された1件のみ。最近、ブルームバーグは、ジョホール州沖で開発中の「フォレスト・シティ」におけるカジノ設立に向け、政府と関係者が交渉を行ったと報じ、関係者として名指しされたベルジャヤ・グループの創設者ビンセント・タン氏およびゲンティンの会長兼最高経営責任者(CEO)のリム・コックタイ氏、そしてアンワル首相がいずれも事実関係を否定していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月14日、マレー・メイル、ベルナマ通信、5月13日)

配車サービスの入札システムは無認可、調査を実施=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は11日、一部の配車アプリが導入している入札システムについて、運輸省は認可しておらず、公共陸運局(APAD)に調査を開始するよう指示したと述べた。

ローク運輸相は、当該入札システムでは、運転手が事前に運賃を設定できるため、「乗客に相場よりも高い料金を支払わせる可能性がある」という懸念の声が上がっていると指摘。運輸省は入札システムの導入について事前に知らされておらず、認可も与えていないため、詳細について調査すると述べた。

■サバ州とサラワク州にJPJアカデミーを設置へ■
ローク運輸相はまた、長期的な戦略として、サバ州とサラワク州に道路交通局(JPJ)職員の訓練施設である「JPJアカデミー」を設立し、両州の職員が半島まで出向くことなく現地で十分な訓練を受けられるようにすることを検討していると述べた。現在は計画段階で予算も下りていないが、第12次マレーシア計画(12MP)の枠組みの中で申請中だとしている。現在、サバ州には786人、サラワク州には739人のJPJ職員がいるという。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、5月10日)

セランゴール州が都市計画案発表、パブリックコメントを募集

【シャアラム】 セランゴール州のアミルディン・シャリ首相は9日、2035年までの都市開発計画である「セランゴール州構造計画2035年」の修正案を発表した。第1次セランゴール計画(対象期間2021-25年)の後継計画で、州の立案、政策、戦略を連邦政府および国際水準に沿ったものにする。

第1次計画は一切変更を加えられておらず、今回が初の見直しだ。州の発展、繁栄を図るための計画で、17の戦略、73の政策、522のイニシアチブで構成する。6月9日まで掲示し、パブリックコメントを募る。

ペタリンジャヤ、シャアラム、ゴンバック、セパンのほか、北部、南部地域の開発案も計画文書に盛り込んだ。
(ザ・サン、エッジ、5月10日、フリー・マレーシア・トゥデー、5月9日)

首相が腐敗防止戦略発表、公務員の汚職防止に力点

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は7日、「国家腐敗防止計画」(NACP、対象期間2019-2023年)に替わる「国家腐敗防止戦略」(NACS、同2024-2028年)を発表した。行政サービス、政府系企業における統治、清廉の向上・改善に力点を置く。

アンワル氏は「権力を持つ者、公務員、法執行当局者が、弱肉強食のおきてを信奉し、富を不法に蓄積し、物事を処理する権利があると思っているとしたら、国は救われず、国民の運命は危険にさらされる」と述べた。アンワル氏はさらに、国民の多数は汚職を嫌っているが、汚職にかかわっている者が影響力のある者、高位にある者のため、権力乱用を正当化する者が少数ながらいることも否定できないとした。

腐敗防止戦略は、教育、公的説明責任、国民の声、執行、報奨金、の5戦略が柱。学校では汚職に関する教育を施し、一般大衆向けにも啓発活動を行う。国民の声を重視するのは、国民の意見を政府施策に生かせる可能性があるためだ。法執行に当たっては勇敢な行動を執行官に求める。報奨金戦略は、汚職防止に協力した、あるいは功のあった執行官、公務員、一般人は報われてしかるべきとの考えに基づく。
(ザ・スター、5月8日、エッジ、5月7日)