マレーシアでのワクチン接種リポート

マレーシアで新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンの第一回接種を受けたので、その状況についてリポートする。

 マレーシアでワクチンを個人的に購入して接種することは出来ないことになっており、国家ワクチン接種プログラムに基づき、情報・追跡アプリ「MySejahtera」で接種登録を行い、順番を待つ必要がある。

 6月21日から18歳以上のすべての成人を対象とした第3フェーズが開始されており、大多数の在留法人が接種対象となると思われる。

指定された接種場所は、セランゴール州ペタリンジャヤの民間病院、KPJスペシャリスト・ホスピタル。政府が仮設している接種センターとは規模は違うが、どちらも保健省の手順に則って行なわれているので細部は異なっても概ね同じと考えていいだろう。

 情報・追跡アプリ「MySejahtera」で接種登録したのは2月24日と比較的早い時期だったが、一回目の接種の案内が来たのは6月22日、接種指定日はその2日後の6月24日の午後という慌ただしいものだった。この段階で都合が悪ければキャンセルすることが可能。同意した後に都合が悪くなった場合もアプリを通じてキャンセルできる。

 前日夜になってSMSで「午前に来い」という通知が来た。予定を調整して行ってみると、どうやらドタキャンが多いらしく、繰り上げで案内を出しているという状況だということが分かった。この辺りはフレキシブルでいかにもマレーシアらしい。

 病院の玄関にある専用受付に行くとまず、問診票と同意書を渡されて記入・署名を求められる。問診票の内容は、▽発熱、頭痛、喉の痛み、咳、味覚&嗅覚障害、呼吸困難など14の症状があるかどうか▽妊娠もしくはその予定があるか(女性の場合)▽6カ月以内に新型コロナに感染したことがあるか▽2週間以内に感染の疑いで隔離されたことはあるか▽2週間以内に何らかの予防注射を受けたか——の5項目。(写真下)

これらを書き終えると、ワクチン接種の受付所に案内される。ここでは身分証明書(外国人はパスポート)と「MySejahtera」の記録を提示し、身分照合が行なわれる。

 KPJ病院の場合は会場自体がそれほど広くないので、それぞれの手続きごとに待合所が設けられていて、呼ばれるまでそこで待つことになっていた。こうして密になることを防いでいるわけだ。

接種受付が終わると、次いで医療スタッフによる口頭でのさらなる問診とワクチン及びリスクに関する説明が行なわれる。

 問診は問診票の記入事項をみながら、追加で病歴や持病、アレルギーなどについて聞かれる。

 発熱などの症状があったり、アレルギーがあるからといって接種できないわけではないようだ。また今回はシノバック製ワクチンだったが、そのワクチン接種によりどういった副反応が起きる可能性があるか丁寧に説明されるのは有り難い。

問診と説明が終わると、接種場所に案内される。接種場所はパーティションで区切られており、一人ずつ呼ばれて接種を受ける。(写真下)

 接種担当の医療スタッフが、接種前に注射器にちゃんと規定の分量のワクチンが入っていることを見せて確認させるのは感心。

接種後はまた別の観察室に案内され、そこで15分経過をみる(写真下)。

 この間に呼吸困難や痛み、痒みなどのアレルギー反応が出た場合はスタッフに言って処置をお願いすることになる。何の異常もない場合、最終説明デスクに案内される。そこでは今後起こりうる副反応リスクやその対処の仕方について説明を受け、2回目の接種日時を決める。

接種に関する手続きをすべて完了すると「MySejahtera」のステータスに下の接種を証明するステータスが表示されるようになる。

2度目の接種日は翌日、「MySejahtera」を通じて正式に案内が来た。

 最近では不安からワクチン接種のためにわざわざ帰国する人もいるようだが、帰国すれば往復で1カ月もの長期隔離が待ち受けており、ハードルは高い。

今回受けてみて分かったが、マレーシアではかなりしっかりした体制がとられているようである。ワクチンは選べないが、特にこだわりがなければマレーシアで接種しても問題ないと思われる。

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マレーシアから日本へ コロナ禍の2回目の一時帰国 【代表ブログ03.15】

昨年11月から12月にかけて日本へ一時帰国し、出入国の様子をレポートしたが、今回私用で2月から3月にかけて再度一時帰国したので、前回とは変わった状況も踏まえて報告したい。

前回2020年11月の一時帰国の記事はこちら

マレーシアでの取得書類は前回と同じで、イミグレからの出入国許可証、最寄りの警察署からの州を跨ぐ許可証など。追加になったのが、日本入国の際に必要な到着72時間前までのPCR検査の陰性証明書だ。これはスバンジャヤにあるSJMCで取得できた。日本語の陰性証明書のフォーマットを印刷して持っていき、サインとチョップをもらった。費用はRM290。

日本帰国で前回なくて今回必要になったのが、「質問票Webの到着前入力」を行い、発行されたQRコードの提示だ。機内でいきなりその案内を配られて焦った。そんなの聞いてない…。機内でQRコードも作れないし。結局到着後、PCR検査を行った後の待ち時間に備え付けのタブレットに10分間向き合ってQRコードを印刷して事なきを得た。それ以外は前回と同じでかなりスムースに入国できた。

マレーシアに戻る際は、日本のマレーシア大使館へ必要書類をメールし、「Travel Notice」を取得する(前回と同じ)。マレーシア到着72時間前までのPCR検査の陰性証明書(英語)の取得。これはなくても入国できるが、ホテルでの強制隔離期間が、陰性証明書があれば7日間、なければ10日間となる。それ以外は前回と同じだった。(MySejahteraのアプリで登録、LOUの提出、出入国許可証の提示等)空港内のスタッフたちも慣れてきたせいかスムースな対応をしてくれた。

一番驚いたのが、隔離ホテル(PJ HILTON)の朝昼晩の弁当だ。前回に比べると確実にレベルアップしている、器も中身も。前回は7割ローカル食、3割日本食、洋食だったが、チェックイン時にリクエストができた。
ローカル食4割、日本食3割、洋食3割でかなりいい感じだ。ホテルに常駐しているメディカルチームともアプリを通してコミュニケーションできるようにもなった。

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MCO2.0下の日本一時帰国→マレーシア再入国レポート 

 年末から一時帰国していたが、1月17日にシンガポール経由でマレーシアに戻ってきた。帰国中に新型コロナウィルス「Covid-19」感染者が大幅に増加し、行動制限令(MCO)が再び発令されていたこともあって不安はあったが、何事もなく無事に入国できた。

再入国にあたって用意したもの

  • 再入国許可証(Approval Letter for Exit & Return to Malaysia)
    〜イミグレ発行
  • LETTER OF UNDERTAKING AND INDEMNITY PERSON UNDER SURVEILLANCE(LOU)
    誓約書
  • 再入国許可同意書(Approval Letter for Exit and Return to Malaysia)
    〜在日マレーシア大使館に申請

 17日朝にシンガポール・チャンギ国際空港でトランジット。チャンギ空港ではトランジット客とシンガポール到着客を分けて降機させるなどシステムが行き届いていた。トランジット組は腕にタグをつけられ一列になって社会的距離を保ってトランジットエリアに案内された。このエリアに入る際には乗り継ぎ便の搭乗券の提示を求められる。シンガポールから乗機する旅客とは接触しないように配慮したものだ。搭乗時間がきたら係員がアナウンスするので聞き逃さないように。係員の案内で一列になって搭乗する。

 クアラルンプール新国際空港(KLIA)に到着すると、シンガポールとはうって変わって何の案内もない。通常と同じように機外に出るとようやく係員が出迎えており、誘導に従って検査所に向かう。

MySejatera登録

まずはコロナ情報追跡アプリ、MySejateraのインストール確認と、KLIAに着いたということを示すチェックインが求められる。そして職員から提示されたQRコードを読み込んで保健省の「Home Surveilance Order」にアクセス。氏名、パスポート番号、住所、緊急連絡先などの個人情報を入力して登録する。

もしマレーシアのデータSIMカードを持っていない場合は、このチェックを行う直前に販売所があるので購入できる。

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書類審査と感染検査、支払い

 書類審査では、再入国許可証や同意書、大使館のの提示が求められる。続いてスワブテスト受診。検査結果を待つ間に、支払いデスクに回って支払いを行う。クレジットカードも使用可。出発前の感染検査を受けておらずホテルに関する特別リクエストがないスタンダードの場合は、隔離費用と検査費用もろもろで4,350リンギだった。

 続いてイミグレに向かうが、通常のゲートでなく事務所に行くようにいわれる。審査はいつもより厳重に行われる。ここで入国スタンプを押され、指紋採取も行われる。

隔離施設までの移動とチェックイン

 待合エリアに行き、移動準備ができ名前が呼ばれるのを待つ。追加料金を払っていないスタンダードは数人がまとめて呼ばれ、誘導に従って自分の預け荷物をピックアップし、税関を通過。外で待っている専用バスに乗って隔離先のホテルに移動する。荷物はバスに載せる際に消毒が行なわれる。

 ホテルに着くと、ロビーに入らず、外に設置されている特設カウンターでチェックイン手続きを行う。

ホテル内でのルール(食事配達時間、ゴミ出し時間と手順、リネン交換サービス、室外に出ることなど禁止事項)が説明されるので聞き逃さないように。

 他の客との接触を防ぐため、荷物の搬入口から建物に入り、従業員用のエレベーターで客室に向かう。

隔離先(ホテル)での生活

 隔離期間中、隔離終了直前の抗原検査を除き、一切部屋を出ることはできない。外部の者とは一切接触できない。物の受け渡しも許されない。

 唯一、認可を受けている数件のファストフードのデリバリーサービスだけは受けられるが、配達時間が限定されるので注意。

 1日3度の食事やゴミ袋、ゴミ出し、その他の書類やメッセージ、デリバリーフードの受け渡しはすべて部屋の前に置かれたテーブルを介して行なう。

隔離期間中に使う必需品は日数分、部屋にまとめて準備されている。用意されていたのは次の通り。

・プラスチックのスプーンとフォーク

・ボトル入り飲料水

・インスタントコーヒーとティーバック、シュガー、粉ミルク

・シャンプーと歯磨きセット

ゴミ袋は写真上のように毎日置かれ、ゴミは決まった時間に出すことになっている。

タオルやバスタオルは2〜3日おきにリクエストベースで交換してもらえることになっていた。

 私が宿泊したホテルでは、チェックイン時に有料で食事のグレードアップができるようになっていた。アレルギーなどある人はある程度対応してもらえるようだ。

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 食事は量は十分だが、ほぼママック(ムスリム・インド料理)かマレー料理で、忘れた頃に中華(酢鶏など)が出る程度。すべてハラルとなっている。味付けはかなりスパイシーなので、辛いものが苦手な人は厳しいかも。写真下はある日の夕食で出たニョニャ風の鶏のココナッツミルク煮込みと野菜炒め、野菜カレー(パパイヤ付き)。

醤油、ふりかけなどがあると味に変化がつけられるのでおすすめ。

 部屋には湯沸器がおかれているので、カップ麺やフリーズドライフードを持参して食べるのもよいだろう。

 コーヒー&紅茶は宿泊日数分置かれているが、何杯も飲みたい人や味に拘る人、緑茶がいい人などはそれぞれ持参すべき。冷蔵庫はあるが、ビールや清涼飲料水は入っていない。アルコールが欲しい人は持ち込むしかない。

 隔離期間については日本とは数え方が異なるので注意。日本では到着の翌日からカウントするが、マレーシアでは到着日もカウントする。出発直前のスワブ検査を受けていない場合は10日間の隔離となり、隔離8日目に抗原検査が行われ、陰性であれば10日目の朝に解放される。出発直前にスワブ検査を受けて陰性証明を持っている場合は7日間の隔離となり、5日目に抗原検査が行われ、7日目に解放される。

 隔離終了2日前の抗原検査は、時間になったら係員に呼び出されるので、ホテル内の検査場に向かう。外国人は検査料がかかるのだが、空港ですでに支払った人はそのレシートを提示する。検体はノドから採取する。検査時にタグを腕に装着される。外したら違反なので注意して取り扱うべし。

 隔離終了前抗原検査で陰性だった場合は、2日後に隔離終了となる。係員が呼びに来るので、荷物を持ってチェックアウトする。必要書類をすべてチェックし、腕のタグが外されると隔離が終了する。隔離が終了したことを示す証明書が貰える。

 行動制限令(MCO)中なので、自宅や別の宿泊先に移動が心配だが、係員から数日間有効の警察の移動許可証が貰えた。(写真下)万が一、検問で止められた場合に提示する。

以上。

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コロナ禍での日本一時帰国→マレーシア再入国【代表ブログ特別編12.14】

父の入院で急遽日本へ約1ヶ月間一時帰国することになった。
11月6日(金)に出国し、12月9日(水)に無事マレーシアへ戻ることができた。通常時での出入国と違って、コロナ禍での出入国は大変だったが、再入国を実際に経験したので、最新情報をレポートしたい。

※本記事の内容は2020年12月上旬時点の情報です。最新の一時帰国の規定につきましては、在マレーシア日本国大使館やimmigrationにご確認頂けますようお願い致します。

マレーシア出国前に入手するもの

  • Letter for Exit & Return to Malaysia
  • Permit Pergerakan Perintah Kawasan Pergerakan Bersyarat(PKPB)(自宅の最寄り警察からの移動許可証)(11月6日の出国時点)
    KLの自宅からKLIAまで警察の検問が2回あり、その度移動許可証を見せて検問を通ることができた。

日本入国(関西空港)

抗原検査の実施(約45分間で結果判明)

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マレーシア大使館へ渡航許可申請

マレーシア再入国の約1週間前にマレーシア大使館へ the Permission to Perform Journey to Malaysia「マレーシア渡航許可」の申請を行った。
以下の書類を提出した。

  • Flight ticket to Malaysia
  • Passport and employment pass page copy
  • Approval letter for Exit & Return to Malaysia.
  • LOU form (Letter Of Undertaking and Indemnity Person Under Surveillance (LOU)(到着後の強制隔離の宿泊費用の支払いに関する約定書)

日本出国(関西空港)

関空でのチェックイン(SQ)

  • Letter for Exit & Return to Malaysiaのチェック
  • Permission to Perform Journey to Malaysiaのチェック
  • MySejanateraのアプリでの事前登録(「Low Risk No Symptom」をみせる)

マレーシア再入国:空港出発まで約1時間半

KLIA到着後の手順

1.MySejanateraのアプリで現状の登録

2.パスポート、Letter for Exit & Return to Malaysia, Permission to Perform Journey to Malaysiaなどのチェック

3.PCR検査

4.Immigration Officeで各種書類、パスポートのチェック

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5.LOUとホテル・送迎の確認
Letter Of Undertaking and Indemnity Person Under Surveillance (LOU)(到着後の強制隔離の宿泊費用の支払いに関する約定書)、予約してあるホテル、空港からのホテルへの送迎予約のチェック

6.手数料の支払い
PCR検査(RM250)、2週間後の抗原検査(RM60)、手数料(RM2,600) 合計RM2,910の支払い  (事前のMYEGでの支払い、現場でのクレジットカードまたは現金での支払い)  事前にホテル予約または送迎予約をしていない場合、ここでホテル代と送迎費を支払う(Premium Packageまたは、Standard Package)

7.Immigration Officeでの入国スタンプ

8.朝食boxの支給

9.Premium Packageまたは、Standard Packageの誘導係が誘導(荷物のピックアップ、通関、出口まで)

10.すべての荷物の消毒

11.乗車、ホテルへ送迎   

事前準備で移動・手続き時間の短縮に

事前に旅行会社で航空券を手配した時に、Premium Hotelの予約と空港からホテルまでの送迎の予約も行なっていたので、予約確定書を見せて比較的にスムースに通過することができた。

また、Letter Of Undertaking and Indemnity Person Under Surveillance (LOU)(到着後の強制隔離の宿泊費用の支払いに関する約定書)も出国前に入手して必要事項を記載済みだったのでスムースだった。現場でシコシコと書いている外国人がほとんどだった。かなりの時間のロスになると思う。

私が空港を出るまでにかかった時間は約1時間半、朝だったこともあり、思ったより早く出て来ることができた。

現在はPJ HILTON HOTELで2週間の隔離生活を送っている。
隔離ホテルでの食事内容などは、SNSやブログ等で多くの人たちがレポートしているので、ここでは割愛させて頂く。
感想を一言。朝昼晩ローカルカレーは辛い(涙)。

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マレーシアから日本への一時帰国→入国・隔離生活インタビュー

2020年11月現在、コロナウイルス感染拡大の影響で、マレーシアに在住する外国人が一時帰国する際には、Exit and Return Passを申請し、許可されてから60日以内にマレーシアへ帰国後、14日間の隔離を行う必要があります。
10月7日にマレーシアを出国し、日本に一時帰国、10月28日にマレーシアへ帰国されたNIHON SPINDLE COOLING TOWERS SDN BHD のLUZHIFENG様にお話を伺いました。

※Lu様は中国の国籍を保有され、日本の大学を卒業し、現在永住のビザで東京にご自宅を持ちながら、同社マレーシアの現地法人の責任者として活動されています。

※本記事の情報は取材時点の2020年11月上旬現在のものです。最新の一時帰国の規定につきましては、在マレーシア日本国大使館やimmigrationにご確認頂けますようお願い致します。

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書類の申請

-必要だった書類の手続きを教えてください。

政府のホームページ、Myentryにオンラインで申請し、受理後に出入国許可書(APPROVAL LETTER FOR EXIT AND RETURN TO MALAYSIAが発行されます。

-実際に申請してどのくらいで受理されたのでしょうか?

9月9日に申請し、9月10日に受理された旨のメールが届きました。承認の返信があったのは9月18日です。

-書類はどんな場面で必要でしたか?

3つのシーンで提出しました。
1.搭乗チェックイン
2.出国審査カウンター 
3.入国審査カウンター

-航空券の予約はビザ承認後にしましたか?それとも事前に予約しましたか?

ビザ承認後に航空券の予約をしました。ビザが承認されて60日以内の帰国予定でスケジュールを組む必要があります。

マレーシア→日本 空港の様子

-マレーシア出国時の空港の様子はいかがでしたか?

 現在は出入国制限があるせいか、がらがらでした。10月7日の夜便でマレーシアを出発し、翌日8日に日本に到着しました。

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マレーシア到着後の入国審査

-日本滞在後、10/28にマレーシアに戻られました。空港では通常の入国審査と流れも異なったようですね。

大きく違うところは、入国審査が個室で行われること、検査があることやバスでの移動が必要となることです。

降機後 はまず降口ゲートで、全員集合し、バス乗り場へ向かいます。 

バス乗り場の手前で携帯アプリ MySejahteraのダウンロード及び個人情報の記入を求められました。 

入国審査場到着後は、検査に関する書類フォーム記入(個人情報、便名、座席など) し、喉と鼻の粘液サンプルを採集します。 

-入国審査に必要だった書類を教えてください。

1.旅券 
2.搭乗券 
3.出入国許可書。(APPROVAL LETTER FOR EXIT AND RETURN TO MALAYSIA) 
これらを準備していましたが、他に4.LoUも必要でした。

4.Letter of Undertaking and Indemnity 略称:LoU(到着後の強制隔離の宿泊費用の支払いに関する約定書)

 事前記入と要求されるますが、入国審査手続き前に、専用カウンターがあり、その場で記入し、そこのスタッフに確認してもらうこともできます。

-次は宿泊費用の支払いですね。どのように支払うのでしょうか?

名前を呼ばれ、料金の支払いを指示されます。いったん、審査個室から出て、支払いカウンターへ 行きます。

私の場合4,950RMでした。カード、現金両方可能です。この領収書は、ホテルまで何回も提示させられます。 

-宿泊先のホテルとして、プレミアムホテルが選択できる制度が10/12に発表されましたが、Lu様の帰国時は選択しましたか?

私は選択せず、指定されるホテルに宿泊しました。費用の支払いを済ませた時に、こちらから質問してホテルを知りました。

支払い領収書を入国審査官に提示し、再度入国審査個室へ行って入国手続きを行います。(顔写真、指紋採取、入国スタンプ) 入国手続きが完了した後、個室を出て、通常の入国カウンターを通りました。

-入国審査からバス搭乗までの所要時間はどれくらいでしたか?

約3時間半でした。当日の混雑状況によって変わると思います。

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ホテルへの移動

-入国審査が終わると次はバスでの移動ですね。

はい、バス搭乗前には全ての荷物は噴霧消毒します。ホテルごとにバスに乗車します。

-ホテルにチェックインするまではどのくらいかかりましたか?

バスに搭乗してからホテルチェックインまで約2時間半かかりました。

-ホテルについてからの手続きはどんなことをしましたか?

MysejahteraアプリでホテルのQRコートスキャン、個人情報を入力します。空港で受領した領収書、Lou文書、搭乗券の提示も求められます。

ホテルでの隔離生活

-ホテルの中に置いてあったものを教えてください。

水のタンクとお茶のパック、電気ケトルが備え付けてありました。水は既定のものが無くなった場合有料で購入となります。

-ホテルの部屋に入ると一歩も出れないのですよね。連絡したいことがあるときなどはどうするのですか?

部屋に入った時点から14日の隔離が開始します。当日ホテル入居する携帯WhatsAPPグループに加入します。重要な連絡はこのグループ中で発信されます。

-食事についてはいかがでしたか?

通常のホテルでの滞在とは違い、色々な制限があります。大きいことが食事です。原則ホテルから支給されるものになります。ハラルなので、鶏肉や卵を使った料理が多かったです。

-フードデリバリーも許可されるようになったと聞きますが、利用されましたか?

デリバリーが到着してもすぐに部屋に届くわけではありませんでした。午後5時以降という時間制限がありましたので、お昼に暖かい食べ物を頼んでも、夜に冷めたものを食べることになってしまいます。夜の時間だけ利用しました。

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-その他、ホテルの滞在で困ることなどはありましたか?

部屋から出れず、洗濯機を使った洗濯はできないので、部屋の中で各自が洗う事になります。隔離生活は時間があるのでいいのですが。またシーツも部屋まで1週間に1回きれいなものをとどけてもらって、各自で交換することになります。

隔離13日目、二回目のPCR検査が行われます。陰性であれば、警察から隔離した証明書が発行されます。

CMCO下のマレーシアへの入国まとめ

  • 個室での入国審査と検査があり、バスでの移動が必要となる
  • 宿泊費用の領収書の提示を何度も求められる。  
  • LOU(Letter of Undertaking)の記載が必要となる。入国審査手続き前にカウンターで記入することもできる。
  • 隔離ホテルでは、食事や洗濯など通常のホテル滞在と条件が異なることもある。

本記事が、マレーシアから日本への一時帰国や、日本からのマレーシア入国を計画中の方に役立てば幸いです。

”マレーシア人は働かない”はウソ

本記事は、楽天トレードの最高経営責任者(CEO)三瀬和正さんへのインタビュー記事の後編です。
前編:ネット証券、ロックダウンが追い風に

なりすまし詐欺”対策、自社でも取り組み

——先ごろ御社の名前をかたった投資詐欺がありましたよね?ネット証券の人気を反映するような事件でしたが、あれはその後どうなりましたか?

三瀬:この間、証券委員会(SC)主催の産業活性化会議に参加し、他の金融業者と共に意見交換をしたのですが、他の会社も同じような事象が起きていて、業界全体で何かしないといけないということになりました。このミーティングの後にSCが発表したのですが、ワーキンググループを作って対処していくことになりました。今後こうした事例は増えていくと思いますので、自社での取り組みの必要ですが、やはり業界全体で取り組んでいかないといけない課題だと思います。

——すでに業界全体として動き出しているのですか?

三瀬:まだ動いていないのですが、弊社としてもそこに頼っているわけにはいかないので、モニタリングするサービスにお金を払って詐欺サイトを見つけるような取り組みは行なっています。こうしたことに投資して投資家守る努力をしています。

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いかに収益確保するかが最重要

——マレーシア証券市場では外国人投資家が減っている代わりに、国内のリテール投資家が増えているというリポートがありますね。

三瀬:リテール投資家の比率ですが、MCOが発令される前は20%から25%だったんですが、このポーションが一気に上がって今では40%になっています。リテール投資家の数自体が増えたことから、相対的に外国人投資家の比率が下がっているということは言えるかもしれません。

——ヘルスケア株など株価が上がるものもあれば、MCOによる景気悪化で危ない会社も増えてますよね。今はコロナという要因が一番大きいと思いますが、今後のマーケット動向の御社の事業への影響についてはどうお考えですか?

三瀬:マーケットの先行き、マーケットの動きについては弊社事業にはあまり関係ないと思っています。 株式市場が良くなろうが悪くなろうが、経営トップとして収益を確保し続けていかないといけません。そう考えていくと弊社のビジネスとして最も大切なものはボリュームゲームなので、いかに口座開設数をいかに増やすか、いかにお客様を増やしてトレードして貰えるのかを考えてビジネスをやっていくことが大切になります。もちろん首都圏で発令されているCMCOが続けば、うちのビジネスにとってプラスであることは確かです。

日本人とローカルは変わらない

——ここから三瀬さんのパーソナルの話を伺います。ジョー・バイデンさんと同じ、米国シラキュース大学卒ということですが専攻は何だったんですか?

三瀬:大学での専攻は財務・会計・経済です。証券・投資に興味があって卒業後はそちらに行きました。帰国してからある投資顧問会社に入りましたが、その会社は後に楽天グループに買収されました。様々な部門を経験し、2016年4月からマレーシアで楽天トレードの立ち上げに携わりました。1年でシステムから顧客サービスまですべて作り上げました。

——ローカルのスタッフを雇うというのはマレーシアが初めてですよね?そこで何か気づいたことはありますか?

三瀬:毎日が気づきです。最初はスタッフを怒ったりしたこともあったのですが、今は「僕も分からないことが多いから教えてくれ、僕も吸収するから。だけど僕も君たちを底上げをしたいから持っているものを伝える」という姿勢。毎日が勉強です。

——日本人にはないローカルのいいところってなんでしょう?

三瀬:日本人が持ってるものは、彼らもポテンシャルとしてもっていると思います。その持ってるポテンシャルを引き出せるかどうかは、トップにかかってるのではないかと思います。下がダメだったら全て部門長の責任、引いては僕の責任です。

——多くの日系企業が離職率の高さに悩んでいます。せっかく育てても辞めてしまうといいます。そのあたりで何か対策は考えてますか。

三瀬:部門長とかシニアマネジメントと密接にコミュニケーションを取って、常にスタッフの変化を見極めていくのが大切だと思います。お客様も大切ですがスタッフが一番大切なので、辞めると言い出す前に話を聞いてあげることが必要かと思います。 

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部下の育成、トップが見本を見せること

——もうマレーシアには長くおられるので、あと数年で帰国ですか?

三瀬:弊社はそういうリミットはありません(笑)。後継者を育てないと僕はマレーシアを出られないと思っています。そこが一番の課題ですね。

——後継者というのは日本人ですかローカルですか?

三瀬:僕は後継者はやはりローカルだと思っています。弊社のシニアマネジメントは全てマレーシア人ですが、彼らの底力を上げていきたい。シニアマネジメントを底上げしていけば、下のスタッフも付いてくると思います。よくマレーシア人は働かないという人がいますが、僕はそれはおおいに間違ってると思います。基本的に真面目なので、言ったことはちゃんとやる。きちんと上が指導してきちんとした姿を見せれば、ローカルの持っているポテンシャルは大きいと思います。ただ何をやっていいか分からないので、トップがきちんとやることを見せる。そうすればついていくと思っています。

——マレーシアで余暇は何をされているのですか?

三瀬:マレーシアでは最初、あるソフトボール・チームに入ってプレイしていたんですが、月に1回だけ試合だけやっていても面白くないので、硬式野球チーム「レイダース」に入れてもらいました。野球は楽しいですよ、ヘタクソでも(笑)。日本人駐在員の方、是非「レイダース」に入って下さい(笑)

——野球はどれくらいやっていたんですか?

三瀬:野球は小学校4年生ぐらいからずっとやってましたが、高校1年の時にやめました。その後はしばらくやっていなかったのですが、30歳の時に日本の草野球チームに入り、それ以来続いています。

—MCOのためにあまり活動できない状況ですが、今後何かやっていきたいことはあるのですか?

三瀬:個人的には来年は社会貢献とかしたいなと思っていますね。何か子供たち向けにやりたいですね。

——子供向けの野球教室もいいですね。やっぱりそのためには「マレーシア楽天スタジアム」の建設ですか(笑)マレーシアは球場がないので、是非宜しくお願いします(笑)

ネット証券、ロックダウンが追い風に

新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大で打撃を受ける産業が多い中、医薬品、医療機器、など商品自体のニーズの高まりから業績を大きく伸ばした業界も少なくない。一方、対面販売が難しい中で商品そのもののニーズというより販売メソッドが利用者の支持を集めた業界も多い。オンライン証券も販売メソッドの優位性で業績を伸ばした業界だ。このほど楽天トレードの最高経営責任者(CEO)に就任した三瀬和正さんに話を伺った。

在宅機会増加で口座数も増加

ーーCEO就任おめでとうございます。今年創業3年目で黒字化したということなんですが、新型コロナ感染拡大防止のために今年3月に行動制限令(MCO)が発令されてから証券取引口座開設が急増したそうですね。

三瀬:MCOになったため家にいることが多くなり、皆さん手持ちに余裕があるのかもしれませんね。上昇傾向にあるヘルスケア関連株で儲けようとお客様が一挙に入ってきたということですね。弊社だけが1日以内で口座が開設できます。他の会社は1週間とか下手したら1カ月かかりますので、すべてオンラインでできる弊社に口座開設が殺到したということだと思います。そういう人たちがヘルスケア関連の銘柄をトレードした。マーケットもググッと上がりましたので、その追い風を受けて黒字化ができたということです。

ーー4月末時点でシェアが5%だったということですが、これは証券取引市場全体の5%ということでしょうか?

三瀬:証券マーケットの中でリテールが占める割合が4割を占めますが、そのリテール・マーケットの中で弊社のシェアが5%ということです。今はシェアがさらに上がって6.7%になっています。弊社は法人は受け付けていません。

ーー今後も口座数は増えてきそうなんでしょうか

三瀬:弊社のビジネスモデルというはお客様をいっぱい集めてトレードして貰うというものです。口座開設数が増えていかないとビジネスが成り立たないのですが、コロナの影響もあって今も口座数は増えています。

特筆すべきはミレニアル世代参入

ーー従来型の証券取引と比べてネット証券取引の大きな特徴というのは何でしょうか

三瀬:フタを開けてみて僕もびっくりしたんですが、弊社のお客様の80%が40歳以下なんです。もっと熟年者が入ってきてくれるのかと思っていたのですが、ミレニアムと言われる若い世代が入ってきているのが特徴的です。全体の80%が華人なのですが、約60%未満以上が投資経験がない、もしくは投資経験3年未満のビギナーが入ってきていますので、新しいお客様を開拓したということができると思います。

ーーマレーシアが低金利であるというのは影響あるのでしょうか。投資先として株式を選ぶようになったとか?

三瀬:低金利はそれほど影響ないと思います。まずはお客様の頭には株で儲けたいというのがあるので、マーケットがホットであるということで入ってきていると思います。

ーーミレニアム世代が多いということは、ネットリテラシーが高いということが影響しているんでしょうね?

三瀬:こちらの人はほとんどがスマートフォンを使っていますね。 弊社は日本のスマートフォン用のプラットフォームを導入しているのですが、スマホを使った取引が全体の7割ぐらいでしょうか。ネット取引のいいところは取引手数料が安いということでしょうね。うちは最安の手数料を提供させて頂いています。

ーー御社はなぜ他社より安い手数料でできるのですか?

三瀬:なぜ安い手数料で出来るかと言うと、人件費を抑えたり、他のコストを抑えたりしているからです。他の証券ブローカーは社員がいっぱいいてマニュアルワークも多いし、対面の証券マンによる営業をやっています。うちと同じ手数料を提供するのは難しいと思います。

——御社は対面の証券マンが必要ない業態なので、スタッフはシステムエンジニアが中心ということになりますか?

三瀬:ITチームが半分を占めます。しかし何も投資家に情報を与えないというのもおかしいので、リサーチチームが毎日マーケットのアップデートをしたり、優良銘柄を探してきてお客様に月に2、3回推奨銘柄として紹介したりしています 。いわゆるスモール・ミッド・キャプ株をメインに、ファンダメンタルを見ながらリコメンドしています。

人気手数料の安さで業界をリード

——御社がプラットフォームとしている口座は「キャッシュ・アップ・フロント」と「コントラ」、「マージン」の3種類ですね。

三瀬:「キャッシュ・アップ・フロント」は日本でいうところの現物取引で、例えばお客様が1,000リンギを入金するとその範囲で株の売買取引ができます。特徴的なのは「コントラ」で、これはレバレッジを効かせることができます。例えば、お客様が1,000リンギを入金すると最高で5倍の5,000リンギまで株を買うことができます。ただしこの口座では2日以内に決済しないといけません。ショートタームの取り引きをする人、デイトレーダー向きですね。「マージン」に関しては、日本でいえば証券担保ローンのようなもの。お客様は株券や現金を担保として差し出すとファイナンサーからいくらまで取引していいよという許可が出ますので、その範囲で取引ができるというものです。これは決済期限がないので長い期間キープすることができます

——どの口座の利用が多いのですか?

三瀬:口座の数的には「キャッシュ・アップ・フロント」が多いのですが、「コントラ」がすごく人気があります。例えば日計り取引(その日に買った銘柄をその日のうちに売ること)ですが、買いの分の手数料しかかからない。片道半額です。他社でもやっていることろはありますが、元々の手数料が高いので弊社の方が優位です。

——三つの口座の割合はどれぐらいですか。

三瀬:弊社の口座は全部で14万5,000口座あるのですが、「キャッシュ・アップ・フロント」が11万5,000口座で、「コントラ」は約3万口座です。ただ「コントラ」はレバレッジ聞かせて大量に売買する人が多いのでトレーディングのボリュームは「キャッシュ・アップ・フロント」には及ばないもののかなりのポーションを占めています。

本記事は後編に続きます。

旅行業界、コロナ時代の生き残り策(後)

本記事は、日系旅行代理店、日本旅行グループ・サンライズ・ツアーズ&トラベル取締役の壁田忠幸さんへのインタビュー記事の後編です。
中編:旅行業界、コロナ時代の生き残り策(中)
前編:旅行業界、コロナ時代の生き残り策(前)

バーチャルツアーの未来

——高齢化社会が進めば当然、リアルツアーに参加したくても参加できない超高齢者がどんどん増えます。障害者だけでの問題ではないですよね。

壁田:ご指摘の通りです。私がこの考えに至るヒントをくれたのは当社が実施したバーチャルツアーの参加者です。参加後のアンケート回答に「このバーチャルツアーをプライベートでやってもらえませんか?」という声がありました。リアルでは飛行機に乗って海外旅行出来なくなった高齢のおばあちゃんと一緒に家族旅行をしたいというのでした。

旅行業界も他の産業と同様に時代の変化に揉まれ試行錯誤を繰り返しながら今の形に辿りついています。この期に登場してきたバーチャルツアーにはどん意味や価値あるのでしょうか?それとも無いのでしょうか。少なくても当社が実施するバーチャルツアーを少しでも良いものにしたいとする動機はこんなところにあったりします。

——今現在では商品として未成熟なバーチャルツアーでお金をとるのは難しいかもしれませんが、テクノロジーの発達しだいで今後どうなるかわからないですよね。5Gになればネット速度が上がるのでオンライン動画の使い方ももっと変わってくる。

壁田:とても楽しい想像ですね。「はい皆さんランチです」とマレーシアのバーチャルツアー添乗員(MC)が画面か参加者へ声をかける。日本からの参加者のご自宅に「ナシレマ」がタイムリーにデリバリーされる。そんな未来は決して遠くなくて、今はその入り口に立っているかもしれません。リアルツアーに参加できない人にとってもよりリアルに近い体験ができる日やってきそうな気がしますね。

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——ラフレシアを見に行くバーチャルツアーで、実際にラフレシアの花のクサい臭いがしたら面白いですよね。

壁田:ニオイのデジタル化ですね。ますますバーチャルツアーの可能性を感じますね。

——ユーチューバーが世界中いたるところに行って動画に上げていますよね。バーチャルツアーは専門ガイドが丁寧に解説してくれるという点ではユーチューブとは差がありますが、どれだけ付加価値が付けられるかですね。

壁田:昨今影響力のあるユーチューバーを使い、商品造成や告知をしてもったりしている旅行会社もあるようですね。ユーチューバーとして稼げる人が企業案件として旅行会社と組み、旅行会社代わって実質上の販売者になっているわけです。時代に沿った当然の流れですし集客機能としては見習うべき点が多いです。一方で「ツアーを作って運営する」や「サービスの対価を頂戴している」等、の考えに基づく伝統的な「おもてなし」の本質や精神を忘れないようにしたいとも思います。

——その第一段階がオンライン旅行の出現でした。より安く航空券やホテルを手配し、ユーチューブの案内に従って自分で行くという形が若者を中心に主流になりつつあります。一方では「この人が添乗員をするから参加する」というようなツアーもいまだに人気を博しています。

壁田:昨今はリアル・トラベルエージェントがオンライン・トラベルエージェント(OTA)に市場を奪われる構図となっています。コロナ禍ではリアル、OTAともどちらもダメージは大きいのですが、OTAは「人の力」に支えられるところがリアルに比べて少ない分、「困難な時期を乗り越える」ことだけを考えると有利ですね。逆にリアル・トラベルエージェントは正念場と言えます。ここで淘汰されるようではポスト・コロナでもOTAとの戦いには勝てないのだと感じます。

—リアル・トラベルエージェントの在り方は将来的に変わっていくのでしょうか?

壁田:普遍だと思います。最終的には「お客様の心をどうやって満足させられるのか?」、これは永遠の挑戦です。人の心を人の力を使って満足させようとするのがリアル・トラベルエージェントです。簡便な機能や低価格で満足を迫るオンライン・トラベルとの役割分担はより一層明確になっていくでしょう。

旅行業界、コロナ時代の生き残り策(中)

本記事は、日系旅行代理店、日本旅行グループ・サンライズ・ツアーズ&トラベル取締役の壁田忠幸さんへのインタビュー記事の中編です。
前編はこちら:旅行業界、コロナ時代の生き残り策(前)

明確な生き残り戦略の不在

——「物販」ではなくマレーシア国内旅行はどうでしょう?マレーシア政府は日本の「Go To」みたいに国内旅行を奨励していますが。

壁田:マレーシア版Go To トラベルと日本のそれとの根本的な違いにつてのコメントは控えさせていただくとして、残念ながら弊社にとってこの施策は必ずしも有効なものになっていません。このセグメントに限って言えば当社の主力事業から外れているのです。それでも無策な物販に走るよりはと言う事で不得意ながらも対策を講じ一定の成果を収める事は出来ました。

——御社にとり国内旅行は今後見通しがたちますか?

壁田:難しいですね。この分野を得意としている旅行会社はそもそも存在しているわけで彼らのノウハウはしっかりしています。このコロナ禍で必要に迫られて対策した付け焼刃的なものではありません。それでもこうした競合先と戦い、勝ち残るために必要なものは何なのか?を考えられたことはコロナ禍中の数少ない幸いと言えるでしょう。

——アウトバウンドもインバウンドもダメ。物品も国内旅行もダメというないない尽くしの中、旅行会社のサバイバル戦略はどのようなものなのでしょうか?

壁田:この期に自信をもって明確な戦略を語れる旅行会社がありますかね(笑)人の暮らしに彩りを加えたり、人生を演出する「旅」を提供するのが我々本来のあるべき姿だと思うのです。そんな理想を未来に繋げるためにもなりふり構わず生きのびなければいけない、個人的にはそう考えています。

——確かに会社がつぶれてしまってはビジョンも何もないですよね。日本の本社の方から具体的なサジェスチョンや指導はあるのですか?

壁田:日本の本社や地域統括会社からは広範囲な情報提供やアドバイスが入ります。ただしそれを鵜呑みにしているだけでは国情が違う現地法人責任者としての存在価値はありませんので現地、現場の実態にあった取捨選択と判断の連続になります。

バーチャルツアーの登場

——そうした中、バーチャルツアーが巷にあふれていますね。先日、某バーチャルツアーに参加したのですが、事前学習という位置づけであり、テレビでいうところの「番組宣伝」という感じがしました。「ポスト・コロナ」に向けてツアーを宣伝するという感じですね。無料だったから文句はないのですが、有料では無理じゃないかと思いました。

壁田:「番組宣伝」だけならバーチャルツアーにせず、ユーチューブ等の録画放映でもいいですよね。そもそも「何もやらないよりいい」とか「会社の宣伝にはなる」、「顧客の引き止めになれば」という軽いノリでやり始めたところが大半だと思いますよ。

——金がとれる商品にするなら、ユーチューバーが行けないような場所とか、余程特殊なツアーでないとだめですね。中には儲けようというのではなく将来に向けて実験的にやっている会社もあるでしょうが、参加者からアンケート貰ってその先のビジネス可能性を考える機会を得るという意味ではいいのではないでしょうか?

壁田:ご利用者側の貴重なご意見として参考にさせて頂きます。一方の旅行会社側では軽いノリで始めたのとは裏腹に相当な労力をかけ商品を作っているという実態があります。そもそもバーチャルなのに何故に労力が掛るのか、です。当たり前ですが、コロナ禍前まではリアルな旅行商品の造成・販売をしていてリアルなツアー運営しかしたことのない旅行会社のスタッフが対応しているからに他なりません。「バーチャル」上だけで完結させるデジタルコンテンツの製造者となり、ツアーという名称ながらリアルな添乗員業務と勝手の違う「オンラインイベントのMC」的役割を担う等、全てが初めての経験です。この状態で世に出した「バーチャルツアー」です。ご参加いただいたお客様の反応も決して甘くありません。

ただし、この状態を嘆いているだけでなく、リアルとバーチャルの2つのツアーの役割の違いを明確にし、旅行業者としてのビジョンを利用者に提示する事ができるなら、それはそれで意味がある事だとも考えるわけです。

——将来的には当然リアルツアーが復活する訳ですものね。

壁田:リアルとバーチャル、それぞれのツアー価値とはそもそも何なのでしょうか? 特に現状のバーチャルツアーは旅行業界として確固たるビジョンやコンセンサスができておらず、たまたまコロナ禍という環境の変化でにわかに登場してきたものです。これを一過性の商品として片付けるのか、旅行業界の新基盤に育てていくのか?そんな議論があって良いのではと思います。

——壁田さん個人はバーチャルツアーについてどうお考えですか?

壁田:個人的にはリアルとバーチャルの融合が望ましいと考えます。ここで視点を少し変えてみたい。皆さんがリアルであれバーチャルであれ、旅行商品を購入する事ができる、すなわち「健康で一定の経済力がある」という前提と錯覚に陥っていないかということです。身体的(年齢や体力、障害の有無)、経済的条件からリアルツアーの参加を見送ってきた人はいなかったのでしょうか?バーチャルツアーはリアルでの参加を難しくしていたこの類のハードルを自然に下げ、そして取り除いていると考えられませんか?誰もが予想できなかったコロナによりバーチャルツアーが市場にあふれている。これを旅行業界が提供する新しい選択肢として考える事が出来たならどうでしょう。このように見えにくいところにも目を配らせる事が出来るのが旅行業界本来の底力です。今はそれどころではないのかも知れませんが・・・。

——リアルツアーに参加できない人を新たな市場と捉えるわけですね

壁田:バーチャルツアーは広義での社会貢献にもなりえます。このようにあらゆる角度から可能性を検討する必要があります。今儲かるのか?コロナ問題が終われば不要なコンテンツなのか?バーチャルツアーをより良いものに継続育成していく必要はないのか?参加者にも積極的な理解を求めていく旅行会社側の姿勢が問われる事にもなります。

旅行業界、コロナ時代の生き残り策(前)

 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大で壊滅的な打撃を受けている旅行業界。いつ終息するかも分からない先行き不透明な状況にあって、生き残りを模索する一方で、将来的な「ポスト・コロナ」を見据えたビジョンが求められている。日系旅行代理店、日本旅行グループ・サンライズ・ツアーズ&トラベル取締役の壁田忠幸さんに話を伺った。

業態の脆弱性が浮き彫りに

——コロナの流行でマレーシアの旅行業界ではどのような影響が出ているのでしょうか?

壁田:マレーシアに限らず世界全体の旅行業界がかつて経験した事のない、まさに未曾有の危機に直面しているのは間違いないことです。いずれの旅行会社も売り上げがゼロまたはそれに近い状況となり、旅行産業という業態の脆弱性が浮き彫りになりました。それぞれが生き残りをかけた対策を講じていますが、実際は各社毎の企業体力に寄るところが大きいと言えるでしょう。

——政府の支援体制はどうでしょう。

壁田:世界観光ランキングでもトップ20に入る上位国であり、観光立国と言われるマレーシアですが今般のコロナ禍において、現時点では観光業に対する特別な支援は少なく、他の産業同様に企業努力が求められています。今後、日本の「Go To トラベルキャンペーン」のような分かりやすい施策に発展していく事を期待をしています。

——マレーシアは3月18日というかなり早い時期に行動制限令(MCO)を敷くという思い切った厳しい措置をとりましたが、効果がそれに見合っていない印象です。解除どころか年末まで延長となってしまいました。

壁田:仮に先月(9月)にRMCOが解除されていれば「あの早い時期でのロックダウンは英断だった」という評価になったと思うのですが、結果的に12月末まで延長されたことでガッカリした方も多かったのではないでしょうか。ここまで我慢に我慢を重ねてきた我々の希望は奪われ、もう一段踏み込んだ費用圧縮の対策に追われる事になりました。もし8月末で終わっていれば・・・もしは無いですが各社とも進む道が大きく変わっていたと思います。

「ゼロよりまし」の功罪

——御社サンライズ・ツアーズ&トラベルのお話をお願いします。

壁田:弊社は日本旅行のマレーシア総代理店です。クアラルンプールを本拠地にした総合旅行社でありインバウンド事業は主にマレーシアを訪れる日本人のお客様を、アウトバウンド事業は在馬日系企業の業務渡航や団体旅行のお手伝いを中心にサービス展開をさせていただいております。

——インバウンドとアウトバウンドではコロナの影響はどのように違いますか?

壁田:当社のインバンド事業は日本からの来馬顧客をメインに取り扱うため、マレーシアのRMCOの解除時期に限らず、日本国内における海外旅行需要復活の時期が大きな鍵になります。一方、アウトバウンド部門ですがマレーシアのRMCOが年末まで延長された影響は甚大です。来年早々の市場の戻りに期待をし、その準備をするより手立てがありません。インもアウトも本年いっぱい動きのない(収入が見込めない)この状態、そしてこの時間をどうやって乗り越えるかは目下の課題です。

——アウトバウンドについては、ベトナムとかタイ、中国、豪州、ニュージーランドといった感染を抑え込んだ国を対象に「グリーンゾーン」国として観光渡航も解禁していこうという動きがあり、マレーシアの観光大臣もそうした交渉を他国と進める意向を示しています。

壁田:市場回復過程で「グリーンゾーン」渡航制度が確立され、段階的に渡航国が増えるのは喜ばしい事ですが、必ずしもそれだけでは十分とは言えません。もちろん一部のビジネス需要の回復は小さな光であり希望です。しかしながら一般的な旅行者にも、そして旅行業界にとってもより分かりやすい対策が投入される事を心から期待しています。

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——MCO延長のため年内は回復が期待できなくなりました。そうした中、生き残りのために物品販売をやっている旅行会社もあると聞きます。

壁田:「収入ゼロよりは何でもやって少しでも収入を得よう」という考えに基づいて実施しているところは多いようです。各社毎の判断ですからそれをとやかく言うつもりはありません。ただ、ポスト・コロナでもその分野に進出していくつもりで本気でやっているものと、言葉通り手当り次第にやっているものが混在しているように感じます。

——これまでにも現地のおみやげを車内販売する旅行会社が多くありましたが、これはガイドさんが観光のついでに売る訳です。本業(旅行)があるからプラスアルファの儲けになるからいいのでしょうが、本業が無いのに売るという事になれば勝手が違うし、経費も余計にかかってしまいます。

壁田:はい、付帯販売と呼ばれるものですね。たしかに主力商品であるツアーと比べると「付帯=オマケ」的な存在ではありますが、旅行全体を輝かせる名脇役だとも言えます。そこにはしっかりとしたストーリーがありました。ですから脇役だけを必死で売るような事は無かったのですし、旅行に直接関係ないものであればなおさらです。

——まったく本業と関係の無いものを売っている旅行会社もあるようですがいますが、これでは将来には繋がらないですよね。

壁田:旅行業はその歴史の中で常に形態を変えてきました。旅行という形の無い商品を取り扱う我々にとって、売るものが変化していくことに大きな戸惑いはありません。ただし今般のコロナ禍中で「生き残りの為に迫られた急激な変化」は、「ゼロよりマシ」「売れれば何でもいい」等、ストーリー性のない無策な物販に走ったものと、コロナ問題が明けた後も本業の旅行商品と融合できる(させる)戦略的ものとに大別されていると思います。

※本記事は中編・後編に続きます。