丸紅などの合弁MRO、スバン空港に新整備施設を開設

【シャアラム】 丸紅などの合弁による航空機整備専門会社カーボンMROサービシズ(KMRO)は8日、セランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)で、拡張した整備施設の開設式を行った。

今回、主に格納庫を改装し、単通路のナローボディー機2機の整備を同時に行うことができるようにした。マレーシア民間航空局(CAAM)からすでに、ボーイング737とエアバスA320の両方の機種の整備を行うための認定を受けている。

また、傘下に新たにカーボン・エンジン・サービシズを設立。航空機エンジンに関する包括的なサービスを提供する。

KMROは2023年に、丸紅と、航空機整備などを手掛けるマレーシアのディビエーショングループの合弁で設立された。ディビエーショングループのケビン・テオ社長によると、1年以内に最大で航空機30機のMRO(保守・整備・オーバーオール)契約獲得を目標に、格納庫の稼働率の現在の10%からの向上を図る。

開設式には、丸紅執行役員の岡崎徹エアロスペース・モビリティ部門長らが出席。岡崎氏は、マレーシアは東南アジアの中心に位置し航空産業の発展に理想的とし「アジアにおけるプレゼンスを高め、マレーシアの航空産業の発展に貢献する」と述べた。

同じく式典に出席した投資貿易産業省(MITI)のハナフィ・サクリ副事務次官(産業担当)は日馬の協業による今回の取り組みを歓迎するとともに、米国の相互関税対象から航空宇宙産業を除外するよう交渉を行っていることを強調した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、5月8日、ザ・スター、5月9日)

岸田前首相が来馬、脱炭素化推進でアンワル首相らと会談

【クアラルンプール】 岸田文雄前首相が5ー6日の日程でマレーシアを訪れ、アンワル・イブラヒム首相、ファディラ・ユソフ エネルギー移行・水利転換相、ニック・ナズミ天然資源・環境持続可能性相と、それぞれ個別に会い、脱炭素化などをテーマに意見交換した。

石破茂首相の特使である岸田前首相は、首相在任時の2022年に自ら提唱した「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想の議員連盟最高顧問として来馬した。AZEC構想は、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)などが連携して、脱炭素化と経済成長を目指す取り組みで、今年10月にマレーシアでAZEC首脳会議が開催される。

アンワル首相への表敬訪問は、特産品のドリアンをアンワル首相がプレゼントするなど、和やかな雰囲気で行われた。アンワル首相はASEAN議長国としてAZECへの協力を強調。さらなる推進に向け、分野横断的なエネルギー協力センターをマレーシアに共同で設置することなどについても話し合われたという。

また、首相府相(サバ・サラワク州問題担当)を兼任するファディラ氏とは、サラワク―マレー半島間の送電網整備を含め、エネルギー分野などでの一層の技術協力の可能性を検討。ニック・ナズミ氏とは、二国間クレジット制度(JCM)の協力覚書への署名に向けた作業を加速させることなどについて議論した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、5月6日、外務省発表資料)

ジェトロ、脱炭素分野でマレーシアへの投資増加を予想

【クアラルンプール】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、脱炭素分野を中心に今年の日本からマレーシアへの投資がさらに増加すると見込んでいる。ジェトロ・クアラルンプール事務所の高野光一所長が国営「ベルナマ通信」のインタビューで見解を述べた。

高野所長は、ジェトロとマレーシア日本人商工会議所(JACTIM)が共同で実施した2025年度の日系企業アンケート調査結果に基づいて説明。2024年下期の業況判断DIはマイナス11.5と、前年下期のマイナス22.1から改善し、さらに2025年にはマイナス4.5ポイントへの改善が予想されるとした。

また、今年はマレーシアで、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に続き、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合も開催され、脱炭素化分野に関して注目が高まると指摘。再生可能エネルギーや、二酸化炭素回収・貯留(CCS)、水素などのプロジェクトが一層活発化する可能性を示した。そのほか、石油・ガス、半導体、バイオテクノロジー、ヘルスケア分野などへの投資の増加が見込まれるとした。

米国による関税措置による世界経済の不確実性にも触れ、ASEAN内で議論に向け、マレーシア政府のリーダーシップに期待。日系企業アンケートから「環境・社会・ガバナンス(ESG)関連投資の明確化、税制優遇措置の拡充、規制変更時の徹底した事前通知に対する強い要望がある」と付け加えた。
(ベルナマ通信、5月5日)

三菱モーターズ、カジャンに3Sセンターを開設

【クアラルンプール】 三菱モーターズ・マレーシア(MMM)はこのほど、セランゴール州カジャンに3S(販売、サービス、部品交換)センターを開設した。首都圏クランバレーにおける三菱自動車のネットワークは19拠点になった。

新センターは、敷地面積1万5,800平方フィート(1,500平方メートル)で延べ床面積は9,600平方フィート(930平方メートル)。正規販売店のミレニアム・オートハウスが運営する。ミレニアム・オートハウスにとって、2021年9月に開設したコタ・ダマンサラ店に続く、2番目の拠点となる。クロスオーバーMPV(多目的車)「エクスパンダー」や、ピックアップトラック「トライトン」などの人気車種を展示し、販売とアフターサービスの両方を提供する。

MMMの池田真也 最高経営責任者(CEO)は「センター開設はミレニアム・オートハウスとのパートナーシップを強化し、クランバレー全域における三菱自動車のプレゼンス拡大という両社の共通のコミットメントを反映している」としている。
(カーシフ、ポールタン、4月28日)

武藤経産相が来馬、ザフルル通産相と会談

【クアラルンプール】 米政権の関税措置を受け武藤容治経済産業相は27日から30日にかけ、マレーシアとタイを訪問し、閣僚と会談した。クアラルンプールでは28日、テンク・ザフルル投資貿易産業相と会談、2国間および日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)における産業協力について意見を交換した。

ザフルル氏のXへの投稿によると、世界的な先行き不透明の中、両国は人工知能(AI)と次世代自動車の分野で2国間連携を深めることを確認した。現在の国際経済環境への対応についても意見を交換。「マレーシアおよび日本は公正で実効性のある解決策を探るため、一致団結しなければならない」とした。

アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)について連携していくことも確認したという。AZECとはほとんどのASEAN加盟国と日本、豪州の11カ国が参加する、域内のカーボンニュートラルを目指す協力の枠組み。

タイで会見を開いた武藤氏は米政権による関税措置について、ASEAN諸国と連携を取りながら、ルールに基づく多角的な貿易体制を守っていきたいと述べた。
(エッジ、マレー・メイル、報道資料、4月29日)

産直ECのセカイマルシェ、経産省の補助金事業に採択

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 東南アジアで生鮮食品の産地直売EC(電子商取引)を展開するセカイマルシェ(本社・東京都江東区)は29日、人工知能(AI)を活用したECプラットフォーム構築の取り組みが、経済産業省の補助金事業として採択されたと発表した。

採択されたのは、経産省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」。今回の補助金を通じ、AIを活用して需要予測、ピッキング・配送の自動化などを進め、効率性と価格競争力を高め、シェア拡大を図るという。

セカイマルシェは2020年からマレーシアを中心に、産直ECの取り組みを進めており、生産者450社、ホテル・レストラン・ケータリング(HORECA)事業者1,700社と取引実績がある。

外食向け商材のオザックス、KLのホテル向け卸売企業を子会社化

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 外食産業向け紙・フィルム・消耗材などの専門商社オザックス(本社・大阪市中央区)は28日、クアラルンプール市(KL)に拠点を置くFKFホテル&レストラン・サプライズの株式80%を取得したと発表した。

FKFは2007年創業で、高級ホテルチェーンなどを顧客基盤とする、厨房機器、調理器具、食器などの業務用卸売企業。オザックスは海外事業の拡大を目指しており、マレーシアのホテル市場では、多くのグローバルホテルの開業が予定され2024年から2028年にかけて年率6%のベースで成長するといわれていることから、FKFの子会社化を決めた。

オザックスは今後も東南アジア市場で事業の拡大を図る。

フェローテックが第2工場を起工、1千人の雇用創出を予定

【クリム=アジアインフォネット】 フェローテックホールディングス(本社・東京都中央区)は22日、ケダ州クリム・ハイテク・パークで第2工場建設の起工式を行った。投資額は10億リンギ(2億2,600万米ドル)。これにより、同社のマレーシアへの総投資額は19億リンギに達する。

子会社、フェローテック・マニュファクチャリング・マレーシア(FTMM)が運営する第2工場は、面積が約8万平方メートルで、年内に完成する見通し。インダストリー4.0規格に沿って700台以上のコンピュータ数値制御(CNC)工作機械、スマート生産ライン、モノのインターネット(IoT)対応システム、予知保全機能を備える。

1,000人以上の高付加価値雇用の創出、フェローテックの半導体部品の精密製造能力強化が見込まれる。東南アジアにおけるフェローテックの事業基盤を強化し、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカを含むグローバル市場への迅速な納品、顧客サービスの向上、そしてイノベーションの推進を可能にすると期待されるという。

FTMMはマレーシアの半導体等装置関連製品の量産拠点として2022年設立。半導体等装置関連事業製品の製造販売(金属加工、ロボット組立、石英・セラミックス加工製造等)および化学洗浄、アルマイト、メッキなどの表面処理特殊工程に関するサービスを手掛けている。

住友電設、ペナン州の機械設備工事会社2社を子会社化

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 住友電設(本社・大阪市西区)は21日、ペナン州に拠点を置く機械設備工事会社2社の株式を取得し、子会社化する契約を締結した。

子会社化したのは、機械設備の設計・施工を行っているDY MNGとDY MNGエンジニアリングの2社。住友電設は1979年設立でクアラルンプール市拠点のマレーシア現地法人テマコン・エンジニアリングがあるが、今後は連携してマレーシアでの事業拡大を図る。株式譲渡額は公表されていないが、5月30日を予定している。

いすゞ「D-MAX」、第1四半期に過去最大のシェアを獲得

【クアラルンプール】 いすゞ自動車のピックアップトラック「D-MAX」は、今年第1四半期でマレーシア市場におけるセグメント2位に躍進、国内シェアは昨年同期の14.0%から18.3%に上昇し過去最高を記録した。

最も人気のあるモデルは1.9リッター4気筒ディーゼル・ターボエンジン搭載車で、これら3バリアントは総販売台数の72.7%を占めた。うち2バリアントはわずか1回の給油で2,004キロメートルを走行し、マレーシア記録に認定された。

いすゞマレーシアの十川憲吉 最高執行責任者(COO)は、昨年実施されたディーゼル補助金合理化という逆風にも関わらずシェアが拡大していることに言及。「優れた燃費、信頼性、パフォーマンスを背景にD-MAXの価値に気づく購入者が増えていると考えている。顧客はランニングコストが低く、信頼できるパフォーマンスと、安価な道路税を備えた高性能な車を選んでいる」と述べた。

いすゞは強固な地盤をもつ東マレーシアでは28.4%という高い市場シェアを占めているが、半島部でも販売シェアが2024年の12.1%から今年は17.1%に急上昇している。
(モタオート、ジグホイールズ、カーリスト、4月21日)