観賞魚養殖のシアンロンがアジアアロワナ輸出へ、大阪万博通じ

【クアラルンプール】 観賞魚養殖を手掛けるシアンロン・アクアティック(祥龍魚場)は大阪・関西万博を通じて、高級鑑賞魚アジアアロワナの日本への輸出を目指している。

アジアアロワナは、アロワナの中でも色彩が豊かで、高級品種として知られている。野生のアジアアロワナは絶滅危惧種としてワシントン条約(CITES)で商取引が禁止されている。これに対し、1978年にジョホール州で創業されたシアンロンは、1994年からアジアアロワナの商業的飼育と輸出を行う世界初のCITES登録企業として、中国にも養殖場を設立するなど国際的に事業を展開している。

日本にもかつては販売代理店があったが、現在は販売代理店がない状態。今回、大阪万博を通じて日本市場再参入に向け、複数の会社と協議を続けている。飼育には生態系などに最大限の配慮をしているという。

ン・チャーリー取締役は「アロワナは癒しの存在。もし提携が成功すれば、6桁の輸出収入を生み出す可能性がある」と説明。今後、日本だけでなく、アジア各国で販売代理店の設置に取り組んでいく。
(ベルナマ通信、7月11日)

微細藻類のバイオマスプロジェクトでサバ州政府系企業など提携

【コタキナバル】 サバ州政府系企業SAIPと、CCEパワー・ホールディングスは10日、同州キマニスの農業工業地区における微細藻類を原料とするバイオマスプロジェクトの開発で覚書を締結した。

プロジェクトでは、まず日本企業と協力して、100ヘクタールの土地に微細藻類を栽培。日光を必要としない閉鎖タンク式で培養され、5―7日で収穫できるという。その後1,000ヘクタールへの拡大も予定している。

さらに主に2つの生産ラインを備えた施設を建設。1つは微細藻類から産出される油から、持続可能な航空燃料(SAF)などを生産するためのもので、もう1つは微細藻類を乾燥させてバイオマス燃料として30メガワットを発電する施設になる。バイオマス発電所は3段階に分けて進められる予定で、年内にも始まる第1フェーズではパーム油由来のバイオマスを100%使用。第2フェーズではパームバイオマスと微細藻類を混合し、第3フェーズでは微細藻類を70%、パームバイオマスを30%使用する予定という。

州産業開発・起業家支援相で、SAIP会長も務めるフーン・ジンジャ氏は「サバ州は国内で最も有数の藻類産業拠点の一つとなる可能性を秘めている」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ボルネオポスト、7月10日)

大阪万博は日馬の関係強化の絶好の機会=ジェトロ

【クアラルンプール】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、開催中の大阪・関西万博が日本とマレーシアの経済関係強化に向けた絶好の機会と捉え、脱炭素化、再生可能エネルギー、デジタル技術などにおける投資のさらなる拡大を見込んでいる。ジェトロ・クアラルンプール事務所の高野光一所長が国営「ベルナマ通信」のインタビューで見解を示した。

高野所長は、大阪万博を通じた投資が好調なことに触れながら、既存の信頼関係を強化することが、今後の両国の貿易関係の潜在能力を最大限に引き出すために最も重要なステップであるとした。

さらに、今年10月にマレーシアで開催予定の「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」首脳会議を踏まえ、協力は加速されるだろうと予測。マレーシアにおける日本の環境技術の適用機会拡大に向け、温室効果ガス削減に関する二国間クレジット制度(JCM)交渉の進捗にも期待感を示した。

ジェトロとしても脱炭素化に貢献する企業のカタログを作成するなど、日本企業のマレーシア市場への進出を積極的に支援していることを強調。また労働力問題は両国共通の課題で、人材育成などでも互いの長期的なコミットメント、継続的な対話、政策協調が重要とし、「今後も両国の協力の架け橋としての役割を担っていく」と付け加えた。
(ベルナマ通信、7月10日)

マレーシア航空、21日まで日本路線のキャンペーン実施

【クアラルンプール】 マレーシア航空は、7―21日まで日本路線を対象にしたキャンペーン「JPグローバル・エコノミークラス・キャンペーン」を実施している。

対象は、東京(成田)と大阪(関西)発着マレーシアおよびマレーシア以遠のビジネスクラスとエコノミークラスの片道と往復航空券。ただし、マレーシア行きのエコノミークラスは往復航空券のみとなる。対象出発期間は2026年3月31日まで(年末年始などの除外日あり)。

往復最低運賃(燃油サーチャージ・諸税込み)は、エコノミークラスの東京―クアラルンプール9万4,260円、大阪―クアラルンプール8万3,930円。
(トライシー、7月7日)

ハイアットリージェンシーが来月KLで営業開始、設計は隈研吾

【クアラルンプール】 米ハイアットホテルズアンドリゾーツは8月26日、クアラルンプール(KL)の複合ビルKLミッドタウンに整備したホテル「ハイアットリージェンシークアラルンプール・アットKLミッドタウン」を開業する。クアラルンプールにおけるハイアットグループのホテルはこれが7軒目。「和の大家」と称される日本の隈研吾が設計した。

所在地はマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)の向かい側で、近くにはマレーシア対外貿易開発公社(MATRADE)がある。

ティル・マーティン支配人は「ビジネスとレジャーが融合する活気ある滞在先として、ハイアットリージェンシークアラルンプールはKLにおける接客体験の概念を変え、会議・ライフスタイルの中心地としてのKLミッドタウンの地位向上に貢献する」と述べた。ホテル客室306室とサービス住宅104室で構成する。
(エッジ、7月7日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、7月6日)

ペトロナスがカナダから初のLNG輸出、日本向け

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は、同社が25%出資するLNGカナダの施設から初めて液化天然ガス(LNG)の積み出しを開始した。貨物は日本向け。

運営主体のLNGカナダは、ブリティッシュコロンビア州キティマトに設立された、LNG輸出ターミナルを建設するための合弁会社で、40%出資するシェルが主導し、三菱商事や中国、韓国のガス会社も出資している。

輸出ターミナルはエネルギー効率の高いガスタービンや、メタンガス漏れを検知・軽減する先端システムを採用。また水力、再生可能エネルギーで主に発電するブリティッシュコロンビア水力発電局(BCハイドロ)から電力供給を受けており、地球温暖化ガス排出が通常のLNGプラントより60%少ない点が特徴だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、チャンネル・ニュース・アジア、ペトロナス発表資料、7月7日)

岩屋毅外相がASEAN外相会議で初来馬

【クアラルンプール】 岩屋毅外相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の出席のため、昨年10月の大臣就任後初めてマレーシアを公式訪問する。11日にマレーシアと日本の共催で開かれる、パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)では共同議長を務める。

第58回ASEAN外相会議は8―11日にクアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)で開催され、岩屋外相は9日の到着が予定されている。四方敬之 駐マレーシア日本大使はベルナマ通信などの取材に対し、「今回の訪問は、日本の東南アジアへの深い関与と、人道支援やエネルギー転換、教育、海洋安全保障に至るまで、地域および世界の主要課題についてマレーシアと緊密に協力していくというコミットメントを反映している」と説明した。

また2013年に発足したCEAPADでは、パレスチナに対する人道支援と開発支援に今後どのように取り組むかが議論され、日馬両国が協力して重要な役割を果たすことが期待されている。
(ザ・サン、ベルナマ通信、7月6日)

見守り介護ロボの日系ZIPCARE、UKMなどと共同研究開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 介護機器などを手掛けるZIPCARE(ジップケア、本社・東京都千代田区)は3日、高齢者の健康モニタリングと人工知能(AI)解析に関し、マレーシア国民大学 (UKM)などとの共同研究の開始を発表。今後、マレーシアなどでの事業展開を目指していく。

同社は見守り介護ロボット「MAMORUNO(マモルーノ)」を開発。ベッドなどに設置したセンサーを通じて高齢者の離床、起床、呼吸変化、脈拍変化や居室環境などを非接触で常時モニタリングすることができる。

今回、UKMと、UKM発のスタートアップ企業、IDNAアイデアズと提携。今月から、セランゴール州バンギの介護施設、セルケア・サキナに同ロボット10台を導入した。得られたデータを基に、ケアの負担軽減や事故リスク低減に向け検証していく。

同社はマレーシアを選んだ理由として、急速に進む高齢化を挙げる。2030年までに全人口の15%以上が65歳以上になると予測されている一方で、日本のような公的介護保険制度が存在しないため、家族介護への依存、民間施設での介護の質などが問題になっていると指摘。データを解析し、日本の要介護分類に基づいてマッピングし、マレーシアの現場に適応した独自ケア基準を策定するなど、科学的介護を推進していきたいとしている。

同社はマレーシアでの拠点設立や東南アジアへの事業展開を視野に入れており、坂本創志 最高経営責任者(CEO)は「”超高齢社会の先進国”として日本で培った、高齢者個人の尊厳を尊重したケアのスキルとノウハウを、今後マレーシアを起点にアジア諸国とも共創していきたい」としている。

ぴあがマラヤ大学との連携開始、言語学部の「花火大会」に協力

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ぴあ(本社・東京都渋谷区)は、グローバルリージョン展開強化の一環としてマラヤ大学言語学部と連携していくことで合意覚書(MOU)を締結したと発表した。

まずは同大学主催イベントに対し、日本コンテンツの提供、出演者ブッキング、協賛営業、イベント運営支援等を通じて、日本文化の交流を行う。将来的には、ぴあが架け橋となり、日本とマレーシアの間での人材・文化交流を拡充していく予定。また、各国政府、文化機関、現地企業との連携なども視野に入れて活動を推進していく。

第1弾の取り組みとして、同大学の公認サークル「ジャパニーズ・クラブ・ユニバーシティ・マラヤ (JCUM)」が主催する学内イベント「花火大会」(6月28日開催)に協力名義で参画した。ぴあが落語協会、ホリプロインターナショナルの協力を得て、出演者をブッキング。落語家の柳家喬之助、林家楽一、歌手・作詞家の大木貢祐が登場し、それぞれ落語、紙切りといった古典芸能や、アニソンライブなど、日本ならではのカルチャーを披露した。

糖尿病重症化予防のセカンドハート、マレーシアで事業を展開

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 糖尿病重症化予防に取り組むセカンドハート(本社・京都府長岡京市)は6月30日、糖尿病による足切断をなくすことを目的とした足ケア管理アプリ「ステップライフ」が総務省の支援事業として採択されたと発表。今後、マレーシア社会保障機構(PERKESO)との連携など海外展開を加速させるという。

2019年創業のセカンドハートは、糖尿病に特化した予防事業を手掛けている。糖尿病の場合、神経障害や血流障害が発生し足にトラブルが出やすくなり、重症化すると切断が必要になる。日本では糖尿病患者約1000万人のうち年間約1万人が切断を余儀なくされている。このため同社は独自にアプリを開発し、足の状況を日々記録し、ケアにつなげている。

今回、このアプリを通じ、総務省の「安全性・信頼性を確保したデジタルインフラの海外展開支援事業」の地方枠に採択された。糖尿病が社会問題化しているマレーシアを皮切りに、官民連携体制を確立。英語やマレー語などアプリの多言語化や、現地の実情や文化的背景などを考慮した改良を図っていく。