【人生の知恵・仕事の知恵】A sense of abnormal situation

A sense of abnormal situation

★平時と非常時

先週の1on1の「意思決定」についてのコーチングで、女性受講者の異常発生時の意思決定の様子が平時の対応に伺えたので、以下のように指摘しました。

「異常時において大切なことは、現場で判断することと、進めるかもしくは止めるかを判断することです。今、平時なのか、それともそうでないのか、察知しないといけません」

★バットニュースのギャップ

海外の工場でバッドニュースファーストというと誤解をされがちなのは、バッドニュースが起きてから報告を意味すると捉えられがちと言うことです。

日本人にとっては、バッドニュースが起きること自体が問題と捉えるのですが、現地の人からの発想からすれば、「問題は起きるのが当たり前、防ぎようがない」と言う考え方で、その延長で、平時と非常時の認識にギャップが発生するのでしょう。

★適切な意思決定をできる感性

上述のような非常時に対する理解、そして、バッドニュースの発想を考えますと、日本人が期待する意思決定と現地社員との差が生まれるのは明白であるといえます。

従って、異常を異常と思える感性を磨くことが、適切な意思決定を促すためには不可欠です。

日本人の異常に対する考え方を、できるだけ移植していく場面を創造することも肝要です。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【人生の知恵・仕事の知恵】Too much incentives spoils you

Too much incentives spoils you

★企業買収その後

昨年、英国企業に買収された、かつてクライアントだったシンガポールの某日系企業男性工場責任者に近況を確認しました。

「今の会社(英国企業)は、ボトムアップだね。あと、色々なイベントがあって、
社員を大切にしているという印象がある」

誤解がないように説明を加えますと、彼は買収前からも第一線でメンバーを引っ張ってきた優秀な人材で、日本企業の文化を賞賛していた人物です。また、同社も改善活動を実施してきました。

それでも、改善活動がボトムアップの象徴に映らなかったのは、民族性の違いに
求める以外にないのかもしれません。

★楽しむ場の確保

マレーシアでも同様ですが、現地社員の目線では、仕事のやり方・進め方に自分の意思が反映するかどうかで、その企業の風通しの良さを判断しません。

むしろ、職場でメンバー同士が友人のような関係になるかどうかが、自分の意見を言いやすい職場なのかどうかと関連します。

一方で、仕事とは指示をされたことだけを行うという考え方が一般的です。

仕事を自らの主体的に行うということが、現地社員から見れば、社員の意思を尊重しているという点にカウントされない傾向があります。

★気づきを促す

もっとも、職場のフレンドリーな雰囲気だけを醸成するだけでは、仕事力の向上には繋がりませんから、やがて、ドライな大量解雇という形で、幻想から目を覚ますことになります。

結局は、どの会社に属するかではなく、自らの能力を、日々の仕事の中で高めていくしかないことにしか、生き残る道はないことに気づかせることも肝要です。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【人生の知恵・仕事の知恵】Overcome barriers of languages

Overcome barriers of languages

★文盲のワーカー
先日、日本国内で外国人ワーカーを雇っている日本人経営者が、以下のように嘆いておられました。

「最近、文字が書けない読めない外国人が採用面接にきてね。日本もくるところまで来てしまったのかと心配になったよ」

日本で働くぐらいだから、せめて片言の日本語、あるいは英語を話す準備ができていると思いきや、母国語さえまともに操れない労働者が入ってきていることに、日本の外国人労働者政策が機能していないことが伺えます。

★中間層のいない国々

シンガポールでも、文盲に近いワーカーは大勢働いています。特に、同国は、母国語がないため、学校で教育を受けないと、書けない話せない人たちが大勢います。

筆者も、同国のワーカー向けのトレーニングを行うと、ハンドアウトが読めない、もしくはホワイトボードや模造紙に字が書けない受講者がいて、進行に苦労します。

世界は、日本人の想像以上に、知識レベルで中間層の薄い国がまだまだ存在します。

★末端まで伝える方法を考える

マレーシアの場合も同様で、英語もマレー語も通じないワーカーが現場に大勢働いています。

しかし、そのレベル感は、実際に、そのような人たちと直接コミュニケーションをとってみないと(もっとも、そもそもとれないのですが)肌感覚では伝わってこないものです。

多国籍の共通言語がない職場の中で、いかに方針を徹底させるか、思案のしどころです。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【人生の知恵・仕事の知恵】Clarify what you want

Clarify what you want

★離職率を下げる

過日、シンガポールの某日系企業の現地男性マネージャーとウエビナーで1on1のマネージメント研修を行った時のことです。

当該マネージャーが、当面の課題として、離職率を下げることを挙げました。
離職する原因を尋ねたところ、「人間関係の問題」という回答でした。

曰く、上司から厳しい叱責を受けるなどを挙げておられ、そのことから上司は
部下に優しく接するように心がけているとのことでした。

「離職率は下がった」と述べられていました。

★育成という視点

一方で、筆者から、育成という視点で、以下のように問いかけました。

「離職率の低下という点では、上司からの部下への言葉のかけ方の改善は理解できます。
伺いたいのは、今後、後継者を育てていくにあたっては、時には敢えて逆風に晒すシーンも出てくると思います。

厳しい環境に置いて成長を促すという視点も大切では?」

この問いかけには、当該受講者も理解をしてもらえました。

★部下に何を求めるのか

育成を考えるとき、部下の要望にこたえるという視点よりも、部下に期待を理解して
もらうことが肝要です。

部下として一番困るのは、一体何を期待されていて、どうすれば期待に答えられるのかが
わからないときです。

その期待がわからないまま、叱責をされれば、自らを不要な人間と判断して去って
いくでしょう。

まずは、期待値を明らかにすることが肝要です。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【人生の知恵・仕事の知恵】Describe image of how you want to become

Describe image of how you want to become

★嫌われる理由

先日、某社で複数社員との個別コーチングをした時です。
事前に社長さんから、対象者の人となりを伺っていました。

その中で、「他部門と社員をいじめている」と悪評が立っている経理の女性社員について
事前情報を共有しました。

筆者も、よく知っており、仕事熱心で責任感も強い社員だけに、真相を知りたいという
気持ちでした。

★会話で見えてきた真相

とはいえ、いきなり「他部門からいじめていると評判ですよ」と問いただすわけにも
いかず、四方山の質問をしながら、本当に知りたい事柄を察しようとコーチングを
進めました。

すると、はっきりと見えてきた輪郭は、こういうことでした。

つまり、彼女にはわかっていて他部門にはわからない専門性の分野について協力を
要請する時、彼女しかわからない部分を相手がわかるように伝えないということでした。

そのため、半知半解のまま協力を依頼された他部門の社員は、「彼女がいじめている」と
決めつけたという真相のようです。

そこで、彼女には、いじめの話題を触れないながらも、人に協力を求めるときは、相手の
立場になって折衝をするようにアドバイスをした次第です。

★ありたい姿を明らかにする

ただ、コミュニケーションの取り方だけを伝えると、彼女は疑心暗鬼になるため、
彼女が描くこうありたいという将来像をお互いの話し合いで明らかにすることを
優先しました。

そうした大きな絵、全体像を描いた上で、日々の行動を振り返ることで
彼女の納得感も高まりました。
まずはありたい姿があるからこそ、あるべき行動が促されるというものです。

 

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【人生の知恵・仕事の知恵】No one likes poverty

No one likes poverty

★ 原因

先日の某国での研修でのことです。

ある現地男性受講者が貧困についての話題を取り上げ、曰く、「貧困の原因は政府の腐敗にある」と言及しました。

その日の夜、同国に滞在されている日本人の方に、そのことについて話したところ、
「貧困の原因は政府の腐敗と関係ありませんよ。この国の人たちの価値基準はこの国の人たちが決めるのです」と男性の言説を否定されました。

現地の人が貧困は嫌だと話しているにもかかわらず、外国人である日本人がその主張を否定することに首を傾げざるをえませんでした。

★貧困からの脱却

昭和9年、経営に行き詰まりを感じていた松下幸之助が知人の誘いで奈良県の天理市を訪れた時、天理教の人たちが、無報酬で生き生きと作業をしていることに驚きと感銘を受け、企業にも理念が大切であるという考えに思い至りました。

そして、「貧困からの脱却」を企業理念に掲げたことは、時あたかも昭和恐慌直後という世相を反映していたとも言えますし、当時の我が國には娘を売らざるをえないような貧困が存在していたということを物語っています。

★手を見ることが減った日本人

先述のエピソードに戻りますと、貧困と質素であることは明らかに違います。
おそらく、「こちらの国の人の価値基準」を主張された日本人男性は、質素倹約をイメージされたように思います。

しかし、貧困は全く違います。明日の食事にも事欠く姿、自立できない姿、子供を売らざるをえない姿、惨めなものです。

その中で、日本人より陽気に振る舞っているのは、南国特有の気候や人間性にも負っているというだけです。貧困が良いなどという価値判断を持っているはずがありません。

日本人はかつてのすっかり貧困を忘れてしまったと思いますし、改めて経験をすることでもないのですが、少なくとも、現地の人たちの働く理由には、貧困からの脱却があるということを理解しておくことは不可欠です。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【人生の知恵・仕事の知恵】Describe image of middle manager

Describe image of middle manager

★中間層の減少

円安の影響を受けて、訪日客の数が、目でみて増えていることがよくわかります。
日本人しかいない場所は、せいぜい、書店もしくは立ち飲み屋(外国人観光客は
立ちながらお酒を飲む姿に魅力を感じない)位です。

諸外国は豊かになっているにもかかわらず、日本だけが貧しくなっているような
と印象だけではなく現実感を持って覚える日本人は増えています。

日本からかつてのような中間層が減っていることを痛切に感じます。

★特異性

一方で、日本のような中間層が存在する国が少ないという視点は、日本の
特殊性を語る上で見逃せません。

筆者の研修でも、現地社員から「ミドルマネージャーとはなんですか?」と
質問を受けることから伺えます。

海外では、中間とはあくまで収入などのステイタスであって、日本のように
責任や働きを指し示すものではありません。

従って、日本における中間層というのは、あくまで組織の要として恒常的に存在
するものであるということは、強みでもあります。

★言葉よりもイメージ

日本の組織を支えてきたのは、そうした中間層の人たちであり、これからもそう
あり続けるということは、単に言葉で伝えるだけではなく、図などでイメージを
持たせることが大切です。

数値の上では減少していく中間層として、組織の要としての役割は変わらない
以上、常にその姿を自己の中に描かせておくことが欠かせません。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【人生の知恵・仕事の知恵】 Whom do you want to choose?

Whom do you want to choose?

★5Sができない理由

以前、某社のマレーシア法人を5S研修の打ち合わせで尋ねた時のことです。面談した日本人の現地法人責任者の方が、「我が社でもっとも信頼できる人間です」とインド系の男性社員を紹介されました。

彼は弁舌爽やかに、いかに5Sを導入することがマレーシアで難しいかを話してくれました。

わかっているなら、やったらどうですか?と思わざるを得ませんでした。

★補佐役という誤解

現実的に言えば、多くの現地社員は、I come here to help Japanese と考えています。最終的には日本人が決断をして行動すると認識しています。

従って、日本人の「あいつは補佐役だ」という想いとは裏腹に、全ての決定事項に関わることを避けます。

当然、そのことは現場の現地社員の方が認識をしており、「あいつは日本人の顔色を伺っているだけだよ」と白けています。

そんな職場で一気通貫の運営などできるはずがありません。

★Mさんの思い出

その点、以前、シンガポールで某社の現地法人責任者をされていた現地社員のMさんは、リーダーとしても素晴らしく、また補佐役としても、優秀な方でした。

Mさんが現地法人責任者を就任させたのは、前任の日本人責任者Sさんでした。本社からは、「現地社員を責任者に任せたら、日本人の仕事がなくなるじゃないか」と反対がありました。

しかし、SさんはMさんの意思決定力をアピールして主張を譲りませんでした。本社はSさんの主張を受け入れ、Mさんは後任として就任しました。

Mさんは、その後、見事重責を果たされました。朝早くプラントを訪れ、現場を巡回して、メンバーの育成にも余念のない素晴らしい仕事ぶりでした。

Mさんは現場の叩き上げの方でした。上長にもはっきりと物申す人でしたので、Sさんという上長に出会わなければ、登用されていなかったかもしれません。

Mさんの件は、経営の現地化を考える上で、ヒントになります。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【人生の知恵・仕事の知恵】 SEISO is continuous activity for good

SEISO is continuous activity for good

★トイレ掃除

 先週のオンライン研修で、イエローハットの創業者・鍵山秀三郎氏(現同社会長)がトイレ掃除

をしているところを受講者にみせ、感想を聞きました。

 筆者からの投げかけに対して、シンガポール人の男性受講者が以下のように回答しました。

 「日本人がシンガポールで自分の家でもないのに掃除をきちんとしている様子をよく見かけました。そうした姿勢について感銘します。従って、会社の代表者自らが掃除を行う姿勢を素晴らしいと思います」

 トイレ掃除を行う写真をみせると、海外では時折”disgusting” (吐き気を催す)という感想を聞く中で、 当該受講者の感想は救われる想いでした。

★清潔感の圧倒的な違い

  先日、世界の空港の清潔さについてのランキングを見る機会がありました。

  空港利用者が清潔と評価する上位の空港は、ほとんど日本の空港が占めており、日本人と

  して嬉しく思った次第です。

  筆者も、日本に帰国した時の整然とした空港の様子に、いつも深い安堵感を覚えます。

★掃除は継続という感覚

  いうまでもなく、日本人は子供の頃から学校などの集団生活の中で、自ら片付けることに慣れ

ています。そもそも乱雑にしておくという感覚がありません。

  鍵山秀三郎氏は、社内で掃除を浸透させるために10年かかったと話されています。

  日本で10年かかるのですから、そもそも乱雑にしておくことになんの抵抗もない海外では、

  スタート時点で全く異なります。

  しかし、そこで諦めるということではなく、「掃除は食事などと同じように、自分の任期を超えた

継続的な活動」と位置付けることが不可欠です。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【人生の知恵・仕事の知恵】 How to deliver contents

How to deliver contents

★日本報連相センター

筆者は日本報連相センターのアジア支部長を任されています。同センターは、国内外で600名以上の会員が加盟する社団法人です。

「報連相は仕事の進め方そのもの」という視点に立ち、日本国内の企業及び組織において、トレーニングを実施しています。

筆者が諸外国で行う報連相研修は、当該センターの研修内容よりも、オリジナルなものが多いのですが、上述の「報連相は仕事の進め方そのもの」という視点では共通した進め方です。

★Lカードの効用

また、報連相センターの研修では、Lカードを使用します。

同カードには、別途用意されている報連相レベル表(英文・中文あり)に記されている報連相の様々な行動(「仕事が終了したら、直ちに、命じた人に直接報告している」等)がカード1枚ごとに書かれています。

研修では、それらのLカードを使って、自らが気をつけている報連相の行動を受講者間で共有します。

カードは受講者一人一人に手渡され、自ら手元にカードを持つことによって、ちょうど、トランプや麻雀牌のように、カードの所有意識が高まることで、カードに書かれている文言も他人事ではないという当事者意識が芽生えるという効果があります。

★受け手の印象を左右する伝え方

このLカードを一人一人の受講者に配るという行為は、社員間や組織の間で感謝の意を表すサンクスカードを交換することと似通っています。

一人一人にカードを配ることで、あなただけへのメッセージという気持ちが伝わり、一枚のカードに感情が染み込みます。

伝え方とそのための道具を工夫することで、相手の心情を大きく左右します。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)