天然資源省、水道料金の見直しについて検討

【クアラルンプール】 ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は5月30日、水道料金の見直しを検討していると明らかにした。

水道会社アイル・セランゴールが実施する「ラサウ給水計画」の開始式典に参加したニック・ナズミ大臣は、水道事業者の財政的持続可能性が水道サービスの質に影響するとし、一部の州では20年以上料金体系が見直されていないことから、天然資源環境気候変動省が見直しを図っていると述べた。貧困層の負担増にならない形での値上げを検討しているという。

同じく式典に参加したセランゴール州のアミルディン・シャリ首相は、セランゴールにおける無収水率(NRW、漏水や盗水の割合を示す指標)は、パイプ交換や漏水対策、水処理施設の運用効率化により、2016年の36%から現在は27.8%まで減少し、2025年までに25%にすることを目標にしていると言明。セランゴールでは、2016年から全長3万キロメートル(km)のパイプ交換に取り組んでおり、コスト面への配慮から毎年計画的に150kmずつ交換作業を行っていると述べた。

ラサウ給水計画は、既存のスズ採掘池9カ所(489ヘクタール)を水源にするもので、スンガイ・ラサウ浄水場やクラン川を新たな原水供給源とする配水システムも建設し、水源確保と洪水軽減の両立を目指す。第1期は2025年に完工、第2期は2027年から開始し、工期3年を予定している。総工費は55.4億リンギ。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月31日、マレー・メイル、5月30日)

マレーシア味の素、23年3月期通年決算は増収減益

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア味の素は、2023年3月期通年(2022年4月ー2023年3月)の決算を発表した。売り上げは前年比24.6%増の6億375万リンギ、純利益は61.8%増の2,749万リンギだった。

第4四半期(2023年1ー3月期)の売り上げは前年同期比26.0%増の1億5,792万リンギ。純利益は2,310万リンギで、前年同期の1,742万リンギの赤字から黒字化した。

「味の素」の販売量増加と、国内・輸出市場における販売価格の改定により、コンシュマー事業部門の売り上げが34.4%増加したこと、業務用調味料の販売価格改定に伴い、工業事業部門の売り上げが3.8%増加したことがそれぞれ貢献した。また営業利益も、販売量の増加と原材料価格の低下により前年同期から2.5倍の1,060万リンギとなった。

今後の見通しについてマレーシア味の素は、コスト上昇圧力や高金利、インフレが家計を圧迫し、購買力に影響を及ぼすと予想。今後もサプライチェーンを引き続き監視し、消費者の期待や満足に応えるためのマーケティングや商品流通を行い、マーケットシェア拡大を目指すと同時にコストの管理も継続していくとした。

パナソニック製造、1ー3月期は53.4%の減益

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】  パナソニック・マニュファクチャリング・マレーシアは5月30日、同社第4四半期(2023年1ー3月)の純利益が前年同期比53.4%マイナスの735万リンギとなったと発表した。減収、営業・光熱費の増加、関連会社からの利益分配減少などが影響した。

売上高も炊飯器製造事業、キッチン家電製造事業からの撤退に伴い減少し、前年同期から6.34%減の1億9,553万リンギにとどまった。ベトナム市場において掃除機や家庭用シャワー製品の需要が低迷したものの、2021年12月の洪水の影響を脱し、2022年3月に生産が正常化したことで、扇風機製品の売上が増加した。
2023年度通期での純利益は前年度から55.56%増の8,013万リンギ。 売上高は14.14%増の9億9,163万リンギとなった。

同社は今後、新製品開発への取り組みを強化するとともに事業撤退に伴う売上減少に対処していくとし、生産性・効率性向上を目指し、製造設備における技術活用を進め、コスト削減策を実施しているとした。来期に向け、機動的かつ弾力的に課題に取り組んでいくという。

ペナン軽便鉄道、北の終点をタンジョンブンガに延伸へ

【ジョージタウン】 アンソニー・ローク運輸相は、ペナン島で計画されている軽便鉄道(LRT)計画第1期について、北の終点を現計画のコムターからさらに北部のタンジョン・ブンガまで延伸する方向で検討する考えを示した。バヤンレパスLRT(BLLRT)計画は当初ペナン州政府が単独で進めていたが、先ごろ連邦政府が追加資金提供を約束していた。

LRTプロジェクト視察のためにペナンを訪問したローク運輸相は予定されていた3島の人工島建設計画が1島に縮小されたことから、これに応じてLRT計画も見直す必要があると指摘。人工島に建設予定だった車両基地を既存の土地に建設することで連邦政府と州政府が同意したとして、予定より早く工事が進む可能性があると述べた。また車両基地の立地が決まれば年内にも第1期工事の入札が行われる予定だとし、推進母体である政府系MRTコープがコムター止まりではなくタンジョン・ブンガまで延伸する方が望ましいと考えていると述べた。

ペナンLRTの建設費用について、MRTコープは社債発行を計画している。第2期ではペナン海峡を越えてバターワース、ケパラ・バタスまでの延伸が計画されている。
(ザ・スター、5月31日、エッジ、5月30日)

イポー、6月から毎週土曜にレジ袋有料化

【イポー】 イポー市議会(MBI)は、6月1日から毎週土曜にレジ袋の使用で20センを徴収する「ノー・プラスチックバッグ」キャンペーンを実施すると発表した。

ルマイジ・バハリン市長は、キャンペーンは、環境の持続可能性に向け使い捨てプラスチックを減らすことを目的としており、徴収された20センは、学生や一般市民を対象とした環境維持プログラムの実施や、リサイクルキャンペーンに使われると述べた。

ルマイジ市長によると、同キャンペーンには、スーパーやコンビニ、ファストフード店、薬局など1,378店舗が参加し、対象店舗には「ノー・プラスチックバッグ・デー」参加店舗証明書が掲示される。事業許可証に追加条件を付与することで料金徴収を可能にしているという。

ルマイジ市長はまた、今月18日には、イポー市のライセンス部門が環境衛生部門と共同で120社との対話セッションを行い、その結果、22事業所(18%)が「レジ袋を使用しない事業所」として登録されたと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、5月29日)

リンギ安は続くとの予想、1ドル=4.75リンギの可能性も

【クアラルンプール】 リンギ安が止まらない。中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が今月3日、政策金利を引き上げた後は米ドルに対しやや値を上げたが、その後は下落に転じ、26日の外為市場では一時、1米ドル=4.6385リンギと半年ぶりの水準まで値下がりした。多くのエコノミストはリンギ安が続くと予想している。

シンクタンク市場教育センターのフェルリト最高責任者は、明確、包括的な経済戦略の欠如と中国経済の低迷を主因としてリンギ安は続くとみている。

バンク・ムアマラト・マレーシアのアフザニザム主任エコノミストは、リンギ相場は常に外的要因に左右されると指摘。経済が不透明な時は安全通貨の需要が高まるもので、そのあおりでリンギは値下がりすると述べた。

MARA工科大学のモハマド・イダム上級講師は、主要貿易相手国である中国の経済が減速しており、マレーシア産品の需要が減少するためリンギ安は続くとし、4.75リンギまで下落する可能性を指摘した。

米ドルに対してはシンガポール、韓国などの通貨も下落しており、BNMは、米欧の銀行危機で投資家が安全通貨に避難した結果と説明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月30日、マレー・メイル、5月26日)

ペナン島で住宅の短期レンタルが禁止に、宿泊業界は歓迎

【ジョージタウン=マレーシアBIZナビ】 ペナン州政府が25日、ペナン島内の個人所有の住宅短期レンタル(STRA)を同日付で禁止すると発表し、宿泊業界が歓迎の意を示している。STRAは「Airbnb」や「booking.comなどがネット仲介を行っている。

ペナン島市議会(MBPP)のラジェンドラン・アンソニー市長によると、▽サービス付きアパート▽スモールオフィス・ホームオフィス (SoHo)▽スモールオフィス・フレキシブルオフィス (SoFo)▽スモールオフィス・バーチャルオフィス (SoVo)▽オフィススイート▽デュプレックス・オフィスーーの6カテゴリーの商業施設は規制対象外。

個人でなく商用カテゴリーでSTRAを行うことは可能だが、それぞれの共同管理団体(JMB)または管理法人(MC)の承認を得る必要があり、年次総会で他の住民から75%の「賛成」票を得る必要がある。JMBとMCは1ユニット当たり最大250リンギの新規登録料、及び年間250ー500リンギの年会費を徴収する。
また各ユニットはMBPPに登録する必要があり、所有者はマレーシア会社委員会(CCM)の書類を提出する必要がある。この他、1ユニットあたり1,000ー3,000リンギの1回限りの保証金が求められる。STRAユニットのレンタルは年間最大で180日許可され、週3日に制限される。

マレーシア・バジェット・ビジネスホテル協会(MyBha)のガネーシュ・ミシェル会長は、ホスピタリティ・観光業界はここ数年、民間のSTRAによる打撃を受けているとして、禁止を決めたことは観光産業の改善に向けた良いスタートになるとコメント。ペナンで暮らしたい人に多くの住宅を提供できるようになるため、長期的な家賃低下にもつながると述べた。

KFCとピザハットが慈悲メニューに参加、低価格商品を提供

【クアラルンプール】 ファストフード・チェーンのケンタッキー・フライド・チキン(KFC)とピザハットは29日、5リンギ(約150円)の「慈悲(ラーマ)メニュー」を開始すると発表した。

KFCではチキン1ピース、バタースコッチ・バン、ミネラルウォーターを、ピザハットではパーソナルピザ(1人用小サイズピザ)とミネラルウォーターをセットにし、それぞれ5リンギで提供する。

サラフディン・アユブ国内取引物価相は、大手ファストフードである両ブランドが参加したことで慈悲メニューに対する懐疑的・否定的な意見が払拭できるとし、現在、大手レストランを含む3,000の食品販売業者が慈悲メニューを提供していると述べた。慈悲メニューは、食品価格の高騰に対する短期的な解決策として今年1月から始まったものだが、現在では、食品以外にも低価格商品を提供する動きが全国に広がっている。食品販売業者の参加は任意で、当初は赤字覚悟の参加が必要だったが、後に国内取引物価省が金銭的インセンティブを提供するとした。

両ブランドを国内展開する、QSRブランズ(M)ホールディングスのネーチャル・カンナ社長兼最高経営責任者(CEO)は、慈悲メニューは企業の社会的責任、つまり地域社会への恩返しであるとし、困難な時期を乗り切るために、現実的で実行可能な解決策だと述べた。
(マレー・メイル、5月29日)

三菱モーターズ、新4Sセンターをジョホールバルにオープン

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 三菱モーターズ・マレーシア(MMM)は29日、4S(販売、サービス、部品交換、板金塗装)センターをジョホール州ジョホールバルにオープンしたと発表した

ディーラーのMMシュプリームが運営するもので、建物面積は1万5,000平方フィート。ショールームは4台が展示できるようになっており、ラウンジにはWifiやキッズスペースも用意した。サービスセンターにはサービスベイ6基が備えられており、事故車の修理作業や塗装作業などに対応する。

MMMの池田真也 最高経営責任者(CEO)は、MMシュプリームについて、2009年からのビジネスパートナーであるとした上で、MMシュプリームは過去14年間にジョホール州において、2009年にバトゥ・パハ、2011年にはムアルでそれぞれ三菱自動車のショールームを開設しており、今回で3カ所目の開設となったと言明。ジョホール州で最も三菱自動車の売り上げに貢献しているディーラーだとし、今後も販売の勢いを維持するために協力し続け、より良いサービスを提供していくとした。

ティックトック、マレーシア人の約80%が規制や禁止求める

【クアラルンプール】 英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」がツイッターとインスタグラムを通じて実施したティックトックに関する世論調査で、回答者の約80%がマレーシアにおけるティックトックの規制や禁止を求めていることが分かった。

ティックトックについては、情報管理への懸念から英国やカナダなどの国で使用禁止の動きが強まっている。ネットユーザーからは、若者の精神衛生に与える悪影響や中毒性、規制回避が容易であることなどを懸念する声が上がっており、国家安全保障上の懸念も提起されている。

「対策が必要ない」との回答はわずか20%だったが、「ティックトックだけでなく他アプリも同様にユーザーデータを収集・販売している」という主張のほか、「表現の自由の侵害に繋がる」といった声、また「エンターテインメントのためのプラットフォームとしてユーザーやクリエイターに発表機会を提供している」と擁護する声もあった。

ツイッターを通じた調査では、476人の回答者のうち76.4%が何らかの規制を求めており、31.2%が制限、28.6%が全国的禁止、16.6%が政府の端末での使用禁止を求めている。規制が不要との回答は23.6%にとどまった。

インスタグラムを通じた調査では、154人の回答者のうち75%が規制を求めており、32%が全国的禁止、32%が制限、11%が政府の端末での使用禁止を要求した。一方で規制不要との回答は25%にとどまった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月25日)