年初10カ月のサイバー犯罪損失12億2400万リンギ

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は3日の下院質疑で、2024年1ー10月までのサイバー犯罪による損失が12億2400万リンギに達したことを明らかにした。今後、1998年通信マルチメディア法第233条など既存の法の改正に加え、新たにオンライン安全法を起草するなど対策を強化していく方針だ

サイバー犯罪による損失には、フィッシング詐欺、偽ショッピングサイト詐欺、海外などへの不正送金(マネーミュール)、架空融資、ロマンス詐欺など、さまざまなものが含まれる。

また、犯罪阻止の手助けとして、警察が開設した、銀行口座や電話番号が犯罪に使われたことがあるかどうかを一般人が確認できるポータルサイト「セマック・ミュール」(https://semakmule.rmp.gov.my/)に言及。10月31日時点で、犯罪に関与した疑いがあるとして電話番号18万1,628件、銀行口座番号22万2,092件、企業名1,395件が記録されているという。

特に、サイバー犯罪の多くは役割分担をしながら組織的に行われているため、「アロン」といわれる高金利を課す業者や無認可の貸金業者などの取り締まりも強化しているとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、12月3日)

出光興産、植物由来の潤滑油をマレーシアなどで発売

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 出光興産(本社・東京都千代田区)は3日、自動車向けのエンジンオイル「イデミツ・IFG・プランテック・レーシング(IDEMITSU IFG Plantech Racing」を12月3日から出光の潤滑油の海外公式オンラインショップで、マレーシア、タイ、オーストラリア、シンガポール向けに販売すると発表した。

同製品は、潤滑油の80%以上を占めるベースオイルに植物由来の原材料を使用した、レース性能およびAPIのSP認証を持つ世界初のレーシングエンジンオイル。

調合が難しい植物由来のベースオイルに、摩擦抵抗によるパワーや性能の損失を低減するモリブデンと、油膜を厚くして保護性能を高める高粘度の植物由来エステルを混ぜ合わせる当社独自のテーラーメイド調合技術を活用した。当社独自の調合技術「モリブデン×植物由来エステルテクノロジー」により、レースなどの過酷な環境下でも使用可能な性能を実現。実際に本年9月末に行われた SUZUKA S 耐に参戦した「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept」にも採用された。

中国、インド、インドネシア、アメリカ、ブラジル、メキシコ、UAE、その他の国についても、販売準備が整い次第、現地向けに案内を行う予定。

EV充電施設、カーナビアプリWaze上で表示開始

【クアラルンプール】 カーナビアプリのウェイズ(Waze)にマレーシア国内の電気自動車(EV)充電施設の場所が表示されるようになった。

充電施設情報は昨年3月に導入されたが、これまでマレーシアの充電施設は含まれず、現在もグーグルの公式ページではサポート国に含まれていないが、ライフスタイルテックが表示を可能にした。

WazeはGPS(全地球測位システム)を利用した携帯電話向けアプリで、渋滞回避ルート、安全に関するリアルタイム情報、最安ガソリン価格のアラートなど、ドライバー同士が支援するコミュニティーを形成している。

充電施設情報はそれぞれの国で地図編集に参加するユーザーにより更新されている。マレーシアではほかに、プラグシェアなど充電施設の情報を提供するアプリがある。
(ザ・スター電子版、ポールタン、12月3日)

5G利用者、1,750万人に=デジタル相

【クアラルンプール】 高速通信規格「5G」サービスの利用者が1,750万人に達し、国内の人口密集地域の82%以上をカバーしている。ゴビンド・シン・デジタル相が3日、ジョホール州であったイベント後に記者団に語った。

ゴビンド氏は「利用者数が多いことは、デジタル技術に対する人々の強い関心の表れ」と評価。今後は特に人工知能(AI)技術に熟練した人材が求められるとし、政府の支援でマレーシア工科大学(UTM)に国内初となるAI学部が開設されたことを例に、デジタル省として引き続き同様の人材育成に力を入れていく考えを示した。

また、州内では10月までに10のデータセンターが運用を開始し、7つが開発中で、州政府はインフラ構築のため36の申請を検討していることを踏まえ、「ジョホール・シンガポール経済特別区(JS-SEZ)などのデータセンター専用エリアの計画は、ハイテク投資を誘致し、人々に高い収入をもたらす。経済波及効果を最大化することを目指している」とつけ加えた。
(ベルナマ通信、12月3日)

パナソニック製造、7ー9月期は93%の大幅減益

【クアラルンプール=アジアインフォネット】  パナソニック・マニュファクチャリング・マレーシアは11月29日、同社2024年度第2四半期(2024年7ー9月)の純利益が247万リンギにとどまり、前年同期比92.6%の大幅減益となったと発表した。為替差損と原材料費の上昇が響き、3年ぶりの低水準となった。

売上は前年同期比0.1%減の2億3,607万リンギ。空質空調社(HVAC)は長引く暑い気候により国内や域内でのファンの売上が大幅に増加したものの、シャワー製品の不振が響き、売上が2.2%増にとどまり減益となった。くらしアプライアンス社(LASC)は、掃除機製品の輸出売上減少などにより9.6%の減収、53%の大幅減益となった。

対米ドル・リンギ高による為替差損が1,640万リンギに拡大(前期は60万リンギ)。厳しい環境により特に利益率の高い製品で販売が減少し、銅とアルミニウムの材料費が上昇したことも利益を押し下げた。

上半期(4―9月)決算では、売上が前年同期比1.6%減の4億5,703万リンギ、純利益は62.2%減の2,026万リンギとなった。

同社は今後について、世界経済は、緩やかなインフレ、堅調な労働市場、先進国における予想を上回る需要に支えられ、2025年も安定を維持すると予測されるが、地政学的緊張の高まりや主要経済における貿易政策の変化による潜在的なリスクがあると指摘。今年度の事業環境は不安定になると予想しているとした。

伊藤忠テクノ子会社、セキュリティ監視センターを開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC、本社・東京都港区)は2日、マレーシア法人、CTCグローバル(マレーシア)がセキュリティ・オペレーション・センター(SOC)を開設したと発表した。
顧客のセキュリティ機器の状況を24時間365日の体制で遠隔監視する。マレーシア及び東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国における日系企業や現地法人に向けてシステムセキュリティの強化を支援する。

リアルタイムに次世代ファイアウォールやIPS(不正侵入防止装置)、EDR(エンドポイントでの検知と対応)などのセキュリティ機器を監視し、収集した情報をもとに顧客のシステムにおける脅威を分析。不正アクセスやウイルス感染など異常を早期に検知して顧客の情報資産を保護する。

セキュリティ機器からの通知やログ情報をベースにセキュリティアナリストが通信経路や攻撃手法を分析し、リスク要因と対応策を顧客に報告。サイバー攻撃といった緊急の場合には暫定的に通信の遮断を含めた対応作業を実施する。また平時の運用業務においてはセキュリティ機器の設定変更やファームウェアバージョンアップなどの追加対応も行う。

CTCは2014年に日本国内で「CTC-SOC」を開設し、現在まで多くのサービスを提供している。

北東モンスーン12月8―14日に強まる、気象局が大雨予想

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシア気象局は、12月8日から14日にかけて北東モンスーンが強まり、マレーシア半島東部で降雨が続く恐れがあると警告した。半島部では11月下旬から続く断続的な大雨により広範囲で洪水が起きている。

気象局はまた、12月3日の午後から12月4日の早朝にかけて、半島東部クランタン州とトレンガヌ州で風の収束帯が形成されると予想されるとし、雷雨や大雨が発生する可能性があるとしている。

気象局は公式ウェブサイト(www.met.gov.my)で最新情報を定期的に確認して欲しいと呼びかけている。

マレーシア半島部の広範囲で発生した10年ぶりの大洪水は、1日正午時点では避難民が15万3,411人に達したが、その後は小康状態となり3日午後4時時点での避難民は8万4,902人まで減少、避難民が一時9万7,131人に達したクランタン州も、5万7,055人にまで減少している。

入国自動ゲート対象60カ国に拡大、QRコード審査も検討へ

【クアラルンプール】 入国審査時の自動ゲート利用対象国が新たに53カ国増え、計60カ国に拡大された。シャムスル・アヌアル副内務相が2日、下院質疑で答えた。

新たな対象国として挙げられたのは、欧州連合 (EU) 加盟国含めたヨーロッパの43カ国、中東6カ国に加え、カナダ、香港、中国、台湾の4カ国。2023年2月時点では日本を含めた10カ国、今年7月時点では36カ国としていた。

また出国時の自動パスポートスキャン機としては1,568台が設置されているという。さらに入国審査プロセスの迅速化のため、クアラルンプール国際空港(KLIA)でのQRコードによる審査システムの運用についても検討していく
(ベルナマ通信、12月2日)

多くの国民は生成AIに肯定的、ジョブストリート調査

【クアラルンプール】 オンライン職業斡旋サイト、ジョブストリートは生成AI(人工知能)に対する世界の人々の姿勢、懸念に関する調査結果を公表した。マレーシアはほかの国よりAIに受容的で、回答者の50%は生成AIを使ったことがあると答えた。用途は、情報入手、技能開発、翻訳。生成AIになじみがない、との回答は40%だった。

年齢・職業種別では、18-24歳の年齢層は45歳以上の層より生成AIを利用する可能性が50%高い。生成AI採用に肯定的なのはデジタル化、データサイエンス、情報技術、マーケティング・メディアの労働者で、物流・運輸、法務関連では受け入れ派は40%と少ない。

職に関する懸念では、仕事内容に何等かの変化がある(回答者の79%)、重大な影響がある(28%)だった。法務、医療関係は懸念度が低い。

AI採用に伴い労働者には技能習得が必須になるが、57%はAI導入による変化に対応するため技術を取得する用意があると回答。失職を懸念している、との回答は5%だった。

しかし、生成AIを実際に利用する際の困難もあり、55%はプロンプト作成で困難を感じると回答した。
(ザ・サン電子版、11月27日)

積極的差別是正措置には透明・包括性が必要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は11月30日、マレー・カレッジOB会の夕食会における演説で、政府施策はより包括的になり、ほかの民族への許容性を増しマレー人の利益を損なっているとの懸念がマレー人社会にあることについて「見当違いだ」と一蹴。現政権でマレー君主、マレー人の特権、国語としてのマレー語の地位が危うくされたことはないと言明した

また現政権が国内最大級の不動産開発計画「バンダル・マレーシア」を外国企業から取り戻した際、少なくとも50エーカーはマレー人にとり置くことを決定したが、独立以来のことだと強調した。

先住民・マレー人を優遇する積極的差別是正措置は以前実施された際、縁故主義にまみれ、党幹部らの利益追求に乱用されたことがある。

これを踏まえアンワル氏は、より包括的で透明性のある積極的差別是正措置が現在必要だと指摘。都市の貧困層、過疎地住民を含めすべてのマレー人に恩恵がいきわたるようにすべきだと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、12月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、11月30日)