「自然電力」傘下企業などによるケダ州の発電施設、税控除を取得

【クアラルンプール】 自然電力(本社・福岡市中央区)傘下の企業などが関わる、ケダ州の29.99メガワットAC(MWAC=AC変換済み)の大規模太陽光発電施設がマレーシア投資開発庁(MIDA)からグリーン投資税控除(GITA)の承認を取得した。大阪・関西万博のマレーシアパビリオンで16日、発表された。

発電施設は、このプロジェクトのために設立された特別目的会社(SVP)「SM01」が開発。SM01は、自然電力傘下の自然・インターナショナルのマレーシア子会社が49%、太陽光発電装置大手のソーラーベスト・ホールディングスの子会社ソーラーベスト・アセット・マネジメントが33%、エンジニアリング・プロジェクト管理コンサルのHSSエンジニアズの子会社HSSエンジニアリングが18%、それぞれ出資している。昨年11月、ソーラーベスト子会社のアトランティック・ブルーが、1億4,200万リンギで、設計・調達・建設・試運転(EPCC)契約をSM01から獲得した。

今回承認されたGITAは、マレーシア政府がグリーン技術への投資を促進するための戦略的優遇措置。SM01に出資する3社は「この優遇措置の承認により、施設の収益性の向上とプロジェクトの実現可能性の向上が期待される」としている。
(ビジネス・トゥデー、ソーラークオーター、4月17日)

マレーシアと中国、AI、貿易、観光分野で31件の協定覚書

【プトラジャヤ=アジアインフォネット】  中国の習近平・国家主席の12年ぶりの公式訪問に合わせ、マレーシアと中国は16日、人工知能(AI)、デジタル経済、貿易、運輸、観光、農業、教育、安全保障など様々な分野で合計31件の協力覚書(MOU)に署名した。

経済分野では、ザフルル・アジズ投資貿易産業相と中国の王文濤商務相が、サービス貿易、標準化協力、マレーシアと中国の「二国間ツインパーク」推進に関する3つの文書を取り交わした。

鉄道分野では、アンソニー・ローク運輸相と欧陽玉靖・駐マレーシア中国大使が、協力強化に関する協定にも署名した。デジタル分野では、デジタル省と中国国家発展改革委員会(NDRC)の間で、AIとデジタル経済における協力に関する2つの覚書が交換された

外交分野では、モハメド・ハサン外相と王毅外相が、グローバル安全保障イニシアチブ(GSI)およびグローバル文明イニシアチブ(GCI)の下での協力の共同推進、開発協力の強化及びグローバル開発イニシアチブ(GDI)の実施支援――の3件の文書を交換した。

国内取引物価省管轄下の事項では、知的財産分野での協力に関する覚書が署名された。

習主席はイブラヒム国王の招待を受けて15日から3日間マレーシアを公式訪問し、16日にはイブラヒム国王、アンワル・イブラヒム首相と個別に会談。アンワル首相とは二国間協力を活性化する方策について話し合い、相互に関心のある地域的および国際的な問題について意見を交換した。

メイバンク顧客、カンボジアでのQRコード支払いが可能に

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)とカンボジア国立銀行(NBC)がQRコードによる相互決済協定の第2期を開始したことを受け、マラヤン・バンキング(メイバンク)は顧客向けサービスを開始した。メイバンクの口座開設者はモバイルアプリを利用し、カンボジアでの買い物でQRコード決済が可能になった。

メイバンクのカイルサレ・ラムリ社長によると、メイバンクのMAEモバイルアプリ利用者は900万人余り。カンボジア以外でもアプリ利用者は、シンガポール、インドネシア、タイ、中国でQRコード決済が可能だ。メイバンクの顧客による、QRコードを利用した昨年の取引額は前年より83%増加した。

マレーシアとカンボジアの中央銀行間の合意第1期は昨年9月に開始され、カンボジアからの旅客はマレーシアの商店においてQRコードによる支払いが可能になった。
(エッジ、ビジネス・トゥデー、4月15日)

NAZAオート、向こう3年でスズキ販売店を倍増へ

【クアラルンプール】 NAZAオートモーティブグループ(NAZAオート)は、今後3年間でスズキの販売会社、スズキ・カーズ・マレーシアの販売店網を倍増させる計画だ。

NAZAオート・グループのリザル・ジャイラン最高経営責任者(CEO)は、NAZAグループの自動車販売事業参入50周年を迎え、業務効率、収益性、流動性の向上、ガバナンスとコンプライアンス体制の強化に重点を置いた再編計画を実施すると言明。スズキ販売網の増強計画はスズキ車販売の全国的な前年比成長率の予測に基づいたものだとした上で、デジタルプラットフォームへの投資も強化していくと述べた。

高級車分野では、メルセデス・ベンツ・マレーシアと提携し、NZホイールズ・バングサ店に今年第3四半期末までに新たな高級ショールームをオープンする。

また既存ブランドに加え、電気自動車(EV)分野において新たなブランドとの提携を検討している。地域的には既存のブランドとの関係を活用して年内に新たな東南アジア諸国連合(ASEAN)市場で事業を展開する方針だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、4月15日)

飲料のF&Nのネグリセンビランの酪農場に最初の乳牛到着

【クアラルンプール】 大手飲料メーカー、フレイザー・アンド・ニーブ・ホールディングス(F&N)のネグリ・センビラン州ジェマスのペルマイ・ダマイ総合酪農場(F&Nアグリバレー)に、最初の乳牛2,500頭がチリから到着した。

2,726ヘクタール超のF&Nアグリバレーは2023年に着工された。今回到着した乳牛は、ゲノム検査を受けたホルスタインで、チリ・サンティアゴから家畜輸送船で運ばれて来る間は牛のストレスを最小限に抑えるため、健康状態に細心のケアが施された。繁殖牛の単一輸入としては過去最大規模といい、ジョホール州パシル・クダンに到着後は、国内最大の現地検疫施設で1頭ごとに強制検疫期間が設けられるが、検疫検査局や税関などの協力で、3日以内に農場に到着したという。

当面は国内向けの生乳1億リットルを目標にしていく予定で、最終的には2万頭の乳牛を飼育し、国内外市場向けに年産2億リットルを目指す。
(ザ・スター、ザ・サン、ベルナマ通信、4月15日)

今年のマレーシアGDP成長予想、ムーディーズが下方修正

【クアラルンプール】 ムーディーズ・アナリティクスはマレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を5%から4.4%へ下方修正した。米国政権の関税措置で国際貿易が不透明になっているためだ。

ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)での会議においてムーディーズのアジア太平洋地域幹部カトリーナ・エル氏は「相互関税措置が長期に及ぶことはない、との前提での修正であり、もし長期にわたる場合、さらに大幅な修正になる」と言明。「関税措置の現状は変動が激しい。こうした不透明感はマレーシアのような輸出依存国には大問題だ。輸出は減少する」と述べた。

ムーディーズ・アナリティクスはインフレ予想も2%から1.6%へ修正した。物価上昇が予想より緩やかであれば、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)には金融緩和を考える余地が生じるという。

アブドル・ラシードBNM総裁は同じ会議で、中銀のGDP増加率予想(4.5-5.5%)の見直しに着手したことを明らかにした。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月14日)

複数の企業が株式公開を延期、市場の不安定化で

【クアラルンプール】 複数の企業がブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)での新規株式公開(IPO)の延期を決めた。アブドル・ワヒド最高経営責任者(CEO)が今年の見通しに関する会議で明らかにした。米政権による関税措置の発表で市場が不安定になっているためだ。

アブドル・ワヒド氏によると、4月30日に上場予定だった韓国系クク電子傘下のクク・インターナショナルが上場計画の2カ月延期を決定。既に募集を開始していたため、投資家からの返金要求に応じている。化学品メーカーの韓国系OCIホールディングスもIPOに向けた作業を停止した。

ブルサの今年の上場目標数は60件で、アブドル・ワヒド氏は、引き続き目標達成を確信していると述べた。

マレーシアを含む世界各地の証券市場は一貫性を欠く米政権の関税政策、その結果としての不透明感から大きく変動している。

今年、既に上場を果たしたのは15社。米関税措置発表後、5社で初値が公開価格を下回った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、4月14日)

投資貿易産業省、大阪万博で2週間の開幕記念イベントを主催

【クアラルンプール】 大阪・関西万博のマレーシアパビリオンでは、13日の万博開幕から2週間、「投資・貿易・産業ウィーク」と銘打ち、さまざまなビジネスマッチングセッションを展開している。

開幕を記念した2週間のプログラムは、投資貿易産業省(MITI)が主催。グリーンテクノロジーやハラル(イスラムの戒律に則った)産業、イスラム金融などのテーマごとに、セミナー、製品展示、ビジネスピッチなどが催される。それらを通じて、マレーシア企業30社が日本などの150社以上と話し合う予定で、今後の協力や投資などに関する複数の覚書(MoU)締結につなげたいとしている。

万博でマレーシア政府代表を務めるハイリル・ヤフリ・ヤーコブMITI事務次官は、「万博期間中に130億の投資獲得という目標に向け、この取り組みを通じてマレーシアをダイナミックで未来志向の国家として位置付けていきたい」と語った。
(ベルナマ通信、ザ・バイブス、4月14日)

ホンダマレーシア、初の電気自動車「e:N1」の予約受付開始

【クアラルンプール】 ホンダ・マレーシアは15日、同社初のバッテリー電気自動車(BEV)、「e:N1」の予約受付を開始すると発表した。同社の公式ウェブサイトから予約できる。今年第2四半期の発売を目指す。正規販売代理店8カ所で詳細情報を提供するという。

価格は明らかにされていないが、隣国タイでの販売価格は119万9,000バーツ(15万7,600リンギ)であることから、ライバルであるプロトン「e.Mas7」やBYD「アット3ウルトラ」(いずれも約12万リンギ)よりやや高めとなるとみられる。

ホンダ・マレーシアは2027年までの向こう3年間で少なくとも3種類のバッテリー電気自動車 (BEV) モデルを発売する予定で、年内に同社初のBEVである「e:N1」を発売すると発表していた。

「e:N1」は、新たな前輪駆動プラットフォーム「e:NアーキテクチャーF」をベースに開発され、最高出力204PS(150kW)、最大トルク310Nmを発揮するフロントシングルモーターを搭載。0-100km/h加速は7.7秒、最高速度は160km/hに達する。容量68.8kWhのニッケルマンガンコバルト(NMC)バッテリーを搭載し、最大500kmの航続距離を実現する。
(ポールタン、モタオート、4月15日)

アブドラ元首相が死去、回廊計画など地域経済政策を推進

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アブドラ・バダウィ元首相が14日午後7時ごろ、クアラルンプールの国立心臓病研究所で亡くなった。85歳だった。アブドラ氏は呼吸困難を起こして13日に入院していた。娘婿であるカイリー・ジャマルディン氏(元保健相)が明らかにした。

アブドラ氏は統一マレー国民組織(UMNO)の政治家であったアハマド・バダウィ氏の長男として1939年にペナンで出生。マラヤ大学卒業後、外交官などを務めたのちに66年に政界入りし、78年に初当選。81年にマハティール・モハマド政権下で初入閣(首相府相)を果たした。その後、教育相や国防相、外相、内相などを歴任し、2003年に副首相に指名された。

突然辞任を発表したマハティール氏の指名を受けて、2003年に第5代首相に就任。マハティール政権時代の縁故主義や汚職対策を公約に掲げて2004年の総選挙では圧勝し、穏健なイスラム主義の下で東海岸経済地域(ECER)などの地域経済対策に注力した。またマハティール首相時代に悪化したシンガポールとの関係改善にも尽力した。

しかし政策を巡って元老的立場のマハティール氏との関係が悪化。2008年の総選挙では一転して与党連合・国民戦線(BN)が過半数を失ったことで与党内部での求心力も低下し責任論も浮上、2009年4月に待望論が高まっていたナジブ・ラザク副首相(当時)に禅譲するかたちで辞任した。

政界引退後はほとんど表舞台に出ることはなく、近年では体調悪化が伝えられ、カイリー氏は22年9月、アブドラ氏が認知症を患っていることを公表。家族の名前が分からず会話も困難な状態で、車椅子生活だったという。