格安ホテル、運営コスト上昇で最大40%値上げも=業界団体

【クアラルンプール】 マレーシア・バジェット・ビジネスホテル協会(MyBHA)は、運営コストの上昇に伴い、格安ホテルが今後数カ月以内に宿泊料金を30ー40%値上げする可能性が高いと警告した。

MyBHAのガネーシュ・ミシェル会長は、ホテル経営者は、光熱費、ランドリーやメンテナンスの費用、ソフトウェア使用料などの運営コストに基づいて宿泊料金を調整するとし、3月にサービス税(SST)の6%から8%への引き上げが行われ、また今後電子請求書システムの使用義務も課されるため、運営コストは上昇すると述べた。格安ホテルの料金を維持するためには、電力会社テナガ・ナショナル(TNB)が特別料金を設定するなど、何らかの支援が必要だとしている。

ガネーシュ会長は、宿泊料金の値上げ幅はホテルの格付けによって異なるとし、コストをカバーするためにすでに料金を引き上げているホテルもあるとした。また、無許可の宿泊施設が格安ホテルを脅かしているとして、その規制について国内取引物価省に働きかけるとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・バイブス、4月15日)

第1四半期のGDP、みずほ銀行は3.9%への加速を予想

【クアラルンプール】 みずほ銀行は、マレーシアの第1四半期の国内総生産(GDP)成長率が3.9%に加速したとの推測を示した。輸出とインバウンド需要の増加が消費支出の減少を補ったという。昨年第4四半期のGDP増加率は3%だった。中央銀行バンク・ネガラは19日に第1四半期の速報値を発表する。

みずほ銀は顧客への情報提供で、製造業は工業部門全体より業況が良好でなく、生産高の増加率には慎重な見方を維持しているとした。昨年第4四半期のGDPは前期比では2.1%の減少で、製造業の縮小と世帯支出の鈍化が影響した。

みずほ銀によると、1-2月の工業製品の輸出入は名目ベースで増加率が加速しており、電気・電子製品の景気循環は底を打ったと思われる。

飲食品生産の増加率はここ数カ月、大幅に減速し、小売業販売額は減少傾向にあり、こうした内需面の足かせは注視が必要だ。しかし旧正月中の外国人観光客の増加と消費の拡大がサービス業の売り上げに貢献したという。
(エッジ、4月15日)

近隣諸国とのグリーン電力取引を行う「エネルギー取引所」を設立

【クアラルンプール】 エネルギー移行・水利転換省(PETRA)は15日、近隣諸国とのグリーン電力取引を促進するため、「マレーシア・エネルギー取引所(ENEGEM)」を設立すると発表した。

PETRAの声明によると、ENEGEMではまず試験プロジェクトとして、マレー半島とシンガポール間の既存の相互接続インフラを利用し、シンガポールに対して合計100メガワット(MW)の送電を行う。入札が可能なのはシンガポールで発電・小売ライセンスを保有している再生可能エネルギー(RE)事業者で、入札開始前に資格審査が行われる。16日よりPETRAのウェブサイトなどから登録を受け付ける。

ENEGEM上での取引は、エネルギー委員会による「越境電力販売ガイド(CBES)」最新版に基づき行われる。また、ENEGEM管理のために、電力会社の政府系テナガ・ナショナル(TNB)から半島部の電力計画と調達を管理する機能を切り出し、電力供給全体を管理する唯一の組織(シングルバイヤー)として独立させる。

PETRAは、ENEGEMの設立は、マレーシアのエネルギー移行や、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国間で送電網をつなぐ「ASEANパワーグリッド(APG)構想」に沿ったもので、まずはシンガポールなど、二国間ベースで地域を接続し、その後徐々に拡大を図りながら東南アジア全域を統合した送電網を構築していくと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、4月15日)

「日本からの投資は昨年上回る見込み」髙橋大使

【クアラルンプール】 髙橋克彦駐マレーシア大使は国営「ベルナマ通信」との会見で、今年の日本企業によるマレーシアへの投資は昨年を上回るとの予想を示した。昨年の投資額は52億7,200万リンギだった。

高橋大使は「日本企業は、多様な文化、宗教面の寛容性、英語理解力、地震、津波など激甚災害がないこと、またルックイースト(東方)政策の結果、日本語を話せる国民が多くいることから、マレーシアへの投資に魅力を感じている」と述べた。マレーシアで活動している日本企業は約1,600社で、国・地域別でシンガポール、香港、米国に次ぐ4位の投資元。

高橋大使によると、日本企業は気候変動を念頭にグリーンエネルギー(太陽光、風力、水力、バイオマスなどから作られるエネルギー)への投資拡大に関心を抱いており、住友商事、エネオスおよびサラワク経済開発公社子会社SEDCエナジーの3社によるクリーン水素事業がその好例となっている。デジタル産業も日本企業の関心分野で、NECはジョホール州に情報技術サービスの顧客支援拠点を開設した。イスラム金融、ハラル(イスラム教に沿った)産業でも日本企業はマレーシアを望ましい拠点とみているという。
(ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、4月15日)

「イラン・イスラエル紛争の影響は最小限」アンワル首相

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 イラン・イスラエル間の紛争について、アンワル・イブラヒム首相は15日、「マレーシア経済への影響は今のところ最小限だ」と述べた。イスラエルは1日、シリアのイラン大使館をミサイル攻撃し、イランは14日、ドローンとミサイルで報復攻撃を行った。

アンワル首相はこれに先立って、アハマド・ザヒド副首相、カレド・ノルディン国防相、サイフディン・ナスティオン内務相、モハマド・ハッサン外務相らが出席した国家安全保障特別会議に議長として出席。マレーシアへの影響や今後の対応について協議した。アンワル首相は、両国紛争のマレーシア経済への影響は小さいが、政府は引き続き注意深く監視し、マレーシア国民の安全、福祉、幸福を確保するために積極的な措置を講じると述べた。

アンワル首相はまた、イスラエルによるイラン大使館への攻撃を野蛮な行為だと非難した上で、イランがイスラエルを報復攻撃したことを正当行為だと指摘。イスラエルからさらなる攻撃がない限り追加攻撃はしないとしているイラン側の対応を評価した。その上でイスラエルに対して、中東情勢をさらに悪化させないためにもイランに対して再報復を行わないよう呼びかけた。

半導体重要拠点としてペナンに脚光、WEFが評価

【ペタリンジャヤ】 世界経済フォーラム(WEF)がビジネス特化型SNS「リンクトイン」のページにペナンに関する動画を投稿し、半導体チップの新たな重要拠点と評価した。アンワル・イブラヒム首相は自身のフェイスブックアカウントでこの動画を共有し「技術革新を動力とする、ハイテクの未来を構築する」とした。

WEFは動画で「世界では1,000億個の半導体が日常的に利用されているが、半導体製造が特定の地域に集中しているためサプライチェーンがぜい弱性を増している。マレーシアは新たな選択肢を探している企業が目指す場所になっている」とした。ペナン州に対する2023年の外国からの直接投資は128億米ドル。うちインテルは新工場の建設に70億米ドルを投じた。

外国メディアもペナン州を取り上げており、過去数年、ペナン州に投資した企業として、米系ラムリサーチ、テキサス・インスツルメンツ、マイクロン・テクノロジー、独系インフィニオン・テクノロジーズ、ボッシュ、台湾系日月光半導体(ASE)を挙げた。マレーシアはチップ組み立て、テスト、パッケージングなど後工程で強みを持つ。設計では内資のオプスター・テクノロジーが注目を集めている。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、4月12日)

イオンビッグの「ドアマット」にイスラム教神殿、宗教局が押収

【クアラルンプール】 ジョホール州イスラム宗教局(JAINJ)は9日、州民からの苦情を受け、イオンビッグ・バトゥパハ店で、イスラム教の聖地であるカアバ神殿の絵がデザインされているドアマット11枚を押収したと発表した。イオンビッグ関係者を呼び出し、販売する商品にもっと注意するよう警告を行ったという。

イオンビッグ(M)および該当商品のサプライヤーであるA&Rファッション・コレクションはこれを受け、13日に共同声明を発表。この商品は実際は「礼拝用ミニマット」であるが、商品管理システムのミスで「ドアマット」に分類されていたと述べた。イオンビッグは直ちにシステム上で表記を修正したとし、「多民族社会の調和に影響を与えるような憶測がなくなることを望んでいる」と述べた。

声明によると、A&Rはイスラム教徒のブミプトラ(マレー系および先住民)が100%所有する中小企業(SME)であり、2007年の設立以降、シャリア(イスラム法)準拠のムスリム服や、ラグ、カーペット、マットなどの製品を供給している。イオンビッグには2015年から供給を開始し、他小売業者への供給や自社店舗での販売も行っている。

先にミニマートチェーンのKKマートで、アラビア語で神を表す「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていたことが発覚し、会社創業者らが起訴され、支店3カ所に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生している。バーンズ・ホールディングスが販売していたハイヒールについても、靴底に入ったデザインが「アッラー」の文字に似ているとのクレームが上がったことから、警察が1,145足を押収し、同社の創業者から事情聴取する事態となった。
(エッジ、4月14日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、4月13日)

クアラルンプール国際空港で銃撃、1人が重体

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 クアラルンプール新国際空港(KLIA)第1ターミナルで14日午前1時20分ごろ、男が妻を短銃で銃撃する事件が発生。妻のボディガードが銃弾を受けて重体となっている。男は駐車場に停めてあった車で北に向かって逃走した。

警察によるとは発砲したのはハフィズル・ハラウィ容疑者(38)で、到着ホールで帰国する巡礼団を出迎えるために待っていた妻のファラー・モハマド・イサさんを狙って数メートルの距離から短銃を2発発射。ファラーさんには当たらず、2人いたボディガードのうち1人に命中した。ハフィズル容疑者はまた爆竹を投げ込んだため、付近にいた2人も負傷した。

ハフィズル容疑者は、ファラーさんと離婚に向けた話し合いを行っていたとみられ、これに関連してファラーさんを脅迫していたという。このため身の危険を感じていたファラーさんがボディガードを雇っていた。

警察は個人的トラブルが原因で起きた事件であり、テロ組織などとの関連はないとした上で、ハフィズル容疑者が脅迫や窃盗などによる前科3犯で、いまだ武器を所持している危険人物だとして注意を喚起する一方、全力を上げて行方を追っていることを明らかにした。タイ国境でも監視を強めるとしている。

中古品流通のコメ兵、マレーシアに子会社を設立へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中古品流通などを手掛けるコメ兵ホールディングス(本社・愛知県名古屋市)は12日、香港にある連結子会社、コメヒョー・ブランド・オフ・アジアがマレーシアに子会社を設立すると発表した。

マレーシア子会社コメヒョー・マレーシア(仮称)の資本金は600万リンギ。4月中の設立を予定している。宝石・貴金属、時計、バッグの仕入れおよび販売を行う。

コメ兵ホールディングスは、海外ブランドリユース市場でシェアを拡大していくうえで、経済成長が著しいマレーシアは一人あたりの所得が東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でシンガポールに次いで高いなど、様々な観点で重要な拠点になるとみて注目していたと説明。子会社設立によりマレーシア国内でのリユース文化の形成を目指し、ASEANにおけるさらなる事業成長と海外ブランドリユース市場におけるシェア拡大を実現していくとしている。

コメ兵グループのブランド・ファッション事業におけるグローバル戦略は、「KOMEHYO」や「BRAND OFF」など複数の屋号と、「買取り」「小売り」「卸売り」「オークション」という4つのチャネルを活用した最適な組み合わせを進出都市に応じて展開することだという。

オンデマンド印刷のアクセア、マレーシア1号店をKLに開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 オンデマンド印刷のアクセア(本社・東京都千代田区)は、マレーシア法人アクセア・マレーシアを通じ、15日付けでマレーシア1号店をクアラルンプール(KL)にオープンした。

店舗名は「アクセア・クアラルンプール店」。印刷物、チラシ、ポスター、バナースタンドなどのプリントサービスを提供するほか、全席電源完備、Wi-Fi無料、ドリンク無料のコワーキングスペース「アクセア・カフェ」や貸会議室サービスも提供する。また、無料のビジネスマッチング機能とコワーキングスペース受付決済機能を兼ね備えたアプリ「ビズスポット」により、ユーザー同士の異業種交流、新たなビジネスチャンスの創出、ワークスペースの利用を一元的にサポートする。

営業時間は平日午前8時ー午後8時(土日祝休み)。オープン記念キャンペーンとして、15日より先着100人にオリジナルデザインのマグカップのプレゼント、コワーキングスペースの無料開放(21日まで)などを実施する。

アクセアは今後、マレーシア国内の店舗拡大に加え、東南アジアでの出店拡大も視野に入れながら、事業拡大を推進していく方針だ。