携帯電話のUモバイルが大型IPOを計画=消息筋

【シンガポール】 携帯電話サービスのUモバイルが早ければ来年上半期にも新規株式公開(IPO)に乗り出す計画で、調達資金は5億米ドルを超す大型上場になるもようだ。消息筋の情報としてロイター通信が伝えた。

それによると、今月中か来月にもIPOを監督当局に申請する見通しだという。ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータに基づけば、韓国系ロッテ・ケミカル・タイタン・ホールディングスが2017年に行ったIPO(調達資金は8億7,900万米ドル)以来の調達額になる。

ロイター通信の取材に対しUモバイルは「憶測にはコメントしない。その種の事柄で具体的進展があれば、声明を発表する」と回答した。

Uモバイルは2006年に創業の、マレーシアで最も若い携帯電話サービス業者。株主には、著名実業家のビンセント・タン氏や、シンガポール国営投資会社テマセク・ホールディングスが保有するSTテレメディアが含まれる。

上半期実績で、マレーシアのIPO市場は東南アジア最大で、調達資金の総額は前年同期より約24%多い6億3,700万米ドルだった。

(ザ・スター、7月23日、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、7月22日)

ファイアフライ、スバン空港に8月29日よりジェット機投入

【クアラルンプール】 マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)傘下の航空会社ファイアフライは、セランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)へのナロージェット機乗り入れを8月29日に開始する。

ナロージェット機を運航するのはスバン―ペナン線、スバン―コタキナバル線の2路線で、機材はボーイング「737-800」型機を使用し、座席数は189席。デイリー1便の運航で、7月22日にチケット販売を開始した。

2025年8月6日までの旅行期間を対象に、それぞれ片道129リンギ、249リンギのプロモーション運賃を提供する。運賃には10キログラム(kg)までの受託手荷物、7kgまでの機内持ち込み手荷物が含まれ、機内で無料ドリンクも提供される。

ナロージェット機の投入により、現在ATR72ターボプロップ機で運航しているスバン―ペナン線は1日10便に増便となる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、7月22日)

KLIA第1・第2ターミナルに入国自動ゲート40台を増設

【プトラジャヤ】 サイフディン・ナスティオン内務相は22日、クアラルンプール国際空港(KLIA)の混雑解消に向け、第1・第2ターミナルに入国自動ゲートを新たに40台ずつ合計80台増設すると発表した。ペナン国際空港での増設も検討しているという。

サイフディン内相は、来年マレーシアで開催されるASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議や2026年のマレーシア観光年の準備の一環として自動ゲートの増設を検討しているとし、最近の国際便の増加や空港の混雑状況を考えると、必要な措置だと述べた。入国管理局を通じて空港運営会社であるマレーシア・エアポーツ(MAHB)と協議を開始しているという。

KLIA第1・第2ターミナルでは現在、出発・到着ロビーにそれぞれ10台ずつ自動ゲートが設置されており、ペナン国際空港の設置数は合計12台。自動ゲート利用対象国は6月より、欧州連合(EU)、バーレーン、カタール、オマーン、ヨルダン、中国、カナダ、香港、台湾などが加わり、合計36カ国に増加している。

サイフディン内相はまた、6月より実施されている、シンガポールとの国境にあたるジョホール州バングナン・スルタン・イスカンダル(BSI)およびスルタン・アブ・バカル・コンプレックス(KSAB)を経由してシンガポールに送迎バスで通勤する工場労働者を対象とした、QRコードによる入国審査システムの試験運用について、登録件数は50万件に達し、待ち時間が70―80%短縮されるなど、肯定的な評価を得ていると述べた。正式導入の前に、段階的に対象者を拡大して試験運用を続けていくとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、7月22日)

政府借入金、今年は860億リンギへの縮小が目標=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、政府の財政引き締め策により2021、2022年には年間1,000億リンギあった政府の借入金が2023年には930億リンギへと減少傾向にあるとし、2024年については860億リンギに引き下げることを目指していると述べた。

22日に開催された2024年全国税務会議でスピーチしたアンワル首相は、債務削減を段階的に行うことは、開発努力を継続するために不可欠だと指摘。年間借入額の削減目標を達成するために、政府は慎重な支出を行い、無駄を避け、開発目的に必要な場合にのみ借入を行う必要があると述べた。

その上でアンワル首相は、「補助金合理化は、より広範囲にわたる包括的な取り組みであり、政府の年間債務の削減に役立つ」と強調。ただレギュラーガソリン「RON95」の補助金合理化に関しては、現時点で実施の予定はないとし、まずは6月に開始したディーゼル補助金の合理化について国民の理解を得ることに焦点を当てたいと述べた。

政府債務の対国内総生産(GDP)比率については現在の64%は適正範囲を超えているとの考えを強調。無責任な財政政策が続けばマレーシアは2024年第2四半期のGDP速報値である5.8%の成長率や現在の投資水準は達成できないだろうと述べた。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、7月22日)

BRICSに加えOECD加盟も検討中=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、経済協力開発機構(OECD)を含むいくつかの国際機関への加盟を検討中であることを明らかにした。国際機関への加盟については、先ごろアンワル・イブラヒム首相がBRICS(ブリックス)加盟を希望していることを明らかにしている。

22日の上院議会での質疑に応じたザフルル氏は、マレーシアは自国の経済発展やすべての貿易相手国、特に世界の経済大国との良好な関係のバランスを保つため、独立性、原則性、実利性を重視した外交政策を続けると言明。「マレーシアは多角的アプローチをとり、国の利益が常に守られるようにする」と国際機関加盟を進める理由を説明した。

その上でザフルル氏は、マレーシアが貿易国として常にすべての相手国との経済協力の強化に重点を置いてきたことはこれまでの東南アジア諸国連合(ASEAN)や国連、イスラム協力機構(OIC)で積極的役割を果たしてきたことで証明されると強調。BRICS諸国の国内総生産(GDP)総額は26.6兆米ドルと推定され、世界のGDPの26.2%を占めるとし、BRICS加盟の動きも国や国民の利益のために経済を推進する取り組みに沿ったものだと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、7月22日)

2021年以降のデジタル投資額は1620億リンギ=投資貿易相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は18日、2021年―2024年第1四半期のデジタル投資(承認ベース)の総額は1,620億リンギで、その76%(1,235億リンギ)をデータセンターが占めたと明らかにした。デジタル投資により、4万9,108人の高技能職の雇用機会を創出すると想定されている。

1,620億リンギ中、 海外からの投資は1,270億リンギ、国内投資は349億リンギだった。年別では、2021年は34億リンギ、2022年は808億リンギ、2023年は605億リンギと推移しており、直近の2024年第1四半期は173億リンギとなった。
2023年の投資総額は3,295億リンギで、海外からの投資は1,884億リンギ、国内投資は1,411億リンギだった。

ザフルル大臣は、今年の国内総生産(GDP)成長率が4.0―5.0%と予想されていることから、今年の投資成長率予想も5.0%、額にして3,459億リンギに据え置くと述べた。経済成長の主要推進力となるのは、サービス業に加え、デジタル経済とグリーン経済部門であるとしている。デジタル経済のGDPに占める割合は、2024年第2四半期時点で、以前の目標だった22.6%を上回る23%にまで達しており、25.5%にまで目標を引き上げたという。
(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、7月18日)

バティックエア、8月1日からスバン空港に乗り入れ再開

【クアラルンプール】 インドネシアのライオン・エア・グループ傘下のバティックエアは、8月1日からセランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)への乗り入れを再開する。

26年ぶりとなる8月からのスバン空港のナロージェット機乗り入れ再開に合わせたもので、機材はボーイング「737-8」型機を使用する。新路線はペナン―スバン線で、当初は週3便の運航だが、8月15日から毎日運航する。ビジネスクラスが12席、エコノミークラスが150席となっている。

バティックエアはATR社製ターボプロップ機を運用してスバン―ペナン線を運航していたが、今年2月に運航を停止しており、半年ぶりの乗り入れ再開となる。同社は今後、スバン―コタバル(クランタン州)、コタキナバル(サバ州)、クチン(サラワク州)各線の運航を計画している。

スバン空港へのジェット機乗り入れについては、すでに▽トランスヌサ▽スクート▽ファイアフライ――が発表済みで、エアアジアも近く発表すると見られている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、7月20日)

エクソンモービル、マレーシア油田運営権をペトロナスに移転

【クアラルンプール】 石油メジャーの米系エクソンモービルは20日、マレーシアのすべての油田・ガス田の運営権を国営石油会社のペトロナスに移転すると発表した。ロイター通信は先に、消息筋の情報としてエクソンモービルはマレーシアで保有する石油・ガス資産をペトロナスに売却すると報じていた。

エクソンモービルは声明で「売却ではない。マレーシアにおけるほかの事業には影響しない」と言明した。エクソンモービルのマレーシア進出は130年前。ペトロナスと2つの生産分与協定を交わしており、トレンガヌ州沖の12の油田で35のプラットフォームを運営。ほかに10のプラットフォームの権益を保有している。マレーシアの原油・コンデンセート生産量の15%、マレーシア半島における天然ガス生産量の50%余りを占めている。

ロイターの報道に関しペトロナスは20日、上流部門子会社のペトロナス・チャリガリが運営移転についてエクソンモービルのマレーシア法人と協議を持っているとした。
(エッジ、7月21日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、7月20日)

全世界IT障害、マレーシア国鉄も影響を受けるも同日復旧

【クアラルンプール】 マレーシア国鉄(KTMB)は19日、サイバーセキュリティの米クラウドストライクが引き起こした世界規模のITシステム障害について、同社の発券システム(KITS)やカスタマーサービスが影響を受けたと明らかにした。
KTMBは同日午後2時のフェイスブック投稿で、技術的障害が発生しており、復旧作業が進められていると述べた。ただし、午後8時には完全に復旧したとしている。

大規模なITシステム障害により、世界中の航空会社、銀行、医療、放送などの企業が影響を受けた。米マイクロソフトによると、障害が発生したのは、ウィンドウズ・パソコン約850万台で、全体の1%未満だったが、クラウドストライク製品は重要な業務に用いられるPCにインストールされている場合が多いため、影響が大きかったという。
(ザ・サン、エッジ、ザ・バイブス、ビジネス・トゥデー、7月19日、KTMB発表資料)

19日に国内空港でフライト遅延が発生、全世界IT障害で

【クアラルンプール】 サイバーセキュリティの米クラウドストライクが19日に業務用セキュリティ・ソフトウェアの更新を行ったことで、同日午後にウィンドウズ・パソコン(PC)にシステム障害が発生。世界中で850万台の端末に影響が出た。マレーシアでは主に空港において影響が出た。

空港運営のマレーシア・エアポーツ(MAHB)やマレーシア航空に対する直接の影響はなかったが、格安航空のエアアジアの社内システムに障害が発生し、手動でのチェックインを行ったため、混雑を引き起こした。その結果、クアラルンプール国際空港第2ターミナルやコタキナバル国際空港、ペナン国際空港などでフライトの遅延が発生した。

エアアジアは20日に声明を発表。地上スタッフ200人、ボランティア100人、警備員を配置し週末の混雑に備えると述べた。20日午後2時にはオンラインチェックイン業務を再開し、混雑は収束に向かった。(エッジ、7月20日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、7月19日)