「ハラル産業マスタープラン2030」がスタート、産業強化図る

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ハラル(イスラムの戒律に則った)産業の強化を図るための「ハラル産業マスタープラン2030(HIMP2030)」が23日にスタート。テンク・ザフルル通産相はマレーシアのハラル(イスラムの戒律に則った)産業が2030年までに1,132億米ドル(5,003.4億リンギ)規模まで成長し、国内総生産(GDP)に占める割合が2025年までに8.1%に拡大するとの見通しを示した。

HIMP 2030のテーマは「目立って可視化されグローバル化されたハラル・マレーシア」で、▽ハラルに配慮した政策や法律の強化▽国内ハラル製品・サービスのための大きな新市場空間の創出▽グローバルなニーズに対応できるハラル専門家やプロフェッショナルの確保▽質の高い統合的なインフラ整備の強化▽ソート・リーダーシップの育成▽ハラル・チャンピオンの輩出▽ハラル産業におけるブミプトラ(マレー人と先住民の総称)の競争力強化ーーの7項目の戦略的推進事項と合計23のイニシアチブからなる。

これらの政策は▽強固で多様な国内ハラル産業育成▽徹底したシャリア(イスラム法)遵守▽マレーシアにおけるビジネスのしやすさの向上▽競争力のあるビジネス・エコシステム育成▽「ハラル・マレーシア」の世界への発信ーーの5つの主要目標成果によって推進される。

テンク・ザフルル通産相は「通産省は世界のハラル市場における主要なプレーヤーとしてのマレーシアの地位を高め、世界全体で20億人に上るムスリム人口を活用するために、ハラル・エコシステムのすべての要素を強化することに全力を尽くす」と言明。通産省と下部機関は、ハラル産業を特に中小企業にとって有利かつ競争力のある産業として位置づけるための活動をすでに開始していると述べた。
HIMP2030の開始宣言を行ったアハマド・ザヒド副首相は、ハラル証明書発行の迅速化に向け新たなメカニズムやプロセスを導入する必要があると指摘。現状では官僚機構などの制約のために発行に約9カ月かかっていると述べた。

通産省によると、2022年のマレーシアのハラル製品輸出額は594.6億リンギで、前年から231.6億リンギ、率にして63.8%の大幅増となった。セクター別では食品・飲料が引き続きトップとなり、総輸出額は278.4億リンギで、ハラル輸出全体の46.8%を占めた。これに▽ハラル原料(233.5億リンギ)▽化粧品・パーソナルケア商品(34.9億リンギ)▽パーム油派生商品(27.9億リンギ)▽工業用化学品(12.7億リンギ)▽医薬品(7.2億リンギ)ーーが続いた。

強制死刑&終身刑を廃止へ、閣議決定

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム内閣は、一部の重大犯罪を除いた死刑廃止、及びすべての終身刑の廃止方針を閣議決定した。アザリナ・オスマン首相府相(法務担当)が23日の国会質疑の中で明らかにした。改正法案は3月27日にも国会に提出される見通し。

刑罰としての死刑は刑法121条、121A条(国王やスルタンに対する危害)、1952年危険薬物法39B条に基づく3つの犯罪を除き、死に至らない犯罪を対象に廃止される。また終身刑は全廃され、30年から40年の禁固刑と12回以上の鞭打ちに置き換えられる。アザリナ大臣によると、改正により未決囚476人に影響が及ぶだけでなく、すでに刑が確定した死刑囚及び終身刑囚957人についても刑が見直されることになる見通しだ。

マレーシアでは殺人、麻薬密売、テロを含む34の犯罪について刑罰として死刑が含まれており、うち殺人やテロなど11の犯罪に関してはこれまで死刑以外の刑罰はなかった。法改正により判決には裁判官による裁量権が認められることになり、死刑は殺人や国王・スルタンへの危害、麻薬犯罪に関してのみオプションとして残されることとなる。

高級スーパーのビレッジグローサー、ガムダウォークに店舗開設

【クアラルンプール】 高級スーパーマーケットチェーン「ビレッジ・グローサー」を運営するザ・フード・パーベイヤー・リテール(TRSB)は21日、セランゴール州シャアラムのコタ・ケムニンに位置するショッピングモール「ガムダウォーク」に25店舗目となる「ビレッジ・グローサー・ガムダウォーク店」をオープンした。

店舗面積は1万7,000平方フィートで、有機野菜やキャメロン・ハイランドから毎日届く新鮮な野菜や果物、肉・魚介類、国内外の食品などを取り揃える。日本、米国、韓国からの空輸野菜や和牛バーガーパティ、オーストラリア産牛肉、ニュージーランド産羊肉、ノルウェー産サーモン、日本など海外・世界各国の菓子も提供。オーガニック、スーパーフード、グルテンフリー、シュガーフリー、デイリーフリー、ベジタリアンなどの健康志向のニーズに対応した2,400以上の商品を取り揃える。営業時間は午前10時から午後10時。

 TRSBのコ・キアンキー最高経営責任者(CEO)は、店舗では生活必需品を提供し、世界中の洗練された食品を販売しているとコメント。ガムダウォークとの提携は、両社のみならず顧客にとっても有益だと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、3月22日、ビレッジ・グローサー発表資料)

マラッカのインペリオモールを医療モールへ、星クアンタムが入居

【シンガポール】 不動産開発の星企業ハッテンランドは22日、歯科医療の星企業クアンタム・ヘルスケアとの間で提携契約を締結した。ハッテンランドがマラッカで運営する商業施設「インペリオ・モール」を医療モールに再編し、モール内にクアンタムが専門外来医療センター「クアンタム・スペシャリスト・センター」を開設する。

クアンタムにとり初の海外進出で、また医療・ウェルネス事業への初展開となる。インペリオ・モールは8階建てで、総敷地面積は35万平方フィート。クアンタムはそのうち3フロア、18万平方フィートのスペースを取得し、専門科や美容医療などのクリニック、飲食店、オフィスなどを構える計画で、今年下半期から段階的にオープンする。契約期間は9年間で、テナント契約も30日以内に締結する予定。

クアンタムのトーマス・タン最高経営責任者(CEO)は、マラッカは医療ハブとして有名で、また連邦政府も医療観光を推進しているため、専門外来ケアセンターを構える地として適しており、マレーシア人以外にも、シンガポール人、インドネシア人もターゲットにしたいと述べた。シンガポール、マレーシア、インドネシアのメダンなどから、2,400万人以上の人々が訪れる可能性があるとしている。

ハッテンランドのコリン・タン会長兼社長は、マラッカは熟練開業医による手頃な医療サービスにより主要な医療観光ハブとなっているとし、またモールは患者や医療機関にとり利便性が高いため、インペリオ・モールを医療モールとして生まれ変わらせるとコメント。クアンタムと緊密に協力し、顧客に高価値な選択肢を提供することを目指すと述べた。
(エッジ、3月22日)

キヤノンマレーシア、プリンター部門で8年連続トップ

【シャアラム】 調査会社のインターナショナル・データ・コープ(IDC)が発表した2022年第4四半期のアジア太平洋のプリンタ・複合機・コピー機などのハードコピーペリフェラル市場の調査レポートで、キヤノン・マーケティング(マレーシア)が、インクジェットプリンター・ブランドとして27年連続で1位、 マレーシアにおけるレーザープリンター・ブランドとして8年連続で1位に選ばれた。

キヤノン・マレーシアのコンシューマシステム製品部長であるサンディ・リー氏は、同社の革新的な技術やソリューション、サービスがユーザーのニーズに応えられたことを嬉しく思うとし、今後も変化する市場需要に適応していくと言明。市場地位を維持するため、ビジネスパートナーと連携し、マーケティングチャネルの拡大やイーコマースサイトの強化、信頼性の高いプリンターの広範なラインナップでの提供、B2B(企業間)およびB2G(企業対政府)取引の拡大に注力し、最新機能や利便性、費用対効果を追求した信頼性の高い技術を取り入れていくとした。
(ザ・サン、3月23日)

マレーシア航空、コタキナバルー成田線を8月3日に再開

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア航空(MAS)は、コタキナバルー成田間の直行便を8月3日に再開する。

同社は、日本とコタキナバルを結ぶ唯一の直行便となる成田ーコタキナバル間の運航を月、木曜日の週2往復を運航している。運航を4月24日まで続けた後、ゴールデンウィークの臨時便である4月29日と5月3日のフライトを最後に運休すると発表していたが、今回、運休期間を5月から7月末までとし、高需要が見込まれる夏休みに再開させることを決めたという。

再開後のスケジュールも週2往復で、運休前と同じく月、木曜日に運航する。「MH80」便がコタキナバル深夜0時50分発、成田午前7時20分着、「MH81」便が成田午前9時30分発、コタキナバル午後3時00分着となる。機材はビジネスクラス16席とエコノミークラス144席の計160席を配置したボーイング「737-800」型機。
同社の日本路線はコタキナバルー成田線を含め4路線。他の3路線はすべてクアラルンプールを発着する。成田線と関西線が1日1往復、羽田線が週5往復で、水曜から日曜まで運航している。機材は3路線ともエアバス「A350-900」型機で、関空線は一部日程で「A330-300」型機を投入する。

高速バスのウィラー、スバンジャヤで相乗り交通「モビ」の提供開始

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 高速バス・夜行バスのウィラー(本社・大阪府大阪市)のシンガポール子会社ウィラーズは、マレーシアの大手交通事業者ナディコープ・ホールディングスと提携し、21日よりセランゴール州スバンジャヤで、AIオンデマンド交通サービス「モビ」のサービス提供を開始した。

「モビ」は、アプリで簡単に呼べる相乗り型の共有交通で、5ー6kmの生活圏内を自由に移動できる。スバンジャヤでは自宅から公共交通機関までの移動サービスがないことから、生活圏内を自由に回遊できるオンデマンド交通を提供する。なお、同エリアにおいては、ウィラーが日本の国土交通省より受託した「デジタル技術を活用した公共交通利用促進に資するソリューションの海外展開支援に係る調査検討業務」にて調査検討を行い、サービスを開始しているという。

東南アジア諸国連合(ASEAN)においては、これまでシンガポール、ベトナムで「モビ」のサービスを提供しており、シンガポールにおいては、約4,500人が会員登録している。

今後の「モビ」展開については、マレーシアでは都心の住宅街において、サービス開始を近く予定しており、今後2年間で10エリア程度まで拡大し、将来的には100エリア程度での展開を目指す。ベトナムにおいても、新たにサービス開始を予定している。

インフレ抑制のため金融引き締めを、IMFが提言

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)のマレーシア訪問団を率いるラミン・リー氏は、インフレを抑えるために現在の緩和的なスタンスを中立に戻して、金融政策をさらに引き締めるべきだと指摘した。

3月8日から20日までマレーシアに滞在したリー氏は、外部からの逆風により、2023年のマレーシアの経済成長率が約4.5%に減速すると予想。その中にあって、インフレ率は約3.25%で上昇し続けると予測されるとし、プラスの需給ギャップと需要側の圧力の高まりからコア・インフレ率が高止まりする可能性があると指摘した。

その上でリー氏は、「急速に変化する非常に不確実な環境では、マレーシア中央銀行バンク・ネガラは政策決定の根拠を引き続き明確に伝えることが重要」と指摘。「金利が上昇し経済成長の勢いが弱まっている現在の環境下では、家計や企業のバランスシートの監視を強化する必要がある。マクロプルーデンス政策(金融システム全体のリスクの把握を重視し安定を図る政策)のツールキットを拡大することは、こうした取り組みをサポートするのに役立つ。為替レートの柔軟性は、外的ショックに対する最前線の防衛ラインとして必要となる」と述べた。

マレーシア中銀は長く3.25%で維持していた翌日物政策金利(OPR)を2019年5月、2020年1月、3月、5月、7月に引き下げ、16年ぶりの水準である1.75%としていたが、利上げに転じ2022年5月、7月、9月、11月に利上げを実施して2.75%とし、その後は維持していた。

リー氏はまた、第12次マレーシア計画(12MP)と2023年度予算で設定された協調的な政策課題の実施に向けて前進する時が来たと指摘。これらの政策は広範な生産性推進と包括的な成長、気候変動への対処、デジタル化促進、ガバナンス強化、腐敗防止の強化に適切に焦点を当てていると評価した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月21日)

トヨタの燃料電池車「ミライ」、サラワク州政府公用車として3台納車

【クチン】 サラワク州で、同州政府の公用車として使用されるトヨタの高級セダン型水素燃料電池車「ミライ」3台の納車式が22日に開催された。

すでに今年1月、アバン・ジョハリ州首相とサラワク経済開発公社(SEDC)のアブドル・アジズ会長が使用する公用車として、2台の「ミライ」が納車されている。今回受け取った「ミライ」は、アマル・ダグラス副首相、アマル・アワン副首相、シム・クイヒアン副首相の公用車となる。

アブドル・アジズ会長は、水素で走行する自動車の利用促進のため、州内で水素ステーションの設置を進めており、現在ペトラ・ジャヤですでに1カ所が稼働していると言明。2カ所目としてバトゥ・カワで建設中で、計5カ所の水素ステーション設置を計画していると述べた。

自動車情報サイト「ポールタン」によると、2020年12月に日本で発売を開始した第2世代の「ミライ」の価格は「G」が27万7,150リンギ、「Z」が30万8,380リンギからとなっている。
(ハリアン・メトロ、3月22日、マレー・メイル、3月21日)

サイエンテックスが印尼住宅不動産市場に参入、日クリードとJV

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 包装材製造や不動産開発を手掛けるサイエンテックスは、インドネシアのムスティカ・ランドと日本のクリードと提携し、インドネシアの廉価住宅不動産市場に進出したと発表した。

サイエンテックスが発表した声明によると、完全子会社のサイエンテックス・クアタリは、ムスティカ・ランドの子会社グラハ・ムスティカ・タマンサリ(PT GMT)、クリードの子会社クリード・プロパティPH-1社と合弁会社(JV)を設立した。出資比率はPT GMTが60%で、サイエンテックスとクリードがそれぞれ20%

JVはPT GMTから、ジャカルタ中央ビジネス地区やチカラン工業団地、カラワン工業団地に近い場所にある土地を取得し、面積12エーカーの土地付き廉価住宅開発「グラハ・ムスティカ・タマンサリ」の第1期に着工する。推定総開発価値(GDV)は1,900万米ドル(およそ8,500万リンギ)。

ムスティカ・ランドは、ジャカルタ周辺において1995年から18件の不動産開発プロジェクトを手がけている。一方でクリードは、東南アジアおよび南アジアの不動産市場を中心に事業を展開。シンガポールに事業本拠を置き、ベトナム・カンボジア・インドネシア・タイ・マレーシア・ミャンマー・ラオス・バングラデシュで投資を行っている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月22日)