多角経営のPPB、向こう5年で7.9億リンギの設備投資

【クアラルンプール】 穀物販売、映画興行、食品加工など多角経営のPPBグループは、向こう5年間で7億8,700万リンギを設備投資に割り当てる方針を明らかにした。

中国の製粉工場への投資とマレーシアのサイロおよびトウモロコシ工場の建設に3億9,200万リンギ、マレーシアでの7つの新映画館開設と既存の映画館の改修に2億9,600万リンギをそれぞれ投じる。また消費者向け食品加工部門のシステムアップグレードと自動化に6,700万リンギ、「チェラス・レジャーモール」の改修に3,200リンギをそれぞれ割り当てる。

メディア向け説明会に出席したリム・スーンフアット社長は、気候変動、地政学的紛争、経済および金融市場の不安定性によって引き起こされる混乱の影響を軽減するために、サプライチェーン管理と業務効率の向上に重点を置くと言明。「穀物市場の不安定性がPPBグループの課題のひとつだが、問題は価格変動をどれだけ上手に管理できるかだ」、「市場の不安定性はさらに高まる可能性がある。地政学的展開を予測することはできない」と述べた。

PPBグループは、農業ビジネスや加工食品販売を手掛けるFFM、シネコン経営のゴールデン・スクリーン・シネマ(GSC)を傘下に持つ。

(ベルナマ通信、9月5日)

ジョホール港、8月にコンテナ取扱量10万TEUを突破

【クアラルンプール】 ジョホール港の運営を手がけるMMCグループ傘下のジョホール・ポートは、8月にコンテナ取扱量が10万2,324TEU(20フィート標準コンテナ換算)となり、2019年7月の9万9,039TEUを抜いて月間取扱量の最高記録を更新した。

今年年初8カ月(1―8月)の累計取扱量は69万8,914TEUとなり、前年同期比15.7%の大幅増となった。ジョホール・ポートは、ジョホールにおける貿易活動の増加とジョホール港のサービスレベルの向上を反映していると分析。向こう5年間で10億リンギ以上の設備投資を割り当て、インフラ改善と新機器購入により港湾業務の一部を自動化すると明らかにした。

デリック・バシル最高経営責任者(CEO)は、同港が毎日平均1,700人の外部運送業者を管理し、ヤード利用率が最大120%に達したとした上で、同港の貨物処理能力および地元の輸出入業者や産業を支援する能力を示したと述べた。

マレーシア運送業者協会のズルファリク・アブドル・マナップ副会長は、貨物量の急増によりジョホール港を利用する運送業者の数が増えたにもかかわらず、トラックターンアラウンドタイム(TTT=トラックが港に着いてから荷積み・荷下ろしを終えて港を出るまでの時間)は適切に管理され、ほぼすべてのトラックのTTTが45分未満だったと述べた。

(ザ・スター、9月6日)

フォレストシティ、マレーシア部門の下に移管

【クアラルンプール】 経営難の中国系デベロッパー、碧桂園控股(カントリー・ガーデン)は先ごろ、ジョホール州で進めている人工島プロジェクト「フォレスト・シティ」を、新たに設立したマレーシア部門の下に正式に移管した。

経済紙「ビジネスタイムズ」によると、「フォレスト・シティ」をマレーシア部門の下に位置づけることにより、同プロジェクトを中国の親会社である碧桂園控股の財務問題から切り離し、間断なく開発を進めることを保証することが狙いだとみられる。「フォレスト・シティ」の現地マネジメントを手掛けるカントリー・ガーデン・パシフィックビュー(CGPV) は、3人の取締役の下で今後、碧桂園控股からの直接的な影響を受けずに現地当局や利害関係者とプロジェクトに関する交渉を担当するという。新設のマレーシア部門は、専用のリソースと地域密着型体制により、「フォレスト・シティ」の開発を継続するとみられる。

ロイターによると、碧桂園控股は2023年、110億ドルのオフショア債券の債務不履行に陥り、オフショア債務の再編を進めているが、同社の株式は4月2日から取引停止となっている。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月4、6日、ロイター、9月5日)

イスラム開発局、豚・酒なしの飲食店へのハラル認証義務化を検討

【シャアラム】 マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)は、イスラムで禁忌とされる豚肉やアルコールを提供しない飲食店や食品会社に対し、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証取得を義務化することを検討している。モハマド・ナイム・モクタル首相府相(宗教問題担当)が明らかにした。

現在、ハラル認証取得は任意であり、飲食店や食品会社にハラル認証取得を義務づける法律は存在しない。ナイム氏は、すべての飲食店にハラル認証取得を義務づけるには、いくつかの法律や法令を改正する必要があると指摘。施行するには多くの機関が関与する必要があると述べた。

その上でナイム氏は、ムスリムコミュニティは、ハラル・マレーシア・ポータルなどJAKIMが提供するプラットフォームを通じて飲食店のハラル・ステータスの確認にもっと積極的になるべきだと指摘。「消費者の意識が高まれば、飲食店経営者にハラル認証を取得するよう圧力をかけることができる」と述べた。

JAKIMは3日、ムスリムがよく利用する人気の外食チェーン6社がハラル認証を受けていないことを確認したと発表した。JAKIMが認証を取得していない飲食店として実名で挙げたのは▽ジョニーズ▽ブラックキャニオン▽ドリー・ディムサム▽ミスター・ダッカルビ▽ブンカス・カウカウ▽アヤム・ぺニェット・ベスト(4店舗を除く)――。

(フリー・マレーシア・トゥデー、9月5日)

マレーシアでの事業拡大計画は変更なし=米インテル

【クアラルンプール】 半導体大手の米インテルは、ペナン州における新チップのパッケージングおよびテストプロジェクトを部分的に停止するとの一部報道を否定。「マレーシアにおける事業計画の変更はない」との声明を発表した。同プロジェクトは、インテルが2021年に発表したマレーシアにおける70億ドル(303億リンギ)の投資計画の一部。

インテルは2025年までに全世界で全従業員の15%に当たる1万5,000人を削減する計画を明らかにしているが、先ごろ英字紙「ザ・スター」は情報筋の話として、インテルがマレーシアだけでなく世界の他の地域でも新たな投資を再検討しているとし、ペナン投資の部分停止を報じていた。インテルはマレーシアでは1万4,000人を雇用している。

インテルのペナン事業の拡大は、ペナン工場を米国外で初となる高度な3Dチップパッケージング施設にすることを目指したもので、インテルの世界的な人員削減計画を受けたペナン州のチョウ・コンヨウ首相は、「同州における人員削減の計画についてはインテルからは何も知らされていない。同州での事業拡張計画は進められており、人員削減よりもむしろ採用を増やすと予想される」と述べていた。

インテルは1972年に米国外で初の製造施設をマレーシアに開設。ペナンはインテルにとって米国以外で最大の拠点となっている。

(エッジ、9月5日、ザ・スター電子版、9月4日)

上場企業のバーチャルのみの株主総会、来年3月から禁止

【クアラルンプール】 マレーシア証券委員会(SC)とブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)は8月30日に共同声明を発表し、2025年3月1日以降、上場企業(PLC)によるバーチャルのみの株主総会は禁止すると発表した。ブルサは今後、詳細を発表する。

バーチャルのみの株主総会は、新型コロナのパンデミックを受けて認められるようになったが、パンデミックが終息したにもかかわらずバーチャル開催は慣例化し、2024年上半期には上場企業の半数以上がバーチャルのみで年次総会を開催していたという。今後、上場企業は対面による株主総会、もしくは対面とバーチャルのハイブリッド方式の株主総会の開催が義務づけられる。

SCのモハマド・ファイズ・アズミ会長は、パンデミックの間は完全なバーチャル総会は目的を果たしたが、上場企業はハイブリッドまたは対面式の会議形式に移行する時期が来ていると言明。株主総会、特に年次総会は、経営陣・取締役を出席させる重要な会議だとし、「国内外の投資家もハイブリッドまたは対面での会議を好んでいる。透明性確保と説明責任を果たさせる事で企業のガバナンス強化につながる」と述べた。

ブルサのムハマド・ウマル最高経営責任者(CEO)は、アクセシビリティと対面の適切なバランスをとるハイブリッド方式を支持していると言明。上場企業は少なくとも対面による総会を開催するよう努めるべきであり、これによりテクノロジー障壁が排除され、株主の権利が確保され、株主総会のプロセスの完全性が維持される」と述べた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、8月30日)

ベルジャヤフード、通年決算で9151万リンギの赤字に転落

【クアラルンプール】 外食チェーンの運営を手掛けるベルジャヤ・フードは27日、2024年度通年(2023年7月―2024年6月期)決算を発表。「スターバックス」チェーンに対する不買運動とジョリビーン・フーズの売却による損失で9,151万リンギの赤字に転落したと明らかにした。前年度は1億340万リンギの黒字だった。

通年の売上高は7億3,030万リンギで、前年度比34.6%の大幅減収となった。イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区侵攻に関連して対米世論が悪化し、「スターバックス」が不買運動の標的にされたことが響いた。第2四半期(2023年10月―12月)に計上したシンガポールのジョリビーン・フーズの売却損は1,050万リンギ。投資関連の特別損失を除くと税引前損失は7,684万リンギだった。

第4四半期(2024年4―6月期)の売上高は1億3,057万リンギで、前年同期比52.0%の大幅減収となった。「スターバックス」に対する不買運動が響いた。同期の赤字は3,820万リンギ。

ベルジャヤ・フードは声明の中で、「厳しい市場環境とグループの業績に影響する外部からの圧力を認識している」としながらも「慎重ながらも楽観的である」とし、業務が徐々に改善すると予想している。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、8月27日)

ソーシャルメディアのライセンス制、ネット連盟が停止要請

【クアラルンプール】 マレーシア政府によるソーシャルメディアのライセンス制導入を受け、テクノロジー大手が加入するアジア・インターネット連盟(AI)が、ライセンス制反対の意向表明および同制度の一時停止を求める内容の公開書簡をアンワル・イブラヒム首相宛てに送ったことを明らかにした。

AICには▽グーグル▽ヤフー▽楽天▽X▽リンクドイン▽アップル▽アマゾン▽メタ▽グラブ――などが加入しており、経済への影響を考慮してライセンス制度を一時停止し、政府が推進するより広範な経済目標とどのように一致するかを慎重に検討してから行うべきだとしている。

AICは、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)が導入した規制は業界にとって実行不可能であり、企業に過度の負担をかけることでイノベーションに悪影響を与えると指摘。またコンプライアンスの複雑さとコストにより、将来の投資を妨げることになるとしている。

またAICは、2024年8月1日に情報ペーパーとFAQが公開されるまで、ライセンス制度に関する正式な公聴会は行われなかったと指摘。議論が行われなかったことにより、義務の範囲などの解釈を巡って業界に混乱を生じさせたとし、こうした状況下ではライセンス登録はできないとしている。

MCMCは7月27日、800万人以上のマレーシア国内ユーザーを抱えるすべてのソーシャルメディアおよびメッセージ・サービスに対してライセンス申請を求める新たな規制枠組みを発表。8月1日よりライセンスの導入を開始し、2025年1月1日から正式に施行するとしていた。

ライセンスなしで運営を続けた場合、「1998年通信マルチメディア法」違反とみなされ、有罪となれば50万リンギ以下の罰金、または5年以下の禁固、あるいはその両方を科される可能性があるという。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、8月26日)

米テスラ代表と投資貿易相が協議、改めて支援の意向を確認

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は22日、米テスラの代表団と協議を行い、テスラから改めて電気自動車(EV)充電インフラの開発にマレーシア企業9社を関与させることを通じて、マレーシアのEVエコシステムに対する支援の意向が伝えられたと明らかにした。

ザフルル氏によると、同日の議論はグローバルバッテリー電気自動車(BEV)輸入許可(AP)スキームの進捗と実施に焦点が当てられ、テスラからは充電インフラ開発のほか、ノウハウ移転と人材育成のためにマレーシアの高等教育機関と協力する予定であることも伝えられたという。

ザフルル氏は、「テスラとの協力により、マレーシアは地域の主要なグリーンテクノロジー拠点となることが期待される」と言明。「共同の取り組みが今後も拡大し、我が国の経済、技術、持続可能なエネルギーに大きな利益をもたらすことを願っている」と述べた。

テスラは2024年7月末までに、マレーシア半島部で総容量250キロワット(kW)のスーパーチャージャー充電器52基、壁コネクタ交流(AC)充電器54基、家庭用充電器4,500基以上を設置。投資額は1,350万米ドル(5,906万リンギ)に達している。

(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、8月22日)

米AWSがデータセンター開設、38年までに292億リンギ投資

【クアラルンプール】 クラウドサービス大手の米アマゾン・ウェブ・サービシーズ(AWS)は22日、アジア太平洋(マレーシア)リージョン(データセンター)を正式に立ち上げた。同時に2038年までにマレーシアに約62億ドル(292億リンギ)を投資する計画も発表した。

AWSの声明によると、新リージョンはマレーシアの国内総生産(GDP)に約121億米ドル(573億リンギ)寄与し、2038年までに建設、メンテナンス、エンジニアリングなどの分野で年平均3,500人以上のフルタイム従業員の雇用を生み出すという。

国内ではブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)、通信のアシアタやセルコムDigi、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)などの大手企業、ドローン・サービスのエアロダイン、中古車仲介サイト運営のカーサムなどの新興企業、統計局、郵便サービスのポス・マレーシアなどの公共部門がAWSを利用しており、マレーシア・リージョンの立ち上げにより、遅延の減少や可用性の向上などの恩恵を受けられるとしている。

AWSは現在、世界で34リージョンを運用しており、今後、メキシコ、ニュージーランド、サウジアラビア、台湾、タイ、欧州でも新規リージョンを立ち上げる計画だ。

(ビジネス・トゥデー、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、8月22日、AWS発表資料)