鋼板のマイクロンスチール、JFEのグリーン鋼材を採用

【クアラルンプール】 冷延鋼板を製造するマイクロン・スチールは、日本の製鉄大手JFEスチールのグリーン鋼材を製造プロセスに取り入れることで合意し、20日、覚書を交わした。

取り入れるグリーン鋼材はJGreeX(ジェイグリークス)。鉄鋼製造プロセスにおける二酸化炭素排出量を大幅に削減した鋼材で、二酸化炭素排出削減量を特定の鋼材に割り当てるマスバランス方式を適用し、排出量を大幅に削減したとみなすもの。価格は従来品より高くなるが、持続可能性への意識の高まりを背景に、グリーン鋼材の需要はこの先5年間で2.5倍の増加が期待できるという。

マレーシア企業によるJFEのグリーン鋼材使用は初めて。ロスハン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は、マスバランス方式を利用し、同社独自のグリーン鋼材を開発すると表明。太陽光など再生可能エネルギーによる電力の調達を望んでいるが、低価格での入手が困難なのが課題だとした。

マイクロン・スチールはマレーシア工科大学(UTM)とも地球温暖化ガス(GHG)をモニターするシステムの開発で提携しており、GHG削減を図る。

(エッジ、ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、9月20日)

英国のCPTPP加盟を承認、英国と初の自由貿易協定に

【クアラルンプール】 マレーシアは、英国の包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟を批准した。CPTPPは多国間自由貿易協定(FTA)で、マレーシアにとり英国との初のFTAとなる。

英国は2024年5月に批准手続きを完了した。締約国では日本、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ベトナム、ペルーが批准手続きを終えており、発効の条件が満たされていた。12月15日までに発効の見込みだ。

英国の加盟でCPTPP参加国の国内総生産(GDP)は計15兆4,000億米ドルになり、世界GDPの15%を占める。

投資貿易産業省によると、パーム油、ココア、ゴム、電気・電子製品など、マレーシアは英国への輸出品の94%について関税ゼロの適用を受ける。テンク・ザフルル大臣は、英国市場への参入が容易になると述べた。

CPTPPにはほかに、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、メキシコ、ニュージーランドが加盟している。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、9月20日)

フォレストシティ金融特区の優遇措置を発表

【ジョホールバル】 ジョホール州の人工島プロジェクト「フォレスト・シティ」の金融特区(SFZ)の開始式典が20日に開催された。

フォレスト・シティのSFZ計画はアンワル・イブラヒム首相が昨年8月に発表したもので、優遇措置を導入し、SFZでの事業費を抑制することで高コストのシンガポールとの差別化を図り、投資を呼び込むのが狙い。

開始式典に出席したアミル・ハムザ・アジザン第2財務相は優遇措置について、富裕層を対象に資産管理および運用サービスを提供するファミリーオフィスに対し、課税額をゼロにすると発表。国内では初の措置だとした。その他にも、法人税率を0―5%に、フォレスト・シティ内で働く知識労働者やマレーシア人労働者に対する個人所得税の税率も15%にするとした。

同氏は、優遇措置は、企業、金融機関、富裕層を誘致し、同地を投資先として強化するためのもので、2025年第1四半期までの運用開始を目指すと述べた。

(ザ・スター、9月20日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、9月19日)

ハラル認証取得は今後も任意=ザヒド副首相

【クアラルンプール】 アハマド・ザヒド副首相は、18日の閣議でハラル(イスラムの戒律に則った)認証取得を任意とする現行制度を今後も維持していくことを確認したと明らかにした。ザヒド氏は、マレーシア・ハラル委員会の委員長も務めている。

モハマド・ナイム・モクタル首相府相(宗教問題担当)が先ごろ、「マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)がイスラムで禁忌とされる豚肉やアルコールを提供しない飲食店や食品会社に対し、ハラル認証取得を義務化することを検討している」と述べたことを受けたもの。

ザヒド氏は、JAKIMと州イスラム宗教評??議会(MAIN)あるいは州宗教局(JAIN)が監督するハラル認証は、1974年の導入以来任意であり、「2011年商品表示法」によって強固なものとなったと言明。「既存方針は変更されておらず、マレーシアのハラル認証はすべての要件、基準、規制に準拠する準備ができているすべての業界に開放されている」とした上で、「ハラル認証を取得することは事業者に付加価値をもたらす」と述べ、義務化はしないものの認証取得については奨励する考えを示した。

ナイム首相府相のハラル認証義務化発言を受けて、非イスラム事業者や認証取得費用を賄えない零細マレー事業者の負担を増すなどとして各方面から懸念の声が噴出。先頭を切って疑問の声を上げた与党連合・希望同盟(PH)所属のテレサ・コック下院議員(民主行動党=DAP)に対してはイスラム保守派に迎合したい保守派政治家などが厳しく批判。コック氏が複数の告発を受けて警察に事情聴取を受ける騒ぎにまで発展していた。

(ビジネス・トゥデー、エッジ、9月18日)

米インテル、ペナン新工場の操業を延期へ

【クアラルンプール】 半導体大手の米インテルは、売上減と赤字拡大に悩まされていることから、マレーシア・ペナンに現在建設中の新工場の操業を延期する方針だ。

インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は従業員に送付したメモの中で、インテルはいまだペナンの新先端パッケージング工場の建設を完了させる予定であり、マレーシアが引き続き同社の設計・製造拠点であり続けると言明。「マレーシアの新先端パッケージング工場の建設を完了させる予定だが、立ち上げは市場状況や既存生産能力の活用度向上に合わせる」と述べ、操業開始時期を延期する意向を示した。

ペナン施設の拡張プロジェクトは、新型コロナ禍で世界中が半導体不足に直面していた2021年に発表されたが、その時点では70億ドル(300億リンギ)以上の投資が予定されていた。計画では2024年に生産を開始し、4,000人以上の雇用創出が見込まれていた。

インテルは2025年までに全世界で全従業員の15%に当たる1万5,000人を削減する計画を明らかにしており、9月16日には、ドイツとポーランドに2つの巨大半導体工場を建設する計画を延期すると発表していた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、9月18日)

スーパーマックス、来年1月までに米国で手袋生産開始

【クアラルンプール】 ゴム手袋製造大手のスーパーマックス・コーポレーションは17日、テキサス州ブラゾリア郡にある同社初の米国の製造施設で、2025年1月までに商業生産を開始すると発表した。

米国での生産は完全子会社のマックスター・ヘルスケアを通じて行うもので、2024年12月に最初の生産ラインの試運転を開始する。当初は第1期で予定している生産能力の半分に当たる年間最大24億枚のゴム手袋生産を見込んでいる。第1期の残りラインは2025年第4四半期に完成する予定で、米国の年産能力は2倍の年間48億枚に拡大する。

テキサス州の製造ビル(B2A)と倉庫兼配送センター(B5)の建設は、米国のスーパーマックス・ヘルスケアとマックスター・ヘルスケアのチームが共同で行い、2023年12月に完了。試運転にあたっては、マレーシアの技術チームが派遣された。

またスーパーマックスは向こう2年内に第2期開発を計画しており、それに向けて世界的な需要と消費市場の動向を注視している。

米国通商代表部(USTR)は最近、中国からの輸入医療用手袋に2025年に50%、2026年に100%の高関税率を課すことを決定しており、米医療機器製造業者協会の会員企業であるマックスター・ヘルスケアにとって有利に働くと見られている。

(ビジネス・トゥデー、エッジ、9月17日)

ハラル見本市「MIHAS2024」開幕、ドバイでも11月に開催

【クアラルンプール】 国内最大のハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2024」が17日、マレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開幕した。開催は20日までの4日間。

主催のマレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)によると、今年の成約額は昨年の32億リンギを上回る35億リンギとなる見込み。参加企業数も昨年より10%増となり、66カ国から2,000ブースが出展されている。

MATRADEはまた、初の海外版となる「MIHAS@ドバイ」を11月18―20日にドバイ・ワールド・トレード・センターで開催する。「中東オーガニック・ナチュラル製品エキスポ2024」との併催で、約230社が2,000平方メートルの会場で出展する。約120社のバイヤーの参加や成約額10億リンギを見込んでいる。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、ドバイの中継都市としての地位を活用し、中東および北アフリカ市場への輸出拡大を目指すと述べた。中国や欧州でもMIHASを開催する計画があるとし、日本に関しては、2025年4―10月に開催される、大阪・関西万博への参加を通じて貿易拡大を目指すとしている。

(マレー・メイル、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、9月13日)

ZUSコーヒー、海外展開に向け2.5億リンギを調達

【クアラルンプール】 地元コーヒー・チェーンのZUSコーヒーは10日、公務員年金基金(KWAP)、投資企業のKVアジアキャピタル、インドネシアのカパル・アピ・グループから総額2億5,000万リンギの出資を受けたと発表した。カパル・アピは、インドネシアのコーヒー・チェーン「エクセルソ」の所有企業。

ZUSコーヒーの声明によると、資金調達は海外展開に向けてのもので、年内にシンガポールとブルネイで店舗を開設する。来年以降、別の国・地域に展開する計画も進行しているという。

ZUSコーヒーは2019年、クアラルンプールで1号店を開設。他店に先駆けて専用アプリを導入するなど、テクノロジー主導の事業展開を行っている。また、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区侵攻の影響で、競合となる「スターバックス」が不買運動の対象となった中、売り上げを伸ばしている。2023年にはフィリピンに進出し、同国で50店舗を展開。域内全体の店舗数は約600店舗に達している。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、9月10日)

ゼロエミッション車専用のナンバープレートの運用開始

【サイバージャヤ】 道路交通局(JPJ)が発行する、電気自動車(EV)を含むすべてのゼロエミッション車(ZEV)専用のナンバープレート「JPJePlate」の運用が9日、開始された。二輪車を除くすべてのZEV新車に対し、同日付で「JPJePlate」 の使用が義務づけられる

「JPJePlate」は1セット98リンギで、フロントプレート、リアプレート、RFIDフロントガラスステッカー、標準配送料が含まれている。安全性の向上と取り締まりのしやすさに向け、反射視認性を向上させ、偽造防止ホログラムやRFIDによるスマートテクノロジーを導入している。

自動車メーカーや自動車販売業者は、同日から公式ウェブサイト(jpjeplate.jpj.gov.my) を通じて新車のZEV を購入した顧客に代わり、「JPJePlate」を注文できるようになった。また既存のZEVは専用ナンバーの取得は義務化されないが、切り替えを希望するユーザーは11月9日から申請することができるようになる。

アンソニー・ローク運輸相は、EVインデックスマーク付きナンバープレートの特別入札プロセスが9月13日まで「JPJeBid」システムを通じて行われると明らかにした。入札結果は入札プロセス終了後24時間以内に発表される。収益の一部は公共事業に割り当てられる。

(フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ソヤチンチャウ、9月9日)

プロトンがエジプトで現地組立、ユニットの輸出を開始

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは9日、近くエジプトでプロトン車の現地組立(CKD)が開始されると明らかにした。エジプトは左ハンドル市場であり、同社にとり初の海外左ハンドルモデル工場となる。

同日、現地組立に向けたCKDユニットの輸出が開始された。第一陣ではAセグメント・セダン「サガ」120台分のユニットが輸出された。

エジプトでのCKD生産はエズ・エルゼウェディ・オートモビル・ファクトリーズ(ESAF)が手掛ける。プロトンは2023年11月、現地販社のエズ・エルアラブとの間でパートナーシップ協定を締結していた。

CKD生産に向けた投資額は1,500万米ドル(約6,500万リンギ)を超える見通しで、CKD車の年産能力は向こう数年間で5万台に達するとみられる。エジプトにはこれまで完成車(CBU)を輸出しており、輸出台数は過去6年間で3,200台に達した。

プロトンは現在、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ケニア、エジプトの5カ国でCKDプロジェクトを手掛けており、今後数年間で輸出台数1万台の達成を目標としている。プロトンは現在、アジア、中東、アフリカなど20カ国に輸出している。

(ポールタン、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、9月9日)