水素技術は成熟、120億リンギの収益目標達成は十分可能

【プトラジャヤ】 チャン・リーカン科学技術革新相は、マレーシアでは水素燃料自動車技術がすでに確立されており、「水素経済・技術ロードマップ(HETR)」の「2030年までに120億リンギの収益」という目標は、グリーン水素の輸出によって十分達成できるという期待を示した。

チャン氏は1日、同省で行われた移動式水素燃料補給ユニット及び水素燃料車のデモンストレーションに出席し、「水素燃料に関する技術はすでに成熟しており、車両も入手可能だ。我々がしなければならないのは需要と供給の両方を生み出すことだ」と言明。需給の創出や強固なエコシステム実現に向け、モビリティ分野での利用技術と供給側のグリーン水素生産の両方を促進したいと述べた。移動式水素燃料補給ユニットは年末までにプトラジャヤに設置される予定だという。
その上でチャン氏は、水素燃料車のメリットとして燃料補給時間が3ー5分と電気自動車(EV)より短いこと、航続距離が700―1,000キロメートルと長いこと、車両重量が軽いことを挙げた。

一方、チャン氏は、詳細な水素燃料車の実用化計画はまだ策定されていないと言明。水素が商用化され大量生産されるようになればガソリンと競合できるだろうが、マレーシアでは多額の

補助金が出ているためガソリンが非常に安価となっていると指摘した。
同日のデモにはアンワル・イブラヒム首相も出席し、チャン氏と共に首相府庁舎までトヨタの水素燃料自動車「ミライ」に試乗。チャン氏によると、アンワル首相は水素燃料自動車に大変関心を持っている様子で、第一印象としてエンジンがとても静かだったと述べていたという。
(マレー・メイル、ザ・サン電子版、ボルネオポスト、ベルナマ通信、4月1日)

ペナンLRTが閣議決定、2030年に完成予定

【プトラジャヤ】 アンソニー・ローク運輸相は3月29日、ペナン州政府から連邦政府が引き継いだ、ペナン軽便鉄道(LRT)の建設について、閣議決定が行われたと発表した。政府系MRTコープが開発運用を担当し、2030年までの運行開始を目指す。

ペナンLRTは3期に分け開発され、第1期は埋め立て工事中のシリコン島からジョージタウンのコムターまでの区間で、建設・エンジニアリング大手のガムダが60%所有するSRSコンソーシアムが工事を担当する。SRSは2015年8月に州政府が実施した公開入札で工事業者として指名されており、すでに環境影響・社会影響評価、予備技術調査や設計を自前の資金で実施している。今後MRTとSRSとの間で交渉を進め、半年程度で契約内容を確定させ、工事を開始するという。

ローク運輸相は、第2ー3期については別途公開入札を行うと言明。LRTの車両基地についてはスンガイ・ニボンのタパック・ペスタ統合型交通開発と共に建設するとし、運賃以外の追加収入を得ることを目指すと述べた。

ペナン州のチョウ・コンヨウ首相は、ローク運輸相の発表を歓迎するとし、州政府はスンガイ・ニボンの車両基地に加え、シリコン島内にもう1カ所車両基地を建設することを提案していると述べた。

ペナンLRTは全長29キロメートルで、ジョージタウンの市街地やペナン国際空港、埋め立て中のシリコン島を結ぶ。北の終点をコムターからタンジュンブンガまで延伸することも検討されている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、マレー・メイル、3月29日)

サービス税免除の対象を拡大、自由区・指定区間の輸送も

【クアラルンプール】 財務省は物流業と建物保守に対するサービス税免除の内容を改めた。国民生活への影響を考慮したという。アミル・ハムザ第2財務相が3月31日、発表した。

財務省は3月11日にサービス税免除対象の拡大を発表したが、今回さらに対象を拡大した。企業間物流サービスでは、混載業者、海運・空運業者、コールドチェーン業者など1(a)項目に分類される物流業者は、1(b)項目に属するデリバリー、配布、運送サービスの入手に対しサービス税を負担する必要がない。以前は1(a)と1(b)のサービスは別個の課税対象だった。

また自由商業区や自由工業区など特別区と指定区間の物流サービスもサービス税を免除される。ポート・クラン自由区、ウエスト・ポート、ジョホール州のパシル・グダン港などが適用を受ける。ただし、通関業者が提供するサービスは引き続き課税対象。

海上貨物輸送運賃では、マレー半島とサバ州、サラワク州、ラブアン間の輸送、およびサバ州、サラワク州、ラブアン間の輸送が免除対象。

住宅建築物の保守では、デベロッパー、共同管理組合・住民組合が行う建物自体、およびエレベーター、空調機器、湯沸かし器など建物に付随している設備の保守・修理サービスが免除対象。
(ザ・スター、4月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、3月31日)

新たな輸出額目標は1.7兆リンギ、MATRADEは達成に自信

【クアラルンプール】 輸出額が3年連続して1兆リンギを大幅に上回ったことから、政府は1兆7,000億リンギを新たな目標に掲げた。2025年までの達成を目指す。マレーシア貿易開発公社(MATRADE)のリーザル・メリカン長官が3月27日、ラマダン(断食月)の行事で明らかにした。

輸出額は2022年が1兆5,000億リンギ、2023年が1兆4,600億リンギだった。リーザル氏は、目標達成を確信していると述べた。

ラマダン行事は病気治療などで困窮している公社職員や孤児を招いてのもので、MATRADEが集めた資金を与えた。
(ベルナマ通信、エッジ、3月27日)

マレーシア、ECRLをタイ国境まで延長することを検討

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は、27日の上院質疑で、 東海岸鉄道線(ECRL)をタイ国境まで延長することを検討していると明らかにした。

ECRLは、クランタン州コタバルとセランゴール州クラン港を結ぶ全長665キロメートル(km)の電化複線化路線で、2027年までの完成を予定している。現時点で終点とされているコタバルはタイ国境から40km離れている。

タイは、マラッカ海峡とシンガポールを迂回する貿易ルートであるランドブリッジ構想を推進しているが、ローク運輸相は、お互いをライバル国と見なすのではなく両国が協力していくべきだとし、貨物・旅客輸送網の両国間の接続性を強化していくと述べた。ラオスを経由して中国と鉄道網を結ぶ協力についても検討中であり、地域の経済統合を後押しする可能性があると述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、3月27日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、3月25日)

KLの「ホリデイインエクスプレス」、ウィンボンドが売り出し

【クアラルンプール】 不動産会社コリアーズ・ホテルズ&レジャーによると、クアラルンプール(KL)市中心部にある「ホリデイ・イン・エクスプレス・ホテル」が現所有者のウィボンド・グループにより売りに出されている。現在はインターコンチネンタル・ホテル・グループ(IHG)の「ホリデイ・イン・エクスプレス」ブランドで運営されている。

売り出されているのは、全384室ある15の客室フロアを含む21階建ての本館と4階建ての別館。本館と別館にはオフィスや店舗スペースがあり、賃貸可能面積は1万7,957平方メートル。現在、その一部が専門レストラン経営者に貸し出されている。

コリアーズは最低提示価格を明らかにしていないが、購入希望者は4月26日までに機密保持契約に署名し、関心表明(EOI)を出す必要があるとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月28日、エッジ、3月27日)

宅配のニンジャバン、小売業向け在庫補充サービスを開始

【クアラルンプール】 シンガポール系宅配サービスのニンジャ・バン・マレーシアは27日、創業9周年に合わせ、小売業向け在庫補充サービス「ニンジャ・リストック」を開始したと発表した。

同社が有するEコマース配送の知識を応用したもので、B2B(企業対企業)向けサービスでは従来導入されていなかった、リアルタイムでの在庫・配送追跡などのデジタル機能を組み込み、全国配送にも対応する。独系筆記具ブランド「ファーバーカステル」が「ニンジャ・リストック」をすでに導入しており、ジャストインタイムでの在庫補充を可能にし、在庫保有を最小限に抑えているという。

B2B部門責任者のクラレンス・フェルナンデス氏は、ニンジャ・リストックは、頻繁な小口注文に対応でき、厳しい納品スケジュールも守れるとし、企業の運営コストの10ー15%を占める物流の効率性、柔軟性、透明性を高めるものだと述べた。
(ザ・サン、3月28日、ビジネス・トゥデー、3月27日、ニンジャ・バン発表資料)

個人消費は衰える、製造業連盟は経済の先行きを警戒

【クアラルンプール】 マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会長は26日、今年の経済について慎重な見方をとっているとの声明を発表した。サービス税の引き上げと補助金削減が物価、生活費の上昇圧力となり、個人消費は抑制される可能性が高いという。このため今年の経済成長率は政府予想(4-5%)のうち4%に近い数値になるとした。

明るい材料は製造業の購買担当者指数(PMI)が示すように生産活動が底を打ったとみられることで、中間財輸入が増加しており、輸出の回復が期待できる。観光客と投資の増加も経済成長を支える。世界的な金融緩和を背景に、下半期は景気が上向く見通しだという。

経済成長に障害となる可能性のある事柄としてFMMは、中国経済が完全な回復基調に入っていないこと、日本経済が景気後退になりかけたこと、不動産融資の焦げ付きが米国の銀行に深刻な影響を与える恐れがあること、米国大統領選挙を控え反中の発言が予想されることなどを挙げた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月28日、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、3月27日)

電子たばこの英系エアスクリーム、マレーシアに1億リンギを投資

【クアラルンプール】 英国を拠点とする電子たばこ企業、エアスクリームUKは、マレーシアでの事業展開のため今後5年間に1億リンギを投資すると発表した。

同社は声明の中で、流通網の拡大、管理部門と現場スタッフの増強、研究開発施設へのさらなる投資を表明。マレーシアが近い将来、同社のグローバル拠点になることを見込んでいると述べた。

エアスクリームは現在、セランゴール州シャアラムにショールームを設置し、管理、販売、マーケティング業務を行っている。マレーシア国内では約40人、世界全体では約100人の従業員を抱える。

エアスクリームはマレーシア電子たばこ商工会議所の報告書「2021年マレーシアの電子たばこ産業に関する研究」を引用し、同国の電子たばこ産業が過去10年間で30億リンギを超えるまでに成長し、3万人以上のマレーシア人の雇用を創出していることから、マレーシアが理想の投資先と判断したとしている。

エアスクリームの共同設立者で最高経営責任者(CEO)のサム・オン氏は、マレーシアの電子たばこ業界のエコシステムは十分に確立されており、市場はさらなる成長が期待でき、外国直接投資の拡大や高収入の雇用創出を加速する可能性があると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月27日)

加ブラックベリー、KLにサイバーセキュリティーセンターを開設

【クアラルンプール】 カナダのブラックベリーは26日、クアラルンプール(KL)にサイバーセキュリティ・センター・オブ・エクセレンス(CCoE)を正式に開設した。同社はかつては携帯端末のメーカーだったが、現在はサイバーセキュリティに注力している。

CCoEではサイバーセキュリティ・トレーニングやサイバー脅威情報を提供し、マレーシアや域内のパートナーがインド太平洋地域のサイバー脅威に適切に対応できるよう支援していく。また、「ブラックベリー・サイバーセキュリティ・カリキュラム」を提供し、国内で約1万2,000人不足しているとされるサイバーセキュリティ専門家の育成を支援する。ブラックベリーのサイバーセキュリティ製品やサービスに関するトレーニングコースのみではなく、米SANSインスティテュートやカナダのロジャース・サイバーセキュア・カタリストなどが提供する専門性の高いコースも用意する。女性のサイバーセキュリティ技術者に対する奨学金や大学向けに学生教育プログラムを提供する計画もあるという。

ブラックベリーのCCoE開設は昨年10月、同社サイバーセキュリティ部門のジョン・ジャンマッテオ社長がアンワル・イブラヒム首相を表敬訪問した際に発表されており、同11月に米サンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場で契約が締結された。
(ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、3月26日)