マレーシア・タイの水産物紛争が決着、農業では協力推進で合意

【プトラジャヤ】 マレーシアを初訪問したタイのアヌティン・チャーンウィーラクーン首相とアンワル・イブラヒム首相は9日、プトラジャヤで会談し、2国間水産物紛争の解決で合意した。互いに輸入制限を解除する。両国は農業分野での協力推進でも合意し、覚書を交わした。

タイは5月、マレーシア産スズキに化学物質、抗生物質が残留していたことから輸入検査を強化し、マレーシアの輸出業者に影響が出た。これに対抗しマレーシアは6月、タイ産の5種のエビの輸入を制限。タイの水産物輸出の約20%を占めるエビ業界に打撃となった。制限措置の解除時期は不明。

農業協力では、作物生産、畜産、水産、農産物販売、研究開発、検疫の領域で協力する。両国の関係当局は意思疎通を図り、課題に速やかに対処する。

10日にはアヌティン、アンワル両首相はタイ南部と国境を接するケダ州を訪問し、新たな国境検問所の開所式に臨む。
(マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、フリー・マレーシア・トゥデー、7月9日)

「100時間カレー」マレーシア1号店、KLのマイタウンに開業

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本発のカレー専門店「100時間カレー」のマレーシア1号店が11日、クアラルンプール(KL)のショッピングセンター「マイタウン」内にオープンした。

「100時間カレー」は、20種類以上のスパイスを独自に配合した欧風カレー専門店。2013年に東京・武蔵小山で開業され、日本国内では6月末時点で35店舗が展開されている。

運営するアークス(本社・東京都豊島区)によると、マレーシアではU-NEXTのグループ会社USEA(マレーシア)と提携して運営。マレーシアでは近年、「ジャパニーズカレー」の人気が高まっていることから出店を決めたという。イスラム開発局(JAKIM)基準を踏まえたレシピや調理動線の見直しなど、ハラル(イスラムの戒律に則った)対応を強化し、マレーシア市場に合わせた店舗づくりを進めていく。席数は38席。

同社はすでにフィリピン、インドネシアにも進出しており、今後さらに東南アジア諸国連合(ASEAN)展開を加速させていく方針。

ジョホール州議会選挙、第一会派のBNが圧勝

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ジョホール州議会(定数56)選挙の投開票が11日に行われ、国民戦線(BN)が48議席を獲得して第一会派になった。改選前の40議席から8議席上乗せし、州憲法改正が可能な3分の2を大きく上回った。

国政与党の希望同盟(PH)は、アンワル・イブラヒム政権への不満から改選前の12議席から8議席に4議席減らした。PHは国政ではBNと共闘しているもののジョホール州など州レベルでは両党の対立が高まっており、今回の選挙もそれぞれ独自に候補を擁立していた。

野党連合・国民同盟(PN)は33選挙区に候補を擁立したが全敗。改選前の3議席すべてを失った。マレーシア統一民主同盟(MUDA)も、改選前の1議席から議席ゼロとなった。

PH所属政党の人民公正党(PKR)を離党したラフィジ・ラムリ氏とニック・ナズミ氏のマレーシア統一党(ベルサマ)は、15選挙区に候補者を擁立したものの全敗に終わった。

同州議会は本来の任期満了は2027年4月21日だったが、今年6月1日に解散。第一会派のBN率いるオン・ハフィズ州首相が高い支持を得ており、前倒し実施で現職効果を最大化する狙いから早期解散に踏み切った

【イスラム金融の基礎知識】第596回 マレーシアと比較したトルコのイスラム銀行の特徴

第596回 マレーシアと比較したトルコのイスラム銀行の特徴

Q: マレーシアと比較した場合のトルコのイスラム銀行の特徴は?

A: 1983年にイスラム銀行制度が始まったマレーシアとトルコだが、現在の普及の程度は大きく異なる。この違いはどこから生じたのか、トルコ側から分析を試みた論文が2025年に発表された。トルコ・セルジューク大学経済学部のスクル博士とアフメッド博士の共同論文「マレーシアとトルコのイスラム銀行の比較」で、トルコの合わせ鏡としてのマレーシアの姿をみてみたい。

論文では、2006年から2023年までの両国のイスラム銀行の主要データの比較を行っている。中でも2003年の支店数と従業員数は、マレーシアの方がトルコよりも1.5倍多い。総人口やムスリム人口比率ではトルコが高いにもかかわらず、両数値はマレーシアが高い数値を示していることから、筆者たちは注目すべき点だと強調している。またこれらは堅調に増加している一方、2016年にはともに減少した。ただし理由は異なるとしており、トルコでは業務停止したイスラム銀行があったのに対して、マレーシアではオンラインの普及や合理化で店舗統合が進んだ結果だとしており、金融機関の発展段階にも差があるとみている。

マレーシアの普及はシェア率の高さにも表れている。両国ともイスラム銀行と従来型銀行が併存しているため、銀行部門に占めるイスラム銀行のシェア率で普及の度合いを測れる。論文によれば、2023年の総資産・融資残高・預金残高それぞれに占めるイスラム銀行の割合は、マレーシアでは36~45%だが、トルコでは7~10%にとどまっている。トルコがマレーシアほどのシェア率に至っていない理由として筆者たちは、トルコ経済の不安定化や政府・中央銀行による金融引き締め政策の実施などを挙げている。ただ、両国のイスラム銀行ともコロナ禍からの影響は少なかったとしており、イスラム銀行の経済危機への底堅さがあるとしている。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

プロトン、シンガポールで小型EV「e.Mas5」の発売を開始

【クアラルンプール】 プロトン・ホールディングスは、シンガポールでコンパクト電気自動車(EV)、「e.Mas5」を発売した。地域におけるプレゼンス強化及び輸出事業拡大のための戦略の一環で、シンガポール市場に投入されるEVモデルとしては昨年発売された「e.Mas7」に続く2番目の車種となる。

「プレミアム」仕様のみで、発売記念価格は15万8,988シンガポール(S)ドル(50万1,900リンギ)となる。加えて、充電クレジット、5,000Sドル(1万5,800リンギ)相当のオーナー特典、頭金ゼロ、10年間のバッテリー保証、国際保証、マレーシア・シンガポール間のデータローミング無料サービスが付く。

マレーシア仕様と基本スペックは共通。販売はヴィンカー・グループが手掛ける。

プロトン・インターナショナル・コーポレーションのエドモンド・リム・メントン最高経営責任者(CEO)は、「e.Mas7」の好調な販売を受けたものだとした上で、輸出量拡大へのプロトンの長期的な取り組みを反映したものだと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、7月9日)

マレーシア航空、KL―深圳、長沙結ぶ中国2路線を開設

【プトラジャヤ】 マレーシア航空は今月、クアラルンプール(KL)と深圳、長沙を結ぶ中国2路線を就航した。

両路線ともデイリー便で、ナローボディ機のボーイング737-8型機を使用。同社の中国系路線は、北京、上海、広州、厦門、成都、香港に、台北を合わせて計9都市に拡大される。マレーシア航空グループの航空事業最高経営責任者(CEO)であるブライアン・フーン氏は「今回の拡大は、マレーシア観光年キャンペーンに沿ったものであると同時に、KLを地域航空ハブとして強化するものだ」としている。

深圳路線は1日から運航を開始し、往路のMH522便(KL21時5分発、深圳翌1時15分着)、復路のMH523便(深圳2時45分発、KL6時45分着)となる。

長沙路線は8日に就航し、往路のMH520便(KL20時発、長沙翌1時5分着)、復路のMH521便(長沙2時5分発、KL6時50分着)となる。
(ザ・スター、エッジ、ベルナマ通信、7月9日)

シンコーポレーション、マレーシアのカラオケ企業の買収完了

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 カラオケ事業のシン・コーポレーション(本社・東京都港区)は9日、マレーシアでカラオケ施設を運営するオットツリー・エンターテインメントの株式取得を完了したと発表した。

シン・コーポレーションは日本国内で「カラオケBanBan」を約400店舗展開。今回の株式取得については、親会社のGENDAが2月、同社のカラオケ事業初の海外進出として発表していた。オットツリーは、「大嘴叭(Loud Speaker)」としてジョホール州などマレーシア国内で10店舗以上を展開している。

同社は「日本で育まれたカラオケ文化を、より多くの国・地域の人々へ届ける大きな一歩」としている。

中銀バンクネガラ、政策金利を2.75%で据え置き

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は9日、定例金融政策会合(MPC)を開催。政策金利である翌日物政策金利(OPR)を2.75%に据え置き、昨年7月からの維持となった。

BNMは声明の中で、世界経済について概ね底堅く推移していると指摘。中東紛争をめぐり不確実性が継続しているものの、世界的なテクノロジー関連投資の拡大や主要国の金融環境の改善が成長を下支えするとの見方を示した。

マレーシア経済については、堅調な国内需要と輸出の好調さに支えられ、第2四半期は堅調な成長が見込まれるとした。家計消費は良好な雇用・所得環境や政策措置が支えとなるほか、民間投資も複数年にわたる官民プロジェクトの進展や設備投資を背景に拡大が続くとした。輸出については、電気・電子(E&E)分野や観光への需要が支えになるとした。一方で、貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張、主要国の需要減速が下振れ要因になると指摘した。

物価動向については、世界的なコスト環境の落ち着きや国内で大きな需要圧力が見られないことから、インフレ率は引き続き落ち着いた水準で推移するとの見方を示した。一方で、世界の商品価格や金融市場の動向、国内政策の影響が物価見通しのリスク要因になるとした。

こうした状況を踏まえ、現行金利は持続的な経済成長と物価安定を支えるうえで適切と判断。今後も成長とインフレの動向を注視していくとした。

三井不動産、スバン空港に航空貨物物流複合施設を共同開発

【スバン】 三井不動産グループは、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)と共同で新たな航空貨物物流複合施設を開発する。投資額は8,000万リンギで、三井不動産が70%、MAHBが残りの30%を出資する。2027年第3四半期の完成を予定しており、同年第4四半期の操業開始を目指す。

政府の包括的なセランゴール州スバン空港再生計画に沿ったもので、スバン空港にあるスバン・エアロテック・パーク内で、三井不動産(アジア)マレーシアとマレーシア・エアポーツ(スバン)の合弁会社であるMFMAインダストリアルが開発を手掛ける。

複合施設は1.78ヘクタールの敷地に建設される。延床面積約25万4,420平方フィート(約2万3,000平方メートル)を有し、複数のテナントの入居を想定し、多様な運用ニーズに対応できる設計となっている。

9日に開催された起工式に出席したアンソニー・ローク運輸相は、「今後、アジア太平洋地域のMRO市場は2030年までに600億米ドルを超える規模になると予測されており、大きな成長機会が見込まれる」とした上で、「拡大するこの市場で、より大きなシェアを獲得できるよう準備を整えなければならない」と述べた。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、7月9日)

政府は12月までの燃料備蓄の維持を保証=経済省

【クアラルンプール】 経済省は、政府が2026年後半を通じて石油備蓄を安全かつ十分な水準に維持し続ける方針であり、地政学的な不確実性が続く中でも、既存の措置で国内燃料供給を確保できると確信していると述べた。

経済省は9日に議会ウェブサイトに掲載された質疑に対する書面回答の中で、2月28日にホルムズ海峡で発生した混乱を受けて導入された段階的な政府介入により、2026年6月時点で国内の石油・燃料供給は安定しており、十分な水準を維持していると強調した。

その上で7月―12月についても、マレーシアのエネルギー安全保障は、輸入源の多様化、国内生産バイオディーゼルの利用拡大、長期供給契約の組み合わせによって引き続き支えられるとし、「多層的なアプローチにより、マレーシアは高い柔軟性と回復力を確保できる」と述べた。供給安定化を確保するため、漏洩対策の強化に加え、データ駆動型システムを用いた継続的な監視も緩和策に含まれるという。

経済省は、ブレント原油価格は4月初旬の1バレル144.50米ドルのピークから6月1日から5日の間に99.29米ドルまで下落したが、これは和平交渉を背景に市場心理が改善したことを反映しているものの、政府は依然として慎重な姿勢を維持していると強調。現物供給の制約と世界的な在庫減少は、依然として無視できないリスク要因であると指摘した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、7月8日)