ケダ州、看板や標識へのジャウィ文字使用を義務化へ

【クアラルンプール】 ケダ州政府は、州内の看板や標識の表記においてジャウィ文字(マレー語表記のために作られたアラビア文字を改良した文字)の使用を義務化する計画だ。州地方自治・保健委員会のマンソール・ザカリア議長(国政の閣僚に相当)が明らかにした。

州政府が行っているジャウィ文字の使用促進活動の一環で、すでにジャウィ文字促進を謳った条例があるという。ただし第1の文字であるマレー語表記のためのローマ字に加え、第3の文字として他の言語の併記も認められる。

その一方でマンソール氏は、看板や標識の表記において、露出度の高い服を着た女性など挑発的な画像の使用を禁止すると言明。「その他の禁止されている映像には、扇動的な内容、人種的要素、危険な武器の描写などがある」と述べた。州政府は地方当局と協力して施行にあたるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、1月14日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第891回:やりがい搾取(6)集団の論理で自滅する組織

第891回:やりがい搾取(6)集団の論理で自滅する組織

前回は、人間が作り出した社会システムに対する脆弱性が、努力と報酬の不均衡(effort-reward imbalance, ERI)による心身の崩壊にかかりやすい原因かもしれないというお話でした。

この未解決の問題に取り組むためには、進化生物学や脳科学など、人間の特殊性に関連するさまざまな分野の視点を取り入れる必要があるかもしれません。例えば、進化生物学では、第三者の評判に基づく協力のメカニズムを「間接互恵性」と呼んでいます。直接的な利益がないにもかかわらず評判の良い人に協力したり助けたりする行動は、人間以外の生物ではめったに観察されません。したがって、間接互恵性は、人間が進化の過程で獲得した行動であると考えられています。間接互恵性は、評判が損なわれると誰からの支援も得られなくなるという強力なペナルティを課すことにより、フリーライダー、つまり他人に協力しない個人の増加を防ぎます。このように、人間は集団を維持するために個人に負担を強いる社会を作り、その結果、生存を維持してきたのです。この集団の能力は現代社会にも存在し続けており、個人よりも集団を優先する文化が強い社会(一般的には厳しい自然環境で生き抜くために結束を必要とする社会)が、COVID-19のパンデミックによる感染数の増加を抑制できたことを示す研究結果もあります。

しかし、グループを管理する人々はしばしばこのメカニズムを悪用し、メンバーに肉体的および精神的に破壊的な過度の負担を負わせます。そのような組織は、互恵主義が失敗し、持続不可能な状態にあるため、マネージャーによるそのような行動は、従業員の離職や病気につながるだけでなく、最終的には組織自体を危機に陥れる可能性があります。この種の不合理性は、相互利益を前提とする伝統的な二者間互恵性から明らかに逸脱しています。したがって、間接互恵性の概念をERIとやりがい搾取のモデルに組み込むことは、互恵性の失敗のメカニズムと、一見すると不合理なほどに搾取的な組織行動によるERIの発生をよりよく理解するのに役立つかもしれません。

 

Kokubun, K. (2024). Effort–Reward Imbalance and Passion Exploitation: A Narrative Review and a New Perspective. World, 5(4), 1235-1247. https://doi.org/10.3390/world5040063

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、東北大学客員准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、産業創出学の構築に向けた研究に従事している。
この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

原子力エネを潜在的電源として再評価へ=ファディラ副首相

【ペタリンジャヤ】 マレーシアは原子力エネルギー事業を潜在的電源として再評価する方針だ。エネルギー移行・水利転換相を兼任するファディラ・ユソフ副首相が明らかにした。

14日にサンウェイ大学で開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)持続可能な開発2025ワークショップに出席したファディラ氏は、産業用需要、データセンター拡張、電気自動車(EV)導入による需要増を踏まえ、エネルギー需要増に対するあらゆるソリューションを模索していると言明。「世界的に最もクリーンなエネルギー源の1つとして認められている原子力エネルギーは、我々が検討している選択肢の1つ。(国連の)COP28(気候変動会議)では、20カ国以上が原子力発電を3倍にすることを約束し、その重要性を強調した」とし、原子力発電をエネルギーミックスに含めることの実現可能性を慎重に検討していると述べた。

ファディラ氏によると、科学技術革新省傘下のマレーシア原子力庁の調査結果に基づき、エネルギー移行・水利転換省が同省傘下のMyパワー・コーポレーションに原子力発電に関する調査を委託した。調査は原子力技術、安全対策、セキュリティ、規制枠組み、そして特に国民との利害関係者の関与に焦点を当てたものとなっているという。

ファディラ氏は、マレーシアが2050年までにCO2排出量の実質ゼロを目標に掲げていることを指摘した上で、目標達成には環境保護とエネルギー安全保障のバランスを取るよう努めなければならないと強調。エネルギーが手頃な価格であるだけでなく、すべてのユーザーに公平に分配されることを保証することが含まれるとし、水力、バイオマス、太陽エネルギーを含む多様なエネルギーミックスが組み込まれた包括的な電力開発計画を策定したと述べた。
(ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、1月14日)

宇宙服向け繊維の生産で日本企業と協議=サラワク州首相

【クアラルンプール】 サラワク州のアバン・ジョハリ首相は13日、化学品商社のハイケム(東京都港区)と協力して、宇宙服に使用される繊維を州内で生産し、航空宇宙関連分野の拡大を目指す考えを明らかにした。

宇宙服は気密性、断熱対策が重要で、化学物質をベースにした繊維が使われるが、近年は二酸化炭素(CO2)を有効利用する「カーボンリサイクル技術」を使った低炭素素材が求められている。アバン州首相はそうした化学イノベーション繊維の製造に向け現在、ハイケムと協議中とし「サワラク製の繊維を使った宇宙服を来て、飛行士が宇宙へ行く日も夢ではない」と述べた。

ハイケムは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などと共同で、CO2由来のパラキシレン(ポリエステル繊維やペットボトル用樹脂などに加工される化合物)の製造開発を進めており、サラワク州に対し大規模なパイロット製造の提案を行ったという。CO2由来のパラキシレンによるポリエステルは、昨夏のパリ・オリンピックの日本代表ユニフォームの一部にも採用された。
(ダヤクデイリー、ベルナマ通信、1月14日)

ジェトロ、脱炭素化テーマに在マ日系企業カタログ公表

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は14日、「マレーシアの脱炭素化に貢献する日系企業の製品・サービスカタログ」の最新版をホームページで公開した。

マレーシア政府は2050年のカーボンニュートラル(二酸化炭素排出実質ゼロ)実現に向け、再生可能エネルギー(RE)による発電率目標などを盛り込んだ「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」に基づき、さまざまな施策に取り込んでいる。

ジェトロはこうした背景を踏まえ、日系企業がマレーシアでビジネス展開する上で脱炭素化は把握しておくべき重要なトレンドと位置づけ、昨年3月に同カタログを発行し17社を紹介。今回の最新版では、スタートアップ企業を含む47社を、NETRで指定される重要6分野ごとに分けて紹介している。

URLはhttps://www.jetro.go.jp/world/reports/2025/02/3ae57bc7d5969179.html

    新たに掲載を希望する企業も募っており、申し込みはhttps://forms.office.com/r/LBCxsCqJrB

青果物輸出促進協議会、15日に試食商談会を開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本青果物輸出促進協議会は15日、クアラルンプール(KL)市内のホテルに現地バイヤーを招き、日本産農産物の試食・商談会を開催した。

「輸出産地の育成・展開に向けたマレーシア商談会」事業の一環で、日本からは▽A-TRADE▽カルビーかいつかスイートポテト▽日本ブドウ産地協議会▽高知県農業協同組合――の4事業者が参加し、それぞれが取り扱う▽かんしょ(及び加工品)▽ぶどう▽いちご▽干し柿▽みょうが▽なす▽しょうが――の7品目を展示。マレーシアの青果物の取り扱いがある、または今後取り扱いを行う意向のあるバイヤーを集め、試食を提供し商談を行った。マレーシアの高級スーパーや輸入業者、レストランなど10社が招待された。

参加事業者はこのほか、マレーシアの高級スーパー、ジャヤ・グローサーやイオンを視察した。

日本などのブリキ板に反ダンピング関税を暫定適用=MITI

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)は13日、日本など4カ国から輸入しているブリキ板に対し反ダンピング(反不当廉売、AD)関税を暫定的に課すと発表した。課税率は2.52―36.80%で、今月11日にさかのぼり最長120日間適用される。

対象となるのは、日本、中国、インド、韓国を原産または輸出国とする、スズで被覆、メッキ、またはコーティングされた鉄または非合金鋼の平板製品で、幅600ミリメートル以上のもの。

地元メーカーのプルサハアン・サドゥル・ティマー・マレーシアからの申し立てを受け、MITIは昨年8月に調査を開始。今回、予備判定としてさらなる調査が必要とし、国内産業へのさらなる損害を防ぐために暫定的にADを課すことを決定した。

最終決定は5月10日までに下される。この暫定的ADに対し1月20日まで、4カ国の輸出業者や国内輸入業者ら関係者から意見書などを受け付ける。
(ビジネス・トゥデー、ザ・スター、1月13日)

KKマートで販売のサンドイッチ、ハラルマークの偽造発覚

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マラヤ大学(UM)キャンパス内のコンビニ2店舗で売られていたサンドイッチに付けられたハラル(イスラムの戒律に則った)マークへの疑惑が浮上していた件で、イスラム開発局(JAKIM)は製造メーカーがハラル認証を取得していなかったと発表した。

問題のサンドイッチは鶏肉から作ったハムとチーズを挟んだもので、シェイク・アンド・ベイク・カフェが製造し、華人系ミニマートチェーン、KKマートの店舗で販売されていた。パッケージにはKKマートのロゴとハラルマークが入っていたが、実際はハラルではないのではないかとの疑問の声が浮上。疑惑を受けて当該2店舗は1月10日付けで閉鎖されているが、今後「2011年取引表示法」違反で関係者が訴追されるとみられる。

KKマート側はパッケージ上の同社のロゴは許可なくシェイク社が付けていたものだと主張。シェイク社との取引を停止し、法的措置をとると発表したが、統一マレー国民組織(UMNO)のアクマル・サレハ青年部長はKKマートがムスリム消費者を誤解させたと強く非難。華人系政党のマレーシア華人協会(MCA)は「問題を政治化すべきでない」とし、華人に対する非難がエスカレートすることに懸念を示した。

KKマートを巡っては、昨年3月に「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていたことが発覚。イスラムに対する誹謗だとの声がイスラム保守派から上がり、KKマートの店舗に火炎瓶が投げ込まれる騒ぎまで起きている。

マレーシア国民の73%、今年の世界経済に期待=イプソス調査

【クアラルンプール】 世論調査会社イプソスはこのほど「2025年予測レポート」を発表。世界経済が2024年よりも2025年の方が良くなると回答したマレーシア人は73%で、調査33カ国中5位となり、マレーシア人の前向きな見通しを表す結果となった。

世界経済に対する期待度を示すマレーシアの73%は、前年比11ポイント増。各国平均の51%も大きく上回っている。

また、「2025年は2024年よりも自分にとって良い年になると楽観している」と回答した割合はさらに多い81%だった。各国平均の71%を上回り、世界的には8位で、最下位だった日本の38%と対照的な結果となった。

一方、2025年の増税を予想したマレーシア人は80%で、前年の74%から増加。インフレ上昇を予想した割合も76%で、前年の70%から増えた。イプソス・マレーシアのカントリーマネジャー、エブリン・タン氏は「2025年はマレーシア人にとって、経済と公衆衛生について不確実性を感じつつも、チャンスと課題の両方をもたらすだろう」としている。

イプソスが昨年10月25日―11月8日に行ったオンライン調査に、世界33カ国の23,721人が回答した。
(マレー・メイル、1月13日、インプレス発表資料)

95%が1つ以上の電子ウォレットを使用=リンギプラス調査

【クアラルンプール】 マレーシアの価格比較サイト、リンギプラス(RinggitPlus)の調査で、回答者の95%が少なくとも1つの電子ウォレットを使用していると答えた。2022年調査の89%、23年調査の91%からさらに上昇しており、消費者のデジタル化が急速に進んでいることがわかった。

同調査はサードパーティの分析プラットフォームを介して自己記入式のオンラインアンケートを使用して、全国のマレーシア人3,385人を対象に実施した。また回答者の45%が少なくとも1つのデジタルバンクに口座を持っており、26%が口座を開設する予定だと答えた。保険契約/タカフル契約については、回答者の29%はオンラインで購入することを好むと回答、代理店経由を好むとの回答は39%にとどまった。

金融関連の調査を行う際の主な情報源については、ソーシャルメディア(65%)がトップで、家族や友人 (53%)を上回った。収集した情報の信頼性に関しても、ソーシャルメディアを信頼する傾向が強く、ソーシャルメディアに対する信頼スコアは平均4.05と、家族や友人(3.36)、銀行・金融機関(3.22)よりも高かった。

リンギプラスのユエン・トゥックシュー最高経営責任者(CEO)は、「マレーシア人がキャッシュレス化し、デジタルバンキングを受け入れるようになるにつれて、デジタル個人情報や金融情報の保護、潜在的な詐欺や不正行為を特定する能力などが非常に重要なスキルとなる」と指摘。一般市民がますますオンラインで金融活動を行う傾向にあることは、「デジタル金融リテラシー」の重要性を示していると述べた。
(エッジ、1月13日)