電力のシンガポールへの供給、3社が資格審査を通過

【クアラルンプール】 再生可能エネルギー(RE)による電力をシンガポールに供給するため今年6月に実施した試験プロジェクト入札で、応募した3社が要件を満たした。

シンガポールなど近隣国に売電するためのマレーシア・エネルギー取引所(ENEGEM)を通じた電力融通で、エネルギー移行・水利転換省によると、シンガポールの2社が100メガワット(MW)の電力確保に成功した。現在、国境を超えた送電を実現するための交渉を持っている。送電には既存の2国間送電線を利用する。

ENEGEMの設立は域内での電力融通と、マレーシアのエネルギー移行の推進が狙いで、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国間で送電網をつなぐ「ASEANパワーグリッド(APG)構想」に沿ったもの。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月24日、ベルナマ通信、エッジ、10月23日)

リコー、DX支援のための新拠点をKLに開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 リコーは、 東南アジアにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の中核拠点として、クアラルンプール市における「リコー・ビジネスサービス・アジアパシフィック」(RBS)の開設を発表した。

RBSは、同社のアジア太平洋地域販売統括会社であるリコー・アジアパシフィックが開設した。マレーシアについては「地理的にも、人材的にも、東南アジアで戦略的優位性がある」と位置づけ。外国投資を奨励するマレーシア政府の支援政策も要因だったという

RBSにより、ITや財務、人事、サプライチェーン管理などの重要機能を一元化し、より質の高いシェアードサービスの推進体制が整ったとする。今後、東南アジア地域全体でDXによる変革の取り組みを加速させ、効率性の向上を進める。

テクスケムの小西雄馬・新CEOが正式就任

【クアラルンプール】 化学品製造や食品加工などを手掛ける日系多角企業、テクスケム・リソーシズの小西雄馬専務取締役(46)が、23日付けでグループ最高経営責任者(CEO)に正式就任した。

雄馬氏の昇格はヤップ・キーキョンCEOの退任にともなうもので、テクスケムは同日発表した声明で、「雄馬氏は組織を近代化し、活性化させる」と述べた。
雄馬氏は創業者である小西文彦会長の息子。以前はグループ・ポリマーエンジニアリング部門の社長兼CEOを務めていた。

テクスケムは1973年創業。1993年にブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)二部(当時)に上場し、1995年には飲食業に進出。2001年6月にはメイン市場に昇格した。▽化学品製造▽ポリマー・エンジニアリング▽食品加工▽飲食(すし金など)――など幅広く手掛けている。
(マレーシアン・リザーブ、10月24日)

極貧の定義、今後は世帯収入ではなく個人収入で=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、現在、世帯当たりの収入を基準としている極貧の定義について、今後は1人当たりの収入に切り替えると述べた。以前の方法よりもより正確な状況を把握できるという。

22日の下院議会の質疑の中でアンワル首相は、世帯所得の調査でいくつかの問題に気付いたと表明。「世帯当たりの月収が2,000リンギであれば、4人家族の場合は1人当たりの平均所得がわずか500リンギとなる」とし、より正確で子供や扶養家族の数も考慮にいれた1人当たりの収入に移行すると述べた。

昨年1月31日時点で世帯主12万6,372人が極貧カテゴリーに入れられた。今年7月29日までに解決されたが、8月1日から新たな登録申請受付を開始したことから、再申請も含めて2万2,893人が登録されたという。

アンワル首相はまた、極貧をなくすための補助金などの諸政策において民族差別はないと強調。極貧者に対する支援がマレー系だけを対象にしているというのは真実ではないと述べ、「極貧者の大多数は確かにマレー系だが、かなりの数のインド系の極貧者もおり、人口比でみると高い」と述べた。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、10月22日)

JBICの前田会長ら、アンワル首相を表敬訪問

【クアラルンプール】 国際協力銀行(JBIC)の前田匡史会長率いる代表団が22日、アンワル・イブラヒム首相を表敬訪問した。

アンワル氏は自身のフェイスブックページへの投稿で、JBIC代表団はさらに多くの日本からの投資を推進すると表明した。JBICは現在、マレーシア企業と活発な協議を持っているという。

アンワル氏は「一層の、高品質の投資を実現するため、両国間の友好と協力を強化する重要性を強調した。エネルギー分野の投資を特に望む」とした。
双方はグリーンエネルギー開発、再生可能エネルギー、エネルギー市場についても意見を交換した。
(ベルナマ通信、10月22日)

日本・マレーシア次官級協議、9年ぶりにプトラジャヤで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本の外務省は22日、第16回日本・マレーシア次官級協議がプトラジャヤで開催され、日本側から船越健裕外務審議官、マレーシア側からアムラン・モハメド・ジン外務次官が出席したと発表した。

今回の協議は、昨年12月に両国首脳が本協議を再活性化させることで一致したことを受け、9年ぶりに開催したもの。両国の「包括的・戦略的パートナーシップ」を強化するために、安全保障や経済、環境、人材育成の分野における幅広い協力の深化のあり方について具体的な議論を行った。

また東・南シナ海、ミャンマー、ウクライナ、中東情勢を含む地域・国際情勢についての幅広く意見を交換。来年、マレーシアが東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国を務めることも踏まえ、ASEAN主導の枠組における両国の連携を一層強化していくことを確認した。

船越外務審議官は、マレーシアのモハマド・ハサン外相とラジャ・ヌシルワン国家安全保障会議事務局長を表敬し、両国間の意思疎通をさらに重層的にすることで一致した。

プロドゥア初のEV発売計画、投資貿易産業省が支援

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、第2国民車メーカーのダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)が掲げる、2025年末までにマレーシア初の電気自動車(EV)を10万リンギ以下の廉価で発売する計画を支援すると述べた。

ザフルル氏は同省によるプロドゥア支援の理由について、同社の初EVを手頃な価格にしたいためだと説明。「プロドゥアと協議を続けており、2025年末までに目標を達成するという同社の計画を楽観視している」と述べた。

プロドゥアの同社初EV「EMO-1」は、今年5月に開催された「マレーシア・オート・ショー2024」で試作車が展示された。プロドゥアのBセグメント・ハッチバック「マイヴィ」をベースにしたもので、バッテリー容量は55.7キロワット時(kWh)。最高出力68PS(50kW)、最大トルク220ニュートンメートル(Nm)、航続距離350キロメートル(km)を発揮するとされる。ただその後の変更については明らかにされておらず、開発の進捗状況も不明だ。

ザフルル氏はまた、バッテリー式EV(BEV)の新車登録台数が9月時点で約1万6,000台に達し、2023年通年の約1万3,000台を上回ったと公表。「2030年までに新車販売全体の20%をEVにするという目標に近づいた」と述べた。

充電インフラについては、わずか3カ月間で565基の充電チャージャーが新たに設置され、9月末時点で公共充電ステーションの総数は約3,200カ所に達した。政府は2025年末までに公共チャージャーを1万基設置し、充電器とEVの比率を1対9にすることを目指しているという。
(ザ・スター電子版、ポールタン、マレー・メイル、エッジ、10月21日)

中電工とサマイデンの合弁会社、太陽光発電設備に投資

【クアラルンプール】 再生可能エネルギー(RE)のサマイデン・グループと中電工(本店・広島市)は、22年に設けた合弁会社サマイデン・チュウデンコウ・リニューアブルズを通じ、太陽光発電施設・同関連サービスに共同で投資する合意書を交わした。

合意はREにおけるプロジェクト投資を実施する際の双方の権利・義務を規定したもの。合弁会社への出資比率は、サマイデン子会社のサマイデン・キャピタルが51%、中電工が49%。中電工は2022年にサマイデンの7.27%株を取得し大株主になった。その後買い増しし、現在の持ち株比率は15.15%。日本の顧客向け屋上ソーラーシステム設置、REプロジェクトの運用・保守技術の紹介など、共同での投資や合弁を推進することで合意している。

中電工は電気・空調・給排水・情報通信関連工事を手掛ける総合設備エンジニアリング企業。東岡孝和常務執行役員は、サマイデンとの提携はマレーシア業務の拡大につながり、RE採用が急拡大している東南アジアへの参入機会も生じるとしていた。
(ザ・スター、10月22日、報道資料、10月21日)

新たな投資優遇政策は来年初頭発表、租税免除以外の措置に

【クアラルンプール】 投資貿易産業省は、アンワル・イブラヒム首相が2025年度予算案で明らかにした新たな投資優遇措置の枠組みを、2025年第1四半期に発表する。2025年からグローバル・ミニマム課税を導入することに備えるもので、テンク・ザフルル投資貿易産業相は「租税免除のような税制面の優遇措置での投資誘致はもはやできない」と語った。

GMTは企業が最低限負担すべき法人税の割合を15%に定める仕組みで、多国籍企業の最低税率がマレーシアで満たされない場合、マレーシア当局はトップアップ税を課し不足分を補う。付加価値の高い投資に的を絞って優遇措置を提供する。二酸化炭素排出の少ない分野への投資のみ認める。

ザフルル氏は、外国からの投資は地元企業を潤し、高度な職の機会を提供するものでなければならないと強調。人材育成、環境配慮にかかわる投資を優遇すると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月22日、エッジ、ビジネス・トゥデー、10月21日)

第13次マレーシア計画、来年第3四半期に発表予定

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は、同省がすでに次期5カ年計画「第13次マレーシア計画」(13MP、対象期間2026ー30年)の起草に着手しており、2025年第3四半期に議会に提出予定だと明らかにした。

ラフィジ氏は、アンワル・イブラヒム現政権が掲げる「マダニ経済」(持続可能性、繁栄、革新、尊敬、信頼、思いやりという6つのコアバリューに基づく枠組みに沿った経済政策)の目的である経済再構築によりマレーシアをアジアの経済リーダーにし、国民の生活の質を向上させるには、13MP をより総合的、戦略的、包括的に起草する必要があると強調。経済省が13MPの枠組みを策定するための意見や提案を募るために、積極的にディスカッション、対話、省庁間計画グループ会議を開催していると述べた。

9月5日と6日に開催された「13MPキックオフ会議」は、国連と世界銀行と共同開催し、国内外の専門家が社会経済のメガトレンド、問題、課題に関する情報や経験を共有した。12月までは一般国民が参加する「マダニ・メンデンガー(聴取)」聴聞会を開催し、13MPに求める希望について社会のあらゆる階層から意見や意見を収集する。
(エッジ、10月21日)