ペトロナスがカナダから初のLNG輸出、日本向け

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は、同社が25%出資するLNGカナダの施設から初めて液化天然ガス(LNG)の積み出しを開始した。貨物は日本向け。

運営主体のLNGカナダは、ブリティッシュコロンビア州キティマトに設立された、LNG輸出ターミナルを建設するための合弁会社で、40%出資するシェルが主導し、三菱商事や中国、韓国のガス会社も出資している。

輸出ターミナルはエネルギー効率の高いガスタービンや、メタンガス漏れを検知・軽減する先端システムを採用。また水力、再生可能エネルギーで主に発電するブリティッシュコロンビア水力発電局(BCハイドロ)から電力供給を受けており、地球温暖化ガス排出が通常のLNGプラントより60%少ない点が特徴だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、チャンネル・ニュース・アジア、ペトロナス発表資料、7月7日)

トランプ大統領が新たに課税措置通知、マレーシアは25%

【ワシントン】トランプ米大統領は7日、書簡をもって貿易相手国に新たな課税措置を通知し始めた。マレーシアからの輸入品については8月1日から25%の関税を課す。

書簡を送付されたのは14カ国で、4月発表の相互関税率から引き上げられたのはマレーシアと日本のみ。通知された関税率は、ミャンマーが40%、カンボジアとタイが36%、インドネシアが32%、韓国が25%

書簡はいずれも英文2ページの文書で、関税率は国ごとに異なるが、ほかの記述は宛先を除き同じ内容だった。

トランプ氏は書簡で、14カ国との貿易赤字を修正するために必要な措置だとした。米国はマレーシアからは電子部品を主に輸入している。

書簡では、相手国が関税を取り払い、非関税障壁をなくせば、内容の見直しを考慮する可能性があるとしている。しかし相手国が関税引き上げの報復に出れば、同率の追加関税を課すとした。
(CNBC、7月7日)

岩屋毅外相がASEAN外相会議で初来馬

【クアラルンプール】 岩屋毅外相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の出席のため、昨年10月の大臣就任後初めてマレーシアを公式訪問する。11日にマレーシアと日本の共催で開かれる、パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)では共同議長を務める。

第58回ASEAN外相会議は8―11日にクアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)で開催され、岩屋外相は9日の到着が予定されている。四方敬之 駐マレーシア日本大使はベルナマ通信などの取材に対し、「今回の訪問は、日本の東南アジアへの深い関与と、人道支援やエネルギー転換、教育、海洋安全保障に至るまで、地域および世界の主要課題についてマレーシアと緊密に協力していくというコミットメントを反映している」と説明した。

また2013年に発足したCEAPADでは、パレスチナに対する人道支援と開発支援に今後どのように取り組むかが議論され、日馬両国が協力して重要な役割を果たすことが期待されている。
(ザ・サン、ベルナマ通信、7月6日)

アンワル首相がフランス入り、産業界首脳と会談

【パリ】 イタリア訪問を終えたアンワル・イブラヒム首相一行は3日、フランスを2日間の日程で訪問した。4日にはマレーシアに投資している主要企業の首脳と会談した。またバイル首相、マクロン大統領とも会談の予定で、再生可能エネルギー、半導体、国防、デジタル経済、ガザ情勢などについて意見交換する。

円卓会議にはエア・リキード、ロレアル、アクセンス、シュナイダーエレクトリック、タレスなどの経営首脳40人が参加。アンワル氏は自身のエックスアカウントに「マレーシアは東南アジア市場参入の玄関口で、クリーンエネルギー、半導体の領域で今やハブの役割を担っていることを強調した」と投稿した。

その上で、特区やハラル団地への進出、二酸化炭素回収・貯留などの領域でのマレーシア企業との協業を模索するよう求めたという。

フランスの後は5日から7日にかけブラジルのリオデジャネイロで開催される新興国BRICS首脳会議に、ルラ・ダシルバ・ブラジル大統領の招きで参加する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、7月4日)

ASEAN外相会議で首都圏主要道路が7―11日に断続的閉鎖

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)で開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に合わせ、首都圏クランバレーの高速道路を含む複数の道路が7―11日まで断続的に閉鎖される。

外相会議は、8―11日にクアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)で開催される。これに伴い、交通規制はクアラルンプール新国際空港周辺に加え、高速道路では、▽南北高速道路中央リンク(ELITE)▽マジュ高速道路(MEX)▽クアラルンプール・セレンバン高速道路――の3路線で実施。主要道路は、▽ジャラン・スルタン・イスマイル▽ジャラン・トゥン・アブドル・ラザク▽ジャラン・アンパン▽ジャラン・ブキ・ビンタン――など15路線が影響を受ける。特にKLCC周辺道路のペルシアランKLCC、ジャラン・キア・ペン、ジャラン・Pラムリー、ジャラン・ペラなどは、10日が最も規制が厳しく、7時、17時、19時、22時を中心に、複数回の通行止めが実施される。

警察は、一般人に対しては規制ルートを避けて代替道路を利用し、現場の警察官の指示に従うよう求めるほか、公共交通機関を優先して使うよう呼びかけている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、ポールタン、7月4日)

拡大サービス税の所得申告、窓口申請を3カ月間許容

【クアラルンプール】 財務省は、7月1日に施行された売上・サービス税の適用対象拡大で新たに課税対象となったサービスについて、7月1日から9月30日までの3カ月間を猶予期間として、事業者に窓口での所得申告を許容する。システムのグレードアップに時間がかかるため直ちに順守するのは困難との業界の意見を考慮した。しかしこの期間も事業者は、政府に代わりサービス税を客から徴収しなければならない。

一方、マレーシア税関は施行前の任意登録を受理する措置を講じたが、これに応じ登録した製造業者は、売上税の課税対象品の原料について課税免除を申請できる。

マレーシア投資開発庁(MIDA)から7月1日以前に免除を許可された事業者は、引き続き免除を受けられる。

7月1日以降に課税対象の工業品を製造し、一定の条件を満たした事業者は、ポータルサイトのMySSTを通じ登録し、免除を申請できる。
(エッジ、ザ・スター電子版、マレー・メール、7月4日)

 

グラブが哪吒汽車を禁止リストに、安全上の懸念から

【クアラルンプール】 配車サービスのグラブ・マレーシアは、中国の新興電気自動車メーカー、合衆新能源汽車が展開するブランドNETA(哪吒汽車)を使用禁止リストに加えた。グラブに参加するパートナードライバーはNETAを使った輸送サービスができなくなる。

グラブによると、NETAはASEAN(東南アジア諸国連合)自動車安全性評価(NCAP)の衝突試験で獲得した星がゼロだった。マレーシア陸上公共交通庁の指針では、以前は少なくとも星3つの獲得を義務付けていたが、現在は星を要件に含めていない。しかしドライバーおよび客の安全を考慮し、星3つを社内基準として守ることを決めたという。

道路交通局に登録された台数は、NETAのV型が298台、X型が59台。価格はVが10万リンギで、23年にマレーシアで発売が開始された。Xは約12万リンギ。
(ソヤシンチャウ、マレー・メール、7月3日)

セランゴール州が認可手続きに優先審査を導入、10月から

【サイバージャヤ】 セランゴール州政府は10月に「スピード・セランゴール」政策を開始する。事業・投資関連認可の手続きを簡素化し、これまでより短期間で申請を承認するファストラック(優先審査)方式の導入だ。

アミルディン・シャリ州首相によると、すでに複数の地方政府がファストトラックを導入しているが、これを統合・整理し、州全体として実施する。

ファストトラックの対象は6-7種の認可事業で、まず開発・投資認可から適用する。通常、認可手続きは2カ月かかるが、これを1カ月に短縮する。
州政府はまた、苦情処理、住宅リフォーム認可手続きなど一般市民にかかわる案件も審査迅速化の対象にする意向だ。

アミルディン氏は廃棄物の不法投棄にも言及し、地主や管理業者に対する厳罰など厳しい姿勢で臨むには相応の法律条項が必要とし、法改正を目指す意向を示した。
(エッジ、マレー・メール、7月3日)

ネグリセンビラン州が公共の場での飲酒禁止、違反罰金2千リンギ

【セレンバン】 ネグリ・センビラン州のアミヌディン・ハルン首相は2日、公共の場での飲酒を禁止すると発表した。国営「ベルナマ通信」によると、即日発効で、違反した場合、罰金2,000リンギを科すとしている。

アミヌディン首相は、この日開かれた州行政評議会会議(国政の閣議に相当)で、夜間を中心に飲酒に関連した迷惑行為への苦情が多く寄せられていると説明。公園、子供向けの遊び場、野原、海岸などの公共のレジャー空間を利用する人々の尊重を目的に、飲酒を禁止するとした。禁止する法律そのものはすでにあるものの、これまでは警告にとどめていたが、警察などによる取締を強化し、罰金措置などを講じるという。ただし、「飲食店や私有地での飲酒は引き続き可能」と強調した。

また、電子タバコの販売に関しても近く州議会に諮るとしている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、7月2日)

見守り介護ロボの日系ZIPCARE、UKMなどと共同研究開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 介護機器などを手掛けるZIPCARE(ジップケア、本社・東京都千代田区)は3日、高齢者の健康モニタリングと人工知能(AI)解析に関し、マレーシア国民大学 (UKM)などとの共同研究の開始を発表。今後、マレーシアなどでの事業展開を目指していく。

同社は見守り介護ロボット「MAMORUNO(マモルーノ)」を開発。ベッドなどに設置したセンサーを通じて高齢者の離床、起床、呼吸変化、脈拍変化や居室環境などを非接触で常時モニタリングすることができる。

今回、UKMと、UKM発のスタートアップ企業、IDNAアイデアズと提携。今月から、セランゴール州バンギの介護施設、セルケア・サキナに同ロボット10台を導入した。得られたデータを基に、ケアの負担軽減や事故リスク低減に向け検証していく。

同社はマレーシアを選んだ理由として、急速に進む高齢化を挙げる。2030年までに全人口の15%以上が65歳以上になると予測されている一方で、日本のような公的介護保険制度が存在しないため、家族介護への依存、民間施設での介護の質などが問題になっていると指摘。データを解析し、日本の要介護分類に基づいてマッピングし、マレーシアの現場に適応した独自ケア基準を策定するなど、科学的介護を推進していきたいとしている。

同社はマレーシアでの拠点設立や東南アジアへの事業展開を視野に入れており、坂本創志 最高経営責任者(CEO)は「”超高齢社会の先進国”として日本で培った、高齢者個人の尊厳を尊重したケアのスキルとノウハウを、今後マレーシアを起点にアジア諸国とも共創していきたい」としている。