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「中国による台湾武力行使を容認」アンワル首相の発言が物議

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相が台湾問題を巡り、中国による武力行使を容認したとも受け取れる発言を行い、中国側から歓迎の声が上がる一方で、台湾側から抗議の声が上がっており、改めて中台問題を巡る外交バランス感覚が問われている。

アンワル首相は16日に放映された中東メディア「アルジャジーラ」のインタビューで、「私は台湾を中国の一部と見なしている」と言明。中国による台湾への武力行使に対する認識について問われた際には、マレーシアの領土的一体性を例に挙げ、「ある州が離脱を決めた場合、武力を使うのか。国家の神聖性と統一を守るためなら、私は使うと思う」と答え、平和的統一に失敗した場合の武力による統一を容認する考えを示した。

中国外務部の林剣報道官は19日、アンワル氏の発言について「一つの中国原則を守ることは正しいことだ」と評価。一方、台湾外交部は、「中国への一方的な支持はマレーシアへの投資に対する台湾企業の信頼を損なう可能性がある」とアンワル氏の発言を非難した上で、武力による威嚇を通じて台湾海峡の現状変更を一方的に推し進めることを支持する発言は、「台湾とマレーシア間の政治的信頼を著しく損なう」と警告した。

マレーシア国内では、イスラム原理主義野党、汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハイム・ヒルマン・アブドラ氏が「深刻な外交上の誤りであり、不必要な発言だ」と指弾。与党連合構成党の人民正義党(PKR)のティアン・チュア元議員は、「一つの中国政策を認めることと、武力による統一を支持することは同じではない」と批判した。

マレーシア華人社会でも見方は分かれている。中国寄りの立場からは、アンワル氏の発言は従来の「一つの中国」政策に沿ったものとの受け止めがある一方、台湾に近い立場からは、台湾海峡情勢について戦略的曖昧さを維持すべきだとの意見も出ている。経済界からは、台湾問題への過度な関与を避けるべきだとの現実的な見方もある。

批判を受けたアンワル氏は20日になって発言の軌道を修正。マレーシアが1974年のラザク・フセイン第2代首相政権以来、「一つの中国」政策を維持していると説明した上で、「もちろん中国の立場を尊重するが、平和的な道が最善だ」と述べ、武力行使への支持ととられる発言を撤回する意向を示した。

マレーシア政府は1974年に中国と国交を樹立した際、中国を代表する唯一の合法政府として中国政府を承認。その後、台湾に関する表現は次第に中国側の立場に基づき「台湾を中国の不可分の一部」とする認識を示すようになっている。

アンワル首相発言が二転三転した背景には、中国との経済関係強化を図りつつ、台湾をはじめとするアジア主要経済国との広範な貿易・投資関係を維持しようとするマレーシアの、外交上のバランスの難しさがある。中国から多くの投資を受け付ける一方、フォックスコン・グループやASEテクノロジー・ホールディングスなどの台湾企業は、マレーシアの電子機器・半導体産業に多大な投資を行っている。
(星ストレーツ・タイムズ、エッジ、8月21日)

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