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【総点検・マレーシア経済】第537回 米マレ

第538回:米国の半導体への高率関税のマレーシアへの影響

連載537回で、「マレーシア側が大幅に譲歩しながらも米馬貿易協定を締結した最大の理由は、半導体について通商拡大法232条が発動される確率を低くするため」と書きました。この点について、もう少し詳しく見ていきます。

まず、現状、半導体・関連製品には相互関税が課されていません。2025年4月11日に発出された「大統領令14257号(2025年4月2日付、改正後)に基づく除外の明確化」には、半導体・関連製品を相互関税の対象から除外することが定められ、「半導体(semiconductors)」とは何であるかが明確化されています。

この文書によれば、相互関税から除外されている「半導体」には以下のものが含まれます。

・PC、ノートPC等(HTSUS 8471)

・半導体製造装置(HTSUS 8486)

・スマートフォン(HTSUS 85171300)

・SSD(HTSUS 85235100)

・フラットパネル・ディスプレイ・モジュール(HTSUS 85285200)

・ダイオード・トランジスタ等の半導体デバイス(HTSUS 8541)

・電子集積回路(HTSUS 8542)

2024年の米国のマレーシアからの輸入額のうち、57%が電子製品(ASEAN平均37%)で、うち73%(同67%)が上記の定義による「半導体」となり、輸出全体の41%(同25%)が相互関税から除外されていることが分かります。いずれも、ASEAN平均よりも高く、マレーシアはASEANで相互関税からの半導体除外で最も恩恵を受けている国であることが分かります。

この数値を用いてマレーシアの電子・電機製品に対する実質的な相互関税率を計算すると5.1%となり、名目上の相互関税率19%より大幅に低くなります。マレーシアの輸出全体について平均相互関税率を計算すると11.2%となります。

同時に、もしこの「半導体」に100%の関税率が課された場合に実質的な関税率がどうなるかを計算すると、なんと電子・電機製品への実質的な相互関税率は73.1%、対米輸出全体についての相互関税率は52.5%にまで跳ね上がります。

このように計算すると、マレーシアが米国と不利な貿易協定を結んだのは、通商拡大法232条が発動される確率を低くするためであるということにも納得できます。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp
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