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【イスラム金融の基礎知識】第597回 フィリピンの政府系イスラム銀行、会長兼CEOに元予算管理相が就任

第597回 フィリピンの政府系イスラム銀行、会長兼CEOに元予算管理相が就任

Q: フィリピンの政府系イスラム銀行の会長兼CEOに就任した人物は?

A: フィリピン唯一の政府系イスラム銀行であるアル・アマナ・イスラム投資銀行では、7月に新しい会長兼CEOが就任した。中銀副頭取や経済閣僚を経験したムスリムである彼女の就任を歓迎する声がある一方、前職を不明瞭な形で辞任したことに対して疑義が呈されている。

同銀行の会長兼CEOに就任したアメナ・パンガンダマン氏は、ミンダナオ島南ラナオ州出身の48歳のムスリムで、マラナオ族の王族の血筋をひく。2021年にフィリピン中央銀行の副頭取に就任、2022年からはマルコス政権の予算管理相に転身しておよそ3年半務めた。就任に際して彼女はインタビューで「取り残されてきた人びと(同国南部を中心に暮らすフィリピノ・ムスリムたち)に機会を提供する、より強力な組織の構築に貢献する」と抱負を語った。

彼女の会長兼CEO就任に対しては、国内ムスリム・コミュニティから歓迎する声が上がっている。例えば、スールー州知事のアブドゥサクル・タン知事は、インタビューに対して、彼女のキャリアを通じて「イスラム金融セクターを導くために必要な、的確な財政感覚と金融に関する洞察力」が培われているだろうと期待を示している。

一方で、彼女の就任に対する疑問の声も上がっている。予算管理相時代において、洪水対策予算を一部の企業に集中させたことが問題視され、2025年11月には同職を辞した。この件について訴追等を受けることがなく疑惑が晴れていない中、わずか8ヶ月後の今回、再び政府系ポストに復帰したことで、一部で批判を集めている。これに対して大統領府は、「問題なし」との声明を発表した。

イスラム金融市場を民間に開放して間もないフィリピンにとって、政府系イスラム銀行の強化は市場拡大に重要な点であるが、新しい経営者の手腕に期待にかかることは確かであろう。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。
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