第558回:マレーシアの2026年経済成長率は
10月16日、統計局はマレーシアの2026年第3四半期のGDP推計値を前年同期比5.3%増と発表しました。第2四半期の6.0%増からは減速しましたが、2026年は3四半期連続で5%を超える成長率を記録し、第3四半期までの累計のGDP成長率は5.5%となりました。
政府はこれまで2026年のGDP成長率の予測を4.0%〜5.0%としていましたが、これを4.8%〜5.3%に修正しました。通年で4.8%成長になる場合、第4四半期は2.8%成長、5.3%成長になる場合、第4四半期は4.5%成長となります。前年同期が高水準だったとはいえ、やや保守的な見積もりと言えます。第4四半期が3.5%成長を上回れば通年での5%台の成長になりますので、世界経済に大事件が起きない限り、マレーシアの2026年の5%台の成長は確実と言えるでしょう。
図1はマレーシアの四半期ごとのGDP成長率と製造業の成長率を示したものです。2026年第3四半期は引き続き製造業が強く、7.5%増となっています。それでもGDP成長率が減速したのは、サービス業の伸びが5.9%から5.4%増にやや減速したのに加えて、鉱業が9.2%成長から4.9%減へと大幅に減少すると見込まれるためです。これは第3四半期のGDP成長率を約0.2%ポイント押し下げています。もし前期並みの成長をしていればGDP成長率を0.7%ポイント押し上げていたことから、鉱業部門の不調を除けば経済は引き続き6%成長クラスの好調さを保っていると言えます。
10月19日に発表されたマレーシアの9月の貿易統計では輸出は前年同月比54.5%増の2151億リンギ(図2)となり、月間で初めて2000億リンギを突破して過去最高を記録しました。製造業の輸出は58.6%増、電子・電気産業の輸出は59.2%増、米国向けの輸出は89.9%増となっており、さらに上振れしています。
ホルムズ海峡危機などもあり、年前半には先行きが危ぶまれた2026年のマレーシア経済でしたが、蓋を開けてみれば未曾有のAIブームにも支えられて3年連続で5%台の成長となりそうです。
| 熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp |

