ダイハツ系プロドゥア、半島東海岸で部品ハブ設立を計画

【クアラルンプール】 ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は、建設が進められている東海岸鉄道線(ECRL)を活用し、半島東海岸にスペアパーツの地域ハブを設立する計画だ。

ザイナル・アビディン社長兼最高経営責任者(CEO)は、13日に開催された国家投資セミナーの「ECRL@セランゴール―経済的利益と機会」と題したパネルセッションに出席。ハブの開設場所はパハン州クアンタンになる可能性が高いが、東海岸の他の場所も検討中だとした上で、「新車のハブというだけでなくスペアパーツや中古車のハブとしても、東海岸の顧客にとって有益なものになるだろう」と述べた。

またザイナルCEOは、周辺に鉄鋼製品の流通拠点や鉄鋼完成品の製造拠点が設立される可能性があるセランゴール州プンチャック・アラム駅に言及。同駅の鉄鋼ハブは、自動車産業で必要とされるスタンピングおよび射出成形プロセスのサブセットである工具、金型、ダイなどの自動車関連の鉄鋼ベースの事業活動に対する海外からの投資を誘致するのに役立つ可能性があるとし、トラック輸送から鉄道輸送への移行が可能になれば大幅なコスト削減が見込まれると述べた。

プロドゥアは10日、ECRL建設の推進母体であるマレーシア・レール・リンク(MRL)との間で、自動車・自動車部品の輸送に関する覚書(MoU)を締結した。自動車・自動車部品の輸送の可能性を検討するという。

ECRLは、クランタン州コタバル―セランゴール州ゴンバック統合ターミナル間は2026年12月までに建設が完了し、2027年1月から運用が開始される予定。ゴンバック―ポートクラン間は2027年12月までに完成する予定で、2028年1月以降に全面開通する見込みだ。
(ザ・スター、6月14日)

リンギ相場安定のため一段の措置を模索=中銀副総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のアドナン・ザイラニ副総裁は12日、BNM主催のシンポジウムで、リンギ相場の安定を図るため、現在行っている以上の対策がないかを探っていると明らかにした。

アドナン氏は「相場が経済の基礎的条件を反映するよう、われわれの期待どおりのリンギ相場になることが重要だ」と語った。リンギが今年2月、26年ぶりの安値に落ち込んで以降、政策決定者はリンギを支えるため協調的措置を講じており、最近は相場が安定している。BNMは外貨収入のある企業に、国内送金とリンギへの両替を働き掛けている。両替を通じリンギ需要を増やし、リンギの価値上昇につなげる。

アドナン氏はまた、燃料補助合理化による補助の一部削減が物価、経済成長に与える影響について、金融政策面からの対処が必要かはこれからの検討課題だとした。

輸出収入の60-70%はリンギで保持されているが、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)のアブドル・ワヒド会長は「ほかの国と比べると低水準だ。多くの輸出業者は依然、外貨での保持を好む」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月13日、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月12日)

プロトンが新EVブランド「e.MAS」発表、5車種を発売へ

【スバンジャヤ】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは12日、同社の新たな電気自動車(EV)ブランド名「e.MAS」とロゴを発表。同新ブランド名で、EV5車種を発売予定であることを明らかにした。

新ブランド名は「Electrifying Malaysia(マレーシアの電化)」の略で、EVを表す「e」と、マレーシアの略語である「MAS」を組み合わせたものだという。

5車種はいずれもグローバル・モジュラー・アーキテクチャ(GMA)プラットフォームを使用したもので、プロトン販社、プロトン・エダルのロスラン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は、新ブランドの最初のEVモデルは2025年までに発売される予定だと言明。「発売時期はまだ決まっていないが、最初のモデルは2025年初頭かそれより早くなるかもしれない」と述べた。

その上でロスラン氏は、 「プロトンEVに対する一般消費者需要に基づいて、今後EVをさらに発売するかどうか決定する」と言明。「現在市場に出回っているEV車のほとんどが10万リンギ以上の価格であることに留意している」とし、「e.MAS」ブランドは適切な価格設定にすると述べた。
(ポールタン、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、6月12日)

燃料価格上昇で観光バス会社が悲鳴、政府が支援策を検討

【プトラジャヤ】 ディーゼル補助金合理化がスタートしたことにより6月10日から大幅に値上がりした燃料価格に観光バス会社が悲鳴を上げており、ファーミ・ファジル通信相は業界に対して何らかの支援策を検討する考えを示した。

ファーミ氏は、燃料価格高騰に対する観光バス事業者の懸念を政府は認識していると言明。「補助金廃止発表は観光バス事業者がある取り決めをしていた時期に行われたため、政府はこのグループを支援できる仕組みを新たに検討するつもりだ」と述べた。

観光バスが対象を絞った補助金制度の対象から外れたことにより、業界ではコストが15―30%上昇すると懸念している。すでに取り決めた旅行代理店との料金を簡単に見直すことができないため、損失を被る必要があるという。

約150社が加盟する半島部観光バス運行協会のスティーブン・チョン会長は、運営コストが最大30%上昇するとした上で、6月11日に観光芸術文化省に善処を求める陳情書を提出したことを明らかにした。

マレーシア観光連盟のタン・コックリャン会長は、半島部における観光サービスのコストが27%上昇すると予想した上で、「ツアーオペレーターは以前に旅行代理店と約束した料金を遵守することになるが、そうなれば我々の側が損失を被ることになる」と述べた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月13日)

ガソリン補助金合理化、ディーゼルの影響みて実施=第2財相

【クアラルンプール】 ディーゼルに続いて予定されているレギュラーガソリン「RON95」の補助金合理化について、アミル・ハムザ第2財務相は、先に実施したディーゼル補助金合理化による影響が落ち着いた後になるとの見通しを示した。

アミル氏は実施後の影響を見る必要性から、現在は対象を絞ったディーゼル油補助金制度の完全実施に注力していると言明。「影響が収まれば次に為すべきことが分かる」と述べ、「RON95」の合理化はディーゼル油合理化プロセスが完了した後になるとの見方を示したが、具体的な実施日程には触れなかった。

「RON95」の補助金合理化については、先にメイバンク・インベストメント・バンクが、2024年度予算に基づき41億リンギの補助金歳出削減を達成したいのであれば、「RON95」の合理化を7月から開始する場合は補助金なしの小売価格を15.6%、金額にして1リットル当たり32セン、10月から開始する場合は31.7%、65セン、それぞれ引き上げる必要があると報告している。現在の補助金付き価格は2.05リンギ。

またアミル氏は、ディーゼル補助金合理化の影響について、公共交通機関の事業者が補助金価格でディーゼル燃料を購入できると強調。高速バス、スクールバス、救急車、物流輸送会社が含まれるとし、「彼らも補助金価格で燃料を購入しているため、価格への影響は限定的だ」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、6月13日、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、6月12日)

AIデータセンター建設に特別優遇措置、デジタル転換を加速

【クアラルンプール】 政府は11日の国家投資委員会(NIC)会合で、AI(人工知能)データセンターの建設に対し特別優遇措置を提供することを決めた。投資貿易産業省傘下のマレーシア投資開発庁(MIDA)が優遇措置の枠組みを決定する。NIC議長であるアンワル・イブラヒム首相、テンク・ザフルル投資貿易産業相がX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。

2021年から23年までのデータセンターおよびクラウド関連投資(認可ベース)は、1,147億リンギで、データエンジニア、サイバーセキュリティアナリストなど2,325人のハイテク領域の雇用機会が創出された。

特別優遇措置では現在の優遇措置に加え、電力や水消費の少ない機器の使用、データセンターに対する再生可能エネルギー(RE)の提供などの便宜を図る。
アンワル首相は投稿で「AIデータセンターへの投資誘致に政府全体で取り組むことを強調した」とした。投資はデジタル化の加速という政府目標の達成に役立ち、高所得経済への移行にも貢献するという。

AIデータセンターは、生成AIの開発や、そのほかのAI関連事業に活用される。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月11日)

米MKSインスツルメンツ、ペナンに半導体製造工場を建設へ

【クアラルンプール】 半導体製造装置メーカーの米MKSインスツルメンツは11日、ペナン州にウエハー製造装置工場を設立すると発表した。2025年初頭に起工し、3期に分け建設を行う。

MKSは半導体製造、エレクトロニクス、パッケージング、特殊産業用に基盤技術ソリューションを提供している。

同社のジョン・T・C・リー社長兼最高経営責任者(CEO)は声明で、顧客企業やサプライヤーが集積しており、強固な技術インフラを有するペナンは半導体エコシステムの本拠地だとし、半導体製造装置分野におけるリーダーとしての地位強化を目指すMKSは、マレーシアでの事業拡大を重視していると述べた。

ペナン州のチョウ・コンヨウ首相は、ペナン州は産業エコシステムが発達しており、次世代技術や成長戦略における産業界のニーズをサポートする能力を備えていると強調。MKSのペナンにおける半導体製造装置生産は、「より多くの高価値の雇用機会を創出し、世界の半導体バリューチェーンを向上させる」という州の目標にも合致していると述べた。
(マレーシアン・リザーブ、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、6月11日)

レギュラーガソリン補助合理化、実施は早くで第4四半期の見通し

【クアラルンプール】 政府は10日、補助金なしのディーゼル油(軽油)価格を1リットル3.35リンギに設定し即日施行したが、国民の関心が集まっているのは消費者への影響がもっと大きいレギュラーガソリン(RON95)の補助合理化に伴う価格設定だ。

金融大手CIMBの調査部門は、政府はRON95価格の調整を10月11日の来年度予算案の上程に合わせ行うとの見通しを示した。

軽油補助の対象となる個人(国民)および小規模農家からの補助金申請が今後増えるため、財務省は当面その処理に忙殺されることと、軽油補助合理化が消費者物価指数(CPI)にどの程度影響を与えるかを見極める必要があるためだという。

RON95補助の合理化で小売価格が10%引き上げられれば、CPIを0.5ポイント(軽油の場合は0.002ポイント)押し上げると推測される。RON95補助合理化が家計の購買力に与える影響が軽油より大きいことから、政府は慎重に事を運ぶと考えられるという。

シンガポール系UOB銀行の調査部門は、ガソリン補助合理化の時期は、軽油補助合理化がもたらす影響と、ガソリン補助受給資格を判断するデータベースプラットフォームの準備状況に左右されるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月11日)

 

プロドゥア、ECRLを活用した自動車輸送に向け覚書締結

【クアラルンプール】 ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は10日、東海岸鉄道線(ECRL)建設の推進母体であるマレーシア・レール・リンク(MRL)との間で、自動車・自動車部品の輸送に関する覚書(MoU)を締結した。

ECRLを利用した、マレーシア半島西海岸―東海岸間の自動車・自動車部品の輸送の可能性を検討する。鉄道を利用した貨物輸送は、トラックによる輸送よりも効率的で環境にも優しいという。MRLはクアンタン港を運営するクアンタン・ポート・コンソーシアムとの間でもMoUを締結した。

プロドゥアのザイナル・アビディン社長兼最高経営責任者(CEO)は、セランゴール州セレンダ工場から東海岸、サバ州、サラワク州への自動車本体輸送にECRLを活用すると述べた。部品については、ほとんどが日本から海上輸送されるが、ECRLが東海岸と西海岸を結ぶことで、クラン港よりも日本に近い東海岸のクアンタン港を利用できるようになり、海上輸送の距離を縮められるとした。

ECRLは、クランタン州コタバルとセランゴール州クラン港を結ぶ全長665キロメートル(km)の路線。コタバルからクアラルンプール・ゴンバク統合輸送ターミナルまでの区間は2026年12月までに完成し、2017年1月に運行を開始する。ゴンバク統合輸送ターミナルからクラン港までの区間は2027年12月までに完成し、2028年1月に運行開始する予定だ。
(ポールタン、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、6月10日)

電子インボイスは来年7月に完全導入、内国歳入庁が言明

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は6日の声明で、当初の予定通り2025年7月1日までにすべての納税者に電子インボイス(適格請求書)導入を義務付けると改めて言明した。

IRBは電子インボイスの第1期を8月1日に開始すると発表。年商1億リンギを超える大企業4,000社を対象にするとした。フォーマットはJSON、マークアップ言語はXMLを採用する。

続く2025年1月1日からの第2期では、年商2,500万―1億リンギが対象となる予定。25年7月1日からは完全施行が予定されている。

IRBは、50社余りの参加を得て電子インボイスシステムの試験運用を5月に開始すると発表していた。マレーシア中小企業協会(SAMENTA)は、負担が大きいとして年商30万リンギ以下の一般消費者を顧客とする零細企業に対しては電子インボイス導入を免除するよう求めている。
(ビジネス・トゥデー、6月6日)