リニエンシー制度のセミナー、JICAと公取委が共催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力機構(JICA)と公正取引委員会(JFTC)は、3月6、7日の両日にマレーシア競争委員会(MyCC)の職員を対象に、「リニエンシー制度」をテーマとする競争法セミナーを共同開催した。JFTC職員4人が講師として来馬し、MyCCからは職員約40人が参加した。

「リニエンシー制度」とは、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、違反内容を競争当局に自主的に報告した場合に、一定の要件に従って本来賦課されるべき制裁金が免除・減額される制度。同セミナーは、制度自体はあるものの事業者による利用が低調なリニエンシー制度について、JFTCの知見をMyCC職員に提供し、制度の活性化を図ることを目的としている。

セミナー当日は、リニエンシー申請がなされた場合に事業者とのやりとりにおいて注意すべき点やリニエンシー制度に係る効果的な普及啓発活動について、JFTCが紹介した。競争法に関するセミナーは昨年9月に続く2回目の開催で、今年9月にも同様なセミナーの開催を計画している。

マレーシアでは、2010年に競争法が制定され、翌年に競争法の執行機関であるMyCCが設置された。JICAは2021年1月から1年間、さらに2022年11月からは2年間、MyCCに対し競争法のアドバイザー専門家を派遣している。

コクヨ、東南アジア初の直営店をスターリングモールで開設へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 コクヨ(本社・大阪府大阪市)は7日、マレーシア法人であるコクヨインターナショナル (マレーシア) が、東南アジア初となるコクヨ文具の直営店「キャンパス スタイル ザ・スターリング店」を5月25日にセランゴール州ペタリンジャヤにあるショッピングモール「スターリング・モール」にオープンすると発表した。コクヨ直営店としては東南アジア初となる。

コクヨはマレーシアにおいて1997年に現地法人を立ち上げ、オフィス空間提案事業をメインに展開しつつ文具販売も行ってきた。2023年には「スターリング・モール」および同じくペタリンジャヤにある「ワンウタマ」でポップアップ・ストアを開催している。ポップアップ・ストアでは学生から社会人まで、延べ2,000名を超える顧客がコクヨ文具を購入したという。

「キャンパス スタイル ザ・スターリング店」では、中国でも人気を博している、日本の人気イラストレーター「Noritake(ノリタケ)」とのコラボ商品や中国オリジナル文具でナチュラルなテイストが特徴の「a little special(ア リトル スペシャル)」シリーズをはじめ、約1,500商品を展開する。

同社の海外店舗「キャンパス スタイル」1号店は2022年7月に中国・上海にオープンしており、常時約2,000点のコクヨ商品を取り揃え、学生や20ー30代の女性を中心に人気を集めているという。

グッドイヤーが6月末で工場閉鎖、550人が解雇の見通し

【クアラルンプール】 大手タイヤメーカーのグッドイヤーは7日、コスト削減を理由に今年6月30日付けで52年の歴史を持つセランゴール州シャアラム工場を閉鎖すると発表した。工場閉鎖手続きは年末までに完了する予定で、従業員550人は解雇される見通しだ。

グッドイヤー・アジア太平洋地域担当のナサニエル・マダラン社長は、シャアラム工場閉鎖はコスト削減により競争力維持を目指す「グッドイヤー・ フォワード」と称する変革プログラムの一環だと強調。「グッドイヤー・フォワードは事業展開とポートフォリオを最適化し、大幅な利益拡大を実現して企業価値を高めることを目的としたもの。2025年までに年間10億米ドル(47億リンギ)のコスト削減を実現し、競争力を維持するための具体的取り組みが盛り込まれている」と述べた。

なおマレーシア国内での同ブランドのタイヤ販売は、タイ、インドネシア、中国、台湾など他の製造拠点から供給を受けてマレーシア工場閉鎖後も続ける方針だ。

マレーシアとグッドイヤーの関係は、ゴム購買会社の米グッドイヤー・オリエント・カンパニーがマラヤとインドネシアのプランテーションからのゴム購入を目的にシンガポールに設立された1908年に遡る。グッドイヤーのウェブサイトによると、1929年にマラヤに販売拠点を開設し製品販売を開始した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月8日、マレー・メイル、エッジ、3月7日)

2023年の不動産販売額は過去最高の1968億リンギ

【カジャン】  財務省傘下の国家不動産情報センター(NAPIC)は6日、2023年の不動産取引額は前年比9.9%増の1,968億3,000万リンギに達し、過去最高となったと発表した。

そのうち51.3%(1,009億3,000万リンギ)を住宅が占め、商業(19.5%)、工業(12.2%)、農業(9.5%)、開発用地その他(7.5%)が続いた。全部門が前年から増加した。増加率は、住宅は7.1%、商業は17.5%、工業は13.1%、農業は4.6%、開発用地その他は13.8%となった。

2023年の取引件数は、同2.5%増の39万9,008件となった。新規住宅発売戸数は4.4%増の5万6,526戸、販売率は40.4%(前年は36%)。完成済み売れ残り住宅物件は、前年の2万8,000戸(184億1,000万リンギ相当)から2万6,000戸(177億リンギ相当)に減少した。 専用ビルオフィスの平均稼働率は78.5%で安定し、ビジネス・複合ビルの稼働率は前年の75.4%から77.4%に上昇した。

マレーシア住宅価格指数(MHPI)は、2023年には216.5ポイント(1戸当たり46万7,144リンギ)となり、前年比3.2%増となった。州・地域別では、ジョホール州(6.2%)、ペナン州(3.8%)、セランゴール州(2.9%)、クアラルンプール(1.8%)など、全州・地域でプラスとなった。

NAPICは今後の見通しについて、2024年の国内経済は4ー5%成長が見込まれているため、不動産市場に対しても慎重ながらも楽観的に見ているとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、3月6日)

公共バスにオープン決済システムを導入へ=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は6日、クレジットカードやデビットカードで運賃を支払うことができるオープン決済システムを公共バスに導入する計画を明らかにした。現状ではバス乗車にはタッチ・アンド・ゴー(TnG)カードが必須となっている。

ドイツの観光客が「TnGカードを所持していなかったため、ラピッドKLバスから乗車拒否された」とティックトックに投稿し話題になったことを受けてのもの。ローク運輸相は、バスへのオープン決済システム導入は以前から計画されており、当初は鉄道と同時に導入されるはずだったと説明。鉄道にオープン決済システムを導入するのは複雑な要素が絡むため時間がかかるが、バスでは、車両にカードリーダーを取り付けるだけで済むため、先行して実施すると述べた。すでに入札段階にあり、年内にラピッドKLバスに導入する見込みだとしている。

ローク運輸相はまた、公共交通インフラ整備の一環として、バス停を344カ所増やすことを検討しているとし、セランゴール州とクアラルンプールでは4,860万リンギを割り当て、7地区で総延長7,445メートル(m)の屋根付き歩道を建設中だと述べた。
(マレー・メイル、エッジ、3月6日)

ニトリがNUセントラル店をオープン、国内11カ所目

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ニトリホールディングス(本社・北海道札幌市)は7日、マレーシア11号店をクアラルンプール(KL)セントラルにあるショッピングモール「NUセントラル」内にオープンした。ニトリグループとしては980店舗目となる。

店舗名は「ニトリ・ヌーセントラル店」。レベル2に位置し、売り場面積は約700坪。営業時間は午前10時から午後10時。

同社はこれまでにクアラルンプール(KL)に3店舗、セランゴール州に2店舗、ジョホール州に2店舗、ペナン州に2店舗、ネグリ・センビラン州に1店舗を出店している。2023年12月にはベトナム、2024年3月にはフィリピンに初出店するなど、東南アジアをはじめとする海外への出店を加速しており、インドネシアへの出店も計画しているという。

ニトリは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」という同社のロマンを実現するため、今後も積極的に海外展開を進めていく方針だ。

TCIE、ユーロ5対応UDトラックス車の現地組立を開始

【クアラルンプール】 タンチョン・インダストリアル・イクイプメント(TCIE)は、マレーシアで4月より施行されるEU(欧州連合)の排ガス規制「ユーロ5」に準拠した、UDトラックス(本社・埼玉県上尾市)のトラックの現地組立を開始した。

UDトラックスは、いすゞ自動車の完全子会社で、商用車製造を手がけている。TCIEはUDトラックスのマレーシアにおける販売代理店で、全国にUD販売拠点26カ所を構えるほか、UDの大型トラック「クエスター」を2016年から、中型トラック「クローナー」を2018年から現地組立している。

クアラルンプールのセガンブットにあるタンチョン・モーター・アセンブリーズの工場で、ユーロ5対応の「クエスター」と「クローナー」の組み立てを行う。有害な窒素酸化物や二酸化炭素の排出量を削減し、燃費も大幅に向上させる選択触媒還元(SCR)技術を採用した。ユーロ5への対応はマレーシアで販売される日系トラックとしては初となる。

TCIEのセイ・テックミン最高執行責任者(COO)は、TCIEの長年の顧客企業の多くが、環境に配慮したトラックを導入する意思を表明しているとし、UDトラックスとTCIEは、顧客企業に対し、クリーンな車両に移行するための支援や知識を提供していくと述べた。
(モタオート、カーシフ、3月6日)

住商出資のサクラフェロアロイズ、今年下期に新焼結工場を稼働

【ビントゥル】 サクラ・フェロアロイズは、サラワク州サマラジュ工業団地に3億米ドル(14億2,200万リンギ)をかけて建設した新焼結工場を2024年下半期に稼働開始する計画だ。ティアン・ファン・アスウェーゲン会長が10周年記念祝賀会で明らかにした。

新しい焼結工場は既存の敷地内に建設中で、プラント効率のさらなる向上とコスト削減に貢献すると見込まれている。アスウェーゲン会長は、同社が高付加価値の精製フェロマンガン製品を製造するための実現可能性調査も実施中であり、今年半ばまでに完了する予定だと言明。「調査結果が良好であれば、約1億米ドル(4億7,400万リンギ)の追加投資が必要になる」と述べた。同社はまた、環境負荷を減らすためにスラグ、フューム(微粒子)、ガスなどの廃棄物からの副産物の生成も研究しているという。

サクラ・フェロアロイズは、南アフリカの鉱山会社、アスマンが54.36%、住友商事が26.64%、台湾の中国鋼鉄が19%を出資して設立した合弁会社。環境に優しい高品質のマンガン製品の世界有数のメーカーで、年間約24万トンのフェロマンガンを生産している。
(ボルネオポスト、3月6日)

大KL圏への昨年の外国投資、過去最高の87億リンギ

【クアラルンプール】 大クアラルンプール(KL)圏への投資誘致に当たるインベストKLは、2023年に87億リンギの外国直接投資(FDI、認可ベース)を誘致。前年(27億9,000万リンギ)の3倍強となったと明らかにした。2011年の創設以来のFDI累積誘致額は297億9,000万リンギになった。
アズミ・ズルキフリ最高責任者(CEO)は発表会見で、投資の急増はマレーシア経済の潜在性に対する外国人投資家の信頼を示すもので、クアラルンプールのビジネス生態系の成熟を裏付けていると述べた。

2023年の投資を先導したのは米州、欧州、アジアを拠点とする12の多国籍企業で、米コグニザント、デンマークのデマント、北控水務集団、ロンドン証券取引所グループが代表例。

投資により8,329人(2022年は2,805人)の高技能の雇用機会が創出された。うち81%はデジタル、およびテクノロジー分野だった。ほかに生命科学、医療、金融サービスでも雇用が創出されており、こうした就業機会の多様性は国内経済の活力を示すものだという。

インベストKLは投資貿易産業省傘下の機関。累積投資のうち実施されたのは66%にあたる197億4,000万リンギで、2万7,000人の幹部ポジションが創出され、そのうち74%が埋まった。平均月収は1万4,000リンギ超だという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月6日、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、3月5日)

配車サービスのボルト、マレーシアに進出か

【クアラルンプール】 エストニアの配車サービスで、タイなどで普及している「ボルト」が、マレーシアにも進出する模様だ。自動車関連ポータルサイト「ポールタン」が5日報じた。

ポールタンによると、ビジネスSNS「リンクトイン」にマレーシアのカントリー・マネージャー募集情報が掲載された。クアラルンプールでの勤務で、配車サービスを立ち上げるための責任者を募集するとしている。

ボルトは2013年に設立。45カ国で1億5,000万人以上の顧客と300万人のドライバーを擁している。最近、エジプトのカイロにも進出した。タイのバンコクでは、個人向けの配車サービス以外に法人向けサービスも提供している。ボルト・アプリは競合のグラブ・アプリと同様に「スーパーアプリ」として機能しており、配車以外に食品配達やカーシェアリングなどのサービスも提供しているという。
(ポールタン、3月5日)