多くの国民は生成AIに肯定的、ジョブストリート調査

【クアラルンプール】 オンライン職業斡旋サイト、ジョブストリートは生成AI(人工知能)に対する世界の人々の姿勢、懸念に関する調査結果を公表した。マレーシアはほかの国よりAIに受容的で、回答者の50%は生成AIを使ったことがあると答えた。用途は、情報入手、技能開発、翻訳。生成AIになじみがない、との回答は40%だった。

年齢・職業種別では、18-24歳の年齢層は45歳以上の層より生成AIを利用する可能性が50%高い。生成AI採用に肯定的なのはデジタル化、データサイエンス、情報技術、マーケティング・メディアの労働者で、物流・運輸、法務関連では受け入れ派は40%と少ない。

職に関する懸念では、仕事内容に何等かの変化がある(回答者の79%)、重大な影響がある(28%)だった。法務、医療関係は懸念度が低い。

AI採用に伴い労働者には技能習得が必須になるが、57%はAI導入による変化に対応するため技術を取得する用意があると回答。失職を懸念している、との回答は5%だった。

しかし、生成AIを実際に利用する際の困難もあり、55%はプロンプト作成で困難を感じると回答した。
(ザ・サン電子版、11月27日)

積極的差別是正措置には透明・包括性が必要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は11月30日、マレー・カレッジOB会の夕食会における演説で、政府施策はより包括的になり、ほかの民族への許容性を増しマレー人の利益を損なっているとの懸念がマレー人社会にあることについて「見当違いだ」と一蹴。現政権でマレー君主、マレー人の特権、国語としてのマレー語の地位が危うくされたことはないと言明した

また現政権が国内最大級の不動産開発計画「バンダル・マレーシア」を外国企業から取り戻した際、少なくとも50エーカーはマレー人にとり置くことを決定したが、独立以来のことだと強調した。

先住民・マレー人を優遇する積極的差別是正措置は以前実施された際、縁故主義にまみれ、党幹部らの利益追求に乱用されたことがある。

これを踏まえアンワル氏は、より包括的で透明性のある積極的差別是正措置が現在必要だと指摘。都市の貧困層、過疎地住民を含めすべてのマレー人に恩恵がいきわたるようにすべきだと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、12月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、11月30日)

洪水避難民は減少傾向、クランタン州は4日の第2波を警戒

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシア半島部の広範囲で発生した10年ぶりの大洪水は、1日正午時点では避難民が15万3,411人に達したが、同日午後4時には15万482人に減少、2日はさらに午後4時時点で11万9,254人に減少した。

小康状態となっているものの今後も各地で断続的に大雨が降ることが予測されるため、最も被害が大きいクランタン州政府は、4日にも洪水の第2波が来るとして州民に警戒を呼びかけている。同州政府は1日、「注意!クランタン州は12月4日に洪水の第2波に見舞われると予測されている」とソーシャルメディアに投稿した。

避難民の数がピークとなった1日正午時点で避難民が出ているのは▽クランタン▽トレンガヌ▽ケダ▽パハン▽ネグリ・センビラン▽ジョホール▽マラッカ▽ぺルリス▽セランゴール――の9州となり、クランタン州の避難民は9万7,131人となった。2日午後4時時点で避難民が出ているのは▽クランタン▽トレンガヌ▽ケダ▽パハン▽ネグリ・センビラン▽ジョホール▽ペラ▽ぺルリス▽マラッカ――の9州となり、クランタン州の避難民は7万7,761人にやや減少した。

一方で死者は増加し、2日午後4時時点で5人となった。

ジェトロの日系企業実態調査、マレーシアは今年黒字が7割

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は11月28日、「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」結果を発表。マレーシアは2024年の営業利益見込みを「黒字」とする回答率が70.8%に上り、前年調査の67.9%を2.9ポイント上回った。マレーシアは「均衡」が15.8%。「赤字」は13.5%で、前年の14.6%を1.1ポイント下回った。

同調査は北東アジア5カ国・地域、ASEAN9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業を対象に8月20日から9月18日にかけて行ったもので、マレーシアからは調査対象917社のうち359社が回答した。

2024年の営業利益見込みが前年比で「改善」とする回答は、マレーシアは38.2%で、「横ばい」は35.6%、「悪化」は26.1%だった。改善理由については「現地市場での需要増加」が49.6%と高かった。

2025年見通しについては、「改善」が41.9%、「横ばい」が45.9%、「悪化」は12.3%だった。改善理由については「現地市場での販売体制強化」が43.2%と高かった。

2024年の景況感を示すDI値(「改善」と回答した企業の割合から「悪化」と回答した企業の割合を差し引いた数値)は、マレーシアはプラス12.1で、2025年についてはプラス29.6となった。

事業拡大を検討している企業はマレーシアでは48.9%に上り、今後1―2年で事業を拡大する理由については「現地市場ニーズの拡大」が62.6%、「輸出の増加」が35.7%だった。拡大する機能については、「販売」が70.1%と最も高かった。脱炭素化への取り組みについては、「すでに取り組んでいる」が43.2%、「今後取り組む予定」が40.3%だった。

マレーシアの投資上のメリットとしては「言語上の障害の少なさ」が75.3%でトップ。投資上のリスクについては「人件費の高騰」が72.3%で最も高かった。

【イスラム金融の基礎知識】第557回 グリーンピースからみたイスラム金融

第557回 グリーンピースからみたイスラム金融

Q: グリーンピースはイスラム金融をどう評価していますか?

A: グリーンピースといえば、国際的な環境保護団体であり、特定の宗教・宗派、イデオロギーに依拠せず環境保全の活動を行うNGOとして、世界的に知られている。そのグリーンピースは、イスラム金融についてどのような考え方をもっているのだろうか。11月に更新された同団体のウェブサイトに、イスラム金融についての認識を示す興味深いエッセーが掲載された。

「イスラム金融:気候変動対策のための強力な解決策」と題するエッセーでは、まずイスラム諸国における環境問題、特に水に関する問題を指摘する。すなわち、パキスタンにおける洪水、インドネシアにおける海面上昇による沿岸部の村落水没、中東・北アフリカでの干ばつ・水不足である。また、気候変動は食の安全保障の問題を生み出し、宗教実践をゆがめている。例えばソマリアでは、食糧不足がラマダン月の断食の適切な実践を妨げているとしている。

これらの課題に取り組むことができる存在として、グリーンピースはイスラム金融を挙げた。イスラム金融には、公正さ、社会的責任、環境保護を推進するイスラムの教義があり、これに基づいて金融ビジネスを展開している。その成功例の一つが、マレーシアにおけるグリーン・スクーク・インシアティブ(環境保護に取り組む企業を優先して社債を発行する取り組み)だとしている。また、2027年には世界のイスラム金融の資産残高が6.7兆米ドルに達するため、そのうち5%でも振り向けることができれば、2030年までに4,000億米ドルを環境問題への解決に向けて費やすことができるだろうと期待を寄せている。

グリーンピースは、イスラム金融を倫理的原則と地域社会への責任に根ざしている存在だととらえた上で、その独自の活動を通じて環境問題に成果を出すことに期待しているといえよう。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

 

アニメイトがマレーシア初店舗、ららぽーとBBCC内に

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三井不動産が運営するクアラルンプール(KL)市の「ららぽーとブキ・ビンタンシティセンター(BBCC)」に29日、日本のアニメ専門店アニメイトが開業した。マレーシア初進出で、さらに12月には、ストリート系など3つのファッションブランドも進出を予定。来年1月のBBCC開業3周年を前に、日本の若者カルチャー発信スポットとしてますます注目が高まっている。

アニメイトはアニメやゲーム、キャラクターグッズなどを販売し、日本国内の約120店舗のほか、中国やタイなど10カ国以上でも展開している。オープン初日は、KLを拠点に活動するアイドルグループKLP48のメンバーが参加してイベントも行われた。

12月に開業するのは、日本国内で約170店舗を展開する「WEGO」、原宿を拠点とするストリートブランド「9090」、10ー20代の男女に人気の「Younger Song」。オープンを記念したセールなども予定されている。

自動車同乗者の保険加入義務化を調査=運輸省

【クアラルンプール】 運輸省は、自動車の同乗者に対する保険加入を義務付ける必要性について調査する方針だ。

連邦裁判所が今月下した控訴審判決を受けて、アンソニー・ローク運輸相が28日、記者団に語った。判決では、仕事のため保険に加入した車両が事故に遭い、同乗していた第三者が被害を受けた場合、その第三者は保険会社に補償を請求できる、とした。

ローク氏は、保険費用などに大きな影響を与えかねないとしたうえで、「道路交通法の改正が必要か見極めるため、今回の判決の影響を徹底的に調査する」と述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月28日)

半島部の大規模洪水、過去10年で最悪のレベルか

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 クランタン州、トレンガヌ州を中心に半島部の6州を巻き込む大規模な洪水が発生しており、29日午後4時時点で避難民は約9万5千人、死者は3人に上った。

洪水被害は28日午前9時半時点でクランタン、トレンガヌ州のほか、ケダ、ぺルリス、ペラ、ジョホールの各州に及び、避難民の数は3万7,189人。被災者が最も多いのはクランタン州で3万582人に上った。

避難民はその後増加を続け、29日は午後4時時点で全体で9万4,778人に達した。クランタン州が6万3,761人最も多く、トレンガヌ州が2万2,511人で続いた。

国家災害管理委員会(NADMA)の議長を務めるアハマド・ザヒド副首相は28日、今年の洪水被害が2014末から2015年初頭にかけて発生した大規模な洪水被害を上回るものになるとの見通しを示した。

ザヒド氏は、東海岸の洪水多発州を中心に8万2,794人の人員が救援のために派遣されたと言明。政府は今年の北東モンスーンに備えて、全国で210万人の避難民を収容できる一時避難所(PPS)を8,481カ所確保していると述べ、クランタン州だけでも17万5,000人を収容できるPPSが448カ所、トレンガヌ州では21万4,000人を収用できるPPSが749カ所あると強調した。

数十年で最悪と言われた2014―15年の大規模洪水は、クランタン、トレンガヌ、パハン、ジョホール、ペラの5州に及び、浸水箇所の水位は最大で4メートルに達した。50万人以上が被災し、21人が死亡。経済損失は10億リンギに達した。

「第4四半期の業況見通しは良好」シンクタンクMIER

【クアラルンプール】 シンクタンクのマレーシア経済研究所(MIER)は27日、業況に関する調査結果を公表。第4四半期のビジネス信頼指数(BCI)は105ポイント近くに達しており、業況見通しは明るさを維持しているとした。

けん引役は、安定した生産・販売、雇用の改善、賃金上昇、投資増、設備利用の効率改善で、ほとんどの企業が第4四半期の業況を楽観しているという。

第3四半期の売り上げ指数は52.8で、前年同期から8.9ポイント改善した。雇用指数は56.5で、同14.3ポイント改善。前期の47.6からも改善した。投資も増加傾向にあり、指数は68と前年同期より18ポイント改善した。

輸出業者の受注指数は48で、前年同期比で16.7ポイント、前期比で9.1ポイント、それぞれ改善した。回答企業の60%余りが注文の増加または同程度の注文を受けた。

製造業では70%の企業が、同程度の生産あるいは生産増だったと回答した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月28日、エッジ、11月27日)

NTTデータペイメントサービシズ、QR決済サービス拡大

【クアラルンプール】 NTTデータペイメントサービシズ(旧社名GHLシステムズ)はマレーシアの代表的送金システム「ドゥイットナウ」のQRコード決済サービスを拡大しており、加盟商店は中国のアリペイプラス、ウィーチャットペイ、ユニオンペイ(銀聯)、韓国のビシ(BC)カード、インドネシアの電子決済アプリQRIS、タイのITMXを利用した支払いを受けることができる。GHLの端末数は全国48万台に及ぶ。

NTTデータは5月、GHLシステムズ過半株を取得し社名を変更していた。サービス拡大に乗り出したのは23年9月で、増加する外国人旅行者のニーズに対応する。
GHLマレーシアのケビン・リー最高経営責任者(CEO)によると、旅行者にとっては支払いが簡単になり、マレーシアにとっては観光収入の増加につながるという。

越境「ドゥイットナウ」QRを決済システムに組み込んだ企業の1社がタピオカ飲料店を展開するティーライブで、シンガポール、中国、インドネシア、タイ、韓国からの旅行者は電子決済ができるようになった。QRコードを利用した越境決済は急増している。
(ビジネス・トゥデー、11月27日)