KLのガーデンインター、1億リンギ規模のスポーツ複合施設完成

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)のガーデン・インターナショナルスクールは1億リンギを投じて建設したスポーツ複合施設をオープンした。

ガーデンを運営するテイラーズ・スクールズによると、施設は5階建て延べ20万平方フィートで、8年をかけて建設が進められてきた。国際大会規模のプールやサッカーコート、屋内バスケットボールコート2面、フィットネス・ジムエリアなどを備える。

さらに第2期工事として、8,500万リンギを投じ舞台芸術センターの建設も予定している。これらの施設は、一般開放も検討されているという。

ガーデンは1951年創立で、来年創立75周年を迎える伝統校。イギリス式のカリキュラムを採用し、1996年からモントキアラにメインキャンパスを構えている。テイラーズ・スクールズは、テイラーズ・エデュケーショングループ傘下でマレーシアとシンガポールで計6校のインターナショナルスクールを運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、11月12日)

【総点検・マレーシア経済】第534回 米マレーシア貿易協定解説(1)

第534回:米マレーシア貿易協定解説(1)

 

10月26日、ASEAN首脳会議に合わせてマレーシアを訪問したトランプ大統領とアンワル首相の間で「米国・マレーシア相互貿易協定(Agreement between the United States of America and Malaysia on Reciprocal Trade)」が締結されました。この協定には、マレーシア側が米国に対して行った関税・非関税障壁に関する譲歩だけでなく、マレーシア側が米国から得た関税面での譲歩も含まれているため、形式的にはFTAとみなせるものです。

 

実質的にはマレーシア側の片務的な譲歩という性格が強いにもかかわらず、この貿易協定はなぜ「相互(Reciprocal)」を称し、FTAの形式を取っているのでしょうか。筆者は、もしマレーシアが米国に対して行った譲歩がFTAによるものでない場合、WTOの最恵国待遇(MFN)原則により、他のすべてのWTO加盟国に米国と同じ好待遇を与えなければならなくなるためであると見ています。

 

FTAはWTOのMFN原則の例外とされるため、FTA内で行った譲歩をFTA相手国に限ることが許されます。したがって、今回の米国に対するマレーシア側の譲歩について他国はWTOのMFN原則を唱えて同様の待遇を求めることができません。米国はマレーシア側が行った譲歩を独占できることになります。

 

この協定においてマレーシアは米国に対して多くの譲歩を行っています。化学製品、機械・電気機器、金属、乗用車、乳製品、園芸製品、鶏肉、豚肉、米、燃料エタノールなど広範な品目で関税の引き下げ・撤廃を行っています。即時撤廃品目のほか、5年・9年かけて段階的に撤廃される品目もあります。また、豚肉、牛乳・クリーム、鶏肉などに対して無税輸入枠が設定されています。

 

あまりニュースになっていませんが、注目されるのは米国製自動車について排気量に関わらず物品税(excise duty)の最低税率を適用することになっている点です。例えば、Jeep Grand Cherokeeをマレーシアに輸入した場合の物品税は通常125%となりますが、この協定により同カテゴリー内の最低税率である80%が適用されることになります。さらに通常はAPによって制限されている輸入車の台数上限からも米国車は除外されること、米国の安全基準・排出基準を満たした自動車をマレーシアがそのまま受け入れることになっています。

 

米国の自動車メーカーでマレーシアにおいて2024年に最も売れたのはフォードの6232台(シェア0.8%)であり、マレーシアの自動車市場に大きな影響を及ぼすとは考えにくいものの(あるいは考えにくいため)、自動車分野においてマレーシアはほとんど全面的に米国へ譲歩したと言えます。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

ザフルル投資貿易相、上院議員任期満了の12月2日に退任

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)のザフルル・アブドル・アジズ大臣は13日、自身の上院議員任期が満了する2025年12月2日付で大臣職を退任すると発表した。アンワル・イブラヒム首相には、退任後も顧問として引き続きMITIに貢献していく意向を伝えたという。

ザフルル氏は第3四半期業績報告後の記者会見で、アンワル・イブラヒム首相の下で職務を遂行する機会を得られたことに感謝の意を表した上で、2022年12月の就任以来、多額の外国直接投資(FDI)の誘致とマレーシアの国際貿易競争力の強化における同省の成果を強調した。

ザフルル氏は元銀行家でムヒディン・ヤシン政権下の2020年から2022年まで民間から登用され財務相を務めた。貿易自由化、デジタル化、持続可能性に重点を置いた政策を通じて、マレーシアを地域の投資ハブとして推進する上で中心的な役割を果たしてきた。

現アンワル内閣ではすでに経済相と天然資源・環境持続可能性相の2つの閣僚ポストが閣僚辞任により空白となり現職閣僚による兼任となっており、さらに今回投資貿易産業相ポストが空くことにより、内閣改造が近まっているとの観測が高まっている。
(ベルナマ通信、ビジネス・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月13日)

「ACG BASE」、ららぽーとBBCC内にオープン

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三井不動産が開発した「三井ショッピングパークららぽーとブキッ・ビンタンシティセンター(ららぽーとBBCC)」2階の日本を中心としたアニメ、コミック、ゲーム関連の小売店集積ゾーン「ACG BASE」が正式オープンし、13日にメディアツアーが開催された。

年内を予定しているフルオープン時には20あまりの店舗が入居する予定。現時点ですでに開店しているのは、日本のアニメイトとカドカワのほか、▽ディメンション・ポップタウン▽ザ・ピンク・ルーム▽シュミ(Xumi)▽ドコココ・グッズ▽ヌルセット・グッズ▽Qポケット▽モリ・モリ(ベーカリー・カフェ)――で、アニメイトは地階と地下1階にも店舗とカフェを運営している。

「ACG BASE」内にはまた、アイドルグループ「AKB48」のマレーシア姉妹グループである「KLP48」の常設劇場も設置される予定で、このほか▽バッド・エッグ・クラブ▽工房7号▽カード屋▽ゴジラ・ストア――などが近く開店を予定している。

【イスラム金融の基礎知識】第580回 馬企業の沖縄リゾート開発にイスラム金融活用

第580回 馬企業の沖縄リゾート開発にイスラム金融活用

Q: 日本でのリゾート開発にイスラム金融の資金が活用されるそうですが?

A: マレーシアの政府系金融機関であるマレーシア輸出入銀行が11月に明らかにしたところによると、マレーシア大手不動産開発業者のブルジャヤ・グループが手がける沖縄県のリゾート開発に対して、イスラム式を含めた融資を行うことになった。

マレーシア側の報道や当事者のメディア発表等によると、ブルジャヤ・グループは沖縄県恩納村にフォーシーズンズ・リゾート・アンド・プライベート・レジデンス沖縄(フォーシーズンズ沖縄)を総工費約1,000億円かけて2027年に開業することを、2024年に発表した。ブルジャヤ・グループは、これまでにも京都でフォーシーズンズ・ホテルを手掛けた実績がある。今回明らかになったのは、総工費のうち7,000万米ドル分が、輸出入銀行からの融資となるというものである。輸出入銀行には、連邦政府の2026年予算で輸出振興を目的としたファンド(スキム・エクスポート・ロンジャカン)が創設され、この一部を活用する融資となった。同ファンドをめぐっては、中国やオーストラリアの金融機関との提携も発表されており、同様の貿易保険スキームとも連携してマレーシア企業の輸出を促進していく。

今回の融資のもう一つ特徴的な点として、イスラム式であることである。ムダーラバやムラーバハなどの具体的な契約手法と、融資対象案件にどの程度イスラム法が適用されるかは、発表や報道内容からは不明である。一般的にイスラの金融の分野では、リゾートホテル・ビジネスはエンターテインメント要素が強くイスラム法に抵触する恐れがあるのではと、注意が払われている業種である。

フォーシーズンズ・ホテルは世界的に著名な高級ホテル・ブランドで、沖縄県には初めての進出となる。開業は2027年7月の予定である。

 

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

プロトンの新EV「e.MAS5」、予約台数が1万台を突破

【クアラルンプール】 国民車プロトンの電気自動車(EV)販売子会社、プロトン・ニューエナジー・テクノロジー(プロネット)は、同社2車種目のEVであるBセグメント・ハッチバック「e.MAS5」の予約台数が1万台を突破したと明らかにした。

「e.MAS5」の予約は10月4日に受付を開始し、10月30日に正式発表した。予想通り予約は半島中央部が最も多く、次いで半島南部と半島北部となっている。東マレーシアと半島東海岸からの予約も増加傾向にあるという。

ディーラーによると、「e.MAS5」の予約客のほとんどは同モデルをメイン車両として選んでいる「ワーキングプロフェッショナル」で、多くが1,000リンギの追加割引が適用される「パワー・トレード・イン」プログラムを利用して既存車両を下取りに出している。また初めて自動車を購入する人や、EVをセカンドカーとして購入する世帯も増加しているという。

「e.MAS5」のバリエーションは「プライム」と「プレミアム」の2種で、公式価格はそれぞれ事前予想を大きく下回る5万6,800リンギ、7万2,800リンギに設定。さらに発売記念として各車3,000リンギの割引を適用する。
(ポールタン、マレーシアン・リザーブ、11月12日)

MM2Hプログラム、TRXに初のワンストップセンターを開設

【クアラルンプール】 外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラム初のワンストップセンターが12日、クアラルンプール(KL)の国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」の「ジ・エクスチェンジ106」内に開設された。

同センターは民間企業のSTFグループの子会社であるSTFレべニュー(MM2H) が運営。STFの国際業務担当ディレクター、ジョナサン・ロー・チューンワイ氏は、TRXにワンストップセンターを設立したのはMM2Hプログラム申請手続きを合理化し、参加者に快適で効率的な体験を提供するためと説明した。

開所式に合わせてSTFと不動産開発を手掛けるリバーツリー・グループの間で戦略的パートナーシップ契約が締結された。パートナーシップに基づき両社は国際的な投資家を地元の不動産に誘致し、ビザ取得支援と長期滞在支援を行う。

観光芸術文化省によると2025年7月現在、MM2Hプログラムへの新規申請を3,300件以上記録しており、推定3億リンギの外国資金の誘致と4億3,000万リンギを超える不動産投資が行われている。開設式典には観光芸術文化省のシャハルディン・アブ・ソホット事務次官が出席した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン、ベルナマ通信、11月12日)

補助金なし「RON95」、価格を2.65リンギに引き上げ

【クアラルンプール】 財務省は12日、2025年11月13日から19日までの1週間の燃料小売価格を発表。1リットル当たり2.60リンギとなっていたレギュラーガソリン「RON95」の補助金なし価格を、5セン引き上げ2.65リンギにすると明らかにした。

世界的な原油価格の上昇を受けた措置で、補助金なし「RON95」価格の変動は新燃料補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」の導入以来初めて。補助金適用外のハイオクガソリン「RON97」の価格も同様に5セン引き上げ、3.25リンギとする。一方「BUDI95」適用価格は1.99リンギで据え置く。

このほか「ユーロ5 B10」および「B10」ディーゼルの小売価格は1リットルあたり5セン引き上げ、3.07リンギとなる。また「ユーロ5 B7」ディーゼルは1リットルあたり20セン引き上げ、3.27リンギとなる。なおサバ州、サラワク州、ラブアン州におけるディーゼル燃料の小売価格は2.15リンギで据え置かれる。

次回の燃料価格改定は11月19日に発表される。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ポールタン、ベルナマ通信、11月13日)

ミシュランガイド、KLの2軒が新たに一つ星獲得

【クアラルンプール】 美食ガイドとして世界的に親しまれている「ミシュランガイド」の「マレーシア2026」が11日、発表された。第4版となる今回は、新たに星を獲得したクアラルンプール(KL)の2軒を含め一つ星として計8軒が選ばれた。マレー料理店「デワカン」は唯一の二つ星を3年連続で維持した。

新たに一つ星に選ばれたのは、「アカー」と「テラ・ダイニング」。シェフのエイダン・ロー氏によるアカーは、現代的ヨーロピアン・ダイニングで、日本やマレーシアの風味や地元食材をバランスよく取り入れた料理を提供する。テラ・ダイニングは、シェフのユーチェン・チョン氏による現代的なマレーシア料理の店になる。
二つ星・デワカンは、持続可能性の高いレストランに対する「グリーンスター」にも、昨年に続き選ばれた。またシェフのダレン・テオ氏による2つ目のフレンチビストロ「ビドゥ」は、「オープニング・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞した。

また、価格以上の満足感が得られるレストラン「ビブグルマン」には、新たに選ばれたKLの4軒、ペナンの1軒を含め計58軒が選ばれた。「セレクテッド」部門には84軒が紹介されている。
(ビジネス・トゥデー、11月12日、マレー・メイル、11月11日、ミシュラン発表資料)

エアアジア、セナイー昆明線を12月14日就航

【クアラルンプール】 格安航空エアアジアは、ジョホールバル(JB)のセナイ空港と中国雲南省昆明長水国際空港を結ぶ直行便を12月14日に就航すると発表した。週14便を運航しているクアラルンプール―昆明線を補完する。

週3便の運航で、セナイ発は月・水・日曜日、昆明発は月・火・木曜日の出発となる。往路のAK1380便はセナイ発が21時20分、昆明着が翌1時25分、復路のAK1381便は昆明発が深夜2時30分、セナイ着が6時45分となっている。

就航記念として、セナイ発昆明行き片道469リンギ、昆明発セナイ行き片道678人民元からのプロモーション料金を提供する。旅行期間2025年12月14日から2026年3月28日までが対象で、2025年11月23日までエアアジアMOVEアプリもしくはエアアジアのホームページ(airasia.comから購入できる。
(ビジネス・トゥデー、11月11日、エアアジア発表資料)