【クアラルンプール】 段階的に義務化が進められている電子インボイス制度について、政府は年間売上高100万リンギ以下の中小零細企業(MSME)に対する導入時期の延期を検討する。リム・フイイン副財務相が4日、上院議会質疑で明らかにした。

電子インボイス制度は、昨年8月の売上高1億リンギ超を皮切りに、企業規模に応じ順次導入が進められてきた。当初は今年7月に完全義務化が予定されていたが、6月に2,500万リンギ以下の企業を、さらに細かく3区分すると発表。500万リンギ以下―100万リンギ超は2026年1月、100万リンギ以下―50万リンギ超は2026年7月にそれぞれ延長し、50万リンギ以下は当面免除としていた。

リム氏は、この来年7月の導入について、「さらなる延期を省庁レベルで検討する」と述べた。

一方、電子インボイスの導入状況について11月26日時点で、計10万8,579社が電子インボイスを発行済みと報告。内訳はすでに導入が義務付けられた500万リンギ超が計4万4,852社で、500万リンギ以下の4万4,233社が自主的に導入していると説明した。

発行総数は総計7億4,250万通に達し、うち1億8,000万通超を卸・小売業が占めた。リム氏は。そのほかの現金決算が多い取引などとともに、所得税の申告漏れが起こりやすい業種を指摘。また、インボイスの情報漏れを防ぐためシステムの情報セキュリティを徹底していると強調した。

内国歳入庁(LHDN)は電子インボイス制度が導入されたことで、今年7月末時点で、所得税を申告していなかった5,800の企業・個人を特定。総額4億8,400万リンギが追加申告され、税収が8,200万リンギ増加したとしている。
(ザ・スター、ベルナマ通信、12月4日)