日本などのブリキ板に反ダンピング関税を暫定適用=MITI

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)は13日、日本など4カ国から輸入しているブリキ板に対し反ダンピング(反不当廉売、AD)関税を暫定的に課すと発表した。課税率は2.52―36.80%で、今月11日にさかのぼり最長120日間適用される。

対象となるのは、日本、中国、インド、韓国を原産または輸出国とする、スズで被覆、メッキ、またはコーティングされた鉄または非合金鋼の平板製品で、幅600ミリメートル以上のもの。

地元メーカーのプルサハアン・サドゥル・ティマー・マレーシアからの申し立てを受け、MITIは昨年8月に調査を開始。今回、予備判定としてさらなる調査が必要とし、国内産業へのさらなる損害を防ぐために暫定的にADを課すことを決定した。

最終決定は5月10日までに下される。この暫定的ADに対し1月20日まで、4カ国の輸出業者や国内輸入業者ら関係者から意見書などを受け付ける。
(ビジネス・トゥデー、ザ・スター、1月13日)

KKマートで販売のサンドイッチ、ハラルマークの偽造発覚

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マラヤ大学(UM)キャンパス内のコンビニ2店舗で売られていたサンドイッチに付けられたハラル(イスラムの戒律に則った)マークへの疑惑が浮上していた件で、イスラム開発局(JAKIM)は製造メーカーがハラル認証を取得していなかったと発表した。

問題のサンドイッチは鶏肉から作ったハムとチーズを挟んだもので、シェイク・アンド・ベイク・カフェが製造し、華人系ミニマートチェーン、KKマートの店舗で販売されていた。パッケージにはKKマートのロゴとハラルマークが入っていたが、実際はハラルではないのではないかとの疑問の声が浮上。疑惑を受けて当該2店舗は1月10日付けで閉鎖されているが、今後「2011年取引表示法」違反で関係者が訴追されるとみられる。

KKマート側はパッケージ上の同社のロゴは許可なくシェイク社が付けていたものだと主張。シェイク社との取引を停止し、法的措置をとると発表したが、統一マレー国民組織(UMNO)のアクマル・サレハ青年部長はKKマートがムスリム消費者を誤解させたと強く非難。華人系政党のマレーシア華人協会(MCA)は「問題を政治化すべきでない」とし、華人に対する非難がエスカレートすることに懸念を示した。

KKマートを巡っては、昨年3月に「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていたことが発覚。イスラムに対する誹謗だとの声がイスラム保守派から上がり、KKマートの店舗に火炎瓶が投げ込まれる騒ぎまで起きている。

マレーシア国民の73%、今年の世界経済に期待=イプソス調査

【クアラルンプール】 世論調査会社イプソスはこのほど「2025年予測レポート」を発表。世界経済が2024年よりも2025年の方が良くなると回答したマレーシア人は73%で、調査33カ国中5位となり、マレーシア人の前向きな見通しを表す結果となった。

世界経済に対する期待度を示すマレーシアの73%は、前年比11ポイント増。各国平均の51%も大きく上回っている。

また、「2025年は2024年よりも自分にとって良い年になると楽観している」と回答した割合はさらに多い81%だった。各国平均の71%を上回り、世界的には8位で、最下位だった日本の38%と対照的な結果となった。

一方、2025年の増税を予想したマレーシア人は80%で、前年の74%から増加。インフレ上昇を予想した割合も76%で、前年の70%から増えた。イプソス・マレーシアのカントリーマネジャー、エブリン・タン氏は「2025年はマレーシア人にとって、経済と公衆衛生について不確実性を感じつつも、チャンスと課題の両方をもたらすだろう」としている。

イプソスが昨年10月25日―11月8日に行ったオンライン調査に、世界33カ国の23,721人が回答した。
(マレー・メイル、1月13日、インプレス発表資料)

95%が1つ以上の電子ウォレットを使用=リンギプラス調査

【クアラルンプール】 マレーシアの価格比較サイト、リンギプラス(RinggitPlus)の調査で、回答者の95%が少なくとも1つの電子ウォレットを使用していると答えた。2022年調査の89%、23年調査の91%からさらに上昇しており、消費者のデジタル化が急速に進んでいることがわかった。

同調査はサードパーティの分析プラットフォームを介して自己記入式のオンラインアンケートを使用して、全国のマレーシア人3,385人を対象に実施した。また回答者の45%が少なくとも1つのデジタルバンクに口座を持っており、26%が口座を開設する予定だと答えた。保険契約/タカフル契約については、回答者の29%はオンラインで購入することを好むと回答、代理店経由を好むとの回答は39%にとどまった。

金融関連の調査を行う際の主な情報源については、ソーシャルメディア(65%)がトップで、家族や友人 (53%)を上回った。収集した情報の信頼性に関しても、ソーシャルメディアを信頼する傾向が強く、ソーシャルメディアに対する信頼スコアは平均4.05と、家族や友人(3.36)、銀行・金融機関(3.22)よりも高かった。

リンギプラスのユエン・トゥックシュー最高経営責任者(CEO)は、「マレーシア人がキャッシュレス化し、デジタルバンキングを受け入れるようになるにつれて、デジタル個人情報や金融情報の保護、潜在的な詐欺や不正行為を特定する能力などが非常に重要なスキルとなる」と指摘。一般市民がますますオンラインで金融活動を行う傾向にあることは、「デジタル金融リテラシー」の重要性を示していると述べた。
(エッジ、1月13日)

為替相場の変動は続くもリンギは下期に持ち直し=投資銀

【クアラルンプール】 リンギ相場は昨年、2月の低値(1米ドル=4.8リンギ)から9月の高値(同4.12リンギ)と変動が大きかった。地政学上の緊張、米国大統領選挙など強い米ドルとなる要因があったためだ。ケナンガ・インベストメント・バンクは、変動は今年も続き、上半期はリンギ安で推移し、下半期に持ち直すと予想している。

上半期の相場予想は1米ドル=4.5-4.6リンギで、トランプ次期米大統領のドル高政策が主因だという。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げペースの減速が必要との立場で、下半期はリンギが上昇し、1米ドル=4.4-4.5リンギが予想されるという。

トランプ要因以外の短期的な米ドル高要因では、FRBとほかの国の中央銀行の金融政策の乖離、ユーロ圏経済のもろさ、課題に直面する中国、地政学上の不確実性が挙げられるという。

これに対し中央銀行バンク・ネガラの安定した金融政策、堅調な経済、財政健全化努力がマレーシアの強みで、リンギ下落を軽減するという。
(ビジネス・トゥデー、1月11日)

ペナン初の軽便鉄道が起工、2031年の全線開通目指す

【ジョージタウン】 ペナン初の軽便鉄道(LRT)ムティアラ線の起工式が11日、バンダル・スリ・ピナン駅の建設地で行われ、アンワル・イブラヒム首相やアンソニー・ローク運輸相、チョウ・コンヨウ州首相らが出席した。

MRTコーポレーションのザリフ・ハシム最高経営責任者(CEO)によると、総工費は130億リンギで、ペナン南端の人工島(シリコン島)とペナンの合同庁舎が入るジョージタウンのトゥン・アブドル・ラザク・コンプレックス(コムター)、本土側バターワースの統合交通ターミナル、ペナン・セントラルを結ぶ全長29.5キロメートルの路線で、2031年までの全線開通を予定している。

合計21の駅が設置され、海峡を結ぶ鉄道橋は2026年第2四半期に建設が開始される予定下を船舶が通行できるよう最も高い場所で高さが62メートルになるという。コムター駅の手前のマッカラム駅がペナン・セントラル方面への乗り換え駅となる。

使用車両は今年後半に公開入札で決定される予定。利用客の目標は3年目までに1日あたり6万人、20年後には16万8,000人としている。

ローク運輸相は、LRTムティアラ線プロジェクトの重要ポイントはコムターとペナン・セントラル間の接続だとし、ペナン海峡の両側の住民のアクセスを改善するのが狙いだと述べた
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、1月11日)

奈良県、いちごと柿の輸出プロモをマレーシアで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 奈良県は、奈良県産のいちごと柿の輸出プロモーションをマレーシア(首都圏クランバレーとペナン)の高級スーパーマーケットで10日から16日まで開催する。

農林水産物の輸出拡大が見込めるマレーシア市場へ奈良県産農産物の販路開拓を図るのが狙い。現地小売店でのテスト販売、プロモーションの実施を通して、マレーシア国内における現地ニーズを把握し、県産農産物の販売ターゲットを明確にするとともに、マレーシア市場の有望性を検討する。

開催店はジャヤ・グローサーの4店舗(ガーデンズ・モール、スターリング・モール、サンウェイ・ピラミッド、ガーニー・パラゴン)と伊勢丹KLCCの合計5店舗。奈良県産のいちご(古都華)と柿(富有柿、あんぽ柿)を展示即売している。あんぽ柿は半熟の干し柿となっている。

16日にはミシュラン掲載店で試食会を実施する。同店シェフが考案したメニューが披露され、マレーシアの著名シェフやスーパーマーケットから20人が招待される予定。

エルミナレイクサイドモール、開業以降月平均64万人集客

【クアラルンプール】 セランゴール州のショッピングモール「エルミナ・レイクサイド・モール」(ELM)は、昨年8月の開業以来4カ月あまりで99%の稼働率を達成。月平均で64万人が訪れ、不動産開発大手のサイム・ダービー・プロパティが開発を手がけるエルミナ市の中核施設として順調な発進をみせている。

ELMは17.2エーカーの敷地に、20万平方フィート超の純賃貸可能面積を誇る。現在、96のテナントが入居し、そのうち35%が食品・飲料の店舗。月平均2,000万リンギの売上を生み出すという。

サイム・ダービー・プロパティは2000年から、6,500エーカー、総開発価値280億リンギとされるエルミナ市の開発を進めてきた。現在までに1万2,800戸の住宅が完成し、6万7,000人が暮らす街に成長。最終的に15万人になる計画だ。住宅、商業だけでなく、産業向け開発も進められている。

11日にはELMの敷地内に新たにエルミナ屋外彫刻博物館がオープン。マレーシアの現代アーティストを紹介する専用スペースになるという。開業式典に出席した同社のアズミル・メリカン最高経営責任者(CEO)は「芸術と文化の発信スペースの追加により、エルミナ市はさらに地位が高まった。これからも経済活動を促進し、コミュニティのつながりを育み、住みやすく成長しやすい場所にしていきたい」と語った。
(ザ・スター、ビジネス・トゥデー、1月11日)

【イスラム金融の基礎知識】第560回 クウェート・ファイナンス・ハウス、マレーシア撤退へ

第560回 クウェート・ファイナンス・ハウス、マレーシア撤退へ

Q: クウェート・ファイナンス・ハウスがマレーシア撤退の意向のようですが?

A: クウェートに本社があるイスラム銀行のクウェート・ファイナンス・ハウス(KFH)が、マレーシア市場から撤退することを2024年7月に公表した。現有資産や店舗をどのようにするのか、売却先に関して様々な憶測が報じられている。

マレーシアでは2005年に当時のイスラム銀行法を改正、外国イスラム銀行という枠組みを導入した。これを活用して、中東資本のイスラム銀行3行がマレーシアに進出したが、KFHはその一つであった。以来およそ20年間にわたりマレーシアでイスラム銀行業を営み、最盛期には主要都市やKLセントラル駅内にも支店網を拡大した。会社幹部によれば、営業成績の悪化ではなく、あくまでも本社のグローバル展開の再編にともなう動きであるとしている。実際KFHは、東南アジアでは唯一マレーシアに進出し、ここをアジア太平洋地域本部と位置づけている。

マレーシア市場撤退にあたっては、保有の金融資産だけでなく支店や従業員などを一括して引き受けてくれる売却先を、KFHは求めているとされる。ただ支店数が7店舗など比較的小規模であるため、国内大手金融機関よりもむしろ、規模を拡大したい中小金融機関か、マレーシア進出を目論む外国金融機関が関心を示すだろうとみられている、一部報道では、国内3銀行と海外2銀行が関心を示していると言われている。このうちシンガポールのある金融機関は、マレーシアに未進出であることと、イスラム金融をてがけたいという理由で、買収するのではないかとの憶測も出ている。

2005年のイスラム銀行法改正によりマレーシア進出をはたした外国イスラム銀行のうち、AFB銀行はイスラム銀行の資格取得を望んでいたMBSB銀行に買収された。KFHの撤退・買収が進めば、残るはサウジ資本のアル=ラージヒ銀行1行のみとなる。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

JS-SEZ、10年以内にクランバレーに匹敵=経済相

【クアラルンプール】 ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)の国内総生産(GDP)は今後10年以内に、年間約280億米ドル(1,259億リンギ)を追加創出するようになり、首都圏クランバレー(クアラルンプール、プトラジャヤ、セランゴール州を含む)に匹敵する経済圏に成長しそうだ。

ラフィジ・ラムリ経済相は9日にあったイベントで、JS-SEの成長見通しを示した。ラフィジ氏は7日のJS-SEZに関する覚書締結にも立ち会ったことを踏まえ、今後、外国投資と地元投資の両方を誘致し、技術革新などを強化しながら持続可能性を促進する必要性を強調。「2国にまたがる経済特区は世界でもまれで、困難も予想されるが、シンガポールとの協力関係を十分に活用できれば、ジョホールは今後10年間で次の成長エンジンになる」と付け加えた。

2023年のジョホール州のGDPは1,480億リンギ、クアラルンプールは2,490億リンギだった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、1月9日)