
第582回 バンク・イスラム、サラワク州にザカートを寄付
Q: バンク・イスラムがサラワク州のイスラム団体に寄付したそうですが?
A: マレーシアの現地報道によれば、バンク・イスラム(BIMB)は11月、同社幹部がサラバク州のザカート管理団体であるタブン・バイトゥルマール・サラワクを訪れ、2024年分のザカートとして91.5万リンギを寄付したことを明らかにした。贈呈式には州首相も来場し、小切手型を模した大きなボードが手渡された。
BIMBの2024年の年次報告書によると、2024年の業務によって生じた利益や保有資産などに基づいて算出された同行負担のザカートは1,140万リンギであった。このうち今回サラワク州に寄付された91.5万リンギは、ザカード全体の8.3%に相当する。各州のザカート管理団体にそれぞれいくらずつ寄付したか、詳細は必ずしも毎回詳らかにされていないため、今回の報道は詳細の一端が明らかになったといえる。割合で言えば、BIMBが有する135支店のうち、サラワク州には6支店しか存在せず、全体の4.4%に過ぎない。ここから、ザカートに占めるサラワク州への割合は、支店の同割合よりも高かったことになる。
サラワク州は、人口およそ250万人であるが、ムスリムはほぼ3分の1にとどまっている。他方、最大多数派は人口の半分を占めるのはキリスト教徒で、これはマレーシア全体とは異なる宗教別人口比率となっている。ただ、他の州と同様、宗教委員会などイスラムを管轄する組織・団体は州政府内にあり、ザカート徴収団体であるタブン・バイトゥルマール・サラワクもその一つである。2024年は、企業や個人等から1億4,300万リンギのザカートを徴収、うち1億1,200万リンギを貧困層への分配に用いた。
今回受け付けたBIMBの寄付金について、サラワク州側は同州のムスリム・コミュニティの社会経済的発展を支援するために用いるとしている。
| 福島 康博(ふくしま やすひろ) 立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。 |