【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相率いる与党連合・希望同盟(PH)と連立を組む政党連合・国民戦線(BN)議長のアハマド・ザヒド総裁(副首相)が22日、次期総選挙後に物品・サービス税(GST)の復活を推進する意向を示したことについて、PH内から批判の声が上がっている。

PH構成党・民主行動党(DAP)のリム・グアンエン顧問は、GST最大の欠陥に触れていないと批判した。リム氏は2018年に歴史的政権交代を果たし、GSTを廃止したマハティール・モハマド元首相率いる連立政権で財務相を務めた。

リム氏が指摘した欠陥とは、政府が仕入税額控除分の事業者への還付を怠ったことで、2015年から2018年にかけ総額300億リンギが還付されなかった。仕入税額控除とは、GSTの納税額を計算する際に、売上分の税額から仕入分の税額を控除する制度で、仕入税額控除をしないと余計にGSTを納めることになる。

リム氏は「還付の遅れで事業者の現金収支に影響し、事業継続を脅かすことにもなった」と述べた。

リム氏によればPH政府が2019年に還付を行った。2020年に政権に就いた国民同盟(PN、現・野党連合)も還付を怠り、その額は数百億リンギになり、歳入が集められる連結基金に組み入れられた。

同じPH構成党・人民正義党(PKR)のハッサン・アブドル・カリム議員は、多くのマレーシア人が依然として低賃金による生活費高騰に苦しんでおり、所得下位40%(B40)層から抜け出せないでいると指摘。「人々の所得が上昇しより多くのマレーシア人が中所得層に加われば、GSTを検討するのは適切だろう。しかし今ではない」と述べた。
(マレーシアン・リザーブ、12月23日)