豊田通商、サバ州のリチウム電池用銅箔製造会社に出資

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 豊田通商(本社・名古屋市)は、韓国SKグループでリチウムイオン電池部材の銅箔を製造するSKネクシリス(SKNX)と、マレーシア子会社、SK ネクシリス・マレーシア(SKNM)の株式譲渡契約を締結したと発表した。

車載用電池製造に欠かせない高品質の銅箔を安定的に調達・供給することを目的としたもので、出資金額は1億1,000万米ドル(約160億円)。SKNMはサバ州に年間5万7,000トンの生産能力を持つ工場を有し、豊富な水資源で発電された100%再生可能エネルギー由来の電力を利用し、車載電池用銅箔製造を行っている。

豊田通商は、同工場で製造された低炭素かつ価格競争力のある銅箔製品を、日本や北米を中心とする電池メーカーに供給していく予定。将来的には、豊田通商のグローバルなネットワークを活かし、市場ニーズを取り込みつつSKNMと連携し、次世代の車載用電池開発に必要な銅箔の開発も検討していく。

リチウムイオン電池は、電動車の普及に伴い、今後もさらなる需要の増加が見込まれている。豊田通商は、車載用電池関連ビジネスを次世代に向けた成長の柱として位置づけ銅箔をはじめとした車載用電池部材のサプライチェーン構築に注力していく方針だ。

東南アジア最大級のヘルスケアイベント、7月にKLで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 東南アジア最大級のヘルスケアイベント、インターナショナル・ヘルスケア・ウィーク(IHW)2025が7月16―18日、クアラルンプール(KL)のマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開催される。

IHW2025には、国内外の900社超が約1万5,000点の医療機器やサービスを展示。50カ国以上から2万1,000人の専門家らの来場が見込まれている。マレーシアはアジア太平洋地域における主要なヘルスケアハブになっているとして、今回の開催地に選ばれたという。主催は世界中で展示会を開催する英インフォーマ・マーケッツで、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)が戦略的パートナーになっている。

また、IHWに合わせ、国際的な団体、ヘルスケア情報管理システム協会(HIMSS)がAPACヘルスカンファレンスを開催。地域の医療関係者らが一堂に介し、AI(人工知能)を活用した医療システムやデジタルヘルスケア、今後の課題などについて話し合う。

詳しくは、https://inthealthcareweek.com/

世界競争力ランク、マレーシアは23位で過去最高位に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)が発表した「2025年世界競争力年鑑(WCR)」によると、マレーシアは調査対象69カ国・地域中23位となり、昨年の34位から11ランクアップし、2020年以来の最高順位となった。

同ランキングは、各国政府や地域組織、民間機関などから得た統計と、2024年2月から5月にかけて行われたオンライン調査に基づく経営幹部へのアンケートに基づき、▽経済パフォーマンス▽政府の効率性▽ビジネスの効率性▽インフラ――の4つの主要指標の下で全20のサブ項目に分けてランク付けした

マレーシアは経済パフォーマンスでは世界4位となり前年の8位から4ランクアップ、政府の効率性は33位から25位に、ビジネスの効率性では40位から32位にそれぞれランクアップし、インフラでは35位で横ばいとなった。またマレーシアが直面する課題については、労働力の効率性強化、テクノロジー導入の加速、民間主導の研究開発(R&D)投資の促進が挙げられた。

総合トップはスイスとなり、2位以下は▽シンガポール▽香港▽デンマーク▽アラブ首長国連邦(UAE)▽台湾▽アイルランド▽スウェーデンーーの順となった。最下位の69位はベネズエラ。 日本は35位となった。
東南アジア諸国連合(ASEAN)からは、タイが30位、インドネシアが40位、フィリピンが51位となった。

SST見直しで政府歳入が年100億リンギ増加=財務省

【クアラルンプール】 財務省のジョハン・マハムード・メリカン財務局次官は、7月1日に施行される売上・サービス税(SST)の対象拡大により、SSTの歳入総額は2025年下半期に50億リンギ、2026年には通年100億リンギ増加するとの予想を示した。

中央銀行バンク・ネガラ(BNM)主催のシンポジウムに出席したジョハン氏は、SSTの対象拡大について国の財政状況を強化し、社会開発支出の長期的な持続可能性を確保するための取り組みの一環だと説明。現金給付、医療、教育から基礎インフラの維持に至るまで、政府支出の需要は年々増加しているとし、「国民に過度の負担をかけることなく、歳入を強化しなければならない」と述べた。マレーシアの税収対国内総生産(GDP)比は現在12.5%と、地域で最も低い水準にあるという。

財務省の歳入予測はマレーシアの消費者物価指数(CPI)の構成を考慮したモデルに基づいており、SSTの導入によりインフレ率が0.25%に上昇すると予測している。見直し後は必需品に対する売上税率は現行の0%または5%に維持されるが、サーモン、輸入果物といった非必需品はより高い税率が課される。

一方、サービス税の対象範囲は、住宅等を除くレンタルまたはリースサービスや建設サービス、手数料ベースの金融サービス、外国人に対する民間医療サービス、伝統・補助薬、関連医療サービス、外国人に対する高等教育、私立幼稚園・小中学校などの民間教育サービスに拡大される。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月18日)

エアアジア、KLーパレンバン及びスマラン線を近く就航

【パレンバン】 エアアジア・マレーシアは、クアラルンプール新国際空港(KLIA)とインドネシアのパレンバン(スマトラ島)およびスマラン(ジャワ島)を結ぶ新たな直行便2路線を開設すると発表した。これによりエアアジアのマレーシアーインドネシア間の便は週188便となる。

いずれもデイリーの運航。就航予定日はパレンバン線が7月17日、スマラン線が9月5日となっている。

パレンバン線のスケジュールは往路の「AK462」便はKLIA発が9時35分、パレンバン着が10時5分。復路の「AK461」便はパレンバン発が10時30分、KLIA着が午後13時となっている。またスマラン線のスケジュールは往路の「AK452」便はKLIA発が9時25分、スマラン着が10時35分。復路の「AK451」便はスマラン発が11時15分、KLIA着が14時40分となっている。

2路線の就航により、エアアジア・マレーシアのインドネシアへの乗り入れ先は、ジャカルタ、バリ(デンパサール)、メダン、ジョグジャカルタ、バンダ・アチェ、マカッサル、パダン、ペカンバル、バリクパパン、ラブアンバジョ、ロンボク、ペナンからジャカルタ、メダン――の13都市となる。
(ビジネス・トゥデー、6月17日、エアアジア発表資料)

燃料補助金合理化は炭素税導入への一歩=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ・アジザン第2財務相は、今年下半期に実施が予定されている「RON95」レギュラーガソリン補助金合理化が、2026年に導入予定の炭素税導入に向けた第一歩となるとの認識を示した。燃料補助金の見直し時期については、「適切な議論を行う」と述べるにとどめた。

「エナジー・アジア会議2025」のパネルディスカッションに出席したアミル・ハムザ氏は、補助金改革が「より安定した正確な市場構造」を確立するために不可欠であり、それによって炭素税のような政策手段を効果的に導入できるようになると強調。「昨年、ディーゼル価格を変動制に移行させた結果、消費者の行動に顕著かつ前向きな変化が見られた。マレーシアはもはや安価な燃料密輸の目的地ではない」と述べ、「今年はRON95を対象とする。これらの歪みが取り除かれれば、炭素税を導入するための適切な市場基盤が整うだろう」と強調した。

アミル・ハムザ氏は、炭素税が「財務的なシグナル」として機能し、企業が炭素排出量の多い活動からより環境に優しい選択肢へと移行するよう促すとした上で、マレーシアが掲げるネットゼロ排出目標の達成に向けた取り組みと合致すると強調。ただしこれには長年にわたる一括補助金によってエネルギー部門の価格シグナルが歪められてきた状況からの脱却、つまり「安定した経済基盤」が必要だと指摘した。
(マレーシアン・リザーブ、エッジ、6月17日)

脱炭素目標達成に向け原子力導入は不可欠=エネルギー副相

【クアラルンプール】 エネルギー移行・水利転換省(PETRA)のアクマル・ナスルアー副大臣は、既存のロードマップでは2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロの目標を達成するのは困難だとし、原子力発電の導入が不可欠との見方を示した。

「エナジー・アジア会議2025」のパネルディスカッション「マレーシアのエネルギー転換を推進する」に登壇したアクマル氏は、将来のエネルギー需要を満たすため、エネルギーの3つの要素(手頃な価格、持続可能性、安定供給)を再評価する必要があると言明。「石炭、石油、ガスの段階的削減を進める中で、化石燃料に代わる安定したベースロード電源を何で代替するのか。これは真剣に検討しなければならない問題だ」と問いかけた。

またアクマル氏は原子力エネルギーは再生可能エネルギーには分類されないものの、クリーンな発電源であると主張し、「原子力は再生可能エネルギーとは見なされないが、クリーンなエネルギー生産源の一つである。私見では原子力がなければ2050年までのネットゼロ目標達成は難しいだろう」と述べた。

その上でアクマル氏は政府と国民に対し、国家のカーボンニュートラル目標達成のために原子力発電を導入する現実的な側面を認識するよう促し、「我々には独自の計画があるが、政府が本格的に原子力に舵を切る際には、政府だけでなく国民もネットゼロ目標を達成するためには原子力エネルギーが不可欠であるという現実を受け入れる準備ができていることを願う」と述べた。

2023年に発表された国家エネルギー転換ロードマップ(NETR)では、2050年までにマレーシアのエネルギーミックスにおける再生可能エネルギー比率を70%とし、太陽光と水力が主要な貢献源、天然ガスが移行期の燃料として位置づけられている。
(ビジネス・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、6月17日)

マレーシアは5年内にエネルギー純輸入国に転落=ペトロナスCEO

【クアラルンプール】 国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のムハンマド・タウフィク社長兼最高経営責任者(CEO)は、マレーシアは電力需要の増加に伴い、今後5年以内にエネルギー純輸入国になる可能性があると述べた。

タウフィク氏は「エネルギー・アジア会議2025」に合わせて行われた記者会見で、「電力需要増加は急速な経済発展、中間層の増加、そして人工知能(AI)などの技術への依存度の高まりによって引き起こされている」と指摘。現在の電力供給インフラでは、年率6.5%と急増している需要に対応しきれない可能性があると警告した。

タウフィク氏は、「電力需要はもはや産業界や一般家庭からだけでなく、データセンターやAI駆動システムからも増加しており、既存の供給だけではこれを支えることは不可能だ」と言明。ペトロナスは既にこのシナリオに備えており、マラッカとジョホールに続く3番目の再ガス化ターミナルの建設に取り組んでいると述べた。

さらにタウフィク氏は、マレーシアが東マレーシアから液化天然ガス(LNG)を輸出し続けているものの、半島マレーシアでの需要がいずれ供給を上回ると指摘。「現在、半島マレーシア東海岸沖のガス田だけでなく、タイとの共同開発地域からも安定的にガスを供給できているが、沿岸部や電力・非電力需要を満たしてきた約20億立方フィートのガスもやがて不足するだろう。今後4―5年で期待されるガス改革にもよるが、我々はLNGへの依存度を高めていくことになる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、6月17日)

「GST再導入は時期尚早」首相が貧困層に重荷との見解

【ルムット】 アンワル・イブラヒム首相は、現時点で物品・サービス税(GST)を再導入することは不適切であり、貧困層を含む全ての国民に負担を強いることになるとして、現時点で実施する考えのないことを改めて強調した。

アンワル首相は15日、ペラ州で開催された国民参加型イベントの閉会式で演説し、GSTは一律6%の広範な課税であることから、漁師や小規模農家、清掃員など所得の低い人々にも平等に課税される点を問題視。「GSTは効率的で単純な仕組みだが、失業者や貧困層にも6%の税が課されるのは公正とはいえない」としたうえで、野党がGSTの導入を主張していることについても、「経済状況が改善し、最低賃金が月額4,000リンギを超えるようになれば再検討の余地はあるが、今はその時期ではない」と述べた。

政府は現在、特定の商品に絞って課税する売上・サービス税(SST)制度を継続しており、特に高所得者層が消費する高級輸入品に焦点を当てている。アンワル首相は「地元産のバナナには課税しないが、アボカドやタラのような高価な輸入果物・魚介類には課税している」と説明。これにより得られる税収は、病院や学校、国防といった国民全体に恩恵をもたらすインフラ整備に充てられていると述べた。

さらにアンワル首相は、政府の税収は単に行政運営費に充てるだけでなく、国民生活の向上を目指した開発・福祉政策に活用していると強調。一方でSST制度には改善の余地があることも認め、「政府は国益の観点から、制度の見直しや強化について常に前向きだ」と述べた。
(ベルナマ通信、エッジ、マレーシアン・リザーブ、6月15日)

近大、マレーシアの大学と共同で「雷・災害シンポジウム」開催へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国際協力機構(JICA)は、JICAの支援のもとで近畿大学がマラッカ技術大学及びのテナガ・ナショナル大学と共同で6月23日にマラッカで「第3回国際雷・災害シンポジウム」を開催すると明らかにした。

2023年6月に開始された「持続可能なエネルギー供給と極端気象災害の早期警報のための電荷分布リアルタイム3Dイメージングと雷活動予測(RTL-3D)プロジェクト」の一環で、シンポジウムではプロジェクトの研究者、マレーシア政府、学術機関、民間パートナーによる雷及び極端気象災害に対する早期警報システムの構築に関する発表が行われる。

RTL-3Dプロジェクトは、マレーシアにおける雷や極端気象による被害の低減を目的とし、先端技術を開発・活用するもの。技術革新により、雷災害が発生する前の予測を可能とし、マレーシアの防災対応能力を向上させることを目指す。目標達成に向け、雷および雷の電荷分布を精度数百メートル以下精度でマッピングする高度なアルゴリズムが開発されている。

RTL-3Dプロジェクトは、JICAおよび科学技術振興機構(JST)による「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」の支援及びマレーシア高等教育省(MOHE)によるマレーシア政府予算の支援を受けており、2028年6月まで5年間実施される。