クラン港、初の世界トップ10コンテナ港入り

【クアラルンプール】 クラン港(セランゴール州)が「ロイズ・リスト2025」のトップ100コンテナ港ランキングで10位にランクインし、初めてトップ10入りを果たした。クラン港は2022年に13位、2023年に11位と着実に順位を上げていた。

クラン港の2024年のコンテナ取扱量は1,464万4,527TEU(20フィート標準コンテナ換算)で、前年(2023年)の1,406万1,000TEUから4.1%増加した。

マレーシア運輸省は、クラン港の取扱能力を強化するための継続的な取り組みを反映したものであり、2025年の取扱量は1,500万TEU近くにまで増加すると予想されると言明。「ウエストポートのターミナル拡張により2028年までに処理能力が倍増する予定であり、ノースポートのバースのアップグレードとキャリー島の大規模プロジェクトにより、最終的には2060年までに国内の処理能力が年間3000万TEUに増加する」と述べた。

マレーシアではクラン港のほか、タンジョン・プルパス港(PTP、ジョホール州)が取扱量が1,225万TEUで15位に入った。両港を合わせると世界5位の水準となる。

日本勢は東京港の45位が最高で、横浜港は70位、神戸港は75位、名古屋港は76位、大阪港は87位だった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、9月1日、ロイズ・リスト発表資料)

99スピードマート、福州に中国初店舗をオープン

【クアラルンプール】 コンビニエンスストアチェーンを展開する99スピード・マート・リテール・ホールディングスは、8月31日に福建省福州市に中国初店舗をオープンしたと発表した。投資額などの詳細は明らかにしていない。

99スピード・マートがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明の中で、「福州市内に試作店舗を開設し、段階的に拡大していく計画だ」とし、「今回の出店は2025年12月期のグループの収益や純資産に重大な影響を与えることはないと予想している」とした。

マレーシアの華字紙の報道によると、中国事業は99スピードマートが全額出資することになるという。

99スピードマートは6月末現在、マレーシア全土で2,894店舗を展開している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、9月2日)

いすゞマレーシア、クアンタンに新しい3Sセンター開設

【クアンタン】 マレーシアいすゞは、パハン州クアンタンに新たな3S(販売、サービス、部品交換)センターをオープンした。新店舗はセマンブ工業地帯に位置しており、代理店のダイナミック・モーターズによって運営される。ショールームは毎日営業、サービスセンターは月曜日から土曜日まで営業している。

敷地面積は3,500平方メートルで、管理事務所が入っている中二階を含む建屋面積は1,700平方メートル。1階は顧客を迎える専用フロアで、建物内には各種ソフトドリンクを取りそろえた冷蔵庫やコーヒーマシン、リラックスできる回転椅子、カフェスタイルの椅子、テーブルを備えたラウンジがある。管理事務所は中2階にある。

ピックアップトラックのD-Maxシリーズに加え、いすゞの中型トラックのフォワードシリーズや大型トラックのギガシリーズを含む、いすゞ車全シリーズの販売とサービスを取り扱う。ショールームには、展示車両2台を収容できるスペースがあり、電子カタログやバーチャルリアリティ(VR)設備が用意されている。

いすゞマレーシアの山口朋之 最高経営責任者(CEO)は、「この最新のいすゞ3Sセンターのような店舗で顧客がより高いレベルの対応とサービスに満足して貰うことを願っている」と述べた。
(ポールタン、カーシフ、8月29日)

カジャンとアンパンを結ぶEKVEが開通、1カ月間通行料無料

【クアラルンプール】 セランゴール州の東側で開発中の高速道路イースト・クランバレー・エクスプレスウェイ(EKVE)の第1区間が8月29日、正式に開通。9月30日までの1カ月間、通行料が無料になる。

EKVEの第1区間は、カジャン近郊のスンガイ・ロン・インターチェンジと、北側のアンパン・インターチェンジを結ぶ約24キロメートル(km)で、片側2車線の計4車線道路。両インターチェンジは料金所が併設され、間にはさらに2つのインターチェンジと、2つの休憩所を備える。既存ルートに比べ最大約20分間短縮されるという。またスンガイ・ロン・インターチェンジを通じ、チェラス・カジャン高速道路(CKE)を経て、スンガイ・ベシ―ウル・クラン高速道路(SUKE)へもアクセスできる。

8月29日に開通式典が行われ、アンワル・イブラヒム首相が1カ月間の料金免除を発表した。

EKVEは第2区間として、ゴンバックのウカイ・ペルダナまでの北側約15kmの区間が延伸される予定で、将来的にはクアラルンプール外環状道路(KLORR)の一部となる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、ザ・スター、8月29日)

KLIA、車両アクセス管理システムの試験運用を開始

【クアラルンプール】 クアラルンプール国際空港(KLIA)は、新しい車両アクセス管理システム(VAMS)の試験運用を開始した。車両の路肩での長時間駐停車を防止することで構内の渋滞を緩和し、ターミナルへのアクセスをよりスムーズにするのが狙い。

空港運営会社マレーシア・エアポート・ホールディングス(MAHB)は声明の中で、ターミナル1のレベル5(出発降車場)とレベル3(到着乗車場)での試験運用を9月1日から2025年11月30日まで実施すると発表した。ターミナル2でも試験運用を9月15日から11月30日まで実施する。

VAMSシステムはターミナルの降車もしくは乗車レーンに車両が入る際にタッチ・アンド・ゴー(TNG)カードあるいはクレジットカードを使用し、エリア内の滞在が10分間を超過した場合に罰金を科すというもの

ただし試験運用期間中は罰金は課さず、交通パターン、運転者の行動、そしてシステム全体のパフォーマンスを観察し、完全導入に向けた最適な猶予期間と罰金体系を決定することに重点を置くという。
(ザ・サン、エッジ、ベルナマ通信、8月30日)

ペナン州が水上タクシーの本土への運航を検討、実証試験の不発で

【ジョージタウン】 ペナン州政府は、島内のみを対象に計画されていた水上タクシーの実証試験が不発に終わったことを受け、島と本土を結ぶルートを含めた拡大版で実施する方向で再検討を行っている。州インフラ・交通・デジタル委員会のザイリル・キル・ジョハリ委員長(国政の閣僚に相当)が明らかにした。

水上タクシー実証試験の入札はペナン島市議会(MBPP)によって数年前に実施されたが、落札企業が期限内に運輸省から認可を取得することができなかったため契約解除となり、計画は白紙に戻された。このため州政府が市議会から事業を引き継ぎ、対象範囲を州全体に拡大することを決定したという。

ザイリル氏は「ペナンには広大な水域があり、島と本土を結ぶ水上タクシーサービスに利用できる」と述べた上で、「サービスを効果的に実施するため、インドなど他国における費用対効果の高い既存の水上タクシーシステムを参考にしていく」と述べた。

中止となった水上タクシーサービス事業構想は、ペナン島周辺6ルートを15分から45分間隔で運行するというもので、ストレ―ツ・キー、スウェッテンハム桟橋、プラウ・ジェレジャク、バトゥ・マウン・トランスファーステーションの4つの桟橋が選定された。運輸省は2022年に条件付き承認を与えていたが、事業許可の取得は事業会社が責任を負うことになっていたものの最終的に条件を満たすことができなかったという。
(マレー・メイル、8月28日)

ジェトロKL、JBのデジタルコンテンツ見本市にブース開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、ジョホールバル(JB)で9月2―4日の日程で開催される「東南アジア諸国連合(ASEAN)デジタル・コンテンツ・サミット(ADCS)」に独自ブースを開設すると発表した。

コンテンツをはじめとする日本企業の作品・製品のマレーシアでの販路拡大を目的として、ジェトロが運営する海外バイヤー専用オンラインカタログサイト「JAPAN STREET」の広報ブースを出展する。ブース内にはカタログに掲載されているゲーム作品の一部を試遊できるコーナーを設置し、マレーシアのバイヤー開拓を目指す。

バイヤーは「JAPAN STREET」に登録するだけで日本企業1万456社・7万8,820製品(8月26日時点)を閲覧でき、希望に応じてオンライン商談が可能となっている。

ファミリーマート、27年3月末までに国内で600店舗に拡大へ

【シャアラム】 コンビニエンスストアのファミリーマートは、マレーシア国内の店を現在の465店舗から、2027年3月末までに600店舗へと拡大させる計画だ。マレーシアでファミリーマートを展開するQLリソーシズが28日、明らかにした。

QLリソーシズは2016年、日本のファミリーマートとの間で、マレーシアにおける独占的なフランチャイズ契約を締結。もともと畜産、水産物製造、パーム油、クリーンエネルギーなどを手掛けてきたが、コンビニ事業にも参入した。2025年3月末現在、445店舗を展開しており、そのうち215店舗はハラル(イスラム戒律に則った)認証を受けたファミカフェという。またこの1年で自動販売機型の「FM Mini」48店舗を導入したほか、今年4―6月にかけて新たに20店舗をオープンした。

一方で近年、国内コンビニ業界は韓国系の「CU」や「emart24」が急増、マレーシア発の「BilaBilaマート」などの新規参入も相次ぎ、競争が激化している。さらに、売上・サービス税(SST)の拡大や最低賃金の引き上げ、関税措置の影響、店舗賃料の高騰などの外部要因もあり、経営環境は圧迫されている。

QLリソーシズのチア・リクカイ社長は同日開かれた年次株主総会後、店舗平均売上高の減少により、売上高は前年同期比6%増にとどまったと説明。「製造部門などに比べ利益率も低く、1桁台半ば」としつつ、長期的には成長を牽引する戦略事業とした。その上で、店舗拡大などを通じ「贅沢品の購入を減らし必需品に重点を置きつつある顧客のニーズに合った商品提供に注力していく」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、8月28日)

【イスラム金融の基礎知識】第575回 ASEANでイスラム金融普及進むも国ごとに進捗差

第575回 ASEANでイスラム金融普及進むも国ごとに進捗差

Q: ASEANでのイスラム金融の普及状況は?

A: イスラム金融のASEAN市場は、世界全体の4分の1の規模を占めるものの、国ごとに温度差がある。国際的な金融格付会社のフィッチ・レーティングスは8月に発表したレポートでこのように報告した。

レポートによると、2025年上半期のASEAN市場は約9,500億米ドル(世界全体では3.5兆米ドル)で、2026年後半には1兆米ドルの大台に達すると予想している。国別の状況をみてみると、マレーシアのイスラム銀行市場は3,000億米ドルを上回っている。他方、インドネシアのイスラム銀行市場は560億米ドル、ブルネイは100億米ドルだが、ブルネイについては国内銀行市場での比率はASEANでもっとも高く6割を占める。

ASEANのハイレベル会合でもイスラム金融の重要性の認識は共有されている。4月に開催された財務相・中央銀行総裁会議では、持続可能な資金調達とインフラ整備ではイスラム金融が重要であると強調された。また、5月に開催されたASEAN・GCC首脳会議においても、この分野で地域を超えた連携が必要であり、とりわけASEANで発行されたスクークの主要な購入者は、湾岸諸国のイスラム銀行であると示された。

しかしながら、ASEAN加盟国ごとにイスラム金融の普及には差があるしている。フィッチによれば、普及が進んでいる国はマレーシア、インドネシア、ブルネイ。限定的なのがフィリピン、シンガポール、タイ。そしてそれ以外のベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーは、市場ルールも未整備で未発達の状況だと区分した。これらの違いは、おおむねムスリム人口や人口比率に準じているとみなせる。

フィッチは、マクロ経済の混乱が生じず、また湾岸諸国との関係が良好であれば、市場の持続的な成長が可能であると予想している。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

バティックエア、KLIA―関空直行便を12月15日に再開

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 バティック・エアは、運休していたクアラルンプール新国際空港(KLIA)と大阪関西国際空港(KIX)を結ぶ路線の運航を12月15日に再開すると発表した。バティック・エアは同路線を2023年1月に台北経由で開設していたが、2024年12月7日から運休していた。

機材は以前のナローボディのボーイング737型機に替えてワイドボディのエアバスA330型機を使用する。これにより座席数はビジネスクラスが12席、エコノミークラスが365席に増加する。

月・水・金曜の週3回の運航で、経由便に代わって直行便となる。スケジュールは往路の「OD860」便はKL発が2時35分、関空着が10時、復路の「OD861」便は関空発が13時30分、KL着が19時40分。すべて込みの運賃は、エコノミークラスが片道599リンギから、ビジネスクラスが同3,599リンギからとなっている。