家電のダイソンがマレーシア業務縮小を検討、消息筋情報

【クアラルンプール】 革新的な掃除機などで知られる家電のダイソンが、ジョホール工場におけるヘアドライヤー関連業務を縮小するもようだ。消息筋の情報としてブルームバーグが伝えた。域内業務再編の一環で、ダイソンは東南アジア業務全体の見直しも進める可能性があるという。

ダイソンは声明で、生産施設の社員のうち47人をジョホールのグローバル開発キャンパスに再配備すると述べるとともに、引き続き数百万の製品を生産しているマレーシアへの投資を継続するとした。

マレーシア業務縮小の理由の一つとして考えられるのが、労働問題をめぐる同社と政府の関係悪化だ。きっかけは19年に人権活動家のアンディー・ホール氏が、ダイソンに部品を納入しているATA・IMSが移民労働者を虐待していると主張したことで、これを受けダイソンはATAからの調達を減らしたが、ATAは虐待の事実はないと主張している。

ダイソンは最近、本拠を構えるシンガポールの社員を解雇。7月には創業地の英国で社員の3分の1近くに当たる1,000人を解雇していた。
(ザ・スター、11月22日、エッジ、マレー・メイル、11月21日)

ジョホール州、金曜の礼拝休憩時間を2時間に延長

【クアラルンプール】 ジョホール州政府は、官民セクターにおいて慣例的に1時間半となっている金曜日の礼拝休憩時間を2025年1月から2時間に延長すると発表した。イスラム教徒が金曜礼拝を行えるようするための措置。オン・ハフィズ・ガジ州首相が21日の州議会における来年度予算案発表の際に明らかにした。

同州スルタン摂政のトゥンク・イスマイル皇太子が10月、現時点で金・土曜となっている週末の公休日について、25年1月1日から土・日曜に戻すと発表したことを受けたもの。オン・ハフィズ氏はこれに合わせて、同州の公共セクターの週の労働日数について、金曜日の午後を半休として4日半とすることも提案した。公共セクターの週労働日数4日半はアラブ首長国連邦(UAE)がすでに導入しているという。

オン・ハフィズ氏は、学校敷地内を含む礼拝スペースの数も増やすと言明。「ムスリム生徒が金曜礼拝を行えるよう、ジョホール州教育局(JPNJ)、イスラム宗教局などが適切な措置を講じる」と述べた。

ジョホール州では建国以前から金・土の公休が実施されていたが、当時州首相だったムヒディン・ヤシン元首相が1994年に土・日に変更。2014年にムスリムにとって金曜日が重要であることへの敬意と、イスラム教を州の宗教として認める印として再び金・土に変更されていた。現在、金・土を公休日と定めているのはジョホール州のほか、ケダ州、クランタン州、トレンガヌ州がある。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、11月21日)

機械メーカーのCKDがクリム工場竣工、製造拠点を強化

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 機械メーカーのCKD(本社・愛知県小牧市)は21日、マレーシア子会社、CKDマレーシアを通じて、ケダ州クリム・ハイテクパークに生産工場を竣工したと発表した。東南アジア諸国連合(ASEAN)製造拠点を強化する。

新工場の敷地面積は8万7,400平方メートル、建屋面積は1万5,800平方メートル。総投資額は約40億円で、2025年4月の稼働開始を予定している。用地は2023年半ばに買収していた。空気圧機器やバルブを生産する。同日に開催した開所式にはモハマド・サヌシ州首相らが出席した。

CKDは声明の中で、ASEAN地域における機器製品の生産体制を強化し、強固なサプライチェーンで成長市場及び製造業全般のグローバル需要拡大にタイムリーに対応していくとしている。

【総点検・マレーシア経済】第509回 第2次トランプ政権の関税政策がマレーシアに与える影響は?

第509回 第2次トランプ政権の関税政策がマレーシアに与える影響は?

2024年11月の米大統領選挙において、ドナルド・トランプ前大統領が再選を決めました。トランプ次期大統領は、中国製品に対する60%~100%の関税と、その他の国々に対する10%~20%の関税を導入することを掲げています。

マレーシア経済は、2018年から始まった米中貿易戦争の「漁夫の利」を大きく受けた国の一つとされており、実際、近年は米中両国からマレーシアへの大型の投資が相次ぎ、米国向けの輸出は今年8月にシンガポール、中国を上回って国別の輸出先として首位に立ちました。これは、2007年12月以来、実に16年8カ月ぶりのことです。

こうなると、気になるのは第2次トランプ政権の関税政策がマレーシア経済に与える影響です。トランプ次期大統領は文書として公約には掲げていないものの、インタビュー等で中国製品に対して60%~100%の関税を課すことに加え、その他の国々に対しても10%~20%の関税を課すと繰り返し発言しています。

筆者の所属するアジア経済研究所の経済地理シミュレーション(IDE-GSM)チームでは、今年4月に米国が対中関税60%、その他の国に10%の関税を課す場合の国別・産業別の影響の試算を行い、11月には対中関税60%、その他の国に20%の関税が課される場合の試算を行いました。どちらのケースでも中国経済への影響はマイナス0.9%と変わらない一方で、米国経済への影響は10%関税ではマイナス1.9%、20%関税ではマイナス2.7%と、高い関税率を他国に課すほど、自国経済への影響のマイナス幅が大きくなることが示されています。

この2つのケースにおけるマレーシア経済への影響を産業別に示したものが図になります。マレーシアを含む全世界への関税が10%の場合(緑棒)、マレーシアではその他製造業(0.8%増)、食品加工業(0.7%増)、農林水産業(0.2%増)などプラスの影響を受ける産業が多く、GDP全体では0.2%増となります。これは、中国への60%関税の「漁夫の利」がマレーシアへの10%の関税のマイナスを全体としては上回っているためです。

一方で、マレーシアを含む全世界への関税が20%の場合(橙棒)、食品加工業(0.6%増)、その他製造業(0.5%増)、自動車産業(0.3%増)などはプラスの影響を受ける一方で、マレーシアの輸出の中心である電子・電機産業への影響はマイナス1.4%とかなり大きくなります。結果、GDP全体への影響はマイナス0.01%とわずかではありますがマイナスとなっています。

これらはあくまでも試算ですが、第2次トランプ政権の関税政策がマレーシア経済に正負どちらの影響を与えるかは関税率次第で、現在のところは見通せないということになります。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

沖縄県、マレーシアなど対象にダイレクト混載輸送サービス

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 沖縄県産業振興公社は20日、「物流対策総合支援事業 機能強化実証事業」として、マレーシアなど東南アジア3カ国を対象に沖縄からのダイレクト混載サービス(海上輸送運賃及び倉庫費用の支援)を行うと発表。荷主の募集を開始した。

「東南アジア向け沖縄発ダイレクト混載サービス」は沖縄から海外・県外に向けた新たな物流モデル構築のために実施するもので、釜山港や香港などのハブ港で詰め替え作業を行わず、東南アジア主要港までコンテナを開けることなく輸送できる点が最大の特徴。琉球通運が荷主募集を行う。

すでに決まっている対象国は、マレーシア、タイ、ベトナムの3カ国で、2024年11月―12月にかけて計5便を予定している。マレーシア向けは琉球海運のRORO船「みやらび2」が2便運航する。常温貨物が対象で、海上運賃(県内離島からの輸送費も含む)及び積み地・揚げ地でのCFS倉庫費用を全額支援する。

TNGeウォレット利用者、12月20日までに要本人確認

【クアラルンプール/ペタリンジャヤ】 決済サービスのタッチ・アンド・ゴー(TNG)eウォレットを運営するTNGデジタルは20日、オンライン上で本人確認を行う仕組みのeKYCを12月20日付で完全施行すると発表した。eウォレットの利用者は同日までに本人確認を行う必要があり、それを怠ると口座利用が制限され、最終的に口座を失うことになるという。

本人確認には、国民の場合は身分証明書カードのMyKad、永住者、マレーシア以外の国籍の住民はパスポートを利用する。eKYCでは、顔写真付きの身分証明書や生体情報を利用して、遠隔地からでも確実に本人確認を行うことができる。

TNGデジタルによれば、eKYC機能を利用していないユーザーは残高が少なく、有料道路決済、NFC(近距離無線通信)カードへのチャージなど利用方法が限定されている。

eKYCへの完全移行はユーザー保護と法令順守が目的で、金融詐欺の資金受け取り目的の口座や詐欺行為を発見、除去する能力が増し、システム全体の安全が守られるという。
(ザ・スター、ザ・サン、11月21日、ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、11月20日)

リアル運転免許証の発行、来年から手数料課金へ

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は20日の下院議会質疑の中で、来年にも物理的な運転免許証の発行を望む場合には別途手数料がかかる可能性があると述べた。一層のデジタル化を進めるための措置だが、手数料がいくらになるかについては言及を避けた。

政府は昨年、道路交通局(JPJ)の「MyJPJ」アプリを通じてデジタル運転免許証と道路税書類登録制度を導入した。これについてローク氏は、JPJ内におけるデジタル化の取り組みは継続され、システム強化に向けたさらなる改善が行われると言明。一方で依然として物理的な免許証が欲しい人向けの取り組みとして、発行手数料がかかるようになる可能性があると述べた。

「MyJPJ」アプリはこれまで1,370万人によってダウンロードされ、デジタル道路税納付と免許更新を含むトランザクションは100万件を超え、道路税のデジタル納税額は1億2,100万リンギに上った。ローク氏は車両所有者に道路税の更新を通知する機能が、近く「MyJPJ」アプリに導入される見通しだと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、11月20日)

現行の身分証カードを刷新へ、セキュリティーを強化

【クアラルンプール】 政府は2012年に導入された現行の多機能身分証明書カード「MyKad」を、近く刷新する。シャムスル・アヌアル副内相は下院での答弁で、国家登録局が新たなMyKadを調達するための最終段階に入ったと明らかにした。

マレーシアの身分証カードの導入は1948年で、刷新は6回目。2011年にICチップ入りの多機能カードとなった。個人情報、指紋認証、出生時に割り当てられる12桁の番号をICチップに記録している。今回の刷新はセキュリティー機能の強化と、偽造、カード不正利用の防止が狙い。新たなカードでは耐久性のある熱可塑性プラスチックのポリカーボネートを採用する。レーザー彫刻、ホログラム技術を利用しセキュリティー機能を高める。記憶容量も増やす。

シャムスル氏によると、2022年から今年10月までの期間に当局は偽造MyKad、または他人のカード所持で497人を逮捕した。うち起訴に至ったのは190人で、130人は偽造カードを所持していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月21日、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、11月20日)

セカイマルシェ、増資などで合計2.5億円を調達

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 東南アジアにおける生鮮食品のサプライチェーンを展開するセカイ・マルシェ(本社・東京都江東区、 グローバル拠点・クアラルンプール、シンガポール)は19日、増資などを通じて合計2億5,000万円を調達したと発表した。

三井住友海上キャピタルから新たに5,000万円の第三者割当増資を実施、さらに静岡銀行及び北國銀行より総額2億円のデットファイナンスを受けた。

ECが急成長する東南アジアで、日本クオリティの生鮮物流網拡大を加速化する。セカイ・マルシェは声明の中で、東南アジアにおける外食産業の急速な成長、顧客ニーズ拡大に伴い、フルフィルメントセンターの拡充、AIを活用した需要予測のさらなる精度向上、ラストワンマイルの自動化・最適化に調達資金を使用するとし、体制構築費及びマーケティング活動にも充当する予定だとしている

データセンター建設、ジョホール州が審査を厳格化

【シンガポール】 データセンター建設地として成長著しいジョホール州は過去5カ月間に、14件あったデータセンター建設申請のうち、外国企業からの申請4件に認可を与えなかった。州は審査機関としてデータセンター開発調整員会を設けている。

安易な建設許可が地域社会の水、電力供給をひっ迫させる恐れがあるためで、リー・ティンハン副委員長によると、適切な公益基盤がない場所での建設申請を却下した。地域への水供給に影響する恐れがあるためだという。

ジョホール州には13のデータセンターがある。シンガポールはアジア太平洋地域のデータセンターハブだったが、電力、土地不足からデータセンター建設を2019年から停止し、22年に解除していた。ジョホール州のデータセンターの一部はこの間に建設された。

6月以前、データセンター運営業者は開発案の許可申請のみジョホール州当局に提出すればよかった。しかし現在、州当局は▽水・電力消費を抑制するための持続可能性努力▽技能労働者向け高賃金職の創出▽データセンターの潜在的顧客の存在――が提案に含まれているかを審査している。

アンワル・イブラヒム首相は新年度予算案の上程に際し、高賃金職の創出・知識共有につながらないデータセンター建設に消極姿勢を示していた。
(シンガポール・ストレーツ・タイムズ電子版、11月19日)