カールスバーグ、9月からビールの販売価格を値上げへ

【クアラルンプール】 大手ビール会社カールスバーグ・ブリュワリー・マレーシアは、9月1日から国内でのビールの価格を引き上げる。今年の販売量が横ばいと見込まれる中、コスト上昇と需要低迷の中で利益率を確保するのが狙いだが、値上げ幅は小幅に抑える方針だ。

ステファノ・クリニ社長は今年の販売量について、旧正月など祝祭期の需要が低迷し、年間で3―4%減になる見込みと説明。また近年数億リンギ規模をインフラ改善に投資しつつ、生産コストは安定させていることから、コスト管理への自信を示し、「値上げは利益拡大ではなく、あくまで利益維持のためで、1桁台にとどめたい」と強調した。値上げにより、2、3カ月の短期的には消費が落ち込む可能性があるとする一方、長期的な影響については「時期尚早」とした。

さらに、マレーシア政府が第13次マレーシア計画(13MP)に盛り込んだ、健康増進税(プロヘルス税)について懸念を表明。アルコールやたばこ、電子タバコが含まれる可能性があり、過度な課税は違法市場の拡大を招きかねず、政府と協議を進めるとした。
(マレー・メイル、8月13日、エッジ、8月12日)

9月のハラル見本市「MIHAS2025」、過去最大級の見通し

【クアラルンプール】 9月に開催されるハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2025」は過去最大級になる見通しだ。マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)のリーザル・メリカン長官が12日、明らかにした。

MIHASは2004年に初開催。前回の2024年は2,028のブースで構成されたが、今年はそれを上回る2,300以上のブースが出展する。食品などに留まらず、教育、医療、フランチャイズ、イスラム美術工芸、物流などの14の産業分野にまたがる見込みだ。また来場者も過去最高の4万3,000人を上回る、45カ国以上から4万5,000人以上を目指すという。

さらに今年は、ASEAN・湾岸協力会議(GCC)の特別パビリオンが設置される。昨年、初開催となった海外版の「MIHAS@ドバイ」が好評だったことなどを受けたもの。今年は中国・上海でも開催が予定されており、リーザル氏は「来年はヨーロッパでも開催し、マレーシアのハラル企業が国際的にビジネスをアピールできるよう図りたい」と述べた。

MIHAS2025は「ハラルの卓越性の頂点」をテーマに、9月17―20日の4日間、クアラルンプール(KL)のマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開催される。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月12日、ザ・スター、8月13日)

エアアジアX、13年ぶりの欧州便 イスタンブール便を11月就航

【セパン】 中・長距離格安航空エアアジアXは11月14日から、クアラルンプール新国際空港(KLIA)と、トルコ最大の都市、イスタンブールのサビハ・ギョクチェン国際空港(SAW)を結ぶ路線を就航する。エアアジアXにとって13年ぶりのヨーロッパ直行便の復活となる

KLIA―SAW便は月・水・金・日曜の週4便。往路の「D7604」便は飛行時間約11時間でKLIA発が9時35分、 SAW着が16時5分、復路の「D7605」便は飛行時間約10時間で、SAW発17時20分、KLIA着が翌8時40分となる。使用機材はエアバスA330ー300型機。

SAWは現在、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)が運営を行っており、アジアとヨーロッパの重要な中継地として、117以上の国際都市、40以上の国内都市への乗り継ぎが可能。エアアジアXはこのハブ機能を活用し、年間15万人の旅客輸送を目指していく。また、よりシームレスなサービスを提供するため、トルコを拠点とする航空会社と「インターライン契約」の協議を行っているという。

エアアジアXは2009―2012年にロンドンとパリへの路線を運航していたが、需要の低迷などで廃止した。一方、昨年はカザフスタンのアルマトイ路線や、初のアフリカ路線となるナイロビ路線を就航するなど、エアアジアXの親会社であるキャピタルAのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は近年、世界的な格安航空会社ネットワークの構築を打ち出している。ヨーロッパ路線の復活はそのためにも重要で、その後に北米市場進出を目論む。エアアジアXが7月、最大70機のエアバスの長距離向けジェット機の購入を発表したのもその布石とみられている。しかし、ナイロビ路線は需要低迷のため9月1日からの運休が発表されており、エアアジアXのベンヤミン・イスマイルCEOは「イスタンブール便の就航は、これまで以上に力強く復興していく我々の新たな誇りとなる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月12日、エッジ、8月11日)

セランゴール州が酪農場を設立、乳製品の輸入依存軽減目指す

【クアラ・クブ・バル】 セランゴール州農業開発公社(SADC)の乳牛複合施設、エサン・デイリーファームの起工式が10日、アハマド・ザヒド副首相らを招いてスンガイ・テンギで開催された。2026年1月の操業開始を予定している。

マレーシア全体で94.7%に上っている乳製品の輸入依存度の低減が目的。乳製品の輸入額は年間46億リンギに上っているという。エサン・デイリーファームの面積は9.7ヘクタールで、オーストラリアから輸入した高品質なジャージー・ホルスタイン種の乳牛1,200頭を飼育。年間最大180万リットルの生乳を生産する。

ザヒド氏はプロジェクトは年間750万リンギ以上の収入、100人以上の雇用を創出すると言明。「スマート農場管理技術、自動化、デジタル動物衛生システムを統合し、地元乳製品の加工、包装、マーケティングを含む下流の農業産業エコシステムの発展を支援する」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、ザ・サン、ベルナマ通信、8月10日)

ロッテリア、セライグループとの提携で年内にもマレーシア初進出

【クアラルンプール】 人気ハンバーガーチェーン「ロッテリア」が年内にもマレーシアにオープンする見込みだ。

韓国のロッテは6日、子会社のロッテGRSを通じて、首都圏クランバレーでレストランを展開するセライ・グループとマスターフランチャイズ契約を提携した。ロッテリアのマレーシア進出は、東南アジアをはじめとするアジア全域で韓国バーガーの展開を拡大するというロッテの目標の一環という。

セライ・グループは、今後5年以内にマレーシア全土にロッテリアを30店舗展開する計画で、最初の店舗は今年末までにオープンの予定としている。モハメド・ナジブ・アブドゥル・ハミド取締役は「単なるブランド展開ではなく、世界的に人気の商品をマレーシア人の嗜好や価値観に合う形でローカライズして提供する機会」としている。

ロッテGRSは現在、韓国国内で1,000店舗のほか、海外で320店舗のロッテリアを運営している。日本のロッテリアは2023年からゼンショーホールディングスの傘下となっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月8日、ベルナマ通信、8月6日)

マレーシア初のパークハイアットKL、「ムルデカ118」に開業

【クアラルンプール】 米系のハイアット・ホテルズ・コーポレーションは7日、クアラルンプール(KL)の超高層ビル「ムルデカ118」の上層部に、ラグジュアリーホテル「パークハイアットKL」を開業した。同社の最上級ブランド、パークハイアットとしては、マレーシア初進出となる。

パークハイアットKLは、ムルデカ118の75階から114階に入居し、27室のスイートを含む全252室の客室を備える。室内は「天空の聖域」をイメージしたデザインで、床から天井までガラス張りになっており、KL市街のパノラマビューを楽しむことができるという。

同社アジア太平洋地域の統括責任者、デビッド・ウデル氏は「パークハイアットとして世界で50軒目という大きな節目のホテルでもあり、東南アジア地域におけるハイアットブランドの成長にとって新たな章となる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、8月7日)

軽便鉄道シャアラム線、9月末の開通式には間に合わない公算

【クアラルンプール】 建設中の首都圏軽便鉄道(LRT)3号線(シャアラム線)について、アンソニー・ローク運輸相は7月10日時点で進捗率が99.21%に達したと明らかにしたが、いまだ試運転段階にあり9月30日に予定している開業式に間に合わないとの観測が浮上している。

公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアは7月25日付のフェイスブックの投稿で、バンダル・ウタマ駅からヨハン・セティアの車両基地までの区間で24時間体制で列車の試験・試運転を実施していると発表した。ただ試験・試運転にどれぐらいの日数を要するのかは明らかにしておらず、以前の投稿では10月31日まで行われるとしていたことから9月30日どころか10月中の開業も不透明との見方が広がっている。

LRT3号線は当初2016年に発表され、当初は26駅が計画されていたが、その後、2つの乗り換え駅を含む20駅に修正された。しかし新型コロナ・パンデミックや資材や労働力不足のため工事は遅延を余儀なくされていた。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、ポールタン、ローヤット・ドットネット、8月4日)

政府系農業専門アグロバンク、オンライン口座開設サービス開始

【コタキナバル】 政府系農業専門金融機関アグロバンクは1日、オンライン銀行口座開設サービスを開始した。農村部に住む人々が銀行に足を運ぶことなく口座を開設できるようになる。

新サービスは最低20リンギから、オンラインを通じ10分程度で預金口座の開設を可能にする。アグロバンクは3カ月以内に1,500口座の新規開設を目標としており、口座数で10―15%、6カ月以内に20%の増加を目指している。また銀行の運営コストも最大30%削減されるという。

サバ州で行われたサービス開始式には、アーサー・ジョセフ・クルップ副農業食糧安全相らが出席。アーサー氏は「すべての人が安定して金融サービスを受けられるようにするという国の金融包摂の目標とも一致するもの」と述べた。
(ボルネオポスト、ベルナマ通信、8月1日)

プロトンの新型「X50」、発売5日間で999台を納車

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスが7月25日に発売したBセグメント・スポーツ車(SUV)「X50」の新型モデルが、わずか5営業日で999台が納車された。

販売子会社プロトン・エダルによると、2代目「X50」は価格発表前の10日間で5,000件の予約を獲得。7月末時点で累計予約件数は8,000件に達している。プロトンのタンジョン・マリム工場では7月31日までに2,000台を生産した。

バリアントは▽1.5TDエグゼクティブ▽1.5TDプレミアム▽1.5TDフラッグシップ――で、価格はそれぞれ8万9,800リンギ、10万1,800リンギ、11万3,300リンギとなっている。10月31日までの予約に対しては先着1万人に4,000リンギの割引を適用する。
(カーリスト、ポールタン、8月1日)

ファイアフライ、ジェット機の国内線をスバンからKLIA1へ移転

【クアラルンプール】 マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)傘下の航空会社ファイアフライは30日、セランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)を利用していたジェット機での国内線をクアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル1に移転すると発表した。

変更は8月19日からで、グループのネットワーク最適化計画の一環という。ターボプロップ機での路線は引き続きスバンから運行される。

具体的には、タワウ線が19日、クチン線とコタキナバル線が21日、シンガポール(セレター)線22日、ジョホールバル線23日から、それぞれ変更になる。影響を受ける予約客には変更や払い戻しに応じる。

また新たに、コタバル線とトレンガヌ線を30日から、シブ線を9月3日から開設する。ペナン線については23日から、従来の週2便から週6便に増便。11月までに週10便への増便を計画している。

同社は現在、ナローボディ・ジェット機(ボーイング737-800型機)5機と、ターボプロップ機(ATR72-5009型機)9機を運航している。昨年8月、ペナンとコタキナバルを結ぶ2路線でスバン空港でのジェット機運航を始めたが、1年での見直しとなった。

スバン空港に関しては、エアアジアも4月に撤退。騒音対策として午後10時―午前6時の深夜帯は飛行禁止となっているほか、ターミナルの混雑を防ぐため1時間あたり1機のジェット機しか発着できないなどの制約があるため、赤字を招き、MAGにとって大きな負担になっていたとみられる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、7月30日)