ジェットスターアジアの運航停止、航空委が予約客に対策呼びかけ

【クアラルンプール】 マレーシア航空委員会(MAVCOM)は、ジェットスター・アジア航空の運航停止の影響を受ける予約客に対し、直ちに同社に直接支援を求めるよう勧告した。マレーシアでは、シンガポール―クアラルンプール線およびペナン線が影響を受ける。

ジェットスター・グループが6月11日、シンガポールに拠点を置く格安航空会社ジェットスター・アジアの運航を7月31日に停止すると発表したことを受けたもので、MAVCOMは13日に発表した声明の中で、影響を受ける旅行者に対し、専用のライブチャットサービスを通じてジェットスター・アジアに連絡するか、ジェットスターの連絡先にあるグローバルコンタクトセンターのリストを参照してさらなるサポートや情報を得るよう呼びかけた。

MAVCOMによると、2016年マレーシア航空消費者保護法に基づき、影響を受ける消費者は30日以内に元の支払い方法で航空券の全額(税金および手数料を含む)の払い戻しを受ける権利があり、もしくは同等の交通手段で最終目的地への経路を変更する権利がある。

ジェットスターは、今回の運航停止は、オーストラリアと東南アジア間の国際便を運航するジェットスタ―やジェットスター・ジャパンを含む、グループ傘下の他の航空会社には影響しないとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、6月13日)

外国への直接投資が認可不要に、適格投資家プログラムを本格導入

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は12日、居住企業(国内で設立された企業)を対象にした適格居住投資家(QRI)プログラムの全面導入を発表した。外国への投資でマレーシア企業に柔軟性を与え、また国内外為市場の深化を促進する。

7月1日付で施行する。BNMは昨年4月に試験導入しており、既に10億米ドル超の資金がマレーシアに送金される成果を上げた。QRIでは、認定を受けた居住企業は外国への直接投資における手続きが簡素化され、一定の条件を満たせばBNMの事前承認が不要になる。

資格を得るには、企業は外国への投資で上げた収入をマレーシアに送金し、リンギに両替しなければならない。また良好な企業統治とBNM外為政策の順守が必須だ。プログラムの提供は28年6月末まで。

海外収入の送金を促す措置が導入されたのは24年4月で、リンギの下落を阻止するのが狙いだった。
(ビジネス・トゥデー、ザ・スター電子版、エッジ、6月12日)

サンウェイメディカルセンター、ゲノム医療サービスを開始

【クアラルンプール】 セランゴール州サンウェイ・シティのサンウェイ・メディカル・センターは12日、ゲノム医療サービスをスタートさせた。

サービスは、高度な遺伝子検査を通じ、遺伝性疾患や複雑な慢性疾患などに対する早期介入とより効果的なケアプランニングを目指すもの。解析対象を絞った全エクソームシーケンスと呼ばれる方法を導入し、コストや解析時間を抑えつつ、疾患の原因解明に重要な情報が得られるという。遺伝性がんリスクスクリーニングなども行われる。

センターでは「病気を治療するだけでなく、その先を見据え、マレーシアで世界最高水準の精密医療を通じ、患者それぞれのニーズとリスクに合わせた医療を提供していきたい」としている。
(ビジネス・トゥデー、6月12日)

PLUSとインソン、合弁でセレンバンR&RにEVハブ整備

【クアラルンプール】 高速道路運営のPLUSマレーシアと、インソン・グリーン・テクノロジー(M)(YGT)は11日、高速道路のサービスエリア(R&R)に、電気自動車(EV)充電施設と飲食施設を併設したハブを整備・運営する合弁契約を締結。最初のハブとして、南北高速道路(NSE)のセレンバン(下り)に2027年の完成を目指す。

契約は、PLUSの子会社のテラPLUSと、YGTの子会社のグリーンEVチャージの間で締結された。PLUSが飲食店と小売り施設、YGTがEV充電器の整備・管理をそれぞれ担当する。信頼性の高い直流(DC)急速充電器に加え、充電中に楽しめる活気ある小売店や飲食店で、EV充電体験を包括的に高めることで、他のEV充電インフラとの差別化を図る。YGTは石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社。

両社は共同声明で、未来を見据えた高速道路への変革に向けた重要な節目としている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、6月11日)

世銀、マレーシアの今年のGDP成長率予測を3.9%に下方修正

【クアラルンプール】 世界銀行は「世界経済見通し」報告書を発表し、2025年のマレーシアの国内総生産(GDP)成長率予測について、1月の予測から0.6ポイント下方修正し3.9%とした。

下方修正の理由は貿易障壁の上昇による予測不可能なマクロ経済への影響で、世銀は社会支出プログラムや公共投資といった財政支援が行われているにもかかわらず、これが成長を圧迫する可能性があると指摘している。また、マレーシアにおける緩やかな財政再建が継続するとの見通しも示されている。

同報告書によると、輸出志向型の製造業が大きな国の一つであるマレーシアは、貿易摩擦の再燃、貿易コストの上昇、主要国の成長鈍化といった大きなリスクにさらされている。製造業購買担当者景気指数(PMI)や財貿易指標など、製造業活動の指標は最近悪化している。

マレーシアなど、貿易依存度の高い新興市場・発展途上国(EMDE)の一部では、世界的な貿易政策の不確実性が高まる中、製造業PMIの新規輸出受注指標が11月以降大幅に低下しているという。

マレーシア以外にも、東アジア・太平洋(EAP)諸国の成長率予測が大きく下方修正されており、フィリピンとベトナムの成長率予想はそれぞれ0.8ポイント下方修正され、5.3%、5.8%となった。またタイの成長率予想は1.1ポイント下方修正され1.8%に、ミャンマーは4.5ポイント下方修正されマイナス2.5%としている。
(ザ・スター電子版、セランゴール・ジャーナル、ベルナマ通信、6月11日)

台湾博覧会が23日からKLで開催、200社超が出展へ

【クアラルンプール】 台湾博覧会2025が23日から3日間、クアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)で開催される。台湾政府経済部と台湾対外貿易発展協会(TAITRA)の主催で、8回目となる今年は、人工知能(AI)関連を中心に200社超の台湾企業が出展。両国の関係強化が期待されている。

台湾博覧会は2017年から開催されており、これまでに1,200社の台湾企業が参加。16万人が来場し、4億米ドル(16億9,000万リンギ)のビジネスチャンスが創出されたという。今年のテーマは「より良い生活のための革新的なソリューション」で、AIのほか、ウェルネス、サスティナビリティ、スマートライフ、文化と観光の5分野にゾーンを分けて、最先端技術を採り入れた製品やサービスが紹介される。

マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)などによると、台湾は2024年にマレーシアにとって第4位の貿易相手国だった。貿易額は1,761億リンギ(前年比38.5%増)で、投資は前年比で2倍以上の12億9,000万米ドル(54億6,000万リンギ)に達したという。

10日に行われた博覧会の開会イベントで、TAITRAのケビン・チェン副事務局長は「現在の地政学的およびサプライチェーンの変化の中で、特に半導体、ICT、先進製造業、グリーンエネルギーなどで両国は協力し、より大きな相乗効果を生み出すことができる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、6月10日)

マレーシア航空、ビジネスクラス中心に日本発キャンペーン開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシア航空は10日、グローバルキャンペーン「タイム・フォー・プレミアム・エスカペード」を発表。予約期間は今月19日まで、旅行期間は2026年5月31日までで、日本発(東京・大阪)のビジネスクラスを中心に国際線往復が特別価格で利用できる。

クアラルンプール(KL)への往復料金は27万4,540円(燃油・諸税込)からで、クアラルンプール新国際空港ターミナル1では、ファストトラックサービスや、マレーシア航空のゴールデンラウンジの利用に加え、メルセデス・ベンツとの提携によるプライベート送迎サービスもあるという。機内では、新しいメニューを取り入れたアジア料理のベストセレクションも提供される。またマレーシア行きの場合、小児運賃は大人の75%、幼児運賃は10%で利用できる。

そのほかのビジネスクラス料金は、バリ島往復が最も安く17万450円(同)、バンコク・プーケット往復17万5,260円、シンガポール往復21万2,400円(同)から。エコノミークラスもお得な運賃が設定されており、KL6万7,320円、バリ島5万6,960円、シンガポール5万4,040円から。

中小企業協会、SSTの課税対象企業の基準引き上げを要求

【ペタリンジャヤ】 マレーシア中小企業協会(SAMENTA)は、7月1日から施行される改正売上・サービス税(SST)が中小企業経営を圧迫するとして、課税対象企業の基準を引き上げるか、または零細・小規模企業を免税対象に含めるよう求めている。

SAMENTAのウィリアム・ン会長は、現在の年間売上高50万リンギ以上となっている課税対象基準が中小企業を圧迫しているとした上で、これを200万リンギに引き上げてより基準を狭めることを提案。こうした措置により影響を受けるのは中規模以上の企業のみになると述べた。

その上でン会長は、「多くの小規模企業は依然として高い運営コスト、弱い消費者需要、輸出市場の不確実性に直面しており、特に米国の関税撤廃が7月8日に終了した後、状況がさらに悪化する可能性がある」と指摘。「こうした状況下で、SSTの改正が十分な免税措置や高い基準値の設定なく進められれば、最も対応が遅れがちな企業にさらなるコスト負担をかける危険がある」と述べた。

さらにン会長は、改正SSTが原材料費にとどまらず、賃貸料や企業間サービスなどにも適用範囲が広がることが、最終的に消費者への価格転嫁を促し、生活費の上昇を引き起こす可能性があると警告した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、6月9日)

KLIAエアロポリス本格始動、航空産業に特化の工業団地が起工

【クアラルンプール】 航空宇宙産業に特化した工業団地、セランゴール・エアロパーク(SAP)の起工式が5日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)の隣接地で行われた。セランゴール州政府は、16日から開催される世界最大規模のパリ航空ショー(パリ国際航空宇宙ショー)で、SAPを含めたKLIAエアロポリス構想をアピールし、世界的な誘致に取り組む。

SAPは、空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)と、州政府系企業メンテリ・ベサル・セランゴールが提携して開発する。600エーカー(243ヘクタール)で、総開発価値(GDV)は23億リンギが見込まれる。第1フェーズとして開発される200エーカー(81ヘクタール)のうち半分は、米国の航空機エンジンメーカー、GEエアロスペースがMRO(保守・整備・オーバーホール)施設などの建設用地として確保している。残る400エーカー(162ヘクタール)は2028年以降、段階的に開発していく。

KLIAエアロポリスに関しては2022年、MAHBに対し、連邦政府所有地8,500エーカーの99年間のリースおよび開発権を付与している。

セランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は「KLIA第2章の始まりであり、空港だけでなく、産業とサプライチェーンを統合した完全なエコシステムを構築する」と述べた。現在、国内の航空宇宙産業の68%超が同州に集中しているが、さらに2030年までに73%に引き上げるとしている。

アンソニー・ローク運輸相は「東南アジアにおけるトップクラスの航空貨物ハブを目指している。目指すのは、銅メダルや銀メダルではなく、金メダルだ」と意気込む。中国と協力して、「エア・シルクロード」構想のもと、KLIAを東南アジアと中国を結ぶゲートウェイとして強化していく方針も示している。
(マレーシアン・リザーブ、6月6日、ビジネス・トゥデー、6月6日、6月5日、エッジ、6月5日)

MM2H支援のセカンドホームプラン設立、中国などに注力

【クアラルンプール】 外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラムのサポート業者、セカンド・ホーム・プランが4日、正式に設立された。中国、台湾からの申請者を中心に、年内に最大300人のMM2H申請者の処理を目指すという。

2002年に始まったMM2Hは、昨年6月、申請できる年齢が25歳以上で、年間で90日以上の現地滞在が必要となるなど制度が見直されたほか、申請代行業者のライセンス要件が厳格化された。

同社のジューン・チャン社長は「現在のMM2H制度で申請がしにくくなったという意見もあるが、タイ、インドネシア、ベトナムといった競合国に比べ、中国や台湾、中東などからの申請希望者に対し有利な立場にある」と指摘する。

また現在、140以上のMM2Hライセンス業者が登録されているが、すべてが実際に事業を展開しているわけではなく、同社はビザ申請代行だけでなく、生活全般のサポートなど、東南アジアで最も信頼されるサービスを目指していく。すでに中国浙江省マレーシア海外友好協会とMM2Hの促進に関する覚書(MoU)を締結したという。

同社は、現在のイブラヒム・イスカンダル国王の長女トゥンク・カマリア氏が会長を務めている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、6月4日)