今年の自動車総需要量、アナリストは前年下回ると予想

【クアラルンプール】 金融アナリストらは2025年の自動車総需要量(TIV)について、81万台超と過去最高の販売台数を記録した前年を下回る73万―80万5,000台程度と予想している。

最も高い前年並みの80万5,000台と予想したのはケナンガ・インベストメント・バンク。現地組立 (CKD) 車に対する物品税免除措置の延長に伴う需要を見越したもので、CKD比率の高いダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)がその恩恵を受ける可能性が最も高いとしている。一方で、所得上位15%(T15)や中所得層40%(M40)では、レギュラーガソリン「RON95」補助金合理化に伴い、新車購入控えや、小型車へのダウングレード、ハイブリッドを含めた電気自動車(EV)への乗り換えが進む可能性を指摘している。

逆に、前年比11%減の73万台と予想しているRHBグループは「2024年の高水準の維持が期待できるような、説得力のある要因が見当たらない」と分析。「非国産車部門で価格競争が続き、受注数が軟化しており、引き続き慎重な見通し」としている。またEV販売は成長するものの、市場はまだ小規模で全販売台数に大きな変化をもたらすほどではないとの見方を示している。

CIMB証券は前年比7%減の76万台と予測している。特に、市場の75%を占める価格が10万リンギ以下の車の需要は堅調だとし、この価格帯の車の8割が国産車、残り2割を日本と中国のブランド車が分け合っていると指摘。政策金利も安定が予測されることから「市場全体でも国産車が優位を維持し、64.5%のシェアを獲得する」と予測している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月31日、エッジ、ベルナマ通信、1月28日)

近日開業のKLGCCモール、タイの屋内遊戯施設など出店

【クアラルンプール】 今年第3四半期に開業予定のショッピングモール「クアラルンプール・ゴルフ&カントリークラブ(KLGCC)モール」には、高級スーパーのジャヤ・グローサーや、タイで人気の屋内遊戯施設「ハーバーランド・キッズプレイランド」のマレーシア1号店などの出店が予定されている。

開発を手がける不動産開発大手のサイム・ダービー・プロパティはこのほど、アンカーテナント5社との間で調印式を行った。ジャヤ・グローサーやハーバーランド以外のアンカーテナントはセカイグループ、ACEハードウェア、アジア・バレエ・アカデミー。

KLGCCモールは、クアラルンプール市西側に位置し、延床面積は60万平方フィートで、80以上のテナントが入居する。小売りや国内外の料理を楽しめる飲食店など、すでに7割近くのテナントが決まっているという。サイム・ダービーにとって、KLイーストモール、エルミナ・レイクサイド・モールに次ぐ3番目のモールとなる。既存のゴルフ場やホテル、中高層の高級住宅とともに一体的な開発を行っている。
(ザ・スター、1月24日、エッジ、1月23日)

大阪万博マレーシア館、進捗率86.7%=副首相

【クアラルンプール】 4月に開幕する大阪・関西万博について、ファディラ・ユソフ副首相は1月28日、マレーシア館の建設の進捗率は現在、86.7%と明らかにした。一方で、130億リンギを目標に掲げる貿易・投資誘致額に向け取り組みを強化する必要性を強調した。

ファディラ副首相はこの日、テンク・ザフルル投資貿易産業相やファーミ・ファジル通信相らとともに大阪・関西万博の国内組織委員会の会議に出席後、進捗状況について予定通り最終段階を迎えており「今後は運営準備を中心に移行する」とソーシャルメディアに投稿した。

また、貿易・投資誘致額について、前回ドバイ万博の83億リンギを上回る、130億リンギを掲げているが、そのためには「投資貿易産業省、マレーシア投資開発庁(MIDA)、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)が協力して、戦略策定の取り組みを強化する必要がある」と述べた。さらにマレーシア館への来場者として、ビジネス、非ビジネスに関わらず計約150万人の目標達成に向け、館内プログラムなどを充実させていくとしている。

万博は4月13日―10月13日までの6カ月間開催される。
(ベルナマ通信、1月28日)

今年の新規株式公開、証取は60社を目標

【クアラルンプール】 ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)のムハマド・ウマル最高経営責任者(CEO)は27日、決算発表の席上、今年は60社による新規株式公開(IPO)を見込んでいると語った。同60社の上場時の時価合計は402億リンギを予想している。

昨年のIPOは55社で、資金調達額は計74億リンギ、時価合計は314億リンギだった。55社の上場は過去19年で最多。今年は健康、エネルギー、建設、貿易など多様な分野から上場が期待できるという。注目は国内最大の港湾運営会社MMCポーツの再上場だ。

アブドル・ワヒド会長によると、1部メイン市場には既に2社が上場許可を得ており、2部ACE市場には15社の上場が決まっているという。ウマル氏は3月をもって退任する。
(ザ・スター、1月28日、ベルナマ通信、ビジネス・トゥデー、1月27日)

5Gを優先導入する工業地域67カ所、通信省が特定

【マラッカ】 通信省は、第5世代移動体通信(5G)インターネットサービスを優先して導入する全国の工業地域67カ所を特定した。ファーミ・ファジル通信相が明らかにした。投資貿易産業省(MITI)との協力を通じて決定したという。

マラッカで開催された通信省の2025年戦略作業方針会議に出席したファーミ氏は、「5Gは中小零細企業(MSME)に大きなメリットをもたらすため、これらの地域を優先することが我々の目標だ。工場が5Gによる高速接続を活用できるようにしたい」と述べた。ファーミ氏によると、一般市民の5G利用の普及率も毎月2―3%増加しており、全国で53.3%に近づいている。

一方で通信省は5Gへのアップグレードを進める前に、農村部のコミュニティが少なくとも第4世代(4G)サービスを教授できるよう取り組んでいると強調。「これまで進められてきた国家デジタル・ネットワーク(JENDELA)第1期の下で、今年6月までに通信塔1,661基が完成する予定で、第2期ではインターネットアクセスがない農村部の2,500―3,000カ所が通信塔設置対象になる」と述べた。
(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、1月25日)

世界各国からのムスリムのマレーシア観光を推進=副首相

【クアラルンプール】 2026年のマレーシア観光年(ビジット・マレーシア・イヤー)に向け、政府は世界各国からのムスリム(イスラム教徒)の観光に力を入れる方針だ。22日にあったイスラミクルーズ・インターナショナルと、サウジアラビアのアロヤクルーズの提携調印式に出席したアハマド・ザヒド副首相が述べた。

ザヒド副首相によると、2024年にマレーシアを訪れたムスリムは11月時点で482万人で、150億リンギを超える支出があったと推定される。前年通年の450万人、推定支出額147億リンギをこの時点で上回った。

インドネシア、ブルネイ、パキスタン、サウジアラビア、カザフスタンが上位5カ国を占めた。

イスラミクルーズとアロヤクルーズの提携は、そうしたムスリム観光の一環で、最大で4,500人の乗客を収容できるクルーズ船をチャーターし、ネグリ・センビラン州ポートディクソンとサウジアラビアのジェッダを結ぶ。オマーン、モルディブ、インドネシアに寄港しながら、ムスリム向けのプログラムを提供する。

ムスリム旅行客の観光インフラを評価する世界ムスリム旅行指数(GMTI)で、マレーシアは昨年、世界145カ国中のトップにも選ばれた。ザヒド副首相は「市場予測では、ムスリム観光は年間約1.2%の成長が見込まれる」とし、マレーシア政府観光局、イスラム観光センター(ITC)、マレーシア文化芸術省などと協力しながら、さらに促進していくとした。
(マレーシアン・リザーブ、1月23日、ベルナマ通信、1月22日)

中小零細企業の支援で取り組み強化=起業家開発協同組合相

【クアラルンプール】 起業家開発協同組合省(KUSKOP)は、中小零細企業(MSME)の国内総生産(GDP)への貢献度について、第12次マレーシア計画(12MP)で設定されている目標数値を今年中に達成するよう、支援の取り組みを強化する。KUSKOPのイーウォン・ベネディック大臣が22日、記者会見で述べた。

2023年度のMSMEのGDPは6,131億リンギで、GDP全体の39.1%を占めた。輸出は1,522億リンギで総輸出の12.2%だった。これに対し、12MPでは2025年までにGDP全体貢献度で41%、輸出貢献度15%という目標が設定されている。

KUSKOPは昨年、204のプログラムを実施。13万2,453人が能力開発プログラムを受けたほか、5万1,221人が新たに起業したという。また、昨年33万3,653人の起業家と協同組合が総額95億8,000万リンギの資金援助を受けた。

さらに、2025年戦略計画「卓越性のための変革」を発表。特に、議長国として今年に開催されるASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議の関連イベントを通じ、多額の資金提供が計画されていることなどから、2027年までにMSMEの事業成長率を5%にすることを目標に掲げている。
(ザ・サン、ベルナマ通信、1月22日)

中銀バンクネガラ、政策金利を3%で据え置き

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は22日に今年初の定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を3.00%で据え置くと決めた。BNMは2023年5月に0.25ポイント引き上げて3.00%とした後、1年半以上据え置いている。
BNMは声明の中で、現在のOPR水準の下で金融政策のスタンスは引き続き経済を下支えしており、インフレと成長見通しの現在の評価と一致していると指摘。物価安定の中で金融政策に対するスタンスが持続可能な経済成長につながるよう監視を続けるとしている。

世界経済については世界貿易の好調を反映して2024年は予想を上回る成長だったが、今年も好調な労働市場、インフレ緩和、金融緩和により成長が持続すると予想。世界貿易も継続的な技術景気回復に支えられ概ね維持されると予想されるが、貿易および投資規制の強化をめぐる不確実性の影響を受ける可能性があり、政策の不確実性の高まりは世界の金融市場のボラティリティの増大にもつながる可能性があるとした。

マレーシア経済については、昨年の全体的な成長率は予想内だったとした上で、堅調な国内支出に牽引されて2025年も勢いが持続すると見込まれると指摘。雇用と賃金の伸び、最低賃金と公務員給与引き上げが家計支出を下支えするとした。また投資活動も民間部門と公共部門の両方における複数年プロジェクトの進捗、承認済み投資案件の継続的な高い実現性、国家マスタープランに基づくイニシアチブの継続的な実施によって持続されるとし、投資に支えられた輸出も世界的な技術セクターの好転、非電気・電子製品の継続的な成長、観光客の支出増加によって支えられると予想した。

一方で成長見通しは、貿易および投資制限のリスクが高まる中、主要貿易相手国の経済減速、予想を下回る商品生産による下振れリスクにさらされていると指摘した。

ユーモバイル、15-18カ月以内に5Gネットワークを開始

【クラン】 マレーシア第2の第5世代移動体通信(5G)ネットワーク事業者に選定されたユーモバイルは、15-18カ月以内に5Gネットワークサービスを開始する方針だ。ベルジャヤ・グループ創始者のビンセント・タン会長が明らかにした。

資金不足のために追加のパートナーが必要だと報じられていることについてタン氏は、5Gネットワーク展開のために政府資金や新たな現地パートナーは必要としないと明言。融資に前向きな銀行もあるとし、自己資金だけでなく銀行からの資金で実施できるとの考えを示した

また機器サプライヤーの選定に関しては、技術面の優位性から華為技術と中興通訊の中国系2社で検討していることを公表。これらのサプライヤーが資金を提供する可能性もあると述べた。

RHBインベストメント・バンクは先ごろ、ユーモバイルが2番目の5Gネットワークアクセスプロバイダーに選ばれたことを受けて、30億―40億リンギと推定される5G設備投資(CAPEX)を捻出するためにネットワーク提携に踏み切る可能性が高いと報じた。ネットワークインフラを共有することでサイトの展開が加速し、より迅速に人口をカバーすることができるという。

一方、タン氏は、ユーモバイルを2025年末までにブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に上場する計画であることを公表。今後数カ月以内に上場を申請する考えを示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、1月17日)

今年の航空旅客数は新型コロナ前を上回る見通し=運輸相

【クアラルンプール】 マレーシア航空委員会(MAVCOM)は今年のマレーシアの航空旅客数が前年比8.4―15.6%増となり、1億580万―1億1,290万人に達すると予測しており、新型コロナパンデミック前の2019年に記録された1億930万人を上回る見通しだ。アンソニー・ロ―ク運輸相が明らかにした。

ローク氏は、2024年の航空旅客数・貨物量の実績と2025年の見通しに関する記者会見で、昨年の航空旅客数が前年比14.3%増の9,710万人と大幅に回復し、パンデミック前の水準の90%にまで回復したと述べた。東南アジア諸国連合(ASEAN)と世界全体の成長率はそれぞれ19.8%と38.9%だったという。

その上でロ―ク氏は今年の航空旅客の成長の要因として、前年比15.8%増が見込まれる座席数の増加、前年比21.1%増と見込まれる国内旅行のほか、前年比4.5―5.5%と見込まれるマレーシアの堅調な国内総生産(GDP)成長、通貨リンギ・レートが1米ドル=4.45リンギで安定するなど、マクロ経済環境が良好であることを挙げた。

航空貨物部門も成長の兆しを見せており、MAVCOMは、経済回復と電子商取引の拡大に支えられ、今年の貨物量が前年比4.5―8.5%増加すると予測している。2024年の航空貨物量は前年比8.3%増の10億3,410万キログラムとなった。

マレーシアの航空旅客数は2020年にパンデミックに伴う移動制限により2,670万人に急落し、国境が閉鎖された2021年にはさらに悪化していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、1月15日)