フアットライ、国内最大のケージフリー卵生産施設を年内稼働へ

【クアラルンプール】 大手養鶏業者のフアット・ライ・リソーシズは、2025年第4四半期までにマラッカ州に国内最大のケージフリー鶏卵生産施設を稼働させる予定だ。

最先端の多層式鶏舎システムで20万羽の採卵鶏を飼育する予定で同社のケージフリー卵生産能力を大幅に向上させると期待している。2012年にシンガポールの子会社、チューズ・アグリカルチャーで開始したケージフリー養鶏事業の大幅な拡大となる。

数カ月以内に、同社は現在20万羽の鶏を飼育している既存の鶏舎10棟をケージフリーシステムに転換する。新施設の稼働によりフアット・ライのケージフリー飼育能力は6万羽から4倍以上に増加し、国内外の市場に向けて、より手頃な価格で安定的にケージフリー卵の供給が可能になる。

ケージフリー卵は今後も需要拡大が期待されており、GMOリサーチの調査によると、マレーシアの消費者の77%はケージフリー鶏卵が好ましいと回答しており、62%は価格上昇の受け入れ、多くは10―25%の価格上昇を受け入れる考えを示しているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、6月5日)

ベーカリーの韓トゥレジュール、サンウェイピラミッドに1号店

【クアラルンプール】 韓国の大手ベーカリーチェーン「トゥレジュール」のマレーシア1号店が4日、セランゴール州のショッピングモール「サンウェイ・ピラミッド」にオープンした。14日にはクアラルンプール市のショッピングモール「サンウェイ・ベロシティ」でも開業を予定している。

新規出店は、トゥレジュールを運営する韓国財閥CJグループの外食子会社、CJフードビルと、マレーシアのストリーム・エンパイア・ホールディングスの子会社SEHフードが1月に締結したマスターフランチャイズ契約に基づくもの。

サンウェイ・ピラミッド店は約60坪で、モール2階に位置する。あんパンの5.9リンギをはじめ、高めの価格帯になるが、焼きたてパンにこだわったプレミアムイメージ戦略を推進。インドネシアで運営しているハラル(イスラムの戒律に則った)認証を受けた工場を基盤に、マレーシア国内でも展開を強化していく。

1997年創業のトゥレジュールは現在、米国など9カ国で約560店を展開している。CJフードビルは今後、東南アジア市場への展開を加速させる計画。マレーシアのベーカリー市場は2023年に30億2,000万米ドルで、今後5年間は年平均5.19%の成長を見込んでいるという。
(ベルナマ通信、ザ・コリア・エコノミック・デイリー、6月4日)

国内の産業への影響懸念強まる、米鉄鋼・アルミ関税50%で

【クアラルンプール】 米国が4日付けで鉄鋼・アルミニウムに対する関税を従来の25%から2倍の50%に引き上げたことを受け、マレーシアの産業界に懸念が広がっている。

マレーシア鉄鋼産業連盟(MISIF)のロシャン・M・アブドラ会長は「マレーシアは米国に大量の鉄鋼を輸出しているわけではないが、今回の関税引き上げは、下流鉄鋼メーカーに重大な影響を与えるだろう」と述べた。

また、米ASEANビジネス協議会(USーABC)のマール・ミーリー副会長兼最高政策責任者は「マレーシアにすぐに深刻な影響を与えるわけではないかもしれないが、将来的にはグローバルサプライチェーンの中でマレーシアの産業にも直接的な影響を与える可能性がある」と警鐘を鳴らす。

2023年のマレーシアの鉄鋼総輸出量820万トンのうち、米国市場は3.9%(32万2,282トン)だった。一方で、トランプ政権の関税措置の影響で、今年に入りマレーシア企業などに、中国を中心とした国々から鉄鋼の輸出オファーが急増。さらに今回の関税倍増措置で、これまで米国に輸出されていた鉄鋼がさらに東南アジアに流入し供給過剰を招き、マレーシアも価格圧力と貿易変動の影響をより強く受けると懸念する声が上がっている。

またマレーシア政府は先月、ブリキ製品に関し、日本などに反ダンピング関税を課したが、こうしたダンピングが激化し、対応に追われる可能性もある。

マレーシアと米国の関税交渉の一方で、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国としてどう対処すべきか、MISIFなどは政府に対し迅速な対応を求めている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月2日、エッジ、ベルナマ通信、6月4日)

大阪・関西万博で、総額80億リンギ相当の潜在的投資を確保

【クアラルンプール】 ファディラ・ユソフ副首相は5月31日、大阪・関西万博開催2カ月で、20件の覚書(MoU)が締結され、総額80億リンギ相当の潜在的投資を確保したと発表した。

万博組織委員会の委員長も務めるファディラ氏によると、20件の覚書には101のマレーシア企業が関わっているという。万博で目標としている130億リンギの投資の61.5%が達成されたことになる。

そのほかマレーシアパビリオンではすでに398件の商談が行われた。またパビリオン来場者は100万人超になり、10月の会期終了までに150万人という目標の3分の2に達した

一方、マレーシア投資開発庁(MIDA)は3日、同庁として大阪・関西万博で総額46億8,000万リンギ相当の潜在的投資を確保したと発表した。
(エッジ、5月31日、ベルナマ通信、5月31日、6月3日、報道発表資料)

AI推進のための機構「AIマレーシア」発足、技術革新を推進

【クアラルンプール】 東南アジア諸国連合(ASEAN)ビジネス諮問委員会(BAC)マレーシア支部の主導になる人工知能(AI)推進のための機構「AIマレーシア(AIM)」が5月30日、発足した。技術革新を推進し、デジタル領域におけるマレーシアの競争力を強化する。

マレーシアはAI戦略の段階から、広範な導入の段階に至ったとの判断に基づくもので、ナジル・ラザクASEAN-BACマレーシア議長は「AIは域内成長の次の段階で決定的な力となる。責任あるAI採用でマレーシアは域内協力を推進する」と述べた。

AIMでは重要な経済分野における技術革新の加速、生産性・競争力向上のための官民協力、AIビジネス・エコシステムの構築を図り、経済成長に貢献する。AI経済特区の創設も計画している。発足式でゴビンド・シン・デオ・デジタル相は「AIMは官民学連携強化の場であり、未来に向けた能力を構築する」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、5月31日、ASEAN-BAC、セランゴール・ジャーナル、5月30日)

エアアジアマレーシア、台北経由福岡―コタキナバル線を8月開設

【クアラルンプール】 格安航空会社エアアジア・マレーシアは8月15日、福岡―台北―コタキナバル線を新規開設する。エアアジア・グループではエアアジアXが日本に就航しているが、エアアジア・マレーシアとしては初の日本乗り入れ路線となり、福岡が79番目の就航都市となる。

新規路線は、ある国を経由して第三国へ運航できる「以遠権」を活用したもので、既存のコタキナバル―台北線を延伸し、3都市間を1日1往復で運航する。福岡とコタキナバルが約7時間の所要時間で結ばれることになる。機材はエアバスA320neo型機(総座席数は186席)を使用予定。6月8日まで、就航記念運賃での予約が提供されている。

スケジュールは、コタキナバル行きAK1511便が福岡17時発で台北18時30分着(金曜のみ5分遅れ)、台北19時15分発(同)でコタキナバル着22時50分となる。福岡行きのAK1510便はコタキナバル7時40分発で台北10時55分着、台北11時55分発で福岡15時15分着になる。

またバティックエアは、週5便で運航してきたクアラルンプール―台北―那覇線を、6月3日から週6便(月火水金土日)に拡大。一方で、名古屋(中部)―高雄―クアラルンプール線を13日から運休する。
(トライシー、6月2日、エアアジア・マレーシア発表資料)

ペラ州がUAEなどと2件の覚書、未来に通用する経済ハブを構築

【クアラルンプール】 ペラ州開発公社は30日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会合に合わせ2件の覚書を中国系CHECコンストラクション(マレーシア)およびアラブ首長国連邦(UAE)政府と交わした。多目的ターミナル開発や食糧安全保障を推進する。

CHECマレーシアとの覚書ではバガン・ダトゥク国際海上ハブ多目的ターミナル開発と、ハラル(イスラムの戒律に則った)製造センターおよび人工知能(AI)センターの開発を進める。CHECマレーシアは海洋工学、浚渫などを手掛ける中国港湾工程の子会社。

ターミナルはルムット海事都市計画の一環で、中国、ASEANおよび湾岸協力会議(GCC)加盟国と世界を結ぶ貿易の玄関口として開発される。ハラルセンター設立を通じ倫理的製造を強化する。

UAEとの覚書は、食糧安全保障における協力と多目的ターミナルに関する投資機会を模索するための枠組みで、農業技術の革新、および域内貿易と供給網の強化を図る。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、5月29日)

バティック エア、7月28日にスバン―バンコク直行便を就航

【クアラルンプール】 バティック・エアは、スルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(セランゴール州スバン空港)とバンコク・ドンムアン(タイ)を結ぶ直行便の運航を7月28日に開始すると発表した。デイリーの運航で、同航空会社としては同空港発の国際線となる。

機材はボーイングB738型機を使用。スケジュールは往路の「OD532」便はスバン発が9時25分、バンコク着が10時40分。復路の「OD533」便はバンコク発が11時40分、スバン着が14時45分となっている。

バティック・エアはまた、スバンとクチン(サラワク州)を結ぶ直行便の運航を7月28日に開始すると発表した。機材はボーイングB738型機を使用。スケジュールは往路の「OD1612」便はスバン発が17時00分、クチン着が18時55分。復路の「OD1613」便はクチン発が19時55分、スバン着が21時50分となっている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ダヤク・デイリー、5月26日、バティック・エア発表資料)

コタキナバル―ラブアン旅客フェリー、3年ぶりに運航再開

【コタキナバル】 サバ州コタキナバルと連邦直轄地ラブアンを結ぶ旅客フェリーが、3年間の運休を経て27日再開した。運航再開の式典にはハジジ・ノール州首相が出席した。所要時間は3時間。

同フェリーはジェセルトン・ポイント・ターミナルの安全上の懸念、燃料補助金の削減、新型コロナ・パンデミックにより2023年に運休していたもので、再開にあたってコタキナバル側のターミナル港をジェセルトン・ポイントからコタキナバル港に移し、新ターミナルの改修工事に130万リンギを投じた。

エコノミークラスの往復運賃は、マレーシア人が45リンギ、外国人は90リンギ。ファーストクラスは、マレーシア人が55リンギ、外国人は100リンギとなっている。5月28日から6月3日までは毎日1便運航(コタキナバル発午前8時)し、その後は毎週金曜、土曜、日曜に運航する。

コタキナバルから乗船する場合、利用者はジェッセルトン・ポイントでチケットを購入し、ジェッセルトン・キーからコタキナバル港のCIQターミナル行きのシャトルバスに乗る。CIQターミナルで税関・出国審査を受けて乗船する。
(マレー・メイル、5月27日)

次世代モバイル回線構築でUモバイル、テレコムマレーシアと提携

【クアラルンプール】 2つ目の第5世代(5G)移動体通信ネットワークを構築するUモバイルはネットワーク整備を迅速に進めるため、テレコム・マレーシア(TM)と提携することで合意し10年契約を交わした。契約総額は24億リンギ。

契約では、TMはUモバイルに専用回線などバックホールを提供し、データセンター利用権も与える。バックホールとは基地局とコアネットワークを繋ぐ回線。TMの光回線は延べ74万キロに及び、国内最大。Uモバイルは来年7月末までに人口密集地の80%で5Gが利用できるようにする。

ファーミ・ファジル通信相が立ち会った締結式でUモバイルのウォン・ヒアントゥック最高経営責任者(CEO)は「信頼性の高い5Gサービスを保証し、超高速サービスをユーザーに提供する」と語った。

1つ目の5G網は政府系デジタル・ナショナル(DNB)が敷設する。ファーミ氏は「TMの光回線を利用することでUモバイルは利用料金を抑えることができる」と手ごろな料金設定に期待を表明した。DNBとの回線共有もUモバイルに要請した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、5月23日)