タイ国鉄、バンコク―ペナン直通国際列車を再開へ

【クアラルンプール】 マレーシア・タイ両国は、タイ・バンコク(バンスー中央駅)とペナン・バタワース駅を結ぶ直通国際列車サービスを再開する方向で合意した。タイ国鉄(SRT)のエカラット・スリアラヤポン総裁室長が発表した。向こう2―3カ月内の運行開始を目指す。

直通国際列車サービス再開は、先ごろサバ州コタキナバルで開催された「第42回マレーシア国鉄(KTMB)―SRT合同会議」で合意された。プロジェクトの詳細を確定するための共同作業グループが設立され、6カ月の試験運用期間を経て本格的に直通国際列車サービスを開始する予定だ。

SRTは長らく運行されてきたバンコク―ペナン間の直通国際列車を2016年に廃止し、両国国境のパダンベサル止まりに変更していた。

エカラット氏は、観光と経済成長の促進を目指すタイ政府の政策の一環で、タイ・マレーシア間を行き来する旅行者にシームレスな接続を提供するのが狙いだとしている。

同合同会議では、クアラルンプール(KL)から運行されているKTMBの「マイサワディー」観光列車の行き先を休日だけハジャイからスラタニまで延長する計画についても議論された。

また国境を越えた貨物輸送の強化についても議論され、SRTはハジャイやパダンベサルを含む主要ルートでの貨物輸送を強化することを約束した。マレーシア、タイ、ラオス、中国を結ぶ「ASEAN(東南アジア諸国連合)エクスプレス」貨物列車サービスも運行頻度が増やされる見通しだ。

(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月21日)

疑わしい金融取引を検出する「国家詐欺ポータル」運用開始

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラのアブドル・ラシード総裁は20日、人工知能(AI)を活用して疑わしい金融取引を検出する「国家詐欺ポータル(NFP)」の運用を開始したと発表した。

アブドル・ラシード総裁は、NFPはモジュール設計を採用することで継続的に機能を改善できるようにしていると説明。現在、16の金融機関が参加しているが、さらに多くの機関が近く参加する予定だとした。

同氏はマレーシアでは金融詐欺による損失は金融取引全体から見ると比較的小さいものの、国内の金融システムへの信頼性を確保するためにも、脅威を特定し克服することが必要だと指摘。サイバー犯罪は今後もテクノロジーを悪用することが予想されるため、金融詐欺との戦いは継続するとし、テクノロジーの最適化、官民協力体制の育成、消費者の権利強化という3方面から詐欺撲滅を図っていくとした。

NFPの運用開始により、盗まれた資金を複数の金融機関や決済システムにまたがり追跡する機能が自動化されるため、国家詐欺対策センター(NSRC)の機能が強化される。また、被害者がNSRCホットラインに連絡することで、盗まれた資金のシステム外への移動も防ぐことができるようになり、資金を取り戻せる可能性も高まったという。

(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、8月20日)

先端技術のGodot、ジェトロの進出支援プログラムに採択

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ディープテック(高度先端技術)新興企業のゴドー(Godot、本社・兵庫県神戸市)は20日、日本貿易振興機構(ジェトロ)の「J-Bridgeエスコート・プログラム(マレーシア):グリーン・トランスフォーメーション・アクセラレーション・プログラム2024」の支援企業5社のひとつに選ばれたと発表した。

同プログラムはジェトロがオープンイノベーションの推進を目的に、サンウェイ・グループのイノベーション部門サンウェイiラボと連携し、日本企業と海外企業のグリーン技術(GX)などを活用した連携・協業を支援するもの。採択企業は、協業先候補の発掘から事業化に向けたメンタリングまで伴走する一貫支援を受けることができる。Godotは、同プログラムのワークショップや現地ミッション、ビジネスマッチング等を活用し、東南アジア地域での事業展開に向けた下地づくりを進めていく。

Godotは2022年7月に設立。創業以来、日本国内で特定健診やがん検診の受診率向上など、主にヘルスケア領域において実績を積んできた。同時に、国際組織や海外機関との連携、創業1年目でのウィーン拠点開設など、欧米中心に海外進出も進めてきたが、本プログラムを機に、東南アジア地域におけるGX推進や健康増進に取り組み、グローバル課題解決の可能性を拡げていく方針だ。

マレーシアはAI技術トップ20カ国入りを目指す=首相

【シャアラム】 アンワル・イブラヒム首相は19日、マレーシアは、人工知能(AI)技術でトップ20カ国入りを目指しているとし、目標達成に向け、AI関連技術の研究者、開発者、政策決定者が協力するよう呼びかけた。

アンワル首相は同日マレーシア工科大学(UTM)シャアラム校で開催された国際会議でのスピーチで、責任ある倫理的なAI開発促進には関係者間の協力が不可欠だと言明。政府は国家AIエコシステムの構築に向け取り組んでいるとし、AI研究教育センターや独自のAIクラウドシステムの開発を計画しているとした。

一方、ディープフェイク技術を用いた偽画像・動画など、AIの危険な側面にも注意が必要だとし、政府は政策や法律を通じて、AIが社会に及ぼす悪影響を最小限に抑え、強固なAIガバナンスを確保することを目指すと述べた。具体的には、ASEAN(東南アジア諸国連合)内でのデジタル経済協力、個人情報保護法の改正、サイバーセキュリティ法案やデータ共有法案の策定に取り組んでいるという。

(ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、8月19日)

ペナン港で浮体式太陽光発電所の建設計画が浮上

【ジョージタウン】 ペナン港で、停泊中の国際クルーズ船に再生可能エネルギー(RE)を供給するための、浮体式太陽光発電所の建設計画が浮上している。英字紙「ザ・スター」が報じた。2030年以降、RE電力が供給できない港湾にはクルーズ船が寄港しなくなる可能性があるためだという。

ペナン港沖のサッカー場3個分に相当する4ヘクタールに及ぶエリアに浮体式太陽光発電所を設置するというもので、晴れた日には6,000世帯に電力を供給できる規模の30メガワットの発電量が見込まれるという。ペナン本土沖のノースバターワース・コンテナターミナル(NBCT)とデルマガ・ダラムの間の海域が候補地となっている。今後、事業化調査が行われるという。

スウェッテナム・ピアクルーズ・ターミナル(SPCT)に寄港するクルーズ船にRE電力を供給することが狙いで、RE電力の利用を希望する国際クルーズ会社にとってペナン港が魅力的なものとなると期待されている。

港湾におけるRE電力供給は、国際海事機関(IMO)が2030年を目標にしている温室効果ガス(GHG)40%削減の達成に向け、船舶に供給する電力の少なくとも5-10%削減を目標に掲げており、RE供給インフラがない港湾にはクルーズ船が寄港しなくなる可能性があるという。

(ザ・スター、マレー・メイル、8月20日)

KL中心部に5つ星ホテル「インペリアルレクシス」がオープン

【クアラルンプール】 ホテル運営のレクシスホテルグループは、クアラルンプール中心部に5つ星ホテル「インペリアル・レクシス・クアラルンプール」をオープンした。

53階建てで、客室数は275室。インフィニティ・プールを備えているが、全客室に小さなプライベートプールも付属している。51階には宿泊客専用のスカイデッキ展望台があり、ペトロナス・ツインタワーやKLタワーを間近に見ることができる。環境にも配慮しており、アメニティやパッケージに環境に優しい素材を使用し、エネルギー効率の高い技術を取り入れている。タブレットやモバイル端末によるモバイルチェックインも採用しており、紙の使用量を削減している。

公式ウェブサイト(https://www.imperiallexiskl.com/)からの直接予約で、限定特典が受けられるという。

(ベルナマ通信、8月17日)

スポーツカーのロータス、旗艦店をシャアラムに開設

【クアラルンプール】 スポーツカーのロータス・カーズ・マレーシアは、セランゴール州シャアラムのグレンマリーに旗艦店「ロータス・クアラルンプール」を開設した。

床面積は1,765平方フィートで、そのうち987平方フィートをショールームが占める。2基の納車ベイ、顧客ラウンジ、専用商品エリア、ロータス車をカスタマイズできるコンフィギュレーター・ルームも備えている。営業時間は月―土曜が午前8時30分―午後5時30分、日・祝日は午前10時―午後4時。同社は今年3月、クアラルンプールのショッピングモール「パビリオン・ダマンサラ・ハイツ・モール」内に初の「ロータス・ストア」をオープンしており、今回開設した店舗は国内2店舗目となる。

開所式では同ブランドで初となる完全電気自動車(EV)の「エメヤ ハイパーGT」の公式発表も行われた。マレーシアには中国で製造された3バリアントが輸入され、保険なし価格は55万5,000―77万7,000リンギ。本体には5年間または走行距離15万キロメートル(km)までの保証、バッテリーには8年間または20万kmの保証が付属する。

(ポールタン、モタオート、8月16日)

UMWトヨタ、新型ハイラックスなど3車種の予約受付を開始

【クアラルンプール】 UMWトヨタ・モーターは、ピックアップトラック「ハイラックス」、スポーツ多目的車(SUV)「フォーチュナー」、スポーツ車「GR86」の最新モデルの予約受付を開始した。全国のトヨタ正規ディーラーで予約可能だが、「GR86」のみ「GRガレージ」9店舗限定での予約受付となる。

新型「ハイラックス」の価格は10万4,880リンギから。リモートエンジンスタート、ワイヤレス充電器、パノラマビューモニターなどの先進的機能が追加され、運転の安全性と利便性が強化された。

新型「フォーチュナー」の価格は19万5,800リンギからとなり、新しいGRボディキットとリモートエンジンスタートが搭載された。

新型「GR86」の価格は29万5,000リンギからとなり、スロットルレスポンスやサスペンションの改善、電動パワーステアリングの再調整、シフトダウン後のエンジン回転数向上などの改良が施され、フロントとリアにデジタルビデオレコーダーも搭載されている。

ラビンドラン・クルサミー社長は、ラインナップを継続的に改善することで、顧客の期待を超える最高の運転体験を提供していくと述べた。

(モタオート、8月17日、ジグホイールズ、8月16日)

新型公共バスをネグリセンビラン州で導入、今後全国にも展開へ

【ジェレブ】 アンソニー・ローク運輸相は16日、ネグリ・センビラン州で全国初となる新型バスを導入すると発表した。公共バスサービス変革(SBST)プログラムによるもので、ピンク色の新型バスおよびキャッシュレス決済システムを導入する。

ローク運輸相によると、連邦政府はネグリ・センビラン州に7,900万リンギを割り当て、44台のミニバスと2台のワゴン車を導入。地元バス運営企業ゴピ・トラベル・ツアーズにクアラ・クラワン、クアラ・ピラ/バハウ、ポート・ディクソンの3路線の運行を委託した。契約期間は5年間。新型バスでは運行間隔は30分から1時間の間で一定に保たれており、GPS(全地球測位システム)および監視カメラにより監視されるという。高齢者、障害者、学生は事前登録の上、無料で利用できるようにする。

ローク運輸相は、今後、ジョホールバル(ジョホール州)、マラッカ(マラッカ州)、カンガー(ペルリス州)、イポー(ペラ州)、クアラ・トレンガヌ(トレンガヌ州)、クアンタン(パハン州)、コタ・セタル(ケダ州)、コタ・バル(クランタン州)などの都市や、東マレーシア(サバ、サラワクの両州)での新型バスの段階的導入を目指すとし、マラッカではすでに新しい運行業者が決定しており、間もなく新型バスが導入される予定だとした。一方、他州では現行契約が満了するまで待つ必要があるとしている。

ローク運輸相はまた、新型バスの色としてピンク色を選んだのは、明るい印象を与え、より多くの人々に公共交通機関を利用してもらうためだと説明。セレンバンではバス第1ターミナルの改修も進行中で来年完工する予定だとし、同地では透析センターや病院に定期的に通う必要がある市民を対象にした、予約制のバスも運行する予定だと述べた。

(エッジ、ベルナマ通信、8月16日)

マレーシア、個人認証およびデジタルIDにワールドコインを採用

【クアラルンプール】 デジタル省傘下の研究開発組織マレーシア・マイクロエレクトロニクス・システム研究所(MIMOS)は16日、仮想通貨(暗号通貨)のワールドコイン財団、その開発組織であるツールズ・フォー・ヒューマニティ(TFH)、電子政府サービスの現地企業MyEGサービシズとの間で覚書(MoU)を締結した。仮想通貨「ワールドコイン」の虹彩スキャン技術を個人認証やデジタルIDに活用する。

「ワールドコイン」は、生成人工知能(AI)開発に携わる米オープンAIの創設者であるサム・アルトマン氏らが立ち上げたもの。MIMOSは、TFHの最先端虹彩認証デバイス「オーブ」を活用することで、国内のデジタル認証を改善できるとしている。また、「オーブ」の共同製造、ワールドチェーンとマレーシアの国家ブロックチェーン・インフラの接続、ワールドコイン技術のオープンソース利用などについても検討する。

TFHはオーブやアプリに関する技術知識とサポートを提供し、MyEGは技術統合とハードウェア展開に取り組む。

ワールドコインは欧州やラテンアメリカなどでサービス拡大を行っているが、一部の国では生体認証データの収集に関する懸念も高まっており、香港やスペインなどでプライバシー条例違反の疑いでサービス停止に至っている。一方、ワールドコインは5月、生体認証データシステムを一般公開することで、ユーザーが古い虹彩コードを安全に削除できると発表し、一時サービスを停止していたケニアでは利用が再開されている。

(コインテレグラフ、クリプトステート、8月16日)