日本・マレーシア、通貨スワップ協定を更新

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本銀行とマレーシア中央銀行バンク・ネガラは19日、日本・マレーシア二国間通貨スワップ協定(BSA)を更新したと発表した。

日本・マレーシア両国は、2020年に締結した交換上限額を30億米ドルとする協定を更新、9月18日付けで発効した。同協定は日本とマレーシア当局が、相互に米ドルと自国通貨を交換すること、またマレーシア当局が日本円とマレーシア通貨リンギを交換することを可能とするもので、今回の改正においては、直近のチェンマイ・イニシアティブ(CMIM)契約書の改正に沿った修正が組み込まれている。

日銀は声明の中で、日本とマレーシアは今回の協定延長が、両国間における更なる金融協力の深化に資するとともに、アジア域内の金融安定に貢献することに合意するとしている。

ITコンサルの米アバナード、東南アジア初の生成AIラボを設立

【クアラルンプール】 米アクセンチュアとマイクロソフトの合弁会社でITコンサルに携わる米アバナードは、東南アジア初の生成人工知能(AI)ラボをクアラルンプール・オフィス内に設置したと発表した。

アバナードは声明で、ラボでは生成AIソリューションを実験・共創し、データからビジネス価値を引き出すことで、組織のAI対応を支援すると述べた。さまざまな職位の従業員の生産性向上を目指し、マイクロソフトのクラウド上で生成AIソリューションを開発する。また、データとの対話、顧客対応音声の分析、テキスト入力による画像生成などに関するワークショップやデモを開催し、顧客企業がAIソリューションを体験できる機会を提供する。

アバナードの東南アジア責任者であるババ・カプール氏は、AIが産業を再構築し、人とテクノロジーの関係を再定義する中、ラボは未来の仕事像を想像する場として機能し、「マレーシアと東南アジア地域の可能性を解き放ち、AI革命の最前線に位置づける」という同社の取り組みを強化すると述べた。

マイクロソフト・マレーシアのK.ラマン社長は、生成AIの出現により、組織はより創造的で生産的、効率的になり、有意義なイノベーションが促進できるとし、マレーシア国内外で組織へのAI導入を進める上で、アバナードと協業できることを嬉しく思うと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月19日)

プロトン、スマート車の現地組立生産に向けて覚書締結

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、中国のスマート・オートモービルとの間で、ペラ州タンジョン・マリム工場でのスマート車の現地組立(CKD)の可能性を探るため、覚書(MoA)を締結した。

プロトンは2022年1月にも、スマートとの間で東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるスマート車の販売の可能性を探るため契約を締結。同年8月にはマレーシアとタイにおけるスマート車の販売に向け、販売代理店契約を交わしていた。
新たに交わした契約により、両社はスマート車のCKDに向けて協議を行い、協力関係を新たなレベルに引き上げる。

一方で、スポーツ車(SUV)タイプの電気自動車(EV)「スマート#1」の予約受付が19日に開始された。「スマート#1」の販売は、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国の中で初となる。バリエーションは「プロ」、「プレミアム」、「ブラバス」の3種で、保険なしの価格は20万から25万リンギ程度と推定されている。
(ポールタン、9月19日)

毎日ワッツアップを利用するマレーシア人は71%=調査

【クアラルンプール】 市場調査会社のカジデータが7月に無作為抽出で1,082人を対象に実施した調査によると、マレーシア人の71%が毎日ワッツアップを利用しており、次いでフェイスブック(51%)、ティックトック(49%)、インスタグラム(45%)、X(旧ツイッター、30%)が続いた。インターネット利用に関しても、61%が「1週間を通してかなりの時間利用している」と回答した。

カジデータの顧問である、マレーシア国際イスラム大学(IIUM)のサイド・アラビ・イディド教授は、テレビ(利用率40%)やラジオ(同20%)といった伝統的なメディアは、ソーシャルメディアやインターネットの魅力に勝てないと述べた。

同じくカジデータの顧問である、ハリス・イスマイル氏も、この調査結果により、ソーシャルメディアが支持政党も含め人々に影響を与えるために広く使われていることがわかるとし、政党がオンラインでの存在感を高めることで、人種、宗教、王室に関する問題を利用した分裂を生み、それが8月に実施された、6州の州議会同時選挙の結果にも影響したと述べた。ブミプトラ(マレー系および先住民)や華人が党自体を支持する傾向が強かったのに対し、インド系やその他の民族の大半は候補者個人を支持する傾向にあり、この傾向は、候補者よりも党を優先する汎マレーシア・イスラム党(PAS)のような政党の支持者の間で特に顕著であるという。一方、ハリス氏は、ソーシャルメディアでの政党の表示回数の多さは、広告を利用するなど有料で行われているもので、政党の実際の力を正確に反映しているわけではなく、必ずしも政治的優位性を意味するものではないと述べた。
(ザ・スター電子版、9月17日、ベルナマ通信、9月16日)

BMWマレーシア、年初8カ月のEV販売台数は1600台超

【クアラルンプール】 独系BMWグループ・マレーシアは18日、今年1ー8月に「BMW」、「MINI」、「BMW モトラッド」ブランドの電気自動車(EV)を1,600台以上販売したと発表した。昨年通年でのEV販売台数は1,557台だったため、すでにそれを上回ったことになる。

マレーシア公式オープンデータ・ポータルの8月末時点でのBMWのEV販売データによると、大型高級セダン「7」シリーズで初のEVとなる「i7」は今年150台を販売。スポーツ多目的車(SUV)「iX」は880台、SUV「iX3」は108台、5月に発売開始されたコンパクトSUVの「iX1」は291台、4ドアクーペ「i4」は120台がそれぞれ販売されている。

BMWグループ・マレーシアはまた、10月1日ー12月31日に「BMW」と「MINI」のEVを購入した先着200人に「EV充電無制限パッケージ」を提供すると発表。12カ月間、ジョムチャージ、チャージEV、ジェンタリが提供する全国のEV施設において、登録車両に対して無制限に充電ができるもので、料金は「BMW」では2,400リンギ、「MINI」では1,800リンギとなる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月19日、エッジ、ポールタン、9月18日)

8月の輸出高は1151.6億リンギ、前年比18.6%減少

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)の発表(速報値)によると、2023年8月の輸出高は1,151.6億リンギとなり、前年同月から18.6%、前月から1.4%それぞれ減少した。

輸入高は978.5億リンギで、前年同月比で21.2%、前月比で1.6%、それぞれマイナスとなった。貿易高は2,130.1億リンギとなり、前年同月からは19.8%、前月から1.5%共に減少。貿易黒字は前年同月比0.1%増、前月比0.3%減の173.1億リンギとなり、40カ月連続で黒字を維持した。

輸出先を国・地域別で見ると、シンガポールがトップとなり、2ー5位は中国、米国、日本、香港の順となった。日本への輸出額は74.3億リンギで、前年同月比マイナス19.3%となった。原油や金属製品が増加したものの、液化天然ガス(LNG)や精油製品、電気・電子(E&E)が減少したことが響いた。シンガポール向けの輸出も前年同月比で19.3%減少。2位の中国と3位の米国はそれぞれ20.3%、9.7%減となった。品目別ではE&Eが433.9億リンギで最も多く、これに精油製品、化学製品の順となった。

輸入先は中国がトップで、これにシンガポール、米国、台湾、日本の順となった。日本は前年同月比33.2%マイナスの51.9億リンギ。品目別では、E&Eが296.4億リンギで最も多く、2位は精油製品、3位は化学製品だった。

1ー8月の輸出高は9352.2億リンギで、前年同期比で7.6%減少。輸入は7822.9億リンギとなり、8.7%のマイナスとなった。貿易額全体は1兆7,175.1億リンギで、8.1%減。貿易収支は1,529.2億リンギの黒字となり、2.0%のマイナスとなった。

今年のハラルショーケース、成約額が31億リンギに

【クアラルンプール】 9月12ー15日の日程で開催されたハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2023」で、成約額が目標額の25億リンギを24%上回る31億1,000万リンギに達した。

今年で第19回目の開催となった世界最大のハラル見本市であるMIHAS2023は、マレーシア貿易開発公社(Matrade)が主催するもの。マレーシアの輸出業者向けに2023年9月11日に開催された国際調達プログラム(INSP)と、9月12ー15日に開催された44カ国の出展者が参加する見本市の2つのプログラムで構成され、予備的計算によると、INSPの成約額は12億2,000万リンギ、見本市の成約額は18億9,000万リンギに達した。バーチャルINSP商談会は11月30日まで行われるため、成約額はさらに上積みされるとみられる。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、「マレーシアのハラル産業マスタープラン2030では、ハラル産業の貢献度について2030年までにマレーシア国内総生産の11%に相当する2,660億リンギを目標としている」と述べた。
MIHAS2023には、100カ国以上から合計3万8,566人が来場し、当初予想の3万5,000人を上回った。うち2万9,090人が直接参加し、9,476人がバーチャルで参加した。 対面のINSPは、マレーシア企業469社と、11社のプレミアムバイヤーを含む44カ国の231人の海外バイヤーが合計2,788件の商談を行った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、9月19日)

スズキ、KMSBモーターズと二輪車用部品の供給契約を締結

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 スズキ(本社・静岡県浜松市)は18日、マレーシアのKMSBモーターズと二輪車生産用部品の供給契約を締結したと明らかにした。締結式は15日にスズキの鈴木俊宏社長も出席してプトラジャヤの首相官邸で行われ、アンワル・イブラヒム首相が立ち合った。

KMSBモーターズは、スズキブランドの二輪車をマレーシアで生産販売しているスズキマレーシアの親会社であるAFYモビリティ・インダストリーズのグループ企業。今後KMSBは、独自の二輪ブランド「AFAZ」を立ち上げる計画だ。
スズキは、「AFAZ」ブランドの排気量110ー150cc機種用のエンジンや車体関連部品を、2024年前半より順次供給する予定。供給部品は、スズキの東南アジアの工場で生産されるという。

鈴木社長は式典で、「スズキは二輪車の販売に加え、KMSBへの部品供給を通じて、マレーシアの二輪車市場と産業の発展に貢献していく」と述べた。

マレーシア航空、11月中旬までに機内食サービスを完全再開へ

【クアラルンプール】 マレーシア航空の親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は15日、機内食サービス再開に向け、新型ハイリフト・トラック10台を導入し、一部の便で温かい機内食サービスを再開したと発表した。11月中旬までの完全再開を目指す。

マレーシア航空は、8月末で機内食サービスのブラヒムズ・フード・サービシズ(BFS)との契約を打ち切った影響から、フライト遅延が大量に発生。また、代替食がパンなど、冷たく簡素なものであったことで乗客から不評を買い、その写真がソーシャルメディアで拡散されていた。

MAGは声明で、新型ハイリフト・トラックは、機内食カートを適切な温度を保ったまま吊り上げることができるもので、発注していた20台のうち10台が先行納品されたことから、11日付けでバンコクおよびデンパサール路線のビジネスクラスで、簡易ではあるが温かい機内食を再開したと述べた。

クアラルンプール発コタキナバル、クチン、マニラ、香港行きの便では、エコノミークラスの乗客にも提供を再開した。今後数カ月間に残り10台が到着し、また、機内食の内容を調整・強化することで、11月中旬までに完全な機内食サービスを再開する予定だとしている。

なお、ポス・アビエーションが機内食を提供している、ロンドン、オークランド、ジェッダ、メディナ、関空、羽田線では機内食の変更の影響は受けないという。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月18日、エッジ、ベルナマ通信、9月15日)

デング熱患者が増加、9月第2週は19%増の2,284人

【プトラジャヤ】 デング熱患者が増加している。ムハンマド・ラジ保健局長の声明によると、9月第2週(9月3日-9日)に届け出があった患者数は2,284人で、前の週より360人、率にして18.7%増加した。デング熱が原因の合併症による死者は2人だった。

9月9日までの今年通年のデング熱患者の累計は前年同期比110.5%増の8万2,485人になった。また合併症による死亡者数の累計は約2.5倍の59人となった。

9月第2週に確認された患者多発場所は66カ所で、最多はセランゴール州の47カ所。次いでクアラルンプールとプトラジャヤの合計が13カ所だった。ほかは、クランタン、サバ、ペナン、ペラの各州。

チクングニヤ熱に関しては、9月第2週に届け出のあった患者は3人で、今年の累計は166人になった。ジカ熱の新規患者はいなかった。ジカ熱、デング熱、チクングニヤ熱は共に蚊によって媒介されるウイルスの感染症。
(ザ・スター、9月16日、マレー・メール、9月15日)