祝祭シーズン中の高速道路無料化を廃止、新方式を導入へ

【クアラルンプール】 連邦政府は、これまで祝祭シーズン中に行ってきた高速道路の通行料金の無料化措置について、今年は実施しない方針だ。補助金合理化の一環で、よりターゲットを絞った方法に変更する方針という。29日からの旧正月連休も無料化されない見通し。

政府はこれまで、旧正月、ハリラヤ(断食月明け大祭)、ディパバリ、クリスマスの期間中、有料道路の通行料を無料化し、有料道路運営業者に補助金を提供してきた。アレキサンダー・ナンタ・リンギ公共事業相は、通行料の無料化は富裕層や外国人にも恩恵をもたらすため、低所得のマレーシア国民などに限定した方法を検討中で、近く発表すると言明した。

2023年のハリラヤ期間中は、33の主要高速道路の無料化により9,300万リンギ、直近では昨年12月23、24日の両日で3,800万リンギの公的負担が生じたという。専門家らからも、無料化は渋滞も招くため、公的負担分を公共交通機関ネットワークの改善などにあてるべきという声が上がっているとしている。
(ザ・スター、マレー・メイル、ベルナマ通信、1月21日)

マレーシア人訪日者数、12月は7万超、通年では過去最高


【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年12月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は7万1,600人となり、前年同月比で17.8%増となった。通年でも前年比21.9%増の50万6,800人を記録し、過去最高だった2019年の50万1,562人を上回る結果となった。

JNTOによると、査証免除措置による訪中旅行の人気の高まり、機材繰りなどに伴う一部航空会社の運航規模縮小などあるものの、リンギ高騰などの影響で、7万人超に達したとみられる。

また、世界全体の12月の訪日者数は348万9,800人で、1964年の統計開始以来、単月として初めて340万人を突破した。通年では3,686万9,900人で、これまでの過去最高だった2019年の3,188万2,049人を500万人近く上回った。マレーシアを含めた東南アジアからの観光客の伸びが大きく寄与した。2025年は大阪・関西万博が開催されることもあり、市場動向を分析しながらさらに戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくという。

無印良品、東マレーシア初店舗をクチンで開業

【クアラルンプール】 総合生活用品の「無印良品」は17日、サラワク州クチンの商業施設「ザ・スプリングショッピングモール」に新店舗を開業した。東マレーシア初進出となり、今後店舗展開を加速させていく方針だ。

新店舗の広さは2万平方フィート。これまでオンラインで購入していた東マレーシアの顧客から、出店を望む声が多く寄せられていたという。

Mujiマレーシアの早川正樹代表は「パンデミック以降、マレーシアでの事業拡大に力を入れてきた当社にとって、東マレーシアは長い間滞在的な市場であった」とし、3月にサバ州コタキナバルで、5月にはクチン2店目の開業も予定されている。
(ボルネオポスト、1月17日)

欧州連合との自由貿易協定交渉再開、EC委員長と合意

【クアラルンプール】 マレーシアと欧州連合(EU)は2012年にとん挫した、自由貿易協定(FTA)交渉を再開する。EU本部があるブリュッセルを19、20の両日訪問したアンワル・イブラヒム首相がウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会(EC)委員長と会談し合意した。

マレーシア首相府は20日の声明で「マレーシアとEUとのFTAはマレーシアの多くの産業部門に利益をもたらすとともに、重要分野における世界サプライチェーンの強化にもなる」とした。包括的協定を目指すという。

またマレーシアからEUへの電気・電子製品、パーム油・同関連品などの輸出が増加し、EUからマレーシアのグリーンエネルギー、先端製造業への投資が期待できるとした。

EUはマレーシアにとり4番目の貿易相手国・地域で、23年の貿易額は約2,000億リンギ。

交渉再開についてテンク・ザフルル投資貿易産業相とマロシュ・シェフチョビッチ欧州グリーンディール担当副委員長は共同声明を出し、「地政学の状況が変わりつつある現在、新たな提携を構築し、協力を深め、新たな機会を探ることは極めて重要だ」とした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月21日、ビジネス・トゥデー、1月20日)

 

セブン銀行、マレーシアのセブンイレブン店舗にATM設置

【クアラルンプール】 セブン・イレブン・グループのセブン銀行は、マレーシアのセブン・イレブン店舗へのキャッシュ・リサイクリング・マシン(CRM)設置を開始した。

年内にクアラルンプール、セランゴール州、ジョホール州、ペナン州の店舗に100台設置する。CRMにはATM(現金自動預け払い機)機能と小切手預入機能が備わっている。セブン銀行の松橋正明社長は、26年にはサバ州、サラワク州、および郊外を中心に全国規模でCRMを設置すると述べた。

マレーシアへの進出は、米国、インドネシア、フィリピンに続き4カ国目。マレーシアには現在、セブン・イレブン店舗が2,600店ある。

決済ネットのペイネットが22年に行った調査によると、国民の78%が依然、現金での支払いを好んでいる。調査会社イプソスによる24年調査でも、国民の45%は支払いに現金のみ利用している。

セブン銀行の永嶋恒雄常務執行役員は「マレーシアはデジタル化が進展しているが、現金が依然、支払いの重要部分を占めている。特に都市部以外でそれが顕著だ」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、1月21日、エッジ、1月20日)

サステナブルフードアジア、イベント参加の食品企業など募集

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 新たな食材開発などに取り組む「サステナブル・フード・アジア」(本社・東京都渋谷区)は、クアラルンプール(KL)で4月に開催する「サステナブル・フード・キャンプ2025(SFC2025)」に参加する食品関連の企業などを募集している。

SFCは東南アジアのフードテック企業と日本企業を結ぶことを目的に2023年から開催されている。前回は9カ国から113社が参加した。今年は「フューチャー・フーズ 今日のイノベーション、明日の持続」をテーマに、4月22日に開催される。食品関連の企業のほか、研究者、金融機関などが一堂に介し、糖尿病や肥満などの生活習慣病対策や、食の多様性、資源循環などについて議論し、協業を目指す。最後に、チームごとにアイデアの発表が行われ、優勝チームには賞金やアイデア実現に向けた支援が予定されている

2022年創業のサステナブル・フード・アジアは、教育開発や創業支援などを手がける「リバネス」(東京都新宿区)のグループ企業。
SFC2025の詳細は https://sustainablefood.camp/

昨年の公共交通機関の利用者数、 1日平均118万人=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は17日、公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアの2024年の業績報告を発表。鉄道・バスを利用した乗客は1日当たり平均118万人で、前年比24%増となった。2025年はさらに20%増の140万人が目標という。

乗客増加の背景として、新型コロナ・パンデミックから経済が回復傾向にあることや、2023年3月の首都圏大量高速輸送(MRT)プトラジャヤ線の開業などが挙げられた。乗客が最も多かったのは、12月31日の154万人だった。乗客数の増加などでプラサラナの収入は5%増加したという。

一方、列車が5分以上停止するなど運行が中断されたケースは71回で、前年の118回から40%減った。ローク運輸相は「平均すると現在、20万―40万キロメートルごとに1回の中断のところ、2026年までには100万キロメートルごとに1、2回に減らしたい」とし、人工知能(AI)を活用するなど「予防保守」に重点を置く考えを示した。

また2025年の乗客増加要因として、建設が進められている首都圏軽便鉄道(LRT)シャアラム線(旧LRT3)で9月30日までに最初の20駅の開業が予定されている。残りの5駅は2028年12月31日までに開業予定。

利用者のニーズに応じて柔軟に運行するオンデマンド型交通(DRT)についても、現在首都圏クランバレーで運行している20台から、2月には新たに300台増やす。新型ディーゼルバスも3月下旬から段階的に310台が納入される予定で、ローク運輸相は「これによりMRTとLRTの利用をさらに促進していきたい」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、1月17日)

外国人専用の納税者支部をKLに開設=内国歳入庁

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB、LHDN)は17日、外国人専用の納税者支部(CPCA)をクアラルンプール(KL)のLHDN事務所に開設したと発表した。

CPCAは、これまでKL、プトラジャヤ、セランゴール州の各事務所で扱っていた外国人、非居住者、源泉徴収税に関する税務情報を引き継いで一元管理し、業務の効率を高めるのが狙い。サービスの質の向上にもつながるという。

すでに1月1日から稼働しており、窓口は月曜―金曜の午前8時―午後5時まで、電子予約(https://ejanjitemu.hasil.gov.my/)も可能。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、1月17日)

佐賀大、PDでハイブリッド海洋温度差発電施設を開所

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 佐賀大学は20日、ネグリ・センビラン州ポートディクソンでハイブリッド海洋温度差発電(H-OTEC)の実験施設を開所した。

OTECは、海の表層部の温かい海水(摂氏25-30度)と、深層部の冷たい海水(摂氏5-7度)の温度差を利用し、蒸気を発生させてタービンを動かして発電する仕組み。中でもH-OTECはクローズドサイクルとオープンサイクルという2つの方式を組み合わせ、効率的に発電することができる。H-OTECは佐賀大学が特許を持つ世界初の技術。

海中の温度差が大きい熱帯地域の方が適していることから、佐賀大学ではマレーシア工科大学(UTM)、プトラ大学(UPM)などと共同で研究を行ってきた。日本で作った装置を昨秋にマレーシアのポートディクソンのUPM内に移設し、試運転を実施していた。

H-OTECは発電と合わせて、飲料水となる淡水を生み出したり、ミネラルを多く含んだ海洋深層水の農業や水産業への活用も期待されており、引き続き実証実験を続けていく。将来的には、サバ州などでの実証を目指すという。

H-OTECは、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)の共同による「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム」にも採択されている。

ユーモバイル、15-18カ月以内に5Gネットワークを開始

【クラン】 マレーシア第2の第5世代移動体通信(5G)ネットワーク事業者に選定されたユーモバイルは、15-18カ月以内に5Gネットワークサービスを開始する方針だ。ベルジャヤ・グループ創始者のビンセント・タン会長が明らかにした。

資金不足のために追加のパートナーが必要だと報じられていることについてタン氏は、5Gネットワーク展開のために政府資金や新たな現地パートナーは必要としないと明言。融資に前向きな銀行もあるとし、自己資金だけでなく銀行からの資金で実施できるとの考えを示した

また機器サプライヤーの選定に関しては、技術面の優位性から華為技術と中興通訊の中国系2社で検討していることを公表。これらのサプライヤーが資金を提供する可能性もあると述べた。

RHBインベストメント・バンクは先ごろ、ユーモバイルが2番目の5Gネットワークアクセスプロバイダーに選ばれたことを受けて、30億―40億リンギと推定される5G設備投資(CAPEX)を捻出するためにネットワーク提携に踏み切る可能性が高いと報じた。ネットワークインフラを共有することでサイトの展開が加速し、より迅速に人口をカバーすることができるという。

一方、タン氏は、ユーモバイルを2025年末までにブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に上場する計画であることを公表。今後数カ月以内に上場を申請する考えを示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、1月17日)