世界報道自由度ランキング、マレーシアは88位に上昇

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 5月3日の世界報道自由デーに合わせて「国境なき記者団(RSF)」が発表した2025年度版の「世界報道自由度インデックス」で、マレーシアは前年(107位)から19ランク上昇し、世界180カ国・地域中88位となった。

同ランキングは、▽政治▽経済▽法律▽社会▽安全ーーの5指標に基づいて報道の自由度をランキング化したもの。マレーシアは「安全」は67位から90位に下がったものの、「政治」は106位から92位、「経済」が82位から60位、「法律」は156位から133位、「社会」が119位から81位にそれぞれ改善した。

昨年の34ランクの大幅ダウンから一転し大幅アップとなった。最新のマレーシアのスコアは56.09で、前年の52.07から改善した。

RSFはマレーシアについて、「政治」と「法律」のスコアが引き続き低いレベルにとどまっていると指摘。当局が調査報道記者を付け狙っていたり、王室問題が人種や宗教に関する議論と同様に極めてデリケートな問題となっているとし、「王室を批判しているとみなされるいかなる論評や報道も訴追の対象となる可能性があり、この問題に関する自己検閲につながっている」と批判した。

東南アジアでトップはタイ(85位)で、ブルネイ(97位)、フィリピン(116位)、シンガポール(123位)、インドネシア(127位)、ラオス(150位)、カンボジア(161位)、ミャンマー(169位)、ベトナム(173位)となった。全体トップはノルウェーで、日本は66位だった。

22年の女性企業数は21.9万社で、国内経済の3.6%を生産

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局の4月30日の発表によると、2022年において女性が所有する企業は国内の総事業所数の20.1%にあたる21万9,015社で、総生産額は1,369億リンギとなり国内経済の3.6%を占めた。

「2023年経済センサス」に基づき、事業、不動産、その他の資産に対し、全額または一部を女性が所有する事業所を抽出した。前回の2015年の調査に比べ、女性企業事業所数の年間成長率は2.3%、総生産額では7.0%増となった。また、総生産額の増加に伴い、女性企業の総付加価値としては、年間6.5%の成長率で、614億リンギに達した。

部門別では93.6%がサービス部門で、総生産額の60.7%にあたる830億リンギを生み出した。製造業は女性企業数の割合では3.9%だったが、総生産額では前回から13.8%増と最も高い伸びを示した。

州別の女性企業数では、セランゴール州(15.9%)が最も多く、サバ州(10.4%)、クランタン州(8.9%)が続いた。付加価値でみると、セランゴール州が182億リンギ(29.6%)、次いでクアラルンプール市107億リンギ(17.4%)、ジョホール州74億リンギ(12.1%)となり、上位3つで全体の6割近くを占めた。

昨年のインフレ率は1.8%、ナシレマは13年間で81%高騰

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は29日、2024年通年の消費者物価指数(CPI=2010年を100として算出)の分析報告書を発表。CPIは全体で132.8となり、前年の130.4に対するインフレ率は1.8%となった。前年のインフレ率の2.5%からは鈍化した。

13の調査対象項目のうち、衣料・履物が0.3%、通信費が1.5%の下落で、それ以外の11項目では上昇した。そのうち、外食・宿泊(3.1%)、食品・飲料(2.0%)、保健(1.8%)、教育(1.5%)、交通費(1.0%)、家具・家庭用品等(0.7%)の6項目で前年の上昇率を下回り、インフレ率の鈍化につながった。一方、家賃・光熱費(3.0%)、雑品・サービス(同)、娯楽・文化(1.8%)、酒類・たばこ(0.7%)、保険・金融(0.3%)は前年を上回った。

州ごとにみると、1.8%を上回ったのは、ペナン州の3.0%を筆頭に、パハン州、サラワク州、セランゴール州の4州だった。東南アジア諸国連合(ASEAN)9カ国で比較すると、マレーシアのインフレ率を上回ったのは、ラオスの23.1%を最高に、ベトナム、フィリピン、シンガポール、インドネシアの5カ国だった。

さらに、マレーシアの定番食品11品目について2011年と比較。国民食ナシレマは11年の2.03リンギから24年には3.68リンギに、チキンサテーは11年の1本0.51リンギから24年に1.09リンギとなり、それぞれ81.3%、113.7%のアップとなった。

世界銀行、マレーシアの今年GDP成長率を3.9%と予測

【クアラルンプール】 世界銀行は、厳しい世界経済環境を理由にマレーシアの経済成長が2025年に鈍化すると予測。3.9%との低めの最新の成長予想を示した。2024年のGDP成長率は5.1%だった。今年第1四半期は速報値で4.4%となっている。

世界銀行のマレーシア担当、アプルバ・サンギ主任エコノミストは、「あらゆる留意点を踏まえた予測」だとしている。世界銀行はマレーシアを含むアジア太平洋諸国の成長率見通しを発表し、中国は4%、インドネシアは4.7%、フィリピンは5.3%、カンボジアは4%、タイは1.6%、ベトナムは5.8%、としている。

世界銀行は、世界環境の悪化に起因する外的要因により、輸出が大きな逆風に直面するだろうと指摘。国内需要と個人消費は引き続き成長を牽引し、また民間投資は複数年にわたる継続的な投資と、既に承認されたプロジェクトの実施によって引き続き支えられると見込まれるが、主に貿易と投資をめぐる不確実性の高まりに起因する、いくつかの重大な下振れリスクにさらされているとした。マレーシアについては、国内リスクは国内政策によるインフレ圧力と、悪天候による供給混乱の可能性に起因しているとした。

今年のマレーシアの成長率については、国際通貨基金(IMF)が先ごろ4.7%から4.1%に引き下げたが、世界銀行による予測はIMFの予測よりもさらに低くなっている。マレーシア政府も最近の国際情勢を踏まえ、4.5―5.5%としていた公式成長率予測を下方修正する意向を示している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、4月26日)

マレーシアのインターネット世帯利用率は96.8%

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は24日、2024年の情報通信技術(ICT)の利用およびアクセスに関するレポートを発表。世帯における利用率は携帯電話が99.5%、インターネットは96.8%で、ともに前年から微増だったが、有料テレビに関しては67.1%と、前年から9.9ポイントの減少となった。

テレビ、ラジオの利用率も携帯電話と同じく99.5%、コンピューターが92.2%だった。個人の利用率でみると、インターネットが最も高く98.0%、携帯電話が99.5%、コンピューターが80.7%で、いずれも前年から0.1―0.3ポイントの微増となった。都市部と農村部で比較すると、コンピューターが都市部では86.5%だったのに対し、農村部では64.3%と、差が大きかった。

またインターネットの主な利用目的として、最も多かったのはソーシャルネットワークが99.7%(前年99.4%)で、動画・音楽のストリーミングやオンラインゲームが94.3%(同93.9%)、商品やサービスの情報収集で93.0%(同92.8%)と続いた。

IMFがGDP成長予想を下方修正、マレーシアは4.1%へ

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)はマレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を、1月に立てた4.7%から4.1%へ下方修正した。米国政権による関税措置が主因だ。世界経済についても成長予想を3.3%から2.8%へ修正した。

IMFはインドネシア、フィリピン、タイなど域内諸国のGDP成長予想も下方修正した。IMFが理由として挙げたのは、2月以降に複数回にわたり米政権が発表した、貿易相手国に対する関税引き上げ措置で「4月2日の、ほぼすべての貿易相手国に対する関税引き上げの適用で世界の主要株式指標は暴落し、債券利回りは上昇した」とした。

世界経済は「重要な分岐点にある」とIMFは指摘。新型コロナウイルス禍ですべて国の工業生産は急減したが、回復は国によって異なったという。

中国での生産は急増し、欧州連合(EU)の小国や東南アジア5カ国(マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ)では増加した。しかし日本やEUの大国ではウイルス禍以前の水準に戻るのに困難を伴ったという。
(ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、ザ・スター電子版、4月23日)

社会経済研究センターのGDP成長予想4%

【クアラルンプール】 シンクタンクの社会経済研究センター(SERC)は17日公表した第1四半期経済報告で、今年の国内総生産(GDP)は4%になるとの予想を示した。中央銀行が先に示した予想は4.5-5.5%。

発表に当たったリー・ヘングイエ専務理事によれば、トランプ関税は国際貿易や投資家マインドにマイナスだが、国内の個人消費、投資とも堅調を維持しているため、短期的衝撃を緩和できるという。

関税措置に対しては、90日間の猶予期間中の前倒し出荷の動きが世界的に見られ、購買担当者指数(PMI)が上昇している。

SERCは華人商工会議所(ACCCIM)と共同で4月7日から10日にかけ緊急調査を行った。輸出業者122社のうち、最大の輸出先が米国との回答は66%。米国のクライアントから値下げの申し入れがあった、との企業の割合は46.2%だった。

リー氏はまた、14日に開かれたマレーシア証券取引所での会議で、対米貿易黒字を減らす必要があるとの認識を示した。米国の関税逃れのためにマレーシアを利用されるようなことは回避すべきだという。
(マレーシアン・リザーブ、4月17日、エッジ、4月14日)

第1四半期のGDP成長速報値、プラス4.4%=統計局

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は18日、2025年第1四半期(1ー3月期)のマレーシア国内総生産(GDP)成長率の速報値を発表。前期(2024年10ー12月期)のプラス5.0%から、プラス4.4%に減速した。正式発表は5月16日に予定されている。

牽引役のサービス業は、前期のプラス5.5%からやや減速したもののプラス5.2%の水準を維持した。卸売・小売、輸送・倉庫、情報通信が貢献した。

製造業も、前期のプラス4.4%から、プラス4.2%にやや減速。電気・電子・光学製品、植物性・動物性油脂・食品加工、石油・化学・ゴム・プラスチック製品の好調に支えられた。

建設業は前期のプラス20.7%から、プラス14.5%に減速したものの、特殊建設、住宅建設の成長に支えられ、2ケタ成長は維持した。

農業は、前期のマイナス0.5%からプラス0.7%に持ち直した。アブラヤシ・サブセクターが低迷したものの、漁業およびその他の農業サブセクターに支えられた。

一方、鉱業・採石業は原油・コンデンセートおよび天然ガスの生産量減少が影響し、前期のマイナス0.9%からマイナス4.9%にさらに落ち込んだ。

今年のマレーシアGDP成長予想、ムーディーズが下方修正

【クアラルンプール】 ムーディーズ・アナリティクスはマレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を5%から4.4%へ下方修正した。米国政権の関税措置で国際貿易が不透明になっているためだ。

ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)での会議においてムーディーズのアジア太平洋地域幹部カトリーナ・エル氏は「相互関税措置が長期に及ぶことはない、との前提での修正であり、もし長期にわたる場合、さらに大幅な修正になる」と言明。「関税措置の現状は変動が激しい。こうした不透明感はマレーシアのような輸出依存国には大問題だ。輸出は減少する」と述べた。

ムーディーズ・アナリティクスはインフレ予想も2%から1.6%へ修正した。物価上昇が予想より緩やかであれば、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)には金融緩和を考える余地が生じるという。

アブドル・ラシードBNM総裁は同じ会議で、中銀のGDP増加率予想(4.5-5.5%)の見直しに着手したことを明らかにした。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月14日)

ペナン国際空港、新ターミナル建設など最大12億リンギの見通し

【クアラルンプール】 昨年から始まったペナン国際空港(PIA)の拡張工事で、新メインターミナルビル建設を含む「パッケージ3」の入札が5月に行われる見通しだ。CIMB証券が10日に報告書を発表し、契約額は最大12億リンギになるとしている。

PIAの拡張工事は3つのパッケージに分けて進められている。パッケージ3には、新ターミナルの建設、既存ターミナルの改修などが含まれる。2027年に完工予定。
管制塔建設などを含むパッケージ1は、高速道路建設などを多く手掛けるガガサン・マヤが昨年9月に1億800万リンギで受注。現在の進捗率は31%で、今年11月の完成を目指している。

誘導路や駐機場(エプロン)を含むパッケージ2は、建設会社エーカーワークスが2億5,500万リンギで受注し、今月中旬の着工を予定している。

CIMB証券によると、カタールのハマド国際空港建設で実績のある建設大手のガムダが、パッケージ3の最有力候補に挙げられており、そのほかIJMコープ、マレーシアン・リソーシーズ・コープ (MRCB)、サンウェイ ・コンストラクション・グループなども入札参加が見込まれているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、4月10日)