人口集中地域の7月末時点のインターネットカバー率98.82%

【クアラルンプール】 マレーシアの人口集中地域におけるインターネット通信のカバー率は7月31日時点で98.82%に達した。ファーミ・ファジル通信相が13日、下院議会質疑の中で明らかにした。

ファーミ氏は、高速通信規格「5G」のカバー率についても言及。国営デジタル・ナショナル(DNB)が計7,489カ所の基地局を設置し、全国の人口集中地域の82.4%をカバーしていると説明した。加入者数は2,800万を超えたという。

一方、Uモバイルによる、国内2つ目の5Gネットワーク構築は、7月14日に運用が開始され、計1,232の拠点が5Gにアップグレードされたという。

こうした動きは、ブロードバンド普及のための国家デジタル・ネットワーク計画(JENDELA)第1期に基づくもの。ファーミ氏によると、今年中に第1期は完了し、超過疎地域を衛星通信などでカバーする第2期の計画が、今年第4四半期に発表される見通しだ。マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)が現在、最終調整中という。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、8月13日)

上半期のAI分野の認可投資は33億リンギ

【クアラルンプール】 マレーシアは今年上半期に人工知能(AI)分野で32億9,000万リンギの認可投資を確保した。ゴビンド・シン デジタル相が11日、明らかにした。

ゴビンド氏は、投資を通じ約6,920人の雇用創出が見込まれるとした。また、2023年のマレーシアの国内総生産(GDP)に占めるAIとテクノロジーの比率は23.5%で、政府が掲げる2025年末までに25.5%に引き上げるという目標達成についても自信を示した。

また、昨年発足した国家AI事務所(NAIO)を中心に、「国家AIアクションプラン2026ー2030」を策定中で、年内の発表に向け現在最終調整中であると説明。データ、人材、インフラの3つに重点を置き、マレーシアを東南アジア諸国連合(ASEAN)地域のAIハブとして位置付けることを目指していくと強調した。

さらに、28の省庁への省庁横断的なAI影響調査を実施中で、現在までに政府の業務におけるAIの活用事例として55件が報告されていることを補足。例えば、交通予測や港湾管理、病院の資源配分、医療記録のデジタル化、農業需給予測、労働力のスキルアップ支援などが挙げられるという。今後、「AI at Work」プログラムを導入し、公共部門の機能の効率性をさらに向上させていくと付け加えた。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、ザ・バイブス、8月11日)

来年の経済は成長が鈍化、財務省予算前声明

【クアラルンプール】 財務省は8日、来年度予算案の上程に先立つ省としての現状分析と来年の予想を発表。世界的な貿易の不確実性の高まりと外需低迷を背景に、来年の国内経済は成長が鈍化するとの見通しを示した。

成長を支えるのは強靭な内需、特に民間投資、安定した雇用、賃上げなど所得増の措置とみている。またマレーシア観光年はサービス業の成長に貢献する。このため来年度予算では国内成長要因の強化、輸出市場の多様化を図るという。

現状について、世界的な不確実性にもかかわらず国内経済は強靭さを維持しており、今年通年では4.0-4.8%の成長が見込める。5月の失業率は3.0%に低下。投資家の信頼、強固な基礎的条件を背景にリンギ需要は堅調で、対米ドルで今年、最も値上がりしたアジア通貨の一つになった。政府系企業の国内投資促進プログラムでは110億リンギが高成長分野に投じられた。

財務省はIMD世界競争力ランキングでマレーシアが69カ国・地域中、23位から11位に躍進したことも取り上げた。2桁躍進はマレーシのみ。
(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、8月8日)

フォーブス誌が選ぶアジア優良企業にマレーシアから9社

【クアラルンプール】 米系経済誌「フォーブス」のアジア版は5日、アジア太平洋地域の年間売上10億米ドル未満の優良企業「ベスト・アンダー・ア・ビリオン」200社を発表。マレーシアからは9社が選ばれた。

選ばれたのは、▽食品・飲料の製造・販売のエイブル・グローバル▽不動産開発のクレッシェンド・コーポレーション▽半導体関連のフロントケン・コーポレーション▽独立系石油・ガス探査のハイビスカス・ペトロリウム▽菓子製造・販売のハプ・セン・インダストリーズ▽駐車システムなどのITMAXシステム▽不動産開発のケルジャヤ・プロスペック・グループ▽太陽光発電のペカット・グループ▽包装材製造のサイエンテックス――。

アジア太平洋地域の1万9,000社を超える企業の中から、負債水準、過去1年間および3年間の売上高と1株当たり利益の伸び、過去1年間および5年間の自己資本利益率(ROE)などに基づいて選出された。全体では金融サービス分野の成長が際立っており、昨年の8社から18社に増加。美容業界も好調で、特に韓国から13社がランクインした。2年連続で選出されたのは69社だった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、8月5日、発表資料)

IMFがGDP成長予想を上方修正、関税措置に言及

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)は29日公表の世界経済見通し報告で、マレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を、4月に示した数値より0.4ポイント高い4.5%に修正した。来年のGDP成長についても4.0%へ0.2ポイント上方修正した。

マレーシアの主要貿易相手国である中国の今年のGDPについても4.0%から4.8%へ上方修正。上半期の成長が予想以上だったことと、対米関税が引き下げられたことが理由だ。

IMFは、世界的に不確実性がみられるが、各国は透明な貿易の枠組みを推進することで、政策が原因の不確実性を減らすべきと米国の関税措置に言及。国際貿易システムが現状の形態では機能しない場合、現実に即した協力が望ましいとした。

さらに、2国間交渉は貿易上の緊張を和らげることができ、貿易障壁の引き下げを目指すのが望ましいが、そうした交渉は国内政策が原因の対外収支の過剰な不均衡など、緊張の根本原因に対処することが最終目的であるべきとの見解を示した。
(ビジネス・トゥデー、7月30日、ザ・スター電子版、ベルナマ通信、7月29日)

中銀、今年の経済成長予想を4.0―4.8%に下方修正

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラは28日、世界情勢の変化を受けてマレーシアの今年通年の国内総生産(GDP)成長予想を従来の4.5―5.5%から4.0―4.8%に下方修正した。

中銀は3月の経済通貨政策レビューの発表以降、世界経済の状況は大きく変化したと指摘。世界の経済成長見通しは、貿易政策の変化、関税動向をめぐる不確実性、そして地政学的緊張の影響を受けているとした。

その上で、小規模な開放経済であるマレーシアの成長見通しはこれらの動向に左右されるが、第2四半期のGDP成長率の速報値を含む最新の指標は、マレーシアの経済活動の持続的な力強さを示しており、国内需要が好調を維持し続けていることもあってマレーシア経済は依然として堅調を続けるだろうと分析した。

中銀によると、マレーシアでは特に国内関連セクターにおける良好な労働市場環境と政策措置が引き続き民間消費を下支えする見込み。一方、複数年にわたるインフラプロジェクトの進捗、承認済み投資の継続的な高い実現率、国家開発計画に基づく触媒的取り組みによって投資活動の拡大が持続するとみられるという。
(ベルナマ通信、7月28日、中銀発表資料)

アジア開銀がGDP予想を下方修正、貿易・投資見通しの悪化で

【クアラルンプール】 アジア開発銀行(ADB)は貿易、投資の見通しが悪化しているとしてマレーシアの今年の国内総生産(GDP)成長予想を4.9%から4.3%へ下方修正した。来年の成長予想も4.8%から4.2%へ修正した。

ADBは23日公表の報告で「第1四半期のGDP成長は堅調だったが、米国による関税措置が輸出と投資の見通しを悪化させた。同期の外国からの投資(認可ベース)は前年同期と比べ増加したが、国内投資は293億リンギと27.4%減少した」と指摘した。

一方で家計支出は堅調を維持し、5月の失業率は1月の3.1%から3.0%へ低下しており、労働市場は強靭さを維持していると述べた。

ADBは東南アジア全体の今年と来年のGDPについても、増大する貿易上の不透明を理由に、成長予想を下方修正した。
(新華社、フィナンシャル・エキスプレス、7月23日)

マレーシアの99%がデジタル決済に前向き=マスターカード調査

【クアラルンプール】 マレーシアの消費者の6割が現金やカードなどの従来の決済手段よりも、デジタル決済を好んでおり、さらに99%が今後1年以内に新たなデジタル決済手段を利用予定だ。マスターカードが行った最新のグローバル調査で明らかになった。

マレーシアでデジタル決済を好むと回答した人は63%で、アジア太平洋地域の平均の53%を上回った。北米では25%、ヨーロッパは24%だった。

一方、昨年現金決済を利用した人は70%、次いでQRコード決済の利用者が64%で多かった。

今後については、1年以内に93%が5つ以上の決済方法を利用すると回答。ドゥイットナウのような銀行口座間の即時送金(インスタント決済)を利用するとした人が86%、QRコード決済が85%、デジタルウォレットが83%だった。

調査は、昨年9月4―20日に実施。世界5地域で1万9,302人、マレーシアからは1,010人の消費者が回答した。
(ビジネス・トゥデー、フォーカス・マレーシア、7月22日)

マレーシアの人口、2059年に4230万人でピ―クに到達

【クアラルンプール】 マレーシア統計局(DOSM)が2025年世界人口デーに合わせて発表した最新の報告書によると、マレーシアの人口は2059年に4,238万人でピークに達し、その後緩やかな減少期に入ると予想されている。
マレーシアの人口は着実に増加し、2030年から2060年にかけて年平均人口増加率は0.5%で緩やかに推移し、2059年にピークを迎えた後、減少に転じると予想される。2030年には3,649万人、2040年には3,978万人、2050年には4,179万人に達すると予想されるという。

民族構成にも大きな変化が見込まれており、ブミプトラ(マレー人と先住民の総称)比率は2030年の71.8%から2060年には79.4%に上昇すると予測される。一方、華人の割合は急激に減少し、2030年の21.1%から2060年にはわずか14.8%にまで減少する見込み。インド系の割合も30年間で6.3%から4.7%に縮小するとみられる。

2059年以降の人口減少の一因として男女比の不均衡の加速が挙げられており、男女比は2030年の女性100人に対する男性112人の比率から、2060年には女性100人に対する男性比率は114人に増加すると予想され、2060年にはマレーシアの人口は、男性2,250万人、女性1,980万人になるとみられる。

マレーシアはまた、急速な高齢化社会に直面しており、平均年齢は2030年の32.8歳から2060年には40.7歳に上昇する見込み。若年層(0―14歳)の割合が19.9%から16.0%に、生産年齢人口(15―64歳)が70.8%から65.7%にそれぞれ減少する一方、65歳以上の高齢者人口は、2030年の9.3%から2060年には18.3%へと急拡大する見通しだ。

州レベルでは、セランゴール州が2060年も810万人でマレーシアで最も人口の多い州になる見込み。これにジョホール州(499万人)、サバ州(489万人)が続く。クアラルンプールは、2060年までに若年人口の割合がわずか9.1%と最も低くなる見込みで、高齢人口の割合は26.2%と最も高くなると予想されている。
(ボルネオポスト、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、7月11日)

CEO信頼感指数、25年第2四半期は前年・前期比で低下

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 米ビステージの調査によると、2025年第2四半期の中小企業最高経営責任者(CEO)信頼感指数(CCI)は91.1ポイントに急落し、前年同期の106.9ポイント、前期(25年第1四半期)の104.2ポイントをいずれも大きく下回った。

企業経営者の間で経済の不確実性が高まっていることを反映し、2021年第3四半期以来最大の四半期の落ち込み率となった。ビステージ・マレーシアの会員数は1,336人で、91%に当たる1,219人から回答を得た。

現時点での経済状況指数は82.0ポイントで、前期の107.0ポイントを20ポイント下回り、最も下落幅が大きかった。また将来の経済状況指数(-17ポイント)、収益成長率見通し(-16ポイント)、投資計画見通し(-15ポイント)、利益成長率見通し(-14ポイント)、雇用見通し(-12ポイント)と指数全体で大幅に低下した。

懸念されている米トランプ政権の貿易政策の影響については、約70%が自社のビジネスには関係しないと考えており、「影響が少ない」(34%)、「まったくない」(35%)と予想している。大きな影響を予想しているのはわずか3%にとどまり、中程度の影響を予想しているCEOは28%だった。

影響緩和戦略については、57%が中国のサプライヤーとの協力を挙げ、49%がサプライヤーの多様化、12%が中国のサプライヤーへの依存減、11%が「備蓄を増やす」と回答した。

中国の米国向け輸出がマレーシアを含む他の市場に振り向けられる可能性については、40%が脅威よりも機会の方が大きいと考えており、36%が利益よりもリスクの方が大きいとの見方をやや上回った。主な懸念事項は、低価格の中国製品がマレーシア市場に流入する可能性で、33%が地元産業への悪影響を予想しているが、一方で58%が中立的な影響を予想しており意見が分かれている。