フォーブス誌が選ぶアジア優良企業にマレーシアから9社

【クアラルンプール】 米系経済誌「フォーブス」のアジア版は5日、アジア太平洋地域の年間売上10億米ドル未満の優良企業「ベスト・アンダー・ア・ビリオン」200社を発表。マレーシアからは9社が選ばれた。

選ばれたのは、▽食品・飲料の製造・販売のエイブル・グローバル▽不動産開発のクレッシェンド・コーポレーション▽半導体関連のフロントケン・コーポレーション▽独立系石油・ガス探査のハイビスカス・ペトロリウム▽菓子製造・販売のハプ・セン・インダストリーズ▽駐車システムなどのITMAXシステム▽不動産開発のケルジャヤ・プロスペック・グループ▽太陽光発電のペカット・グループ▽包装材製造のサイエンテックス――。

アジア太平洋地域の1万9,000社を超える企業の中から、負債水準、過去1年間および3年間の売上高と1株当たり利益の伸び、過去1年間および5年間の自己資本利益率(ROE)などに基づいて選出された。全体では金融サービス分野の成長が際立っており、昨年の8社から18社に増加。美容業界も好調で、特に韓国から13社がランクインした。2年連続で選出されたのは69社だった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、8月5日、発表資料)

IMFがGDP成長予想を上方修正、関税措置に言及

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)は29日公表の世界経済見通し報告で、マレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を、4月に示した数値より0.4ポイント高い4.5%に修正した。来年のGDP成長についても4.0%へ0.2ポイント上方修正した。

マレーシアの主要貿易相手国である中国の今年のGDPについても4.0%から4.8%へ上方修正。上半期の成長が予想以上だったことと、対米関税が引き下げられたことが理由だ。

IMFは、世界的に不確実性がみられるが、各国は透明な貿易の枠組みを推進することで、政策が原因の不確実性を減らすべきと米国の関税措置に言及。国際貿易システムが現状の形態では機能しない場合、現実に即した協力が望ましいとした。

さらに、2国間交渉は貿易上の緊張を和らげることができ、貿易障壁の引き下げを目指すのが望ましいが、そうした交渉は国内政策が原因の対外収支の過剰な不均衡など、緊張の根本原因に対処することが最終目的であるべきとの見解を示した。
(ビジネス・トゥデー、7月30日、ザ・スター電子版、ベルナマ通信、7月29日)

中銀、今年の経済成長予想を4.0―4.8%に下方修正

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラは28日、世界情勢の変化を受けてマレーシアの今年通年の国内総生産(GDP)成長予想を従来の4.5―5.5%から4.0―4.8%に下方修正した。

中銀は3月の経済通貨政策レビューの発表以降、世界経済の状況は大きく変化したと指摘。世界の経済成長見通しは、貿易政策の変化、関税動向をめぐる不確実性、そして地政学的緊張の影響を受けているとした。

その上で、小規模な開放経済であるマレーシアの成長見通しはこれらの動向に左右されるが、第2四半期のGDP成長率の速報値を含む最新の指標は、マレーシアの経済活動の持続的な力強さを示しており、国内需要が好調を維持し続けていることもあってマレーシア経済は依然として堅調を続けるだろうと分析した。

中銀によると、マレーシアでは特に国内関連セクターにおける良好な労働市場環境と政策措置が引き続き民間消費を下支えする見込み。一方、複数年にわたるインフラプロジェクトの進捗、承認済み投資の継続的な高い実現率、国家開発計画に基づく触媒的取り組みによって投資活動の拡大が持続するとみられるという。
(ベルナマ通信、7月28日、中銀発表資料)

アジア開銀がGDP予想を下方修正、貿易・投資見通しの悪化で

【クアラルンプール】 アジア開発銀行(ADB)は貿易、投資の見通しが悪化しているとしてマレーシアの今年の国内総生産(GDP)成長予想を4.9%から4.3%へ下方修正した。来年の成長予想も4.8%から4.2%へ修正した。

ADBは23日公表の報告で「第1四半期のGDP成長は堅調だったが、米国による関税措置が輸出と投資の見通しを悪化させた。同期の外国からの投資(認可ベース)は前年同期と比べ増加したが、国内投資は293億リンギと27.4%減少した」と指摘した。

一方で家計支出は堅調を維持し、5月の失業率は1月の3.1%から3.0%へ低下しており、労働市場は強靭さを維持していると述べた。

ADBは東南アジア全体の今年と来年のGDPについても、増大する貿易上の不透明を理由に、成長予想を下方修正した。
(新華社、フィナンシャル・エキスプレス、7月23日)

マレーシアの99%がデジタル決済に前向き=マスターカード調査

【クアラルンプール】 マレーシアの消費者の6割が現金やカードなどの従来の決済手段よりも、デジタル決済を好んでおり、さらに99%が今後1年以内に新たなデジタル決済手段を利用予定だ。マスターカードが行った最新のグローバル調査で明らかになった。

マレーシアでデジタル決済を好むと回答した人は63%で、アジア太平洋地域の平均の53%を上回った。北米では25%、ヨーロッパは24%だった。

一方、昨年現金決済を利用した人は70%、次いでQRコード決済の利用者が64%で多かった。

今後については、1年以内に93%が5つ以上の決済方法を利用すると回答。ドゥイットナウのような銀行口座間の即時送金(インスタント決済)を利用するとした人が86%、QRコード決済が85%、デジタルウォレットが83%だった。

調査は、昨年9月4―20日に実施。世界5地域で1万9,302人、マレーシアからは1,010人の消費者が回答した。
(ビジネス・トゥデー、フォーカス・マレーシア、7月22日)

マレーシアの人口、2059年に4230万人でピ―クに到達

【クアラルンプール】 マレーシア統計局(DOSM)が2025年世界人口デーに合わせて発表した最新の報告書によると、マレーシアの人口は2059年に4,238万人でピークに達し、その後緩やかな減少期に入ると予想されている。
マレーシアの人口は着実に増加し、2030年から2060年にかけて年平均人口増加率は0.5%で緩やかに推移し、2059年にピークを迎えた後、減少に転じると予想される。2030年には3,649万人、2040年には3,978万人、2050年には4,179万人に達すると予想されるという。

民族構成にも大きな変化が見込まれており、ブミプトラ(マレー人と先住民の総称)比率は2030年の71.8%から2060年には79.4%に上昇すると予測される。一方、華人の割合は急激に減少し、2030年の21.1%から2060年にはわずか14.8%にまで減少する見込み。インド系の割合も30年間で6.3%から4.7%に縮小するとみられる。

2059年以降の人口減少の一因として男女比の不均衡の加速が挙げられており、男女比は2030年の女性100人に対する男性112人の比率から、2060年には女性100人に対する男性比率は114人に増加すると予想され、2060年にはマレーシアの人口は、男性2,250万人、女性1,980万人になるとみられる。

マレーシアはまた、急速な高齢化社会に直面しており、平均年齢は2030年の32.8歳から2060年には40.7歳に上昇する見込み。若年層(0―14歳)の割合が19.9%から16.0%に、生産年齢人口(15―64歳)が70.8%から65.7%にそれぞれ減少する一方、65歳以上の高齢者人口は、2030年の9.3%から2060年には18.3%へと急拡大する見通しだ。

州レベルでは、セランゴール州が2060年も810万人でマレーシアで最も人口の多い州になる見込み。これにジョホール州(499万人)、サバ州(489万人)が続く。クアラルンプールは、2060年までに若年人口の割合がわずか9.1%と最も低くなる見込みで、高齢人口の割合は26.2%と最も高くなると予想されている。
(ボルネオポスト、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、7月11日)

CEO信頼感指数、25年第2四半期は前年・前期比で低下

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 米ビステージの調査によると、2025年第2四半期の中小企業最高経営責任者(CEO)信頼感指数(CCI)は91.1ポイントに急落し、前年同期の106.9ポイント、前期(25年第1四半期)の104.2ポイントをいずれも大きく下回った。

企業経営者の間で経済の不確実性が高まっていることを反映し、2021年第3四半期以来最大の四半期の落ち込み率となった。ビステージ・マレーシアの会員数は1,336人で、91%に当たる1,219人から回答を得た。

現時点での経済状況指数は82.0ポイントで、前期の107.0ポイントを20ポイント下回り、最も下落幅が大きかった。また将来の経済状況指数(-17ポイント)、収益成長率見通し(-16ポイント)、投資計画見通し(-15ポイント)、利益成長率見通し(-14ポイント)、雇用見通し(-12ポイント)と指数全体で大幅に低下した。

懸念されている米トランプ政権の貿易政策の影響については、約70%が自社のビジネスには関係しないと考えており、「影響が少ない」(34%)、「まったくない」(35%)と予想している。大きな影響を予想しているのはわずか3%にとどまり、中程度の影響を予想しているCEOは28%だった。

影響緩和戦略については、57%が中国のサプライヤーとの協力を挙げ、49%がサプライヤーの多様化、12%が中国のサプライヤーへの依存減、11%が「備蓄を増やす」と回答した。

中国の米国向け輸出がマレーシアを含む他の市場に振り向けられる可能性については、40%が脅威よりも機会の方が大きいと考えており、36%が利益よりもリスクの方が大きいとの見方をやや上回った。主な懸念事項は、低価格の中国製品がマレーシア市場に流入する可能性で、33%が地元産業への悪影響を予想しているが、一方で58%が中立的な影響を予想しており意見が分かれている。

アンワル首相の支持率が55%に上昇=ムルデカ調査

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 世論調査機関、ムルデカ・センターが発表した最新調査によると、経済を中心とした与党政権の政策に対する批判を背景に、アンワル・イブラヒム首相個人に対する支持率は2カ月前の調査から2ポイント上がって55%となった。不支持は44%から36%に下がった。

同調査は5月12日から23日にかけて行われ、18歳以上の男女1,208人が回答した。アンワル首相の支持率は、政権発足直後の2022年12月は68%を記録したが、その後低下し、2024年6月調査では43%まで下落し不支持が支持を上回ったが、その後緩やかな回復基調を続けている。

国の方向性については、「正しい方向に向かっている」との回答は前回の36%から43%に上昇した。一方、「誤った方向に向かっている」は55%から50%に低下した。「誤った方向・・・」と回答した理由については、53%が「経済の懸念」を挙げ、これに「不十分で非効率的な行政」(8%)、「政治的不安定」(7%)が続いた。

回答者が挙げた国の最大の問題点は「経済の懸念」(73%)で、「民族問題」や「治安」(いずれも3%)を大きく上回った。懸念する要素としては「インフレ」が33%でトップとなり、これに「経済成長の促進」、「汚職」が続いた。

民族別でみると華人は「正しい方向・・・」が「誤った方向・・・」を上回ったが、マレー系、インド系はいずれも「誤った方向・・・」が「正しい方向・・・」を上回っており、中でもインド系は68%が「誤った方向・・・」と答えた。年齢層別でみると、18―30歳の若い層は「正しい方向・・・」が「誤った方向・・・」を上回ったが、31歳以上の高年齢層は「誤った方向・・・」が「正しい方向・・・」を上回った。

連邦政府のパフォーマンスについては、「満足」は前回の47%から50%に上昇し、「不満」は51%から48%に下がった。ムルデカ・センターは、肯定的な評価と否定的な評価の差が小さいのは、生活費の高騰に対する根強い懸念と、間もなく実施される補助金削減への不安が主な要因となっていると分析した。

世界競争力ランク、マレーシアは23位で過去最高位に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)が発表した「2025年世界競争力年鑑(WCR)」によると、マレーシアは調査対象69カ国・地域中23位となり、昨年の34位から11ランクアップし、2020年以来の最高順位となった。

同ランキングは、各国政府や地域組織、民間機関などから得た統計と、2024年2月から5月にかけて行われたオンライン調査に基づく経営幹部へのアンケートに基づき、▽経済パフォーマンス▽政府の効率性▽ビジネスの効率性▽インフラ――の4つの主要指標の下で全20のサブ項目に分けてランク付けした

マレーシアは経済パフォーマンスでは世界4位となり前年の8位から4ランクアップ、政府の効率性は33位から25位に、ビジネスの効率性では40位から32位にそれぞれランクアップし、インフラでは35位で横ばいとなった。またマレーシアが直面する課題については、労働力の効率性強化、テクノロジー導入の加速、民間主導の研究開発(R&D)投資の促進が挙げられた。

総合トップはスイスとなり、2位以下は▽シンガポール▽香港▽デンマーク▽アラブ首長国連邦(UAE)▽台湾▽アイルランド▽スウェーデンーーの順となった。最下位の69位はベネズエラ。 日本は35位となった。
東南アジア諸国連合(ASEAN)からは、タイが30位、インドネシアが40位、フィリピンが51位となった。

マレーシアのデータセンター市場は年率15%成長=GIIリポート

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 グローバルインフォメーション(GII、本社・神奈川県川崎市)は、マレーシアのデータセンター市場規模は、2025年に1,260メガワット(MW)と推定され、2030年には2,530MWに達し、年平均成長率(CAGR)は15.01%と予測されるとするリポートを発表した。

GIIが発表した市場調査レポート「マレーシアのデータセンター:市場シェア分析、産業動向、成長予測(2025年―2030年)」の概要によると、2025年には7億1,000万米ドルのコロケーション(設置サービス)収益が見込まれるとしており、2030年には18億7,320万米ドルに達すると予測され、2025―30年のCAGRは21.41%と見込まれるとしている。

2023年の市場シェアはティア3データセンターが大半を占め、予測期間で最も急成長している。ティア1及び2セグメントは、2021年に0.59MWのIT負荷容量に達し、2022年には2.39MWに成長した。2029年には3.59MWに達する見込みで、CAGRは5.99%と見込まれている。一方、ティア3は2021年に257.85MWのIT負荷容量を記録。2022年には457.66MW、2029年には1,379.11MWに成長すると予想され、CAGR17.07%とより高い成長が予想される。なおティア4は、近い将来停滞が続くと予想されるが、今後数年でビジネス機会が拡大すると考えられる。

デジタル消費者の増加が、マレーシアのデータセンター需要を押し上げると予想される。5Gの拡大とマレーシアの通信事業者の企業間の合併が進み、マレーシアのデータセンター設備が増加している。マレーシアのデータセンター市場は適度に統合されており、上位5社で62.24%を占めている。