GSTとSSTの統合税制を検討へ、財務省に調査指示

【プトラジャヤ】 マレーシア政府は19日の閣議で、物品・サービス税(GST)と売上・サービス税(SST)を統合した「ハイブリッド型税制」の導入提案について、財務省に包括的な調査・検討を命じた。現行のSST制度の課題と過去のGST導入時の教訓を踏まえ、より進歩的で効率的な税制の構築を目指す。

政府報道官を務めるファーミ・ファジル通信相が同日の閣議後会見で明らかにした。アミル・ハムザ第2財務相が詳細な評価を行い、報告書を閣議へ提出する見通し。ファーミ氏は「初期段階であり、拙速な対応は避け慎重に調査を進める」と述べた。来年度予算案に反映させるかどうかも含め、調査の完了時期は定められていない。

今回の決定は、アンワル首相が両税制の要素を組み合わせる構想に前向きな姿勢を示したことを受けたもの。ただしアンワル首相は、現行のSSTを軸とする方針を維持し、非課税層に新たな負担を強いるような広範な課税の再導入には慎重な姿勢を崩していない。

マレーシアでは2015年4月に税率6%でGSTが導入されたが、政権交代に伴い2018年6月に実質撤廃され、同年9月から旧来のSST制度へ戻された経緯がある。

専門家や経済界からは、企業間取引における仕入税額控除(ITC)などGSTの長所をSSTに取り入れることで、二重課税(タックス・カスケード)を防ぎ税収基盤を強化できるとの声が上がる一方、手続き負担や還付遅延による資金繰り悪化への懸念も示されている
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、8月19日)

7月のマレーシア人訪日者数、前年比31.4%増の2.38万人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2026年7月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は2万3,800人となり、前年同月比で31.4%の増加となった。

夏場は訪日需要が落ち着く時期であり、また訪中旅行人気による需要の分散なども見られたが、それを上回る訪日人気の継続により、訪日外客数は7月として過去最高を記録した。 なお年初7カ月の累計は39万5,100人で、前年同期比15.5%増となった。

7月の世界全体の訪日者数は、前年同月比0.1%増の344万2,100人となり、7月として過去最高を記録した。韓国、インドネシア、メキシコなど17市場で7月として過去最高を記録した。台湾では単月過去最高を記録し、初めて70万人を超えた。

東アジアや欧米豪・中東を中心に多くの市場で夏季休暇に合わせた訪日需要の高まりが見られたこと等もあり、東アジアでは韓国、台湾、東南アジアではタイ、マレーシア、欧米豪では米国、フランスなどで訪日外客数が増加した。一方で、年初7カ月の累計は1.7%減の2,452万7,000人にとどまった。

補助金なし「RON95」を3.77リンギに引き上げ、8月20日から

【クアラルンプール】 財務省は19日、8月20日―26日の1週間の燃料小売価格を発表。レギュラーガソリン「RON95」の補助金なし価格を、前週の1リットル当たり3.62リンギから15セン引き上げ3.77リンギにすると発表した。補助金適用外の「RON97」の価格は4.15リンギから10セン引き上げ4.25リンギとする。

補助金なし「ユーロ5 B10」および「B20」ディーゼルの小売価格も4.47リンギから20セン引き上げ、4.67リンギとする。「ユーロ5 B7」ディーゼル燃料も4.67リンギから20セン引き上げ、4.87リンギとする。

一方、新ガソリン補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」適用のガソリン価格は1.99リンギで据え置く。新ディーゼル補助金制度「ブディ・マダニ・ディーゼル」適用による「B10」および「B15」ディーゼル価格も2.10リンギで維持する。

財務省は声明の中で、「米国、イスラエル、イラン間の紛争によるホルムズ海峡の航行制限は世界の原油供給に影響を与え続けており、解決に向けた合意には至っていない。またロシアとウクライナの紛争が世界の石油供給に圧力を加えている」と指摘。ホルムズ海峡を通る石油の流れが正常に戻るまで、石油製品価格は引き続き大幅な変動が見込まれると述べた。
(ポールタン、マレー・メイル、ベルナマ通信、8月19日)

ジェトロ、デジタル活用のハラル販路支援で参加企業募集

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、デジタルを活用した日本企業のハラル(イスラムの戒律に則った)市場への参入支援事業を実施するにあたり、参加する日本企業を募集している。

同事業は2年目の取り組みで、中核となるのがハラル専門BtoBオンラインプラットフォーム「DagangHalal.com」へのジャパンパビリオン設置を通じた商談支援。昨年度は日本企業25社が参加し、33件の新規バイヤー発掘と、40件を超える商談につながったという。

また今年は、AI(人工知能)営業支援ツールを活用したバイヤー発掘・商談支援も展開。さらに、ジェトロとDagangHalal.comが協力して、バイヤー向けワークショップを開催し、オンラインとオフラインを組み合わせて商談につなげる。

対象は、ハラル認証取得済み、または取得予定の商品を持つ日本企業・日系企業。募集期限は28日で、定員は20社程度、参加無料となっている。詳しくはウエブサイト(https://www.jetro.go.jp/events/dne/12775fc3bb6c4d6d.html)。

来年度予算は3本の柱を核に、予算方針説明会で第2財務相

【プトラジャヤ】 アミル・ハムザ第2財務相は18日、来年度予算に関する方針説明会で、経済競争力の強化、生活費圧力の緩和、弱者保護の充実、教育・医療・基本的行政サービスの強化を優先すると表明した。予算案は10月9日に上程される。

基本方針は、経済の高度化、社会の底上げ、統治の一層の改善の3つで、経済高度化では半導体、エネルギー移行、人工知能(AI)など高価値投資、生産性引き上げ、戦略的分野を優先する。中小企業、スタートアップには、融資、市場参入を通じ支援を強化する。

社会の底上げでは教育、医療、人材育成、雇用機会、家計所得の増加、弱者支援の強化に取り組む。統治改善では、規則の改善、行政サービスのデジタル化、煩雑な役所手続きの簡素化を進める。

アミル・ハムザ氏は「国は大きな成果を上げたが、国民が生活費に困窮しているようでは無意味だ」と指摘。低・中所得層への交付金、必需品の割引価格での提供を継続すると表明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、8月18日)

アンワル首相、SST軸に新たな税制モデル検討を言及

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は18日、財務省で開催された2027年度予算に関する協議会後、記者団に対し、売上・サービス税(SST)と物品・サービス税(GST)を組み合わせるなど、新たな税制モデルを検討する可能性について言及した。

アンワル首相は、GSTは効率的な税制と認めつつも、生活費が上昇する中、国民の負担増につながるとし、改めてGSTの再導入を否定した。

そのうえで、「SSTを基本」と強調しつつ、「より良い税制にするため、可能な調整があれば行う」と述べた。両税制の長所を取り入れるなど、より柔軟に税制を見直す姿勢を示したとみられる。

マレーシアでは2015年に当時のナジブ・ラザク政権が税率6%でGSTを導入したが、2018年に希望同盟(PH)連立政権が廃止し、SSTに戻した経緯がある。このため、アンワル首相は、GSTの再導入に否定的な姿勢を繰り返し表明してきた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、8月18日)

ジョホール州、国旗・州旗を逆さに掲揚した工場を一時閉鎖

【ジョホールバル】 ジョホール州クライの工場で、マレーシア国旗とジョホール州旗が上下逆さまに掲揚されていたことが発覚し、クライ地区議会(MPKu)は17日、同工場を一時閉鎖した。同州住宅・地方政府委員会のモハマド・ジャフニ・シュコル議長が明らかにした。

事件が起きたのはオートテック・オートモティブ・マレーシアの工場。州政府は事態を重大視しており、警察が捜査を進めるとともに、工場の取締役から事情を聴く予定。ジャフニ氏は、「国旗と州旗はいずれも国と州のアイデンティティー、尊厳、主権を象徴する重要な旗であり、単なるミスとして済ませることはできない」と述べた。

MPKuは会社側から説明を受け、必要な確約書が提出されるまで、工場施設を一時閉鎖する措置を取った。逆さまになっていた両旗は直ちに正しい向きに直された。クライ地区長はMPKuや関係機関と連携し、既存法令に基づいて適切な措置を取るための対応を進めている。

今回の措置は、「2019年営業・事業・産業免許細則」に基づくもの。同細則の第49条2項では施設の閉鎖に関する規定、第45条1項は旗の掲揚に関する規定を定めている。ジャフニ氏は、州内のすべての企業、事業者、工場などに対し、国旗や州旗を正しい向きで適切に掲揚するよう呼び掛けた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、8月17日)

セカンドハートとMRT、マレーシアで医療共同事業を開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 糖尿病重症化予防に取り組むセカンドハート(本社・京都市下京区)と、医療人材紹介などを手掛けるMRT(本社・東京都渋谷区)は17日、マレーシアで共同事業を開始すると発表した。

両社はこのほど、資本業務提携契約に関する基本合意書を締結した。今後、両社の海外におけるネットワークを活用しながら、医療関係者向けのカンファレンスなどを開催する。また、MRTはセカンドハートの第三者割当増資を499万円で引き受け、発行済株式の約1.33%を取得する。

マレーシアでは糖尿病が深刻な社会課題となっていることから、セカンドハートは、昨年設立した現地法人を通じ、足ケア管理アプリ「ステップライフ」を展開するなどしてきた。一方のMRTは、2024年にシンガポール拠点のMRTグローバル・マネジメントを設立するなど海外展開を本格化。ベトナムで同国最大級の医療人材プラットフォームを運営している

今回の提携を通じ、それぞれの事業基盤を相互活用しながら、まずは糖尿病性足病変の重症化予防を軸にマレーシアで共同事業を展開。マレーシアで蓄積した知見を東南アジア各国に広げ、同地域における医療サービスの発展と事業機会の創出を目指す。

「ペナン州構造計画2040」草案、9月9日まで一般から意見聴取

【ジョージタウン】 ペナン州都市・地方計画局は、2040年までの州の都市・経済開発の方向性を示す「2040年改訂ペナン州構造計画(RSNPP2040)」の草案を発表。地域の交通網強化や経済成長を促す14件の高インパクト事業を示した。草案は9月9日まで一般公開し、一般からの意見を聴取している。

現行の「2030年ペナン州構造計画(RSNPP2030)」に代わるもので、RSNPP2030ではペナン島南部の人工島建設や本土側セベラン・プライの開発強化などが盛り込まれていた。

「RSNPP2040」における主な重点分野としては、島とセベラン・プライ間の均衡のとれた開発、最適な土地利用、成長拠点の強化、交通指向型開発、交通ネットワーク、住宅、経済競争力、環境保護など。草案に盛り込まれた高インパクト事業には、バタワース―クリム鉄道、ペナン沿岸環状道路、ペナン・ゲートウェイ開発、ぺナン・セントラル駅拡張、船舶係留センター計画、バリク・プラウ―パヤ・トゥルボン・トンネルなどがあり、また最大規模のペナン島と本土を結ぶ海底トンネルまたは第3橋の建設案も参考案として含まれている。

チョウ・コンヨウ州首相は、選定された企業との契約が依然として有効であるため海底トンネルまたは第3橋プロジェクトは草案に残されていると説明。最終的な実際の着工・完成時期はまだ確定していないと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、8月17日)

生活費支援のSTR、30万人増の530万人に12億リンギ支給

【プトラジャヤ】 財務省は15日、低所得世帯などを対象とした「思いやり現金給付(STR)」の今年第3期の支給を開始。受給者は530万人となり、1月の第1期から30万人増加し、第3期の支給額は12億リンギとなる。

受給者の内訳は、月間世帯所得5,000リンギ以下の世帯390万人と、配偶者のいない高齢者140万人。第1期時点では、それぞれ370万人と130万人だった。アンワル・イブラヒム首相は受給者の増加について「生活費高騰の影響を受けている人々への支援を確実に届けるための取り組みを反映したもの」と説明している。

STRは四半期に一度支給され、第3期では、世帯に関しては所得と子供の人数に応じて150―600リンギ、配偶者のいない高齢者には150リンギを支給する。3回を合わせた支給総額は36億リンギとなった。

政府は今年、幅広い層の生活必需品購入を支援する「スンバンガン・アサス・ラフマー(SARA=基礎的慈悲の寄付)」と、STRを合わせ、過去最高額の150億リンギを予算化している。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、8月15日)