マレーシア・リンギ値上がりは続く、エコノミスト見通し

【クアラルンプール】 マレーシア・リンギの値上がりが続いている。7日の為替市場での終値は1米ドル=4.172リンギで、24年10月以来の高値だった。堅調な内需と外需環境の改善が主な理由だ。

ブルームバーグの取材に回答した20数人のエコノミストによる年末相場予想の中央値は同4.18リンギで、2026年末は4.1リンギ。米国の関税措置がより明確になったことで、外需見通しが明るさを増したことが影響した。

年初からの対米ドルでの値上がり幅は7%で、昨年同様、域内通貨で最大の上昇幅。リンギはインドネシアルピアに対し10.8%、ベトナムドンに対し10.55%上昇した。

バンク・ムアマラット・マレーシアのアフザニザム主任エコノミストは、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は政策金利を2026年を通じ2.75%に維持するとみており、米国との金利差が縮小するためリンギ資産への投資が増加すると予想している。

三菱UFJ銀行は、中国人民元の持ち直し、マレーシア産パーム油に対する米国のゼロ関税、希土類の対米輸出におけるマレーシアの戦略的役割もリンギを支えているとした。
(エッジ、11月7日)

ユーグレナ、ペンゲランでバイオ燃料製造プラントの鍬入れ式開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ユーグレナ(本社・東京都港区)は10日、国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)及びイタリアの石油企業エニの子会社エニライブと、ジョホール州ペンゲランでバイオ燃料製造プラントの鍬入れ式を開催したと発表した。

ペトロナスのペンゲラン総合石油コンプレックス(PIC)内に建設する同プラントは、2028年下半期の稼働開始に向けて順調に進捗しており、今後プラントの建設工事が本格化する見込み。8日に行われた鍬入れ式には在マレーシア日本国大使館の二瓶大輔公使らが出席した。

原料には使用済み食用油や動物性油脂、植物油の加工過程で生じる残渣などの廃棄物を使用する。年間最大約65万トンの原料処理能力でSAF(持続可能な航空燃料)、HVO(次世代バイオディーゼル燃料)、バイオナフサを製造する予定だ。廃棄物を有効活用しながら、環境負荷の少ないバイオ燃料を安定的に供給する体制を整える。

北海道味噌醤油工業協同組合、マレーシアで試食商談会を開催

【ペタリンジャヤ=アジアインフォネット】 北海道味噌醤油工業協同組合(所在地・北海道札幌市)は11日、セランゴール州ペタリンジャヤの日本食レストランで試食商談会を開催した。同協同組合がマレーシアで試食商談会を開催するのはこれが初めて

商談会に参加したのは▽岩田醸造(本社・札幌市)▽渋谷醸造(本社・中川郡本別町)▽服部醸造(本社・二海郡八雲町)▽福山醸造(本社・札幌市)――の4社で、それぞれ▽紅一点▽マルキュウ▽マルハチ▽トモエ――ブランドの味噌、醤油及びそれらをベースとした調味料全8品目を出展。

出展商品を使ったマレーシアの日本食レストランのシェフがアレンジした8品目の料理をコース料理スタイルでマレーシア側のバイヤーに提供して生産者が商品紹介を行い、その後商談スペースで自由商談形式による商談を行った。

マレーシア側からは日本食の輸入実績が豊富な輸入卸売業者7社、小売店1社、シェフ5人(フレンチ、フュージョン、マレーシア料理)の計13社が参加した。

歳入に占める石油関連収入の割合、今年は16.9%に低下

【クアラルンプール】 歳入に占める石油関連収入の割合は、2022年の28%から今年は16.9%へ低下した。来年はさらに12.5%へ低下する見通しだ。議員の質問に経済省が文書で回答した。

石油・ガス価格は変動が激しいため、政府は石油・ガス関連収入への依存軽減を図っており、最近の措置には、売上・サービス税の対象拡大・税率引き上げ、デジタルインボイスの全面導入による徴税漏れの削減、未上場株の売却に対するキャピタルゲイン税の適用、燃料補助の合理化が含まれる。最も石油関連収入の割合が高かったのは09年で、歳入の41.3%を占めた。

来年の石油関連収入予想は430億リンギで、財務省によれば、国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス) からの配当が200億リンギ、石油所得税が157億リンギ、石油生産量に応じた政府へのロイヤルティーが51億リンギ。今年のペトロナスの配当は320億リンギの予定。

石油関連以外の歳入は2009年以降、増加を続けており、来年は8.1%増の3,001億リンギが見込まれている。
(ベルナマ通信、エッジ、11月7日、フリー・マレーシア・トゥデー、10月10日)

MIHAS@上海が開幕、副首相「成約目標は30億リンギ」

【上海】 ハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース」(MIHAS)@上海が5日、開幕した。10日までの期間中に22億リンギ以上の成約額を目標にしている

MIHAS@上海は昨年のドバイに続く、2回目の海外開催になる。中国国際輸入博覧会(CIIE)と同時開催で、マレーシアからはハラル食品、化粧品、医薬品、イスラム金融、物流など、幅広い分野から250社以上の企業・団体に加え、州政府などが参加。中国の主要バイヤー20社を含め海外からのバイヤー100社との商談が予定されている。

中国は2,000万人以上のイスラム教徒を擁し、世界でも有数のイスラム市場として注目されている。マレーシアのハラル製品輸出額は昨年、前年比15%増の610億リンギ超となり、うち中国は62億5,000万リンギを占め、マレーシアにとって2番目に大きな輸出国となっている。

今回、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)は25億リンギを公式な目標としているが、開会式に出席したアハマド・ザヒド副首相は「ドバイの22億リンギという実績などを踏まえ、より高い30億リンギという目標を設定した」と言明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、11月6日、ベルナマ通信、11月9日)

新パンタイ高速道路の延伸、IJM傘下企業が14億リンギで受注

【クアラルンプール】 新パンタイ高速道路(NPE)の延伸区間の設計・建設を、IJMコンストラクションが14億リンギで受注した。NPE事業を手掛ける親会社の大手コングロマリット、IJMコーポレーションが5日、発表した。

延伸区間は、NPEのパンタイ・ダラム料金所からジャラン・イスタナ・インターチェンジを結ぶ全長15キロメートル(㎞)の高架区間になる。同じくIJM傘下のニュー・パンタイ・エクスプレスウェイとの間で契約が締結された。2025年第4四半期に着工し、48カ月以内の完成を目指す。

現在のNPEはスバンジャヤとクアラルンプール(KL)を結ぶ19.6㎞の高速道路で、2004年に開通。IJMの完全子会社のロード・ビルダー・ホールディングスが所有・運営している。2011年ごろから延伸案が浮上していたが、2012年に政府が中止を通知。今年5月になり、再承認された。

延伸区間の完成により、バングサ地区からKL中心部への交通量が最大40%分散され、KL南部の渋滞の大幅な緩和が見込まれている。またバングサ地区の開発促進などで56億リンギの経済波及効果が期待されている。

IJMグループにとっては、ジョホール州の14億リンギのデータセンター(DC)、セランゴール州エルミナの21億リンギのDCの建設プロジェクトに続く、今年3件目の10億リンギ超の大型プロジェクトになる。
(エッジ、11月6日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレーシアン・リザーブ、11月5日)

AI導入済み企業、前年比35%増の240万社=AWS報告書

【クアラルンプール】 クラウドサービス大手の米アマゾン・ウェブ・サービシーズ(AWS)は4日、AI(人工知能)に関する2025年版の報告書を発表。マレーシアでは約240万社がAIを導入済みで、前年比35%増となった。

今年新たにAIを導入した企業は63万社で、全体の導入率は前年の20%から27%に上昇した。産業別では、テクノロジー関連サービスが49%と最も高く、次いで金融サービス(42%)、製造業(39%)と続いた。

AI導入の効果として、65%の企業が売上が増加したと回答し、平均で19%の増収効果があったという。生産性に関しても、72%が著しく向上したとした。報告書では「回答者の67%が、平均15%のコスト削減を期待している」とした。

また報告書は、導入企業が拡大する一方で、その73%は基本的なアプリケーションに留まっていると分析。「完全に新しいAI駆動型製品を開発しているのは、スタートアップ企業の31%、大企業の15%に過ぎない」とした。

さらに、52%の企業がAIに精通した人材不足を課題に挙げた。AWSは、人材育成や、公共政策による導入促進などが不可欠であると指摘している。

報告書は、国内の企業トップ1,000人と一般市民1,000人を対象にした調査に基づいている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月4日、ベルナマ通信、TNグローバル、11月5日)

ベルジャヤが開発の沖縄高級ホテル、マレーシア輸出入銀が融資

【クアラルンプール】 マレーシア輸出入銀行は、ベルジャヤ・ランドのシンガポール子会社ベルジャヤ・オキナワ・インベストメント(S)に7,000万米ドルのイスラム式融資を実行した。ベルジャヤ・ランドが沖縄県恩納村で建設中の高級ホテル、「フォーシーズンズ・リゾート・アンド・プライベート・レジデンス沖縄」の建設費に充当する。

開発用地は13万平方メートルで、米軍恩納通信所跡地。ホテル127室、コンドミニアム124室、自分の別荘のように利用できる一棟貸し切りのプライベートビラ28戸で構成する。3月初旬に起工式を行っており、27年7月に完工の予定。総工費は約1,000億円。

輸銀は過去にもベルジャヤ・ランドの海外事業に融資を行ったことがある。輸銀はマレーシア企業の海外でのプレゼンス強化を後押しする役割を担っており、今後もマレーシア企業の海外事業を支えるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、ビジネス・トゥデー、11月5日)

炭素税を1トン15リンギ、マレーシア政府が検討か=消息筋

【シンガポール/クアラルンプール】 マレーシア政府は、二酸化炭素を大量に放出する産業に課す炭素税の価格として、1トン当たり15リンギを検討しているもようだ。ブルームバーグが消息筋の話として報じた。これに対し政府は、価格は未定と否定している。

ブルームバーグによると、政府は利害関係者と協議を持っているが、まだ継続中の作業であり、計画は変わる可能性もあるという。東南アジアではシンガポールが先陣を切り2019年に炭素税を導入。最初の5年間は1トン5シンガポールドル(約16リンギ)に設定した。現在は同25シンガポールドル。マレーシアの炭素税の枠組みでは、企業は特定の排出枠を割り当てられ、上限を超えると炭素税を課せられる。

ブルームバーグの報道に対しアミル・ハムザ第2財務相は金融フォーラムで、炭素税額を決定するための詳細な調査をまだ行っていないと述べた。政府は炭素税の法的根拠として立法措置をまず取り、排出の枠組みを確定させてから税額設定の作業に進むという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月6日、エッジ、11月5日)

ソフト開発のネオジャパン、JACTIMの会員サイトを刷新

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ソフトウェア開発のネオジャパン(本社・横浜市西区)は5日、同社製品が、マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)の会員ポータルサイトに導入されたと発表した。

導入されたのは、グループウェアの「デスクネッツネオ」と、ノーコード業務アプリ作成ツール「アップスイート」。マレーシア子会社のネオレカ・アジアを通じて行われ、10月から本稼働を開始した。

JACTIMは1983年に設立され、マレーシア経済振興に向けた日系企業のビジネスセンターとして、会員企業の交流やビジネス支援などを行っている。会員数は600社を超えるが、従来の会員ページは動作の重さや不具合などの課題を抱えていたという。今回の刷新で、複数のサービスに分散していた業務を集約し、情報共有の効率化と業務プロセスの改善を図った。

2019年創業のネオレカは今年6月、ジョホール州政府傘下の投資誘致機関「インベスト・ジョホール」と提携し、東南アジア地域における営業や人材育成などの拠点となるCoE(センターオブエクセレンス)を設立するなど、事業拡大を目指している。