ペトロナス、マレーシア初の持続可能な航空燃料を納品

【セパン】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は、マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)向けに、マレーシアで初めてとなる現地生産の持続可能な航空燃料(SAF)をクアラルンプール新国際空港(KLIA)に納品したと発表した。

SAFはペトロナスの施設で混合され、マレーシアン・リファイニング・カンパニーのパイプラインを経由してKLIAに供給された。マレーシア航空はまずは9月1日から16日にかけてロンドン行きの深夜便MH2便で同燃料を使用。SAFを通常オペレーションに導入する第一歩となる。

ペトロナスの精油・マーケティング・トレーディング担当のアハマド・アドリー・アリアス副社長は、マレーシア航空に供給されたこの燃料は、同国の航空業界の脱炭素化に向けた一歩となると言明。「航空業界の脱炭素化においてSAFは現在利用可能な最も迅速な解決策の一つだ」と述べた。

一方、MAGグループの最高サステナビリティ責任者であるフィリップ・シー氏は、SAFの生産と導入を拡大するには、航空業界全体の協力が不可欠だと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、9月12日、ペトロナス発表資料)

メイバンク、バングササウスに次世代型の新支店を開設

【クアラルンプール】 大手銀行マラヤン・バンキング(メイバンク)は、クアラルンプール(KL)市内のバングサ・サウスに次世代型の支店を新たに開設。急成長するデジタルバンキングと並行して、対面で顧客と接するタッチポイントを増やし、事業基盤の強化を図る。

新支店は、多くのスタートアップ企業が拠点を構えるバングサ・サウスの商業ビル内に6日にオープン。相談用の専用ビデオ会議室や、コミュニティスペースを備え、オープンで交流型の店舗デザインを採用している。通常の支店サービスに加え、富裕層向け資産管理を行う「プライベートウェルスセンター」、中流層向け資産形成相談業務を中心とする「プレミアウェルスセンター」、自動車ローンセンター、中小企業向け融資や、大企業向けの法人サービスセンターなど幅広く対応する。

同行コミュニティ金融サービス部門のタウフィク・アルバル最高経営責任者(CEO)は「デジタルバンキングが拡大する一方で、対面での交流を重視する顧客も多い。すべての人がサービスを受けられる金融包摂を進めるうえで、物理的なタッチポイントは依然として重要であり、デジタルイノベーションと人間的な繋がりの融合を目指していく」と強調する。

メイバンクの国内のタッチポイントは473カ所となり、今後数カ月以内にジョホール州のフォレストシティとメディニにも新たに拠点を構える計画だ。
(ビジネス・トゥデー、9月10日、ベルナマ通信、9月11日)

トリップドットコム、KLのサポートセンターを拡張オープン

【クアラルンプール】 オンライン専業旅行代理店のトリップドットコムは9日、クアラルンプール(KL)のカスタマーサポート(CS)センターを拡張オープンした。

同社は2023年にマレーシアにセンターを設置。2年で10倍の成長を遂げたという。KL以外にも、世界15か所でCSセンターを運営しており、約1万6,000人の担当者が24時間365日、多言語サポートを提供している。KLのセンターは中でも戦略的な柱と位置付けられており、今回の拡張もグローバル成長戦略の一環という。

同社ではAI(人工知能)搭載のトラベルアシスタント「TripGenie(トリップジーニー)」を導入し、日常的な問い合わせのうち、最大80%はAIが解決しているという。一方で、ゼネラルマネージャーのステファン・トン氏は 「AIは常に100%正確な回答をできるとは限らないからこそ、人間によるサポートチームの拡充に注力している」と強調する。

また2026年のマレーシア観光年(ビジット・マレーシア・イヤー)を控え、現地チームが文化的なニュアンスを理解しながら、複数の言語でソリューションを提供することで「マレーシアの観光業の発展に貢献していきたい」と付け加えた。
(ビジネス・トゥデー、9月10日、ザ・サン、9月9日)

プロトンの8月の販売が好調、1.5万台超で3年ぶりの高水準

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、8月の新車販売台数が1万5,228台となり、3年ぶりの月間販売台数を記録したと発表した。年初8カ月の総販売台数は10万902台となり、10万台を突破。市場シェアは19.5%となった。

7月25日に発売したBセグメント・スポーツ車(SUV)「X50」の新型モデルは、発売からわずか7日で999台を納車。8月の販売台数は前年比107.3%増の4,287台となり、国内ベストセラーSUVとなった。

販売トップのAセグメント・セダン「サガ」は6,331台となり、2カ月連続で6,000台を突破。今年2番目に高い販売台数を記録した。年間累計販売台数は4万4,676台となった。

Dセグメント・SUV「X90」の販売台数は220台となり、同セグメントでトップとなった。またCセグメント・セダンの「S70」も1,210台で、同セグメントのベストセラーの地位を維持。年間累計販売台数は1万1,960台となった。

このほかCセグメント・SUV「X70」は627台で、年間累計販売台数は5,598台となった。Bセグメント・セダン「ペルソナ」とBセグメント・ハッチバック「アイリス」はそれぞれ1,379台と305台を販売した。

電気自動車(EV)「e.MAS7」の販売台数は前月比20.7%増の852台で、年間累計販売台数5,811台に達し、ベストセラーEVとしての地位を確保した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、9月10日)

EONキャピタル、自動車ローンのデジタルプラットフォーム構築

【クアラルンプール】 プロトン、三菱自動車、いすゞ自動車などのブランドを扱う自動車ディーラーEON(エダラン・オートモビル・ナショナル)の金融部門子会社、EONキャピタルは自動車ローンがオンラインで申請できるプラットフォーム「トラス」の運用を開始した。

自動車購入希望者、自動車販社、銀行を一つのシステムでつなぎ、ローン申請を簡素化する。提携銀行はバンク・ムアマラット、マラヤン・バンキング(メイバンク)、Amバンクで、購入希望者は3行に同時にローン申請ができ、書類がそろっていれば最短30分で申請が処理される。

EONキャピタルは保険会社とも提携した。購入希望者はメーカーの保証期限から、最長2年の保証延長を申し込むことができる。プラットフォームには「カーキュレーター」と呼ぶ機能も組み入れ、購入予定者の予算にあった車両を推奨するツールとなっている。
(マレーシアン・リザーブ、9月9日)

ペトロン、年末までに最大50カ所の給油所を新規開設へ

【クアラルンプール】 フィリピン系の石油販社、ペトロン・マレーシア・リファイニング&マーケティングは、年末までにマレーシア全国で40―50カ所の給油所を開設する計画だ。急成長地域における事業基盤を固める戦略の一環だとしている。

ペトロンによると、新設高速道路や急成長を遂げる住宅街がマレーシアの燃料小売市場を様変わりさせており、ガソリンスタンド運営業者の間では競争が激化しているという。

ペトロン・マレーシアのゼネラルマネジャーのモハメド・ニザム・マンソル氏は、計画中の新給油所の半分はすでに着手中で、土地の承認とプロジェクトスケジュール次第では来月末までに完成する予定だと言明。「マレーシアは継続的に成長している市場であり、高速道路や住宅街などまだ同社の給油所が設置されていない地域が数多くある」、「今回のネットワーク拡大により、ペトロンは事業範囲を拡大し、消費者にさらなる価値を提供できるようになる」と述べた。

ペトロンは現在、サバ州とサラワク州を含むマレーシア全土で816の給油所を運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月7日)

サイムモーターズが創立45周年、記念セールなどを展開

【クアラルンプール】 創立45周年を迎えたサイム・モーターズは、国内最大の自動車販売店として、12月にかけてさまざまな記念イベントを実施する。

サイム・モーターズは、コングロマリットのサイム・ダービーグループとして1980年に設立された。1990年代にかけて、全国規模での顧客基盤拡大に注力し基盤を築き、2000年代に入りプレミアム車など幅広いセグメントに進出し、急成長を遂げた。

また2023年にはUMWグループを買収し、UMWトヨタ・モーターとダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)を傘下に収めた。また2022年には中国・比亜迪汽車(BYD)と提携し、国内市場でいち早く電気自動車(EV)の販売を開始した。現在はこのほか、BMW、ミニ、ジャガー、ポルシェ、ボルボ、フォード、現代(ヒョンデ)などのブランドも手掛けている。

グループのジェフリー・サリム・デイビッドソン最高経営責任者(CEO)は「モーター事業はグループにとって重要な成長の原動力となってきた。今後は特に電動モビリティとアジア太平洋市場全体において、新たな機会を切り拓いていきたい」と語った。

10月には45時間連続のセールイベントが予定されているほか、9月から12月にかけて毎月プレゼント企画やスポーツイベント、オーケストラによるコンサートなども計画されている。
(カーシフ、9月3日、ポールタン、9月4日、モタオート、9月5日)

格安航空スクート、スバン空港の利用拡大の方針

【クアラルンプール】 シンガポール航空(SIA)の格安航空子会社スクートは、セランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)の利用を拡大する意向だ。

スクートは昨年9月、26年ぶりとなるスバン空港のナロージェット機乗り入れ再開に合わせ、シンガポール―スバン線を就航。エアバスA320型機を使用し、毎日運航している。レスリー・タン最高経営責任者(CEO)が英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」の取材に対し、同路線は非常に好調で、マレーシア航空当局の承認が得られることを前提に、増便に前向きな姿勢を示した。

スクートはクアラルンプール新国際空港(KLIA)からもシンガポール便を運航しているが、タン氏は「どちらの空港がいいか、乗客は柔軟に選べるようになる」と述べた。

スバン空港に関しては、今年に入りエアアジアとファイアフライが相次いで撤退。ジェット機を運航しているマレーシアの航空会社は、バティック・エアのみになっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレーシアン・リザーブ、9月8日)

KLIAエアロトレインの深夜帯の保守が完了、24時間運行を再開

【クアラルンプール】 空港運営会社マレーシア・エアポート・ホールディングス(MAHB)は、クアラルンプール国際空港第1ターミナル(KLIA1)メインターミナルとサテライトターミナルを結ぶKLIAエアロトレインが8月18日から31日までの2週間にわたる深夜帯のメンテナンスを終え、24時間運行を再開したと発表した。

2週間の深夜帯のメンテナンスは7月の運用開始以降に収集された運用データに基づき、システムの信頼性と応答性を微調整するために行われた。請負業者のアルストムもこの期間を利用して信号ソフトウェアのアップデート試験を行った。メンテナンス期間中はシャトルバスがメインターミナルとサテライトターミナル間の旅客輸送を行った。

KLIAエアロトレインは4億5,600万リンギをかけて刷新され7月1日に完全運行を再開したが、早々に度重なるトラブルに見舞われた。7月4日には大雨でトンネル内に水が溜まり、運行開始からわずか3日間で一時運休に追い込まれた。
(エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、9月3日)

AIを活用したホテル「ウィンダム iシティ」、12月に開業

【クアラルンプール】 不動産開発のアイ(I-BHD)は、米系ウィンダム・ホテルズ・アンド・リゾーツと提携。セランゴール州シャアラムに、人工知能(AI)を活用したホテル「ウィンダム iシティ」を12月に開業する。

ホテルはアイが開発を進めるスマートシティ「iシティ」内の55階建ての建物の39―55階を占める形で開業。200室で、キッチン付きの1ベッドルームから3ベッドルームで構成される。ウィンダムは2億リンギを投資したという。

さらに、同じ建物の12―38階はサービス付きレジデンス「ウィンダム・スイーツ・iシティ」となり312戸が入居する。建物全体の設備管理にAIが活用されるほか、ホテルではコンシェルジュや配膳などのサポート業務へのロボット活用も予定されている。

またホテルの開業に合わせ、マレーシア初のAI・ロボティクス体験センター「iシティAIワールド」もオープン。同施設は、ロボット開発を手掛ける上海智元新創技術(AgiBot)との提携によるもので、iシティの中核と位置付けられている。アイのリム・キムホン会長は「ホスピタリティとテクノロジーが一体化した未来の姿を提供していく」としている。

両社は昨年12月にクアラルンプール中心部に「ウィンダム・スイーツKLCC」を開業。屋内型テーマパーク「ウィンスポーツ」などが人気を集めている。72エーカーにも及ぶiシティでも同様のテーマパークやヘルスケア施設を展開するなど提携を強化していく計画だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月2日)