家庭からの電子廃棄物、企業責任でリサイクル法制化

【クアラルンプール】 政府は、電子廃棄物(eーwaste)管理に関する法的枠組みを策定中だ。拡大生産者責任(EPR)を導入し、メーカーや小売業者などに一般家庭からの廃棄物の回収・リサイクルの責任を負わせる。

今回の枠組みでは、家庭から出されるテレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、パソコン、携帯電話の6つが主な対象となる。EPRは、製品の製造から廃棄までのライフサイクル全体にわたり、生産者(メーカー、小売業など)が責任を負う考え方。日本では、2000年に制定された「循環型社会形成推進基本法」などを通じ導入されているが、マレーシアではこれまで法的には盛り込まれていなかった。

電子廃棄物の処理業者には「1974年環境品質法」に基づくライセンス取得と、環境影響評価(EIA)の提出を義務づけるという。政府は今後、環境局(DOE)を通じ、企業や一般などからパブリックコメントを募るなど、最終的な法制化を進める。

また、天然資源・環境持続可能性相を兼任するジョハリ・アブドル・ガニ農園一次産業相は、電子廃棄物の輸入はすでに禁止されていることを改めて強調。加えて、国際協力機構(JICA)を通じて日本政府が技術支援を提供すると言明した。
(ビジネス・トゥデー、10月16日)

高度人材や投資家向けのビザ要件など見直しへ

【クアラルンプール】 政府は高度人材や投資家向けのビザ要件などを見直す方針だ。2026年度予算案でアンワル・イブラヒム首相が明らかにした。

まず、高度人材向けの居住者パス(RPーT)について、従来は雇用パス(EP)を通じ3年間のマレーシアでの就労実績が確認されていたが、今後は確認不要になる。引き続き収入要件などはあるが、RPーTが認められれば、10年間、滞在・就労が可能になる。

また、今年4月に導入された投資家向けビザについては、これまでは希望者からの申請に基づく形だったが、今後はマレーシア投資開発庁(MIDA)がより積極的に関与し、電気・電子(E&E)など主要産業の潜在的投資家にビザ取得を働きかけていくという。このマルチエントリービザは、有効期間は6カ月で、必要に応じて6カ月間の延長が可能とされてきたが、延長手続きの簡素化を進め、最長12カ月の滞在をより容易にする。

さらに、東南アジア諸国連合(ASEAN)内での熟練人材の移動促進に向け、「ASEANビジネス・エンタイティ」(ABE)制度を導入。他国で取得した資格の認証簡素化など、中規模企業を中心に地域展開を支援していく。

また、マレーシア国民の配偶者と死別や離婚した外国人で子供がいる場合、居住者パスを申請すれば、5年間の滞在・就労が可能となる。従来は滞在資格を失い身分が不安定になりがちだったため、人道的な配慮が講じられることになった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月9日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、10月10日)

サラワク州で500ヘクタールのカカオ農園を開発=農園一次産業省

【クアラルンプール】 農園・一次産業省は、第13次マレーシア計画(13MP、対象期間2026-30年)に基づき、サラワク州をマレーシアの主要生産拠点とするため新たに500ヘクタールのカカオ農園を開発する方針だ。チャン・フーンヒン副大臣が下院議会質疑で明らかにした。

チャン氏によると、サラワク州政府およびマレーシア・カカオ委員会との協力により、サラワク・カカオ開発プログラムが来年開始される見込み。同省は、請負業者の選定、参加者の登録、アウトソーシングによるカカオ栽培の開発など、植栽活動に3年間で1ヘクタールあたり3万5,000リンギを充当する。

同省は13MPに基づき、サラワク州内の600ヘクタールに及ぶ既存の小規模農家800戸に対しても、1ヘクタールあたり年間3,000リンギの予算で農業資材と機材を提供する予定だ。

同省は第12次マレーシア計画(12MP、対象期間2021-25年)にて、マレーシア・カカオ委員会を通じてサラワク州で700万リンギ相当の5つの主要プログラムを既に実施しており、これにはアサジャヤ・セブヤ・シムンジャン地域を対象とする生産効率向上のためのカカオ増収プログラム、高級フレーバーおよびオーガニックカカオ栽培資材開発プログラム、311.4ヘクタールに及ぶ329戸の農家を対象とした近代化プログラムが含まれる。
(ザ・サン、ベルナマ通信、10月9日)

「RON95」補助金、新たに漁業従事者など3.1万人を対象に

【プトラジャヤ】 先ごろ施行されたレギュラーガソリン「RON95」の新たな補助金制度「BUDI95」について、財務省は新たに3つのグループに対象を拡大すると発表した。これにより全国で3万1,000人以上が恩恵を受ける見込みだ。

新たに「BUDI95」の対象となったのは、マレーシア漁業開発公社(LKIM)に登録されている1万7,900人以上の漁業従事者、サバ州港湾局に登録されている4,300人以上の個人船舶所有者、道路運輸局(RTD)に登録されている9,700人以上の新規運転免許証取得者。政府はサバ州とサラワク州を中心に無免許ボート利用者に関する追加データをまとめているという。

財務省はまた、公共陸運局(APAD)と配車サービス(e-hailing)事業者との間で、フルタイム配車サービス運転手の月間燃料利用限度額を300リットル以上に引き上げる協議が進められていることを明らかにした。配車サービス運転手については財務省が先ごろ、10月15日から補助金の追加受給資格を与えることに合意したと発表していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、10月7日)

レギュラーガソリンの価格メカニズム見直しへ=国内取引物価省

【サイバージャヤ】 国内取引物価省(KPDN)は、レギュラーガソリン「RON95」の自動価格設定メカニズム(APM)の料金見直しを近く発表する見通しだ。今後、所得者層ごとにRON95の補助金額が変わる可能性を踏まえ、負担の増加が見込まれるガソリンスタンドの経営を支援する狙いがある。

APMは全国のガソリン価格を統一的に販売するための制度。RON95の販売価格(補助金なし)は、現在のAPMでは、▽原油価格▽ガソリンスタンドの運営コスト▽石油会社の利益率▽ガソリン販売業者の利益率▽その他調整――の5つの要素で構成され、原油価格以外は固定値が設定されている。

今回、この固定値の部分を見直す見通し。KPDNは石油会社やガソリンスタンド協会と協議し、すでにAPMの見直し案を財務省に提出済みという。

RON95の新補助金制度「BUDI95」では、現状はマレーシア国民は一律の補助金付き額で販売されているが、今後所得者層ごとに補助額が変わる可能性がある。そうなると、ガソリンスタンドは管理コストが増え、経営への影響が懸念される。

また、BUDI95の対象外の外国人などは、APM見直しの影響を直接受けることになる。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、10月3日)

サバ州議会が解散、60日以内に州議会開催へ

【コタキナバル】 サバ州のハジジ・ノール州首相は6日、同州議会の解散について同州のムサ・アマン知事が同意したことを明らかにした。これにより第17回サバ州議会選挙が60日以内に開催されることになる。

下院議会では2019年、定数60だったサバ州議会議席を13議席増やす動議を可決しており、今回の州選挙では全73選挙区で選挙が行われる。ハジジ氏が率いる同州与党連合・サバ国民連合(GRS)は、2022年の総選挙後のアンワル・イブラヒム首相率いる大連立政権の発足に際して、ハジジ氏が当時所属していた統一プリブミ党(PPBM)を離党して大連立発足に協力した経緯もあり、今回の州議選でもアンワル首相率いる希望同盟(PH)がGRSに全面協力する見通しだ。一方、PPBMが所属している野党連合・国民同盟(PN)は、ハジジ氏やGRPに対抗して全選挙区に候補者を擁立するとみられる。アンワル首相にとっても、現時点での大連立政権の支持率を占う試金石となる。

2020年9月の前回州議会選挙では当時、PPBMに所属していたハジジ氏が率いるGRSが38議席を獲得し、サバ遺産党(ワリサン)やPHなどが構成する同州与党連合(ワリサン+)を破って政権奪取に成功し、政権を樹立した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ボルネオポスト、ベルナマ通信、10月6日)

ペラ州政府、来年から電子タバコの販売禁止へ

【イポー】 ペラ州政府は来年1月1日から電子タバコ(ベイプ)の販売を禁止する。1日に開催された州行政評議会会議(MMK、国政の閣議に相当)で決定された。

マレーシアでは2024年に施行された「公衆衛生のための喫煙品規制法(Act852)」に基づき、地方自治体が電子タバコ販売店に営業許可を与える仕組みになっている。ペラ州政府は今回の決定で、今後は新たな許可や更新をせず、来年の全面施行を前に、販売店には在庫整理を促していく。また、販売店の運営者や従業員を対象に、起業家育成コースや技術職業教育訓練(TVET)プログラムを提供するという。

電子タバコを巡っては、すでにジョホール、クランタン、トレンガヌ、ペルリス、ケダ、パハンの6州で同様の方針が示されている。ズルキフリー・アハマド保健相も9月25日に、2026年から電子タバコの販売と使用を全国的に全面禁止すると発言した。

特に近年、薬物が混入された電子タバコが問題化しており、シンガポールは9月1日から規制を強化。また東南アジアでは、タイ、ブルネイ、カンボジアも電子タバコを全面的に禁止している。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月1日、チャンネル・ニュース・アジア、9月30日)

新ガソリン補助金制度が開始、最大40億リンギの財政負担軽減に

【クアラルンプール】 レギュラーガソリン「RON95」の新たな補助金制度
BUDI95」が9月30日深夜零時をもって、一般国民向けに開始された。約1,600万人のマレーシア国民が対象となる。補助金付き価格は1リットル当たり1.99リンギで、以前より0.06リンギ安い。1カ月当たり300リットルを上限に補助金付き価格で購入できる

「BUDI95」は27日から軍と警察関係者30万人を対象に、28日からは「思いやり現金給付(STR)」受給の所得下位40%(B40)500万人超を対象にそれぞれ段階的に先行導入されており、財務省によると、軍と警察関係者の20%が導入初日に「BUDI95」を利用。STR受給者も対象となった28日時点で、「RON95」購入額は370万リンギに上ったという。

外国人などが対象から除外された「BUDI95」導入による財政面での節減については、政府は当初予測された80億リンギを大きく下回る25億―40億リンギにとどまると見積もっているが、社会保障などの優先事項に再配分される見通しだ。

外国人や上限量を上回る場合に適用される補助金なし価格は、10月8日まで「BUDI95」導入以前より0.55リンギ高い2.60リンギで、その後は市場価格に基づき毎週改訂される。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、9月30日)

保健省、2026年中の電子タバコ販売禁止を目指す

【サイバージャヤ】 保健省(MOH)は、早ければ2026年半ばにも電子タバコの販売禁止実施を目指している。ズルキフリー・アハマド保健相が明らかにした。

ズルキフリー氏は電子タバコ禁止措置の実現に尽力するが、段階的なアプローチを取ると言明。「2026年半ばまでに実施できればと思っているが、もし間に合わなくても来年後半には必ず実現する」と述べた。現在議案の閣議提出に向けて準備を進めているという。

禁止措置は段階的に実施される見込みで、まずオープンシステム(リキッド補充式)の販売禁止から始まり、その後あらゆる種類の電子タバコや電子製品に拡大されるという。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、9月25日)

RCEP閣僚会合、27年をめどに協定内容の見直しで合意

【クアラルンプール】 日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国で構成する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は25日、クアラルンプール(KL)で閣僚会合を開催。米国の関税措置を背景に、RCEPを通じ、自由で公正なルールに基づく多国間貿易体制を推進していくことなどを確認した。

閣僚会合では、武藤容治経済産業相が共同議長を務めた。RCEPを強化し、地域内の企業がRCEPの恩恵を最大限に活用できるよう全力で取り組むことを表明。また、香港やスリランカ、バングラデシュ、チリの4カ国が加盟に関心を示しており、2027年をめどに協定内容を見直すことなどでも合意した。

RCEPは2020年に署名(発効は22年)され、現在、日本やASEAN諸国のほか、中国、韓国、オーストラリアなどが参加。世界最大の自由貿易圏を目指している。
(ザ・バイブス、9月26日、ベルナマ通信、9月25日)