エネルギー戦略の見直しが必要、対話会でアンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は6日、トルコとの関係に関する対話会における基調演説で、エネルギー供給の混乱によるリスクの高まりを背景に、マレーシアはより持続可能な、多様化した、費用効果の高いエネルギー戦略への転換が必要と戦略見直しを表明した。

アンワル氏は「ペルシャ湾岸諸国など戦略的に重要な地域で緊張が起これば、紛争の脅威にとどまらない。現在進行中の地政学上の緊張によるエネルギー供給混乱の影響をマレーシアも免れない」とした上で、エネルギー戦略の抜本的転換を加速する必要があると述べた。

さらに、世界的なエネルギー供給の混乱は価格上昇をもたらし、先進国、途上国を問わず、生産システム、供給網、生活費に波及し、経済の安定を損なうと述べた。

マレーシアは石油輸出国であると同時に輸入もしており、この先3-4カ月、多少の価格変動はあっても安定的供給を維持できる。液化天然ガス(LNG)も国内生産、オーストラリアからの長期調達契約などがあり、不足は生じないという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、4月7日)

補助金なし「RON95」とディーゼルが値上げ、前週価格に基づき

【クアラルンプール】 財務省は8日、4月9日から4月15日までの1週間の燃料小売価格を発表。米国・イランの停戦合意を受けて原油国際価格が大幅に下落したにも関わらず、レギュラーガソリン「RON95」の補助金なし価格と半島部のディーゼル価格が引き上げられた。

値上げについて財務省は、燃料小売価格が現時点での水準ではなく前週の平均価格に基づいて決定されているためだとし、既存の供給は高値で調達されており、それがガソリンの高値につながっていると説明した。

「RON95」の補助金なし価格は前週の3.87リンギから40セン引き上げ4.27リンギとする。新燃料補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」適用外のハイオクガソリン「RON97」の価格も4.95リンギから40セン引き上げ5.35リンギとする。また半島部における「ユーロ5 B10」および「B20」ディーゼル価格は、1リットルあたり6.02リンギから6.72リンギに70セン引き上げる。

「RON95」の補助金付き価格は1.99リンギ、サバ州、サラワク州、ラブアンにおけるディーゼル燃料の小売価格は2.15リンギでそれぞれ据え置く。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ポールタン、フリー・マレーシア・トゥデー、4月8日)

米イラン停戦合意、マレーシア外務省が歓迎

【プトラジャヤ】 ドナルド・トランプ米大統領がパキスタンの仲介を通じてイランに対する軍事作戦を2週間停止すると発表したことを受け、マレーシア外務省はこの動きを歓迎するとの声明を発表した。

マレーシア外務省はこの重要な進展は緊張緩和と、西アジア地域に切望されている平和と安定の回復に向けた重要な一歩であると言明。すべての当事者に対し、敵対行為の再発を防ぐために停戦のすべての条項を誠実に尊重し履行するよう強く求めた上で、地域の脆弱な安定を損ない世界の経済とエネルギーの安全保障を危うくするような挑発行為や一方的な措置を避けるよう強く求めた。

イランは6日、米軍撤退や停戦に向けた制裁解除など10項目の和平案を米国側に示しており、停戦期間内に核開発問題や制裁解除の具体的条件で双方が折り合えるかが今後の焦点となる。

アンワル・イブラヒム首相は、イランが提案した10項目和平案を「平和と安定に向けた重要な一歩」と評した上で「この提案は、地域だけでなく世界全体の平和と安定の回復に明るい兆しとなる。交渉プロセスが誠意をもって行われ、地域が直面する問題の恒久的な解決を目指す強い決意をもって進められることを切に願う」とのコメントを発表した。

米国側の停戦宣言に対しイランのアラグチ外相は、最高国家安全保障会議がイランへの攻撃が停止されればテヘランは防衛作戦を停止すると宣言したと述べた。報道によると関係当事者間の交渉は10日、パキスタンのイスラマバードで行われる予定だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン、ベルナマ通信、4月8日)

「マレーシア観光年2026」、27年末まで1年延長=副首相

【クアラルンプール】 マレーシア政府は、国内観光業を支援するため「ビジット・マレーシア・イヤー2026(VM2026、マレーシア観光年2026)」を2027年末まで1年間延長することを決めた。中東紛争により世界の観光セクターが混乱している現状を考慮した

アハマド・ザヒド副首相は6日に自身が議長を務めたVM2026国家運営委員会の第2回会合で延長が合意されたと公表。今回の延長によりマレーシアはプロモーション戦略の強化、安全で安定した競争力のある観光地としての地位確立、変化する世界の旅行トレンドへの対応において、より積極的なアプローチを取ることができると述べた。

中東からの観光客数は11―27%減少する可能性があり、最大3,800万人の観光客の減少と最大560億米ドルの経済損失につながる可能性があるという。ザヒド氏は紛争によって国際航空路線が混乱し、原油価格の高騰と輸送費の増加により旅行費用が上昇し、旅行者の信頼感が低下していると指摘した。
(ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、4月6日)

外務省、マレーシア船1隻のホルムズ海峡通過を確認

【クアラルンプール】 外務省は7日、マレーシア企業が所有する船1隻がホルムズ海峡を通過した、と発表した。中東紛争の開始以降、イランが海峡通行を許可した初のマレーシア関連の船で、ペルシャ湾内に停留中の船は残り6隻とみられる。

ペルシャ湾内で停留中のマレーシアの船について、アンワル・イブラヒム首相が5日、7隻の航行が許可されたと発言。在マレーシアイラン大使館も6日、Xの公式アカウントで「イラン・イスラム共和国は友人を忘れない」として、船が通過したと投稿していた。

今回海峡を通過したのはタンカー「オーシャン・サンダー」とみられる。国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)傘下のペトロナス・トレーディング・コーポレーション(PETCO)がチャーターした船で、重質原油100万バレルを積載し、3月2日にイラク南部バスラを出航していた。4月中旬にジョホール州ペンゲランで荷揚げされる見込みだ。

このほか、バントリス・エナジー(旧サプラ・エナジー)、MISCなどの船が通過待ちの状態とみられる。
(ベルナマ通信、4月6、7日、フリー・マレーシア・トゥデー、4月6日、ロイター通信、4月5日)

2日からも補助金なし「RON95」据え置き、ディーゼルは高騰

【クアラルンプール】 財務省は1日、2―8日までの1週間の燃料小売価格を発表。レギュラーガソリン「RON95」の補助金なし価格は、前週と同じ1リットル当たり3.87リンギに据え置かれた。さらにハイオクガソリン「RON97」は値下げとなる一方、半島部のディーゼル価格は4週連続で上昇し過去最高水準になった

RON97は、前週の5.15リンギから20セン引き下げられ4.95リンギとなった。RON97は新燃料補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」適用外で、中東情勢に伴う国際石油価格の高騰で、3月5日以降値上げが続いていたが、初めて値下げに転じた。

半島部における「ユーロ5 B10」および「B20」ディーゼル価格は、1リットルあたり5.52リンギから6.02リンギに50セン引き上げられた。3月4日時点の3.04リンギから、1カ月でほぼ倍となった。「ユーロ5 B7」ディーゼルも20セン引き上げ、6.22リンギになる。

また政府は、対象を絞ったディーゼル車への追加補助金は維持。世帯収入が10万リンギ以下の非高級ディーゼル車所有者や小規模農家などには300リンギが給付される。

一方、RON95の「BUDI95」適用価格は1.99リンギ、サバ州、サラワク州、ラブアンにおけるディーゼル燃料の小売価格は2.15リンギでそれぞれ据え置かれた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ポールタン、エッジ、4月1日)

飲酒運転被害者遺族への賠償義務付けへ、政府が道路交通法改正

【プトラジャヤ】 運輸省は、飲酒運転による死亡事故で有罪判決を受けた運転手に対し、禁錮刑に加え被害者遺族への賠償を義務付けるため、「1987年道路交通法」の改正案を策定している。アンソニー・ローク運輸相が明らかにした。

セランゴール州クランで、飲酒・薬物運転の車との衝突事故により配達員のアミルル・ハフィズ・オマル氏が死亡したことを受けての発言で、ローク氏は「政府は道路利用者の安全を常に確保するため、法律強化と執行の徹底に引き続き取り組んでいく」と言明。飲酒運転や薬物運転をする者には容赦しないと断言した。

2020年10月に改正された現行の道路交通法第44条では、飲酒運転または薬物運転で死亡事故を起こした運転者は、10―15年の禁固刑と5万―10万リンギの罰金刑が科される。再犯者は15―20年の禁固刑と10万―15万リンギの罰金刑が科される。

クランの飲酒事故を受けて飲酒を禁忌とするムスリム社会から怒りの声が噴出しており、イスラム法(シャリア)に基づく「ディヤ」(遺族への賠償金)補償制度の導入を求める声も上がっている。

ズルキフリ・ハサン首相府(宗教問題担当)は、ムフティ(イスラム宗教指導者)、著名人、同省傘下の専門家らが参加し、「ディヤ」の実施に関する協議を開始したと公表。犠牲者の遺族の権利は決して軽視されるべきではなく、「ディヤ」制度導入は遺族への正義と適切な保護を確保するために検討が必要だと述べた。
(ザ・スター電子版、ザ・サン、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、3月30日)

レギュラーガソリン購入時の外国発行カード利用、4月から制限

【クアラルンプール】 国内取引物価省(KPDN)は4月1日から、レギュラーガソリン「RON95」の購入時に外国発行のクレジットカード・デビットカードの使用を制限する方針だ。不正購入防止のための措置で、外国発行カードでの購入希望者には、給油所レジでの支払いを義務づけるものとなる。

マレーシアの大手系列の給油所では、ノズルなどが組み込まれた「給油ベイ」にカードなどの決済機能が付属しており、その場で支払いまで完了できるのが一般的だが、今後は給油ベイで外国発行カードを段階的に利用できなくする。外国発行カードを使いたい場合、有人レジで支払いを済ませれば給油は可能。

KPDNのアズマン・アダム事務局長によると、今回の措置は監視強化が狙い。4月1日から外国登録車への補助金付きRON95売買の罰則が強化されることを踏まえ、「外国登録車が外国発行カードで不正購入するケースが多発しており、車両と決済手段の両面から取り締まりを強化する」と説明。現段階ではRON95の購入のみが制限されるとみられる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月28日、ザ・サン、マレー・メイル、3月29日)

補助金付き燃料の購入上限を引き下げ、4月1日付けで

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は26日に国民向けの特別演説を行い、燃料補助金適用のレギュラーガソリン「RON95」の月々の購入量上限を4月1日から一時的に従来の300リットルから200リットルに引き下げると発表した。

世界的な原油高を受けた措置で、補助金付き価格は今後も1リットルあたり1.99リンギで維持していく。また配車サービスやギグワーカーの燃料上限については、それぞれの職務内容や業務の性質などを考慮し、現行の800リットルで維持する。アンワル首相は「近隣諸国を含む多くの国が燃料価格を引き上げている中、マレーシアは補助金付き価格の維持を選択した。しかし現状ではいくつかの調整が必要だ」と国民に理解を求めた。

アンワル首相は、「補助金付きRON95の平均消費量は約100リットルであることが判明した。人口の約90%は月間使用量が200リットル未満であるため影響を受けない」とした上で、あくまで世界の原油価格、供給量、そして世界経済の回復を待つ間の暫定措置であることを強調した。

アンワル首相は、イラン紛争を受けてエネルギー供給の継続性を確保するために補助金付き燃料購入量の引き下げ決定を下したと説明。燃料補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」と対象を絞った補助金政策が継続されるよう、積極的に行動していると述べた。また供給量に関しては十分かつ安定しており、国民のニーズは十分に確保されていると保証した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、3月26日)

イランがマレーシア船のホルムズ海峡通過を許可=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は26日に行った国民向けの特別演説の中で、マレーシアの石油タンカーがホルムズ海峡を通過することをイランのペゼシュキアン大統領が許可したと発表。感謝の意を表明した。

アンワル首相は、西アジアの緊張について協議するため、ペゼシュキアン大統領とエジプトのシシ大統領に連絡を取ったと表明。現在ペルシャ湾で立ち往生しているマレーシアの石油タンカーと関係する作業員が帰国の途につけるよう手続きを進めていると述べた

またアンワル首相は26日午前にパキスタンのシャリフ首相と3度目の会談を行い、米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに勃発した紛争後の和平に向けた取り組みについて詳細を聞いたと公表。「イランはこれまで何度も欺かれてきたと考えており、拘束力のある合意と安全保障がなければ和平への動きを受け入れることは難しい。そのため、事態は容易ではない」と述べた。

その上でアンワル首相は、ホルムズ海峡の封鎖と世界的な石油・ガス供給の混乱はマレーシアにも影響を及ぼす可能性があると言明。ただマレーシアは国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の供給管理能力とエネルギー安定供給能力のおかげで、比較的有利な立場にあるとし、国民の利益と安全、そして国家経済の保護を確保しつつ、地域和平への取り組みを積極的に支援していくと述べた。
(ザ・スター電子版、ザ・サン、マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、ベルナマ通信、3月26日)