米インテル、ペナン新工場の操業を延期へ

【クアラルンプール】 半導体大手の米インテルは、売上減と赤字拡大に悩まされていることから、マレーシア・ペナンに現在建設中の新工場の操業を延期する方針だ。

インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は従業員に送付したメモの中で、インテルはいまだペナンの新先端パッケージング工場の建設を完了させる予定であり、マレーシアが引き続き同社の設計・製造拠点であり続けると言明。「マレーシアの新先端パッケージング工場の建設を完了させる予定だが、立ち上げは市場状況や既存生産能力の活用度向上に合わせる」と述べ、操業開始時期を延期する意向を示した。

ペナン施設の拡張プロジェクトは、新型コロナ禍で世界中が半導体不足に直面していた2021年に発表されたが、その時点では70億ドル(300億リンギ)以上の投資が予定されていた。計画では2024年に生産を開始し、4,000人以上の雇用創出が見込まれていた。

インテルは2025年までに全世界で全従業員の15%に当たる1万5,000人を削減する計画を明らかにしており、9月16日には、ドイツとポーランドに2つの巨大半導体工場を建設する計画を延期すると発表していた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、9月18日)

ジェトロ、EC活用実証事業への参加日本企業を公募

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、マレーシアにおける日本企業の電子商取引(EC)活用に関するデジタルマーケティング実証事業を、2024年10月から2025年3月にかけて実施すると発表した。

ECプラットフォーム「ショッピー・マレーシア」(Shopee.com.my)に出品している日本企業(国内、在マレーシア問わず)を対象に、ターゲティング広告などを通じたデジタルマーケティングの実証事業を行う。

実証事業を通じて、マレーシアのEC市場を開拓するにあたり有用な示唆を得ること、日本企業にとって効果的なロールモデルを見い出すことを目的としている。

事業内容は▽約2カ月にわたるキャンペーン広告の実施と情報収集、広告効果分析▽毎月のフィードバック▽対象商品ページの管理画面の毎月提出――で、9月30日まで参加企業を募集する。募集企業数は10社程度。

ERLとマレー国鉄が統合発券システム稼働、乗り継ぎが便利に

【クアラルンプール】 クアラルンプール市内とクアラルンプール新国際空港(KLIA)を結ぶ高速鉄道KLIA線を運営するエクスプレス・レール・リンク(ERL)とマレーシア国鉄(KTMB)は13日、両社の鉄道チケットを同時に購入できる、新しい統合発券システムを稼働したと正式に発表した。

KTMBのアプリやERLのウェブサイトから両社のチケットを購入できるようになった。乗り継ぐ場合にそれぞれのシステムから別々にチケットを購入する必要がなくなるため、利便性が向上した。

例えば、KLIAからペナン州に向かう場合、高速鉄道KLIA線の空港からKLセントラル駅までのチケットおよびKTMBのKLセントラル駅―バターワース駅間のチケットを事前にオンライン購入しておけば、当日は1枚のデジタルチケット(QRコード)を改札でスキャンするだけで移動できる。

統合発券システムはオンラインに加え、ケダ州ではアロー・スターとスンガイ・ペタニ、ペナン州ではバターワースとブキ・メルタジャム、ペラ州ではイポーの合計5駅で利用可能。今後はマラッカ州のプラウ・セバンやジョホール州セガマット、ゲマス、ジョホールバルの各駅にも導入する予定。

統合発券システムは7月19日より稼働を開始しており、乗り継ぎチケットの8月中の販売数は1,327枚だったが、9月にはその2倍に達すると予想されている。

(マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、9月13日)

スーパーマックス、来年1月までに米国で手袋生産開始

【クアラルンプール】 ゴム手袋製造大手のスーパーマックス・コーポレーションは17日、テキサス州ブラゾリア郡にある同社初の米国の製造施設で、2025年1月までに商業生産を開始すると発表した。

米国での生産は完全子会社のマックスター・ヘルスケアを通じて行うもので、2024年12月に最初の生産ラインの試運転を開始する。当初は第1期で予定している生産能力の半分に当たる年間最大24億枚のゴム手袋生産を見込んでいる。第1期の残りラインは2025年第4四半期に完成する予定で、米国の年産能力は2倍の年間48億枚に拡大する。

テキサス州の製造ビル(B2A)と倉庫兼配送センター(B5)の建設は、米国のスーパーマックス・ヘルスケアとマックスター・ヘルスケアのチームが共同で行い、2023年12月に完了。試運転にあたっては、マレーシアの技術チームが派遣された。

またスーパーマックスは向こう2年内に第2期開発を計画しており、それに向けて世界的な需要と消費市場の動向を注視している。

米国通商代表部(USTR)は最近、中国からの輸入医療用手袋に2025年に50%、2026年に100%の高関税率を課すことを決定しており、米医療機器製造業者協会の会員企業であるマックスター・ヘルスケアにとって有利に働くと見られている。

(ビジネス・トゥデー、エッジ、9月17日)

ハラル見本市「MIHAS2024」開幕、ドバイでも11月に開催

【クアラルンプール】 国内最大のハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2024」が17日、マレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開幕した。開催は20日までの4日間。

主催のマレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)によると、今年の成約額は昨年の32億リンギを上回る35億リンギとなる見込み。参加企業数も昨年より10%増となり、66カ国から2,000ブースが出展されている。

MATRADEはまた、初の海外版となる「MIHAS@ドバイ」を11月18―20日にドバイ・ワールド・トレード・センターで開催する。「中東オーガニック・ナチュラル製品エキスポ2024」との併催で、約230社が2,000平方メートルの会場で出展する。約120社のバイヤーの参加や成約額10億リンギを見込んでいる。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、ドバイの中継都市としての地位を活用し、中東および北アフリカ市場への輸出拡大を目指すと述べた。中国や欧州でもMIHASを開催する計画があるとし、日本に関しては、2025年4―10月に開催される、大阪・関西万博への参加を通じて貿易拡大を目指すとしている。

(マレー・メイル、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、9月13日)

三菱モーターズ、新型「エクスパンダー」の予約受付を開始

【クアラルンプール】 三菱モーターズ・マレーシア(MMM)は、7人乗りクロスオーバーMPV(多目的車)「エクスパンダー」のフェイスリフト版の予約受付を開始した。

「エクスパンダー」は2020年末にマレーシア市場に導入。現地生産を行い、4年間で4万台を販売している。MPVセグメントでは、トヨタ「ヴェロス」やプロドゥア「アルザ」の競合車となる。フェイスリフト版は9月末発売予定で、期間限定保険なし価格として11万5,000リンギで提供する。

今回のフェイスリフトでは、外装・内装ともに大幅な改良が施された。サイズは、全長4,475mm、全幅1,730mm、全高1,750mm、ホイールベース2,775mm、地上高はセグメント最大の220mm。車体カラーは全4色。内装ではダッシュボードがよりシンプルでモダンなデザインに一新された。タッチスクリーン式インフォテインメント・システムが9インチに大型化され、スマホを車載機器と接続する「アンドロイドオート」と「アップルカープレイ」を搭載した。新型ワイヤレス充電器や、従来のハンドブレーキに代わるオートホールド機能付きの電動パーキングブレーキも備えている。

(ポールタン、ジグホイールズ、カーリスト・ドット・マイ、9月12日)

日揮など日本8社、サラワク州のCCS設計作業を受託

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日揮ホールディングス(本社・神奈川県横浜市)は13日、日本企業7社とともに、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の令和6年(2024年)度「先進的二酸化炭素回収・貯留(CCS)事業に係る設計作業等」公募において、サラワク州におけるCCS事業に係る設計作業などを9月11日付けで受託したと発表した。

7社は、▽石油資源開発(本社・東京都千代田区)▽川崎汽船(本社・東京都千代田区)▽JFEスチール(本社・東京都千代田区)▽三菱ガス化学(東京都千代田区)▽三菱ケミカル(東京都千代田区)▽中国電力(本社・広島県広島市)▽日本ガスライン(本社・愛媛県松山市)――。

日揮を含む日本側8社は日本国内の製鉄所、発電所、化学工場等から排出される二酸化炭素(CO2)の分離・回収・液化に必要な設備やコストの検討作業を進める。また、プロジェクトの共同推進者である国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)子会社のペトロナスCCSベンチャーズ(PCCSV)と日本側8社は、サラワク州までの海上輸送(瀬戸内エリアにおける内航輸送を含む)、圧入・貯留までに必要な設備ならびにコストの検討を共同で進めていく。

格安航空エアアジア、KK―越ホーチミン線を12月3日に就航

【セパン】 格安航空エアアジアは10日、コタキナバル(KK)―ベトナム・ホーチミン線を12月3日に就航すると発表した。エアアジアにとってコタキナバル発の16番目の国際線となる。

火・木・土曜の週3往復の運航で、スケジュールは往路の「AK1630」便がKK発11時45分、ホーチミン着12時55分。復路の「AK1631」便がホーチミン発13時25分、KK着16時35分となっている。

新路線の就航記念として、KK発が片道199リンギ、ホーチミン発が139万9,000ドンからの特別運賃を提供する。対象旅行期間は2024年12月3日から2025年3月29日までで、2024年9月22日まで専用アプリ「エアアジアMOVE」およびウェブサイト(airasia.com)から予約できる。

マレーシア政府観光局は、2024年にベトナム人観光客47万5,000人の誘致を目標に掲げている。

(ザ・サン電子版、ビジネス・トゥデー、9月10日、エアアジア発表資料)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第883回:高齢化社会との向き合い方(10)個別指導でICTスキルを高める

第883回:高齢化社会との向き合い方(10)個別指導でICTスキルを高める

前回は、加齢による身体の衰えに加えて、自己効力感やソーシャルキャピタルの欠如が、高齢者のICT利用を阻む原因になっていることを述べました。そのため、孤立している高齢者ほどICTを利用しない・できないというジレンマがあります。この問題にどのように取り組めばいいでしょうか。

スキルとデジタルリテラシーを促進するうえでグループベースのICTトレーニングが有効であることを示す証拠があります。Zhao et al. (2020) の研究では、無作為化比較試験(RCT)により、344人の高齢の参加者が介入群または待機リスト対照群のいずれかに割り当てられました。20週間にわたって週に1回、スマートフォンのトレーニングプログラムを受けた介入群では、スマートフォンのコンピテンシーと生活の質が高まりました。しかし、こうした画一的なトレーニングが一部の高齢者にとって有効であったとしても、他の高齢者にとって同様に有効であった可能性は低いと考えられます。そのことは、この研究に示された一部の指標の効果量の低さにも表れています。

そのため、近年の研究は、画一的なアプローチから、教育と学習への個別化されたアプローチへの脱却を主張しています(Arthanat et al., 2021; Fields et al., 2021)。このうち、Arthanat et al. (2021) の研究では、2年間のRCTにより、83人の高齢者が介入群と対象群に分けられた後、6か月間隔で、デジタルリソースへのアクセスと活用を促進するための、コーチと参加者の1対1のICTトレーニングが実施されました。その結果、介入群の高齢者は、対照群の高齢者よりも、様々な余暇や健康管理、日常的な活動に多く従事するようになりました。また、テクノロジーの受容性が大幅に向上し、自立感が維持されました。この結果は、マンツーマンで時間をかけて丁寧に指導を行うことで、ICTスキルの向上が期待できることを示しています。

しかし、社会実装を視野に入れれば、当然、費用対効果、或いは、時間帯効果の観点で実現可能なものでなくてはいけません。個別のニーズに応えようとするあまり費用や時間のかかるトレーニングを設計すれば、それだけ事業継続が困難になります。この問題を、既存の研究は真剣に取り組んでいないように思います。次回に続きます。

Kokubun, K. (2024). How to Popularize Smartphones among Older Adults: A Narrative Review and a New Perspective with Self-Efficacy, Social Capital, and Individualized Instruction as Key Drivers. Psychology International, 6(3), 769-778. https://doi.org/10.3390/psycholint6030048

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、東北大学客員准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、産業創出学の構築に向けた研究に従事している。
この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

イケアマレーシアが2千品目を値下げ、電動配送車も増強

【バトゥ・カワン】 スウェーデン系家具メーカー、イケア・マレーシアは12日、ペナン州バトゥ・カワン店で同社初となる「IKEA青写真2025」イベントを開催。今年300以上の商品を値下げしたのに続き、2,000以上の人気商品を新たに値下げすると発表した。

小売部門責任者のマルコム・プルイス氏は、同社の調査によると、マレーシア人の3分の1以上が家計と可処分所得に不安を感じており(38%)、経済状況にも不安を感じている(36%)と説明。手ごろな価格はイケアのビジネスの基本であり、また、現在の経済情勢下で人々がインテリアへの出費に対してより慎重になっているため、利益ではなく価格設定に投資するとした。今回の値下げは単なる安売りではなく、良質なインテリア商品を誰もが手に入れられるようにするためのものだとしている。

プルイス氏はまた、イケアは年内に配送用電気自動車(EV)9台を追加導入し、合計12台のEVを保有すると述べた。2025年にはさらに10台のEVを導入する計画で、2030年までに100%持続可能な配送を実現することを目指すとしている。イケアの2024年度の総売上高の16.5%をEコマースが占めているため、EV車両の拡大は同社の成長戦略にとり重要で、2023年は合計8,567件の配送がEVで行われたが、EV配送件数がより拡大することを期待していると述べた。

(マレーシアン・リザーブ、ビジネス・トゥデー、9月12日)