イスラム教に沿ったAIモデル、ゼトリックスが発表

【クアラルンプール】 行政サービスの電子化を請け負っているゼトリックスAI(旧MyEGサービシズ)は12日、大規模言語モデル「NurAI」を開発したと発表した。世界初の、イスラム教の要件を満たす人工知能(AI)モデルで、グローバルサウスの世界観を反映させているという。

法律、保健医療、金融から、歴史、イスラム哲学、クルアン(コーラン)学などイスラムにかかわる事項まで広範な話題に回答を生成する。使用可能言語は、マレー語、インドネシア語、アラビア語、英語で、パソコン、モバイル端末のどちらでも利用できる。

ゼトリックスAIは声明で「イスラムの価値にそぐわない点がある西側、中国のAIモデルの代替になり得る、イスラム共同体向けAIだ」とした。発表式でアハマド・ザヒド副首相は「宗教と技術の調和の好例であり、官民、金融機関、宗教団体などすべての関係者にこうした技術の開発、普及を後押しするよう求める」と述べた。

NurAI開発には中国ディープシークのオープンソースノウハウを利用した。専門知識を学習したアバターを使っており、ユーザーはアバターを個人教授のように利用できる。
(エッジ、8月11日、ビジネス・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、8月12日)

カールスバーグ、9月からビールの販売価格を値上げへ

【クアラルンプール】 大手ビール会社カールスバーグ・ブリュワリー・マレーシアは、9月1日から国内でのビールの価格を引き上げる。今年の販売量が横ばいと見込まれる中、コスト上昇と需要低迷の中で利益率を確保するのが狙いだが、値上げ幅は小幅に抑える方針だ。

ステファノ・クリニ社長は今年の販売量について、旧正月など祝祭期の需要が低迷し、年間で3―4%減になる見込みと説明。また近年数億リンギ規模をインフラ改善に投資しつつ、生産コストは安定させていることから、コスト管理への自信を示し、「値上げは利益拡大ではなく、あくまで利益維持のためで、1桁台にとどめたい」と強調した。値上げにより、2、3カ月の短期的には消費が落ち込む可能性があるとする一方、長期的な影響については「時期尚早」とした。

さらに、マレーシア政府が第13次マレーシア計画(13MP)に盛り込んだ、健康増進税(プロヘルス税)について懸念を表明。アルコールやたばこ、電子タバコが含まれる可能性があり、過度な課税は違法市場の拡大を招きかねず、政府と協議を進めるとした。
(マレー・メイル、8月13日、エッジ、8月12日)

9月のハラル見本市「MIHAS2025」、過去最大級の見通し

【クアラルンプール】 9月に開催されるハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2025」は過去最大級になる見通しだ。マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)のリーザル・メリカン長官が12日、明らかにした。

MIHASは2004年に初開催。前回の2024年は2,028のブースで構成されたが、今年はそれを上回る2,300以上のブースが出展する。食品などに留まらず、教育、医療、フランチャイズ、イスラム美術工芸、物流などの14の産業分野にまたがる見込みだ。また来場者も過去最高の4万3,000人を上回る、45カ国以上から4万5,000人以上を目指すという。

さらに今年は、ASEAN・湾岸協力会議(GCC)の特別パビリオンが設置される。昨年、初開催となった海外版の「MIHAS@ドバイ」が好評だったことなどを受けたもの。今年は中国・上海でも開催が予定されており、リーザル氏は「来年はヨーロッパでも開催し、マレーシアのハラル企業が国際的にビジネスをアピールできるよう図りたい」と述べた。

MIHAS2025は「ハラルの卓越性の頂点」をテーマに、9月17―20日の4日間、クアラルンプール(KL)のマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開催される。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月12日、ザ・スター、8月13日)

エアアジアX、13年ぶりの欧州便 イスタンブール便を11月就航

【セパン】 中・長距離格安航空エアアジアXは11月14日から、クアラルンプール新国際空港(KLIA)と、トルコ最大の都市、イスタンブールのサビハ・ギョクチェン国際空港(SAW)を結ぶ路線を就航する。エアアジアXにとって13年ぶりのヨーロッパ直行便の復活となる

KLIA―SAW便は月・水・金・日曜の週4便。往路の「D7604」便は飛行時間約11時間でKLIA発が9時35分、 SAW着が16時5分、復路の「D7605」便は飛行時間約10時間で、SAW発17時20分、KLIA着が翌8時40分となる。使用機材はエアバスA330ー300型機。

SAWは現在、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)が運営を行っており、アジアとヨーロッパの重要な中継地として、117以上の国際都市、40以上の国内都市への乗り継ぎが可能。エアアジアXはこのハブ機能を活用し、年間15万人の旅客輸送を目指していく。また、よりシームレスなサービスを提供するため、トルコを拠点とする航空会社と「インターライン契約」の協議を行っているという。

エアアジアXは2009―2012年にロンドンとパリへの路線を運航していたが、需要の低迷などで廃止した。一方、昨年はカザフスタンのアルマトイ路線や、初のアフリカ路線となるナイロビ路線を就航するなど、エアアジアXの親会社であるキャピタルAのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は近年、世界的な格安航空会社ネットワークの構築を打ち出している。ヨーロッパ路線の復活はそのためにも重要で、その後に北米市場進出を目論む。エアアジアXが7月、最大70機のエアバスの長距離向けジェット機の購入を発表したのもその布石とみられている。しかし、ナイロビ路線は需要低迷のため9月1日からの運休が発表されており、エアアジアXのベンヤミン・イスマイルCEOは「イスタンブール便の就航は、これまで以上に力強く復興していく我々の新たな誇りとなる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月12日、エッジ、8月11日)

パナソニック、新ビルトインキッチン家電シリーズを発表

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 パナソニック・マレーシアは11日、「調和のとれたデザイン、創造的な調理」をテーマとする新しいビルトインキッチン家電シリーズを発表した

新シリーズは、高性能のレンジフードやIHコンロ、ビルトインオーブンなどで展開。スタイリッシュなデザインで家電製品とリビングスペースなどの生活空間との一体感や使いやすさを重視。キッチンを家の中心に位置づけ、調理だけでなく、健康のサポートなどを通じ、生活をより豊かにすることを目指している。西田圭介社長は「『Inspired by Japan』という理念に基づき、洗練されたデザイン、精密なエンジニアリングの日本品質を反映し、マレーシアの家庭の現代生活を向上させる革新的で使いやすい家電製品を提供する」と述べた。

レンジフードでは、自動開閉機能を備えたサイド吸引型や、セルフクリーニング付きT型フードなどから選択可能。コンロでも、基本性能を備えたエントリーIHモデルから、柔軟な調理が可能なアドバンスモデルまで、幅広く展開する。オーブンは、12の調理機能と触媒式セルフクリーニングを備えた上位モデルと日常使いに適した基本モデルの2種類がラインアップされている。価格帯も幅広く設定されている。すでに6月から発売開始されているもののほか、一部モデルは8月と10月に発売予定。

長崎県松浦市名物のアジフライ、マレーシアにも近く輸出見込み

【クアラルンプール】 長崎県北部の松浦市は、人気のアジフライを近くマレーシアへ輸出する見込みだ。国営「ベルナマ通信」が12日、報じた。

今回、日本貿易振興機構(ジェトロ)などの招きで、ベルナマ通信の記者が、日本一のアジの水揚げ量を誇る松浦市を訪問した。松浦市は玄界灘に面しており、日本のアジとサバの生産量の半分を占めているという。ジェトロ長崎事務所の高橋淳所長は、アジフライには市場で水揚げされた後、そのまま加工して、急速冷凍する「ワンフローズン」製法が採用され、鮮度が保たれ高級感があることなどを説明。

松浦市産の冷凍アジフライは、米国やモンゴルにも輸出されており、マレーシアの大手小売業者も強い関心を示している」と付け加えた。

松浦市は「アジフライの聖地」として観光にも力を入れている。市文化観光課によると、市内にはアジフライを提供する飲食店が約35軒あり、コンビニエンスストアの数を上回っている。「アジは美髪や美肌、アンチエイジング効果など、栄養価の高い魚」とアピールし、アジフライを求めて外国人観光客も含め多くの人が訪れているとした。
(ベルナマ通信、8月12日)

上半期のAI分野の認可投資は33億リンギ

【クアラルンプール】 マレーシアは今年上半期に人工知能(AI)分野で32億9,000万リンギの認可投資を確保した。ゴビンド・シン デジタル相が11日、明らかにした。

ゴビンド氏は、投資を通じ約6,920人の雇用創出が見込まれるとした。また、2023年のマレーシアの国内総生産(GDP)に占めるAIとテクノロジーの比率は23.5%で、政府が掲げる2025年末までに25.5%に引き上げるという目標達成についても自信を示した。

また、昨年発足した国家AI事務所(NAIO)を中心に、「国家AIアクションプラン2026ー2030」を策定中で、年内の発表に向け現在最終調整中であると説明。データ、人材、インフラの3つに重点を置き、マレーシアを東南アジア諸国連合(ASEAN)地域のAIハブとして位置付けることを目指していくと強調した。

さらに、28の省庁への省庁横断的なAI影響調査を実施中で、現在までに政府の業務におけるAIの活用事例として55件が報告されていることを補足。例えば、交通予測や港湾管理、病院の資源配分、医療記録のデジタル化、農業需給予測、労働力のスキルアップ支援などが挙げられるという。今後、「AI at Work」プログラムを導入し、公共部門の機能の効率性をさらに向上させていくと付け加えた。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、ザ・バイブス、8月11日)

セランゴール州が酪農場を設立、乳製品の輸入依存軽減目指す

【クアラ・クブ・バル】 セランゴール州農業開発公社(SADC)の乳牛複合施設、エサン・デイリーファームの起工式が10日、アハマド・ザヒド副首相らを招いてスンガイ・テンギで開催された。2026年1月の操業開始を予定している。

マレーシア全体で94.7%に上っている乳製品の輸入依存度の低減が目的。乳製品の輸入額は年間46億リンギに上っているという。エサン・デイリーファームの面積は9.7ヘクタールで、オーストラリアから輸入した高品質なジャージー・ホルスタイン種の乳牛1,200頭を飼育。年間最大180万リットルの生乳を生産する。

ザヒド氏はプロジェクトは年間750万リンギ以上の収入、100人以上の雇用を創出すると言明。「スマート農場管理技術、自動化、デジタル動物衛生システムを統合し、地元乳製品の加工、包装、マーケティングを含む下流の農業産業エコシステムの発展を支援する」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、ザ・サン、ベルナマ通信、8月10日)

ペナン州、マグロの水揚げ専用の新港をバタワース近郊に計画

【バタワース】 ペナン州政府は、マグロの水揚げ量を増やすため、国際基準を満たす新たなマグロ・深海漁業港の建設を計画している。国営「ベルナマ通信」が10日、州農業技術・食糧安全保障・協同開発委員会のファミ・ザイノル議長(国政の閣僚に相当)の発言として報じた。

新港は、欧州連合(EU)の基準を満たし、マグロ漁業に特化した設備を備える。建設予定地としてバタワース近郊のバガン・アジャムが選定されており、ファミ氏は「新港開発のための土地はすでに確保されている。開発予算は1億5,000万―3億リンギで、資金調達について投資家らと協議中」と述べた。民間からの資金提供と並行して、土地管理局やその他の関係機関からの技術承認が必要で、港の完成は1年半から2年以内の可能性があると付け加えた。

マレーシア水産局のデータによると、昨年ペナンで水揚げされたマグロの総量は43万1,000キログラム(kg)で、775万8,000リンギ相当だった。今年の水揚げは外国船籍も含めすでに145万kg、2,600万リンギ相当に達しているという。またマレーシア船籍がアフリカのモーリシャスで55万kgのマグロを水揚げしている。

こうした状況を踏まえつつ、新港は国際基準を満たし外国船が寄港しやすく、かつ民間商業港より安価で利用できるよう図る。ファミ氏は「新港は稼働開始から5年以内にマグロの水揚げ量を30―50%増加させる」との期待を示した。将来的には、ペナンをマグロ加工拠点として位置付け、外国漁船が水揚げしたマグロを加工し、台湾や日本などの市場に輸出できるようにしていく方針。
(マレーシアン・リザーブ、ペナン・トゥデー、8月11日、ベルナマ通信、8月10日)

中古品販売のコメ兵、「ロット10」店を10月3日オープンへ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中古品流通などを手掛けるコメ兵ホールディングス(本社・愛知県名古屋市)は12日、クアラルンプール(KL)の商業施設「ロット10」内に「コメヒョー・ロット10店」を出店すると発表した。

オープンは10月3日を予定。店舗面積は102平方メートルで、宝石、時計、バッグなどを販売する。コメ兵は2024年4月、香港の連結子会社、コメヒョー・ブランド・オフ・アジアがマレーシアに子会社、コメヒョー・マレーシアを設立すると発表。資本金は600万リンギで、宝石・貴金属、時計、バッグの仕入れおよび販売を行うとしていた。

コメ兵ホールディングスは以前の声明で、海外ブランドリユース市場でシェアを拡大していくうえで、経済成長が著しいマレーシアは一人あたりの所得が東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でシンガポールに次いで高いなど、様々な観点で重要な拠点になるとみて注目していたと説明していた