パハン州、東海岸鉄道線7駅を中心とした都市開発に重点

【クアンタン】 パハン州政府は東海岸鉄道線(ECRL)の州内7駅での公共交通指向型都市開発(TOD)を重点施策とする。ワン・ロスディ州首相が7日、言明した。

TODでは、各駅から半径15キロメートル(km)圏内のインフラ整備と公共施設の拡充を通じ、地域住民の生活向上と、経済成長の促進を図る。州内ルートは全長258kmで、クアンタン・ポート・シティ(KPC)、パヤ・ベサール、マラン、テメルロー、ベントンの5駅は旅客と貨物の両用駅で、チェラティンとコタSASの2駅は旅客専用駅。

州内ではECRLに関連し、すでに13のプロジェクトが打ち出されている。州初の若者向け高層アパートメント「パンサプリ・パハンク」や、パヤ・ベサル統合公共交通ターミナル、タンジョン・ゲラン海事ハブ、バイオガス発電所などで、駅を抱えるクアンタン、テメルロー、ベントン、マランの4つの地方自治体が、プロジェクトなど各地域の状況に合わせ、TODと、経済促進プロジェクト(EAP)の計画策定を進める。

ECRLに関しては、アンソニー・ローク運輸相が6日、4月時点で全体の進捗率が82.45%に達したと発表。パハン州内のマラン―ベントン間100kmの線路敷設は今月開始され、来月中までに完了するとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、5月7日、ザ・スター、5月6日)

中銀バンクネガラ、政策金利を3%で据え置き

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は8日に定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を3.00%で据え置くと決めた。

BNMは声明の中で、持続的な内需と輸出の継続的な伸びに牽引され、第1四半期の経済活動はさらに拡大したと説明。米国が発表した関税措置に触れ、貿易交渉の行方や、地政学的緊張など、世界経済は大きな不確実性にさらされており、マレーシア経済の対外セクターの重しとなるとしながらも、電気・電子製品への継続的な需要と観光消費の増加が一定のクッションの役割を果たし、全体としても堅調な国内需要に支えられるとした。また、投資活動についても、民間部門、公共部門ともに拡大傾向で、成長見通しに対するリスクバランスは下振れ傾向にあり、貿易交渉の成果によっては成長を押し上げる可能性があると分析した。

また、インフレについては、世界的なコスト環境が穏やかで、国内需要への過度な圧力がないことから、引き続き管理可能な水準を維持する一方、国内政策の波及効果の程度、および世界の商品価格、金融市場、貿易政策をめぐる外部動向に左右されるだろうとした。リンギも外部要因に左右されがちで、現在のOPR水準を維持しつつ、金融政策スタンスが経済成長に寄与するよう引き続き内外の動向を注視していくとした。

IHGの最上級ホテル、キンプトンナルリアがTRXで年内に開業

【クアラルンプール】 英国系IHGホテルズ&リゾーツは、クアラルンプール(KL)の国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」に「キンプトン・ナルリア・クアラルンプール」を今年末までに開業する。IHGの中で最上級の「ラグジュアリーライフスタイル」ブランドに位置付けられているキンプトンのマレーシア初進出になる。

ホテルは26階建てで客室466室。「ナルリア」の名称は、マレー語の「ナルリ(本能)」と「リア(喜び)」に由来するという。KLの眺望が楽しめるルーフトップバー&ラウンジ「フォー・シブリングス」など4つのダイニングサービスのほか、サンフランシスコ発祥のキンプトンならではの毎日夕方に開催されるソーシャルアワー「キンプトン・ソーシャル」や、ロビーでモーニングドリンクを無料で提供する「キンプトン・キックスタート」を楽しむことができる。

アジアの多くのラグジュアリーホテルで経験を持つポール・カニンガム総支配人は「キンプトンをマレーシアに初めて紹介できることは大きな喜びで、街の新たな活気あるソーシャルハブになる」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、5月7日)

10日から南西モンスーン期入り、9月まで続く見通し=気象局

【クアラルンプール】 マレーシア気象局は7日、10日から北東モンスーン期から南西モンスーン期に移行し、9月まで続くとの予報を発表した。

南西モンスーン期間中は、南西からの風が強く吹く影響で、雨雲の形成が抑制され、降水量が減り、乾燥した日が続く。しかし、マレー半島西海岸や、サワラク州北部、サバ州西部では、大雨、強風、雷雨が発生する可能性があり、「風が収束し、数時間の雷雨が続くような際は注意が必要」としている。

また乾燥した南西モンスーン期は野焼きによる環境汚染も懸念される。気象局は公式サイトやアプリ、ソーシャルメディアで発信する天気予報や警報など、気象の最新情報を確認して欲しいと呼びかけている。
(ベルナマ通信、5月7日)

アジア太平洋の越境不動産投資、マレーシアへの関心に高まり

【クアラルンプール】 国際投資家によるアジア太平洋地域での越境不動産投資では日本、韓国、豪州への投資が主だが、マレーシアに対する関心が高まりつつある。不動産サービスのナイト・フランク・マレーシアが域内における商業不動産投資報告で明らかにした。

第1四半期の商業不動産に対する域内の越境投資は95億米ドルで、前年同期の2倍。キーツ・ウーイ代表によると、マレーシア経済の基礎的条件は改善し、不動産投資信託市場は進化し、規則も透明性を増している。投資家はマレーシアへの投資に依然、慎重だが、関心は見られ、特にクアラルンプール、ペナン州の工業回廊、ジョホール州の物流センター、住宅に関する問い合わせが増えているという。

報告書は取り組み課題として、不安定な為替相場、監督の枠組み、小売り施設・住宅の供給過剰を挙げており、政策面で投資歓迎の姿勢がより明確になれば、下半期にマレーシアへの投資が活発になると予想している。
(エッジ、ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、5月6日)

岸田前首相が来馬、脱炭素化推進でアンワル首相らと会談

【クアラルンプール】 岸田文雄前首相が5ー6日の日程でマレーシアを訪れ、アンワル・イブラヒム首相、ファディラ・ユソフ エネルギー移行・水利転換相、ニック・ナズミ天然資源・環境持続可能性相と、それぞれ個別に会い、脱炭素化などをテーマに意見交換した。

石破茂首相の特使である岸田前首相は、首相在任時の2022年に自ら提唱した「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想の議員連盟最高顧問として来馬した。AZEC構想は、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)などが連携して、脱炭素化と経済成長を目指す取り組みで、今年10月にマレーシアでAZEC首脳会議が開催される。

アンワル首相への表敬訪問は、特産品のドリアンをアンワル首相がプレゼントするなど、和やかな雰囲気で行われた。アンワル首相はASEAN議長国としてAZECへの協力を強調。さらなる推進に向け、分野横断的なエネルギー協力センターをマレーシアに共同で設置することなどについても話し合われたという。

また、首相府相(サバ・サラワク州問題担当)を兼任するファディラ氏とは、サラワク―マレー半島間の送電網整備を含め、エネルギー分野などでの一層の技術協力の可能性を検討。ニック・ナズミ氏とは、二国間クレジット制度(JCM)の協力覚書への署名に向けた作業を加速させることなどについて議論した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、5月6日、外務省発表資料)

米国の関税措置の影響産業向け特別優遇措置を検討

【クアラルンプール】 政府は、米国の関税措置の影響を受ける産業を支援するための特別優遇措置を導入する方針だ。アンワル・イブラヒム首相が5日に発表した対応策に対し、さらなる追加パッケージとなるもので、テンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相が6日、明らかにした。

ザフルル氏は、関税措置の撤廃に向け米国との交渉に注力していると断ったうえで、7月をめどに企業への影響範囲などを特定し、優遇措置を発表したいとした。詳細は明らかにされなかったが、電気・電子機器、医療機器、医薬品、自動車・航空宇宙、機械・設備、家具、パーム油・ゴム製品など、影響を受けやすい産業別に検討する模様。

ザフルル氏は「可能な限りの支援を目指しているものの、財政的にも慎重に評価する必要があり、よく検討して最終決定したい」と付け加えた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、5月6日)

米国の関税引き上げへの対応策を発表、中小企業への支援など

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、5日に開催された特別国会で米国の関税引き上げへの対応策を発表。新市場開拓の取り組みを加速させるため、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)に予算5,000万リンギを追加で割り当てると明らかにした。

アンワル首相は、「実施する措置には、国際的な貿易博覧会・展示会への参加を通じて中小企業(SME)が新規市場へ進出できるよう支援することや、海外のバイヤーとのビジネスマッチングを促進することなどが含まれる」と言明。また人工知能(AI)などの国家優先分野において、一流大学の学者を含む世界的な企業や人材をマレーシアに誘致するための取り組みを引き続き支援していくと述べた。

アンワル首相はまた、投資家向けサービスとプロジェクト承認プロセスの監視のため、投資家のためのワンストップセンターであるマレーシア投資促進センター(IMFC)をペナン州とサラワク州に拡大すると発表した。IMFCは2023年12月にクアラルンプールに、2025年2月にはジョホール・シンガポール経済特別区(JS-SEZ)のフォレストシティにそれぞれ開設された。

アンワル首相はこのほか、米国の影響を受ける中小輸出企業が商業銀行から融資を受けられるよう、政府がビジネス融資保証会社の保証枠を10億リンギ増額することに合意したと公表。さらに中小企業の起業家を支援するため、開発金融機関を通じて提供される5億リンギのソフトローンの追加を承認したと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、5月5日)

トヨタのハイラックス、昨年の盗難被害最多で370台

【クアラルンプール】 マレーシアで昨年最も盗難被害に遭った自動車はトヨタのピックアップトラック「ハイラックス」で370台だった。保険会社の統計に基づくものとして、英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」が報じた。

そのほか、▽ウィラ(プロトン)142台▽フォーチュナー(トヨタ)123台▽イスワラ(プロトン)92台▽サガ(同)92台――がトップ5になった。盗難被害件数は2023年の4,370台に対し、昨年は3,925台と約1割減少した。

自動車盗難・事故削減協議会(VTAREC)のコーディネーター、マス・ティナ氏は「国産車の場合、古いモデルが多く、盗難後に解体されスペアパーツとして国内で転売されるケースが多い。国産車以外は、国外に密輸されると考えられる」と分析する。

二輪車ではヤマハの「135LC」の528台が最多で、▽Y15ZR(ヤマハ)327台▽ウェーブ(ホンダ)194台▽125(ヤマハ)109台▽C100(ホンダ)105台――と続いた。

物理的な鍵ではなく、小型のリモコンキー(キーフォブ)が主流になっており、ハッキングしてロックを解除し、そのままエンジンを始動して盗み去る手口が多いため、車の場合はハンドルロックや、「ファラデーバッグ」などと呼ばれる信号遮断機能のあるものに鍵を保管するなどの対策が効果的という。二輪車の場合は、チェーンで車両を固定するよう呼びかけている。

また、事故に遭う頻度が高かったものとして自動車では▽マイヴィ(プロドゥア)2万4,628件▽サガ(プロトン)1万6,159件▽シティ(ホンダ)1万3,388件――となった。二輪車ではヤマハの135LCの約3,000件と、Y15ZRの2,154件で、バイク事故全体の3割近くを占めた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月5日)

米国がマレーシアとの交渉継続で合意、関税引き下げに光明

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、5日に開催された国家経済に関する特別国会で、米国がマレーシアとの協議を継続することで合意したと表明した。協議はまだ初期段階で何ら合意には至っていないが、米国が関税引き下げに方針転換する可能性は残されているという。

アンワル首相は、先ごろトランプ米大統領がマレーシアを含む185カ国に高率の相互関税を課すと発表し、その後発動を90日間延期すると方針修正したことに言及。「まだ予備的協議だが、米国政府がマレーシアとさらなる交渉を続けることに同意しており、相互関税を引き下げる可能性があることを強調したい」と述べた。

その上でアンワル首相は、これまでに講じてきた措置に加え、現在の世界情勢を踏まえ、短・中期的に経済の安定を維持し、国益を守るための戦略を策定する予定だと言明。具体的な戦略には、輸出業者、特に中小企業への支援、承認されたプロジェクトの実施促進、国の回復力と競争力を強化する経済改革などが含まれるとした。

またアンワル首相は、「米国からの輸入品に対してマレーシアが47%もの高関税を課している」とする米国側の主張を「事実ではない。関税率は平均5.6%だ」と改めて否定。外交努力にもかかわらず米国による24%の高率な相互関税問題が解決されなければ、今年のマレーシアの経済成長を圧迫する可能性があるとし、「2025年度予算で示した4.5―5.5%の国内総生産(GDP)成長予測は達成できない可能性が高い。財務省とマレーシア中央銀行は状況を注視しており、最終的な米国の関税政策及び米国との交渉の結果がより明確になった時点で、マレーシアの経済成長予測を修正する」と述べた。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、5月5日)