KLIAターミナル1、混雑緩和に向けた改修工事が完了

【クアラルンプール】 空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)が、今年上半期に3,000万リンギを投資し進めていたクアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル1の改修が完了。さらに来年のマレーシア観光年に向け、予算に上限を設けることなく旅客体験の向上を目指す。

上半期の改修は、処理を迅速化し混雑緩和するのが主な目的。「上半期のKLIAの旅客数は3,010万人で、前年同期比で9.9%増加しており、空港サービスを向上させることは特に重要」と説明する。

まずモバイルチェックインユニットを備えた自動手荷物預け機5台を導入。従来のカウンターでの手続きと比較し、1時間あたり最大10倍の手荷物処理能力を備えるという。

国内線保安検査場のレーンに関しても、荷ほどき・再梱包用の専用エリアを新設したことなどで、処理能力は1時間あたり770人から1,569人に増加し、平均待ち時間は5分未満に短縮される。国際線出発にも、6つの手動によるカウンターに代わり、9つのセルフスキャン式搭乗券レーンが設置された。また最新の手荷物カート5,000台も導入された。

また乳幼児や高齢者、身体障害者らのアクセシビリティ向上にも配慮。優先レーンの入国審査カウンター2つを新設したほか、スペースを広くした専用駐車場などを整備した。おむつ交換室も2カ所開設したのに加え、8月までにさらに3カ所追加。救急救命士チームを配置し、緊急対応能力も強化した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、7月15日)

米国製AIチップ迂回輸出の証拠は確認されず=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、米国の輸出規制対象製品である高性能人工知能(AI)チップがマレーシアなどを経由して中国に密輸出されているとの疑惑について、現時点で証拠は確認されていないと述べた。

ザフルル氏は、投資貿易産業省(MITI)が税関、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)、警察、業界関係者と密接に連携して調査を進めていると説明。「現時点では証拠は見つかっていないが、米国政府や主要テクノロジー企業と連携し協力して調査を行っている。もし証拠が見つかれば、適切な措置を取る」と述べた。

ザフルル氏はまた、数百万個のチップが密輸出されているという主張を否定し、「マレーシアでのデータセンターの急成長によってAIチップの需要が高まったことが、懸念を引き起こしている可能性がある」と指摘。「マレーシアでのAIチップ需要が急増していることは否定できないこれが特にマレーシアが密輸出しているとの懸念を引き起こしているのだと思う」との見解を示した。

MITIは14日、米国からの高性能AIチップの輸出、積み替え、通過に関わるすべての活動が、即日「戦略貿易許可証」取得義務の対象となると発表した。2010年戦略貿易法(STA2010)第12条(キャッチオール規制条項)に基づく措置。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、7月15日)

外国資本制限ある業種の規制緩和を検討=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、米国との貿易交渉の一環として、現在外国資本制限が課せられている業種について規制緩和を検討する可能性があると述べた。ただこの問題については影響を受ける業界と協議する必要があるとし、具体的な対象分野は明らかにしなかった。

マレーシアは、製造業などではほぼ自由化されているが、金融サービスや通信など、戦略的とみなされる分野における外資規制を設けている。米国との交渉ではこうした非関税障壁が重要な争点となっており、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証や政府調達など、マレーシアの国益に関わる重要な問題が対立軸論となっている。

ザフルル氏によると、特定分野において外資株主に対する出資制限を設けている問題は、貿易交渉の中で提起された。今月初め、米国はマレーシア産品すべてに25%の輸入関税を課すと発表したが、8月1日の発効前に交渉の余地があることも示唆している。

ザフルル氏は、「多くの機関や省庁が関わる問題なので、時間が必要だ」と述べ、先週の米国貿易代表との会議では新たな条件は提示されなかったものの、非関税障壁が依然として懸念材料であると強調した。
(ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、エッジ、ベルナマ通信、7月15日)

トクヤマ、サラワクで半導体用多結晶シリコン製造工場建設

【クチン】 総合化学工業メーカーのトクヤマ(本部・東京都千代田区)は、サラワク州における高純度の半導体用多結晶シリコンの製造プロジェクトを本格化させる。

同社は2023年からマレーシアでの生産に向け準備を進めてきたが、今月8日、製造販売を手掛ける合弁会社としてOCIトクヤマ・セミコンダクター・マテリアルズ(OTSM)を設立。トクヤマと、韓国OCIホールディングスのマレーシア法人OCIテラサスが出資金9億2,200万リンギを50:50で拠出した。

プロジェクトでは、20億リンギを投資し、同州ビントゥルのサマラジュ工業団地内の13.7ヘクタールの敷地に新工場を建設。16日に起工式が予定されている。年間8,000トンの半導体グレードのポリシリコン生産能力を持つ。OTSMのスティーブ・チョイ最高経営責任者(CEO)によると、工場は2027年第1四半期に完成し、段階的に生産を増強し、2029年1月までにフル生産体制になる予定という。

同製品は、データセンターやスマートフォン、電気自動車、人工知能(AI)技術などの重要な基盤となるチップの製造に使用される。現在の世界需要は年間5万トンで、その約6分の1を生産する世界有数の主要プレーヤーとしての地位確立を目指していく。主に日本、韓国、台湾へ供給する。

また、州営電力会社サラワク・エナジーと10年間の電力購入契約を締結。工場への電力供給の70%を再生可能水力発電、残りの30%をガス火力および石炭火力発電所からの供給が見込まれている。
(ザ・スター、ボルネオポスト、7月14日、トクヤマ発表資料)

東海岸への高速電車サービス延伸計画なし=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ロ―ク運輸相は、現在半島西海岸を縦断している高速電車サービス(ETS)を東海岸地域に延伸する計画は当面ないと明言した。

東海岸地域における既存の鉄道路線が単線で電化されていないためで、現在マレーシア国鉄(KTMB)がディーゼル機関車(DMU)による客車運行を行っている。

ローク氏は「その代わり東海岸鉄道線(ECRL)プロジェクトによって、この地域が高速鉄道サービスを受けることになる」と言明。ETSについては引き続き西海岸に重点を置き、ペルリス州パダン・ベサルとジョホール州ジョホールバルを結ぶ路線を運行すると述べた。

ローク氏はまたKTMBの通勤、ETS、貨物サービスは未だ完全な収益性を達成していないため、改善の必要性があると言明。ただ政府系企業(GLC)であるKTMBは、利益よりも社会責任を最優先に考えていると指摘した。
(ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、7月14日)

 

6月の新車販売、プロドゥアが2万2328台でトップ維持

【クアラルンプール】 道路運輸局(JPJ)の統計によると、2025年6月のブランド別自動車販売台数はダイハツ系プロドゥアが2万2,328台でトップを維持した。プロドゥアの年初6カ月の販売台数は16万6,188台となった。

7位までは前月から順位に変化はなかった。6月の2位はプロトンの1万638台で、年初6カ月は6万9,771台となった。3位はトヨタの9,946台(累計5万7,370台)で、4位はホンダの4,495台(累計3万5,471台)、5位はJAECOO(チェリー自動車傘下ブランド)の1,609台(累計9,175台)、6位は電気自動車(EV)専業のBYDの1,045台(累計5,400台)、7位は三菱の888台(累計6,724台)、8位はチェリーの884台(累計4,991台)が続いた。中国の奇瑞汽車(チェリー)傘下ブランド「JETOUR(捷途)」が初登場で18位(270台)に入った。

車種別で6月単月トップはプロドゥア「ベザ」(6,150台)で、2位は「アジア」(5,207台)。3位にはプロトン「サガ」(5,195台)が入った。4位以下はプロドゥア「マイヴィ」(4,183台)、プロドゥア「アルザ」(2,807台)、プロドゥア「アティバ」(2,675台)、トヨタ「ヴィオス」(2,273台)、トヨタ「ハイラックス」(2,196台)、ホンダ「シティ」(1,643台)、トヨタ「アルファード」(1,490台)となった。

EVでは最も売れたプロトン「e.MAS7」(604台)もトップ20に入れなかった。
(ポールタン、6月11日)

米国製AIチップ、輸出・積み替えなどに許可義務づけ=MITI

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)は14日、米国製高性能人工知能(AI)チップの輸出、積み替え、通過すべてに戦略貿易許可の取得を義務づけ、即時発効した。

新規制は、2010年戦略貿易法(STA2010)第12条(キャッチオール規制条項)に基づくもの。同法は本来、兵器などに転用される恐れがある製品を「戦略物品リスト(SIL)」で管理するものだが、第12条では、リスト以外の製品でも、当局が定めるものに対しては、輸出・積み替え・通過を手がける企業や個人は、少なくとも30日前までに当局に通知し、許可を得る必要があると定めている。AIチップを正式にSILに入れるかどうかも引き続き検討されるという。

今回の規制の背景には、米国の輸出規制対象であるAIチップが、マレーシア経由で中国へ迂回輸出された疑惑がある。この疑惑が米国による関税措置の交渉にも影響する可能性があり、規制強化に踏み切ったとみられる。

マレーシア半導体産業協会(MSIA)のウォン・シューハイ会長も「積み替え問題を抑制するために政府が講じるべき必要な措置」とし、支持を表明している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、7月14日)

【イスラム金融の基礎知識】第572回 IFSB総会、モロッコで開催

第572回 IFSB総会、モロッコで開催

Q: 今年のIFSB総会は?

A: 中央銀行や通貨庁など、各国のイスラム金融の監督官庁が加盟する国際的なイスラム金融団体であるイスラム金融サービス委員会(IFSB、本部マレーシア)は、7月1日から3日にかけてモロッコのラバトで第23回総会と各種のフォーラムを開催した。ラバトは、首都カサブランカとジブラルタル海峡の中間に位置する大西洋に面した街だ。

モロッコは、イスラム協力機構(OIC)傘下のイスラム開発銀行(IsDB)の地域ハブ拠点が設置されている一方で、同国自体のイスラム金融の歴史自体は浅く、2014年に銀行法が施行され、初めてのイスラム銀行であるアムニア銀行が、カタール国際イスラム銀行などの支援を受けて2017年に創業した。以降、同銀行を中心にイスラム銀行5行とイスラム窓口を持つ複数の従来型銀行によって、市場が形成されている。現在の市場規模はおよそ24億米ドルで、国内金融市場の2%程度のシェアを占めている。

総会とフォーラムでは、イスラム法への準拠、流動性資産の管理、持続可能な金融の発展、およびデジタル化のリスクの4点が、主な議題として取り上げられた。これについてモロッコの中央銀行であるアル・マグリブ銀行のアブドゥルラティフ総裁は、「現在のイスラム金融はますます国際的な金融システムに統合されつつあるが、国によって経済発展やイスラムのあり方に大きな違いがある。そこでIFSBが提示する原理原則に基づき、各国の監督官庁が各国固有の事情を考慮した独自の規制を作ることが許容されている」と指摘した。モロッコにおけるこの具体例として、アブドゥルラティフ総裁は「ムスリム利用者からの信頼にこたえるため、最高ウラマー評議会がファトワ(法学裁定)を発行することによって、イスラム金融商品を認証している」という点を挙げた。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

観賞魚養殖のシアンロンがアジアアロワナ輸出へ、大阪万博通じ

【クアラルンプール】 観賞魚養殖を手掛けるシアンロン・アクアティック(祥龍魚場)は大阪・関西万博を通じて、高級鑑賞魚アジアアロワナの日本への輸出を目指している。

アジアアロワナは、アロワナの中でも色彩が豊かで、高級品種として知られている。野生のアジアアロワナは絶滅危惧種としてワシントン条約(CITES)で商取引が禁止されている。これに対し、1978年にジョホール州で創業されたシアンロンは、1994年からアジアアロワナの商業的飼育と輸出を行う世界初のCITES登録企業として、中国にも養殖場を設立するなど国際的に事業を展開している。

日本にもかつては販売代理店があったが、現在は販売代理店がない状態。今回、大阪万博を通じて日本市場再参入に向け、複数の会社と協議を続けている。飼育には生態系などに最大限の配慮をしているという。

ン・チャーリー取締役は「アロワナは癒しの存在。もし提携が成功すれば、6桁の輸出収入を生み出す可能性がある」と説明。今後、日本だけでなく、アジア各国で販売代理店の設置に取り組んでいく。
(ベルナマ通信、7月11日)

人材開発公社、半導体業界向け産業技能開発枠組みを発表

【クアラルンプール】 人材開発公社(HRDコープ)は、半導体業界向けの産業スキル・フレームワーク(IndSF)を正式に発表した。マレーシアが世界的な半導体人材拠点を目指す国家戦略の一環であり、同分野における初の体系的なスキル開発指針となる。

同枠組みはマレーシア半導体産業協会(MSIA)および主要業界関係者とのパートナーシップにより策定された。急成長する半導体業界の即時的なニーズに対応した職業経路と訓練基準を定めている。国家半導体戦略(NSS)に整合する形で設計されており、マレーシアの産業変革と人材育成の連携を意図している。

IndSFは工学分野および技術分野の2つの主要領域に焦点を当てており、初級から専門職まで、9つの重要分野にわたるキャリア進展の道筋を提示している。これにより、教育機関や訓練提供者、現場の専門職が、業界の変化に応じた育成プログラムやキャリア開発計画を策定する際の基準として活用できるという。

MSIAのウォン・シュ―ハイ会長は、「この枠組みは国家半導体戦略の実現に不可欠であり、業界のニーズと人材育成のギャップを埋める鍵である」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、7月11日)