【クアラルンプール】 米連邦最高裁判所がトランプ政権が発動した相互関税が違憲との判断を示したことを受けて、エコノミストらはマレーシアにプラスの影響を与える可能性があるものの慎重に対応していく必要があると指摘している。米連邦裁判決を受けトランプ政権は一時的に全世界一律10%の輸入関税を課すと決めた。
バンク・ムアマラット・マレーシアのモハメド・アフザニザム主任エコノミストは、トランプ米政権は依然として保護主義的措置の実施方法を模索しているものの、それには時間がかかる可能性があり、世界経済への下振れリスクはいくらか後退した可能性があると述べた。
IPPFAの投資戦略担当ディレクター兼マレーシア経済専門家のモハメド・セデク氏は、全世界一律10%の関税に変更したことは特定の国や製品を対象とした制裁措置ではなく、マレーシアの輸出業者が特に標的とされない点が重要だとし、マレーシアが地域の他の国々と比較して相対的な競争力を失うことはなく短期的に大きな変化は起こりそうにないと述べた。
ホン・リョン・インベストメント・バンクは10%の全世界一律関税は、昨年米・マが合意した相互関税率の19%から9ポイントの引き下げとなるため、最大150日の短期的ながらも輸出の勢いを支える可能性があると指摘。特に電子機器製造サービス、ゴム手袋、一部のテクノロジー関連製品は、最近の関税動向の恩恵を受けると見込まれるとした。
マレーシア中小企業協会(SAMENTA)のウィリアム・ン会長は、米国向け輸出を行っている中小企業は関税の変動による価格の不確実性により困難に直面する可能性があると指摘。「生産拠点を海外に移転できる多国籍企業とは異なり、家具、繊維、加工食品などの分野の多くの中小企業は、突然の関税調整を吸収したり、サプライチェーンを再構築したりするための規模と利益率を欠いている。その結果、関税の不確実性の中で米国の輸入業者が輸出を控えるため、中小企業は短期的な混乱に見舞われる可能性がある」とした。
マレーシア華人商工会議所(中華工商聯合会、ACCCIM)のクーン・リンローン財務責任者は、関税をめぐる不確実性が続いているため、新税率は輸出に直ちに影響を与えない可能性があると指摘。「米国が近い将来に再び関税率を引き上げるかどうか不透明であるため、対米輸出価格の下落は見込めないだろう。米国の輸入業者は再び関税が19%に戻る可能性を考慮しなければならないだろう」とした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、ザ・サン、ベルナマ通信、2月23日)