補助金なし「RON95」、価格を2.65リンギに引き上げ

【クアラルンプール】 財務省は12日、2025年11月13日から19日までの1週間の燃料小売価格を発表。1リットル当たり2.60リンギとなっていたレギュラーガソリン「RON95」の補助金なし価格を、5セン引き上げ2.65リンギにすると明らかにした。

世界的な原油価格の上昇を受けた措置で、補助金なし「RON95」価格の変動は新燃料補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」の導入以来初めて。補助金適用外のハイオクガソリン「RON97」の価格も同様に5セン引き上げ、3.25リンギとする。一方「BUDI95」適用価格は1.99リンギで据え置く。

このほか「ユーロ5 B10」および「B10」ディーゼルの小売価格は1リットルあたり5セン引き上げ、3.07リンギとなる。また「ユーロ5 B7」ディーゼルは1リットルあたり20セン引き上げ、3.27リンギとなる。なおサバ州、サラワク州、ラブアン州におけるディーゼル燃料の小売価格は2.15リンギで据え置かれる。

次回の燃料価格改定は11月19日に発表される。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ポールタン、ベルナマ通信、11月13日)

ミシュランガイド、KLの2軒が新たに一つ星獲得

【クアラルンプール】 美食ガイドとして世界的に親しまれている「ミシュランガイド」の「マレーシア2026」が11日、発表された。第4版となる今回は、新たに星を獲得したクアラルンプール(KL)の2軒を含め一つ星として計8軒が選ばれた。マレー料理店「デワカン」は唯一の二つ星を3年連続で維持した。

新たに一つ星に選ばれたのは、「アカー」と「テラ・ダイニング」。シェフのエイダン・ロー氏によるアカーは、現代的ヨーロピアン・ダイニングで、日本やマレーシアの風味や地元食材をバランスよく取り入れた料理を提供する。テラ・ダイニングは、シェフのユーチェン・チョン氏による現代的なマレーシア料理の店になる。
二つ星・デワカンは、持続可能性の高いレストランに対する「グリーンスター」にも、昨年に続き選ばれた。またシェフのダレン・テオ氏による2つ目のフレンチビストロ「ビドゥ」は、「オープニング・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞した。

また、価格以上の満足感が得られるレストラン「ビブグルマン」には、新たに選ばれたKLの4軒、ペナンの1軒を含め計58軒が選ばれた。「セレクテッド」部門には84軒が紹介されている。
(ビジネス・トゥデー、11月12日、マレー・メイル、11月11日、ミシュラン発表資料)

エアアジア、セナイー昆明線を12月14日就航

【クアラルンプール】 格安航空エアアジアは、ジョホールバル(JB)のセナイ空港と中国雲南省昆明長水国際空港を結ぶ直行便を12月14日に就航すると発表した。週14便を運航しているクアラルンプール―昆明線を補完する。

週3便の運航で、セナイ発は月・水・日曜日、昆明発は月・火・木曜日の出発となる。往路のAK1380便はセナイ発が21時20分、昆明着が翌1時25分、復路のAK1381便は昆明発が深夜2時30分、セナイ着が6時45分となっている。

就航記念として、セナイ発昆明行き片道469リンギ、昆明発セナイ行き片道678人民元からのプロモーション料金を提供する。旅行期間2025年12月14日から2026年3月28日までが対象で、2025年11月23日までエアアジアMOVEアプリもしくはエアアジアのホームページ(airasia.comから購入できる。
(ビジネス・トゥデー、11月11日、エアアジア発表資料)

プロドゥアが累計生産台数550万台に到達、11月末にEV発表へ

【ラワン】 ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は、創業32年目で累計生産台数が550万台に到達し、アンワル・イブラヒム首相やザフルル・アジズ投資貿易産業相を招いて11日、記念式典を開催。同社初の電気自動車(EV)を11月末に発表する予定であることを明らかにした。

550万台目となったのは、2年連続でベストセラーモデルとなったAセグメントセダンの「ベザ」。1993年の創業以来の投資額は累計134億リンギに達した。プロドゥアはまたマレーシア国内の自動車産業の発展に大きく貢献しており、国内ベンダーからの調達額が累計1,161億リンギ近くに達し、今年だけでも108億リンギの調達を計画している。

アンワル首相は同社初のEVに言及し、「今月末に予定されているEV発表の日程については一両日中に決定する。内閣に対してはプロドゥアの発表を国家の重要課題として位置付けるよう指示する」と言明。「発売されるEVは手頃な価格で、国の基準を満たし、経済を刺激する効果も期待できる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、11月11日)

マレーシア・リンギ値上がりは続く、エコノミスト見通し

【クアラルンプール】 マレーシア・リンギの値上がりが続いている。7日の為替市場での終値は1米ドル=4.172リンギで、24年10月以来の高値だった。堅調な内需と外需環境の改善が主な理由だ。

ブルームバーグの取材に回答した20数人のエコノミストによる年末相場予想の中央値は同4.18リンギで、2026年末は4.1リンギ。米国の関税措置がより明確になったことで、外需見通しが明るさを増したことが影響した。

年初からの対米ドルでの値上がり幅は7%で、昨年同様、域内通貨で最大の上昇幅。リンギはインドネシアルピアに対し10.8%、ベトナムドンに対し10.55%上昇した。

バンク・ムアマラット・マレーシアのアフザニザム主任エコノミストは、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は政策金利を2026年を通じ2.75%に維持するとみており、米国との金利差が縮小するためリンギ資産への投資が増加すると予想している。

三菱UFJ銀行は、中国人民元の持ち直し、マレーシア産パーム油に対する米国のゼロ関税、希土類の対米輸出におけるマレーシアの戦略的役割もリンギを支えているとした。
(エッジ、11月7日)

ユーグレナ、ペンゲランでバイオ燃料製造プラントの鍬入れ式開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ユーグレナ(本社・東京都港区)は10日、国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)及びイタリアの石油企業エニの子会社エニライブと、ジョホール州ペンゲランでバイオ燃料製造プラントの鍬入れ式を開催したと発表した。

ペトロナスのペンゲラン総合石油コンプレックス(PIC)内に建設する同プラントは、2028年下半期の稼働開始に向けて順調に進捗しており、今後プラントの建設工事が本格化する見込み。8日に行われた鍬入れ式には在マレーシア日本国大使館の二瓶大輔公使らが出席した。

原料には使用済み食用油や動物性油脂、植物油の加工過程で生じる残渣などの廃棄物を使用する。年間最大約65万トンの原料処理能力でSAF(持続可能な航空燃料)、HVO(次世代バイオディーゼル燃料)、バイオナフサを製造する予定だ。廃棄物を有効活用しながら、環境負荷の少ないバイオ燃料を安定的に供給する体制を整える。

北海道味噌醤油工業協同組合、マレーシアで試食商談会を開催

【ペタリンジャヤ=アジアインフォネット】 北海道味噌醤油工業協同組合(所在地・北海道札幌市)は11日、セランゴール州ペタリンジャヤの日本食レストランで試食商談会を開催した。同協同組合がマレーシアで試食商談会を開催するのはこれが初めて

商談会に参加したのは▽岩田醸造(本社・札幌市)▽渋谷醸造(本社・中川郡本別町)▽服部醸造(本社・二海郡八雲町)▽福山醸造(本社・札幌市)――の4社で、それぞれ▽紅一点▽マルキュウ▽マルハチ▽トモエ――ブランドの味噌、醤油及びそれらをベースとした調味料全8品目を出展。

出展商品を使ったマレーシアの日本食レストランのシェフがアレンジした8品目の料理をコース料理スタイルでマレーシア側のバイヤーに提供して生産者が商品紹介を行い、その後商談スペースで自由商談形式による商談を行った。

マレーシア側からは日本食の輸入実績が豊富な輸入卸売業者7社、小売店1社、シェフ5人(フレンチ、フュージョン、マレーシア料理)の計13社が参加した。

歳入に占める石油関連収入の割合、今年は16.9%に低下

【クアラルンプール】 歳入に占める石油関連収入の割合は、2022年の28%から今年は16.9%へ低下した。来年はさらに12.5%へ低下する見通しだ。議員の質問に経済省が文書で回答した。

石油・ガス価格は変動が激しいため、政府は石油・ガス関連収入への依存軽減を図っており、最近の措置には、売上・サービス税の対象拡大・税率引き上げ、デジタルインボイスの全面導入による徴税漏れの削減、未上場株の売却に対するキャピタルゲイン税の適用、燃料補助の合理化が含まれる。最も石油関連収入の割合が高かったのは09年で、歳入の41.3%を占めた。

来年の石油関連収入予想は430億リンギで、財務省によれば、国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス) からの配当が200億リンギ、石油所得税が157億リンギ、石油生産量に応じた政府へのロイヤルティーが51億リンギ。今年のペトロナスの配当は320億リンギの予定。

石油関連以外の歳入は2009年以降、増加を続けており、来年は8.1%増の3,001億リンギが見込まれている。
(ベルナマ通信、エッジ、11月7日、フリー・マレーシア・トゥデー、10月10日)

MIHAS@上海が開幕、副首相「成約目標は30億リンギ」

【上海】 ハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース」(MIHAS)@上海が5日、開幕した。10日までの期間中に22億リンギ以上の成約額を目標にしている

MIHAS@上海は昨年のドバイに続く、2回目の海外開催になる。中国国際輸入博覧会(CIIE)と同時開催で、マレーシアからはハラル食品、化粧品、医薬品、イスラム金融、物流など、幅広い分野から250社以上の企業・団体に加え、州政府などが参加。中国の主要バイヤー20社を含め海外からのバイヤー100社との商談が予定されている。

中国は2,000万人以上のイスラム教徒を擁し、世界でも有数のイスラム市場として注目されている。マレーシアのハラル製品輸出額は昨年、前年比15%増の610億リンギ超となり、うち中国は62億5,000万リンギを占め、マレーシアにとって2番目に大きな輸出国となっている。

今回、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)は25億リンギを公式な目標としているが、開会式に出席したアハマド・ザヒド副首相は「ドバイの22億リンギという実績などを踏まえ、より高い30億リンギという目標を設定した」と言明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、11月6日、ベルナマ通信、11月9日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第911回:中小企業の両利き経営(14)中小企業へのアドバイス

第911回:中小企業の両利き経営(14)中小企業へのアドバイス

前回は、中小企業におけるデジタル化の導入意義とその時期についてでした。デジタル化は企業間や大学などとの連携を強化し、オープン・イノベーションの成果を高める可能性があります。

さて、これまで見たように、中小企業は、財政的制約に直面しながらも、既存の技術を活用し続けることで短期的な業績を維持すると同時に、限られた資源が許す範囲で、世界的な課題であるグリーンイノベーションに向けた探求力を強化することが求められています。そのために、中小企業はデジタル化、オープン・イノベーション、人材を組み合わせた戦略を採用する必要があります。

例えば、デジタル技術の導入に伴うコスト増加によるマイナス効果は、高度なスキルを持つ人材が日常業務から解放され、専門知識を必要とする業務により多くの時間を割くことができるようになるというプラスの効果によって相殺される可能性があります。同様に、オープン・イノベーションの実施に伴うオーケストレーションコストの上昇による悪影響は、グリーンサプライチェーンの整備による潜在的なビジネスパートナーの拡大によるプラスの効果によって相殺される可能性があります。さらに、AI テクノロジーの進化と普及は、社内外のネットワークとコラボレーションを再構築することで、組み合わせ戦略を根本的に変革する可能性があります。各戦略の有効性を個別に評価するのではなく、戦略の複合的な有効性を評価することで、費用対効果の閾値が低くなり、中小企業は深化戦略への過度の依存から、動的なエコシステムを活用した探索戦略により積極的に移行できるようになります。

多くの中小企業は、ビジネスパートナーや消費者を含むステークホルダーの期待に応えるために、グリーンイノベーションを受動的に導入する傾向があります。しかし、これが探索モードへの転換を誘発し、同時に高い企業業績につながるかどうかは、まだ実証研究がほとんど確認されていません。したがって、グリーンイノベーションを性急に導入すると、探索戦略に過度に焦点を合わせて過剰投資が発生し、失敗の罠につながる可能性があります。したがって、中小企業は、グリーンイノベーションによる持続可能性の理想的な追求と、既存のテクノロジーを自社の能力に合わせた方法で活用する段階的なイノベーションの現実的な追求との間で、両手利きを活用して慎重にバランスを取る必要があります。

 

Kokubun, K. (2025). Ambidextrous SMEs for a sustainable society. A narrative review considering digitalization, open innovation, human resources and green innovation. Next Research, 100839. https://kwnsfk27.r.eu-west-1.awstrack.me/L0/https:%2F%2Fauthors.elsevier.com%2Fa%2F1lqFZArcH5v%257EhR/1/010201997bdd92dc-2f55d85f-3f6a-4e09-a50f-d2029cba34fb-000000/-j2abMH3tXcKZD4AoMaphgExEJk=445

 

 

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)