MM2Hでの不動産購入は過去2年で744人、中国が最多

【クアラルンプール】 外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)プログラム参加者のうち、2023年から2025年の間に744人が住宅などの不動産を購入。さらに2,637人が購入手続き中だ。ティオン・キンシン観光芸術文化相が4日、下院議会の質疑応答で明らかにした。

購入者を国籍別でみると、中国が304人で最多となり、台湾(91人)、シンガポール(63人)が続いた。日本は14人で10番目となった。

MM2Hは現在、カテゴリー制度に基づき、最長滞在期間はプラチナが20年、ゴールド15年、シルバー5年、特別経済区10年となっている。いずれも5年ごとに更新の必要がある。ティオン氏は「MM2Hは世界中の人が対象の制度であり、市民権や永住権を付与するものではない」と改めて強調した。
(マレーシアン・リザーブ、ザ・スター、エッジ、2月4日)

商船三井グループ会社、産直ECのセカイマルシェに出資

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 商船三井グループの「MOL PLUS」(エムオーエル・プラス、本社・東京都港区)は2日、東南アジアで生鮮食品の産地直売EC(電子商取引)を展開するセカイマルシェ(本社・東京都千代田区)への出資を発表した。

MOL PLUSは、2021年に設立された商船三井のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)。同グループは経営計画「BLUE ACTION2035」で、世界市場での事業拡大を目指す地域戦略を推進。特に経済発展と人口増加による需要拡大が見込まれる東南アジアを重視している。

今回、セカイマルシェが生鮮品の品質を維持しながら産地から消費地まで一貫輸送を可能とする物流網を構築していることなどから出資を決めた。出資額は非公表。今後、生鮮食品の保管・輸送などのコールドチェーン分野における協業を目指し、具体的な検討を進めるとしている。

いすゞマレーシア、商用車市場で56.1%の過去最高シェア

【クアラルンプール】 いすゞマレーシアは3日、2025年の販売実績を発表。6,880台のトラックを納車し、マレーシアの商用車市場で同社として過去最高の56.1%のシェアを獲得した。

マレーシアの自動車市場産業は、商用車部門が11.4%、ピックアップトラック部門が7.3%ともに減となり縮小傾向にあるが、いすゞの販売台数は前年比7.2%増を記録。市場シェアでも、これまでの最高だった2023年の47.1%から大幅に増加した。

最も売れたモデルは「エルフ」の6,362台で、いすゞの販売台数の92.5%を占めた。16年連続でマレーシアで最も人気の小型トラックに輝いた。また中型トラックの「フォワード」は454台で、前年比63.6%増。同部門ではトップとなった。ピックアップトラックの「DーMAX」も好調で、市場シェア15%を占めた。

現地組立(CKD)のエルフとフォワードは、生産子会社のいすゞ・ハイコム・マレーシア(IHM)が2007年から操業するパハン州ペカン工場で生産されており、昨年は同工場での累計生産台数が10万台を突破した。

同社は好調の要因について、物流ニーズに密接に適合した製品ラインナップと、変化する経済状況に迅速に対応できるディーラーネットワークの存在を挙げる。さらに、昨年はアフターセールスサービスの受注が12%増加したという。山口朋之 最高経営責任者(CEO)は「サービスのさらなる向上などで、ダウンタイムを短縮し、より充実したドライブを提供していきたい」としている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月3日、発表資料)

国家ハラル政策は3月中に完成、方向性をより明確に

【バンギ】 ファディラ・ユソフ副首相は3日、国際ハラル経済会議の開幕演説で、国家ハラル政策は策定の最終段階にあり、3月中には作業が終わると明らかにした。ハラル(イスラムの戒律に則った)分野の方向性をより明確にし、持続可能性を強化する。

ファディラ氏は「包括的、組織的、持続可能なハラルビジネス・エコシステムを構築するための戦略的指針だ。マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)や各州のイスラム法委員会の認証権限が損なわれることはない」と説明した。ハラル産業の一層の開発では基準を高め、認証制度を改善する。産業全体の発展を目指し、世界のハラルリーダーとしてのマレーシアの地位強化を図る。

JAKIMは2019年から、製品認証機関が特定製品について製品規格への適合性を評価し認証をする能力を有しているかどうかを、ISO/IEC17065(適合性評価-製品、プロセスおよびサービスの認証を行う機関に対する要求事項)に基づいて審査し、認定を行っているが、政府はこれを各州のイスラム評議会、イスラム局に拡大する方針だ。
(エッジ、ベルナマ通信、2月3日)

食糧安保政策に着手、食糧の安全・質にも配慮

【クアラルンプール】 政府は1月29日、2030年までの食糧安全保障の方向性を示した国家食糧安保政策の開始式を開催した。モハマド・サブ農業食糧安保相は、同政策は単に食糧生産・入手を確保するだけでなく、食糧の安全度、質を高め環境持続性を強化し、強靭な食糧システムを構築することを目指すと述べた。

政策の柱は4つで、まずコメ産業に改革をもたらし、種の国産化を強め、機械化、デジタル化の推進で農業者をサポートする。2つ目は持続可能な、強靭な農業・食品システムの構築で、気候変動、自然災害に対処する。

3つ目は安全で栄養価の高い食品の全国民への提供で、すべての児童、市民が国産物から最高の栄養を摂取できるようにする。4つ目は収入源、経済成長の刺激役としての農業で、高い価値を生む産業セクターに位置付ける。

政府は食糧安保を確かなものとするため、法的根拠となる国家食糧安保法を作成する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、ザ・サン電子版、1月29日)

HIS、KLで主要観光地とホテルを結ぶ乗合型移動サービス開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 エイチ・アイ・エス(HIS、本社・東京都港区)は、マレーシア現地法人H.I.S.トラベル(マレーシア)が、主要観光地とホテルを結ぶ乗合型ミニバス移動サービス「BOLEH BOLEH Ride」をクアラルンプール(KL)で2月1日に開始したと発表した。

WILLERグループ(本社・大阪市)が提供するAIオンデマンド交通サービス「mobi」のシステムを活用する。「mobi Community Mobility」をダウンロードし、アプリで乗降地点を入力すると乗車予定時刻、目的地到着時刻が表示され、車の手配が完了する。事前の予約は不要で、運行時間内であれば、旅行中、必要なタイミングで手配できる。

停留所は、ペトロナスツインタワーやブキビンタン、セントラルマーケットなど主要観光地やリッツカールトン、マンダリンオリエンタルなど主要ホテルを含め100カ所以上を設置している。HISの個人旅行「Ciao」の対象商品を申し込んだ旅行客は、滞在中何度でも無料で利用できる。

運行時間は午前10時から午後10時まで。ミニバスの乗客座席数最大は12人で、英語またはマレー語のドライバーとなる。

首相任期10年制限で閣議承認、今国会にも憲法改正案を提出へ

【ペタリンジャヤ】 アンワル・イブラヒム内閣は、過度の権力集中を防ぎ、国の民主主義体制を強化するため、首相の任期を2期10年に制限する方針を1月30日の閣議で承認した。アザリナ・オスマン首相府相(法務・制度改革担当)が明らかにした。

首相の2期10年の任期制限案は与党連合・希望同盟(PH)構成党の民主行動党(DAP)が要求していたもので、アンワル首相もかねてから同意していた。政府は首相の10年の任期制限を法制化するため、現国会会期中に連邦憲法の関連改正案を提出する予定だという。

アザリナ氏は「10年の任期制限は、国の指導部に対する国民の信頼を高めることにもつながり、国際的に成熟した民主主義の慣行にも合致させるもの」と強調。政策提言、国民からのフィードバック、そして複数の関係者が参加する包括的な対話セッションを通じて得られた提言を徹底的に検討した結果、決定されたと述べた。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、1月31日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第918回:不安な時代、人はまず何を求めるのか? ――コロナ禍で変わった若者のキャリア意識(後編)――

第918回:不安な時代、人はまず何を求めるのか?
――コロナ禍で変わった若者のキャリア意識(後編)――

前回は、コロナ禍で若者のキャリア意識が変化し、その方向性が都市と地方で異なっていたことをご紹介しました。今回は、その変化がどのように行動や意欲につながっていたのかを見ていきます。

分析の結果、地方大学の学生では、「働く条件」を重視する意識が、「職場の人間関係を大切にしたい」という意識と結びつき、それが地元で働きたいという志向を後押ししていました。

つまり、安心できる条件があり、信頼できる人間関係が想像できるとき、人はその場所にとどまり、関わろうとするということです。

ただし、ここで一つ重要な点があります。人間関係を重視する意識は、それだけでは自己成長や挑戦意欲には直結していませんでした。鍵となっていたのは、「社会からどう評価される仕事か」「誰の役に立つのか」という社会的意義の感覚です。

データが示していたのは、
働く条件人間関係社会的意義自己成長
という順序でした。

この結果は、企業の人材マネジメントにも示唆を与えます。不安定な環境下で、いきなり「挑戦しろ」「成長せよ」と求めても、人は動きません。

まず必要なのは、

・安心して働ける条件
・孤立しない人間関係
・自分の仕事が誰の役に立つのかという意味づけ

です。その土台があって初めて、内発的な意欲や挑戦が立ち上がります。

これは若手社員に限った話ではありません。変化の激しい時代において、勤労意欲を高める鍵は、能力や根性ではなく、順序にあるのかもしれません。

安心のあとに、意欲は生まれる。
その順序を無視しないことが、これからのマネジメントには求められているように思います。

 

調査にご協力くださった方々にこの場を借りて心より感謝申し上げます。

論文情報は以下。末尾のURLから全文をご覧いただけます。

Kokubun, K. (2025). During the COVID-19 Pandemic, the Gap in Career Awareness Between Urban and Rural Students Widened. Psychology International, 7(4), 103.
https://doi.org/10.3390/psycholint7040103

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

 

【従業員の勤労意欲を高めるために】第917回:不安な時代、人はまず何を求めるのか? ――コロナ禍で変わった若者のキャリア意識(前編)――

第917回:不安な時代、人はまず何を求めるのか? ――コロナ禍で変わった若者のキャリア意識(前編)――

前回は、海外駐在員の適応とパフォーマンスにおける「順序」についてお話ししました。今回は視点を変え、コロナ禍が若者のキャリア意識にどのような変化をもたらしたのかを取り上げます。

拙稿(Kokubun, 2025)では、2020年末から2021年初頭にかけて、日本の大学生516名を対象に、パンデミック前後で「仕事に何を重視するようになったのか」を分析しました。

まず確認されたのは、学生全体が「安定」や「人とのつながり」を、以前よりも重視するようになったという点です。ただし興味深いことに、その現れ方には都市と地方で明確な違いがありました。

地方の大学に通う学生ほど、安定した収入、福利厚生、無理のない働き方、勤務地といった「働く条件」への関心を強めていました。一方、都市部の大学に通う学生では、自己成長ややりがい、自分らしさといった「自己価値(セルフワース)」への関心がより強まっていたのです。

つまり、同じ不安定な環境に直面しながらも、地方の学生は「まず安心できる環境」を、都市の学生は「自分は何者として働くのか」を、それぞれ強く問い直していたといえます。

重要なのは、どちらが正しいかではありません。危機の中で、人はまず自分にとって欠けているものから意識を向けるという点です。

この違いは、企業の中でもしばしば見られます。不確実性が高い局面では、若手社員の中にも「まず安心できる環境」を求める層と、「それでも成長や自己実現を求める層」が同時に生まれ、同じ施策でも響き方が大きく分かれるのです。

では、こうした違いは、働く意欲や行動にどのようにつながっていくのでしょうか。
次回は、人間関係・地元志向・内発的動機づけの関係から、企業や管理職への示唆を考えます。

次回に続きます。

調査にご協力くださった方々にこの場を借りて心より感謝申し上げます。

論文情報は以下。末尾のURLから全文をご覧いただけます。

Kokubun, K. (2025). During the COVID-19 Pandemic, the Gap in Career Awareness Between Urban and Rural Students Widened. Psychology International, 7(4), 103.
https://doi.org/10.3390/psycholint7040103

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

 

【総点検・マレーシア経済】第539回 マレーシアの2025年第4四半期の経済成長率(事前予測値)は5.7%

第539回 マレーシアの2025年第4四半期の経済成長率(事前予測値)は5.7%

1月16日に発表されたマレーシアの2025年第4四半期の経済成長率(事前予測値)は前年同期比5.7%で、第3四半期の5.2%からさらに加速しました。その結果、2025年通年の経済成長率は4.9%程度になると見込まれ、その結果、2025年通年の経済成長率は4.9%程度になる見込みです。これは現在の政府予測である4.0〜4.8%の上限を上回り、昨年7月に下方修正される前の政府予測4.5〜5.5%に近い水準です。これは、トランプ関税の悪影響を受けると懸念されていたマレーシアが、実際にはその影響を免れたことを示しています。

 

2025年第4四半期の経済が好調だった理由は、製造業が6.0%増(第3四半期は4.1%増)、サービス業が5.4%増(同5.0%増)と、ともに伸びたためです。年前半は振るわなかった自動車販売も年後半に伸び、82万752台と過去最高を更新しました。これによりインドネシアを上回り、ASEAN最大の自動車販売台数を記録したと報じられています。

図は2024〜25年のマレーシアの四半期GDP成長率の推移です。 2024年第2四半期にピークを付けた後、減速傾向にあったマレーシア経済が、2025年後半に持ち直したことが分かります。

 

本連載の第512回、2025年初の時点で、筆者はマレーシアの2025年の経済成長率は当時の政府予測の下限(4.5%)を下回るのではないかと書いていました。実際、年前半はそのような推移でした。しかし、年後半になった経済は予想外に大きく持ち直しました。さまざまな要因がありますが、筆者は国内外でのAI・データセンター特需が影響しているとみています。事実、半導体が経済の中心を担っている台湾の2025年の経済成長率は8.63%と過去15年で最高を記録しました。

 

 

同時に、外国為替市場では対ドルでリンギ高が進んでいます。2025年1月には1ドル=4.5リンギ前後であったものが、2025年を通じてリンギ高が進み、2026年1月23日には遂に1ドル4.0リンギの壁を突破しました。

 

経済が好調で為替レートが上昇しているということは、ドル建ての一人当たり国民所得(GNI)を基準とする世界銀行の定義による「高所得国入り」にマレーシアが近づいたことを意味します。筆者の概算によれば、1ドル=4.0リンギで計算した場合、マレーシアの2025年のドル建て一人当たりGNIは14,500ドル前後になります。これは、2024年の世銀の基準における高所得国の下限である13,937ドルを上回ります。ただし、2025年の平均為替レートは1ドル=4.28リンギ程度であり、このレートで計算すると一人当たりGNIは13,500ドル程度にとどまります。

 

また、世界銀行が高所得国入りの判断に使う為替レートは3年移動平均であり、2023年と2024年は1ドル=4.5リンギを超える水準で推移していました。さらに、高所得国入りの基準は毎年変動しており、例年数%ずつ上昇しています。したがって、現在のリンギ高が反映され、世銀の基準で公式にマレーシアが高所得国入りしたと発表されるのは、2028年頃になると予想されます。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp