大規模太陽光発電第6期、蓄電システムと組み合わせ

【プトラジャヤ】 エネルギー移行・水利転換省は16日、第6期大規模太陽光発電(LSS)プログラムの詳細を発表した。再生可能エネルギー(RE)による発電能力を高めるもので、入札により事業者を決める。すべての発電施設が商業運転を開始するのは2029年末。最大150億リンギの開発投資を見込んでいる。

発電枠は2,500メガワットの発電容量と1,250メガワットの蓄電池システム(BESS)の組み合わせ、およびブミプトラ(マレー人と先住民の総称)企業向け150メガワットの発電容量(BESSなし)。BESSは、天候により発電量が左右されるREの余剰電力を蓄え、不足時に供給することで電力網を安定させるシステム。

入札は3種。第1パッケージは2,200メガワットと1,100メガワットのBESSの組み合わせで、一般入札で事業者を決める。第2はブミプトラ企業向け一般入札で、300メガワットの発電容量と150メガワットのBESSの組み合わせ。第3は150メガワットの発電容量のみ。プロジェクトごとの発電容量は、第1、2パッケージがそれぞれ60-500メガワット、第3が10-30メガワット。

今回から、国産ソーラーモジュールを使用する応募者、電力需要が急増しているマレー半島南部での発電所建設を優遇する
(エッジ、マレーシアン・リザーブ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、7月16日)

第2四半期のGDP成長速報値、プラス5.8%=統計局

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は17日、2026年第2四半期(4―6月期)のマレーシア国内総生産(GDP)成長率の速報値を発表。前期(1ー3月期)のプラス5.4%からプラス5.8%に加速すると予測した。正式発表は8月14日を予定している。

農業部門は成長がマイナス成長に転じたが、そのほかのサービス業、製造業、鉱業・採石業、建設業の拡大に支えられた。中でも、鉱業・採石業は天然ガスの生産量増加を背景に、前期のマイナス2.1%から、プラス10.2%へと大幅に改善した。

また製造業も前期のプラス5.9%からプラス7.5%に加速。電気・電子・光学製品、石油・化学・ゴム・プラスチック製品、非金属鉱物製品・卑金属・金属加工品の伸びが貢献した。

サービス業は、前期のプラス5.6%からやや減速したものの、プラス5.4%の堅調な成長を維持。卸売・小売業、情報・通信、輸送・倉庫のサブセクターが成長を支えた。

建設業は前期のプラス7.7%に対し、6.6%と緩やかな成長となった。非住宅建設や、データセンター建設を含む専門建設活動に支えられた。

一方、農業はパーム油と漁業の不振を受け、前期の2.6%からマイナス3.7%に落ち込んだ。

ジェトロKLが日本食特別講義、テイラーズ大学で第1回開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、農林水産物・食品輸出支援プラットフォームの取り組みとして、現地の調理学生を対象とした日本食・日本食材の特別講義の第1回を開催した。

将来マレーシアのホテルやレストランなど、次世代のフードサービス業界を担う未来のシェフたちを対象に日本食・日本食材に関する正しい知識や調理技術の習得、及び魅力を理解してもらい、日本食・ 日本食材の将来的な需要創出や利用促進を図るのが狙い。

開催場所はテイラーズ大学の調理学部「テイラーズ・カリナリー・インスティテュート」で、4回に分けて開催する。17日に開催された1回目では、在マレーシア日本国大使館の在外公館料理人である岳野基道シェフが登壇し、「日本食とは」をテーマにした総論講義を行った。テイラーズ大学の学生150人あまりが聴講し、質疑応答では「好きなマレーシア料理は?」、「みりんを使わない場合の代用調味料は?」、「どうすれば日本料理のようにユネスコ文化遺産に登録されるか?」といった質問が学生から寄せられた。

2回目以降の講義スケジュールと内容は、▽水産物(9月)▽和牛(10月)▽成果発表(11月)――となっている。第4回の成果発表では、チームに分かれて日本食材を使った料理のコンペティションを行う予定。

補助金なし「RON95」を3.42リンギに引き上げ、7月16日から

【クアラルンプール】 財務省は15日、2026年7月16日から7月22日までの1週間の燃料小売価格を発表。レギュラーガソリン「RON95」の補助金なし価格を、前週の1リットル当たり3.37リンギから5セン引き上げ3.42リンギにすると発表した。

補助金なし「ユーロ5 B10」および「B20」ディーゼルの小売価格も3.97リンギから10セン引き上げ、4.07リンギとする。「ユーロ5 B7」ディーゼル燃料も10セン引き上げ、4.27リンギとする。

一方、新ガソリン補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」適用のガソリン価格は1.99リンギで据え置く。新ディーゼル補助金制度「ブディ・マダニ・ディーゼル」適用による「B10」および「B15」ディーゼル価格も2.10リンギで現状維持する。「BUDI95」適用外の「RON97」の価格も4.00リンギで据え置く。

財務省は声明の中で、「米国によるイランへの攻撃再開と、ホルムズ海峡の貿易ルートの安全保障に対する懸念から、原油リスクプレミアムと輸送コストが上昇している。ブレント原油価格は1バレルあたり85米ドルに達し、過去2週間で約20%上昇した。紛争が解決されない限り、世界の石油市場における価格は引き続き不安定な状態が続くと予想される」と指摘した。

(ザ・スター電子版、ポールタン、7月15日)

輸入完成車EV規制、MITI「撤回せず」

【クアラルンプール】 政府は、7月から導入した輸入完成車(CBU)の電気自動車(EV)に対する新規制について、国内自動車産業の振興に必要不可欠な措置として、撤回しない方針を改めて表明した。

投資貿易産業省(MITI)が15日、下院議会議員からの「EVの値上げにつながり、EV普及促進という政府の方針に矛盾する」との質問に、書面で回答した。新規制では、輸入が認められるのは、運賃と保険料込みの輸入価格(CIF)が20万リンギ以上で、かつ出力が180kW(245PS)以上のEVに限られる。

MITIは回答で、新規制は国家自動車政策(NAP)に基づき、国内自動車産業の発展を確保しつつ、EVモデルの市場参入を管理しながら製品の選択肢を広げることを目的としていると説明。一方で、現地組立(CKD)のEVについては2027年12月31日まで税制優遇措置を継続しているとし、「消費者の利益保護と国内自動車産業の発展のバランスを常に図っている」と強調した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、ポールタン、7月15日)

ららぽーとBBCCの交通ハブが正式開業、バス17社が運行開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三井不動産が手掛ける「ららぽーとブキ・ビンタンシティセンター(BBCC)」のLG1階に位置する公共交通ハブ「ららぽーと・トランスポートハブ」(LTH)が16日、正式オープンした。高速バス利用者の都内でのアクセスを改善する。

公共陸運局(APAD)認定の交通ハブで、クアラルンプール(KL)市内中心部における高速バスの指定乗降地点の一つとして機能する。LTHに直結する軽便鉄道(LRT) やKLモノレールといった主要な公共交通機関ネットワーク、中距離オンデマンド乗合ミニバス(DRT)をシームレスに繋ぎ、訪問者や通勤客に便利な移動手段を提供する。

1日当たりのバス受け入れ能力は150台。当面はシンガポールを結ぶ国際高速バスとKL新国際空港(KLIA)を結ぶシャトルバスを運行する。最終的には30社が乗り入れる見込みで、すでに17のバス会社が運行を開始している。

LTHには大型バスが一度に11台入ることが可能なバス発着ベイとエアコン付き待合室が完備されているほか、自動券売機と発券カウンター、バス時刻表の表示システム(PIDS)、コインロッカーなどを備えている。「ららぽーとBBCC」内に位置することで、利用客は乗車前に小売店、飲食店などに直接アクセスできる。

これまでKLーシンガポール間を運行する高速バスは、「ベルジャヤ・タイムズスクエア」や「コーラスホテル」など、乗客が降車するに不適切な場所に停車していた。

マラッカ州議会が任命州議員制度導入へ、州憲法改正案を可決

【マラッカ】 マラッカ州議会は14日、最大7人の議員を任命できる州議会議員制度の見直しを盛り込んだ州憲法改正案を賛成23人、反対5人で可決した。選挙手続きを経ない州議会議員を認めることになるため、共闘する民主行動党(DAP)は即日、「民主主義に反する」として州政権からの離脱を発表した。

任命制の州議会議員制度導入は、2021年のマラッカ州議会選挙に向けた同州第一会派・国民戦線(BN)のマニフェストに盛り込まれていたもの。法案提出にあたりアブ・ラウフ州首相は、法律、経済、教育、投資、技術、州開発などの分野における専門知識と経験を持つ人材を任命することで、政策決定や立法審議に直接貢献させることを目的としていると説明。「選挙では当選できないかもしれないが、州の発展に貢献できる女性、若者、オラン・アスリ(先住民)、少数民族、専門家、業界代表者の参加を促進するだろう」と述べた。

クー・ポアイティオンDAPマラッカ支部長は、民主主義の原則に反するこの動きを党として支持することはできないとした。これに伴いDAP所属で起業家育成・協同組合・消費者問題担当のアレックス・シー評議員、ロウ・チーリョン及びレン・チャウイェンの両副行政評議員、カーク・チーイー副議長が辞任する。
(マレーシアン・リザーブ、エッジ、ベルナマ通信、7月14日)

アンワル首相が早期解散論を一蹴、経済回復と安定を優先

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は14日の下院質疑の中で早期の国会解散の可能性について聞かれ、「時間を与えてほしい」と言明。「国民は際限のない政治的駆け引きよりも、経済回復と政治的安定を優先している」と述べ、次期総選挙の前倒し実施に否定的な考えを示した。

アンワル氏は、「政府の当面の最優先事項は世界的な不確実性の中で政治的安定を維持し、経済成長を持続させることだ」と言明。「(政府に評価のための)時間を与えて欲しい。結論を急がずしばらく様子を見てほしい」と述べた。

次期総選挙は2028年2月までに開催される予定だが、アンワル首相自身が率いる与党連合・希望同盟(PH)と国民戦線(BN)の関係が緊迫の度を深めていることから、今年中に解散総選挙が実施されるのではないかとの憶測が飛び交っている。

国政レベルでは協力関係を続けているPHとBNだが地方レベルでは対立が深まっており、11日に投開票が行われたジョホール州議会選挙では両党派がそれぞれ独自に候補者を擁立し、PHがBNに敗北している。8月1日にはネグリ・センビラン州議会選挙が行われ、両党派が再び激突する。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、7月14日)

薬局のアルプログループがニトリと戦略的提携、睡眠改善など支援

【クアラルンプール】 医療・薬局事業を展開するアルプロ・グループは、家具・インテリア用品大手ニトリのマレーシア法人、ニトリ・マレーシアと戦略的パートナーシップの覚書(MOU)を締結した。

提携では、健康には家庭環境も含めた予防医療が重要との考えのもと、アルプロの予防医療および地域社会の健康増進に向けたサービスと、ニトリの快適な生活環境づくりにおける専門知識を融合。第一段階として睡眠の質に焦点を当て、睡眠健康教育や快適な住環境づくりの提案に取り組んでいく。

10日に行われた調印式で、ニトリ・マレーシアのカントリーストアマネジャー、前澤勇太氏は「今回の提携を通じて、機能的で高品質な家庭用品を提供するだけでなく、健康的なライフスタイル習慣を促進し、睡眠と健康の重要性に対する意識を高めることでマレーシアの人々の生活をサポートしていきたい」と述べた。

アルプロ・グループは、薬局チェーンのアルプロ・ファーマシーなど国内に300以上の拠点を持つ。またニトリは2022年にマレーシアに初進出し、現在14店舗を展開している。
(ザ・イスカンダリアン、7月14日、発表資料)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第927回:効率化は本当に正しいのか――農業から学ぶ「短期最適化」の落とし穴

第927回:効率化は本当に正しいのか――農業から学ぶ「短期最適化」の落とし穴

前回は、仕事への熱意(ワーク・エンゲージメント)が職種によって異なる意味を持つ可能性について紹介しました。今回は少し視点を変え、農業と食料安全保障のお話です。

近年、世界では「効率化」が重視されています。農業でも同じです。限られた作物に生産を集中させれば、大規模化によって生産効率が上がり、コストも下がります。市場で競争力を持ちやすくなり、食料も安定して供給できるようになります。

では、作物を絞って効率化を進めることは、長期的にも良いことなのでしょうか。この疑問を調べるため、拙稿ではFAO(国連食糧農業機関)の世界の農業データを用い、1961年から2022年までの170か国以上の農業生産構造を分析しました。そして、その国でどれだけ特定の作物に生産が集中しているかを示す指標を作成し、食料不足との関係を調べました。

分析すると、一見すると意外な結果が得られました。作物への集中が進んでいる国ほど、その時点では食料不足が少ない傾向があったのです。効率化によって生産性が高まり、人々が十分な食料を得やすくなっていると考えられます。

ところが、時間の経過を考慮すると話が変わります。現在の農業構造ではなく、3年前の農業構造が現在の食料不足とどう関係するかを調べると、今度は逆の傾向が見えてきました。作物への集中が続いた国ほど、食料不足が増える可能性が示されたのです。統計的には境界的な結果であり慎重な解釈が必要ですが、「短期のメリット」と「長期のリスク」が異なる可能性を示しています。

なぜでしょうか。特定の作物に依存すると、その作物が干ばつや病害虫、価格変動などの影響を受けたとき、農業全体が大きな打撃を受けます。効率は高くても、変化には弱くなるのです。

実は、この考え方は企業経営にもよく似ています。短期的な成果だけを追い求めると、人材や事業を一つの方向へ集中させた方が効率は高まります。しかし、市場環境が変化したとき、新しい技術が現れたとき、その組織は柔軟に対応できるでしょうか。

経営学では、「活用(Exploitation)」と「探索(Exploration)」のバランスが重要だと言われています。現在の強みを徹底的に伸ばすことも必要ですが、将来に備えて新しい可能性を育てることも同じくらい重要です。

効率化そのものが悪いわけではありません。しかし、短期的な効率だけを追い求めると、長期的な強さを失うことがあります。これは農業だけではなく、企業経営や組織づくりにも共通する教訓なのかもしれません。

論文情報は以下。末尾のURLから概要をご覧いただけます。

Kokubun, K. (2026). Agricultural Production Structure and Food Insecurity: Evidence From Global Crop Data. Sustainable Development, Early View. https://doi.org/10.1002/sd.71452

 

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)