MITIが輸入完成車EVの規制強化を発表、7月から実施

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)は完成車として輸入される電気自動車(CBU EV)に関する新規則を発表。今年7月1日からCIF価格を20万リンギ以上、出力を180kW(245PSまたは241hpに相当)以上にするとの通達を出した。自動車専門メディア「ポールタン」が報じた。

CIFはマレーシアの港に到着した時点での実際の価格で、これに対し、実質的な販売価格となるOTR価格には最低5%の輸入関税、10%の物品税、10%の売上税、販売マージンなどの諸費用が加わる。このため、CIF価格が20万リンギ以上に規制されると、OTR価格は少なくとも30万リンギ以上になるとみられる。在庫車および輸送中の車両は新規則の対象外となる。

CBU EVはこれまで政府によるEV普及促進政策を受け、輸入税と物品税が全額免除され、最低OTR価格も通常25万リンギ以上のところを10万リンギ以上に優遇されていた。しかし今年からは免除措置が打ち切られ、これに併せてMITIはフランチャイズ承認許可(AP)ガイドラインを改正し、新たにマレーシア市場に参入するブランドや新規モデルについては最低販売価格25万リンギ、最低出力200kW(272PSまたは268hp)を条件としていた。

一見規制緩和に見えて実質的な規制強化となる今回の改正は、完全現地組立(CKD)方式を推進し、輸入格安EVから国民車プロトンを保護する意図があるとみられる

中国BYD「シール」や「シーライオン7」は最低出力要件を満たしているが、ほとんどのBYD「アット3」などの量産型モデルは最低出力要件を満たしていないため、現地組立が行われない場合は供給が止まる可能性がある。「シール」や「シーライオン7」にしても、現在20万リンギを下回る価格で発売されており、CIF価格を水増しして20万リンギに引き上げても消費者からソッポを向かれる可能性が高い。
(ポールタン、5月6日)

「118モール」8月開業、アンカー店は「sogo118」

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の超高層ビル「ムルデカ118」の商業施設「118モール」は8月に開業を予定している。300以上の小売店が出店予定で、初年度には約2,200万人の来場者が見込まれる。

モールは建物の低層部7フロア総面積80万平方フィートで構成される。また最大2万台収容可能な駐車場も完備される。アンカーテナントとなるのが百貨店の「sogo118」。現在、マレーシア国内で独自に展開されている「sogo」ブランドの5店舗目となる見込みだが、従来の百貨店を現代的に再構築し、日本製品や東アジアの厳選されたビューティーブランドに重点を置くという。

そのほか、「Live Your Story(あなたの物語を生きよう)」をコンセプトに、世界的な高級ブランドやマレーシア発のプレミアムブランドなどが集結。さらに小売りだけでなく、食や伝統工芸品などマレーシアの文化の発信拠点としての特徴を持つ。工芸品などを中心にした8万平方フィートの「マレーシアン・アーティザン・ディストリクト」、食文化を取り揃える4万平方フィートの「マカニズム・フードホール」、ガラスドームを備えた2万平方フィートのイベントスペース「ジ・アトモスフィア」などが整備される。

モールは、国営投資会社ペルモダラン・ナショナル(PNB)の100%子会社PNBムルデカ・ベンチャーズが運営する。既に70%以上の小売スペースが契約済みで、各テナントは内装工事などの最終段階に入っているという。PNBムルデカ・ベンチャーズのイズワン・ハスリ・イブラヒム最高経営責任者(CEO)は「小売り、文化、ホスピタリティなどをシームレスに結びつけ、マレーシアならではの魅力あふれる目的地となる」としている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、5月4日、ザ・スター、ニュースウェブ、5月5日)

半導体展示会「SEMICON」KLで開幕、7日まで2万人来場

【クアラルンプール】 半導体・電子機器の展示会「SEMICON Southeast Asia 2026」が5日、クアラルンプール(KL)のマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開幕した。7日までの3日間で2万人の来場が見込まれる。

5日に行われた開会式にはジョハリ・アブドル・ガニ投資貿易産業相が出席。ジョハリ氏は「世界の半導体需要の拡大に伴い、マレーシアは特に高付加価値分野においてエコシステムと能力を強化し、成長機会を捉える必要がある」と述べた。

展示会は、半導体業界の国際団体「SEMI」が主催。アジット・マノチャ社長兼最高経営責任者(CEO)は「人工知能などが需要を牽引し続ける中、地域を超えた連携がますます重要になる。SEMICONは、単に技術展示の場でなく、業界の長期的成長を支える連携強化の場でもある」と強調。またマレーシア投資開発庁(MIDA)との間で、エコシステム統合、企業支援、人材育成の3分野に重点を置き、パートナーシップを引き続き強化していくことを再確認した。

今年の展示会には、ダイヤモンドスポンサーの東京エレクトロンのほか、多くの日本企業が出展している。
(マレーシアン・リザーブ、5月5日、発表資料)

身分証明書・旅券の新たなセキュリティー機能、6月に導入

【プトラジャヤ】 内務省は6月に、多機能身分証明書のMyKadと旅券に、新たなセキュリティー機能を導入する。サイフディン・ナスティオン内相が4日、省の月例会で発表した。デジタル方式で出入国サービスを提供するモバイルアプリの国家統合出入国システム(MyNIISe)は予定どおり、9月に全面導入する。

身分証明管理を簡素化・効率化し、より秩序ある、スムーズな人の移動を確保する機能・システムであり、長らく改善を目指してきた省にとり重要な節目だという。内務省は出入国サービスの効率化、ユーザーにとっての使いやすさを念頭に、システム改善とMyNIISeへのデータ移行に取り組んできた。

サイフディン氏は「セキュリティー機能を強化した、新たな身分証明書、旅券を発給する時が来た。6月は歴史的瞬間だ」と述べた。システム改善の一環として、6月には市民権申請も可能になる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ビジネス・トゥデー、5月4日)

「B15」バイオディーゼルを6月1日から義務化=副首相

【プトラジャヤ】 マレーシアは高騰しているディーゼル燃料価格の緩和策の一環として、バイオ燃料の混合比率を15%に引き上げた「B15」バイオディーゼルの導入を義務化し、6月1日から認可を受けた19の工場で生産開始する予定だ。

導入は段階的に行われ、まずB15から開始し、その後B20に引き上げ、向こう2―3年以内にB50へと移行していく。地方地域開発相を兼任するアハマド・ザヒド・ハミディ副首相は、「段階的な導入は、パーム油原油価格がバイオディーゼル生産コストに圧力をかけないようにするため」と説明した。

ザヒド副首相は、パーム油由来のバイオディーゼルは、国家エネルギー政策を支援するだけでなく、地方経済の新たな起爆剤となる可能性もあると指摘。「マレーシアの一次産品セクターの強みと農村経済の未来を結びつける機会となる。連邦土地再開発公社(FELCRA)、中央トレンガヌ開発庁(Ketengah)、南クランタン開発庁(Kesedar)はこの可能性を真剣に受け止めるべきだ」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、5月4日)

東マレーシアの陸運業者向けディーゼル補助制度、申請開始

【プトラジャヤ】 国内取引物価省(KPDN)は4日、サバ州、サラワク州、ラブアン島の陸運業者向けのディーゼル燃料補助金制度(SKDS)の申請受付を開始した。

SKDS申請はオンラインで行われ、車両ごとに登録が必要となる。フリートカード(車両用給油カード)方式で、政府が定める料率に基づいた補助金価格でディーゼル燃料を購入できるようになる。SKDSの現在の補助金価格は1リットルあたり2.15リンギ。

車両登録後、実際の給油には、指定のガソリン会社3社にフリートカードを別途申請する必要がある。同省によると、カードの発行・送付には2―3週間かかる見込み。また車両登録および自動車税の有効期間に連動して、SKDS承認書の有効期間が決定されるという。

SKDSの対象となる貨物車両は、バン(窓なし/窓あり/セミパネル)、一般大型貨物トラック、小型商用バン(移動販売など特殊用途車含む)、家具・引っ越し輸送車(ルートン/ボックス)、冷蔵貨物車、家畜輸送車、農産物輸送車、ログトラック(木材輸送)、コンクリートミキサー車などの23カテゴリー。公共陸上輸送車両では、タクシー、レンタカー、スクールバス、霊柩車、救急車、消防車、シャトルバス、路線バス、ミニバスの9つのカテゴリーがある。
(ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、5月1日)

鈴木農水相が来馬、肥料原料の安定調達や日本産食材の拡大で協議

【クアラルンプール】 鈴木憲和農林水産相は1日に来馬し、石油関連製品や肥料の安定調達、日本産食材の販路拡大に向け、企業との意見交換や視察などを行った。

鈴木農水相はまず国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のサザリ上級副社長と面会し、化学肥料の原料である「尿素」や、ナフサなどについて意見交換した。尿素はマレーシアからの輸入が7割を占めており、ペトロナスの子会社ペトロナス・ケミカルズ・グループとの間で2年間の売買契約が締結されている。今回契約延長で合意したとみられる。

また鈴木大臣はクアラルンプール(KL)市の「ららぽーとブキ・ビンタンシティセンター(BBCC)」内の食料品店「ジャヤ・グローサー」を視察。コメなど日本の食料品の販売状況についての説明を受け、さらなる日本産農林水産物の輸出拡大について協議したという。加えて、温室効果ガス排出量削減に向けた食品技術分野での協力についても話し合われた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、5月1日、発表資料)

【イスラム金融の基礎知識】第591回 ウズベキスタンでイスラム銀行制度を導入

第591回 ウズベキスタンでイスラム銀行制度を導入

Q: ウズベキスタンでイスラム銀行に関する法律が施行されましたが、狙いは?

A: さる3月、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領はイスラム銀行に関する法案に署名した。これにより、年内にも一部の従来型銀行でイスラム窓口が開設される見通しだ。同国がイスラム銀行制度・市場を導入する狙いはどこにあるのか。

中央アジアのウズベキスタンは、マレーシアとほぼ同様の人口規模であるが、GDPは20%程度である。国民のムスリム人口比率は90%以上を誇っているが、これまでイスラム銀行は認められていなかった。そこでイスラム銀行のための法律が施行されたのである。

ウズベキスタンがイスラム銀行を導入する理由として、現地メディアは四点あげている。一つ目は国内資本の動員で、従来型銀行の利子を避けるため銀行口座を持たないムスリム個人が保有する資金をイスラム銀行が引き受けることで、経済の循環に位置づけられるようになる。同じく二つ目も宗教上の理由で融資を避けてきた中小企業がイスラム銀行からの融資を受け入れやすくなり、中小企業の振興に役立つ。三つ目は湾岸諸国からの投資の誘致強化で、制度の整備は投資に直結すると考えられる。そして四つ目は競争力の強化である。中央アジア諸国のうち、カザフスタンとキルギスはすでにイスラム銀行が操業、ロシアでも実験的な取り組みを行っている。地域競争で後れを取らないためにも、早い制度確立が必要だ。

イスラム銀行法の施行に合わせて税制も改正される。利益分配型預金の配当(従来型銀行の預金金利に相当)への課税免除や、売買取引を介在させる融資にかかわる付加価値税の二重課税防止が定められた。また、中央銀行に5名の専門家によるイスラム金融評議会の設置も決定した。イスラム銀行に関する法律の導入は、単なる象徴的なセレモニーではなく、実際に市場を形成・運用するための実務的なものであると、地元メディアは紹介している。

 

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

 

国民移転勘定を初公表、世界で3カ国目

【プトラジャヤ】 統計局は29日、国民移転勘定(NTA)を初めて公表した。NTAは国全体の1年間の労働収入、消費、および家計や政府を通じた世代間移転や資産収入、貯蓄などの経済収支を年齢別に計算した統計で、モハマド・ウジル統計局長は「政策の策定に生かす」と述べた。2022年の経済収支を分析した。NTAの発表は世界で3カ国目だという。

個人の収入が支出を上回るのは26歳から55歳までで、余剰は44歳で最高の1万4,523リンギに達する。こうした余剰は自己消費のほか、ほかの年齢層を支えるために移転される。

統計によれば、0―28歳の年齢層では労働収入が支出を下回る。不足分は教育補助など政府支援や親、親類からの支援で賄われる。20―25歳の層でも収入が支出以下だが、資産収入や貯蓄が生じ始める。

29―55歳で初めて労働収入が消費を上回る。この経済的余剰が公的移転などを通じ若者や高齢者を支えるための再配分の原資となる。

56歳以降は再び収入が消費を下回り、政府や家族からの支援、資産収入からの再配分で補われる。
(統計局資料、ザ・サン電子版、マレー・メイル、4月29日)

補助金なし「RON95」3.97リンギに引き上げ、30日から

【クアラルンプール】 財務省は29日、30日から5月6日までの1週間の燃料小売価格を発表。レギュラーガソリン「RON95」の補助金なし価格は、前週の1リットル当たり3.87リンギから10セン引き上げられ、3.97リンギになった。

燃料補助金制度「ブディ・マダニ」適用外のハイオクガソリン「RON97」の価格は、前週の4.85リンギから5セン上昇し4.90リンギとなった。

半島部のディーゼルの小売価格については、「ユーロ5 B10」および「B20」は5.12リンギ、「ユーロ5 B7」ディーゼルは5.32リンギでそれぞれ据え置かれた。

「RON95」の補助金付き価格は1.99リンギ、サバ州、サラワク州、ラブアンにおけるディーゼル燃料の小売価格は2.15リンギでそれぞれ引き続き据え置く。

財務省は、西アジア情勢は長期化により石油価格は高止まりする見込みとし、国民に対し燃料の節約使用を呼びかけている。
(ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、ポールタン、4月29日)