ザヒド副首相がGST再導入を要求、SSTとの併用案を否定

【クアラルンプール】 与党連合の一角を占める国民戦線(BN)の中核党、統一マレー国民組織(UMNO)のザヒド・ハミディ総裁(副首相)は、物品・サービス税(GST)を再導入するよう政府に要請。アンワル・イブラヒム首相が検討しているGSTと現行の売上・サービス税(SST)を組み合わせた「ハイブリッド型」税制については、「そのような制度は必要ない」と否定した。

ザヒド氏は11日にクアラルンプールで開催されたUMNO年次総会の総裁演説で、「課税制度をGSTに戻すべきだ。GSTとSSTのハイブリッドはない。どの国もそのような制度を採用していない」と指摘。アンワル氏に対し「国民の声に耳を傾けてほしい」と訴え、会場から大きな拍手と賛同の声が上がった。

GSTは2015年4月に当時ナジブ・ラザク首相が率いるBN政権が税率6%で導入した。しかしマハティール・モハマド元首相とアンワル氏が率いる希望同盟(PH)への政権交代に伴い、2018年6月に実質的にゼロ税率化され、同年9月にはSSTに置き換えられた。

しかし大幅な税収減や複雑な税制、税収漏れなどの問題からGST再導入論が強まっており、アンワル首相も先ごろ、より効率的で進歩的な税制を構築するためGSTの要素をSSTに取り入れる案を含めて検討していると説明していた。

BNとUMNOは次期総選挙をにらみ、「マレーシア・ブルー・アジェンダ」と呼ぶ8項目の政策構想を発表した。GST再導入案はこれに含まれている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、9月11日)

テイラーズ大学で第2回日本食特別講義、テーマは「水産物」

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所が主催する現地の調理学生を対象とした第2回日本食・日本食材の特別講義が14日、セランゴール州のテイラーズ大学の調理学部で開催された。

同特別講義は農林水産物・食品輸出支援プラットフォームの取り組みとして、ジェトロが4回に分けてシリーズ開催しているもので、将来マレーシアのホテルやレストランといったフードサービス業界を担う未来のシェフたちを対象に日本食・日本食材に関する正しい知識や調理技術の習得、及び魅力を理解してもらい、日本食・ 日本食材の将来的な需要創出や利用促進を図るのが狙い。

2回目のテーマは「水産物」で、「SUSHI KITA」の料理長兼オーナーである北子華夏(ほくね・はるか)シェフが講師として登壇。日本産と地物の鯛の比較を題材にして、「食材と調理法、価格」の関係を考えることの重要性、根拠に基づいた素材選びを説明できるようにすることの重要性などを説いた。

テイラーズ大学の学生37人が聴講し、質疑応答では「魚を新鮮に保つには?」、「みりん、酒を使わない調理法は?」、「湯霜のテクニックは?」、「魚を熟成させた場合、食中毒は大丈夫か?」、「神経締めは全ての日本食シェフができるのか?」といった質問が学生から寄せられた。

3回目のテーマは「和牛」で10月に開催、シリーズ最終の4回目(11月)ではチームに分かれて日本食材を使った料理のコンペティションが行われる予定。

【総点検・マレーシア経済】第555回:ペトロナスが抱えたPRefChemというリスク

第555回:ペトロナスが抱えたPRefChemというリスク

8月28日、国有石油会社ペトロナスは2026年上半期の業績を発表しました。売上は前年同期から15%増加して1524億リンギ、税引き後利益は4%増加して272億リンギとなりました。売上の増加には、原油価格(ブレント)が前年同期の1バレル=71.9ドルから92.3ドルにまで高騰したことが貢献しました。

ホルムズ海峡危機の中で堅調な業績に見えますが、筆者には、ペトロナスは久々に大きなリスクを抱えてしまったように思われます。以下に説明します。

まず、原油価格が高騰し、売上がの見た割に利益が伸びていません。理由は、ジョホール州の 石化コンビナートRAPID内にあるプングラン製油社(PRC)とプングラン石油化学社(PPC、以下、両社総称PRefChem)への追加出資に伴い、これまで持分法会計で未認識だった累積損失RM148億を一括計上したためです。なお、合弁パートナーであったサウジアラムコからの両者の株式を全額買収する契約が2026年5月に締結されたましたが、6月末時点ではまだ完了していません。

RAPIDは巨大な石油コンビナートで、操業後にコロナ禍で需要が低迷したこと、製油施設が何度も停止し、稼働率が低下したことなどが重なり、損失が累積していました。今回は、増資に伴ってその累損が計上され、明らかになりました。一概には言えませんが、RM148億の損失はペトロナスの持ち分50%分で、サウジアラムコ分を合計すると、創業から6年半でRM250億〜300億RM、毎期平均してRM40〜50億程度の損失を計上していたことになります。

現在、ホルムズ海峡危機によって、アジア地域での石油化学製品の市況は好転しています。実際、ペトロナスの2026年上半期の川下事業は、PRefChemの累損を除けば税引き後利益で70億リンギの黒字と報告されています。

しかし、アジア地域では中国を始めとする各国の石油コンビナートの稼働が相次いでおり、供給は構造的に過剰気味です。PRefChemの累損の巨大さからみても、市況が崩れたり、施設が稼働を停止する事故があると、一気に損失は膨らみます。しかも、今後はペトロナス(およびペトロナス化学)の100%子会社となるので、損失は全て本体に計上されることになります。

ここのところ、ペトロナスの税引き前利益は700億リンギ程度有るので、PRefChemの業績が悪化しても吸収できないわけではありません。しかし、PRefChemが市況低迷時にはペトロナスの利益を押し下げる要因になる可能性は否定できません。

ペトロナスは、今回の買収による完全子会社化によって、バリューチェーン全体をコントロールし、マレーシアのエネルギー安全保障に貢献することを挙げています。実際に、そうした面での貢献は大きいですし、日本でも出光が製油所の閉鎖を撤回するなど、経済安全保障を理由に自国の製油能力を維持・拡大する動きが目立ちます。

ただ、商業面から見れば慢性的に過剰供給の業界で、稼働率が安定しない巨大石油コンビナートを100%子会社として持つことは、明らかにリスク要因となります。まずはPRefChemが安定的に創業できるか、そして、危機時には原油を安定的に調達できるか、平時には市況が崩れないか、常にリスクを見なければいけない厄介な存在を抱え込むことになります。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

【イスラム金融の基礎知識】第600回 イスラム銀行強度ランキングを分析

第600回 イスラム銀行強度ランキングを分析

Q: イスラム銀行上位100行にマレーシアは何行ランクインしていますか?

A: ある国のある市場の成熟度を測る際には、市場規模のみならず参入している事業者数も重要な指標となる。例え市場規模が大きくとも、独占や寡占の状態では、市場の健全な発展を阻害する要因となりうる。多くの企業による競争状態から、底堅い発展やイノベーションが生まれると期待できる。この点について、マレーシアのイスラム銀行市場をみてみたい。

シンガポールの金融情報リサーチ会社であるTABインサイツ社は、昨年末に「世界のイスラム銀行の強度トップ100行」を発表した。これは、イスラム銀行の総資産や融資残高、預金残高、売上高、ROAなど14項目について独自の点数化を行い、ランキング形式でまとめたものである。これによると、マレーシアは13位のメイバンク・イスラミックを筆頭に16行がランクインした。ひとつの国で16行がランクインしたのは、マレーシアが最多であり、2位のインドネシアの11行を引き離した。イスラム金融大国で国内に多くのイスラム銀行が存在する国をみてみると、パキスタンとバングラデシュがそれぞれ9行、トルコとUAEがそれぞれ6行、サウジアラビアは4行にとどまった。市場の独占や寡占は、市場の草創期の育成段階では必要な措置とみることもできるが、やはり底堅い健全な発展には企業間の競争が必要だろう。

マレーシアの16行の内訳をみると、いわゆる8大民間金融グループそれぞれのイスラム銀行、専業銀行であるバンク・イスラム、バンク・ムアーマラート、MBSB銀行、外資系のうちサウジ資本のアル・ラジヒ銀行、イギリス資本のHSBCとスタンダード・チャータード銀行、シンガポール資本のOCBC銀行、および政府系の協同組合銀行(バンク・ラクヤット)である。国内資本のイスラム銀行が軒並みランクインする一方、一部の外資系はランク外となった。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

仏系大手BPOのTP、ジョホールバルに新拠点開設

【ジョホールバル】 企業向け業務受託サービス(BPO)の仏大手TP(旧テレパフォーマンス)のマレーシア法人は10日、ジョホール州ジョホールバルにマレーシア3拠点目となる新拠点を開設したと発表した。

同社は現在、クアラルンプールとペナンに拠点を構え、カスタマーサービスなどの業務を企業から請け負っている。同社は新拠点について、ジョホール・シンガポール経済特区(JSーSEZ)に位置し、 シンガポールを拠点とする企業がマレーシアの多言語対応可能な人材を活用しやすくなると説明。世界的なEコマース企業の業務を手始めに、銀行、フィンテック、旅行、ホスピタリティなどさまざまな分野の多国籍企業からの需要拡大が見込まれている。

TPマレーシアのアンディ・ランゲル最高経営責任者(CEO)は「新拠点の設置でマレーシア国内での事業基盤が強化され、TPのマレーシアにおける成長の重要なマイルストーンとなる」としている。
(マレー・メイル、デジタル・ニュース・アジア、9月10日)

ゲンティンのアウトレット、第2期開発で7万平方フィート増床へ

【クアラルンプール】 パハン州の「ゲンティン・ハイランド・プレミアム・アウトレット(GPO)」は第2期開発として、総工費4,000万米ドル(約1億7,000万リンギ)を投じ、7万平方フィートを増床する計画だ。2027年第4四半期の完成を予定している。

GPOの運営会社ゲンティン・サイモンが10日に発表したところによると、増床エリアには25ブランドが入居。スポーツウエアの「ナイキ」が移転・拡張を予定しているほか、アウトドア用品の「サロモン」がマレーシア初のアウトレット店として出店を計画している。2017年開業のGPOの現在の賃貸可能面積は30万平方フィートで、増床により23%が拡大される。

ゲンティン・サイモンは、アブラヤシ農園のゲンティン・プランテーションズと、米商業不動産大手のサイモン・プロパティ・グループの合弁会社。2011年に東南アジア初のプレミアム・アウトレット・センターとして開業した「ジョホール・プレミアム・アウトレット」(JPO)と、2025年にインドネシアに開業した「ジャカルタ・プレミアム・アウトレット」の3施設を展開している。

JPOの開業15周年を記念し、GPOとJPOの2施設で13日まで記念セールを実施している。
(エッジ、9月10日)

IHHのシンガポール子会社、第一三共相手の訴訟で敗訴

【クアラルンプール/東京】 アジア最大の医療グループ、IHHヘルスケアのシンガポール子会社、ノーザンTKベンチャーズ(NTK)が第一三共(本社・東京都中央区)を相手取り損害賠償を請求していた訴訟で、東京地方裁判所は10日、NTKの主張には理由がないとし、NTKの請求をすべて棄却した。IHHは三井物産が主要株主。IHHによれば、NTKは判決に不服で、あらゆる法的措置を検討するという。

訴訟提起は2023年10月。NTKは当初、200億円の損害賠償を求めたが、25年5月、額を約2,033億に変更する申し立てを行った。

2018年、NTKはインドのフォーティス・ヘルスケアの31.1%株を取得。追加で26%株の公開買い付けが義務付けられた。しかし第一三共がフォーティスの元プロモーター2人との紛争に絡む仲裁判断の執行手続きを進めており、NTKのフォーティス株取得は元プロモーターに対する裁判所からの資産凍結命令に反するとインドの裁判所に提訴。インド最高裁の判断で公開買い付けは停止された。NTKは、この妨害により公開買い付けが停止され、損害を被ったとして東京地裁に訴えた。
(ビジネス・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、エッジ、第一三共報道発表、9月10日)

LRTケラナジャヤ線、線路工事で日曜朝に一部区間で代替バス

【クアラルンプール】 軽便鉄道(LRT)ケラナジャヤ線は、今月から1年間、全7フェーズに分けて駅周辺の線路交換工事を実施する。日曜朝を予定し、対象区間ではシャトルバスでの代替運行となるため、LRTを運営するラピッドKLは、利用者に最新の運行情報を確認するよう呼びかけている。

同社によると、通常は運行をしていない夜間帯に工事を行うが、対象区間は長いカーブを含むなどで工事が長時間を要することが見込まれる。基本的には午前9時半ごろには運行ができるようになる見込みだが、作業時間が午前中まで及ぶケースも考えられるという。

最初に工事を実施するのは、同線の東端のタマン・メラティ、ゴンバックの両駅区間で、今月13、20、27日の3日間に行われる。工事時間帯は無料のシャトルバスが運行される。

対象外エリアでは折り返し運行で対応し、通常通りのスケジュールを予定している。

そのほかの対象区間と日程は以下の通り。
▽フェーズ2:11月15、22、29日=ユニバーシティ―アブドラ・フクムの3駅間
▽フェーズ3:2027年1月10、17、24日=ダト・ケラマット―セティアワンサの3駅間
▽フェーズ4:3月14、21、28日=ユニバーシティ―アブドラ・フクムの3駅間
▽フェーズ5:5月9、16、23日=マスジッド・ジャメ―アンパン・パークの5駅間
▽フェーズ6:7月11、18、25日=タマン・ジャヤ―アブドラ・フクムの4駅間
▽フェーズ7:9月12、19、26日=タマン・メラティ―ゴンバックの2駅間
(ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、9月9日)

補助金なし「RON95」を4.02リンギに引き上げ、10日から

【クアラルンプール】 財務省は9日、10―16日の1週間の燃料小売価格について、燃料補助金制度「ブディ・マダニ」の対象外となる燃料価格をそれぞれ25セン引き上げると発表。レギュラーガソリン「RON95」は、前週の1リットル当たり3.77リンギから4.02リンギとなる。

補助金なしのハイオクガソリン「RON97」の価格は4.50リンギ、「ユーロ5 B10」および「B20」ディーゼルの小売価格は4.92リンギ、「ユーロ5 B7」ディーゼル燃料は5.12リンギにそれぞれ引き上げられた。

補助金付きの「RON95」の価格は1.99リンギ、「B10」および「B15」ディーゼル価格は2.10リンギで引き続き据え置く。

財務省は、国際原油価格が大幅に上昇し、1バレルあたり97.31ドルに達したのに加え、世界の石油精製品市場でも需給の逼迫が続いていると指摘。精製能力の制約と在庫の減少により、ディーゼル価格は原油価格を上回るペースで上昇していると説明した。西アジア情勢が長期化すれば、さらに価格上昇のリスクが高まるとみている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ポールタン、9月9日)

 

来年上期に気温40度の可能性、気象局が警戒呼びかけ

【クアラルンプール】 マレーシア気象局(MetMalaysia)は8日、2026年末に非常に強いエルニーニョ現象(長期にわたり海面水温が平年より高い状態)、いわゆる「スーパー・エルニーニョ」が発生した場合、27年1月から5月にかけて国内の一部地域で気温が40度に達する可能性があるとの見通しを示した。

マレーシア気象局のモハマド・ヒシャム局長は、国際的な観測・研究機関による気候モデルの予測を踏まえ、スーパー・エルニーニョが発生する可能性がほぼ100%に近づいていると言明。今回のエルニーニョの強度が1950年以降に観測された過去のエルニーニョを上回る確率は約70%との見方を示した。

最新の予測では、2027年1―5月の暑季のピークに、半島マレーシア北部の複数の気象観測所で40度に達する可能性があるという。半島部北部・内陸部のほか、サバ、サラワク両州の内陸部でも平年を上回る気温となる可能性がある。気象局は北東モンスーンが終わる1月から5月にかけて、猛暑や熱波のリスクが高まるとみている。

降雨量の減少や乾燥期間の長期化は、集水域やダムなどの水資源に負担をかけるほか、農業をはじめ、水不足の影響を受けやすい産業にも影響を及ぼす可能性がある。さらに森林火災や泥炭地火災のリスクが高まる。これに伴い、国内だけでなく国境を越えた煙害(ヘイズ)が発生する可能性もある。

過去の例では、1997―98年と2015―16年にスーパー・エルニーニョが発生し、国内での最高気温が通常より極端に高くなった。1998年4月9日には、ペルリス州チュピン気象観測所でマレーシアの観測史上最高となる40.1度を記録した。2016年4月10日には、パハン州ジェラントゥート近郊のバトゥ・エンブン気象観測所で39.3度を記録している。
(マレー・メイル、バイブス、9月8日)