虚血性心疾患が10年連続死因トップ、2位は肺炎=統計局

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は12日、「マレーシアにおける死因統計時系列データ2010―2019」を発表。2010年から2019年の10年間にわたり虚血性心疾患が一貫してマレーシアにおける死因トップだったことが分かった。

2019年は虚血性心疾患が占める割合が14.9%でトップ、これに肺炎(12.2%)、脳血管疾患(7.9%)、交通事故(3.8%)、気管・気管支・肺の悪性腫瘍(2.4%)と続いた。ICD分類別の死因トップは循環器系疾患の29.9%で、2010年の27.4%から増加した。これに呼吸器系疾患(18.3%)、悪性新生物(腫瘍、14.4%)、外因性疾患(8.1%)、特定感染症および寄生虫疾患(6.9%)が続いた。

性別では、男性は虚血性心疾患が17.2%でトップ、これに肺炎(11.5%)、脳血管疾患(7.4%)、交通事故(5.4%)、気管・気管支・肺の悪性腫瘍(2.7%)と続いた。女性は肺炎が13.2%でトップとなり、これに虚血性心疾患(11.4%)、脳血管疾患(8.6%)、乳腺悪性腫瘍(4.2%)、糖尿病(2.4%)が続いた。

民族別では、マレー系、中華系、インド系はいずれも虚血性心疾患が死因トップで肺炎が2位だったが、その他のブミプトラ(マレー系と先住民の総称)は肺炎がトップで脳血管疾患が2位だった。

年齢別の死因トップは、0―14歳の年齢層では肺炎および交通事故で、15―40歳は交通事故、41―59歳は虚血性心疾患、60歳以上も虚血性心疾患だった。

エネルギーや生活費を可視化したダッシュボード、15日から利用可

【クアラルンプール】 経済省と統計局が共同で開発した、世界の供給面の危機に関するデータを可視化したモニタリングダッシュボードが15日、一般公開される。国家経済行動評議会の供給網危機に関するオンライン会見で、アクマル・ナスルラー経済相が発表した。

一般向けダッシュボードは、エネルギー、一次産品、生活費、経済状況、為替相場など10のメニューで構成。政府専用バージョンもあり、政府は危機の進展状況注視、リスクの早期見極め、影響緩和戦略の策定に利用する。アクマル氏は「ほぼリアルタイムのデータを利用し、影響を察知し、行動を調整し、大衆に明確な情報を提供する」と説明した。

アクマル氏は世界銀行が報告書で、エネルギー確保、需要管理などを政府に提案したことにも触れ、特定の燃料の輸出規制、省エネ対策などを調整中だと述べた。
(ザ・サン電子版、ザ・スター電子版、エッジ、5月12日)

4月の鉄道とバスの利用者が1日平均で130万人超

【クアラルンプール】 4月の鉄道とバスの利用者が1日平均で130万人超に急増した。12日に開催された国家経済行動評議会(NEAC)で報告され、経済省は「世界経済の不確実性の中で、国民が日常支出や通勤習慣を調整し始めていることを示すもの」としている。

アクマル・ナスルラー経済相によると、1日平均乗客数は鉄道が前月比7.6%増の108万5,580人、バスは10.3%増の22万7,448人だった。アクマル氏は「こうした小さな行動変化が家計負担を軽減する上で重要」と述べた。

また食料品価格については4―6日の分析では、一部の品目で値上がりが見られたものの、全体的には抑制可能な範囲内にとどまっているとした。一方で、農村部で影響が強まっているとの懸念から、アクマル氏は「貧困層や社会的弱者といった支援が必要な人々に確実に届くよう調整していく」と強調した。
(マレーシアン・リザーブ、フリー・マレーシア・トゥデー、5月12日)

自動運転「レベル3」、2030年までに実現へ

【クアラルンプール】 マレーシアは2030年までに、一定の条件下での自動運転「レベル3」を目指す方針だ。投資貿易産業省のシム・ツェツィン副大臣が11日、明らかにした。

自動運転については、米国自動車技術者協会(SAE)の定めるレベル0(運転自動化なし)―5(完全運転自動化)までの6段階レベルが、国際的に広く参照される技術基準となっている。今回、シム氏が言及したのは、この「レベル3」にあたり、運転席に人が乗車した状態での自動運転となる。

シム氏は、マレーシアでの自動運転の議論はまだ初期段階としたうえで、今すぐ準備を始めなければ取り残されるリスクがあると警告。同省傘下のマレーシア自動車・ロボット工学・IoT研究所(MARii)で基礎研究を開始すると言明した。また、センサーや半導体、ソフトウェアなど幅広い技術が必要になるため、業界にスキルアップを働きかけると同時に、国としてのインフラ整備を促進していく方針だ。

自動運転については、米国では人の乗車を不要とする「レベル4」に基づくロボタクシーの商用運行が拡大しつつある。また国連欧州経済委員会(UNECE)の自動車国際基準会議(WP.29)で、安全基準整備が進んでおり、近く合意される見通し。
(マレーシアン・リザーブ、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、5月11日)

マレーシア航空、4月の定時運航率90%超を記録

【クアラルンプール】 マレーシア航空は11日、4月の定時運航率(OTP)が90%以上を達成したと発表した。今年に入り85%超を維持しており、特に3月以降、中東情勢により各航空会社が影響を受ける中、2カ月連続で90%を上回ったという。

OTPは定刻から15分以内に出発した割合で、マレーシア民間航空局(CAAM)は各航空会社に対し85%以上を業界目標として求めている。これに対し、同社は2025年通年で84%だったが、今年第1四半期には88%まで改善した。

同社は2024年にOTPが一時70%台に低下したのを受け、搭乗手続きや地上業務を含むネットワーク全体で継続的な改善を進めており、今回はその結果としている。
また旅行需要も好調で、3月は前年同月比30%増、4月も同8%増となった。

マレーシア航空グループの航空事業最高経営責任者のブライアン・フーン氏は、地政学的な不確実性や需要変動が続く中だからこそ、信頼性と柔軟性の確保が重要と強調。新たに「ナウ・ボーディング」キャンペーンを実施し、追加料金なしでフライト変更を無制限に行えるフレックス運賃などを通じ、利用者の利便性向上を図るとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、5月11日、発表資料)

高所得者層対象の燃料補助金削減を近く決定=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、燃料補助金制度の合理化、特に高所得者層を対象とした制度見直しを近く最終決定すると述べた。中東紛争に伴う原油価格高騰を受けて政府の補助金負担が増大しており、政府は補助金合理化には基本的に同意しているという。

高所得者層を対象とした燃料補助金制度の合理化案については、国家経済行動評議会(MTEN)傘下の危機管理タスクフォースが作成した関連文書が1カ月前に提出され、過去3週間にわたって精査されてきた。ただアッパーミドル(中流上層層)への影響を避けるため、所得上位何パーセントに適用するかについてはまだ決定していないという。与党連合内部からは生活費の高騰の影響をより強く受けている低所得者層(B40)や中所得者層(M40)に補助金をより重点的に配分すべきとの声が上がっている。

アクマル・ナスルラー経済相は先ごろ、アンワル首相が国内燃料供給継続に関する計画を近く発表する予定だと公表。国内の経済活動を維持するために十分な国内燃料供給を確保することに重点を置くと述べていた。政府は6月までの供給量は十分確保していると保証している。
(ザ・スター電子版、ボルネオポスト、ベルナマ通信、5月11、12日)

グローバルハブ、マレーシア留学支援プロジェクトを開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 グローバルハブジャパン(本社・東京都渋谷区)は11日、マレーシア高等教育の認知拡大などを目的とした、留学支援プロジェクト「マレーシア・ユニバーシティ・パスウェイ」(MUP)を発表。マレーシアの高等教育省傘下の「エデュケーション・マレーシア・グローバル・サービシズ」(EMGS)と提携し、日本の高校生のマレーシアの大学への進学機会の創出を図る。

同社は2010年創業で、これまでも「マレーシア留学サポートセンター」を運営してきた。新たなMUPでは、マレーシアの大学進学ルートについて高校成績などを目安に整理しながら、大学選択から留学ビザ申請まで一貫した支援体制を提供する。また成績優秀者に対しては、授業料が免除される給付型奨学金の案内なども積極的に行う。現在、「協定校推薦」という枠組みのもと、マレーシアの40大学(国立・私立・欧米大学マレーシア校)と、日本の高校28校が参加しているという。

EMGSは留学ビザの管理を担う機関。日本の民間企業がEMGSと提携するのは初という。EMGSの統計によると、2025年の日本からの留学ビザ申請人数は1,900人超で、国別では第9位で、年々増加傾向にある。

MTUC解散仮処分、新たな組合連合結成の動きが活発化

【ペタリンジャヤ】 団体登録局(ROS)が労働組合の総連合会、マレーシア労働組合会議(MTUC)に登録抹消の仮処分を行ったことを受け、労働法改革連合(LLRC)に所属する複数の労働組合はMTUCに代わる新たな労働組合連合の結成に向けて活動を活発化させている。

全国運輸機器・関連産業労働者組合のN・ゴパル・キシュナム氏は、MTUCの解散は労働運動にとって深刻な影響を及ぼし、労働者は国内外における重要な代表権を失うことになると言明。新たな連合会はマレーシア労働組合連盟(MFTU)と命名され、すでに暫定委員会が設置されていると述べた。ゴパル氏は暫定委員会の下、MFTUの事務局長を務めている。

暫定委員会には、サラワク銀行従業員組合(SBEU)、マレーシア半島船員全国組合(NUSPM)、マレーシア看護師組合(MNU)、サバ医療サービス組合(SMSU)、電子産業従業員組合北部地域(EIEUNR)が参加している。暫定委員会の委員長はSBEUのCEOであるアンドリュー・ロー氏が務め、NUSPMのイクマル・アザム・タナラジ氏が副委員長を務めている。

ゴパル氏は、「MFTUの目標は、マレーシア半島部、サバ州、サラワク州の労働者を代表する、幅広い分野を網羅する連盟を設立し、労働組合法に基づいて登録することだ」と強調。「7月末までに登録に必要な法的要件を満たし、年内に設立総会を開催する予定だ」と述べた。

MTUCは、監査済みの財務諸表および会計帳簿の提出命令に繰り返し従わなかったため、5月7日にROSから暫定的に解散命令を受けた。MTUCは、命令発令日から30日以内に内務相に不服申し立てを行う権利を有する。
(フリー・マレーシア・トゥデー、5月10日)

配車のグラブ、仲間同士での「シェアライド」機能を導入

【プトラジャヤ】 配車サービスのグラブ・マレーシアは8日、グループで1台の配車車両を共有する「シェアライド」機能を発表した。AI(人工知能)を活用し最適ルートを提示し、運賃の割り勘までアプリ上で完結できる仕組みで、個別利用と比べ最大40%の節約が可能としている。

新機能は、同僚同士の通勤や、友人と同じイベントに参加する場合など、少なくとも乗車地点もしくは降車地点のどちらかが同じの複数人によるグループ利用を想定。オンデマンドバスのように、不特定多数の利用者を自動的にマッチングするものではない。

まず幹事となる人が乗車地点と降車地点を設定。共有リンクを通じてグループメンバーを招待し、全員が参加した時点で予約が確定となる。その後、AIが乗降の順番を決め、渋滞状況などに応じて運行中でも柔軟に調整される。

もともとフードデリバリーのグループ注文機能にヒントを得たもので、支払い面の利便性向上が特徴となっている。利用者全員で運賃を均等に分けるか、走行距離に応じて按分するかが選択でき、利用者間での個別精算は不要で、アプリ内で決済が完了する。

新機能に関しては、交通渋滞を緩和し、通勤コストを削減するための幅広い取り組みの一環として、運輸省も導入を支援。8日にはアンソニー・ローク大臣らによる体験イベントも行われた。ローク氏は「こうしたさまざまなサービスと、既存の公共交通システムとの連携を強化することで、自家用車への依存を減らしていきたい」と述べた。

シンガポールなどでは先行導入されており、グラブは今後、インドネシア、ベトナムなどにも拡大していく方針。
(マレー・メイル、スクープ、5月8日、techENT、5月9日)

【総点検・マレーシア経済】第546回:マレーシアが日本の経済安全保障にとって重要な理由

第546回:マレーシアが日本の経済安全保障にとって重要な理由

アンワル首相が6月に訪日する方向で調整されていることが報じられています。脱炭素やエネルギー分野について議論されるとされていますが、さらに踏み込んで、重要物資の調達について包括的なパートナーシップを結ぶことが出来ればよいと考えています。

表は2025年の日本のマレーシアからの輸入(HS六桁レベル)のうち、世界シェア1割以上の品目を金額順に並べたものです。最大の輸入品目は液化天然ガス(LNG)で、金額は53億ドル(約8000億円)、世界シェアは約15%と豪州に次ぐ2位であり、日本にとって重要な調達先です。

LNGは日本の火力発電の柱であり、都市ガスや産業用の熱源としても利用されています。原油と異なり、ホルムズ海峡を経由しない調達がほとんどで、日本のエネルギー安全保障の大きな柱となっています。

2位はパーム油で、輸入シェアは87%に達します。2大輸出国のうちインドネシアは中国・インドなど大口先を重視する一方、マレーシアは日本との取引実績が長く、RSPO・MSPOなど環境基準への準拠率も高いことから、日本企業にとって第1の調達先です。

パーム油は即席麺、スナック菓子、チョコレート、マーガリン、冷凍食品などに広く使われており、家庭用洗剤、シャンプー、石鹸、化粧品の多くにパーム油由来の界面活性剤や脂肪酸が使われています。経済安全保障の文脈で話題になることは少ないですが、実は日常生活を支える大きな柱になっているのです。

3位はアルミニウム合金でシェアは11.7%です。輸入先1位は意外にもUAEで、中東危機の影響が懸念されます。アルミ製錬は電力大量消費型の産業で、マレーシアではサラワク州の水力発電を活用しており、国内製錬がない日本にとって今後一層重要な調達先となります。

4位は合板(熱帯木材)で、シェアは43%に達します。建設業の型枠・構造材に広く使われます。特に、コンクリート型枠用合板(コンパネ)については、輸入財が9割です。コンパネはマンション・橋梁・ダム・道路など、あらゆるRC(鉄筋コンクリート)構造物の建設に不可欠です。つまり、合板は建設業の中核を担っており、安定供給は極めて重要です。

5位はココア脂・油・ワックスで、シェアは68%に達します。カカオの産地といえばガーナ等の印象がありますが、加工品ではマレーシアが輸出の拠点となっています。供給が止まればチョコレート、製菓、化粧品、医薬品などに影響が及び、経済安全保障上の優先順位は低いものの、国民生活の豊かさに直結します。

このように、マレーシアからの上位輸入品目は従来の経済安全保障の枠に収まらないものの、代替が難しくシェアが大きい生活密着型の資材です。レアアース・レアメタルが注目されがちですが、国民生活を守るという意味ではLNG、パーム油、アルミ合金、合板こそが中核です。4月末から5月初頭に鈴木農相がマレーシアを訪問し、尿素(肥料原料、シェア約6割)やナフサ・原油を供給するペトロナス社と安定供給を協議しています。

つまり、マレーシアは日本の経済安全保障にとって、非常に重要な国なのです。しかし、過去を蒸し返すと、2014年1月、当時野党指導者だったアンワル首相が私的に来日した際、成田空港で「犯罪歴がある」として入国を認めなかった失態があります。

今回の来日でマレーシアとの関係を強化することは、日本の経済安全保障を強化する上で非常に重要になります。アンワル首相が「ロック」な人ではなく「右手にコーラン左手にシェークスピア」の人であることを踏まえたうえで、最大限の敬意を持って歓待して欲しいものです。イラン情勢での連携などを考えれば、古代ペルシアからシルクロードで伝わった正倉院宝物「白瑠璃碗」を酒(ノンアル)の肴にすれば、2時間ぐらい会話が弾むはずですが、果たして…

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp