日揮のメタン排出管理施設、マレーシア経済省などが視察

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシア経済省と、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の関係者がこのほど、茨城県大洗町のメタン排出管理技術の評価施設を視察した。施設を運営する日揮ホールディングス(本社・横浜市西区)が27日、発表した。

訪問したのは「JGCメタン排出管理技術評価センター」で、メタンの漏えいを検知・測定する技術の性能評価や技術開発を行っている。こうした技術は、メタンなどの温室効果ガスの排出量を正確に把握し、削減策を検討する上で重要となる。

視察では、日揮のメタン排出管理サービスや技術評価の取り組みについて説明を受けたほか、温室効果ガスの排出削減などについて意見交換が行われた。

日揮ホールディングスは9月、海外事業会社を通じ、ペトロナスとJOGMECなどと、東南アジア初となるメタン排出管理実証設備「SEA METEC」設立に向けた協力覚書(MoC)を締結している。

政府、石炭火力発電所の稼働延長を検討=副首相

【クアラルンプール】 ファディラ・ユソフ副首相は26日、既存の石炭火力発電所の稼働期間を延長する可能性があると発言。政府は2044年までに石炭火力発電を全廃する方針を掲げているが、電力の安定供給を最優先する考えを示した。

エネルギー移行・水利転換相を兼任するファディラ氏はこの日、「シンガポール国際エネルギー週間」のイベントに出席。新規の石炭火力発電所を承認しないという方針を維持しつつも、十分な発電容量を確保するためにさまざまなシナリオを検討していると説明した。データセンターの増加などで電力需要が急拡大する中、「最終的には、確実に電力が確保されなければならない」と述べた。また稼働期間を延長する場合、他の燃料との混焼も検討すると付け加えた。
(ビジネス・トゥデー、ザ・ストレーツ・タイムズ、10月27日)

イオンバンクが新サービス、AI「ネコ・センセイ」が金融コーチ

【クアラルンプール】 イスラム式デジタル銀行のイオンバンクは、顧客のお金の使い方を分析し、より良い収支管理をアドバイスする「金融パーソナ」を導入した。個々のユーザー向け金融コーチで、サービスの名称は「ネコ・センセイ」。利用は無料。

ネコ・センセイは人工知能(AI)を利用した存在で、貯蓄、デビットカードでの支払い、QRコード決済、融資、公益料金支払いなどの活動を分析し、これに基づき4種の金融パーソナのうち、ユーザーのお金の習慣に適したパーソナを割り当てる。

お金の習慣が改善されたり変化した場合、それに合わせてパーソナが更新され、さらにレベルアップするためのパーソナルアドバイスが届く仕組みとなっている。

「レベルアップ」機能では顧客は、より良いお金の習慣を身に付けるための、個人向けアドバイスを受けることができる。

来年1月1日から3月31日まで、顧客はネコ・ミッション参加でネコの前足20本をポイントとして獲得でき、ファミリーマート買い物券10リンギと交換できる。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月27日)

日本産水産物、マレーシア向け輸出が今年累計で58億円

【クアラルンプール】 日本の農林水産省の発表によると、マレーシア向けの日本産水産物の輸出額は、今年1―8月の累計で58億円に達した。農林水産物・食品の輸出総額は236億円で、前年同期比36.4%増となり、国・地域別で10位に入った。伸び率はトップ10の中で最も高かった。

こうした状況を背景に、日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は26日、日本産水産物商談会を開催した。商談会には、日本産水産物を取り扱う現地の流通業者や外食事業者が参加し、ビジネス・マッチングやネットワーク構築の場となった。

ジェトロの平野賢一理事は国営「ベルナマ通信」の取材に対し、マレーシアにおける日本産の増加要因として、マレーシアの消費者の購買力向上、高品質な食品への関心の高まり、さらに日本食がより身近な存在になっていると指摘。日本産水産物について、日本食レストランだけでなく、マレーシアのより幅広い外食事業者などにも、さらなる需要拡大が期待できるとの見方を示した。
(ベルナマ通信、10月26日、発表資料)

北部4州成長計画、25年後にはGDPを5倍超に

【クアラルンプール】 SG4と呼称されるマレーシア半島北部4州(ケダ、クランタン、トレンガヌ、ペルリス)の開発を推進するSG4社のハイム・ヒルマン会長は26日、クアラルンプールで開催のSG4ビジネス・経済フォーラムにおける演説で、4州は2050年には25年の5倍超に当たる7,237億5,000万リンギの州内総生産を目指すと述べた。年率7%の経済成長率だ。

ビジョンの共有、投資家への働きかけが目的のフォーラム。25年のSG4の総生産は1,334億リンギで、マレーシア国内総生産のわずか7.8%。しかしハイム氏は4州の経済潜在性はまだほとんど活用されていないと述べた。

目標達成には、継続的投資、生産性の向上、重要経済部門の開発が必要と指摘。空港開発、港湾拡充など、空運、海運強化のためのインフラ整備も重要だとした。

フォーラムにはマハティール元首相が祝辞を寄せ、4州は「眠れる巨人」であり、資源を持ち寄り、産業を強化し、潜在性を活用すれば経済面で主要州になり得ると述べた。特に希土類埋蔵の多さを指摘し、下流部門重視を提案した。
(ビジネス・トゥデー、ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月26日)

独ルフトハンザ航空、KL―フランクフルト線を10年ぶりに再開

【セパン】 独ルフトハンザ航空は26日、フランクフルト―クアラルンプール(KL)間の直行便を約10年ぶりに再開した。火曜日と木曜日を除く週5便で運航する。

この日クアラルンプール新国際空港(KLIA)で行われた就航記念式典には、観光芸術文化省のチウ・チュンマン副大臣らが出席した。同省によると、マレーシアには700社を超えるドイツ企業が進出。フランクフルトは同航空会社の主要拠点で、今回の就航により、欧州各地との接続性の向上が期待される。あいさつでは「マレーシアと欧州を結ぶ便は現在、週57便、総座席数は週1万6,914席にのぼり、東南アジアと欧州を結ぶ重要な玄関口としてのKLIAの地位をさらに強化するものになる」とされた。

新路線は新型のボーイング787ー9型機を使用。ルフトハンザにとっては、東南アジアでバンコク、シンガポール、プーケットに次ぐ4番目の就航先となる。
(エッジ、10月26日)

シンガポールがヘイズ調査、ウィルマーなど10社に情報提出要求

【シンガポール】 シンガポール国家環境庁(NEA)は、インドネシアの森林・土地火災に起因する越境ヘイズ(煙害)の調査を拡大し、シンガポール登記のパーム油・林業関連企業10社に情報提出を求める通知を発出した。対象には、マレーシアのPPBグループが大株主であるウィルマー・インターナショナルや、TSHの名を冠する2社などが含まれる。

通知は10月23日、シンガポールの越境ヘイズ汚染法(THPA)第10条に基づき発出された。同法を利用してシンガポール登記企業に文書や情報の提出を求めるのは今回が初めて。NEAは、対象企業がインドネシアに土地のコンセッション(事業権)を保有するか、関連会社が保有していると説明した。

対象企業は、▽ウィルマー・インターナショナル▽アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)関連2社▽ブミタマ・アグリ▽ゴールデン・アグリ・インターナショナル▽ファースト・リソーシズ▽インドフード・アグリ・リソーシズ▽ケンチャナ・アグリ▽TSHグローバル・プランテーション▽TSHオーバーシー――の10社。

各社には、シンガポールおよびインドネシアの関連会社との資本・企業関係、対象となる土地の所在地、乾季に実施した火災予防・消火対策などについて、文書や情報を提出するよう求めている。NEAは、越境ヘイズを引き起こした、または発生に関与した国内外の企業を特定し、THPAに基づいて責任を問う方針を示している。

今回の措置に先立ち、NEAはインドネシア企業10社にも、スマトラ島やカリマンタン島で発生した火災への関与が疑われるとして、予防措置通知を発出していた。対象企業には、保有・占有する土地での消火活動や延焼防止、野焼きの停止、再発防止策を盛り込んだ行動計画の提出などが求められている。

ウィルマーは23日、シンガポール取引所への届け出で、NEAの要請に応じて文書・情報の提出準備を開始したと発表した。ファースト・リソーシズとブミタマ・アグリも、当局に協力し、重要な進展があれば開示すると表明した。

一方、マレーシア上場のTSHリソーシズは、インドネシアの農園に関連する火災やホットスポットについて、シンガポール取引所規制当局から別途照会を受けている。同社は10月22日、2026年1月1日から10月21日までに、インドネシアの農園境界内で274カ所のホットスポットが検出されたと公表。ただしいずれも植栽地や操業区域の外にある地域住民の居住区域内だったと説明している。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、10月23日)

仏クラブメッド、サバ州に国内2カ所目の新リゾートを11月開業

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 オールインクルーシブ型リゾートを展開する仏企業「クラブメッド」は11月16日、サバ州南西部のクアラ・ペニュに「クラブメッド・ボルネオ マレーシア」を開業する。

新リゾートは、コタキナバル国際空港から車で約2時間の場所にあり、17ヘクタールの敷地は白砂のビーチと熱帯雨林に囲まれる。敷地に隣接するマングローブ保護区のほか、周辺には2つの森林保護区が広がり、テングザルなどの野生動物が生息する。海洋保護区域に指定されるプラウ・ティガ公園も沖合にある。

客室は400室で、2つのレストランと2つのバーを設けるほか、東南アジアのクラブメッド初となる、スイート宿泊者向けの専用宿泊エリア「エクスクルーシブ・コレクション・スペース」も備える。また子供から大人まで豊かな自然を満喫できる30種類以上のアクティビティなどを用意する。

今回の施設は、国内2カ所目のクラブメッドとなる。一方、もう1カ所のパハン州の「クラブメッド・チェラティン」は、大規模改修のため今月11日から一時休業。2027年12月の再開を予定する。同施設はアジア初のクラブメッドとして1979年に開業された。クラブメッドは現在、世界60カ所で展開されている。

ソフトバンクがマレーシアに500億米ドル投資へ=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は24日、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が、マレーシアで人工知能(AI)、新技術、データセンター分野への総額500億米ドル(約2,040億リンギ)の投資に向け、候補地域を選定したと明らかにした。

投資先として、サラワク州クチンとマレーシア半島部が挙げられている。実現すれば、東南アジアでも最大級の技術分野への投資となる可能性がある。アンワル首相によると、孫氏とは同月20日にビデオ会議を行い、その際に投資計画について伝えられたという。ただソフトバンク側からの正式な発表や具体的な事業計画は、現時点で確認されていない。

アンワル首相は、投資によって国内の若者、とりわけ学校や高等教育機関で学ぶ学生に、新たな雇用機会やより良い待遇の仕事が生まれるとの期待を表明。また、海外投資家の信頼を維持するには、政治の安定や指導力に加え、投資に適した環境の整備が重要だと強調し、AI、デジタル化、半導体などの先端技術分野で国内の能力を高めるとともに、人材育成や技能訓練を強化し、技術産業の後工程中心の事業から、より付加価値の高い中工程・前工程へと進出する必要があると述べた。

ソフトバンクは、米オハイオ州で総額5,000億米ドル規模のAI・データセンター関連プロジェクトを進めているほか、フランスでも最大840億米ドル規模のプロジェクトを計画していると報じられている。マレーシアでの投資が実現すれば、AIインフラの拡充が進む東南アジアで、同社の事業展開がさらに広がることになる。
(ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、10月26日)

【総点検・マレーシア経済】第558回:マレーシアの2026年経済成長率は

第558回:マレーシアの2026年経済成長率は

10月16日、統計局はマレーシアの2026年第3四半期のGDP推計値を前年同期比5.3%増と発表しました。第2四半期の6.0%増からは減速しましたが、2026年は3四半期連続で5%を超える成長率を記録し、第3四半期までの累計のGDP成長率は5.5%となりました。

政府はこれまで2026年のGDP成長率の予測を4.0%〜5.0%としていましたが、これを4.8%〜5.3%に修正しました。通年で4.8%成長になる場合、第4四半期は2.8%成長、5.3%成長になる場合、第4四半期は4.5%成長となります。前年同期が高水準だったとはいえ、やや保守的な見積もりと言えます。第4四半期が3.5%成長を上回れば通年での5%台の成長になりますので、世界経済に大事件が起きない限り、マレーシアの2026年の5%台の成長は確実と言えるでしょう。

図1はマレーシアの四半期ごとのGDP成長率と製造業の成長率を示したものです。2026年第3四半期は引き続き製造業が強く、7.5%増となっています。それでもGDP成長率が減速したのは、サービス業の伸びが5.9%から5.4%増にやや減速したのに加えて、鉱業が9.2%成長から4.9%減へと大幅に減少すると見込まれるためです。これは第3四半期のGDP成長率を約0.2%ポイント押し下げています。もし前期並みの成長をしていればGDP成長率を0.7%ポイント押し上げていたことから、鉱業部門の不調を除けば経済は引き続き6%成長クラスの好調さを保っていると言えます。

10月19日に発表されたマレーシアの9月の貿易統計では輸出は前年同月比54.5%増の2151億リンギ(図2)となり、月間で初めて2000億リンギを突破して過去最高を記録しました。製造業の輸出は58.6%増、電子・電気産業の輸出は59.2%増、米国向けの輸出は89.9%増となっており、さらに上振れしています。

ホルムズ海峡危機などもあり、年前半には先行きが危ぶまれた2026年のマレーシア経済でしたが、蓋を開けてみれば未曾有のAIブームにも支えられて3年連続で5%台の成長となりそうです。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp