ニトリ、マレーシア14号店をセランゴール州に出店へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ニトリホールディングス(本社・札幌市北区)は26日にマレーシア14号店をセランゴール州ペタリンジャヤのショッピングセンター「パラダイムモール」に開業する。

同店は、モールのグランドフロアに位置し、面積は約340坪となる。営業時間は午前10時から午後10時。パラダイムモールは主要道路沿いでアクセス性が高いことなどから出店を決めたという。

グループ全体では今回の店舗が1,064店舗目となる。同社は2032年までに世界3,000店舗が目標で、中でもマレーシアをはじめ東南アジア諸国連合(ASEAN)地域を重視しており、今後も積極的に出店を進めるとしている。

「米イラン戦争は長引く」、第2四半期見通し会見で楽天トレード

【クアラルンプール】 楽天トレードは第2四半期の見通しに関するオンライン会見で、地政学上の不透明感にもかかわらず、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)の主要株価指数FBM・KLCIは年末に1,800台に届くことが依然可能との見解を示した。ケニー・イー調査部長は、不安定要素である米イラン戦争について「トランプ米大統領は短期終結を確信しているが、長引くとわれわれは考えている」と述べた。

楽天トレードは年末の指数目標を1,810から1,800へわずかながら下方修正した。イー氏は「マレーシア証取は強靭さを示しているが、米とイランの衝突は引き続き世界市場に影を落とす。市場の方向は紛争の期間と石油価格への影響に左右されるが、1―2カ月で終わる戦争ではない」と述べた。

イー氏によれば、戦争の出費は1日推定10億米ドルにも上り、投資家のリスク許容度に影響する。戦争が長引けばブレント原油は1バレル100米ドル超になる可能性がある。

ブルサに対する今年の外国人投資は12億8,000万リンギの買い越しで、株保有比率は19.1%。今年の企業収益は7.9%の増加が見込めるという。
(ザ・スター電子版、3月13日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、3月14日、マレーシアン・リザーブ、3月17日)

中東危機も当面は新たな経済刺激策はなし=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ・アジザン第2財務相は、中東情勢の緊迫化により世界市場が混乱し、原油・ガス供給が滞っているものの、当面は国内で新たな経済刺激策を導入する考えはないと述べた。

アミル・ハムザ氏は、政府方針は経済の安定を確保するための短期的な措置に注力しつつ国内に影響を与える可能性のある情勢を注視することにあると強調。「重要なのは中東危機が今後も続くかどうかまだ分からないということだ。もし危機が早期に終息するなら、経済刺激策を実施する必要はないと考えている」、「現時点では、短期的な安定を確保することに注力している」と説明した。

その上でアミル・ハムザ氏は、政府は旅行や消費の増加に伴い、燃料需要が増加する祝祭シーズンにおける国民のニーズにも配慮していると言明。石油会社はこうした季節的な需要急増への対応経験が豊富であり、供給量の増加や需要の高い地域向けの備蓄タンクの増設など、供給途絶を防ぐための積極的な対策を講じていると述べた。

マレーシアの石油供給についてアンワル・イブラヒム首相は先ごろ、国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)との確認では国内の石油製品は少なくとも5月までは供給可能だと述べていた。
(エッジ、ベルナマ通信、マレー・メイル、3月16日)

「改正割賦法」が6月1日施行、借り手の早期返済を優遇

【クアラルンプール/コタキナバル】 消費者保護の強化をうたった「2025年改正割賦法(HPAA)」が6月1日に施行される。国内取引物価省が発表した。

改正の主要点は、元本に基づき金利が決定される定額金利と「規則78」の廃止。「規則78」は早期返済分が金利分に充当され、元本のほとんどがそのまま残る仕組みで、借り手に不利な規則だった。

定額金利に替え導入されるのが、名目金利に手数料や割引などの条件を加味して計算した、実際に負担する実効金利(EIR)だ。金利を借入残高に基づき計算する手法も併せて導入される。これにより早期返済を希望する借り手が「罰を受ける」ことがなくなる。

技術面の進歩を考慮し、改正法ではデジタル署名、および契約書の電子的送付・受領が可能になる。

改正法施行は6月1日だが、システム面など対応に時間がかかる割賦販売業者には2027年3月31日まで10カ月間の猶予期間が与えられる。
(ポールタン、ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、3月15日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第921回:強い職場は「上司」ではなく「同僚」で決まる

第921回:強い職場は「上司」ではなく「同僚」で決まる

前回は、企業の環境対応の話から、現実(深化)と理想(探索)の両利きの大切さを述べました。今回は、同僚間の助け合いについてです

海外子会社の経営において、従業員の組織コミットメントをどう高めるかは長年の課題です。一般には、上司のリーダーシップや待遇への満足度が重視されがちです。しかし実際の現場では、それと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なものがあります。それが「同僚同士の支え合い」です。

今回紹介する研究では、中国にある日系製造業子会社20社を対象に、従業員4,439人の組織コミットメントの要因を分析しました。さらに、このデータを328の部門単位に集約し、「個人レベル」と「職場レベル」の両方から検討しました。

分析結果は興味深いものでした。個人レベルでは、上司支援、同僚支援、自律性、研修機会、待遇満足など、多くの要因が組織コミットメントと関連していました。これは従来の研究とも整合的です。

しかし、部門単位で集計した「職場レベル」の分析では、結果が変わりました。統計的に特に強く残ったのは、「同僚支援」と「自律性」の二つだったのです。つまり、個人の意識としては上司の支援も重要ですが、職場全体としての組織コミットメントを左右していたのは、同僚同士が助け合う雰囲気と、仕事の進め方に一定の裁量がある環境でした。

さらに分析を進めると、自律性の高い職場ほど同僚支援も高く、その同僚支援が組織コミットメントを高めるという関係が見られました。言い換えれば、「任せること」が「助け合い」を生み、その助け合いが職場の一体感を強めていた可能性があります。

この結果は、海外子会社のマネジメントにいくつかの示唆を与えます。従業員の意欲を高めようとするとき、上司が個別に動機づけを行うことはもちろん重要ですが、それだけでは十分とは言えません。むしろ、職場の中で自然に相談し合い、互いに支え合える関係をどう育てるかが、組織全体の強さにつながります。また、細かく管理するよりも、一定の裁量を与えたほうが現場の協力関係が生まれやすい可能性もあります。

海外子会社経営を考えるとき、「上司がどう指示するか」だけでなく、「同僚同士がどう支え合えるか」。その視点が、これからますます重要になっていくのではないでしょうか。

調査にご協力くださった方々に、この場を借りて心より感謝申し上げます。
論文情報は以下。2026年4月13日まで、末尾のURLから全文をご覧いただけます。

Kokubun, K., Ino, Y., & Ishimura, K. (2026). Coworker Support and Organizational Commitment in Overseas Subsidiaries: Analyses at the Individual and Workplace Levels. Strategic Business Research, 2(1), 100086.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S3051064326000385?dgcid=author

 

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

ガソリン補助金支出、原油高騰で月20億リンギに増加へ=首相

【プトラジャヤ】 中東紛争に伴う世界的な原油価格の高騰は、マレーシア政府の財政にも大きな影響を与える見込みで、現在の燃料補助金政策を維持した場合にはガソリン補助金だけでも毎月20億リンギに跳ね上がると推定されている。

アンワル・イブラヒム首相は、原油価格の高騰を受け、「RON95」レギュラーガソリンの補助金付き価格を1リットルあたり1.99リンギに維持するため、政府は毎月20億リンギ、年間240億リンギの補助金を拠出する必要があるとの見通しを示した。ディーゼル燃料についてもサバ州とサラワク州への補助金は昨年20億リンギだったが、現在の価格を維持した場合は補助金額が両州だけで年間46億リンギに増加する見通しだという。

アミル・ハムザ第2財務相によると、ディーゼル補助金は約12億リンギに増加しており、「RON95」とディーゼル燃料の燃料補助金総額は32億リンギとなる。

アミル・ハムザ氏は「影響を受けていないとは言えない。コモディティ価格は市場原理によって決定される原油価格に影響される」と言明。その上で「しかしアンワル政権は国民への支援を継続し、『Budi95』プログラムを通じて支援を維持できるよう努める」と述べ、現在の補助金政策を維持していく考えを示した。過去3年間に政府が実施した財政改革と財政健全化策のおかげで、補助金の増加による負担は管理可能だという。

13日時点でブレント原油価格は0.12%上昇し、1バレルあたり100.60米ドル(395.76リンギ)となっている。
(マレーシアン・リザーブ、3月15日、ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、3月13日)

バティックエア、日本線燃油サーチャージ90リンギに引き上げへ

【クアラルンプール】 航空会社バティック・エアは25日から、日本線の燃油サーチャージを現在の50リンギから90リンギへ引き上げる。マレーシア国内線でも30リンギから50リンギに改定するなど、運賃と路線別燃料サーチャージの調整を進めている。
調整は燃料価格の急騰を受けた措置となる。90リンギとなるのは、日本のほか、中国、香港、韓国、台湾路線。中東、南アジア、中央アジアは、50リンギから80リンギに、最も高いのはオーストラリア線で50リンギから100リンギとなる。一部の路線ではすでに実施している。

航空会社ファイアフライもすでに日本を含めた路線で、11日から料金改定を実施。同じマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)のマレーシア航空も25日から、日本線を含め料金を改定する方針だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ベルナマ通信、3月13日)

ハリラヤ祝日、20日と23日を加え土日を含め4連休に=首相

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は15日、ハリラヤ(断食月明け大祭)に伴う祝日について、20日と23日を祝日にすると発表。土日をはさみ4連休となることが確定した。

ハリラヤが20日になった場合を考慮した。ハリラヤの日付は、19日に全国29地点での目視(ルキヤ)による月観測で最終判断される。ただし、もともと天文計算(ヒサブ)では、21日の土曜日の可能性が高いとされていたため、23日が振替休日となる見込みだった。

しかし、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)が13日、ハリラヤが20日になる場合は、20日が休場で、23日は取引を行うと公式に発表するなど、金融業界を中心に祝日スケジュールに混乱が生じていた。

アンワル首相は「ラマダン期間中の皆さんの勤労を考慮し、ハリラヤが20、21日のいずれになるか心配せずにすむよう、祝日を追加する」と述べた。

また人的資源省は、今回の祝日は有休での振替が可能な祝日とし、雇用主に対し柔軟な対応を要請した。ただし、出勤した従業員には祝日手当の支払い義務が生じる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、3月15日)

【総点検・マレーシア経済】第542回:1月のマレーシアの製造業指数は7.3%増と好調を維持

第542回:1月のマレーシアの製造業指数は7.3%増と好調を維持

3月11日、統計局はマレーシアの1月の製造業生産指数が前年同月比7.3%増だったと発表しました。12月の6.7%増からさらに上昇し、好調が続いています。内訳を見ると、内需向けは12月の5.2%増から6.4%増に、外需向けも7.5%増から7.8%増へとそれぞれ伸びました。とりわけ電子・電機製品は15.2%増と、12月の12.8%増から一段と加速しています。

図は2024年以降のマレーシアにおける内需向け・外需向け製造業生産指数の推移(前年同月比)を示しています。内需向け(青)は2024年前半の高い伸びから減速し、2025年1月にはほぼ横ばいまで低下しました。その後は年末にかけて持ち直し、2026年1月には6%台の高い伸び率を記録しています。一方、外需向けは2024年初の低迷から夏場にかけて回復し、2025年前半はトランプ関税の影響下でも堅調に推移しました。しかし5〜8月は伸びが鈍化しており、4月2日以降の関税政策をめぐる不確実性の高まりが背景にあるとみられます。8月以降は状況が落ち着きを取り戻すとともに成長が再加速し、12月には7%台に達しました。

このように、2025年後半からマレーシアの製造業は内外需共に好調で、これが2025年通年のGDPが5.2%となり、トランプ関税によって下方修正された政府の予測である4.0%〜4.8%を大きく上回った要因です。

外需については、AIブームの恩恵を受けていることは間違いありません。特に米国向けの輸出が好調で、2025年12月には前年同月比でほぼ50%増という驚くような伸び率を記録しています。内需も堅調で、マレーシアの2025年の自動車販売は過去最高を記録しました。

3月12日に発表された卸売・小売指数も数量指数で5.8%増、売上高で7.3%増と引き続き好調です。米国とイスラエルのイランへの攻撃が、鉱業部門を中心にどのような影響を与えるかは不透明ですが、この調子で推移すると、2026年第1四半期のマレーシアのGDP成長率は6%台に乗る可能性もあります。

昨年来のかなり急激なリンギ高の中でも、マレーシア経済に通貨高の悪影響が出ているようには見えません。高い経済成長率と相まって、マレーシア経済は「高所得国入り」へのラストスパートの段階に入っているように見えます。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

 

【イスラム金融の基礎知識】第588回 イスラム銀行で発生するイスラム法に反する事項(後編)

第588回 イスラム銀行で発生するイスラム法に反する事項(後編)

Q: イスラム銀行ではイスラム法に反する事項は発生しますか?

A: イスラム法(シャリア)に基づいてビジネスを行うイスラム銀行であっても、従来型金融が併存する多民族・多宗教社会のマレーシアにおいては、イスラム法に反する事項が発生することがある。この場合、各イスラム銀行はシャリア・ボードの指導に基づき事案を年次報告書に報告する義務がある。この点に関する研究論文が2023年に発表されたので、その内容を見てみたい。

論文によれば、2015-2020年の6年間に16のイスラム銀行で、合計159件のイスラム法違反が報告された。中でもバンク・イスラム、メイバンク・イスラミック、スタンダード・チャータード・サアデクの3行が20件を超えており、全体の44%を占めた。発生した事項の詳細だが、前回紹介した分類に基づきさらに14種に分類した結果、「取引の不履行」「イスラム法に準拠しない活動を含む契約」「裏付けとなる資産の不在」「アカド(契約が成立するための条件)が満たされていない」が特に多かった。また、融資に関して契約形態別のトラブルを見てみると、タワッルク融資にまつわるものが29件中12件と突出していた。複雑な売買契約の組み合わせで成り立つ融資手法ゆえ、トラブルも多いとみられる。

さらに、イスラム法に反する事項で生じたイスラム銀行の損失は、各行とも年間10件程度であり損失は50万リンギ以内に収まっているが、100万リンギ以上に及んだ事例もあり、トラブルが多発するほど損失もまた大きくなった。

もっとも論文によれば、中央銀行の義務規定の履行が徹底されておらず、報告されるトラブルの内容や報告の仕方が銀行ごとに異なっている。したがってトラブルの発生件数の違いが、そのまま銀行の能力や危機意識の違いを表しているわけではないと指摘している。公正な比較のためには、適切なルール運用が必要と言えよう。

 

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。