鉄道資産所有会社が日立レールと覚書、技術者千人を育成

【ペタリンジャヤ】 公共輸送機関の資産を所有する国営プラサラナ・マレーシアは日立レールの協力のもと、鉄道およびスマートモビリティー領域の技術者を育成するプログラムに着手する。5年間で1,000人を受け入れる。覚書締結が23日、行われた。

授業は11月に開始の予定で、電気バス作業、所有車両の保守、サイバーセキュリティーが重点分野。参加者には国が認めた技能証書が授与される。学習期間は9-12カ月で、座学、技術研修、現場学習で構成。1年間に200人を受け入れる。

日立レールは日立製作所の鉄道システム事業を担う会社。実際の支援には日立レールGTSが当たる。

プラサラナのアズハルディン最高経営責任者(CEO)は「鉄道だけでなく、人も創る。輸送システムの転換を主導する技術を身に着けさせる」と述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、ザ・サン電子版、4月23日)

国際宇宙港プロジェクト、パハン州が実現可能性調査を実施へ

【クアンタン】 パハン州政府は、同州開発公社(PKNP)が誘致を目指している国際宇宙港プロジェクトについて、向こう1年にわたる実現可能性調査の実施に合意した。実現すれば東南アジア初となる国際ロケット発射場となる。

同州投資・産業・科学技術・イノベーション委員会のモハマド・ニザル・モハマド・ナジブ委員長(国政の閣僚に相当)が州議会の質疑で明らかにした。同州政府はペカンのネナシに所有する土地を候補に挙げており、プロジェクトが実現した場合、早ければ3―5年で完成する見込みだ。

モハマド・ニザル氏は、計画が承認されれば2,350人の雇用を創出し、特に観光・研究分野において経済波及効果をもたらすと期待されていると言明。またPKNPが4月15日に中国長城工業集団(CGWIC)および航空宇宙産業開発に関与するレスタリ・アンカサと、マレーシアの宇宙技術分野の発展における戦略的協力関係構築に向けて基本合意書に署名したと明らかにした。

PKNPとレスタリ・アンカサは、パハン州における国際宇宙港プロジェクトの実現可能性調査および計画段階の一環として、5月に中国海南省文昌宇宙都市への実務訪問を行う予定。同州政府は現在、ゲベン、クアンタン、ペカンの3地域をカバーする航空宇宙都市開発に関する2つの提案を評価している。

マレーシアにおける国際ロケット発射場建設構想については、2023年12月に当時のチャン・リーカン科学技術革新相がパハン州とサバ州が候補に挙がっていると述べたと報じられた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、4月24日)

米のダンピング防止関税は域内に打撃=製造業連盟

【クアラルンプール】 米国商務省がマレーシアを含む東南アジア4カ国から輸入される太陽光電池に高率の反ダンピング関税を決定したことについて、マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会長は「製造拠点である域内に深刻な影響を与える」と懸念を表明した。マレーシアは太陽光電池や電池を並べたパネルを生産し、米国や欧州に輸出してきた。

マレーシア半導体工業協会のウォン・シューハイ会長は、ソーラーパネルを生産しているのは主に中国系企業で、生産拠点を、関税率の低い、より中立的な国に移転せざるを得なくなると述べた。

米商務省の措置は、中国企業が生産した不当に安い太陽電池が、マレーシア、カンボジア、タイ、ベトナム経由で米国に大量に輸入され、国内産業に悪影響を与えているとの苦情に対処したもの。マレーシアに対する関税率は34.4%。

ソーFMM会長は「メーカーの生産計画に支障が生じる。投資の再考も必要になる。関税回避のため生産拠点の移転を余儀なくされる企業も出る」と述べた。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月23日)

イケア、ダマンサラ店の屋上に太陽光パネルを設置

【クアラルンプール】 スウェーデン系家具メーカー、イケア・マレーシアは、セランゴール州のダマンサラ店の屋上1万2,000平方メートルに2,668枚の太陽光パネルを設置した。

今回の太陽光パネルの設置で、年間2メガワット時(MWh)の発電量が見込まれ、同店のエネルギー需要の25%を賄うとともに、年間約1,330トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減するという。

イケア・マレーシア全体では、今回の分を合わせ2万枚超の太陽光パネルを設置し、年間発電量は6.3MWhに達した。また、イケアは2030年までに自宅への商品配送を全て持続可能な輸送手段で実現するという目標を掲げており、電気自動車を拡大していく。
(ビジネス・トゥデー、ザ・サン、4月22日)

IMFがGDP成長予想を下方修正、マレーシアは4.1%へ

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)はマレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を、1月に立てた4.7%から4.1%へ下方修正した。米国政権による関税措置が主因だ。世界経済についても成長予想を3.3%から2.8%へ修正した。

IMFはインドネシア、フィリピン、タイなど域内諸国のGDP成長予想も下方修正した。IMFが理由として挙げたのは、2月以降に複数回にわたり米政権が発表した、貿易相手国に対する関税引き上げ措置で「4月2日の、ほぼすべての貿易相手国に対する関税引き上げの適用で世界の主要株式指標は暴落し、債券利回りは上昇した」とした。

世界経済は「重要な分岐点にある」とIMFは指摘。新型コロナウイルス禍ですべて国の工業生産は急減したが、回復は国によって異なったという。

中国での生産は急増し、欧州連合(EU)の小国や東南アジア5カ国(マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ)では増加した。しかし日本やEUの大国ではウイルス禍以前の水準に戻るのに困難を伴ったという。
(ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、ザ・スター電子版、4月23日)

フェローテックが第2工場を起工、1千人の雇用創出を予定

【クリム=アジアインフォネット】 フェローテックホールディングス(本社・東京都中央区)は22日、ケダ州クリム・ハイテク・パークで第2工場建設の起工式を行った。投資額は10億リンギ(2億2,600万米ドル)。これにより、同社のマレーシアへの総投資額は19億リンギに達する。

子会社、フェローテック・マニュファクチャリング・マレーシア(FTMM)が運営する第2工場は、面積が約8万平方メートルで、年内に完成する見通し。インダストリー4.0規格に沿って700台以上のコンピュータ数値制御(CNC)工作機械、スマート生産ライン、モノのインターネット(IoT)対応システム、予知保全機能を備える。

1,000人以上の高付加価値雇用の創出、フェローテックの半導体部品の精密製造能力強化が見込まれる。東南アジアにおけるフェローテックの事業基盤を強化し、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカを含むグローバル市場への迅速な納品、顧客サービスの向上、そしてイノベーションの推進を可能にすると期待されるという。

FTMMはマレーシアの半導体等装置関連製品の量産拠点として2022年設立。半導体等装置関連事業製品の製造販売(金属加工、ロボット組立、石英・セラミックス加工製造等)および化学洗浄、アルマイト、メッキなどの表面処理特殊工程に関するサービスを手掛けている。

住友電設、ペナン州の機械設備工事会社2社を子会社化

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 住友電設(本社・大阪市西区)は21日、ペナン州に拠点を置く機械設備工事会社2社の株式を取得し、子会社化する契約を締結した。

子会社化したのは、機械設備の設計・施工を行っているDY MNGとDY MNGエンジニアリングの2社。住友電設は1979年設立でクアラルンプール市拠点のマレーシア現地法人テマコン・エンジニアリングがあるが、今後は連携してマレーシアでの事業拡大を図る。株式譲渡額は公表されていないが、5月30日を予定している。

港湾料金を3年間で段階的に30%引き上げ=運輸相

【クアラルンプール】 運輸省は、港湾料金を今後3年間で段階的に30%引き上げる。アンソニー・ローク大臣が22日、記者会見で述べた。

ローク氏は、港湾料金の見直しは国内港湾の持続可能性を確保し、市場ニーズと能力開発のバランスを確保するためと説明。前回の見直しが2段階に分けて実施され、2015年に15%、2018年に15%引き上げられたのにならい、今回も、第1段階で15%、続いて10%、さらに5%引き上げる案を検討中とする一方で、消費者物価指数(CPI)と年間インフレ率を考慮した案などの可能性も示唆。現在の料金見直しは一貫性がなく、透明性に欠けるとし、「今後、毎年定期的に料金を見直すなど、より体系的で透明性の高いメカニズムを検討していきたい」と付け加えた。

クラン港湾局とジョホール港湾局による港湾料金の30%引き上げを巡り、今年3月、マレーシア製造業者連盟(FMM)がマレーシアのコスト競争力の低下につながるとして、実施時期の延期を求めている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、4月22日)

特区振興で中小企業を育成、メイバンクとジョホール州公社

【クアラルンプール】 マラヤン・バンキング(メイバンク)と、起業家育成にあたるジョホール州のペルバダナン・ウサハワン・ジョホール(PUJB)はジョホール・シンガポール経済特区にかかわる事業に関係する州の中小零細企業を支援することで合意し、覚書を交わした。融資のほか、訓練を施し、事業成長をアドバイスする。

メイバンクはシンガポールで65年間活動してきた実績があり、カイルサレ・ラムリ社長は「この提携は企業成長と特区への投資を促進する。6万余りの地元の中小零細企業が恩恵を受ける」と述べた。

特区はハラル(イスラム教に準じた)ビジネスを重視しており、メイバンクはイスラム式金融を提供する傍ら、食品、薬品、化粧品事業を手掛ける内外企業のハラル認証取得を支援する。このため特区デスクを開設し、融資、アドバイスを含むあらゆるサービスを提供する。

PUJBのモハマド・ラジ最高経営責任者(CEO)は「訓練、経営指導、技術取得支援を通じ、若者、女性、地域社会に活力を与える」とした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、4月22日)

ショッピーとTNGのスマホ決済、グーグルが統合

【クアラルンプール】 グーグルはマレーシアのアンドロイドOSユーザー向けに、電子マネーサービスのショッピーペイとTNG(タッチ・アンド・ゴー)eウォレットを決済サービスのグーグルペイにまとめた。東南アジアにおける初のeウォレット提携だ。

ユーザーはグーグル・クローム経由で、好みのeウォレットを利用しモバイルサイトでの決済が可能になる。グーグルペイを通じ、ショッピーペイ、TNG eウォレットへの入金もできる。加盟店での買い物でユーザーは支払い時に、グーグルペイかeウォレットのどちらでも選択でき、アプリの変更は不要だ。

このサービスが利用できる加盟店は、東南アジアで決済サービスを提供するフィウー(Fiuu)利用の店では、チキンのナンドーズ、USピザ、iPay88の利用店ではアルプロ・ファーマシー、TKベーカリー、バスチケットサービスのヨーヨー・バスなど。
(ビジネス・トゥデー、フィンテック・ニュース、報道資料、4月22日)