マラッカ州議会が任命州議員制度導入へ、州憲法改正案を可決

【マラッカ】 マラッカ州議会は14日、最大7人の議員を任命できる州議会議員制度の見直しを盛り込んだ州憲法改正案を賛成23人、反対5人で可決した。選挙手続きを経ない州議会議員を認めることになるため、共闘する民主行動党(DAP)は即日、「民主主義に反する」として州政権からの離脱を発表した。

任命制の州議会議員制度導入は、2021年のマラッカ州議会選挙に向けた同州第一会派・国民戦線(BN)のマニフェストに盛り込まれていたもの。法案提出にあたりアブ・ラウフ州首相は、法律、経済、教育、投資、技術、州開発などの分野における専門知識と経験を持つ人材を任命することで、政策決定や立法審議に直接貢献させることを目的としていると説明。「選挙では当選できないかもしれないが、州の発展に貢献できる女性、若者、オラン・アスリ(先住民)、少数民族、専門家、業界代表者の参加を促進するだろう」と述べた。

クー・ポアイティオンDAPマラッカ支部長は、民主主義の原則に反するこの動きを党として支持することはできないとした。これに伴いDAP所属で起業家育成・協同組合・消費者問題担当のアレックス・シー評議員、ロウ・チーリョン及びレン・チャウイェンの両副行政評議員、カーク・チーイー副議長が辞任する。
(マレーシアン・リザーブ、エッジ、ベルナマ通信、7月14日)

アンワル首相が早期解散論を一蹴、経済回復と安定を優先

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は14日の下院質疑の中で早期の国会解散の可能性について聞かれ、「時間を与えてほしい」と言明。「国民は際限のない政治的駆け引きよりも、経済回復と政治的安定を優先している」と述べ、次期総選挙の前倒し実施に否定的な考えを示した。

アンワル氏は、「政府の当面の最優先事項は世界的な不確実性の中で政治的安定を維持し、経済成長を持続させることだ」と言明。「(政府に評価のための)時間を与えて欲しい。結論を急がずしばらく様子を見てほしい」と述べた。

次期総選挙は2028年2月までに開催される予定だが、アンワル首相自身が率いる与党連合・希望同盟(PH)と国民戦線(BN)の関係が緊迫の度を深めていることから、今年中に解散総選挙が実施されるのではないかとの憶測が飛び交っている。

国政レベルでは協力関係を続けているPHとBNだが地方レベルでは対立が深まっており、11日に投開票が行われたジョホール州議会選挙では両党派がそれぞれ独自に候補者を擁立し、PHがBNに敗北している。8月1日にはネグリ・センビラン州議会選挙が行われ、両党派が再び激突する。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、7月14日)

薬局のアルプログループがニトリと戦略的提携、睡眠改善など支援

【クアラルンプール】 医療・薬局事業を展開するアルプロ・グループは、家具・インテリア用品大手ニトリのマレーシア法人、ニトリ・マレーシアと戦略的パートナーシップの覚書(MOU)を締結した。

提携では、健康には家庭環境も含めた予防医療が重要との考えのもと、アルプロの予防医療および地域社会の健康増進に向けたサービスと、ニトリの快適な生活環境づくりにおける専門知識を融合。第一段階として睡眠の質に焦点を当て、睡眠健康教育や快適な住環境づくりの提案に取り組んでいく。

10日に行われた調印式で、ニトリ・マレーシアのカントリーストアマネジャー、前澤勇太氏は「今回の提携を通じて、機能的で高品質な家庭用品を提供するだけでなく、健康的なライフスタイル習慣を促進し、睡眠と健康の重要性に対する意識を高めることでマレーシアの人々の生活をサポートしていきたい」と述べた。

アルプロ・グループは、薬局チェーンのアルプロ・ファーマシーなど国内に300以上の拠点を持つ。またニトリは2022年にマレーシアに初進出し、現在14店舗を展開している。
(ザ・イスカンダリアン、7月14日、発表資料)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第927回:効率化は本当に正しいのか――農業から学ぶ「短期最適化」の落とし穴

第927回:効率化は本当に正しいのか――農業から学ぶ「短期最適化」の落とし穴

前回は、仕事への熱意(ワーク・エンゲージメント)が職種によって異なる意味を持つ可能性について紹介しました。今回は少し視点を変え、農業と食料安全保障のお話です。

近年、世界では「効率化」が重視されています。農業でも同じです。限られた作物に生産を集中させれば、大規模化によって生産効率が上がり、コストも下がります。市場で競争力を持ちやすくなり、食料も安定して供給できるようになります。

では、作物を絞って効率化を進めることは、長期的にも良いことなのでしょうか。この疑問を調べるため、拙稿ではFAO(国連食糧農業機関)の世界の農業データを用い、1961年から2022年までの170か国以上の農業生産構造を分析しました。そして、その国でどれだけ特定の作物に生産が集中しているかを示す指標を作成し、食料不足との関係を調べました。

分析すると、一見すると意外な結果が得られました。作物への集中が進んでいる国ほど、その時点では食料不足が少ない傾向があったのです。効率化によって生産性が高まり、人々が十分な食料を得やすくなっていると考えられます。

ところが、時間の経過を考慮すると話が変わります。現在の農業構造ではなく、3年前の農業構造が現在の食料不足とどう関係するかを調べると、今度は逆の傾向が見えてきました。作物への集中が続いた国ほど、食料不足が増える可能性が示されたのです。統計的には境界的な結果であり慎重な解釈が必要ですが、「短期のメリット」と「長期のリスク」が異なる可能性を示しています。

なぜでしょうか。特定の作物に依存すると、その作物が干ばつや病害虫、価格変動などの影響を受けたとき、農業全体が大きな打撃を受けます。効率は高くても、変化には弱くなるのです。

実は、この考え方は企業経営にもよく似ています。短期的な成果だけを追い求めると、人材や事業を一つの方向へ集中させた方が効率は高まります。しかし、市場環境が変化したとき、新しい技術が現れたとき、その組織は柔軟に対応できるでしょうか。

経営学では、「活用(Exploitation)」と「探索(Exploration)」のバランスが重要だと言われています。現在の強みを徹底的に伸ばすことも必要ですが、将来に備えて新しい可能性を育てることも同じくらい重要です。

効率化そのものが悪いわけではありません。しかし、短期的な効率だけを追い求めると、長期的な強さを失うことがあります。これは農業だけではなく、企業経営や組織づくりにも共通する教訓なのかもしれません。

論文情報は以下。末尾のURLから概要をご覧いただけます。

Kokubun, K. (2026). Agricultural Production Structure and Food Insecurity: Evidence From Global Crop Data. Sustainable Development, Early View. https://doi.org/10.1002/sd.71452

 

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

6月のEV新車販売、プロトンが1888台でブランド別トップ

【クアラルンプール】 道路交通局(JPJ)によると、2026年6月の電気自動車(EV)販売台数はプロトンが1,888台で2位以下を大きく引き離してメーカー(ブランド)別でトップとなった。

2位はBYD(1,076台)で、3位以下は、テスラ(935台)、iCaur(502台)、ジーカー(Zeekr、459台)、リープモーター(零跑汽車、290台)、小鵬汽車(Xpeng、181台)が続いた。ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は65台で15位、ホンダは22台で19位にとどまった。

車種別ではプロトン「e.MAS5」が1,309台でトップとなった。2位はプロトン「e.MAS7」(579台)で、3位はテスラ「モデルY」(526台)が続いた。4位以下は、▽テスラ「モデル3」(409台)▽BYD「アット3」(371台)▽Zeekr「7X」(同)▽iCaur「V23」(282台)▽BYD「シーライオン」(253台)▽iCaur「03」(220台)▽BYD「シール6」(213台)――と続いた。
(ポールタン、7月10日)

国内経済は強靭さを維持=ラシード中銀総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のアブドル・ラシード総裁は国営ベルナマ通信との会見で、西アジア紛争が続くも国内経済は強靭を維持しているとの認識を示した。

アブドル総裁によれば、即時性の高いデータ群(電力消費量、クレジットカードの決済データなど)を見れば第2四半期の経済活動にはいくらか減速がみられるが、経済の強靭さは失われていない。通年の国内総生産(GDP)成長率は当初予想範囲の4-5%に収まると確信しているという。

国際通貨基金(IMF)も最新の経済見通し報告で、通年のGDP成長予想を4.7%で維持。その根拠としてデータセンター開発プロジェクトの恩恵、上向きのテクノロジーサイクルを挙げた。第2四半期GDP統計の速報値は17日に発表される。

アブドル総裁は、西アジア紛争の緩和、代替調達先の確保など供給網の安定、エネルギー供給の安定、国内要素では堅調な需要・投資をGDP見通しの根拠として挙げた。

投資はデータセンター建設を中心に強さを保っており、認可投資案件の実現率も引き続き高いという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、7月10日)

コクヨ、29日からKLで開催の建築ビジネスイベントに出展

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 文具・オフィス用品大手のコクヨ(本社・大阪市北区)は、29日―8月1日にクアラルンプール(KL)で開催される建築ビジネスイベント「ARCHIDEX2026」に出展。最新のオフィス家具を通じた空間提案を行う。

ARCHIDEXは今年が25回目で、「The Bold Future」(力強い未来)をテーマに、約950社が参加し、約4万人の来場が見込まれる。マレーシア建築家協会などが主催し、マレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開催される。

コクヨは、マレーシアのデザイン事務所「シンクスケープ」がキュレーションを手がける特別企画ゾーン「World of Works (WoW)」に参画。多様な働き方に対応する「Any Way」シリーズや、新感覚チェア「ingCloud」など、変化に柔軟に対応する「アジャイルな働き方」に向けた商品を紹介する。

マレーシア・タイの水産物紛争が決着、農業では協力推進で合意

【プトラジャヤ】 マレーシアを初訪問したタイのアヌティン・チャーンウィーラクーン首相とアンワル・イブラヒム首相は9日、プトラジャヤで会談し、2国間水産物紛争の解決で合意した。互いに輸入制限を解除する。両国は農業分野での協力推進でも合意し、覚書を交わした。

タイは5月、マレーシア産スズキに化学物質、抗生物質が残留していたことから輸入検査を強化し、マレーシアの輸出業者に影響が出た。これに対抗しマレーシアは6月、タイ産の5種のエビの輸入を制限。タイの水産物輸出の約20%を占めるエビ業界に打撃となった。制限措置の解除時期は不明。

農業協力では、作物生産、畜産、水産、農産物販売、研究開発、検疫の領域で協力する。両国の関係当局は意思疎通を図り、課題に速やかに対処する。

10日にはアヌティン、アンワル両首相はタイ南部と国境を接するケダ州を訪問し、新たな国境検問所の開所式に臨む。
(マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、フリー・マレーシア・トゥデー、7月9日)

「100時間カレー」マレーシア1号店、KLのマイタウンに開業

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本発のカレー専門店「100時間カレー」のマレーシア1号店が11日、クアラルンプール(KL)のショッピングセンター「マイタウン」内にオープンした。

「100時間カレー」は、20種類以上のスパイスを独自に配合した欧風カレー専門店。2013年に東京・武蔵小山で開業され、日本国内では6月末時点で35店舗が展開されている。

運営するアークス(本社・東京都豊島区)によると、マレーシアではU-NEXTのグループ会社USEA(マレーシア)と提携して運営。マレーシアでは近年、「ジャパニーズカレー」の人気が高まっていることから出店を決めたという。イスラム開発局(JAKIM)基準を踏まえたレシピや調理動線の見直しなど、ハラル(イスラムの戒律に則った)対応を強化し、マレーシア市場に合わせた店舗づくりを進めていく。席数は38席。

同社はすでにフィリピン、インドネシアにも進出しており、今後さらに東南アジア諸国連合(ASEAN)展開を加速させていく方針。

ジョホール州議会選挙、第一会派のBNが圧勝

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ジョホール州議会(定数56)選挙の投開票が11日に行われ、国民戦線(BN)が48議席を獲得して第一会派になった。改選前の40議席から8議席上乗せし、州憲法改正が可能な3分の2を大きく上回った。

国政与党の希望同盟(PH)は、アンワル・イブラヒム政権への不満から改選前の12議席から8議席に4議席減らした。PHは国政ではBNと共闘しているもののジョホール州など州レベルでは両党の対立が高まっており、今回の選挙もそれぞれ独自に候補を擁立していた。

野党連合・国民同盟(PN)は33選挙区に候補を擁立したが全敗。改選前の3議席すべてを失った。マレーシア統一民主同盟(MUDA)も、改選前の1議席から議席ゼロとなった。

PH所属政党の人民公正党(PKR)を離党したラフィジ・ラムリ氏とニック・ナズミ氏のマレーシア統一党(ベルサマ)は、15選挙区に候補者を擁立したものの全敗に終わった。

同州議会は本来の任期満了は2027年4月21日だったが、今年6月1日に解散。第一会派のBN率いるオン・ハフィズ州首相が高い支持を得ており、前倒し実施で現職効果を最大化する狙いから早期解散に踏み切った