燃料価格高騰を受け、食品価格が最大50%上昇する可能性

【クアラルンプール】 マレーシア露天商・貿易業者協会連盟は、燃料価格の最近の上昇を受け、食品価格が最大50%上昇する可能性があると発表した。

同連盟のロスリ・スライマン会長は、価格上昇は原材料や生活必需品の市場価格の上昇によるものであり、商品の輸送・配送には主にディーゼル車が使用されているためだと指摘。「燃料価格の上昇以前から、価格は既に20―30%上昇していた。価格が50%上昇する可能性も否定できない」と述べた。

ロスリ氏はまた多くの業者は価格上昇のため生産者や卸売業者からの仕入れ量を減らさざるを得なかったと訴えているとした上で、価格上昇に伴い消費者の購買量が減少したため、市場の需要も減少していると指摘。「コストが高騰し、利益が出ない場合、販売業者はわずかな利益率でも販売価格を上げざるを得ない。最も影響を受けるのは、小規模販売業者、露天商、そして一般市民だ」と述べた。

ナシ・レマ販売業者のモハマド・シャー・ベドー・ラハタさん(30)は、「今のところ材料コストは変わっていないが、燃料価格の高騰に伴う輸送コストの上昇により、価格が上昇する可能性があると懸念している」とし、原材料費が急激に上昇すれば販売価格を上げざるを得ないだろうと語った。

補助金付きの「RON95」レギュラーガソリンの価格は、3月26日から4月1日まで1リットルあたり1.99リンギに据え置かれた一方、マレーシア半島部におけるディーゼル価格は1リットルあたり5.52リンギに値上げされた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、3月29日)

エアアジア、運航を維持し値上げ最小限に抑制の方針

【クアラルンプール】 格安航空会社エアアジアは、イラン情勢の影響下でも運賃の値上げを最小限にとどめ、運航停止は行わない方針だ。親会社であるキャピタルAのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)が30日、記者会見で明らかにした。

フェルナンデス氏は、燃料費の高騰で運賃調整は避けられないとしつつ、湾岸諸国の航空会社の運航便数削減により、エアアジアの需要が高まっていると説明。グループのオンライン旅行代理店部門であるエアアジア・ムーブの予約件数でも大きな減少は見られず、東南アジア域内の旅行者は増加傾向にあることから、「代替航空ハブとしての地位を確立するチャンス」と述べた。

こうした状況を踏まえ、運航停止は行わず、「競合他社よりも値上げ幅を抑えることを目指す」と強調。また今年後半までにバーレーンにMRO(保守・整備・オーバーホール)用の格納庫を建設するという目標も維持すると付け加えた。

さらにキャピタルAとして4四半期連続黒字を達成できるとの見通しを表明。早急な経営改善が求められる「PN17」ステータスの正式脱却に向け、4月10日までに監査済み財務諸表を提出するとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、3月30日)

中東紛争の緊急影響緩和策、製造業者連盟が政府に要請

【クアラルンプール】 中東紛争の影響が長引く様相を示す中、マレーシア製造業者連盟(FMM)は、減税や補助金支援、港湾料金凍結などの支援策を実施するよう政府に提案した。

FMMが提示したのは、▽紛争関連の混乱により返送された再輸入輸出品に対する売上税と輸入関税の免除▽危機関連の物流コストに対する二重課税控除▽燃料集約型産業へのディーゼル燃料補助金の適用▽重要原材料の優先配分▽港湾料金値上げの延期▽運賃割増金および船会社慣行の透明性向上――の6つの優先措置。

FMM加盟企業はエネルギーコストと物流コストの上昇に苦慮しており、サプライチェーンの混乱が事業に大きな負担となっている。ホルムズ海峡の閉鎖と紅海航路の混乱により、貨物関連費用、戦争リスク割増料金、海上保険料が200―400%上昇し、喜望峰経由の航路変更により輸送時間が最大14日間延長されているという。

またナフサ、液化石油ガス(LPG)、樹脂、合成ゴム原料、硫黄、包装資材といった重要な石油系原材料の供給逼迫に直面しており、価格も高騰している。こうしたことがマレーシアの製造業全体における納期と運転資金サイクルに影響を与えているという。

FMMは声明の中で「ほとんどの製造業者は2週間から6週間分の在庫で操業している。混乱が続けばプラスチック、化学、電子機器、ゴム製品、食品加工といった各分野の生産継続に影響が出るだろう」と述べた。
(エッジ、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月27日)

東ティモールのエアロディリ、KL直行便を週2で運航

【セパン】 東ティモールの航空会社エアロ・ディリは28日、首都ディリとクアラルンプール(KL)を結ぶ直行便を就航した。

機材はナローボディのエアバスA319ー100型機で、座席数は122席。週2便(火・土)で、往路はディリ8時発、KL11時15分着、復路はKL12時発、ディリ17時15分着となる。

クアラルンプール新国際空港ターミナル2で行われた就航記念式典には、東ティモールのベンディト・ドス・サントス・フレイタス外務・協力相らが出席。東ティモールが昨年10月にKLで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で11番目の加盟国として承認されたことを踏まえ、フレイタス氏は「今回の就航は、歴史的に重要な意味を持つ」とあいさつした。

2018年創業の同社にとってKL便は海外5都市目の路線となる。シンガポールとインドネシア・バリはデイリー便となっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、ベルナマ通信、3月28日)

レギュラーガソリン購入時の外国発行カード利用、4月から制限

【クアラルンプール】 国内取引物価省(KPDN)は4月1日から、レギュラーガソリン「RON95」の購入時に外国発行のクレジットカード・デビットカードの使用を制限する方針だ。不正購入防止のための措置で、外国発行カードでの購入希望者には、給油所レジでの支払いを義務づけるものとなる。

マレーシアの大手系列の給油所では、ノズルなどが組み込まれた「給油ベイ」にカードなどの決済機能が付属しており、その場で支払いまで完了できるのが一般的だが、今後は給油ベイで外国発行カードを段階的に利用できなくする。外国発行カードを使いたい場合、有人レジで支払いを済ませれば給油は可能。

KPDNのアズマン・アダム事務局長によると、今回の措置は監視強化が狙い。4月1日から外国登録車への補助金付きRON95売買の罰則が強化されることを踏まえ、「外国登録車が外国発行カードで不正購入するケースが多発しており、車両と決済手段の両面から取り締まりを強化する」と説明。現段階ではRON95の購入のみが制限されるとみられる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月28日、ザ・サン、マレー・メイル、3月29日)

【イスラム金融の基礎知識】第589回 損益共有型融資が成長のカギ

第589回 損益共有型融資が成長のカギ

Q: マレーシアのイスラム銀行で用いられている融資形態は?

A: マレーシアのイスラム銀行は債務型融資が中心であるため、損益共有型融資の拡大がカギとなる。バンク・ムアーマラート・マレーシアのチーフ・エコノミストは、メディアのインタビューでこう指摘した。

マレーシアのイスラム銀行でもっとも用いられている融資形態はタワッルク融資で、2025年12月時点で融資残高1兆0,207億リンギのうち64.8%を占めた。これは、イスラム銀行と借り手との間で物品を売買し分割払いを行う、いわば債務型融資である。他方、イスラム銀行と借り手の間の共同ビジネスの体裁で利益や損失を分配する損益共有型融資もある。このうちムシャーラカ融資の割合は8.3%、同型のムダーラバ融資に至ってはわずか2,028万リンギに過ぎない。融資額プラス利子で固定された金額の返済ではなく、ビジネスの利益や損失を借り手とイスラム銀行が分配しあうムダーラバ融資とムシャーラカ融資は、より大きなビジネスを目指す起業家精神を涵養する。

マレーシアで損益共有型融資が普及しない理由として、モハマド氏は3点を指摘している。一つ目は、イスラム銀行から融資の原資は預金であり、元本保証など安定的な運用を望む預金者は、借り手とイスラム銀行がリスクを共有する手法を好まない。二つ目は、借り手がビジネスを適切に行い、利益を正しくイスラム銀行に報告しているか、記録管理やガバナンスに対してイスラム銀行に膨大な負担がかかる。そして三つ目は、イスラム銀行のスタッフはそのような情報管理を得意としておらず、適切に行える人材が慢性的に不足している。

そのためマレーシアのイスラム銀行市場が拡大するための伸び代は、この損益共有型融資が拡大することであり、イスラム銀行側にスキルアップが必要だとモハマド氏は指摘した。

 

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

 

補助金付き燃料の購入上限を引き下げ、4月1日付けで

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は26日に国民向けの特別演説を行い、燃料補助金適用のレギュラーガソリン「RON95」の月々の購入量上限を4月1日から一時的に従来の300リットルから200リットルに引き下げると発表した。

世界的な原油高を受けた措置で、補助金付き価格は今後も1リットルあたり1.99リンギで維持していく。また配車サービスやギグワーカーの燃料上限については、それぞれの職務内容や業務の性質などを考慮し、現行の800リットルで維持する。アンワル首相は「近隣諸国を含む多くの国が燃料価格を引き上げている中、マレーシアは補助金付き価格の維持を選択した。しかし現状ではいくつかの調整が必要だ」と国民に理解を求めた。

アンワル首相は、「補助金付きRON95の平均消費量は約100リットルであることが判明した。人口の約90%は月間使用量が200リットル未満であるため影響を受けない」とした上で、あくまで世界の原油価格、供給量、そして世界経済の回復を待つ間の暫定措置であることを強調した。

アンワル首相は、イラン紛争を受けてエネルギー供給の継続性を確保するために補助金付き燃料購入量の引き下げ決定を下したと説明。燃料補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」と対象を絞った補助金政策が継続されるよう、積極的に行動していると述べた。また供給量に関しては十分かつ安定しており、国民のニーズは十分に確保されていると保証した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、3月26日)

イランがマレーシア船のホルムズ海峡通過を許可=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は26日に行った国民向けの特別演説の中で、マレーシアの石油タンカーがホルムズ海峡を通過することをイランのペゼシュキアン大統領が許可したと発表。感謝の意を表明した。

アンワル首相は、西アジアの緊張について協議するため、ペゼシュキアン大統領とエジプトのシシ大統領に連絡を取ったと表明。現在ペルシャ湾で立ち往生しているマレーシアの石油タンカーと関係する作業員が帰国の途につけるよう手続きを進めていると述べた

またアンワル首相は26日午前にパキスタンのシャリフ首相と3度目の会談を行い、米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに勃発した紛争後の和平に向けた取り組みについて詳細を聞いたと公表。「イランはこれまで何度も欺かれてきたと考えており、拘束力のある合意と安全保障がなければ和平への動きを受け入れることは難しい。そのため、事態は容易ではない」と述べた。

その上でアンワル首相は、ホルムズ海峡の封鎖と世界的な石油・ガス供給の混乱はマレーシアにも影響を及ぼす可能性があると言明。ただマレーシアは国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の供給管理能力とエネルギー安定供給能力のおかげで、比較的有利な立場にあるとし、国民の利益と安全、そして国家経済の保護を確保しつつ、地域和平への取り組みを積極的に支援していくと述べた。
(ザ・スター電子版、ザ・サン、マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、ベルナマ通信、3月26日)

高知県産有機食材のプロモーション、KLで試食会を開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 高知県産有機食材のプロモーション活動を行っている「高知アンビシャスの会」は25日、クアラルンプール(KL)市内のホテルで同県産の野菜を使った料理の試食会「きらめく土佐の晩餐会inマレーシア」を開催した。

高知県産の有機野菜の海外展開が狙い。昨年の台湾に次いで2カ国目の開催となる。EQホテルが会場提供やメニュー作りなどで協力した。

「高知アンビシャスの会」が持ち込んだオーガニックの里芋、トマト、ピーマン、ニンジンを同ホテルの日本料理店「勘八」レストランのシェフが、和食コース料理にした。「勘八」は今後、これらメニューを定番化していく考えだ。

日本食材などを取り扱っている輸入業者ら20人あまりが出席した。そのほか四方敬之 駐マレーシア日本大使、マレーシア農業食糧安全省から3人、クアラルンプール市から副市長ら3人が来賓として出席した。

【総点検・マレーシア経済】第543回:イラン攻撃、マレーシアへの影響は

第543回:イラン攻撃、マレーシアへの影響は

2026年2月28日、米国・イスラエルがイランへの攻撃を開始しました。イランはホルムズ海峡を事実上封鎖し、原油価格(Brent)は70ドル台から一時は126ドルにまで急騰しました。今回は、マレーシアへの影響を、石油関連3品目(HS2709原油、HS2710石油製品、HS2711 LNG等)の2025年の貿易データから分析します。

まず原油(HS2709)です。マレーシアは産油国のイメージがありますが、実態は大幅な輸入超過です。輸出55億米ドルに対し輸入は126億米ドル、差引き約71億米ドルの輸入超過となっています。輸入元の上位はサウジアラビア(33%)、UAE(21%)、オマーン(9%)と中東に集中しており、ホルムズ海峡の閉鎖は直接的な供給途絶リスクとなります。では国内産原油を国内向けに振り向ければよいのではないでしょうか。残念ながら話はそう単純ではありません。マレーシア産のタピス・ブレンドは軽質低硫黄のプレミアム原油で、国内製油所の多くは中東産の重質高硫黄原油を処理する設計になっています。品質のミスマッチにより、単純な代替は困難なのです。ただ、それでも処理は不可能ではありませんし、マレーシア産の原油の20%程度はスポット市場で取引されていると言われており、その分を国内市場にまわせば多少は輸入分を補うことが可能です。

もうひとつ、マレーシアが原油の大幅輸入超過になったのは、2022年以降です。コロナ禍からの回復もありますが、ジョホール州の巨大石油コンビナートRAPIDがフル稼働したのと同時期です。つまり、マレーシアの原油の大幅な輸入超過は、純粋な国内需要というよりも巨大石油コンビナートの原料として大量に輸入しているのです。

<表1>

次に石油製品(HS2710)です。輸出222億米ドル、輸入214億米ドルとほぼ拮抗しています。シンガポールを中心とした域内での双方向貿易が主体であり、原料となる原油の供給途絶リスクは残るものの、価格面では輸出入が相殺し合うため、ヘッジが効いている構造と言えます。

<表2>

そしてLNG等(HS2711)です。ここがマレーシアの強みです。輸出134億米ドルに対し輸入はわずか18億米ドルです。大幅な輸出超過となっています。LNGは長期契約(4〜25年)が取引の6割超を占め、原油のJCC価格に連動して価格が決まるため、スポット価格の急騰が輸出収入に反映されるまで3〜6ヶ月のラグがあります。ただ、イランの攻撃によりカタールのLNG生産の一部が停止しており、アジア向け代替供給先としての需要が高まっており、スポット分も含め輸出金額の増加は確実です。

<表3>

3品目を合計すると、輸出410億米ドルに対し輸入359億米ドルとなります。マレーシアはエネルギー全体では輸出超過であり、原油価格上昇に対するヘッジは他のASEAN諸国と比べると格段に効いています。ただし中東産原油の供給途絶リスクは残るため、備蓄の状況が重要になります。マレーシアは日本や韓国のような国家戦略備蓄制度は持っていません。ペトロナスは国内に安定して十分な燃料を供給することを優先すると語っています。アンワル首相も石油製品の供給は少なくとも5月までは目処が立っていると発言しています。

最後に財政面です。ここは明確にマイナスです。アンワル首相は RON95とディーゼル補助金が月間RM7億からRM32億と4倍超に膨張したと明かしています。The Starによると、原油100米ドル前提で追加歳入はRM105億ですが、追加補助金はRM198億と大幅に上回ると試算されています。4月1日からRON95について補助金枠での給油上限が月間300Lから200Lに引き下げられましたが、状況によっては価格の見直しも十分にありうると考えられます。

総合すると、マレーシア経済は周辺国と比較して、格段に原油価格高騰への耐性があります。一方で、中東産原油の供給途絶に対しては国内産原油の活用や代替調達先の確保など、本格的な対策をしなければ厳しい状況です。ただ、マレーシアはイランの中国への原油の輸出が「マレーシア産」とされていることについて、事実上黙認するなどイランに対して「貸し」があるはずで、現在もタンカーのホルムズ海峡通過の交渉を行っているとみられ、そのあたりの進展にも注目する必要があるでしょう。

と書いているうちに、3月26日、マレーシアのタンカーはホルムズ海峡の通過を許可されたことが発表されました。通常と比べて何%の原油を輸送できるのかは不明ですが、原油不足への懸念はやや和らいだことになります。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp