MIDA、東海岸3州の投資促進セミナーを8日に開催

【クアラルンプール】 マレーシア投資開発庁(MIDA)は、来年1月の東海岸鉄道(ECRL)開業で注目される東海岸地域に焦点を当てた投資セミナーをパハン州クアンタンで8日に開催する。

セミナーのテーマは「東海岸回廊における投資とブミプトラ(マレー人と先住民の総称)開発の推進」。パハン州、クランタン州、トレンガヌ州を対象に、ECRLを契機とした投資・物流などのビジネス機会を紹介するセッションや、今年3月に導入された新たな投資奨励枠組み(NIF)、ハラル(イスラムの戒律に則った)産業に関するセッションなどが予定されている。

地元の中小企業やブミプトラ企業など300の業界関係者とのネットワーキングのほか、ビジネスクリニックでは、税関、入国管理局、内国歳入庁(IRB)、社会保障機構(SOCSO)など15以上の政府機関から、課題解決に向けたアドバイスが受けられる。
(ベルナマ通信、9月2日)

補助金なし「RON95」を3.77リンギに引き下げ、3日から

【クアラルンプール】 財務省は2日、3―9日の1週間の燃料小売価格について、燃料補助金制度「ブディ・マダニ」の対象外となる燃料価格をそれぞれ5セン引き下げると発表。レギュラーガソリン「RON95」は、前週の1リットル当たり3.82リンギから3.77リンギとなる。

補助金なしのハイオクガソリン「RON97」の価格は4.25リンギ、「ユーロ5 B10」および「B20」ディーゼルの小売価格は4.67リンギ、「ユーロ5 B7」ディーゼル燃料は4.87リンギにそれぞれ引き下げられた。

補助金付きの「RON95」の価格は1.99リンギ、「B10」および「B15」ディーゼル価格は2.10リンギで引き続き据え置く。なお1日から、ガソリンの購入上限が月200リットルから300リットルに、ディーゼル油の上限は月300リットルから400リットルに増やされた。

財務省は、原油価格が落ち着いている一方、ホルムズ海峡の輸送混乱や製油能力低下、燃料輸出規制などから、石油製品価格は当面変動しやすい状況が続くとみている。また中国が7月からガソリンなど石油製品の輸出規制を緩和したものの、域内への供給は紛争前の水準まで回復していないという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ポールタン、9月2日)

格安航空エアアジア、トルコのペガサス航空と初のコードシェアへ

【クアラルンプール】 格安航空エアアジア・グループ(エアアジアX)は、トルコの格安航空会社ペガサス航空と初のコードシェア(共同運航)を9月にも開始する見通しだ。実現すれば、エアアジア・グループにとって初の他の航空会社とのコードシェアとなる。

「ビジネス・タイムズ」によると、コードシェアの対象となる可能性があるのは、ペガサス航空がイスタンブールのサビハ・ギョクチェン国際空港を拠点に運航する、トルコ国内のアンカラ線、国際線のロンドン・スタンステッド線、モスクワ(ロシア)線、アテネ(ギリシャ)線、チューリヒ(スイス)線の計5路線。

エアアジアXは自社運航するクアラルンプール―イスタンブール線の「D7」便名を、ペガサス航空が運航する同路線に付与することで、現在週4便運航している同路線の運行頻度を倍増させる報告で検討している。コードシェアが実現すれば、エアアジアXは自社便だけではカバーできない欧州各都市への接続を拡大できる。

ペガサス航空はサビハ・ギョクチェン空港を主要ハブとするトルコ有数の格安航空会社。公式発表によると、ボーイング737-800型機やエアバスA320ファミリー、A321型機など計129機を保有し、56カ国160都市に定期便を運航している。エアアジアXとのコードシェアを通じてアジアからの旅客を取り込む。

サビハ・ギョクチェン国際空港は、マレーシア空港ホールディングス(MAHB)が所有・運営する唯一の海外空港で、主要航空ハブの一つとして国際線117都市以上、国内線40都市以上に乗り入れている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エアロルーツ、8月28日)

星カーシェア「GetGo」、マレーシア越境サービス開始

【シンガポール】 シンガポールのカーシェアサービス「GetGo」は1日、マレーシアへ越境利用できるサービスを開始した。車両入国許可証(VEP)や車両保険がつけられており、アプリで予約、利用、返却まで完結できる。

「ドライブ・トゥ・マレーシア」という新サービスで、利用できる車にはアプリ画面でマレーシアのバッジが表示されている。利用は最低12時間、最長5日間で、予約は30日前から可能。予約者本人に加え会員もう1人を運転者として登録でき、2人で交代して運転することもできる。タイなどへの越境や、マレーシアでの乗り捨てはできない。

通常の時間料金に30%の越境追加料金がかかるが、車両カテゴリー(セレクト/プラス)と利用日(平日/土日祝)によって、1日あたり20―35シンガポールドルの上限が設定されている。予約確定前に適用される追加料金と合計金額を確認できる。

レンタカーでも一部、越境利用できる車両はあるが、店舗での手続きや、走行距離に応じた料金がかかるなどのケースが多く、今回のサービスでより手軽に利用しやすくなることが期待される。

GetGoは2021年にサービスを開始し、現在シンガポール国内1,700カ所超の拠点に、3,000台超の車を展開。50万人超が会員登録しており、会員になるにはシンガポールでの就労許可証など一定の登録条件があり、観光客は認められない。
(ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、9月1日)

 

催事ジャパン、和菓子のマレーシア展開で現地日系企業と提携

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 和菓子催事業の総合運営会社「催事ジャパン」(本社・東京都中央区)は1日、日本の飲食ブランドのマレーシア進出を支援する「テイスト・フード・ジャパン」(TFJ)との戦略的業務提携を発表。日本の和菓子ブランドのテストマーケティングと販路開拓を共同で推進する。

催事ジャパンは今年5月に設立され、投資会社「AIフュージョンキャピタルグループ」(本社・東京都港区)の連結子会社となっている。会社設立の背景には、長年の実績を持ちながら、経営難や後継者不在から事業継続を断念せざるを得ない和菓子事業者の増加がある。催事ジャパンは、こうした和菓子事業を引き継ぎ、新たな成長軌道に乗せることを目指している。

今回、和菓子ブランドのマレーシア進出に関しTFJと業務委託基本契約を締結。TFJの現地ネットワークを活用し、催事やポップアップ出店を行う。そこでの販売実績や顧客の反応を踏まえ、継続開催、複数施設への展開、卸売、常設販売などを段階的に検討していく。

TFJは2023年設立の日系合弁会社で、2025年11月時点で、計6社・6ブランドのマレーシアでのトライアル出店を支援しているという

医療機器輸出を2030年に500億リンギ超へ=ザヒド副首相

【クアラルンプール】 政府は、医療機器輸出額を2030年までに500億リンギ超に引き上げる方針だ。アハマド・ザヒド副首相が8月28日に出席した医療機器展示会で明らかにした。

マレーシアの昨年の医療機器輸出額は345億4,000万リンギだった。また医療機器分野で46件、総額40億リンギの新規投資が承認され、約3,400人の雇用創出につながった。

ザヒド副首相によると、こうした状況を踏まえ、政府は2030年に向けた3つの目標を設定。輸出額500億リンギ超に加え、地域・世界市場で競争できるマレーシアの医療機器関連企業を少なくとも10社育成するとした。

さらに、新たな医療機器関連投資で創出される雇用のうち、管理・技術・監督職(MTS)比率を、昨年の33.1%から、少なくとも50%に引き上げる。ザヒド副首相は、海外からの投資を呼び込むだけでなく、技術や知的財産、人材を国内に蓄積することが重要だと強調した。

世界の医療機器産業は昨年5,720億米ドル(2兆3,000億リンギ)超の規模で、2034年までに1兆米ドルを超えると見込まれている。
(ベルナマ通信、8月28日)

国民生活を支援、アンワル首相が6つの緊急措置を発表

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は独立記念日を控えた8月30日、プトラジャヤ国際会議センターで演説し、国民にのしかかる生活費負担を軽減するため、来年度予算の上程を待たず、6つの措置を9月1日付で導入すると発表した。アンワル氏は「生活費の圧力は10月まで待てない。企業も成長の必要があり、10月まで待てない」と緊急導入の理由を述べた。

レギュラーガソリン「RON95」補助金支給の制度では、購入上限を月200リットルから、当初の300リットルに戻す。補助ディーゼル油の上限は月300リットルから400リットルに増やす。

学校保守のための来年の予算枠は15億リンギと、50%増やす。公立校、中国語・タミル語の国民学校、宗教学校、イスラム教の寄宿制学校が対象。

「国民のためのAI」プログラムでは、18-30歳の国民に支援対象を広げ、必要課程を修了した者に3カ月間、チャットGPTなどAIツールの無料利用権を与える。

公共医療機関には10億リンギの予算を充て、診療記録の電子化、インターネット接続改善を推進し、病院での患者の待ち時間の削減を図る。

デジタルインボイス導入が免除される事業者を、年商100万リンギ以下から、300万リンギ以下に変更する。

零細事業者に対する少額金融の基金を50億リンギから60億リンギへ増やす。露天商、ナイトマーケットの店舗経営者、自宅作業の女性などを支援するため2億リンギの予算を新たに組む
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン電子版、マレー・メイル、8月30日)

ヘイズが悪化、クチンなどサラワク州6カ所で「危険」レベルを観測

【クアラルンプール】 ヘイズ(煙害)がサラワク州を中心に各地で悪化しており、マレーシア大気汚染指数管理システム(APIMS)のデータによると、1日午前8時時点でサラワク州の観測地6カ所で大気汚染指数(API)が「危険」レベルに達した。中でもセリアンでは、最高値の「408」を記録した。

APIは、▽0ー50が「良好」▽51ー100は「中程度」▽101ー200は「不健康」▽201ー300は「極めて不健康」▽300以上の数値は「危険」ーーとなっている。
セリアンのほか「危険」レベルを計測したのは、▽クチン(407)▽サマラハン(372)▽スリ・アマン(361)▽サリケイ(333)▽シブ(309)――の5カ所。また「極めて不健康」も▽ムカ(234)▽ビントゥル(232)▽サマラジュ(225)――の3カ所で観測した。

「不健康」は、サラワク州及びラブアンでは▽ミリ工業訓練校(187)▽ミリ(180)▽カピット(178)▽ラブアン(167)▽リンバン(166)――の5カ所で観測。サバ州でも▽キマニス(156)▽ケニンガウ(156)▽タワウ(132)――の3カ所、半島部ではセランゴール州のジョハン・セティアで「123」を観測した。
(マレー・メイル、ボルネオポスト、9月1日)

【総点検・マレーシア経済】第554回:アンワル首相は「台湾武力統一」を容認したのか

第554回:アンワル首相は「台湾武力統一」を容認したのか

8月16日、カタールの放送局アルジャジーラがアンワル首相のロングインタビューを放送しました。タイトルは「偽善的な世界秩序における独立外交 (Independent Diplomacy in a Hypocritical World Order)」。この中で、アンワル首相が中国の武力による台湾統一を容認するかのような発言をしたことがニュースになっています。

タイトルの通り、インタビューのテーマは、マレーシアが米中対立の中でどのように中立的な外交姿勢を保っているか、という点です。この中で、インタビュアーが次のように問いかけました。「世界の多くの国は台湾を中国の一部と認めていますが、台湾の人々は北京による統治を望んでいません。これをどう考えますか」と。

アンワル首相は、そこには歴史的な経緯がある、と答えます。しかし、結論として「台湾は中国の一部と考えています。以上。(I see Taiwan as part of China, period.)」と述べています。

インタビュアーが食い下がります。「中国は、平和的な再統一がうまくいかない場合には武力行使の権利を留保するとしています。それを非難しますか」と。

アンワル首相は答えます。「マレーシアを例に答えましょう。1つの州が離脱を決めたと。我々は軍事力(force)を使うか?私は国の尊厳と統一を守ると思いますよ」

インタビュアーが確認します。

「つまり、あなたは軍事力を使うと?」

「はい。そうしなければ、国は分裂する……あなたは私に何を言わせたいのですか?」

これは日本人が一般的に考えるような「インタビュー」ではありません。かなり強い主張をインタビュアーがぶつけ、回答に反論し、矛盾を突き、相手を追い込むような世界標準のスタイルです。

その後、この件について、アンワル首相は8月20日に記者団に対し、「一つの中国政策は(国交を回復した)ラザク時代からだ。この政策は維持されており、われわれはそれを実践している。そして当然、平和的な道を探すべきだと考えている」と述べました。

マレーシア政府の台湾に対する立場は、政権によって揺れてきました。

2016年にナジブ首相が訪中した際の共同声明では一つの中国という政策を維持し「両岸関係の平和的発展と中国の平和的統一を支持する」と述べました。

2018年のマハティール首相の訪中では、一つの中国という政策を維持するとだけ述べ、統一については語りませんでした。

2024年のアンワル政権下での李強首相の訪馬では一つの中国という政策の維持に加えて「マレーシアは、中国が国家統一を実現するためには、台湾が中華人民共和国の不可侵の一部であることを認識しており、台湾の独立を求めるいかなる主張も支持しない」と踏み込みました。2025年の習近平国家主席訪馬の際の声明でも、ほぼ2024年の立場を繰り返しました。

つまり、「一つの中国」というマレーシアの立場自体は一貫しています。ただし、その先の表現は政権ごとに異なり、ナジブ期には「平和的統一の支持」が語られ、マハティール期には統一への言及が消え、アンワル期には「平和的」の語が落ちています。

今回のアンワル首相の発言は、2024年および2025年の共同声明と整合的です。中国の台湾武力統一に直接的に言及したのではなく、もしマレーシアならば、と語ったものです。それでも言い過ぎたと思ったのか、直後に「何を言わせたいのですか?」と言葉を濁しています。

では、なぜアンワル政権は2024年に中国に対して一歩譲歩したのでしょうか。2024年は台湾で頼清徳総統が就任、2025年にマレーシアと中国の国交樹立50周年を控えていました。。

アンワル首相は、台湾問題での立場変更を比較的コストの低いカードとみていた可能性があります。こうした大国への譲歩は、小国マレーシアのバランス外交において不可避な代償です。実際、2025年の米馬相互貿易協定(ART)でも、経済安全保障面で大幅な妥協を行っています。

以上のように、今回のアンワル発言は従来の立場から逸脱したものではなく、譲歩自体は2024年の時点で行われていました。中立外交は「孤高」に映りがちですが、実際には全方位に適切に「媚びる」技術こそが求められるのです。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

 

【イスラム金融の基礎知識】第599回 バンク・イスラムの会長が交代

第599回 バンク・イスラムの会長が交代

Q: バンク・イスラムの新会長に就任した人物は?

A: マレーシアのバンク・イスラムが証券取引所に提出した書類によると、6年間会長を務めた元財務省・運輸省事務次官のイスマイル・バカール氏が8月22日に退任し、新たにワン・モハマド・ファズミ氏が27日付で独立非執行会長(independent non-executive chairman)に着任した。

ファズミ氏は60歳のマレーシア人で、オーストラリアのRMIT大学で経済学の学士号を取得、その後は米ペンシルベニア大学やオックスフォード大学では経営学を学んだ。その後、30年以上にわたりマレーシアの金融業界に携わってきた。主要な経歴としては、民間ではメイ・バンクやRHB銀行の上級管理職、チューリッヒ・タカフル・マレーシアやチューリッヒ・ゼネラル・タカフル・マレーシアなどの取締役、日系銀行のマレーシア現地法人の会長などを歴任した。政府系金融機関ではアグロバンクの社長兼CEO、マレーシア開発銀行の独立非執行取締役、さらにラブアン金融サービス庁の会長の経験もある。

長年のキャリアの中でもイスラム金融への関わりが深く、イスラム金融専門家公認協会のイスラム金融公認専門家の資格を有する。また、アグロバンク在籍中の2016年には、グローバル・イスラム金融アワードの最優秀CEO賞を受賞した。このときは、アグロバンクも農業分野におけるイスラム式のマイクロファイナンスを推進した功績で最優秀イスラム金融事例賞を授与されている。

独立非執行会長とは日本ではあまり聞きなじみのない役職だが、取締役会の議長であるが会社や株主から独立しており、会社の日常的な業務を行わない非常勤的な立場である。バンク・イスラムのウェブサイトでは、すでに同氏について経営陣の紹介ページにて最初に取り上げている。同職が最高職であることを示すものである。

 

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。