スペースシード、新健康グリーンラテをマレーシア企業と展開

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 スペースシードホールディングス(本社・東京都港区)は18日、マレーシアで食品の卸売・小売を手掛けるJATライフと共同で、「抹茶を使わない新しいグリーンラテ」をグローバル展開すると発表した。

新タイプのグリーンラテは、沖縄・石垣島産のクロレラと、米麹を主成分とする。両素材は、血糖値上昇の抑制などが期待されており、ウェルネスドリンクとして開発が進められてきた。糖尿病が問題になっているマレーシア市場を皮切りに、2026年からアジア・欧州・中東圏で展開することを検討している。

スペースシードの鈴木健吾社長は、藻類研究で知られるユーグレナの共同創業者。JATライフは2024年創業で、セランゴール州に拠点を置く。両社は、スペースシードによるヘルスケア製品「DR.KENGO」ブランドのアジア展開などで、今年8月に覚書を締結していた。

不動産開発のトロピカーナ、ダイキンと提携

【クアラルンプール】 不動産開発のトロピカーナ・コーポレーションは、総合空調メーカーのダイキン・マレーシアと提携。両社のアプリを統合し、トロピカーナの新築住宅購入者にサステナブル(持続可能な)ライフスタイルを提案していく。

今回対象となるのは、セランゴール州のコンドミニアムや戸建て住宅など、トロピカーナが最近開発した8つの住宅プロジェクト。トロピカーナはこの対象住民に対して、省エネ性能を評価するマレーシア政府の制度「Myヒジャウ」認証を取得したダイキン製品を推奨する。

またトロピカーナは、メンテナンス依頼や施設予約などができるアプリ「T360」を対象物件で提供しているが、これにダイキンのアプリ「ゴー・ダイキン」を統合。1つのアプリで、住宅管理と空調管理をできるようにする。このダイキンのアプリを手掛ける子会社、ダイキン・マレーシア・セールス&サービスのローレンス・ソング社長は「地域の人々を結びつけながら、より環境に優しく健康的なライフスタイルを推進していく」としている。
(マレーシアキニ、11月19日)

セランゴール州首相「原子力エネルギーの導入、5年以内に判断」

【シャアラム】 セランゴール州のアミルディン・シャリ首相は17日、クリーンエネルギー源として原子力エネルギーの導入に向け、「現在、すでに初期の検討段階で、5年以内に実際の導入が可能かどうか判断することになる」と述べた。

アミルディン氏はこの日開かれた州議会で「原子力に比べて持続可能性が低いガスや石炭などの化石燃料だけに頼ることはできない。原子力エネルギーは長期的な持続可能性に向けた不可欠なステップ」と言明した。一方で、導入前に安全性、漏洩リスク、国民の理解に対応しなければならないと強調した。

さらに現在は地元の大学などと連携し、原子力エネルギー分野の開発と専門知識に関する科目の導入が可能かなど「能力構築に重点を置いた調査を進めている」と補足した。
(ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、11月17日)

軽便鉄道シャアラム線、開業予定日を12月31日に修正

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は、開業が遅れているセランゴール州シャアラムとその周辺地域を結ぶ軽便鉄道(LRT)3号線(LRT3)について、開業予定日を12月31日に修正すると述べた。ただ最終的な開業日はすべての試験で合格した後に確定すると述べた。

ローク氏は17日の下院議会における運輸省の委員会レベル審議で、LRT3プロジェクトが現在、信頼性と安全性を確保するための試験と試運転の最終段階にあると言明。「運輸省は公共交通機関を管轄するプラサラナ・マレーシアおよび関係当局と協力し、開業日を確定させる前に、安全性、運行の信頼性、技術適合性といった側面に最大限の注意を払っている」と述べた。

LRT3はセランゴール州ペタリンジャヤのバンダル・ウタマとクラン地区のジョハン・セティアを結ぶ全長37.8キロメートルの路線で、途中のシャアラムやクランを含む26駅が設置される。当初は2024年の開業を予定していたが、ローク氏が2023年7月に開通時期を2025年3月1日に延期すると発表。2024年7月には再び2025年第3四半期に延期され、2025年2月には2025年9月30日開業と発表されたが、期日が迫っても開業日は発表されなかった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、11月17日)

三重県農林水産物・食品輸出促進協議会、KLで商談会開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三重県農林水産物・食品輸出促進協議会水産部会は18日、三重県産水産物の新たな販路開拓、輸出拡大につなげるため、マレーシアの有力8バイヤーを招いて「みえの水産物輸出商談会」をクアラルンプール(KL)市内で開催した。

18日の対面開催には▽百福▽あづまフーズ▽A-LINE▽三重県漁業協同組合連合会――の4社が参加。19日はイオンの視察と訪問商談が予定されている。また▽トーエー▽尾鷲物産▽糀屋▽山藤▽みえぎょれん販売▽TA西村▽交洋――の7社が12月に予定されているオンライン商談会に参加する。

対面開催では乾燥ノリ製品、水産加工品(たこわさびなど)、イセエビ、ブリ加工品(ブリチーズカツ)、伊勢まだい・ぶり、まだいフライ、ぶり照焼、さわら竜田揚げ――が出品されるほか、オンライン商談会では、酢、養殖ブリ(フィレ、ブリトロ)、ひもの醤油、イセエビ、海鮮串、串干物、焼きのり、わかめ、ひじき、水産加工品(イセエビ、伊勢まぐろ、あおさ、カキ等)、あおさのり、漬魚――が出品される。

高級美容「ReFa」のヘアケア商品、ワトソンズで販売

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 高級美容ブランド「ReFa」(リファ)を手掛けるMTG(本社・名古屋市中村区)は14日、ドラッグストア「ワトソンズ」と提携し、シャンプー、リンスなどの一部商品を、マレーシアを皮切りに、東南アジアで発売すると発表した。

販売されるのは、リファの代表的なヘアケアシリーズ「ミルクプロテイン」のピンクラインとホワイトライン、人気のハート型のブラシ(6色)。マレーシアではすでに10月から販売を開始し、今後順次、シンガポール、タイ、フィリピン・台湾・香港のワトソンズ計421店舗で展開を進めていくという。

サバ州議会選挙公示、定数73に596人が立候補

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 第17回サバ州議会選挙(定数73、小選挙区制)の公示が15日に行われ、合計596人が立候補を届け出た。11月25日に期日前投票、11月29日に投開票が行われる。少数政党や無所属候補が乱立しており、いずれの党派も単独過半数を獲得するのは難しいとみられている。

ハジジ州首相が率いる同州与党連合・サバ国民連合(GRS)が合計55人、シャフィー・アプダル前州首相率いるサバ遺産党(ワリサン)が73人をそれぞれ擁立して選挙戦の中心となるが、GRSと国政で協力関係にある国政与党連合・希望同盟(PH)が22人、その提携先である国民戦線(BN)が45人、国政野党連合の国民同盟(PN)も42人、それぞれ独自候補を擁立している。

このほか先ごろGRSを離脱したサバ国土連帯党(サバSTAR)とサバ進歩党(SAPP)、そして先週PHから離脱したキナバル進歩統一組織(UPKO)もそれぞれ独自候補を擁立する。独自候補を擁立する党派は実に22党派に上っている。いずれの党派も過半数を獲得できなかった場合は、最大党派を中心に新たな政党連合を模索する動きが加速されるとみられる。

無所属立候補者は74人で、GRSから公認されなかった構成党数人も含まれている。少数政党や無所属候補の乱立により、立候補者数はトゥリッド選挙区は実に14人、バンダウ選挙区、タンパルリ選挙区、イナナム選挙区、カパヤン選挙区は各13人、バンギ選挙区、マヨグ選挙区は各12人で争う激戦となっている。

2020年9月の前回州議会選挙では当時、PPBMに所属していたハジジ州首相が率いる同州与党連合・サバ国民連合(GRS)が38議席を獲得し、シャフィー・アプダル前州首相率いるサバ遺産党(ワリサン)やPHなどが構成する同州与党連合(ワリサン+)を破って政権奪取に成功し、政権を樹立した。

KLIAエアロトレイン、15日より午後9時―午前7時に運行停止

【クアラルンプール】 クアラルンプール新国際空港(KLIA)のメインターミナルとサテライトターミナルを結ぶ無人列車「エアロトレイン」は、11月15日から毎日午後9時から午前7時までの10時間を運行停止とする。度重なる不具合による運休を受けたもので、当該時間帯はシャトルバスが運行される。

空港運営会社であるマレーシア・エアポート・ホールディングス(MAHB)によると、2027年6月に終了する2年間の瑕疵担保期間(DLP)中にサービス障害を改善するための包括的な行動計画を策定するための措置で、サテライトへの利用客の移動を最小限に抑えるため、期間中はメインターミナルへの搭乗ゲート割り当てを優先して行う

11月15日からの第1段階では検査、試験、調整、検証、12月1日からの第2段階ではシステム試験と車両試験、12月15日からの最終段階の第3段階では試運転を実施する。エアロトレインは現在、点検と改修工事のため、毎日午前0時から午前5時まで5時間運休となっている。

エアロトレインは、設備老朽化を受けて政府が約4億5,600万リンギを費やして改修工事を実施。2年以上の運行停止期間を経て今年7月1日に運行を再開したが、度重なる不具合発生によるサービス中断で利用客の不満が高まっていた。

MAHBのモハメド・イザニ社長は、現時点では一時的な運行停止がいつまで続くかは不明だと言明。また改修工事中に確認された不具合の状況次第では、全面運休になる可能性もあると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、11月14日)

KLのガーデンインター、1億リンギ規模のスポーツ複合施設完成

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)のガーデン・インターナショナルスクールは1億リンギを投じて建設したスポーツ複合施設をオープンした。

ガーデンを運営するテイラーズ・スクールズによると、施設は5階建て延べ20万平方フィートで、8年をかけて建設が進められてきた。国際大会規模のプールやサッカーコート、屋内バスケットボールコート2面、フィットネス・ジムエリアなどを備える。

さらに第2期工事として、8,500万リンギを投じ舞台芸術センターの建設も予定している。これらの施設は、一般開放も検討されているという。

ガーデンは1951年創立で、来年創立75周年を迎える伝統校。イギリス式のカリキュラムを採用し、1996年からモントキアラにメインキャンパスを構えている。テイラーズ・スクールズは、テイラーズ・エデュケーショングループ傘下でマレーシアとシンガポールで計6校のインターナショナルスクールを運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、11月12日)

【総点検・マレーシア経済】第534回 米マレーシア貿易協定解説(1)

第534回:米マレーシア貿易協定解説(1)

 

10月26日、ASEAN首脳会議に合わせてマレーシアを訪問したトランプ大統領とアンワル首相の間で「米国・マレーシア相互貿易協定(Agreement between the United States of America and Malaysia on Reciprocal Trade)」が締結されました。この協定には、マレーシア側が米国に対して行った関税・非関税障壁に関する譲歩だけでなく、マレーシア側が米国から得た関税面での譲歩も含まれているため、形式的にはFTAとみなせるものです。

 

実質的にはマレーシア側の片務的な譲歩という性格が強いにもかかわらず、この貿易協定はなぜ「相互(Reciprocal)」を称し、FTAの形式を取っているのでしょうか。筆者は、もしマレーシアが米国に対して行った譲歩がFTAによるものでない場合、WTOの最恵国待遇(MFN)原則により、他のすべてのWTO加盟国に米国と同じ好待遇を与えなければならなくなるためであると見ています。

 

FTAはWTOのMFN原則の例外とされるため、FTA内で行った譲歩をFTA相手国に限ることが許されます。したがって、今回の米国に対するマレーシア側の譲歩について他国はWTOのMFN原則を唱えて同様の待遇を求めることができません。米国はマレーシア側が行った譲歩を独占できることになります。

 

この協定においてマレーシアは米国に対して多くの譲歩を行っています。化学製品、機械・電気機器、金属、乗用車、乳製品、園芸製品、鶏肉、豚肉、米、燃料エタノールなど広範な品目で関税の引き下げ・撤廃を行っています。即時撤廃品目のほか、5年・9年かけて段階的に撤廃される品目もあります。また、豚肉、牛乳・クリーム、鶏肉などに対して無税輸入枠が設定されています。

 

あまりニュースになっていませんが、注目されるのは米国製自動車について排気量に関わらず物品税(excise duty)の最低税率を適用することになっている点です。例えば、Jeep Grand Cherokeeをマレーシアに輸入した場合の物品税は通常125%となりますが、この協定により同カテゴリー内の最低税率である80%が適用されることになります。さらに通常はAPによって制限されている輸入車の台数上限からも米国車は除外されること、米国の安全基準・排出基準を満たした自動車をマレーシアがそのまま受け入れることになっています。

 

米国の自動車メーカーでマレーシアにおいて2024年に最も売れたのはフォードの6232台(シェア0.8%)であり、マレーシアの自動車市場に大きな影響を及ぼすとは考えにくいものの(あるいは考えにくいため)、自動車分野においてマレーシアはほとんど全面的に米国へ譲歩したと言えます。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp