【人生の知恵・仕事の知恵】Deliver your own message

Deliver your own message

★マネジメントコミュニケーション

今年に入って、新しい研修コースを始めました。「マネジメントコミュニケーション」というタイトルです。口頭でのコミュニケーションが希薄化していくビジネスシーンの中で、改めて、口頭によるコミュニケーションの大切さを学ぶと同時に、実践力を身につけることを目的とした研修です。

特にコロナ以降、ニューノーマルという生活習慣が定着し、会うよりも会わない、話すよりもメールでという選択が中心となり、仕事の進め方も、随分と変わってしまいました。だからこそ、「直接話すことが大切なんです」と強調することが求められる時代といえます。

★コミュニケーションの4原則

ピータードラッカーは、以下の4つの原則を持ってコミュニケーションは成立すると述べています。

原則1:コミュニケーションとは知覚である

原則2:コミュニケーションとは期待である

原則3:コミュニケーションとは要望である

原則4:コミュニケーションは情報ではない

平たくいえば、相手に意図や真意を伝えようとしない行動はコミュニケーションとはいえないということです。

★説得を嫌がる時代と感動の復活

筆者は研修でロールプレイを多用するのですが、最近は説得を嫌がる人材が増えました。そのため、流れに任されるままに仕事が進んでしまっている傾向があります。

その原因は、期待や要望についてのコミュニケーションの取り方次第で流れが変わる結果に影響を及ぼすという実体験が乏しいことも影響しています。

言葉から受ける感動を取り戻すことで、人間の強さを呼び覚ますことが可能となるのです。

 

湯浅忠雄の仕事の実績はこちらのWEBサイトより → https://yuasatadao.com/about-us/presidents-greeting/

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

 

ENEOS、サラワク州豪雨で20万リンギ寄付

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ENEOS(本社・東京都千代田区)と、天然ガス・原油の開発事業を手がけるENEOS Xplora(エクスプローラ)は、1月下旬から2月上旬にかけてサラワク州などで発生した豪雨の被害者に対しマレーシア赤新月社を通じ、計20万リンギ(約700万円)を寄付した。

両社の14日の発表によると、同州で長年にわたり事業を展開していることから、地域の復旧と被災者の生活支援を目的に寄付を行ったという。
Xploraは今年1月、JX石油開発から社名変更した。

四方大使がサラワク・サバ州訪問、関係強化を確認

【クチン/コタキナバル】 昨年11月に駐マレーシア日本大使として着任した四方敬之氏がサラワク州とサバ州を訪問し、両州と日本との関係強化を確認した。4月開幕の大阪万博を念頭に、サラワク州との間では直行便開設に日本として関心があると表明した。

サラワク州のアバン・ジョハリ首相を表敬訪問した後の会見で四方氏は、石破首相が1月にマレーシアを訪問した際、アンワル・イブラヒム首相と合意したように、グリーンエネルギー、学術、観光面でサラワク州と日本は関係を強化すると述べた。

四方氏は「水素、アンモニア開発など、サラワク州のエネルギー政策に大きな潜在性を見ている」と述べた。学術面では京都大学と国立マレーシアサラワク大学が州の生物多様性、雨林の保護で協力する。

サバ州で四方氏はサバ産業連盟の関係者と会談。連盟側は州で開催の見本市などへの参加を要請した。
(ボルネオ・ポスト電子版、サラワク・トリビューン電子版、デイリー・エクスプレス、2月14日)

昨年第4四半期の経常収支、114億リンギの黒字

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局によると、2024年第4四半期の経常収支は114億2,400万リンギの黒字で、前期の21億7,600万リンギから黒字幅が大幅に増加した。

モノの貿易収支の黒字が前期の231億3,900万リンギから373億8,400万リンギに増加。サービス収支の赤字は前期の15億7,900万リンギから1億4,900万リンギと減少したことが影響した。ただ、第一次所得収支の赤字は前期の169億8,300リンギから201億5,300万リンギに拡大、第二次所得収支の赤字も前期の24億リンギから56億5,700万リンギになった。

金融収支の赤字は前期の74億9,300万リンギから57億6,400万リンギに抑えられた。直接投資は前期の43億3,700万リンギの純流出から、176億3,200万リンギの純流入に転じた一方、証券投資は前期の35億9,900万リンギの純流入から422億4,800万リンギの純流出になった。金融派生商品は26億7,900万リンギの純流入(前期は4億2,600万リンギの純流出)、その他の投資は161億7,300万リンギの純流入(同63億2,900万リンギの純流出)だった。

 

国家安全法の改正、アンワル首相が内相に指示

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は「2012年国家安全(特別措置)法(SOSMA)」の改正をサイフディン・ナスティオン内相に指示した。閣議後の記者会見でファーミ・ファジル通信相が明らかにした。どのような改正になるか、内相が議会で説明する。

ファーミ・ファジル氏によると、既にいくつかの見直し、改善で合意している。SOSMAは、裁判なしの恣意的拘留を認めた治安維持法に替わるものとして導入されたいきさつがある。SOSMAの下でも当局は被疑者を最長28日間、拘束することが認められており、導入当時政府は、テロや組織犯罪の増加に対処するために必要だとしていた。

13日の議会答弁でアンワル首相は、テロに対処するためSOSMAは必要だが、反対者を黙らせるためというような乱用があってはならず、内容を明確化する必要があるとした。

最近、SOSMA違反容疑で拘留されている約50人の活動家の家族が、面会を拒否されたため刑務所外でハンガーストライキを行う出来事があった。
(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、2月14日)

【イスラム金融の基礎知識】第562回 NGOへ資金援助を行うイスラム銀行

第562回 NGOへ資金援助を行うイスラム銀行

Q: NGOへ積極的に支援を行うイスラム銀行はありますか?

A: アメリカでNGO支援を行う団体「ファンド・フォー・NGO」が、「NGOに助成金を提供するイスラム銀行トップ10」というランキングを発表した。このランキングとその選考基準からは、イスラム銀行のCSRのあり方を読み取ることができる。

発表によれば、1位のアル・ラジヒ銀行をはじめトップ10行にはUAEの銀行が3行、カタールとUAEの銀行が2行ずつ、そしてクウェート、ブルネイ、バハレーンから1行ずつ選ばれた。10行中9行がGCC諸国に集中しており、東南アジアは1行にとどまっている。ただ、ランクインしたイスラム銀行は各国に支店網を持つ大手グループが中心であり、イスラム諸国を幅広くカバーしているとみなしている。

同団体によれば、イスラム銀行によるCSR活動の一環としてのNGO支援には複数の傾向が読み取れるとしている。一つは、イスラム銀行は所属する地域コミュニティの発展の貢献を目指しており、国境をまたいだ活動よりも銀行のある国内での取り組みに積極的な支援を行っている。もう一つは、イスラム銀行ごとに力を入れる分野に個性が存在している。例えば、若者のエンパワーメントに力を入れている銀行(ドバイ・イスラム銀行)、特定の疾病に対する健康啓発に取り組む銀行(クウェート・ファイナンス・ハウス)、子供たちの識字率向上への貢献を目指す銀行(バンク・イスラム・ブルネイ)といった具合に、特に積極的な活動分野があるイスラム銀行は、これらに該当する分野で活動を行うNGOへの助成金提供もまた、積極的に行う傾向にある。

NGOの活動支援を謳うこの団体としては、「各団体とも自身の活動内容・地域を踏まえた上で、適切なイスラム銀行が設けるNGO支援プロジェクトに応募すべきであろう」と、NGOにアドバイスを送っている。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

シスメックス、手術支援ロボットによるマレーシア初の手術実施

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 医療機器メーカー、シスメックス(本社・兵庫県神戸市中央区)は12日、マレーシア初となる手術支援ロボットシステム「hinotori(ヒノトリ)」を使った手術が、マラッカ州のマコタ・メディカルセンターで実施されたと発表した。

ヒノトリは、シスメックスと川崎重工業の共同出資による「メディカロイド」が開発。日本国産初の手術支援ロボットシステムとして2020年から日本国内で発売されている。海外ではシスメックスが販売を手がけており、昨年10月にシンガポールで海外初の手術が行われたのに続き、マレーシアが実施2カ国目となった。ジョホール州のリージェンシー・スペシャリスト・ホスピタルにも導入済みという。

手術支援ロボットは、体に小さな穴を開けて行う腹腔鏡手術に利用され、手術に伴う患者の負担を軽減することができる。米メーカーの「ダビンチ」が世界的に圧倒的な市場シェアを持つ。ヒノトリはダビンチに比べ導入費用が抑えられ、微細な動きも実現できるとして注目されている。シスメックスは今後もアジアなどでの海外展開を加速させていく方針。

エアアジアX、24年第4四半期の旅客輸送数が20%増

【セパン=アジアインフォネット】 中・長距離格安航空エアアジアXは、エアアジアXマレーシアの2024年第4四半期の旅客数が106万8,994人となり、前年同期比20%増になったと発表した。運航座席数も20%増加して130万5,005席となった。

ロードファクター(座席利用率)は82%で横ばいとなり、有効座席キロ(ASK)は前年比21%増の57億9,400万キロ、有償座席キロ(RPK)は23%増加して47億1,100万キロとなった。同期には中国・重慶とケニア・ナイロビに就航し、アフリカ地域への初進出を果たしたほか、ピークシーズンでは豪州、日本、韓国の路線で増便した。

通年の旅客数は41%増の399万2,931人。ロードファクターは前年比3ポイント上昇して83%となり、運航座席数は前年比35%増の480万7,822席、便数は前年比35%増の1万3,262便となり、年間のASKは31%増加して203億6,900万キロとなった。

一方、関連会社のタイ・エアアジアX(TAAX)の旅客数は第4四半期が26%増の46万3,463人、通年は21%増の160万6,341人となった。

平和的集会法を次の会期で改正へ、問題条項の施行を停止

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は13日の下院審議で、「2012年平和的集会法」を次の会期中に改正すると表明した。改正の眼目は、集会場所の所有者、占有者の許可取得を主催者に義務付けている第11条項の廃止で、改正により主催者は集会開催を5日前に警察に届け出るだけでよい

政府は同条項の施行一時停止も警察に指示した。この結果、政党関係者や大学生ら200人あまりが参加した汚職反対集会への捜査は停止され、参加者は罪に問われない。

同集会ではそごうショッピングモールからムルデカ広場へ行進が行われたが、そごう、クアラルンプール市役所の許可取得で集会主催者と警察が対立したいきさつがある。

「2012年国家安全(特別措置)法(SOSMA)」を見直す、あるいは廃止する意向はあるかとの質問に対し、アンワル氏は「乱用があってはならないが、テロの脅威のない国はない。テロに対処する法律は必要だ」と維持を表明した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、2月13日)

 

【総点検・マレーシア経済】第515回 2024年のマレーシアの貿易はどう変化したか:輸入編

第515回 2024年のマレーシアの貿易はどう変化したか:輸入編

マレーシアの2024年の輸入は前年比13.2%増の1兆3708億リンギとなり、前年の6.4%減から増加に転じました。今回は、マレーシアの2024年の米中向けの輸入がどのように変化したのかを品目別に分析していきます。

表1,表2はそれぞれ2024年のマレーシアの対米国、対中国の輸入額を上位10品目を前年との比較でみたものです。2024年のマレーシアの対米輸入額は前年比42.1%と大幅増加し、国別では中国、シンガポールに続く3位となりました。

品目別に見ると、2位の「コンピュータ・同部品」が約11倍、3位の「半導体製造装置」が2.7倍になっていることが分かります。コンピュータ・同部品についてより詳しい品目を確認すると、CPU/GPUを含む項目が約2倍に増加しており、さらにサーバー本体が12.5倍、ネットワークやインターフェイス関連のボードが57倍と大幅に増加していることが分かります。これは、マレーシアにおける昨今のデータセンター建設ラッシュが影響しているものと考えられます。

4位の「ターボジェットエンジン」が約4倍になっていますが、これは航空機用のエンジンで、ボーイング社がクダ州に東南アジアで初となる100%子会社である生産拠点を開設したことなどが影響していると考えられます。

一方で、2024年のマレーシアの対中輸入額は前年比14.8%と拡大し、2位のシンガポールの1.8倍という圧倒的な差で国別輸入先の1位となっています。1位の集積回路をはじめ、幅広い電子・電機製品・部品が上位を占め、その多くについて輸入額が増加しています。例外的に減少しているのが9位の「半導体デバイス」ですが、さらに品目を細かく見ていくと興味深いことが分かります。

マレーシアが中国から輸入している「半導体デバイス」の中で、輸入が半減しているのは太陽光発電モジュールと半導体部品です。前者は米国からの制裁で、マレーシアが太陽光パネルの迂回生産拠点として機能しにくくなっていることを反映していると考えられ、後者は米国向けの輸出が多い半導体のサプライチェーンから中国が排除されつつあることを想起させます。一方で、同じカテゴリーでも輸入が急増しているのがLED、センサー、電子部品で、米国からの制裁を受けない品目については中国製の部品が多く調達されていることが分かります。

以上のように2024年のマレーシアの米中両国からの輸入については、やはり米中対立や米国の貿易政策の影響を強く受けていることが分かります。

熊谷 聡(くまがい さとる)
Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。
【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp