輸出競争力強化の5カ年計画を発表、モノの輸出で地位回復へ

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は25日、輸出競争力を強化するための5カ年計画「国家貿易青写真(2021ー2025年)」(NTBp)を発表した。マレーシアは2000年代初頭には輸出額で世界20位以内にランクされていたが、10年以降は競争力を弱め輸出シェアが縮小し、タイ、ベトナムに抜かれている。
青写真はマレーシア貿易開発公社(MATRADE)がまとめた。8つの戦略、40の実行可能な行動計画で構成している。官民が協力して貿易分野の多角的な構造改革に取り組み、モノの輸出で上位20位以内の地位回復を目指す。
推進には官民の専門家で構成する作業グループが当たり、輸出にかかわる省庁の担当者で構成する委員会が監督する。
マレーシアは世界経済フォーラムの国際競争力指数でも2018年の25位から2019年は27位に順位を落としており、技術、金融面の立ち遅れをNTBpは指摘した。ベトナム、タイ、インドネシアが外国直接投資(FDI)を増やすなか、マレーシアは減少していることも競争力の低下を示しているという
(マレー・メイル、ベルナマ通信、10月25日)

ランカウイの外国人観光客への開放、全ての国が対象

【クアラルンプール】 11月15日からランカウイが外国人観光客にも開放されることになったが、ナンシー・シュクリ観光芸術文化相は、一部の国だけでなく全ての国を対象とすると明らかにした。
先の発表では対象国を一部の国に限定するとなっており、外務省、保健省、および入国管理局が対象国を決定するとなっていた。ナンシー大臣は新型コロナウイルス「Covid-19」蔓延を抑制するための厳格な手続きが実施されることから制限を設けない方針が採用されたと説明した。
外国人観光客はすべて観光省に認定されたツアーオペレーターを通すことが求められ、感染が発覚するなどの問題が生じた際はツアーオペレーターが責任を負う。
ランカウイの外国人観光客への開放は3カ月間の試験運用で、▽ワクチン接種を完了したこと▽18歳未満の未接種者は接種を完了した保護者の同伴が必要▽最低3日間の滞在▽情報・追跡アプリ「MySejahtera」ダウンロード▽渡航72時間前のRT-PCR感染検査の陰性証明▽8万米ドル以上の海外旅行保険加入——などが許可条件となっている。
(ベルナマ通信、マレー・メイル、10月25日)

ランカウイで外国人観光客受け入れ、3カ月試験実施

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国内旅客向けに「トラベルバブル」第一号となったランカウイについて、イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は11月15日から一部の国の外国人観光客にも開放すると発表した。試験的に向こう3カ月間実施する。
▽新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種を完了したこと▽18歳未満の未接種者は接種を完了した保護者の同伴が必要▽最低3日間の滞在▽情報・追跡アプリ「MySejahtera」ダウンロード▽渡航72時間前のRT-PCR感染検査の陰性証明——が許可条件。対象国は外務省、保健省、および入国管理局によって決定される。
また8万米ドル以上の海外旅行保険に加入し、正規のツアーオペレーターを通すことが求められる。また約定書(LoU)の提出が求められる。
マレーシア到着後の隔離はないが、RT-PCR検査を、クアラルンプール新国際空港(KLIA)を経由する場合は到着後に、直接ランカウイに飛ぶ場合は2日目に受けなければならない。またランカウイを離れる3日前にRT-PCR検査を受ける必要があり、3日間滞在の場合はそのまま出国できるが、5日以上滞在する場合は5日目にRT-PCR検査を受けなければならない。検査費用はすべて観光客が負担する。
陽性と判定された場合、旅行者のカテゴリーに応じて、隔離センター、検疫施設、または私立病院に収容する。

マレーシア経済の完全回復は来年半ば=MICPA-MARC

【クアラルンプール】 マレーシア公認会計士協会(MICPA)とマレーシア・レーティング・コープ(MARC)は、新型コロナウイルス「Covid-19」で打撃を受けたマレーシア経済の完全回復に2022年半ばになるとの見通しを明らかにした。
両者が共同発表した「MICPA-MARC経済アップデート&アウトルック2022」によると、現在マレーシア経済は緩やかな回復に向かって進んでおり、経済が徐々に再開していることから緩やかなペースではあるものの今年第4四半期から回復が見込まれると指摘。コモディティ価格の上昇と主要貿易相手国の景気回復にともなう需要回復による輸出増によって恩恵を受けるが、ロックダウンによる第3四半期のマイナス成長が予想されることを考慮し、今年通年の国内総生産(GDP)成長予想をプラス3.9%としている。
またリンギ安と生産再開に下支えされた輸出が引き続き経済回復を後押しするとし、世界的なデジタル化推進と半導体不足の中にあって、年初7カ月で20.4%増加した電気・電子セクターが輸出の中心となると指摘。ただ新型コロナ変異株の出現や世界経済回復の不均衡が輸出全体のリスクになっているとし、来年まで続くとみられるサプライチェーンのボトルネックも製造業の伸びを阻害する可能性があるとしている。
財政に関しては歳入不足の中での財政支援策が財政赤字を増やすことになるとした上で、通貨リンギについては世界的な原油価格の高騰とマレーシアの健全な貿易黒字に下支えされていると分析。ただ財政見通しの悪化による国際信用格付機関によるマレーシアのソブリン信用格付けの格下げの可能性を含む下振れリスクなどで上振れする可能性は限定的だと指摘している。
金利については、マレーシアが確実に回復モードに入るまで中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が、翌日物政策金利(OPR)を過去最低の1.75%で当面維持すると予想している。
(ザ・サン、10月22日)

海上輸送運賃が7倍に、輸出品の競争力が低下=荷主協会

【クアラルンプール】 マレーシア全国荷主協会(MNSC)が実施した調査によると、海上輸送運賃が新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大前と比較して最大で7倍上昇しており、過去最高の水準となっている。
アンディー・ソー会長によると、サプライチェーン(供給網)の混乱が起きた上、船舶やコンテナ不足が起きたことで、海上運賃が上昇した。そのため荷主の間では上昇したコストを吸収したり、消費者への転嫁を余儀なくされたという。その結果、マレーシアからの輸出品の価格が高騰し、世界的な競争力が低下しているという。この状況がいつ正常化するか見通しが立っていないため、荷主は複数の輸送業者に依頼したり、他の荷主とコンテナや船舶スペースを共有したり、海上輸送ではなく、空路や陸路、鉄道などを使用した輸送の検討を行うなど対策を講じている。
MNSCは、国内の物流大手との間で海上輸送以外の代替案について協議した。また運輸省や物流業界関係者との間で連携して正当な料金に戻せるよう取り組んでおり、海外当局に対しても輸送量を拡大するよう働きかけを実施。また政府に対して、マレーシア対外貿易開発公社が運営する市場開発基金(MDF)が給付する運輸費用の補助金が年末で打ち切られることから、延長を求めている。
(マレーシアン・リザーブ、10月20日)

製造業などで7.7万人分の人手が不足=全国商工会議所

クアラルンプール】 マレーシア全国商工会議所(NCCIM)は、新型コロナウイルス「Covid-19」から経済が回復する中、製造業や建設業など特定のセクターが労働力不足に直面しており、会員企業835社で合計7万7,721人分の人手が足りていないと明らかにした。
NCCIMの緊急調査によると、不足が指摘されている7万7,721人分の労働力の77.1%を製造業が占めており、建設業が11.2%、その他サービス業が8.9%を占めた。
NCCIMのロウ・キエンチュエン会長は、2年近く続いた再三の操業規制と緩和によるオンオフ状態の中で外国人労働者の雇用期間切れや他のセクターからの労働者の横取りなどで労働者不足が起きていると指摘。こうした問題を迅速に解決するよう政府に要請した。
このほか複数の業界団体から得られたデータによると、農園が7万人の外国人労働者を必要としているほか、ゴム手袋産業が2万5,000人、家具製造が3万人、建設が20万人、製造業が2万5,000人、サービス業が4万5,000人、プラスチック産業が6,293人を必要としているという。
外国人労働者の数は現在110万人で、2018年の190万人から比べて80万人減少している。国内の失業者25万人で埋めたとしても、残り50万人以上の人員が不足するという。
(ザ・スター、10月21日)

経営者の70%が在宅勤務と出社を併用する意向=調査

【クアラルンプール】 マレーシア経営者連盟(MEF)が会員を対象に実施した調査によると、今後「在宅勤務と出社勤務を組み合わせたハイブリッド型の勤務形態を採用する」と回答した経営者は約70%に上った。
一方、▽「固定時間での出社勤務」と回答したのは27.7%▽「労働時間を柔軟にする」が20%▽「シフト勤務」が19.1%▽「完全に在宅勤務にする」が15%ーーという結果となった。
サイド・フセイン会長は、本調査は、今後新型コロナウイルス「Covid-19」と共存していく上で必要となる新しい労働環境に対する経営者の考え方を明らかにしたものだとし、MEFは、人的資源省などの政府機関と協力の上、労働法や労働規制が労使双方の新しいニーズに沿っているか確認していくと述べた。また、経営者に対し、より生産的であり、ハイブリッド型勤務も可能な仕事を創出するため、労働環境やデジタル化について再検討し、予算を確保した上でインフラを整備していく必要があると強調。通信事業者に対しても高速かつ安定した通信環境の提供を求めた。
■経営者の62%が「人員数を維持する」と回答■
今後6カ月間の人員計画については、「現在の人員体制を維持する」と回答したのは61.9%、「新規人員を採用する」が31.1%、「人員を削減する」が7%だった。
同会長は、雇用に関して「しばらく様子を見る」という経営者もいるが、多くの企業が再雇用を検討し始めているため、今後雇用数が徐々に増加していくと予想。すべての国民に対し、気を緩めることなく標準的運用手順(SOP)の遵守を求めると述べた。
(エッジ、10月19日)

シノファームワクチン、国内販売を開始

【クアラルンプール】 製薬のデュオファーマ・バイオテックは、シノファーム(中国国家医薬集団)製の新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンの国内販売を開始したと発表した。
デュオファーマ・バイオテックの完全子会社であるデュオファーマ(マレーシア)が、正規代理店としてワクチンの国内販売・流通を行う。9月に初回納入分のワクチンを受け取った。国のワクチン接種プログラムに使用される他、全国のクリニックや民間病院に供給する。
デュオファーマ・バイオテックのレオナルド・アリフ社長は、デュオファーマは、政府のワクチン接種プログラムを支援するとし、ワクチン流通経路を増やすことで、ワクチン接種率向上に貢献したいと述べた。
シノファーム製ワクチンは、7月に医薬品管理庁(DCA)から条件付きで承認を得ている2回接種ワクチン。18歳から59歳までが接種対象となっている。中国製のワクチンとしては初めて世界保健機関(WHO)の緊急使用リスト(EUL)に加えられたワクチンで、65カ国・地域以上で使用されている。
(エッジ、ザ・スター、10月15日)

 

マレーシアを電気電子産業の域内ハブへ=ムスタパ首相府相

【ペタリンジャヤ】 マレーシアは電気・電子(E&E)産業の域内ハブとなることを目指している。ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)が14日、E&E分野の展望に関するウェビナーで明らかにした。
ムスタパ氏は、「E&E部門はマレーシアの産業発展に重要な役割を果たしており、半導体製造の後工程では世界の13%を占めている」と述べた。また、E&E製品は輸出の40%を占め、貿易総額も今年の年初8カ月間で4,770億リンギに達しているとし、2025年までにE&E部門がGDPのうち1,200億リンギを占めることになると予測した。
一方、E&E業界は課題に直面しているという。ムスタパ氏によると、今後さらなる成長を続け、国際競争力を維持するためには、熟練人材の不足や国内での研究開発が不十分といった問題について取り組む必要がある。そのことから政府はE&E業界の成長のためにより良い環境を整えることを約束していると強調した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月14日)

マレーシアは転換期、年内に経済は完全再開=財務相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル財務相は、現在マレーシアが新型コロナウイルス「Covid-19」のダメージから回復に向かう転換期にあると指摘。感染拡大防止のために制限を受けてきた経済が年内には完全再開するとの見通しを示した。
バーチャル形式で行われた「インベスト・マレーシア2021」で行った講演の中でザフルル氏は、▽第2四半期の国内総生産(GDP)の力強い回復▽8月の失業率が4.6%に改善▽8月の製造売上高が前年比6.8%増▽8月の輸出額が同23%増▽8、9月の外国人投資家による株式市場投資額が20億リンギの純流入▽上半期の外国直接投資(FDI)が前期比70%増 ーーなどを例示。国家回復計画(NRP)の成果で広範囲で経済に回復の芽吹きが感じられると述べた。
その上で、2022年のマレーシアGDP成長予想を世界銀行と国際通貨基金(IMF)がそれぞれ5.8%、6.0%と予想していることを挙げて、来年の経済成長がパンデミック前に戻るのに先だって年内には経済が完全に以前の状態に戻るとの見通しを示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ザ・スター、10月14日)