ビントゥル港でのLNG積み込みに遅れ、液化施設で問題

【シンガポール】 サラワク州ビントゥル港の液化天然ガス(LNG)施設で問題が起こり、LNG運搬船への積み込みに遅れが出ている。消息筋の情報としてロイター通信が伝えた。同ターミナルからは複数の日本企業がLNGを輸入している。

同ターミナルを運営しているのは、国営石油会社のペトロナスや新日本石油などが出資するマレーシアLNGティガで、LNG年産能力は約3,000万トン。4社が9つの液化施設を運営しており、第7施設は予定していた保守を8月に終えた。しかし第4施設で問題が生じ、予定外の保守が必要になった。第8、9施設でも予定外の保守があったという。問題のあった4施設とも現在は復旧している。

エネルギー関連のコンサルタント、ライスタッドエネルギーは8月30日、上流部門や熱交換機に問題があり、第7、8施設で生産が落ち、第4四半期の積み出しに影響する可能性があるとしていた。

9月4日の時点で少なくとも7隻のLNG輸送船が積み込みを待っている。通常、積み込みを待っているのは2-3隻。マレーシアLNGティガは東北電力、東京ガス、東邦ガス、大阪ガス、東京電力などとLNG売買契約を交わしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月4日、エッジ、9月3日)

富士リアルティ、マレーシア不動産の販売でホールフィールドと提携

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 不動産の富士リアルティ(本社・神奈川県藤沢市)は3日、東南アジア不動産の販路拡大に向け、マレーシアの日系不動産企業ホールフィールドとの間で業務提携契約を締結したと発表した。

富士リアルティは、世界最大級の不動産ネットワーク、センチュリー21の加盟店であり、日本、タイ、カンボジアの三拠点で不動産・建築事業を展開している。ホールフィールドは、マレーシア不動産物件の売買や賃貸仲介などを行っている。

今回の提携により、富士リアルティはホールフィールドが取り扱うマレーシア不動産を販売代理店として顧客に紹介し、ホールフィールドは富士リアルティが取り扱うカンボジア不動産を販売代理店として顧客に紹介できるようになった。これにより双方の販路拡大と東南アジア市場における業務拡大を推進する。具体的には、共同マーケティング活動、現地視察ツアーの企画、金融機関との連携強化などを行っていく計画だ。

脱炭素のアスエネ、現地企業と協業でサラワクのESG推進へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 脱炭素ソリューションのアスエネ(本社・東京都港区)は2日、シンガポール現地法人のアスエネAPAC(アジア太平洋)が、マレーシア企業ダサル・コンサルティングとの間で、サラワク州での環境・社会・企業統治(ESG)推進に向けた協業覚書(MoU)を締結したと発表した。

アスエネは、企業・自治体に対し、二酸化炭素(CO2)排出量の見える化・削減・報告クラウドサービス「ASUENE(アスエネ)」やESG評価クラウド「ASUENE ESG」など、脱炭素のワンストップソリューションを提供している。

ダサル・コンサルティングは、サラワク州クチンに拠点を構え、ESGコンサルティング・グリーントランスフォーメーション(GX)ワークショップなどを行うことで、マレーシア企業の脱炭素・ESG経営を支援している。

両社は協業の上、サラワク州における「ASUENE」と「ASUENE ESG」の導入促進を行い、同州における企業活動の脱炭素化を促進し、APACを拠点にアジア全地域の脱炭素・ESG経営支援を拡大していく方針だ。

ベンチャーテックが東証と提携、日本市場への上場後押し

【クアラルンプール】 政府系投資会社のベンチャーテックは東京証券取引所との戦略的提携を発表した。有望なマレーシア企業の東証への上場を後押しする。

成長性のあるアジアの有力企業に新規株式公開(IPO)先として東証を選択してもらう「東証アジアスタートアップハブ」を東証が立ち上げたことに対応したもの。アジアスタートアップハブではアジアの有力企業に対し、日本での事業・資金調達支援、IPO準備支援など、それぞれの企業のニーズに応じた支援を通じ、東証でのIPOを後押しする。

世界の金融センターとしての地位強化もハブ立ち上げの狙い。東証は日本関連事業を手掛ける、あるいは成長の潜在性が大きいアジア企業に、ビジネスマッチング、知名度引き上げ、投資家紹介などのサービスを提供する。

ベンチャーテックのアハマド・レズアン最高経営責任者(CEO)は「マレーシア企業は日本の資本市場に参入することで業務を急拡大し、投資を呼び込み、世界でのプレゼンスを高めることができる」と述べた。スタートアップハブは第3四半期に支援対象企業の募集を開始する。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月3日、ベルナマ通信、デジタル・ニュース・アジア、9月2日)

筑波大学、マレーシア校をマラヤ大学内に開校 

【クアラルンプール】 筑波大学は1日、海外で初めて日本の学位を授与する大学として、筑波大学マレーシア校(UTMy)をクアラルンプール(KL)で開校。2日にザンブリ・アブドル・カディル高等教育相や髙橋克彦駐マレーシア大使を招いて開校式および入学式を行った。

UTMyの設立は、マレーシア政府の要請に基づくもので、日本の大学の学位授与を通じて、日本文化や日本的勤労観・価値観の育成などを促すことが目的。所在地はマラヤ大学の研究開発(R&D)複合施設内で、「学際サイエンス・デザイン専門学群」と称する。

カリキュラムは多様で、データサイエンス、自然科学、人文科学、日本語・日本文化が含まれる。生命と環境、情報技術、比較文学、政治学、サブカルチャーなどさまざまな分野を専門とする14人の教員が配置される。

開校後初の学生オリエンテーションは3日に開始される。初年度はマレーシア人7人、日本人6人の合計13人の学生が入学する。

(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、9月2日、筑波大学発表資料)

イオン全国店舗に台湾食品・飲料の専門コーナーを設置へ

【クアラルンプール】 台湾の貿易振興機関である台湾貿易センター(TAITRA)は、イオン・マレーシアの全国店舗に、台湾食品・飲料を集めた「台湾セレクトコーナー」を設置すると発表した。取り扱うのは40ブランド以上の150品目で、年末までの4カ月間の取り組みとなる。

TAITRAによると、「台湾セレクト」は台湾食品業界の再ブランディングの一環で、マレーシアが初の展開国となるという。各店舗では、飲料、スナック、ソース、惣菜、健康食品などの多様な商品を取り揃え、試食も行うが、特にミッドバレー店、チェラス・セラタン店、ブキ・ティンギ店の3店舗を重点店舗として販売を強化する。また、11月15-19日には各店舗でポップアップイベントも行うという。

「台湾セレクト」は10月には米国西海岸都市でもプロモーションを実施する。

(ベルナマ通信、8月31日)

マレーシア発高級ブランド「ボニア」、銀座に公式店を開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 大西時計店(本社・北海道旭川市)は8月30日、東京銀座に日本初となる、マレーシア発ラグジュアリーブランド「ボニア」の公式フラッグシップを9月10日付けで正式オープンすると発表した。

「ボニア」 は創業以来、バッグ、アクセサリー、フットウェア、時計、アイウェアなどのコレクションを発信し続けている。日本に初上陸したのは1997年で、以来15年間、順調に日本でのファンを増やしていたが、2013年に契約上の理由から一度日本市場から撤退した。今回が再上陸となる。

銀座の公式フラッグシップは、世界共通の最新コレクションや銀座でしか手に入らない限定アイテムの展示・販売を行うだけでなく、ファンとのコミュニケーションイベント、世界中のバイヤーとのビジネスネットワーキングなどを実施するコミュニティスペースとしても機能する。

営業時間は午前11時―午後6時。土・日曜は休業となる。10日―13日は新規オープンを記念してプレゼントなどの特別企画を実施する。

イオン(M)、第2四半期は減収減益

【クアラルンプール】 イオン・カンパニー(M)は29日、第2四半期(4-6月)決算を発表。売上高が前年同期比1.2%減の10億2,000万リンギ、純利益が7.7%減の2,790万リンギになったと明らかにした。

小売事業の売上高が祝祭シーズンにも関わらず3.1%減の8億3,680万リンギとなった。一方、不動産管理サービス事業では、入居率の改善や賃貸契約の更新により、売上高が8.9%増の1億8,410万リンギとなった。2024年上半期(1-6月)の売上高は、2.3%増の21億8,830万リンギ、純利益は24.7%増の8,520万リンギに達している。

岡田尚也社長は、今年イオン・マレーシア設立40周年を迎え、販促イベントや特典を用意していると言明。さらに、顧客の多様なニーズに応えるため、より幅広い品揃えを各店舗で展開していくとし、既存店舗の改装も行っていくと述べた。

同氏によると、今月はセランゴール州のバンダル・プチョン店とクアラルンプールのデサパークシティ内のイオン・マックスバリュ・プライム店の改装を完了し、他に3店舗改装が進行中で、ネグリ・センビラン州セレンバンでは、23エーカーの敷地に2階建ての新しいモールを建設する開発計画が進行しているという。さらに、プライベートブランドや地域コミュニティ内でのイオン・リビングゾーンの拡大、デジタル化や持続可能性への取り組み、運用コストの最適化も行っていくとした。

(エッジ、8月29日、イオン(M)発表資料)

QLリソーシズ、ファミリーマートの売上急増で純利益16%増

【クアラルンプール】 コンビニエンスストアのファミリーマートをマレーシアで展開するQLリソーシズは28日、第1四半期(4-6月)の決算を発表。売上高が前年同期比1.3%増の16億2,000万リンギ、純利益が16%増の1億743万リンギとなったと明らかにした。

同社は畜産、水産物製造、パーム油、クリーンエネルギーなどの事業にも携わっているが、コンビニエンスストア・チェーン部門が成長を牽引した。同部門では、ファミリーマートを35店舗、自動販売機で商品を販売するFMミニを35店舗開設し、店舗の平均売上高も改善したことにより、売上高が22%増の3億982万リンギになった。従業員積立基金の一部引き出しが可能になったことや祝祭シーズンにより消費者心理が改善されたことも好調の要因で、税引前利益は77%増の2,050万リンギに達したという。

主力である畜産事業の税引前利益は8%増加したが、主にマレーシアのレイヤー(採卵鶏)事業の業績改善によるもので、飼料コストの低下と鶏卵コスト補助金の維持がそれを支えた。新規買収したレイヤー農場や、ベトナムの畜産事業の業績改善も同事業の業績を押し上げた。

今後の見通しとしては、中東情勢の緊迫、米中貿易戦争、世界経済の先行きが不透明であることがリスクとして考えられるが、補助金の継続や上限価格の見直しにより、第2四半期も引き続き好調が維持されると予想している。

(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、8月29日)

日本人を狙った仮想通貨投資詐欺を摘発、21人を逮捕

【クアラルンプール】 マレーシア王立警察(PDRM)は28日、日本人を狙った仮想通貨投資詐欺グループを摘発し、外国人を含む容疑者21人を逮捕したと発表した。

警察は8月19日に首都クアラルンプール(KL)の高級住宅2軒を捜索し、日本人を狙ったとみられる仮想通貨投資詐欺のコールセンターを摘発。パソコン17台、携帯電話55台、ルーター、警報装置2台などを押収した。

逮捕されたのは22歳から37歳までの合計21人で、内訳はマレーシア人の男1人、中国人の男16人、中国人の女1人、ラオス人の女1人、香港人の男1人、ミャンマー人の男1人。

ブキ・アマン警察本部・商業犯罪捜査局(CCID)のラムリ・モハメド・ヨスフ局長によると、外国人容疑者は詐欺コールセンターのカスタマーサービス担当者として働いており、マレーシア人の男はセンターの管理人だったとみられる。捜査によると、コールセンターの稼働期間はわずか1カ月で、詐欺グループは活動を隠蔽するために、2層の高いフェンスで囲まれ、幹線道路から離れた場所にある高級一戸建てを使用していたという。

容疑者らは、ティンダーやモンスターズなどのソーシャルメディアを通じてターゲット探しを行っていた。被害者は、ビットバンクやコインチェックといったアプリを通じて容疑者らから投資を勧誘されたという。外国人容疑者は訪問ビザでマレーシアに入国し、詐欺に成功した金額の20%を受け取っていた。

(エッジ、ベルナマ通信、8月28日)